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    板金材料の機械的性質・化学的性質とは?主な金属6種の性質も解説!

    板金加工には様々な金属が使用されますが、各金属の性質を分類すると、“機械的性質”と“化学的性質”に分類することができます。各金属には、それぞれの強みや弱み、特徴があり、それを把握して加工時の材料を選ぶことで、求める性能を実現する製品が生まれます。本記事では、機械的性質・化学的性質とは何か、また主な板金材料について各性質をご紹介していきます。機械的性質とは機械的性質とは、引っ張りや剪断、衝撃、疲労などに対する強さや、材の硬さを示すものです。それらが自然の状態で持っている性質というよりも、外部の力が加わったときに、どのような反応を示すかを表した性質と言えます。そのため、試験機によって外力を加え、測定した数値によって表されます。化学的性質とは化学的性質とは、腐食のような、化学反応によって他の物質に反応して、違う性質の新しい物質に変化しようとする性質のことをいいます。“サビ”もその一種で、空気中の酸素と反応することで酸化し、金属表面にサビ(酸化鉄)が発生しています。他にも、溶解などの化学反応を起こすことで、別の物質に変化する性質のことを化学的性質と呼びます。板金材料として使用されている金属板金加工に使用されている金属は、まず鉄鋼と非鉄に分けられます。主なものとして、鉄鋼には、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛鉄板があり、非鉄には、アルミニウム、銅があります。合金板の特徴アルミニウムと銅については、合金板が使用されることもあります。合金とは、二種類以上の金属を融合してできた物質のことで、単一金属から合金化した場合には性質が変化します。例えば、強さについてはは、引っ張り強さは増加しますが、伸びは減少します。冷却鋼板(鉄鋼)冷間鋼板は、酸洗した熱間圧延コイルをロール状の冷間圧延機によって板厚を0.4〜3.2mmまで薄く延ばした後、焼きなまし及び調質圧延したもののことです。調質の区分は硬質の程度に応じて6つに分類されており、引っ張り強さや降伏点、耐力、伸びといった機械的性質についても規定があります。冷間圧延しただけの状態では、金属固有の加工硬化により硬度が上昇し伸びが減少している状態ですが、熱処理をすることで、熱延鋼板よりも高い伸びをもつ加工性・成形性に優れた鋼板に仕上がります。化学的性質としては、何もしないと錆びてしまうため、塗装やメッキなどの表面処理加工を行うことがほとんどです。熱延鋼板(鉄鋼)熱延鋼板は、800℃以上の温度で熱間圧延機により板厚1.2〜14mm程度に圧延されたものです。熱間圧延のままでは表面が酸化膜(黒サビ)で覆われており、その状態で黒皮材として使用されることもありますが、酸洗によって酸化膜を除去した酸洗剤が使用される場合もあります。熱延鋼板は、強度や加工性により数種類あり、用途によって使い分けられます。化学的性質としては、黒サビで覆われている状態では、黒サビは赤サビと異なり鋼材の表面を腐食から守る働きをもちます。ただし、黒サビには微細なピンホールのような穴があるため、条件によってはその部分にサビが集中し、局部腐食が早く発生する可能性もあります。ステンレス鋼板(鉄鋼)ステンレス鋼板は、“Stainless”(さびにくい)という意味をもち、化学的性質として錆びにくさを特徴とする金属です。鉄に10.5%以上のクロムを添加することで、クロムが酸素と結合し、鋼の表面に薄い保護皮膜(不動態皮膜)を生成し、サビにくさを実現しています。100種類以上の鋼種があり、それぞれ適した用途に使い分けられています。耐熱性・加工性・強度・意匠性に優れ、またメンテナンスがしやすい点も長所として挙げられます。環境に対する社会の関心が高まる中、100%リサイクル可能な材料としても注目されています。亜鉛鉄板(鉄鋼)亜鉛鉄板とは、主に高温で溶かした亜鉛の中に鉄を漬けて付着させたものです。化学的性質としては、亜鉛の表面には酸化皮膜が形成されることから、保護皮膜作用によって水に強い性質をもちます。また、傷やピンホールができた場合にも、亜鉛は鉄より腐食しやすく、亜鉛が優先して腐食されることで鉄の腐食を防ぐ“犠牲防食”の作用があります。引っ張り強さを基準として種類が分類されており、例えば「SGH340」は引っ張り強さ340N / mm2の亜鉛鉄板を示します。銅(非鉄)銅は、古くから産業や生活で使用されてきた金属で、その歴史は紀元前に遡ります。圧延や押し出しなどの塑性加工がしやすく、展延性に優れます。また、切削の仕上げ面が美しく、色が豊富などの理由も、材料として多く使用される理由です。化学的性質としては、空気中の酸素と徐々に反応し、黒褐色の酸化銅皮膜を形成します。生じたサビによって全体が酸化してしまう鉄とは異なり、銅の表面に形成された酸化皮膜はさらなる酸化の進行を防止する効果があります。湿った条件下では、二酸化炭素の作用によって、緑青の水酸化炭酸銅を生じます。アルミニウム(非鉄)アルミニウムは、その加工性の良さと軽量さから幅広い分野で使用されている金属です。溶接性にも優れており、酸化しやすい金属ですが、空気中では表面にできる酸化皮膜により内部が保護されるため高い耐食性をもちます。機械的性質における欠点として、強度が低く、粘り気があるため、加工時に切り粉が絡まってしまうと痛みや凹みの原因になるため、加工時には注意が必要な材料です。まとめ本記事では、機械的性質・化学的性質について、また、板金材料として用いられる主な金属の性質についてご紹介しました。今回ピックアップしたのはごく一部ですが、求める性質に応じて、現在金属は様々な種類がつくられ使用されています。板金加工品を製作する際には、機械的性質・化学的性質の両方を正しく把握し、適切な材料と加工方法を選びたいですね。

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    【2D CADと3D CADの違い】 | CADの基礎知識

    2DCADから3DCADへの移行需要を踏まえてCADを勉強したいけれど、そもそもCADってなに?と疑問をお持ちの方に、今回はCADの基礎知識を解説します。 CADは、2DCADや3DCADといった種類のほかにも、汎用CAD・専用CADなど、たくさんの種類に分かれます。それぞれのメリット・デメリットと違いを理解して、導入や資格取得などに役立ててください。CADとは?CAD(キャド)とは、Computer-Aided Designの略で、コンピュータを使って設計をすることそのものや、その設計支援に用いられるツールのことを指します。それまで手書きで行われていた製図作業をコンピュータによって支援するもので、一言で表すなら「コンピュータを使った製図」のことです。一般的な描画ツールなどと大きく異なるのは、数値などがより精密な点。CADによって作成されたデータはそのまま図面(設計データ)として利用することを想定しているため、非常に精緻な値を設定することができます。CADは、汎用CADと専用CADの大きく2種類に分かれます。汎用CADは、その名の通り幅広く使える機能を備えており、専用CADは「機械用・建築用・土木測量用・服飾デザイン用」などがあります。なお日本でのCADの厳密な定義は、”製品の形状、その他の属性データからなるモデルを、コンピュータの内部に作成し解析・処理することによって進める設計”と、JIS B3401に記載されています。2D(2次元)CADの特徴(メリット・デメリットなど)2DCADは、2次元データの製図を行うCADです。手書きで行っていた製図をそのままコンピュータで支援する形式のもので、正面・平面・側面の構成からなる第三角法によって製図されます。導入が比較的容易メリットは、手書きの製図に近い感覚で扱えるため、導入が比較的容易という点。そのため、3DCADには対応していないものの2DCADは導入しているという企業も多く、特に古くからある工場や中小企業などでその傾向が顕著です。手間がかかるデメリットは、2次元から3次元への変換を読み手が行わなければいけない点。図面の読み取りにやや技術が必要で、手間がかかります。一応2DCAD自体にも3D変換の機能はあるにはありますが、正確ではないため一般に用いられるものではありません。そのほか、例えば試作品を製作するうえでは図面読み取りのほか、加工の検討、加工データの作成、試作品の加工、といくつもの工程が必要になります。3D(3次元)CADの特徴(メリット・デメリットなど)3DCADは、3次元データの製図を行うCADです。3DCADで作成されるモデルは、枠組みのみの「ワイヤーフレームモデル」、表面のみの「サーフェスモデル」、体積を持った「ソリッドモデル」の3種類があります。製作方法は2種類。ワイヤーにサーフェスを貼り付けるサーフェスベースと、ソリッドを足したり除去したりして立体を作成するソリッドベースです。認識・把握しやすいいずれの種類、手法でも立体そのものを作成するため、見たい視点から見たい角度で見たい面を見ることができ、製図の知識がない初心者でも複雑な立体を認識・把握しやすいことがメリットと言えます。情報の一元化さらに形状の把握だけでなく、あらゆる情報を一元的にデータ化できる点も特徴として挙げられます。すでに検討した材質などの設計情報や、部品調達の情報、公差(許容される誤差)などの製造情報、コスト情報まで3DCADデータに含むことができます。手戻りの大幅軽減さらに設計変更や仕様変更も容易で、試作品を作成する回数の削減や、設計変更に伴ういわゆる「手戻り」の大幅な軽減ができます。もちろん、3Dモデルから2D図面の作成も容易です。時間短縮そのほか、曲線の多いデザインへの対応力があり、立体そのものを見ながら検討ができるため加工方法の検討にかかる時間短縮にもつながります。さらに複雑な図面をパーツ単位で確認したり、駆動パーツの動作検証などもできるので、最終的にアセンブリ化(組み立て)した際に出る不具合の早期発見にも。対応企業がまだまだ少ないデメリットは、2DCADとは対照的に、やや扱いに慣れが必要であり企業によってはそもそも対応していない場合があるという点。しかし近年、3Dプリンタなどの登場で3DCADデータの活躍の場がさらに広がったことで、そのデメリットは希薄化しつつあると言えます。フリーCADと呼ばれる無料で使える3DCADもあり、もともとはNC工作機械などへ渡す役割を担っていた3DCADデータも、個人レベルで簡単に作成できるようになりました。2D(2次元)と3D(3次元)の違いそれぞれの特徴を押さえたところで、2DCADと3DCADの違いについて、改めておさらいしておきましょう。2DCADは、もともと設計の現場で行われていた製図図面を電子化したものです。製図の手間をコンピュータで支援して簡単にしただけなので、製図データそのものに含まれる情報量が変わったわけではありません。そのため2DCADデータだけでは製品製作のために必要な情報が十分ではなく、その後の工程は基本的に従来の手書き図面を用いた場合と同じです。これに対し3DCADは、最初から立体で製品を表現でき、作りたい形状を忠実に再現できます。設計(製図)から製作までに発生していた、材質の検討・加工方法の検討・部品の検討・コストの検討など、あらゆる情報を3Dモデルが併せ持つことができるため、3DCADデータさえあれば各工程における情報の共有も容易です。難点は、歴史がある2DCADのノウハウの蓄積もあり、まだ2DCADのみ対応しているという企業も少なからず存在することです。まとめ近年3DCADへの移行需要は高まり、複雑な形状の製品を低コストかつ短納期で開発するには、もはや3DCADが必須と言える状況になりました。しかし一方で、すでに2DCADを導入しており、かつ製作する製品もある程度決まった形状のものが多く、設計において手戻りなどの手間がほぼ発生しないのであれば、無理に3DCADに移行する必要はないかもしれません。また、単に3DCADに移行するといった場合も、汎用CADなのか専用CADなのかといった検討は残りますので、3DCADに移行すればすべてが解決するわけではありません。導入や移行を検討するうえでは、どんな製品を設計するのかをぜひ念頭に置いておいてください。

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    プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!

    「プレス加工」は板金作業の中でも最も一般的な金属加工方法で、身近なもので例をあげるとしたら、金属製のボウルなどがプレス加工製品と言えます。さらにジュースの缶とか、自動車や新幹線のボディ、1円や5円などといった硬貨もプレス加工のたまものと言えるでしょう。そんなとても身近なプレス加工についてこんなお悩みをお持ちではないでしょうか?「プレス加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」プレス加工を請け負ってくれる工場を探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方に向け、本記事ではプレス加工の仕組みや工程、種類、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。ぜひご一読いただき、依頼時の参考にしてください。プレス加工とはプレス加工はその言葉通り、被加工物(加工される材料のこと)を金型(かながた)に圧着(press)して形を作るものです。ただ、プレス加工をウェブサイトで調べると、和製英語として言及しているサイトも中にはあります。しかし、これは少々乱暴です。日本工業新聞社刊の機械用語辞典では「プレス加工」を「press work」または「press working」として紹介しています。一方、英語の文献や取り扱い説明書ではプレス加工を「stamp work」として紹介しています。どちらが正しいのでしょうか?世界中の取り扱い説明書や仕様書に使われている英語の例文から用語を抽出した野沢義延(のざわよしのぶ)著の「続・機械を説明する英語」(工業調査会刊)という辞典では、PressにもStampにも「圧着する」という意味があります。つまり、どちらが正しいかと言えば、どちらも正しいのです。機械の動作などをより詳しく説明するのはどちらか、といったときに、その機構や仕組みに応じてより端的に動作を説明する言葉が選ばれるようです。したがって、外から圧力を加えてものを加工する作業をプレス加工と言います。プレス加工の仕組み・工程についてプレス加工は、プレス用金型をプレス機にセットし、被加工材をプレスすると製品が成形されるというシンプルな仕組みです。プレス加工は、低コストでの大量生産が得意なため、特に製造業では欠かせない加工方法になっています。プレス加工をする際には、初めに製品を生み出すための金型を設計します。雄型と雌型で1つとなる金型です。そこで、設計段階では、金型の種類やセットするプレス機などを決める必要があります。金型の設計が終了すれば、次に実際に金型を作りだし、生み出す製品のテスト加工を行なっていきます。複数回テスト加工を重ねることで、製品精度を高めていくことが可能です。プレス加工における金型ついてプレス加工では、金型の精度が製品の品質を保つ上で非常に重要です。金型の設計や加工に不備があると、製品にバリが出たり、形状に不具合が生まれてしまいます。金型で被加工材に荷重を加える時間は1秒ほどしかありません。一瞬で加工を施すため、金型の精度が悪いといい製品を生み出すことができないのです。そのため、プレス加工においてはプレス機でかけれる荷重なども重要ですが、金型は製品の良し悪しに直結する重要な部分となっています。金型の種類プレス用金型と一括りに言っても、製品の形状や生産量などによって使用する金型は大きく3種類に分けられます。ここでは、プレス加工に使用される金型の種類とそれぞれの特徴についてご説明していきます。順送型引用元:ムツミ工業株式会社順送型は別名「プログレ(PRG)」と呼ばれる、複数の成形機能を1つの型にまとめた金型です。1つの金型にせん断加工や絞り加工、曲げ加工などの成形工程を備えているのが特徴になります。ロール状に巻いてある被加工材を使用する場合が多く、プレス機で被加工材を少しずつ順送りしていくことで加工が完了します。プレス加工用金型の種類の中では、加工スピードが早く生産性も高いので大量生産に向いているのが特徴です。しかし、1つの金型に1製品の加工工程をまとめるため、設計や加工難易度が上がるため、金型の生産コストが非常に高いデメリットがあります。単発型引用元:キタシバ技研株式会社単発金型は、1つの金型に1機能しかない金型になります。「絞り加工のみ」や「せん断加工のみ」など1機能しかない金型です。被加工材も人力で入れることが多く、業界にもよりますが自動生産にはあまり使われないのが特徴です。型構造が簡単なことが多いために金型の作成コストが比較的低いので、製品形状が簡単で小ロット生産をする製品などに向いています。トランスファー型引用元:ムツミ工業株式会社トランスファー型とは、単発型を集合させて行うトランスファー加工に使用される金型を指します。1製品に対して工程を分けた単発金型を複数用意し、1工程目から順番に並べてプレスしていくことで製品を成形できます。被加工材を自動で運ぶ搬送機構が備わっているトランスファープレス機にセットされるため、自動で製品を成形できるのが特徴です。順送型(PRG)と比べると、加工速度は劣りますが、単発型を複数並べているため、形状を大きく変える工程のプレス加工にも対応できます。プレス加工の種類せん断加工せん断加工とは、板状の被加工材に外力でプレスして、完全に切断し分離する加工法のこと。「せん断」とありますが、単に切るだけでなく、切り抜いたり、外形を抜いたり、穴をあけたりすることもこの加工法に含まれます。二穴の穴開けパンチ器などは、せん断加工の最たる例と言えます。曲げ加工プレス加工機で材料を曲げる加工法のことを言います。被加工材をプレスし、被加工材の引張り力と圧縮力を利用して、材料を曲げるものです。曲げの形状によってV曲げ、L曲げ、U曲げ、カール曲げ、ヘミング(アザ折り)曲げなどの種類があります。書類をひとつにまとめる金属製のクリップなどがこれにあたります。絞り(しぼり)加工被加工材に引っ張り力を加えながら、プレス機の「パンチ(雄型)」と「ダイ(雌型)」に沿った形状にする加工法のことを言います。これも身近な例で言えば、金属製やプラスチック製のボウルなどがあたります。底付きの容器状に形作られるのが特徴です。金属やプラスチックなど、被加工材によって引張り力などが変わってくるのでこれをきちんと把握しておくことが肝要ですね。プレス加工と板金加工との違いプレス加工と板金加工の違いは、技術力や経験値の差が製品に影響しやすい点です。プレス加工は一度金型を作ってしまえば、材料を入れるだけで同じ形状の製品を大量生産ができます。しかし、汎用金型を使って手作業で行う「精密板金」やハンマーなどで叩いて作業する「手板金」それぞれで担当者の技術力により精度が異なってしまいます。手作業の工程がほとんどなので、小ロット生産や完全受注生産などに使用されるのが板金加工です。プレス加工のメリット・デメリット大量生産プレス加工のメリットはなんといっても大量生産に向いているということです。一度金型を作ってしまえば、同じクオリティの製品を大量にロス無く作ることができます。個人によってばらつきのでやすい作業の質を一定に保つことができることも生産性に大きく関わります。検品作業なども定量化しやすいという利点もあります。形状の制限もちろんメリットだけではありません。プレス加工には成形できる形状に制限があります。これはつまり、思い通りの形状で製品が作れないということです。成形に自由度が無いため、単純な形しか作ることができないというのもデメリットと言えるでしょう。金型製作、設備投資が高価また、せん断、曲げ、絞りなどをプレス加工ですべてこなそうとした場合、プレス機も大掛かりな仕掛けになる上、金型の制作も必要となり、設備投資が非常に高価になってしまうというのも難点と言えます。試作品で、まずは小ロットで作ってみるということが困難なのです。このほか、プレス加工の作業のうち、非常に大きな力で金属板を打ち出す作業は大きな事故につながる可能性が無いとも言えません。またプレス加工後に発生するバリ除去などでは、熟練の技術が必要になります。これもまたデメリットと言えますね。プレス加工製品事例Mitsuriが提携している工場の中から、プレス加工で作成された製品事例を複数ご紹介していきます。下記の画像は「順送型(プログレ型)」で成形された製品です。順送型は、形状が大きく変わる製品への対応が難しいので、せん断加工や曲げ加工機能が必要な製品には多く使用されています。引用元:株式会社三洋製作所次は、トランスファー型で加工された自動車のパーツ部品になります。形状が複雑なものでも対応できるのがトランスファー型の特徴です。引用元:株式会社 下井田製作所最後に単発型で成形された製品です。住宅設備に使用される製品ですが、穴を切り抜くだけの「せん断機能」を備えた単発型の金型で加工されています。引用元:株式会社高橋製作所プレス加工で用いられる金属について最後に、プレス加工で用いられる代表的な金属について、その特徴や用途を解説します。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、また軟らかくて展性も高いため、非常に加工性に優れた金属となっています。他にも、空気中において酸化皮膜を形成するので、耐食性にも優れています。特に、アルミ材のプレス加工は、私たちの身近なところで幅広い用途に利用されており、一円硬貨やアルミ缶の成形、またパソコンの筐体の製作、自動車の部品などに使用されています。ステンレスステンレスは、耐食性・耐熱性を有し、また加工性、強度においても非常に優れた性質を持つ金属です。また、意匠性に優れるという点もステンレスの特徴の一つです。ステンレス材のプレス加工は、洗濯機や冷蔵庫、エアコンのボディや、厨房・台所用のシンク、他にも精密機器の部品の製作など、さまざまな用途に利用されています。鉄鉄は、強度が高く、加工性にも優れており、さらに安価であるという特徴を有することから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として広く利用されてきました。特に、鉄材のプレス加工は、スチール缶の成形や鉄鍋の製造、また造船、土木・建築などの分野では、鉄資材の曲げ加工にも用いられている技術です。プレス加工を一流の板金加工業者に発注しませんか?今回は、プレス加工をテーマに、その特徴や仕組みのほかにも、金型の種類や、プレス加工の種類、さらにプレス加工の製品事例など幅広い内容についてご紹介しました。プレス加工は、製造業では欠かせない技術の一つであり、加工を依頼できるメーカーも多岐に渡ります。しかし、メーカーによって対応できる材質や板厚、サイズなどが異なるため、ニーズに合わせて適切な工場を選定する必要があります。プレス加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!プレス加工でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!!

    金属を加工する際の一つの手段として用いられるのが、「レーザー」。レーザー加工はその有用性から、工業の分野ではもちろん医療の分野でも一部取り入れられている方法です。そんな汎用性が高く、実用性が高いレーザー加工なので、発注する工場を選ぶのはとても大切です。レーザー加工が可能な工場を探す際にこのようなお悩みをお持ちではないでしょうか?「レーザー加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。レーザー加工とはレーザー加工とは、言葉そのままにレーザー光線を使って加工することです。レーザーを使って金属や木材などを切断したり穴あけして製品を作っていく、プレス加工や穴あけ加工と同じ金属加工の一種です。レーザー加工機を使うことによって、もともと手作業で加工していた商品や材料を大量に素早く加工することが可能になりました。金属や木材だけでなく、柔らかくて加工しずらいゴム素材や布地にも文字や記号を記す表面処理がしやすくなったりと、レーザー加工が普及したことによって加工できる幅が格段に広がりました。手作業では難しい複雑な加工も容易にできるようになり、今ではいろいろな業種に導入されています。いろいろな業種の一つに、加工とは違いますが近年では医療でもレーザーの導入が進んでいます。手術時に出血を抑えるためにレーザーメスを使ったり、虫歯にレーザーをあてて治療したりと、日々、金属加工や日常生活で活躍しています。そんな工業以外の分野でも注目され、研究が進んでいるレーザーですが、その原理はどうなっているのでしょうか。次の項目で分かりやすく解説していきましょう。レーザー加工の原理レーザーと聞くと、やはり皆さんは高熱で高火力を想像するでしょうか。テレビやゲームで目にするレーザーは一瞬触れただけでも体が溶けたり、レーザーの光を振り回すと瞬時に周りの建物や金属が切断されたりする光景が多いですね。それを想像すると、確かにテレビのレーザー光線は超がつくほどの高熱を放っていることになります。実際、金属加工用のレーザーに触れると大変なことになってしまいます。金属ですら瞬時に切断したり穴をあけたりするので、人体を通せば触れた部分は一瞬でどうにかなってしまうほどの威力が出いてます。恐ろしく危険なので、レーザー加工機を扱う際はメンテナンスの時を含め重々注意が必要です。光の波と熱の振動レーザー加工の原理は波と振動によって成り立っています。レーザーの威力ですが、なぜ光に金属を溶かすほどの威力があるのかと言うと、それは光の波を合わせているためです。かみ砕いて説明しましょう。普通、光というと太陽光や電灯のようにあらゆる方面に光が発せられ、さらに光の色が何色も合わさっています。太陽光や電灯の光の色は白いですが、白く見える理由はいくつもの光が合わさっているためなんですね。絵具は何色も混ぜることにより黒くなる性質を持ちますが、光は何色も混ざることにより白く見えるように人間の目はできているのです。引用元:マーキング学習塾太陽光などの白い光は何色もあるため、光の波が合いません。しかし、レーザーの光は一点集中しており、しかも単色なので光の波がそろっているのです。上の画像のように、波長や山と谷がそろっている光をレーザー加工機内部にあるレンズに通すと、密度の高い光ができあがり、威力が格段に増すのです。分かりやすく例をあげると、ホースから出る水を散水ノズルで細くすると、水が出る勢いが増す感じです。ホースの水を細くして強力にする散水ノズルが、レーザー加工機でいうレンズの役割にあたります。加工機の中を通ってきた光を集光レンズで細く絞ることで光を集中させ、威力を格段にあげて素材を溶かします。金属や木材などの材料にレーザー光を当てることにより、材料の原子や分子が振動すると急激な発熱が起こります。そうして溶かした金属をアシストエアーで瞬時に飛ばして、穴をあけた部分をきれいにしていきながら材料を掘り進めていきます。かなり説明を省いていますが、詳しく説明するとニュアンスが伝わりにくくなってしまうのでこの程度に留めておきます。レーザー加工機の仕組みレーザー加工機は、大きく分けると3つの系統で構成されています。系統ごとに多くの制御パラメータが関連しており、加工目的によって最適化して使われています。それぞれの系統について詳しく見ていきましょう。レーザー発振器系レーザー発振器は、光を発振する装置です。励起光と呼ばれる光をレーザー媒体に照射し、媒体特有の波長を発生させた後、共振器に当てることで増幅させてレーザー光を発振するメカニズムになっています。レーザー加工時に最初に検討される装置のひとつで、以下の検討条件をひとつずつ決定していくことになります。主な検討条件出力波長パルス幅発振モード(連続派・パルス派)切断用の熱源には、CO2レーザーの他、YAGレーザーやYLFレーザー、Ybレーザーなどが用いられ、加工する材料や板の厚み、求められる加工精度によって異なるレーザー光の波長、出力が選ばれます。加工光学系加工光学系は、レーザー発振器から発生したレーザー光を集めて、テーブルに照射する装置です。レーザー発振器からレーザー光を送り出す「光路」と、伝送されたレーザー光を集めて対象に照射する「集光系」の2つで構成されています。レーザ加工に使われている光学系の種類は、大まかに分けると次の4つです。①集光光学系(固定光学系)レーザ発振器から出力されたレーザ光を、集光レンズを使って集めて加工するタイプ。最も基本的な光学系のひとつで広範囲の加工に適している②スキャニング光学系ガルバノスキャナー(ヘッド部内のミラーが動くタイプの装置)、f-θレンズ(レーザービームを2次元走査させるレンズ)で構成される光学系。走査型とも呼ばれ、レーザーマーキング(刻印・彫刻)や溶接のリモートヘッドなどに多い③結像光学系マスクパターン、面発光を行う光源像を対象材料に転写できる光学系で、パターン(模様)を一括加工する時などに使用④特殊光学系屈折型光学系(非球面レンズを利用)、回折光学素子利用タイプ(レーザー光をターゲット上で回折させて光の干渉パターンを作る)など特殊なタイプで、装置自体は受注生産が多い求められるレーザー発振器の特徴や、加工に求められる精度、技術などに合わせて、適切な光学系を選んで使用します。加工物質系加工物質系とは、対象物を固定するためのテーブル及び加工物を指します。レーザー加工における加工物の性質は仕上がりを決める重要な要素です。反射率や吸収率、透過率といった加工物の光学的な性質、熱的性能なども仕上がりに影響します。照射位置を移動しながら加工する場合、集光系あるいはテーブル、またはその両方を動かす必要があり、それらを制御する駆動システムが必要です。精密な加工を行う際、テーブル送りのスピードも細かく調節します。高出力レーザー加工機であれば問題ありませんが、低出力タイプでは適切な速度設定が必須です。レーザーカット加工による影響【材質別】複雑な部材や、微細な部分への加工を得意とするレーザー加工では、材質によって注意すべき点があります。レーザーカット加工が加工対象に及ぼす影響について、材質別に解説していきます。鉄鉄は、加工しやすく入手性も良く、広範囲に用いられる一般的な金属です。ごく薄い薄板から数十mmの厚板まで豊富に板厚が揃っており、幅広い用途で使用されます。塗装やメッキ、表面処理鋼板などを使うことで、鉄のデメリットである錆びやすさをカバーできます。引用元:astamuse加工すると図に示す通り、レーザー加工特有の現象で、穴がテーパー状になります。テーパーとは、加工面がすり鉢状になっている状態です。厚板になるほど入口と出口の差が広がる傾向があります。この差をなくすためには、ドリルやリーマーなどを使った追加工が必要です。また、金属板金の打ち抜き加工によく使われるタレットパンチプレスに比べると、熱による変形や反りが出る恐れも出てきます。ステンレスステンレスは、英語で錆びにくい鋼という意味の「Stainless Steel」です。耐食性や耐熱性、加工性に優れており、キッチン用品から建築材料、医療機械器具、航空機部材まで、あらゆる分野で採用されています。100%リサイクルが可能なため、サステナビリティや環境への配慮への関心が高まっている現在、非常に注目されている材質です。鉄と同じように、レーザー加工を利用することで穴がテーパーになる可能性が高く、厚板になるほど穴の入口と出口の差が出やすくなります。こうした差を埋めるために、ドリルやリーマによる追加工が必要です。また、熱による変形や反りが、タレットパンチプレスよりも出やすい点も同様に注意しましょう。アルミニウムアルミニウムは鉄に比べて比重が35%ほどと軽量な金属です。軟性、展延性が高く、溶接性、耐食性、熱伝導性も優れているなど、加工に向いている材質として幅広い業界で使用されています。アルミニウムは反射率が高すぎるため、レーザー加工に向かないケースがほとんどです。また、鉄やステンレスに比べて、加工後に裏面に尖ったバリができやすいので、後処理が必要です。レーザー加工機特有の穴のテーパーや、熱による変形や反りについては、鉄、ステンレスと同様に対応が発生します。銅鉄と較べて熱伝導率が高い銅のレーザー加工では、反りや変形、腐食が起こりやすい点に注意が必要です。また、銅は反射率が高いためレーザーが反射することによって機械に支障が出る恐れがあること、銅自体が高額なので失敗した際の損害が大きくなることなどから、実際に加工できる業者が限られてきます。出力を抑えながら切断する、フルスピードにはしない、細かな配慮をするなど、高度な技術を持ち合わせた業者であれば、高品質な仕上がりが可能です。上記のような金属へのレーザー加工も、Mitsuriなら的確な加工技術を持って仕上げることができます。参考記事金属へのレーザー加工については、下記記事でも詳しくご説明していますのでご参照ください。⇒金属をレーザー加工ならMitsuri!【小ロットの依頼もOK】どこよりもカンタンに依頼ができます!レーザー加工のメリットレーザー加工の原理が何となくわかったところで、次はメリットの解説に移ります。レーザー加工のメリットは大雑把に以下の通りです。・仕上がりが早い・仕上がりがきれい・加工の自由度が高い・難度の高い加工が可能・メンテナンスに手間が掛からない当然箇条書きだけでは不十分なので、項目ごとに一つずつ説明していきます。上から順に見ていきましょう。作業に手間が掛からないレーザー加工は金型を使う必要がありません。基本的に金属の加工には金型と呼ばれる「元の型」が必要になります。元の型は他の加工方法ですと、製品を早く均一に大量生産するために必須で、種類も様々あります。しかし、レーザー加工では金型の変わりにパソコンで形を作るため、一度作った後はデータを入力するだけで加工・生産ができるのです。金型を使わないため加工途中の金型交換の手間が省けて作業効率が良くなります。仕上がりがきれいレーザー加工機を使えば加工後の処理に手間が掛かりません。バリやカエリの発生を抑えることができるので、切断面がきれいに仕上がります。加工の際に起こりえる歪みやひび割れのリスクもなくすことができ、安定した品質を保つことができます。従来までの加工方法では必要だった後処理の手間を省けるのは大助かりですね。加工の自由度が高い加工できる素材の幅が広いのもレーザー加工のメリットです。他の方法では硬すぎる金属や柔らかすぎる布地でも、素材によってレンズや照射の出力を変えることで問題なく加工できます。熱で変形してしまうような薄版の素材でもレーザー加工なら大丈夫です。また、穴あけや切削以外にも溶接や熱処理、製品に文字を入れ込むマーキングなど様々な加工が可能です。いろいろな製品を作るには、従来では複数の加工方法を取り入れる必要がありました。ですが、将来的にはレーザー加工だけですべての素材や加工方法を実現することができるかもしれませんね。難度の高い加工が可能レーザー加工の台頭により、複雑かつ精密な形でも比較的容易に加工することが可能になりました。レーザーの光が細いので、他の加工機器では穴あけが出来ないような細かく小さな場所でも正確にでき、曲線を辿った切断でもレーザーなら安定して加工することができます。複雑な絵柄を描いたり、錆びにくさを向上させるなど製品の様々な表面改善もレーザー加工で出来るので、非常に便利な加工法となってきています。工業分野の人手が足りない今の時代、できるだけ簡単に、誰にでも品質が安定した製品を作るには、レーザー加工はうってつけと言えるのではないでしょうか。メンテナンスに手間が掛からないレーザー加工では材料と工具が接触しないので、刃物や研削盤などを消耗することがなくメンテナンスに手間が掛かりません。メンテナンスで必要なのはレンズをきれいにしたり、アシストエアーを清掃したりする程度なので交換作業も必要ありません。また、加工時に材料を切った後の粉塵が発生せず、刃物などに付かないため、除去する手間も省けて作業も楽になります。金属加工ではこういったメンテナンスの時間を割くことで生産効率を上げていくことも重要でしょう。レーザー加工のデメリット数多くメリットがあるレーザー加工ですが、デメリットもそれなりにあるようです。こちらも詳しく見ていきましょう。加工速度が遅い切削加工やプレス加工と比べると加工速度に劣る面があります。多彩な加工方法を持ち合わせるレーザー加工ですが、速度重視で見るとやや不利な傾向があるようですね。金属加工にはレーザー加工以外にも早くて精度が高い加工方法がたくさんあるので、必要に応じて適材適所の板金機械を使っていくのです。厚板の素材は加工しずらいレーザー加工には適切な焦点距離というものがあり、レーザーの光が集中している箇所があります。その焦点距離の範囲でないとエネルギー密度が低下して素材が溶かせなくなるのです。レーザーは真下に向かっているように見えて、実は光線同士が交わっているんですね。なので、この焦点の位置から遠ざかってしまうとレーザーの威力が弱まって加工できなくなるということです。レーザー加工の意外な弱点ですね。下に向けられているレーザーが作業台や床を貫通しないのは、こういった仕組みがあったのです。反射率の高い素材は加工できないアルミや銅など反射率が高いとされている素材は、古いタイプのレーザー加工機ですと上手く加工できないことが多いです。レーザーの光を弾いてしまっては材料に熱が伝わらないので、当然と言えば当然ですね。ですが近年になって、反射率が高い素材でも加工できるレーザー加工機が登場しています。これを機に、これまでレーザーではできなかった素材も、これからどんどん加工できるようになっていくでしょう。コストが高い特に不思議なことも意外なこともないですが、レーザー加工機は高いのです。性能がいい反面、値段は相応ということですね。消耗品や維持費にもけっこうな費用が掛かり、電気代やガス代などの光熱費に加えて、焦点レンズやミラーには定期的に交換が必要です。工業製品と言えど精密機械です。大切に扱いながら、稼働時間やランニングコストにも注視しながら活用していかねばいけません。レーザー加工の種類レーザー加工のレーザーには、金属加工用として一般的に使われているもので3種類のレーザーがあります。3種類とも特徴に違いがあり、用途も違うので、その違いを重点的に説明していきます。CO2レーザー3種類のうち最も使用されているレーザー加工機ですね。名前にあるように二酸化炭素を利用しているガスレーザータイプの加工機です。金属、木材、ゴム、ガラスなどほとんどの素材に適応できます。活用の幅に加え値段も他2種類の加工機よりも安く、CO2レーザーが主流になるのも納得の性能です。ただし弱点として、アルミや銅など反射が強い金属には不向きとなっています。ファイバーレーザーここ数年の間に開発された新しいレーザー加工機です。CO2レーザーには向かない銅やアルミなどの難溶接材や反射が強い金属の加工ができ、新しく出ただけあってCO2レーザーの弱点を補う特徴を持っています。加工機自体は高いものの、レーザーガスがいらなかったり、エネルギー効率が良かったりとランニングコストが安く抑えられます。近年出始めたばかりで本体価格も高いため、まだまだ普及していませんが、今後の進展しだいでは主流になりえるかもしれません。YAGレーザー金属の加工以外に医療でも使われるレーザーです。金属加工では主に溶接とマーキングに使われ、溶接では薄い素材でも変形や歪みがなくきれいに仕上げることができ、溶接スピードも早くできます。マーキングとは簡単に言うと出来上がった製品に文字や記号を書くことです。YAGレーザーはあらゆる素材に精密かつ高速で写し出すことができます。医療では歯や目の治療に使われています。そんな高性能なYAGレーザー加工機ですが、CO2レーザーと比較すると値段やランニングコストが高くついてしまい、そこがネックと言えるでしょう。レーザー加工事例レーザー加工の種類ごとに、実際の加工例をご紹介します。ステンレス鋼板へのCO2レーザーカット加工引用元:大畠製作所ステンレス鋼板(SUS304、2.5mm圧)のCO2レーザーカット加工アルミニウム合金へのCO2レーザーカット加工例引用元:大畠製作所アルミニウム合金(A5052、8mm厚)へのCO2レーザーカット加工鉄クロム合金のレーザーカット加工例引用元:ベルテックレーザ株式会社鉄にクロムを加えた合金(炭素が1.2%以下、クロムを10.5%以上含む特殊鋼)のレーザーカット加工参考記事板金加工については、下記記事も参考にしてください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!レーザー加工のまとめ 一流の板金加工業者に発注しませんか?レーザー加工と言うと物騒な印象があり、危険ではないかと思われるかもしれませんが、テレビで見られるようなレーザーとは別物です。まったく危険がないかと言われればウソになりますが、正しく使うことによって、非常に幅広く質の高い加工ができるのです。レーザー加工は現在においても、次々に新しい加工法が生み出されています。これから将来的に、性能面でも安全面でもますますの進展に期待が持てることでしょう。

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    小川製作所と小川真由という男

    Mitsuriで株式会社小川製作所様を取材させていただきました。インタビューに応じてくださった小川真由さんから製造業が抱えている課題を沢山伺いました。インタビュー記事では、十分に展開できなかった課題を、全4回の連載形式で特集します。小川真由さんが考える製造業の課題。あるべき未来の形。小川真由さんの人柄も交えながら、対談形式でお伝えします。第一回目の今回は『小川製作所と小川真由という男』というテーマで対談させていただきました。祖父から父、そして孫の真由さんへと脈々と受け継がれてきた小川製作所。①小川製作所とはどのような会社なのか。②3代目にあたる小川真由さんは、どのよう方なのか。この2点についてお伝えします。株式会社小川製作所お久しぶりです。先日は長時間に及ぶインタビューを受けていただき、ありがとうございました。社内でも好評で、涙した人間もいました。社外でも興味をもらって、感想をいただいております。心より御礼申し上げます。(まだ読んでいない人はこちら)小川氏そうですか。それはこちらとしても大変嬉しいことです。取材いただき、ありがとうございました。連載の第1回目は、『小川製作所と小川真由という男』というテーマでお話させてください。早速ですが、小川製作所について深掘りさせていただきたく思います。小川氏はい。よろしくお願いいたします。町工場で3世代続くところは、なかなか珍しいというのが私共の実感です。お祖父様の創業当時のことを、どのようにお聞きされていますか。小川氏今の法人になる前に、個人事業として祖父が創業しました。当時は学校等に炊事台や、ガス炊飯器等の厨房金物を作って卸すメーカーだったそうです。今の業態のような受託開発ではなく、メーカー。前川氏そうですね。当時は、割とそういう仕事があったようです。その後、父が大学を卒業して家業に入ったころに、大手が参入するようになってきてました。それで、事業がだんだん尻すぼみになっていったようです。同じ時期に、建築金物も扱いだしました。祖父がやっていた頃は従業員が4~5人。父が継いだ頃はバブルがはじけたときでした。1人で建築金物をやっていたそうです。完全に個人事業ですね。その後、父が1人でやっていた期間が20年くらい続きました。その建築金物のお仕事も、メインのお客様が廃業によってパタッとなくなってしまいました。それが、私の大学時代の後半くらいの頃ですね。祖父の時代に大手競合が参入してきたことによる最初の危機。父の時代にバブルがはじけたことによる2度目の危機。2つの危機を乗り越えて、今の小川製作所があるわけですね。町工場の裏には、激動の歴史があるのですね。2度目の危機の時はご記憶があるかと思うのですが、その時はどのように感じられたのでしょうか。小川氏私ももう大学時代の後半で、父もある程度年齢がいっていました。まあ仕方ないかな、くらいに思っていました。そうなんですね。少し意外です。小川氏確かに、小さい頃から3代目、3代目と言われていました。いつかは自分が受け継ぐというイメージも持っていましたが、その当時はその程度の受け止め方でした。小川真由さんの修行時代ありがとうございます。大学を卒業後はどのような進路を取られたのでしょうか。小川氏はい。大学院の理工学研究科を卒業して、富士重工業株式会社に就職しました。航空機関係の部門で、主に設計業務に従事していました。これは就職して勤めだしてから気づいたことなんですが。セットメーカー(完成品メーカー)と、町工場とでやっていることにこんなにも開きがあるのかと驚きました。これだけ違うと、今やっていることが町工場での仕事に繋がらないな、と実感しました。それは町工場出身の小川さんならではの視点ですね。とても興味深いです。就職先でも、順調にキャリアを積み上げられていたかと思いますが、どうしてまた家業に戻られたのでしょうか。小川氏いつかは家業に戻らないといけないと、ずっと漠然には思っていました。ただ、具体的に将来のことを考えなければけない、ある一つのきっかけがありました。航空機は試作開発が終わると、飛行試験を行います。ある航空機の試作開発を行った時のことです。その航空機の飛行試験がとある僻地で行われることになりました。飛行試験自体はいつものことなんですが、上司から「小川もその試験に同行して、半年間○○○に滞在してほしい」と言われました。当時、ちょうど子供が生まれそうな時で。「半年間も滞在しなければいけないのか、家族をおいて」その場所は簡単に行き来できる場所ではないんです。そこに半年間いなければいけない。長男の出産というタイミングでもありました。他にも色々考えないといけないこともありました。そこで将来のことを真剣に考えました。その結果、家業を継ぐことに決めました。人生のターニングポイントがそこにあったのですね。サラリーマンとしてのキャリアを積み上げるか、家業に戻って町工場の3代目としてのキャリアを始めるのか。小川氏はい、その通りです。いざ家業に戻りたいと両親に伝えたときに、父から返ってきた言葉は「お前の仕事はないよ」でした(笑)まぁ、父が一人でずっとやってきたのだから、私の仕事がないのは当たり前ですよね。これではいけない、どうしようかと考えました。何から手をつけていいかわからなかったのですが、実家から歩いてすぐのところの機械加工をやっている会社がありました。そこの社長に直談判したんですよ。「修行させてください」って。で、そこで働くことになりました。なるほど。その修業はどのような思いで行かれたんでしょうか。機械加工の技術を学ぶためなのか、それとも中小企業や町工場のビジネススタイルを学ぶためなのか。小川氏後者の方が強かったです。そもそも、受託加工業がどういうものなのか、わかっていませんでしたから。メーカーにいた頃は、予算内でものを作らなければなりません。その際、必要となるものは営業や購買の人に依頼する。そういう仕事の仕方をしていました。だから、中小企業のビジネススタイルがどういうものが全然わからなかったんです。特に経営ですね。そういう修行をさせていただきました。それが2008年の4月のことです。その約半年後の9月にリーマンショックが起きましたね。修行先では、最初に何を担当されたんでしょうか。小川氏最初は営業技術というものを担当させていただきました。セールスエンジニアと呼ばれる仕事です。営業技術で量産系の仕事を担当したところからはじまって、製造、検査、設計(CAD/CAM)、仕上げ。この順番で各仕事を経験させていただきました。先にリーマンショックの話をしましたが、2008年4月に転職した頃から、なんとなく世の中全体に怪しい雰囲気が出ていました。そうしたら、案の定その年の9月にリーマンショックで。その辺りからパタッと仕事がなくなりました。なんとかしないといけない。営業技術として、1社に依存する形の状態から脱却することを目標にしました。言い換えれば、営業の立直しを行ったんです。修行している期間は、営業や製造関係の仕事を最初の1〜2年に担当して。3年目から経営的な面を担当するようになりました。例えば、財務関係や人事評価、採用等も経験させていただきました。修行の身でその会社に入ったはずですよね。いつのまにか経営面まで担当されているっていうのは(笑)小川氏そうですよね(笑)。社長が話のわかる方だったっていうのもあります。ただそれと別に、やるからにはその会社の看板を背負う。そういうつもりでやっていました。実際的な問題としても、自分が外に出ていったり、経営面に入り込んでいかなくては、立ち行かなくなってしまったという背景もありました。とはいえ、自分は修行の身なので。自分がいなくても上手く回っていく体制を作らなければいけません。営業部分もある程度立て直して、ある程度目途を立てました。それで、修行を終えて家業に戻りました。なるほど。でも、前回のお話を伺った際には小川さんが家業に戻られてから、1年ほどで歌修行先の会社が倒産してしまったというお話でした。小川氏はい、その通りです。私が抜けても大丈夫な体制にしていたと思ったのですが。残った従業員の方だけでは上手くいかなかったようです。なるほど。それは残念でしたね。小川氏はい。その会社を修行先に選んだのは、実家が近かったからと言いました。ただ、ご指摘のとおり家業の社内工程と重複がなく、しかも当時最先端の5軸のマシニング設備を持っていたんです。だから、修行後ゆくゆくは、一緒に協力して何かやりたいと考えていました。会社をたたむという話を聞いたときは、本当に驚きました。地域に貢献している会社でしたし、マシニング自体も20台くらい保有していました。陰ながら再建を願っていたのですが、継続は難しかったようです。家業に戻って修行先ではそのようなお話があったんですね。家業に戻られた後はどうだったのでしょうか。「お前の仕事はないよ」っていう、お父様から告げられていたとのお話でした。小川氏はい(笑)だから、板金や溶接で新規開拓をしようと考えました。最初にやったことはホームページの製作(笑)どこでもやっていることですけど、それがうちにはなかったので。まず、自分が何者なのか知ってもらえるようにしておかなければいけませんよね。ホームページを作り終わったら、とにかく色んなところにメールをばら撒きました。葛飾区のビジネスマッチングイベントにも参加しました。ここでのイベントを通して、実際に案件化になったものがあります。そこで出会って、今でも継続してお取引しているところがあります。うちもメールをばら撒いまいて、小川さんと出会えた。やっぱりこれが常套手段ですよね(笑)。それはともかく、どれくらいでビジネスが軌道に乗り出したんでしょうか。小川氏半年くらいランニングして、軌道に乗り出しました。当初は、自分の給料が出るようになるのかどうなのか。しかも、家業に戻ってきた当初は、午前2〜3時に寝て、6時起き。そういう毎日でした。このとき自分のことを自己ブラックと定義していました(笑)。自己ブラック(笑)。ずっとお一人でやられてたんでしょうか。小川氏当初はそうでした。ただ、しばらくしてして近くに住んでる姉に経理として入ってもらいました。その後、嫁が営業補助として手伝ってくれました。正に家族経営の町工場。2015年に法人化したのですが、その時に従業員に1人入っていただきました。現在、社内工程のメイン作業は従業員2人に担当していただいています。それに加えて、父と私。総勢4人の体制でやっています。お父様はまだ現役でいらっしゃるのですか。小川氏父は72歳ですが、バリバリの現役です。職人として現場に立ち続けているせいか、本当に元気ですね。私自身は研磨職人(ラッピング加工)としてやっています。1日10本は磨くという自己ノルマを立てています。小川さんは設計の人で、現場に立たれないイメージを持っていました。ここまで、小川さんと小川製作所の過去と現在の話を伺えたと理解しています。未来についてはいかがでしょうか。小川氏そうですね。何年かかるかわかりませんが、自社製品を作りたいです。創業当初のようなメーカーに立ち返りたいので。少しずつですけど、そこを目指していきます。前にお話ししたように、弊社には3つ事業があります。売上比率でいえば、粗利ベースで上手くバランスが取れています。社内工程をきちんと意識して、全体としてバランスが取かれるようにしています。社内工程は100%の稼働率。これは、あくまで社内工程が基礎にあってはじめて、その他の事業があると考えているからです。これは、今後も変わらないです。社内工程に関していえば、少しずつでも事業を拡張していきたいと考えています。次に、最先端技術に関わる社外ネットワークの事業。ネットワーク自体を拡大させて、社内ネットワークを大きくしていきたいと考えています。これらを達成してはじめて、自社製品を作るというメーカーへの立ち返りが見えてくる。そう思っていますね。今はそれに備え、技術を磨き、経験を積み上げている段階です。一歩一歩着実に未来の製造業に向けて前進されているのですね。今後が本当に楽しみです。本日はありがとうございました。

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    【板バネ基礎知識】種類、用途、材質、加工方法、計算

    板のような形をしたばねを「板バネ」といいます。主に「曲げ変形の特性」を活かしたい場所に用いられます。この記事では、板ばねの①種類②用途③材質④加工方法⑤計算方法に関する実用的な知識を解説しています。板ばねの種類板ばねには様々な形状のものがあり、①重ね板ばね②薄板ばね③皿ばね④渦巻きばねの4つに分類できます。※皿ばねと渦巻きばねは、板ばねに含めない場合もあります。(1)重ね板ばね引用元:flexdream重ね板ばねは、長さの異なる板状のばねを複数枚重ね合わせて作ります。複数枚を重ねることで、使用時の応力が分散して耐久力が高まります。代表的な用途としては、トラックや貨車のサスペンションです。板材同士が接触、摩擦することで振動が減衰していきます。現場では、リーフばね(リーフスプリング)とも呼ばれます。(2)薄板ばね引用元: 國光スプリング工業株式会社薄板ばねは、薄い板形状をしたばねです。最も多用される板ばねで、「板ばね」と言った場合は「薄板ばね」を指しています。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極・スイッチ、AC100Vスイッチ部品、抜け止め金具など様々な用途に使われます。③皿ばね引用元:Direct INDUSTRY 皿ばねは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。コイルばねを設置できないような狭い場所でも使用可能で、大きな荷重に耐えられます。ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャー、軸受回りのガタ防止などに用いられます。④渦巻きばね引用元:宏栄スプリング工業株式会社渦巻きばねは、板状や帯状の素材を渦巻きのような形に巻いたばねです。ばねの端を引っ張ると、元の形状に戻ろうとする力が働きます。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では「ぜんまいばね」と呼ばれることが多いです。ぜんまい式のおもちゃ、機械式時計のぜんまいに用いられます。板ばねの用途板ばねの使用用途は大きく「緩衝用」「復帰用」「締結用」に分けられます。(1)緩衝用板ばねは衝撃を吸収してやわらげる「緩衝用」として用いられる場合があります。貨物自動車、トラック、バスなどの車のサスペンションに使われます。ひと昔前に流行ったオフロード車にも板ばねの技術が生かされています。スキー板は、板ばねそのものです。(2)復帰用板ばねは、復元力を動力とする「動力発生用」、位置の「復帰用」としても用いられます。具体例として、アーチェリーの弓、水泳の飛び込み台、オルゴール、ステープラーの針を押し出す薄板などが挙げられます。(3)締結用板ばねは、物をはさみ締めつける「締結用」としても用いられます。具体例として、ピンセット、トング、シャープペンシルのクリップがあります。板ばねの材質弾性を持った材料はすべてばねとなり得ます。材質で分類すると、①金属②非金属の2種類です。金属を材質とする金属ばね(炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金)金属ばねは広く使われており、コストが安い、大きな荷重に耐えられる、たわみ量を大きく確保できるといったメリットがあります。板ばねに多用される金属は、①炭素鋼②ステンレス鋼③ニッケル合金④チタン合金の4種類です。炭素鋼炭素鋼は、ばね鋼材として多用されます。炭素が主な添加元素で、他成分の含有量によってさらに詳細に分類されます。炭素以外の成分を付加することで、鋼の性能をグレードアップしたものは「合金鋼」と呼ばれます。ステンレス鋼ステンレス鋼は、熱やサビに強いという特性があります。非鉄金属では、電気伝導性に優れる銅合金がコネクタ、電気機器などに使用されます。ただし他の鋼材と比べると割高です。ニッケル合金ニッケル合金は、耐食性・耐熱性・耐寒性に優れた特性を有し、400℃以上の高温で使用されます。チタン合金チタン合金は、鋼と比較して弾性率と比重が小さいので、ばねを軽くしたい場面で利用されます。ただし、コストが高いのが難点です。非金属材のばね(天然ゴム、プラスチック、セラミック)金属で実現不可能な特性を出したい場合は、非金属材を使います。板ばねに用いられる代表的な非金属材料には、①天然ゴム②プラスチック③セラミックの3つがあります。天然ゴム天然ゴムには、汎用性が高い、ばね定数を自由に調整できる、内部摩擦で変形の際に減衰力が発生するというメリットがあります。反対に、ゴムばねの挙動を明確に計算できない点がデメリットです。プラスチックプラスチックは、金属と比べて「軽い」「錆びない」「加工が容易」な点がメリットです。ただし、強度が低いことが難点です。強度の低さを克服するために、繊維強化プラスチック(FRP)・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などがあります。セラミックセラミックは脆性材料なので「壊れやすい」「強度にばらつきがある」といった特徴があり、以前はあまり使用されませんでした。現在は技術が進歩したことで、耐熱性を活かした700~1,000℃の高温下で使用されるようになりました。板ばねの加工方法板バネの加工量による分類温度による分類少量生産熱間成形大量生産冷間成形少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチ(タレパン)で材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキという機械を使用します。近年はレーザー切断機やタレットパンチは、コンピュータで制御されます。多量生産を行う際は、型を用いた加工機(プレス機)を用いて製造します。代表的なプレス機は、単発型・順送型・トランスファー型の3種類です。板ばねは、それぞれの材質・形状に適した加工方法が存在します。加工方法はおおまかに、熱間成形・冷間成形の2種類に分類されます。一般的には、大型のばねや特殊な加工には熱間成形を、小型のばねには冷間成形を行います。(1)熱間成形主に900~1,200℃という高温下で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温となり、加工がしやすいのが特徴です。加工後すぐに急冷します(焼入れ)。焼入れ工程を経て硬い鋼ができます。ただし、このままだと脆くて不安定な状態なので、所定の温度に再度加熱します(焼戻し)。焼戻し処理を行うことで、ばねとしての特性が現れます。精度の高い加工の困難さが難点として挙げられます。とりわけ薄板の加工難易度は一気に上がってしまいます。(2)冷間成形主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特性を持ちます。金属に必要以上の熱をかけないため、高精度の加工ができます。金属の加工硬化が促進し、材料自体が硬化します。ただし、大きな力で加工しなければならないことや、加工が過度になると内部ひずみを生じ「残留応力の蓄積」「粘り強さの減少」が起こることが難点です。残留応力を解消するにあたり、低温焼きなましを行います。板ばねの計算例板ばねの計算は、材料力学で用いられている公式が使えます。荷重が加わった際の、ばねに生じる最大応力とその位置・そこから求められるたわみやひずみに関しては、形状や材質から決まる各種の定数が関与しています。以下に押さえておくべき用語を紹介します。応力応力 = 力 / 断面積ばねに外力(荷重)を加えると、材料の内部には外力に抵抗する力が発生します。材料に生じる応力が大きくなりすぎると、材料は破損します。応力とは、材料に発生する単位面積当たりの抵抗する力です。応力の種類には「引張り応力」「曲げ応力」「ねじり応力」の3種類があります。1つの応力だけが生じるのは稀で、複数の応力が同時に生じます。 ひずみばねに荷重を加えると変形します。変形前の形に対する変形の割合が「ひずみ」です。ひずみには2種類あり、荷重方向のひずみを「縦ひずみ」、直角方向のひずみを「横ひずみ」といいます。ばねのような弾性のある物体では、「荷重と伸び(応力とひずみ)は比例関係」にあります。ばねを選ぶ際にはこの応力とひずみの関係をしっかり計算して確認する必要があります。ばね定数F = k × xばねに荷重を加えると変形します。加えた力をF、変形量をxとし、上の関係を満たすkを「ばね定数」といいます。ばね定数が大きいほど硬いばねです。金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の提携工場があり、ご要望に沿った工場が見つかります。お見積りは複数社から可能です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください! 

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    【溶接の資格難易度】種類一覧!費用と取り方&難易度別!プロの溶接工が取っておくべき資格

    溶接の資格は新人から熟練者向けまでたくさんの種類があります。それぞれ取り方や難易度が異なります。試験や実技が必要なもの、費用を支払って講座を受講しなければならないものなど様々です。溶接工として進むキャリアの築き方は千差万別です。本記事は新人溶接工からベテランまで、自分にピッタリのキャリアを歩んでいけるよう、資格の取得を検討されている方に向けた記事です。溶接資格の種類!難易度別一覧溶接の資格はたくさんあります。その中でも特に有名な溶接資格を項目別に分類して一覧にしました。難易度溶接資格年齢制限溶接経験有無取り方と費用★ガス溶接技能者18歳以上未経験者向け・講習2日間(14時間)学科と実技・講習最後の1時間は修了試験・13,000~18,000円程度+教材費1,650円程度(実施先による)★アーク溶接作業者満18歳以上未経験者向け・講習/学科2日間(11h)+講習/実技1日間(10h)・11,600~15,240円(教材費込/実施先による)※インターネット申込で割引あり★★アルミニウム溶接技能者(基本級)満15歳以上実務経験1ヶ月以上・学科試験(1,210円)・実技試験(8,580~53,240円)・合格後は認定料(4,510円)が必要・更新あり★★アルミニウム溶接技能者(専門級)15歳以上実務経験3ヶ月以上かつ基本級有資格者同上★★PC工法溶接技能者—1年程度(目安)平成29年度から取り止め(要確認)★★溶接管理技術者理大卒業及び要実務経験3年以上(目安)・筆記試験Ⅰ/Ⅱ(26,400円)・口述試験(22,000~27,500円)・合格後、登録料が19,800円必要・有効期限5年間、更新あり★★★ガス溶接作業主任者—3年以上(目安)・受験資格なし・3時間20問の筆記試験(業務経験・卒業学歴によって科目免除制度あり)・受験料6,800円※合格後、免許申請するには実務経験の証明が必要。★★★普通ボイラー溶接士—溶接実務1年以上・学科試験(40問2.5時間)6,800円  ・実技試験(1時間)下向き立向き突合せ溶接/18,900円  ・有効期限2年間、更新あり  ★★★特別ボイラー溶接士—普通ボイラー取得後、溶接実務1年以上・必要な溶接実務経験→ガス溶接・自動溶接は除かれる・学科試験(40問2.5時間)6,800円・実技試験(1時間)横向き突合せ溶接/21,800円・有効期限2年間、更新あり    ※学科免除制度多々あり ★★★溶接作業指導者満25歳以上3年以上(目安)技量資格保有・講習3日間・受講後、学科試験あり(実技試験はなし)・受講料54,050円(溶接管理技術者は23,600円、再受験者は12,600円)参考:溶接方法について専門家が解説!【協力工場130社以上】溶接でお困りならMitsuri!溶接未経験者はアーク溶接作業者の資格からプロの溶接工としてキャリアをスタートさせるにあたり、まず取るべき溶接資格は「アーク溶接作業者」です。工場経営者は従業員の業務安全確保のため、アーク溶接作業者の資格を従業員に取らせることを義務付けられています。業務として溶接を行うにあたり、必須の資格です。アーク溶接作業者の資格難易度(★)アーク溶接作業者の資格の難易度は、非常に易しいです。講習(アーク溶接特別教育)試験に遅刻したり早退するようなことがなければ、まず合格できます。講習は3日間(学科2日/実技1日)で、受講料は11,600~15,240円程度(実施会場によって異なります)です。 アーク溶接特別教育の内容(1)アーク溶接等に関する知識 ・アーク溶接等の基礎理論 ・電気に関する基礎知識(2)アーク溶接装置に関する基礎知識 ・直流アーク溶接機 ・交流アーク溶接機 ・交流アーク溶接機用自動電撃防止装置 ・溶接棒等及び溶接棒のホルダー配線(3)アーク溶接等の作業方法に関する知識 ・作業前の点検整備 ・溶接、溶断の方法 ・溶接部の点検 ・作業後の処置 ・災害防止(4)関係法令 ・法令、安衛則中の関係条項溶接技能者資格の分類整理表溶接資格はたくさんあって、分かりにくいかもしれません。日本溶接協会の溶接技能者資格は「対象材料」と「溶接方法」によって区別をし、整理・分類されています。溶接対象材料溶接方法手溶接アーク溶接炭素鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せガス溶接炭素鋼・ガス溶接半自動溶接炭素鋼・マグ溶接・ティグ溶接とマグ溶接との組合せ・セルフシールドアーク溶接ステンレス鋼溶接ステンレス鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ・ミグ溶接またはマグ溶接チタン溶接チタンチタン合金・ティグ溶接・ミグ溶接プラスチック溶接塩化ビニルポリエチレンポリプロピレン・ホットジェット溶接銀ろう付ステンレス鋼炭素鋼銅・トーチろう付すみ肉溶接炭素鋼・被覆アーク溶接・マグ溶接基礎杭溶接炭素鋼管・被覆アーク溶接・マグ溶接・セルフシールドアーク溶接石油工業溶接高張力鋼耐熱鋼ステンレス鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ汎用性高いおすすめ溶接資格!半自動溶接、tig溶接、jis溶接技能者資格など様々な種類の資格の中で、実務において汎用性の高い資格をご紹介します。アーク溶接作業者とガス溶接作業者|★上述している通り、未経験から取得出来るアーク溶接作業者とガス溶接作業者にまず挑戦するのがおすすめです。溶接は危険有害業務にあたります。ヒュームによるじん肺の危険性、電撃による感電、火花等によるヤケドなど様々な危険がある業務です。溶接業務をするには、これらの資格取得で基本を学習しましょう。アーク溶接作業者を取得すると、手アーク溶接(被覆アーク溶接・ガスシールドアーク溶接など)、半自動アーク溶接、自動溶接ができるようになります。ガス溶接作業者を取得すると、可燃性ガス・酸素混合ガスを用いる溶接、切断等のガス溶接作業ができるようになります(※ガストーチによる“ろう付け”はここでいうガス溶接に含みません)。 【tig溶接】JIS溶接技能者(TN-F)|★★薄板ステンレスにおける基本級(下向き)です。配管溶接工で、持ってない人はいないくらい大事なTig溶接の資格です。持ってない人は「モグリ」と呼ばれることもあるそうです。被膜アーク溶接よりもTig溶接の方が難易度が低いと感じる人が多く、合格率はおよそ80%です。JIS溶接技能者(TN-F)は、一定の国内規格(JIS、WESなど)に基づいて溶接作業の技量について評価試験を行い、資格として格付けや認証を行います。資格は発注者からの溶接施工等に関する仕様書などで、要求される溶接品質を確保するために、製作者が信頼性を証明する手段の 1つです。たとえば建築鉄骨の製作工場認定の要件や、JIS Z 3400「溶接の品質要求事項」に基づいて溶接施工を行う場合の要件になっています。溶接構造物の信頼性、安全性の確保に応えるものとして、公的にも国際的にも広く認知されています。大半のクライアントがスキルの証明を要求してきます。溶接工にとってJIS溶接技能者TN-Fは、登竜門でもあります。JIS溶接技能者(TN-F)は、裏波も簡単に出すことができますし、溶接初心者のキャリア初期資格としておすすめです。受講資格は「15歳以上かつ溶接経験1ヵ月以上」なので、溶接工2年目に適した資格です。どれだけ「1年目で基礎が積めたか」を測る良い機会にもなるでしょう。JIS溶接技能者(TN-P)|★★★薄肉管ステンレス、専門級(全姿勢)、裏波の出し方は下向きの溶接と一緒です。体の姿勢を安定させることができれば、簡単に合格できます。JIS溶接技能者(N-2F)|★★★中板SS材、基本級(下向き)です。裏波溶接がポイントで、意外と苦戦する人が多い資格です。溶接工3年目が挑戦目安です。職場に慣れて、仕事の段取りも覚えてくる頃にさらなるレベルアップのために挑戦する資格です。JIS溶接技能者(T-1F, P)|★★★薄板及び管、基本級(下向き)、専門級(全姿勢)、Tig溶接での裏波溶接です。この資格を簡単に取得できるレベルであれば、Tig溶接はかなり上手いはずです。電流調整、ルートギャップといった調整方法を練習する際は薄板がおすすめです。JIS溶接技能者(N-2V, P)|★★★★中板SS材及び管、専門級(縦向き)、専門級(全姿勢)、被覆アーク溶接の技能資格です。難易度はかなり上がり、JIS溶接技能者(N-2P)の合格率は約30%ぐらいです。被覆アーク溶接も現場では必須スキルです。裏波を継げるようになれば、かなりのスキルといえます。溶接工4年目以降に挑戦するハイレベルな資格です。熟練溶接工・ベテラン向け資格とコンクールさらに高みを目指す場合は「組合わせ溶接」「ボイラー溶接士」「半自動溶接」「溶接作業指導者」などへ進みましょう。また、電気事業法で定める「溶接士」資格があれば、発電所での溶接キャリアも開けます。業界では「マルG溶接士」と呼ばれることもあります。他にも、石油系溶接資格など細分化されています。溶接工としての技術に熟練している場合、コンクール出場を検討すのも良いと思います。メンタルとスキルの両方が鍛えられます。溶接技能者資格の受験方法手順溶接技能者資格を受験する際は、以下の手順で進めます。溶接技能者資格受験(1)受験申請(2)受験(3)合否通知(4)認証手続(1)受験申請受験申請書の入手・問合せなどは、各地区溶接技術検定委員会もしくは各都道府県指定機関で行なってください。それぞれの資格には、受験可能な条件が定まっています。ホームページに記載されている、それぞれの受験資格の詳細を満たしているか確認しておきましょう。試験日は、各都道府県の指定機関に問い合わせ・ホームページの溶接技能者評価試験日程などを事前に確認しましょう。受験申込みは、試験の35日前までに必ず済ませなければなりません。試験申込は、申請書と受験料を揃えて各々の都道府県の指定機関に行きましょう。申請書には写真(パスポート用の大きさ、6ヵ月以内に撮影、裏面に氏名記入)が必要です。(2)受験「受験の心得」などの書類内容は、必ず読み通しておきます。試験の持ち物受験票作業着安全防具工具類溶接材料筆記用具(学科試験時)試験会場では、必ず係員の指示に従いましょう。試験時の安全確保のため、ホームページの受験時の安全又はパンフレット「安全必携」を事前に読んで受験してください。(3)合否通知受験後、2ヵ月程度で試験の結果が通知されます。学科試験実技試験備考新規受験不合格合格学科追試を1回だけ受けられる合格不合格学科合格証明書(有料)を受領可能(*1)(*1)学科合格証明書があれば3年間は学科試験を免除できます。(4)認証手続合否が通知された日から45日以内に「合否通知」「認証料」を各々の都道府県指定機関に持参して手続きをします。適格性証明書を受領したら、必ず記載事項が正しいかチェックしましょう。証明書の裏に記載されている内容も確認してください。溶接技能者資格の維持溶接技能者の技量は、資格があるだけで一人前というわけではありません。日頃から資格の内容に沿った業務に励み、鍛錬を積み重ねることによって初めて技術が維持されます。さらに視力の悪化など、エンジニアの身体状態によっても技量は変化していきます。溶接技能者資格も、維持に関しては以下2つの事項があります。①サーベイランス溶接技能者として資格認証された者が「業務従事証明」によって、認証要求事項を十分に満たしていることをチェックされます。②再評価試験再評価試験に見事合格した際は、保有している適格性証明書の有効期間に継ぎ足すようにして認証されます。溶接の資格Q&AまとめQ1.未経験から取得出来る溶接資格はありますか?あります。「アーク溶接作業者」から始めましょう。3日間の講習を受ける必要がありますが、取得難易度は易しいです。また、「ガス溶接作業者」もおすすめです。Q2.溶接は資格無しで行なっても良いのでしょうか?はい。資格が無くても、溶接はできます。趣味のDIYで溶接する場合など、特別な資格は不要です。ただし、会社が従業員に仕事の中で溶接をさせる場合は、アーク溶接の講習を受けさせなければならないといった決まりはあります。そうはいっても、溶接は危険が伴う作業ですので、基礎を学ぶためにも講習を受けておくことをおすすめします。Q3.溶接の資格にはどんな種類がありますか。一覧で見たいです。ガス溶接技能者アーク溶接作業者アルミニウム溶接技能者(基本級)アルミニウム溶接技能者(専門級)PC工法溶接技能者溶接管理技術者ガス溶接作業主任者普通ボイラー溶接士特別ボイラー溶接士溶接作業指導者 など

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    板金材料の機械的性質・化学的性質とは?主な金属6種の性質も解説!

    板金加工には様々な金属が使用されますが、各金属の性質を分類すると、“機械的性質”と“化学的性質”に分類することができます。各金属には、それぞれの強みや弱み、特徴があり、それを把握して加工時の材料を選ぶことで、求める性能を実現する製品が生まれます。本記事では、機械的性質・化学的性質とは何か、また主な板金材料について各性質をご紹介していきます。機械的性質とは機械的性質とは、引っ張りや剪断、衝撃、疲労などに対する強さや、材の硬さを示すものです。それらが自然の状態で持っている性質というよりも、外部の力が加わったときに、どのような反応を示すかを表した性質と言えます。そのため、試験機によって外力を加え、測定した数値によって表されます。化学的性質とは化学的性質とは、腐食のような、化学反応によって他の物質に反応して、違う性質の新しい物質に変化しようとする性質のことをいいます。“サビ”もその一種で、空気中の酸素と反応することで酸化し、金属表面にサビ(酸化鉄)が発生しています。他にも、溶解などの化学反応を起こすことで、別の物質に変化する性質のことを化学的性質と呼びます。板金材料として使用されている金属板金加工に使用されている金属は、まず鉄鋼と非鉄に分けられます。主なものとして、鉄鋼には、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛鉄板があり、非鉄には、アルミニウム、銅があります。合金板の特徴アルミニウムと銅については、合金板が使用されることもあります。合金とは、二種類以上の金属を融合してできた物質のことで、単一金属から合金化した場合には性質が変化します。例えば、強さについてはは、引っ張り強さは増加しますが、伸びは減少します。冷却鋼板(鉄鋼)冷間鋼板は、酸洗した熱間圧延コイルをロール状の冷間圧延機によって板厚を0.4〜3.2mmまで薄く延ばした後、焼きなまし及び調質圧延したもののことです。調質の区分は硬質の程度に応じて6つに分類されており、引っ張り強さや降伏点、耐力、伸びといった機械的性質についても規定があります。冷間圧延しただけの状態では、金属固有の加工硬化により硬度が上昇し伸びが減少している状態ですが、熱処理をすることで、熱延鋼板よりも高い伸びをもつ加工性・成形性に優れた鋼板に仕上がります。化学的性質としては、何もしないと錆びてしまうため、塗装やメッキなどの表面処理加工を行うことがほとんどです。熱延鋼板(鉄鋼)熱延鋼板は、800℃以上の温度で熱間圧延機により板厚1.2〜14mm程度に圧延されたものです。熱間圧延のままでは表面が酸化膜(黒サビ)で覆われており、その状態で黒皮材として使用されることもありますが、酸洗によって酸化膜を除去した酸洗剤が使用される場合もあります。熱延鋼板は、強度や加工性により数種類あり、用途によって使い分けられます。化学的性質としては、黒サビで覆われている状態では、黒サビは赤サビと異なり鋼材の表面を腐食から守る働きをもちます。ただし、黒サビには微細なピンホールのような穴があるため、条件によってはその部分にサビが集中し、局部腐食が早く発生する可能性もあります。ステンレス鋼板(鉄鋼)ステンレス鋼板は、“Stainless”(さびにくい)という意味をもち、化学的性質として錆びにくさを特徴とする金属です。鉄に10.5%以上のクロムを添加することで、クロムが酸素と結合し、鋼の表面に薄い保護皮膜(不動態皮膜)を生成し、サビにくさを実現しています。100種類以上の鋼種があり、それぞれ適した用途に使い分けられています。耐熱性・加工性・強度・意匠性に優れ、またメンテナンスがしやすい点も長所として挙げられます。環境に対する社会の関心が高まる中、100%リサイクル可能な材料としても注目されています。亜鉛鉄板(鉄鋼)亜鉛鉄板とは、主に高温で溶かした亜鉛の中に鉄を漬けて付着させたものです。化学的性質としては、亜鉛の表面には酸化皮膜が形成されることから、保護皮膜作用によって水に強い性質をもちます。また、傷やピンホールができた場合にも、亜鉛は鉄より腐食しやすく、亜鉛が優先して腐食されることで鉄の腐食を防ぐ“犠牲防食”の作用があります。引っ張り強さを基準として種類が分類されており、例えば「SGH340」は引っ張り強さ340N / mm2の亜鉛鉄板を示します。銅(非鉄)銅は、古くから産業や生活で使用されてきた金属で、その歴史は紀元前に遡ります。圧延や押し出しなどの塑性加工がしやすく、展延性に優れます。また、切削の仕上げ面が美しく、色が豊富などの理由も、材料として多く使用される理由です。化学的性質としては、空気中の酸素と徐々に反応し、黒褐色の酸化銅皮膜を形成します。生じたサビによって全体が酸化してしまう鉄とは異なり、銅の表面に形成された酸化皮膜はさらなる酸化の進行を防止する効果があります。湿った条件下では、二酸化炭素の作用によって、緑青の水酸化炭酸銅を生じます。アルミニウム(非鉄)アルミニウムは、その加工性の良さと軽量さから幅広い分野で使用されている金属です。溶接性にも優れており、酸化しやすい金属ですが、空気中では表面にできる酸化皮膜により内部が保護されるため高い耐食性をもちます。機械的性質における欠点として、強度が低く、粘り気があるため、加工時に切り粉が絡まってしまうと痛みや凹みの原因になるため、加工時には注意が必要な材料です。まとめ本記事では、機械的性質・化学的性質について、また、板金材料として用いられる主な金属の性質についてご紹介しました。今回ピックアップしたのはごく一部ですが、求める性質に応じて、現在金属は様々な種類がつくられ使用されています。板金加工品を製作する際には、機械的性質・化学的性質の両方を正しく把握し、適切な材料と加工方法を選びたいですね。

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    【2D CADと3D CADの違い】 | CADの基礎知識

    2DCADから3DCADへの移行需要を踏まえてCADを勉強したいけれど、そもそもCADってなに?と疑問をお持ちの方に、今回はCADの基礎知識を解説します。 CADは、2DCADや3DCADといった種類のほかにも、汎用CAD・専用CADなど、たくさんの種類に分かれます。それぞれのメリット・デメリットと違いを理解して、導入や資格取得などに役立ててください。CADとは?CAD(キャド)とは、Computer-Aided Designの略で、コンピュータを使って設計をすることそのものや、その設計支援に用いられるツールのことを指します。それまで手書きで行われていた製図作業をコンピュータによって支援するもので、一言で表すなら「コンピュータを使った製図」のことです。一般的な描画ツールなどと大きく異なるのは、数値などがより精密な点。CADによって作成されたデータはそのまま図面(設計データ)として利用することを想定しているため、非常に精緻な値を設定することができます。CADは、汎用CADと専用CADの大きく2種類に分かれます。汎用CADは、その名の通り幅広く使える機能を備えており、専用CADは「機械用・建築用・土木測量用・服飾デザイン用」などがあります。なお日本でのCADの厳密な定義は、”製品の形状、その他の属性データからなるモデルを、コンピュータの内部に作成し解析・処理することによって進める設計”と、JIS B3401に記載されています。2D(2次元)CADの特徴(メリット・デメリットなど)2DCADは、2次元データの製図を行うCADです。手書きで行っていた製図をそのままコンピュータで支援する形式のもので、正面・平面・側面の構成からなる第三角法によって製図されます。導入が比較的容易メリットは、手書きの製図に近い感覚で扱えるため、導入が比較的容易という点。そのため、3DCADには対応していないものの2DCADは導入しているという企業も多く、特に古くからある工場や中小企業などでその傾向が顕著です。手間がかかるデメリットは、2次元から3次元への変換を読み手が行わなければいけない点。図面の読み取りにやや技術が必要で、手間がかかります。一応2DCAD自体にも3D変換の機能はあるにはありますが、正確ではないため一般に用いられるものではありません。そのほか、例えば試作品を製作するうえでは図面読み取りのほか、加工の検討、加工データの作成、試作品の加工、といくつもの工程が必要になります。3D(3次元)CADの特徴(メリット・デメリットなど)3DCADは、3次元データの製図を行うCADです。3DCADで作成されるモデルは、枠組みのみの「ワイヤーフレームモデル」、表面のみの「サーフェスモデル」、体積を持った「ソリッドモデル」の3種類があります。製作方法は2種類。ワイヤーにサーフェスを貼り付けるサーフェスベースと、ソリッドを足したり除去したりして立体を作成するソリッドベースです。認識・把握しやすいいずれの種類、手法でも立体そのものを作成するため、見たい視点から見たい角度で見たい面を見ることができ、製図の知識がない初心者でも複雑な立体を認識・把握しやすいことがメリットと言えます。情報の一元化さらに形状の把握だけでなく、あらゆる情報を一元的にデータ化できる点も特徴として挙げられます。すでに検討した材質などの設計情報や、部品調達の情報、公差(許容される誤差)などの製造情報、コスト情報まで3DCADデータに含むことができます。手戻りの大幅軽減さらに設計変更や仕様変更も容易で、試作品を作成する回数の削減や、設計変更に伴ういわゆる「手戻り」の大幅な軽減ができます。もちろん、3Dモデルから2D図面の作成も容易です。時間短縮そのほか、曲線の多いデザインへの対応力があり、立体そのものを見ながら検討ができるため加工方法の検討にかかる時間短縮にもつながります。さらに複雑な図面をパーツ単位で確認したり、駆動パーツの動作検証などもできるので、最終的にアセンブリ化(組み立て)した際に出る不具合の早期発見にも。対応企業がまだまだ少ないデメリットは、2DCADとは対照的に、やや扱いに慣れが必要であり企業によってはそもそも対応していない場合があるという点。しかし近年、3Dプリンタなどの登場で3DCADデータの活躍の場がさらに広がったことで、そのデメリットは希薄化しつつあると言えます。フリーCADと呼ばれる無料で使える3DCADもあり、もともとはNC工作機械などへ渡す役割を担っていた3DCADデータも、個人レベルで簡単に作成できるようになりました。2D(2次元)と3D(3次元)の違いそれぞれの特徴を押さえたところで、2DCADと3DCADの違いについて、改めておさらいしておきましょう。2DCADは、もともと設計の現場で行われていた製図図面を電子化したものです。製図の手間をコンピュータで支援して簡単にしただけなので、製図データそのものに含まれる情報量が変わったわけではありません。そのため2DCADデータだけでは製品製作のために必要な情報が十分ではなく、その後の工程は基本的に従来の手書き図面を用いた場合と同じです。これに対し3DCADは、最初から立体で製品を表現でき、作りたい形状を忠実に再現できます。設計(製図)から製作までに発生していた、材質の検討・加工方法の検討・部品の検討・コストの検討など、あらゆる情報を3Dモデルが併せ持つことができるため、3DCADデータさえあれば各工程における情報の共有も容易です。難点は、歴史がある2DCADのノウハウの蓄積もあり、まだ2DCADのみ対応しているという企業も少なからず存在することです。まとめ近年3DCADへの移行需要は高まり、複雑な形状の製品を低コストかつ短納期で開発するには、もはや3DCADが必須と言える状況になりました。しかし一方で、すでに2DCADを導入しており、かつ製作する製品もある程度決まった形状のものが多く、設計において手戻りなどの手間がほぼ発生しないのであれば、無理に3DCADに移行する必要はないかもしれません。また、単に3DCADに移行するといった場合も、汎用CADなのか専用CADなのかといった検討は残りますので、3DCADに移行すればすべてが解決するわけではありません。導入や移行を検討するうえでは、どんな製品を設計するのかをぜひ念頭に置いておいてください。

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    プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!

    「プレス加工」は板金作業の中でも最も一般的な金属加工方法で、身近なもので例をあげるとしたら、金属製のボウルなどがプレス加工製品と言えます。さらにジュースの缶とか、自動車や新幹線のボディ、1円や5円などといった硬貨もプレス加工のたまものと言えるでしょう。そんなとても身近なプレス加工についてこんなお悩みをお持ちではないでしょうか?「プレス加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」プレス加工を請け負ってくれる工場を探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方に向け、本記事ではプレス加工の仕組みや工程、種類、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。ぜひご一読いただき、依頼時の参考にしてください。プレス加工とはプレス加工はその言葉通り、被加工物(加工される材料のこと)を金型(かながた)に圧着(press)して形を作るものです。ただ、プレス加工をウェブサイトで調べると、和製英語として言及しているサイトも中にはあります。しかし、これは少々乱暴です。日本工業新聞社刊の機械用語辞典では「プレス加工」を「press work」または「press working」として紹介しています。一方、英語の文献や取り扱い説明書ではプレス加工を「stamp work」として紹介しています。どちらが正しいのでしょうか?世界中の取り扱い説明書や仕様書に使われている英語の例文から用語を抽出した野沢義延(のざわよしのぶ)著の「続・機械を説明する英語」(工業調査会刊)という辞典では、PressにもStampにも「圧着する」という意味があります。つまり、どちらが正しいかと言えば、どちらも正しいのです。機械の動作などをより詳しく説明するのはどちらか、といったときに、その機構や仕組みに応じてより端的に動作を説明する言葉が選ばれるようです。したがって、外から圧力を加えてものを加工する作業をプレス加工と言います。プレス加工の仕組み・工程についてプレス加工は、プレス用金型をプレス機にセットし、被加工材をプレスすると製品が成形されるというシンプルな仕組みです。プレス加工は、低コストでの大量生産が得意なため、特に製造業では欠かせない加工方法になっています。プレス加工をする際には、初めに製品を生み出すための金型を設計します。雄型と雌型で1つとなる金型です。そこで、設計段階では、金型の種類やセットするプレス機などを決める必要があります。金型の設計が終了すれば、次に実際に金型を作りだし、生み出す製品のテスト加工を行なっていきます。複数回テスト加工を重ねることで、製品精度を高めていくことが可能です。プレス加工における金型ついてプレス加工では、金型の精度が製品の品質を保つ上で非常に重要です。金型の設計や加工に不備があると、製品にバリが出たり、形状に不具合が生まれてしまいます。金型で被加工材に荷重を加える時間は1秒ほどしかありません。一瞬で加工を施すため、金型の精度が悪いといい製品を生み出すことができないのです。そのため、プレス加工においてはプレス機でかけれる荷重なども重要ですが、金型は製品の良し悪しに直結する重要な部分となっています。金型の種類プレス用金型と一括りに言っても、製品の形状や生産量などによって使用する金型は大きく3種類に分けられます。ここでは、プレス加工に使用される金型の種類とそれぞれの特徴についてご説明していきます。順送型引用元:ムツミ工業株式会社順送型は別名「プログレ(PRG)」と呼ばれる、複数の成形機能を1つの型にまとめた金型です。1つの金型にせん断加工や絞り加工、曲げ加工などの成形工程を備えているのが特徴になります。ロール状に巻いてある被加工材を使用する場合が多く、プレス機で被加工材を少しずつ順送りしていくことで加工が完了します。プレス加工用金型の種類の中では、加工スピードが早く生産性も高いので大量生産に向いているのが特徴です。しかし、1つの金型に1製品の加工工程をまとめるため、設計や加工難易度が上がるため、金型の生産コストが非常に高いデメリットがあります。単発型引用元:キタシバ技研株式会社単発金型は、1つの金型に1機能しかない金型になります。「絞り加工のみ」や「せん断加工のみ」など1機能しかない金型です。被加工材も人力で入れることが多く、業界にもよりますが自動生産にはあまり使われないのが特徴です。型構造が簡単なことが多いために金型の作成コストが比較的低いので、製品形状が簡単で小ロット生産をする製品などに向いています。トランスファー型引用元:ムツミ工業株式会社トランスファー型とは、単発型を集合させて行うトランスファー加工に使用される金型を指します。1製品に対して工程を分けた単発金型を複数用意し、1工程目から順番に並べてプレスしていくことで製品を成形できます。被加工材を自動で運ぶ搬送機構が備わっているトランスファープレス機にセットされるため、自動で製品を成形できるのが特徴です。順送型(PRG)と比べると、加工速度は劣りますが、単発型を複数並べているため、形状を大きく変える工程のプレス加工にも対応できます。プレス加工の種類せん断加工せん断加工とは、板状の被加工材に外力でプレスして、完全に切断し分離する加工法のこと。「せん断」とありますが、単に切るだけでなく、切り抜いたり、外形を抜いたり、穴をあけたりすることもこの加工法に含まれます。二穴の穴開けパンチ器などは、せん断加工の最たる例と言えます。曲げ加工プレス加工機で材料を曲げる加工法のことを言います。被加工材をプレスし、被加工材の引張り力と圧縮力を利用して、材料を曲げるものです。曲げの形状によってV曲げ、L曲げ、U曲げ、カール曲げ、ヘミング(アザ折り)曲げなどの種類があります。書類をひとつにまとめる金属製のクリップなどがこれにあたります。絞り(しぼり)加工被加工材に引っ張り力を加えながら、プレス機の「パンチ(雄型)」と「ダイ(雌型)」に沿った形状にする加工法のことを言います。これも身近な例で言えば、金属製やプラスチック製のボウルなどがあたります。底付きの容器状に形作られるのが特徴です。金属やプラスチックなど、被加工材によって引張り力などが変わってくるのでこれをきちんと把握しておくことが肝要ですね。プレス加工と板金加工との違いプレス加工と板金加工の違いは、技術力や経験値の差が製品に影響しやすい点です。プレス加工は一度金型を作ってしまえば、材料を入れるだけで同じ形状の製品を大量生産ができます。しかし、汎用金型を使って手作業で行う「精密板金」やハンマーなどで叩いて作業する「手板金」それぞれで担当者の技術力により精度が異なってしまいます。手作業の工程がほとんどなので、小ロット生産や完全受注生産などに使用されるのが板金加工です。プレス加工のメリット・デメリット大量生産プレス加工のメリットはなんといっても大量生産に向いているということです。一度金型を作ってしまえば、同じクオリティの製品を大量にロス無く作ることができます。個人によってばらつきのでやすい作業の質を一定に保つことができることも生産性に大きく関わります。検品作業なども定量化しやすいという利点もあります。形状の制限もちろんメリットだけではありません。プレス加工には成形できる形状に制限があります。これはつまり、思い通りの形状で製品が作れないということです。成形に自由度が無いため、単純な形しか作ることができないというのもデメリットと言えるでしょう。金型製作、設備投資が高価また、せん断、曲げ、絞りなどをプレス加工ですべてこなそうとした場合、プレス機も大掛かりな仕掛けになる上、金型の制作も必要となり、設備投資が非常に高価になってしまうというのも難点と言えます。試作品で、まずは小ロットで作ってみるということが困難なのです。このほか、プレス加工の作業のうち、非常に大きな力で金属板を打ち出す作業は大きな事故につながる可能性が無いとも言えません。またプレス加工後に発生するバリ除去などでは、熟練の技術が必要になります。これもまたデメリットと言えますね。プレス加工製品事例Mitsuriが提携している工場の中から、プレス加工で作成された製品事例を複数ご紹介していきます。下記の画像は「順送型(プログレ型)」で成形された製品です。順送型は、形状が大きく変わる製品への対応が難しいので、せん断加工や曲げ加工機能が必要な製品には多く使用されています。引用元:株式会社三洋製作所次は、トランスファー型で加工された自動車のパーツ部品になります。形状が複雑なものでも対応できるのがトランスファー型の特徴です。引用元:株式会社 下井田製作所最後に単発型で成形された製品です。住宅設備に使用される製品ですが、穴を切り抜くだけの「せん断機能」を備えた単発型の金型で加工されています。引用元:株式会社高橋製作所プレス加工で用いられる金属について最後に、プレス加工で用いられる代表的な金属について、その特徴や用途を解説します。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、また軟らかくて展性も高いため、非常に加工性に優れた金属となっています。他にも、空気中において酸化皮膜を形成するので、耐食性にも優れています。特に、アルミ材のプレス加工は、私たちの身近なところで幅広い用途に利用されており、一円硬貨やアルミ缶の成形、またパソコンの筐体の製作、自動車の部品などに使用されています。ステンレスステンレスは、耐食性・耐熱性を有し、また加工性、強度においても非常に優れた性質を持つ金属です。また、意匠性に優れるという点もステンレスの特徴の一つです。ステンレス材のプレス加工は、洗濯機や冷蔵庫、エアコンのボディや、厨房・台所用のシンク、他にも精密機器の部品の製作など、さまざまな用途に利用されています。鉄鉄は、強度が高く、加工性にも優れており、さらに安価であるという特徴を有することから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として広く利用されてきました。特に、鉄材のプレス加工は、スチール缶の成形や鉄鍋の製造、また造船、土木・建築などの分野では、鉄資材の曲げ加工にも用いられている技術です。プレス加工を一流の板金加工業者に発注しませんか?今回は、プレス加工をテーマに、その特徴や仕組みのほかにも、金型の種類や、プレス加工の種類、さらにプレス加工の製品事例など幅広い内容についてご紹介しました。プレス加工は、製造業では欠かせない技術の一つであり、加工を依頼できるメーカーも多岐に渡ります。しかし、メーカーによって対応できる材質や板厚、サイズなどが異なるため、ニーズに合わせて適切な工場を選定する必要があります。プレス加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!プレス加工でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!!

    金属を加工する際の一つの手段として用いられるのが、「レーザー」。レーザー加工はその有用性から、工業の分野ではもちろん医療の分野でも一部取り入れられている方法です。そんな汎用性が高く、実用性が高いレーザー加工なので、発注する工場を選ぶのはとても大切です。レーザー加工が可能な工場を探す際にこのようなお悩みをお持ちではないでしょうか?「レーザー加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。レーザー加工とはレーザー加工とは、言葉そのままにレーザー光線を使って加工することです。レーザーを使って金属や木材などを切断したり穴あけして製品を作っていく、プレス加工や穴あけ加工と同じ金属加工の一種です。レーザー加工機を使うことによって、もともと手作業で加工していた商品や材料を大量に素早く加工することが可能になりました。金属や木材だけでなく、柔らかくて加工しずらいゴム素材や布地にも文字や記号を記す表面処理がしやすくなったりと、レーザー加工が普及したことによって加工できる幅が格段に広がりました。手作業では難しい複雑な加工も容易にできるようになり、今ではいろいろな業種に導入されています。いろいろな業種の一つに、加工とは違いますが近年では医療でもレーザーの導入が進んでいます。手術時に出血を抑えるためにレーザーメスを使ったり、虫歯にレーザーをあてて治療したりと、日々、金属加工や日常生活で活躍しています。そんな工業以外の分野でも注目され、研究が進んでいるレーザーですが、その原理はどうなっているのでしょうか。次の項目で分かりやすく解説していきましょう。レーザー加工の原理レーザーと聞くと、やはり皆さんは高熱で高火力を想像するでしょうか。テレビやゲームで目にするレーザーは一瞬触れただけでも体が溶けたり、レーザーの光を振り回すと瞬時に周りの建物や金属が切断されたりする光景が多いですね。それを想像すると、確かにテレビのレーザー光線は超がつくほどの高熱を放っていることになります。実際、金属加工用のレーザーに触れると大変なことになってしまいます。金属ですら瞬時に切断したり穴をあけたりするので、人体を通せば触れた部分は一瞬でどうにかなってしまうほどの威力が出いてます。恐ろしく危険なので、レーザー加工機を扱う際はメンテナンスの時を含め重々注意が必要です。光の波と熱の振動レーザー加工の原理は波と振動によって成り立っています。レーザーの威力ですが、なぜ光に金属を溶かすほどの威力があるのかと言うと、それは光の波を合わせているためです。かみ砕いて説明しましょう。普通、光というと太陽光や電灯のようにあらゆる方面に光が発せられ、さらに光の色が何色も合わさっています。太陽光や電灯の光の色は白いですが、白く見える理由はいくつもの光が合わさっているためなんですね。絵具は何色も混ぜることにより黒くなる性質を持ちますが、光は何色も混ざることにより白く見えるように人間の目はできているのです。引用元:マーキング学習塾太陽光などの白い光は何色もあるため、光の波が合いません。しかし、レーザーの光は一点集中しており、しかも単色なので光の波がそろっているのです。上の画像のように、波長や山と谷がそろっている光をレーザー加工機内部にあるレンズに通すと、密度の高い光ができあがり、威力が格段に増すのです。分かりやすく例をあげると、ホースから出る水を散水ノズルで細くすると、水が出る勢いが増す感じです。ホースの水を細くして強力にする散水ノズルが、レーザー加工機でいうレンズの役割にあたります。加工機の中を通ってきた光を集光レンズで細く絞ることで光を集中させ、威力を格段にあげて素材を溶かします。金属や木材などの材料にレーザー光を当てることにより、材料の原子や分子が振動すると急激な発熱が起こります。そうして溶かした金属をアシストエアーで瞬時に飛ばして、穴をあけた部分をきれいにしていきながら材料を掘り進めていきます。かなり説明を省いていますが、詳しく説明するとニュアンスが伝わりにくくなってしまうのでこの程度に留めておきます。レーザー加工機の仕組みレーザー加工機は、大きく分けると3つの系統で構成されています。系統ごとに多くの制御パラメータが関連しており、加工目的によって最適化して使われています。それぞれの系統について詳しく見ていきましょう。レーザー発振器系レーザー発振器は、光を発振する装置です。励起光と呼ばれる光をレーザー媒体に照射し、媒体特有の波長を発生させた後、共振器に当てることで増幅させてレーザー光を発振するメカニズムになっています。レーザー加工時に最初に検討される装置のひとつで、以下の検討条件をひとつずつ決定していくことになります。主な検討条件出力波長パルス幅発振モード(連続派・パルス派)切断用の熱源には、CO2レーザーの他、YAGレーザーやYLFレーザー、Ybレーザーなどが用いられ、加工する材料や板の厚み、求められる加工精度によって異なるレーザー光の波長、出力が選ばれます。加工光学系加工光学系は、レーザー発振器から発生したレーザー光を集めて、テーブルに照射する装置です。レーザー発振器からレーザー光を送り出す「光路」と、伝送されたレーザー光を集めて対象に照射する「集光系」の2つで構成されています。レーザ加工に使われている光学系の種類は、大まかに分けると次の4つです。①集光光学系(固定光学系)レーザ発振器から出力されたレーザ光を、集光レンズを使って集めて加工するタイプ。最も基本的な光学系のひとつで広範囲の加工に適している②スキャニング光学系ガルバノスキャナー(ヘッド部内のミラーが動くタイプの装置)、f-θレンズ(レーザービームを2次元走査させるレンズ)で構成される光学系。走査型とも呼ばれ、レーザーマーキング(刻印・彫刻)や溶接のリモートヘッドなどに多い③結像光学系マスクパターン、面発光を行う光源像を対象材料に転写できる光学系で、パターン(模様)を一括加工する時などに使用④特殊光学系屈折型光学系(非球面レンズを利用)、回折光学素子利用タイプ(レーザー光をターゲット上で回折させて光の干渉パターンを作る)など特殊なタイプで、装置自体は受注生産が多い求められるレーザー発振器の特徴や、加工に求められる精度、技術などに合わせて、適切な光学系を選んで使用します。加工物質系加工物質系とは、対象物を固定するためのテーブル及び加工物を指します。レーザー加工における加工物の性質は仕上がりを決める重要な要素です。反射率や吸収率、透過率といった加工物の光学的な性質、熱的性能なども仕上がりに影響します。照射位置を移動しながら加工する場合、集光系あるいはテーブル、またはその両方を動かす必要があり、それらを制御する駆動システムが必要です。精密な加工を行う際、テーブル送りのスピードも細かく調節します。高出力レーザー加工機であれば問題ありませんが、低出力タイプでは適切な速度設定が必須です。レーザーカット加工による影響【材質別】複雑な部材や、微細な部分への加工を得意とするレーザー加工では、材質によって注意すべき点があります。レーザーカット加工が加工対象に及ぼす影響について、材質別に解説していきます。鉄鉄は、加工しやすく入手性も良く、広範囲に用いられる一般的な金属です。ごく薄い薄板から数十mmの厚板まで豊富に板厚が揃っており、幅広い用途で使用されます。塗装やメッキ、表面処理鋼板などを使うことで、鉄のデメリットである錆びやすさをカバーできます。引用元:astamuse加工すると図に示す通り、レーザー加工特有の現象で、穴がテーパー状になります。テーパーとは、加工面がすり鉢状になっている状態です。厚板になるほど入口と出口の差が広がる傾向があります。この差をなくすためには、ドリルやリーマーなどを使った追加工が必要です。また、金属板金の打ち抜き加工によく使われるタレットパンチプレスに比べると、熱による変形や反りが出る恐れも出てきます。ステンレスステンレスは、英語で錆びにくい鋼という意味の「Stainless Steel」です。耐食性や耐熱性、加工性に優れており、キッチン用品から建築材料、医療機械器具、航空機部材まで、あらゆる分野で採用されています。100%リサイクルが可能なため、サステナビリティや環境への配慮への関心が高まっている現在、非常に注目されている材質です。鉄と同じように、レーザー加工を利用することで穴がテーパーになる可能性が高く、厚板になるほど穴の入口と出口の差が出やすくなります。こうした差を埋めるために、ドリルやリーマによる追加工が必要です。また、熱による変形や反りが、タレットパンチプレスよりも出やすい点も同様に注意しましょう。アルミニウムアルミニウムは鉄に比べて比重が35%ほどと軽量な金属です。軟性、展延性が高く、溶接性、耐食性、熱伝導性も優れているなど、加工に向いている材質として幅広い業界で使用されています。アルミニウムは反射率が高すぎるため、レーザー加工に向かないケースがほとんどです。また、鉄やステンレスに比べて、加工後に裏面に尖ったバリができやすいので、後処理が必要です。レーザー加工機特有の穴のテーパーや、熱による変形や反りについては、鉄、ステンレスと同様に対応が発生します。銅鉄と較べて熱伝導率が高い銅のレーザー加工では、反りや変形、腐食が起こりやすい点に注意が必要です。また、銅は反射率が高いためレーザーが反射することによって機械に支障が出る恐れがあること、銅自体が高額なので失敗した際の損害が大きくなることなどから、実際に加工できる業者が限られてきます。出力を抑えながら切断する、フルスピードにはしない、細かな配慮をするなど、高度な技術を持ち合わせた業者であれば、高品質な仕上がりが可能です。上記のような金属へのレーザー加工も、Mitsuriなら的確な加工技術を持って仕上げることができます。参考記事金属へのレーザー加工については、下記記事でも詳しくご説明していますのでご参照ください。⇒金属をレーザー加工ならMitsuri!【小ロットの依頼もOK】どこよりもカンタンに依頼ができます!レーザー加工のメリットレーザー加工の原理が何となくわかったところで、次はメリットの解説に移ります。レーザー加工のメリットは大雑把に以下の通りです。・仕上がりが早い・仕上がりがきれい・加工の自由度が高い・難度の高い加工が可能・メンテナンスに手間が掛からない当然箇条書きだけでは不十分なので、項目ごとに一つずつ説明していきます。上から順に見ていきましょう。作業に手間が掛からないレーザー加工は金型を使う必要がありません。基本的に金属の加工には金型と呼ばれる「元の型」が必要になります。元の型は他の加工方法ですと、製品を早く均一に大量生産するために必須で、種類も様々あります。しかし、レーザー加工では金型の変わりにパソコンで形を作るため、一度作った後はデータを入力するだけで加工・生産ができるのです。金型を使わないため加工途中の金型交換の手間が省けて作業効率が良くなります。仕上がりがきれいレーザー加工機を使えば加工後の処理に手間が掛かりません。バリやカエリの発生を抑えることができるので、切断面がきれいに仕上がります。加工の際に起こりえる歪みやひび割れのリスクもなくすことができ、安定した品質を保つことができます。従来までの加工方法では必要だった後処理の手間を省けるのは大助かりですね。加工の自由度が高い加工できる素材の幅が広いのもレーザー加工のメリットです。他の方法では硬すぎる金属や柔らかすぎる布地でも、素材によってレンズや照射の出力を変えることで問題なく加工できます。熱で変形してしまうような薄版の素材でもレーザー加工なら大丈夫です。また、穴あけや切削以外にも溶接や熱処理、製品に文字を入れ込むマーキングなど様々な加工が可能です。いろいろな製品を作るには、従来では複数の加工方法を取り入れる必要がありました。ですが、将来的にはレーザー加工だけですべての素材や加工方法を実現することができるかもしれませんね。難度の高い加工が可能レーザー加工の台頭により、複雑かつ精密な形でも比較的容易に加工することが可能になりました。レーザーの光が細いので、他の加工機器では穴あけが出来ないような細かく小さな場所でも正確にでき、曲線を辿った切断でもレーザーなら安定して加工することができます。複雑な絵柄を描いたり、錆びにくさを向上させるなど製品の様々な表面改善もレーザー加工で出来るので、非常に便利な加工法となってきています。工業分野の人手が足りない今の時代、できるだけ簡単に、誰にでも品質が安定した製品を作るには、レーザー加工はうってつけと言えるのではないでしょうか。メンテナンスに手間が掛からないレーザー加工では材料と工具が接触しないので、刃物や研削盤などを消耗することがなくメンテナンスに手間が掛かりません。メンテナンスで必要なのはレンズをきれいにしたり、アシストエアーを清掃したりする程度なので交換作業も必要ありません。また、加工時に材料を切った後の粉塵が発生せず、刃物などに付かないため、除去する手間も省けて作業も楽になります。金属加工ではこういったメンテナンスの時間を割くことで生産効率を上げていくことも重要でしょう。レーザー加工のデメリット数多くメリットがあるレーザー加工ですが、デメリットもそれなりにあるようです。こちらも詳しく見ていきましょう。加工速度が遅い切削加工やプレス加工と比べると加工速度に劣る面があります。多彩な加工方法を持ち合わせるレーザー加工ですが、速度重視で見るとやや不利な傾向があるようですね。金属加工にはレーザー加工以外にも早くて精度が高い加工方法がたくさんあるので、必要に応じて適材適所の板金機械を使っていくのです。厚板の素材は加工しずらいレーザー加工には適切な焦点距離というものがあり、レーザーの光が集中している箇所があります。その焦点距離の範囲でないとエネルギー密度が低下して素材が溶かせなくなるのです。レーザーは真下に向かっているように見えて、実は光線同士が交わっているんですね。なので、この焦点の位置から遠ざかってしまうとレーザーの威力が弱まって加工できなくなるということです。レーザー加工の意外な弱点ですね。下に向けられているレーザーが作業台や床を貫通しないのは、こういった仕組みがあったのです。反射率の高い素材は加工できないアルミや銅など反射率が高いとされている素材は、古いタイプのレーザー加工機ですと上手く加工できないことが多いです。レーザーの光を弾いてしまっては材料に熱が伝わらないので、当然と言えば当然ですね。ですが近年になって、反射率が高い素材でも加工できるレーザー加工機が登場しています。これを機に、これまでレーザーではできなかった素材も、これからどんどん加工できるようになっていくでしょう。コストが高い特に不思議なことも意外なこともないですが、レーザー加工機は高いのです。性能がいい反面、値段は相応ということですね。消耗品や維持費にもけっこうな費用が掛かり、電気代やガス代などの光熱費に加えて、焦点レンズやミラーには定期的に交換が必要です。工業製品と言えど精密機械です。大切に扱いながら、稼働時間やランニングコストにも注視しながら活用していかねばいけません。レーザー加工の種類レーザー加工のレーザーには、金属加工用として一般的に使われているもので3種類のレーザーがあります。3種類とも特徴に違いがあり、用途も違うので、その違いを重点的に説明していきます。CO2レーザー3種類のうち最も使用されているレーザー加工機ですね。名前にあるように二酸化炭素を利用しているガスレーザータイプの加工機です。金属、木材、ゴム、ガラスなどほとんどの素材に適応できます。活用の幅に加え値段も他2種類の加工機よりも安く、CO2レーザーが主流になるのも納得の性能です。ただし弱点として、アルミや銅など反射が強い金属には不向きとなっています。ファイバーレーザーここ数年の間に開発された新しいレーザー加工機です。CO2レーザーには向かない銅やアルミなどの難溶接材や反射が強い金属の加工ができ、新しく出ただけあってCO2レーザーの弱点を補う特徴を持っています。加工機自体は高いものの、レーザーガスがいらなかったり、エネルギー効率が良かったりとランニングコストが安く抑えられます。近年出始めたばかりで本体価格も高いため、まだまだ普及していませんが、今後の進展しだいでは主流になりえるかもしれません。YAGレーザー金属の加工以外に医療でも使われるレーザーです。金属加工では主に溶接とマーキングに使われ、溶接では薄い素材でも変形や歪みがなくきれいに仕上げることができ、溶接スピードも早くできます。マーキングとは簡単に言うと出来上がった製品に文字や記号を書くことです。YAGレーザーはあらゆる素材に精密かつ高速で写し出すことができます。医療では歯や目の治療に使われています。そんな高性能なYAGレーザー加工機ですが、CO2レーザーと比較すると値段やランニングコストが高くついてしまい、そこがネックと言えるでしょう。レーザー加工事例レーザー加工の種類ごとに、実際の加工例をご紹介します。ステンレス鋼板へのCO2レーザーカット加工引用元:大畠製作所ステンレス鋼板(SUS304、2.5mm圧)のCO2レーザーカット加工アルミニウム合金へのCO2レーザーカット加工例引用元:大畠製作所アルミニウム合金(A5052、8mm厚)へのCO2レーザーカット加工鉄クロム合金のレーザーカット加工例引用元:ベルテックレーザ株式会社鉄にクロムを加えた合金(炭素が1.2%以下、クロムを10.5%以上含む特殊鋼)のレーザーカット加工参考記事板金加工については、下記記事も参考にしてください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!レーザー加工のまとめ 一流の板金加工業者に発注しませんか?レーザー加工と言うと物騒な印象があり、危険ではないかと思われるかもしれませんが、テレビで見られるようなレーザーとは別物です。まったく危険がないかと言われればウソになりますが、正しく使うことによって、非常に幅広く質の高い加工ができるのです。レーザー加工は現在においても、次々に新しい加工法が生み出されています。これから将来的に、性能面でも安全面でもますますの進展に期待が持てることでしょう。

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    小川製作所と小川真由という男

    Mitsuriで株式会社小川製作所様を取材させていただきました。インタビューに応じてくださった小川真由さんから製造業が抱えている課題を沢山伺いました。インタビュー記事では、十分に展開できなかった課題を、全4回の連載形式で特集します。小川真由さんが考える製造業の課題。あるべき未来の形。小川真由さんの人柄も交えながら、対談形式でお伝えします。第一回目の今回は『小川製作所と小川真由という男』というテーマで対談させていただきました。祖父から父、そして孫の真由さんへと脈々と受け継がれてきた小川製作所。①小川製作所とはどのような会社なのか。②3代目にあたる小川真由さんは、どのよう方なのか。この2点についてお伝えします。株式会社小川製作所お久しぶりです。先日は長時間に及ぶインタビューを受けていただき、ありがとうございました。社内でも好評で、涙した人間もいました。社外でも興味をもらって、感想をいただいております。心より御礼申し上げます。(まだ読んでいない人はこちら)小川氏そうですか。それはこちらとしても大変嬉しいことです。取材いただき、ありがとうございました。連載の第1回目は、『小川製作所と小川真由という男』というテーマでお話させてください。早速ですが、小川製作所について深掘りさせていただきたく思います。小川氏はい。よろしくお願いいたします。町工場で3世代続くところは、なかなか珍しいというのが私共の実感です。お祖父様の創業当時のことを、どのようにお聞きされていますか。小川氏今の法人になる前に、個人事業として祖父が創業しました。当時は学校等に炊事台や、ガス炊飯器等の厨房金物を作って卸すメーカーだったそうです。今の業態のような受託開発ではなく、メーカー。前川氏そうですね。当時は、割とそういう仕事があったようです。その後、父が大学を卒業して家業に入ったころに、大手が参入するようになってきてました。それで、事業がだんだん尻すぼみになっていったようです。同じ時期に、建築金物も扱いだしました。祖父がやっていた頃は従業員が4~5人。父が継いだ頃はバブルがはじけたときでした。1人で建築金物をやっていたそうです。完全に個人事業ですね。その後、父が1人でやっていた期間が20年くらい続きました。その建築金物のお仕事も、メインのお客様が廃業によってパタッとなくなってしまいました。それが、私の大学時代の後半くらいの頃ですね。祖父の時代に大手競合が参入してきたことによる最初の危機。父の時代にバブルがはじけたことによる2度目の危機。2つの危機を乗り越えて、今の小川製作所があるわけですね。町工場の裏には、激動の歴史があるのですね。2度目の危機の時はご記憶があるかと思うのですが、その時はどのように感じられたのでしょうか。小川氏私ももう大学時代の後半で、父もある程度年齢がいっていました。まあ仕方ないかな、くらいに思っていました。そうなんですね。少し意外です。小川氏確かに、小さい頃から3代目、3代目と言われていました。いつかは自分が受け継ぐというイメージも持っていましたが、その当時はその程度の受け止め方でした。小川真由さんの修行時代ありがとうございます。大学を卒業後はどのような進路を取られたのでしょうか。小川氏はい。大学院の理工学研究科を卒業して、富士重工業株式会社に就職しました。航空機関係の部門で、主に設計業務に従事していました。これは就職して勤めだしてから気づいたことなんですが。セットメーカー(完成品メーカー)と、町工場とでやっていることにこんなにも開きがあるのかと驚きました。これだけ違うと、今やっていることが町工場での仕事に繋がらないな、と実感しました。それは町工場出身の小川さんならではの視点ですね。とても興味深いです。就職先でも、順調にキャリアを積み上げられていたかと思いますが、どうしてまた家業に戻られたのでしょうか。小川氏いつかは家業に戻らないといけないと、ずっと漠然には思っていました。ただ、具体的に将来のことを考えなければけない、ある一つのきっかけがありました。航空機は試作開発が終わると、飛行試験を行います。ある航空機の試作開発を行った時のことです。その航空機の飛行試験がとある僻地で行われることになりました。飛行試験自体はいつものことなんですが、上司から「小川もその試験に同行して、半年間○○○に滞在してほしい」と言われました。当時、ちょうど子供が生まれそうな時で。「半年間も滞在しなければいけないのか、家族をおいて」その場所は簡単に行き来できる場所ではないんです。そこに半年間いなければいけない。長男の出産というタイミングでもありました。他にも色々考えないといけないこともありました。そこで将来のことを真剣に考えました。その結果、家業を継ぐことに決めました。人生のターニングポイントがそこにあったのですね。サラリーマンとしてのキャリアを積み上げるか、家業に戻って町工場の3代目としてのキャリアを始めるのか。小川氏はい、その通りです。いざ家業に戻りたいと両親に伝えたときに、父から返ってきた言葉は「お前の仕事はないよ」でした(笑)まぁ、父が一人でずっとやってきたのだから、私の仕事がないのは当たり前ですよね。これではいけない、どうしようかと考えました。何から手をつけていいかわからなかったのですが、実家から歩いてすぐのところの機械加工をやっている会社がありました。そこの社長に直談判したんですよ。「修行させてください」って。で、そこで働くことになりました。なるほど。その修業はどのような思いで行かれたんでしょうか。機械加工の技術を学ぶためなのか、それとも中小企業や町工場のビジネススタイルを学ぶためなのか。小川氏後者の方が強かったです。そもそも、受託加工業がどういうものなのか、わかっていませんでしたから。メーカーにいた頃は、予算内でものを作らなければなりません。その際、必要となるものは営業や購買の人に依頼する。そういう仕事の仕方をしていました。だから、中小企業のビジネススタイルがどういうものが全然わからなかったんです。特に経営ですね。そういう修行をさせていただきました。それが2008年の4月のことです。その約半年後の9月にリーマンショックが起きましたね。修行先では、最初に何を担当されたんでしょうか。小川氏最初は営業技術というものを担当させていただきました。セールスエンジニアと呼ばれる仕事です。営業技術で量産系の仕事を担当したところからはじまって、製造、検査、設計(CAD/CAM)、仕上げ。この順番で各仕事を経験させていただきました。先にリーマンショックの話をしましたが、2008年4月に転職した頃から、なんとなく世の中全体に怪しい雰囲気が出ていました。そうしたら、案の定その年の9月にリーマンショックで。その辺りからパタッと仕事がなくなりました。なんとかしないといけない。営業技術として、1社に依存する形の状態から脱却することを目標にしました。言い換えれば、営業の立直しを行ったんです。修行している期間は、営業や製造関係の仕事を最初の1〜2年に担当して。3年目から経営的な面を担当するようになりました。例えば、財務関係や人事評価、採用等も経験させていただきました。修行の身でその会社に入ったはずですよね。いつのまにか経営面まで担当されているっていうのは(笑)小川氏そうですよね(笑)。社長が話のわかる方だったっていうのもあります。ただそれと別に、やるからにはその会社の看板を背負う。そういうつもりでやっていました。実際的な問題としても、自分が外に出ていったり、経営面に入り込んでいかなくては、立ち行かなくなってしまったという背景もありました。とはいえ、自分は修行の身なので。自分がいなくても上手く回っていく体制を作らなければいけません。営業部分もある程度立て直して、ある程度目途を立てました。それで、修行を終えて家業に戻りました。なるほど。でも、前回のお話を伺った際には小川さんが家業に戻られてから、1年ほどで歌修行先の会社が倒産してしまったというお話でした。小川氏はい、その通りです。私が抜けても大丈夫な体制にしていたと思ったのですが。残った従業員の方だけでは上手くいかなかったようです。なるほど。それは残念でしたね。小川氏はい。その会社を修行先に選んだのは、実家が近かったからと言いました。ただ、ご指摘のとおり家業の社内工程と重複がなく、しかも当時最先端の5軸のマシニング設備を持っていたんです。だから、修行後ゆくゆくは、一緒に協力して何かやりたいと考えていました。会社をたたむという話を聞いたときは、本当に驚きました。地域に貢献している会社でしたし、マシニング自体も20台くらい保有していました。陰ながら再建を願っていたのですが、継続は難しかったようです。家業に戻って修行先ではそのようなお話があったんですね。家業に戻られた後はどうだったのでしょうか。「お前の仕事はないよ」っていう、お父様から告げられていたとのお話でした。小川氏はい(笑)だから、板金や溶接で新規開拓をしようと考えました。最初にやったことはホームページの製作(笑)どこでもやっていることですけど、それがうちにはなかったので。まず、自分が何者なのか知ってもらえるようにしておかなければいけませんよね。ホームページを作り終わったら、とにかく色んなところにメールをばら撒きました。葛飾区のビジネスマッチングイベントにも参加しました。ここでのイベントを通して、実際に案件化になったものがあります。そこで出会って、今でも継続してお取引しているところがあります。うちもメールをばら撒いまいて、小川さんと出会えた。やっぱりこれが常套手段ですよね(笑)。それはともかく、どれくらいでビジネスが軌道に乗り出したんでしょうか。小川氏半年くらいランニングして、軌道に乗り出しました。当初は、自分の給料が出るようになるのかどうなのか。しかも、家業に戻ってきた当初は、午前2〜3時に寝て、6時起き。そういう毎日でした。このとき自分のことを自己ブラックと定義していました(笑)。自己ブラック(笑)。ずっとお一人でやられてたんでしょうか。小川氏当初はそうでした。ただ、しばらくしてして近くに住んでる姉に経理として入ってもらいました。その後、嫁が営業補助として手伝ってくれました。正に家族経営の町工場。2015年に法人化したのですが、その時に従業員に1人入っていただきました。現在、社内工程のメイン作業は従業員2人に担当していただいています。それに加えて、父と私。総勢4人の体制でやっています。お父様はまだ現役でいらっしゃるのですか。小川氏父は72歳ですが、バリバリの現役です。職人として現場に立ち続けているせいか、本当に元気ですね。私自身は研磨職人(ラッピング加工)としてやっています。1日10本は磨くという自己ノルマを立てています。小川さんは設計の人で、現場に立たれないイメージを持っていました。ここまで、小川さんと小川製作所の過去と現在の話を伺えたと理解しています。未来についてはいかがでしょうか。小川氏そうですね。何年かかるかわかりませんが、自社製品を作りたいです。創業当初のようなメーカーに立ち返りたいので。少しずつですけど、そこを目指していきます。前にお話ししたように、弊社には3つ事業があります。売上比率でいえば、粗利ベースで上手くバランスが取れています。社内工程をきちんと意識して、全体としてバランスが取かれるようにしています。社内工程は100%の稼働率。これは、あくまで社内工程が基礎にあってはじめて、その他の事業があると考えているからです。これは、今後も変わらないです。社内工程に関していえば、少しずつでも事業を拡張していきたいと考えています。次に、最先端技術に関わる社外ネットワークの事業。ネットワーク自体を拡大させて、社内ネットワークを大きくしていきたいと考えています。これらを達成してはじめて、自社製品を作るというメーカーへの立ち返りが見えてくる。そう思っていますね。今はそれに備え、技術を磨き、経験を積み上げている段階です。一歩一歩着実に未来の製造業に向けて前進されているのですね。今後が本当に楽しみです。本日はありがとうございました。

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    【板バネ基礎知識】種類、用途、材質、加工方法、計算

    板のような形をしたばねを「板バネ」といいます。主に「曲げ変形の特性」を活かしたい場所に用いられます。この記事では、板ばねの①種類②用途③材質④加工方法⑤計算方法に関する実用的な知識を解説しています。板ばねの種類板ばねには様々な形状のものがあり、①重ね板ばね②薄板ばね③皿ばね④渦巻きばねの4つに分類できます。※皿ばねと渦巻きばねは、板ばねに含めない場合もあります。(1)重ね板ばね引用元:flexdream重ね板ばねは、長さの異なる板状のばねを複数枚重ね合わせて作ります。複数枚を重ねることで、使用時の応力が分散して耐久力が高まります。代表的な用途としては、トラックや貨車のサスペンションです。板材同士が接触、摩擦することで振動が減衰していきます。現場では、リーフばね(リーフスプリング)とも呼ばれます。(2)薄板ばね引用元: 國光スプリング工業株式会社薄板ばねは、薄い板形状をしたばねです。最も多用される板ばねで、「板ばね」と言った場合は「薄板ばね」を指しています。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極・スイッチ、AC100Vスイッチ部品、抜け止め金具など様々な用途に使われます。③皿ばね引用元:Direct INDUSTRY 皿ばねは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。コイルばねを設置できないような狭い場所でも使用可能で、大きな荷重に耐えられます。ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャー、軸受回りのガタ防止などに用いられます。④渦巻きばね引用元:宏栄スプリング工業株式会社渦巻きばねは、板状や帯状の素材を渦巻きのような形に巻いたばねです。ばねの端を引っ張ると、元の形状に戻ろうとする力が働きます。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では「ぜんまいばね」と呼ばれることが多いです。ぜんまい式のおもちゃ、機械式時計のぜんまいに用いられます。板ばねの用途板ばねの使用用途は大きく「緩衝用」「復帰用」「締結用」に分けられます。(1)緩衝用板ばねは衝撃を吸収してやわらげる「緩衝用」として用いられる場合があります。貨物自動車、トラック、バスなどの車のサスペンションに使われます。ひと昔前に流行ったオフロード車にも板ばねの技術が生かされています。スキー板は、板ばねそのものです。(2)復帰用板ばねは、復元力を動力とする「動力発生用」、位置の「復帰用」としても用いられます。具体例として、アーチェリーの弓、水泳の飛び込み台、オルゴール、ステープラーの針を押し出す薄板などが挙げられます。(3)締結用板ばねは、物をはさみ締めつける「締結用」としても用いられます。具体例として、ピンセット、トング、シャープペンシルのクリップがあります。板ばねの材質弾性を持った材料はすべてばねとなり得ます。材質で分類すると、①金属②非金属の2種類です。金属を材質とする金属ばね(炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金)金属ばねは広く使われており、コストが安い、大きな荷重に耐えられる、たわみ量を大きく確保できるといったメリットがあります。板ばねに多用される金属は、①炭素鋼②ステンレス鋼③ニッケル合金④チタン合金の4種類です。炭素鋼炭素鋼は、ばね鋼材として多用されます。炭素が主な添加元素で、他成分の含有量によってさらに詳細に分類されます。炭素以外の成分を付加することで、鋼の性能をグレードアップしたものは「合金鋼」と呼ばれます。ステンレス鋼ステンレス鋼は、熱やサビに強いという特性があります。非鉄金属では、電気伝導性に優れる銅合金がコネクタ、電気機器などに使用されます。ただし他の鋼材と比べると割高です。ニッケル合金ニッケル合金は、耐食性・耐熱性・耐寒性に優れた特性を有し、400℃以上の高温で使用されます。チタン合金チタン合金は、鋼と比較して弾性率と比重が小さいので、ばねを軽くしたい場面で利用されます。ただし、コストが高いのが難点です。非金属材のばね(天然ゴム、プラスチック、セラミック)金属で実現不可能な特性を出したい場合は、非金属材を使います。板ばねに用いられる代表的な非金属材料には、①天然ゴム②プラスチック③セラミックの3つがあります。天然ゴム天然ゴムには、汎用性が高い、ばね定数を自由に調整できる、内部摩擦で変形の際に減衰力が発生するというメリットがあります。反対に、ゴムばねの挙動を明確に計算できない点がデメリットです。プラスチックプラスチックは、金属と比べて「軽い」「錆びない」「加工が容易」な点がメリットです。ただし、強度が低いことが難点です。強度の低さを克服するために、繊維強化プラスチック(FRP)・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などがあります。セラミックセラミックは脆性材料なので「壊れやすい」「強度にばらつきがある」といった特徴があり、以前はあまり使用されませんでした。現在は技術が進歩したことで、耐熱性を活かした700~1,000℃の高温下で使用されるようになりました。板ばねの加工方法板バネの加工量による分類温度による分類少量生産熱間成形大量生産冷間成形少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチ(タレパン)で材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキという機械を使用します。近年はレーザー切断機やタレットパンチは、コンピュータで制御されます。多量生産を行う際は、型を用いた加工機(プレス機)を用いて製造します。代表的なプレス機は、単発型・順送型・トランスファー型の3種類です。板ばねは、それぞれの材質・形状に適した加工方法が存在します。加工方法はおおまかに、熱間成形・冷間成形の2種類に分類されます。一般的には、大型のばねや特殊な加工には熱間成形を、小型のばねには冷間成形を行います。(1)熱間成形主に900~1,200℃という高温下で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温となり、加工がしやすいのが特徴です。加工後すぐに急冷します(焼入れ)。焼入れ工程を経て硬い鋼ができます。ただし、このままだと脆くて不安定な状態なので、所定の温度に再度加熱します(焼戻し)。焼戻し処理を行うことで、ばねとしての特性が現れます。精度の高い加工の困難さが難点として挙げられます。とりわけ薄板の加工難易度は一気に上がってしまいます。(2)冷間成形主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特性を持ちます。金属に必要以上の熱をかけないため、高精度の加工ができます。金属の加工硬化が促進し、材料自体が硬化します。ただし、大きな力で加工しなければならないことや、加工が過度になると内部ひずみを生じ「残留応力の蓄積」「粘り強さの減少」が起こることが難点です。残留応力を解消するにあたり、低温焼きなましを行います。板ばねの計算例板ばねの計算は、材料力学で用いられている公式が使えます。荷重が加わった際の、ばねに生じる最大応力とその位置・そこから求められるたわみやひずみに関しては、形状や材質から決まる各種の定数が関与しています。以下に押さえておくべき用語を紹介します。応力応力 = 力 / 断面積ばねに外力(荷重)を加えると、材料の内部には外力に抵抗する力が発生します。材料に生じる応力が大きくなりすぎると、材料は破損します。応力とは、材料に発生する単位面積当たりの抵抗する力です。応力の種類には「引張り応力」「曲げ応力」「ねじり応力」の3種類があります。1つの応力だけが生じるのは稀で、複数の応力が同時に生じます。 ひずみばねに荷重を加えると変形します。変形前の形に対する変形の割合が「ひずみ」です。ひずみには2種類あり、荷重方向のひずみを「縦ひずみ」、直角方向のひずみを「横ひずみ」といいます。ばねのような弾性のある物体では、「荷重と伸び(応力とひずみ)は比例関係」にあります。ばねを選ぶ際にはこの応力とひずみの関係をしっかり計算して確認する必要があります。ばね定数F = k × xばねに荷重を加えると変形します。加えた力をF、変形量をxとし、上の関係を満たすkを「ばね定数」といいます。ばね定数が大きいほど硬いばねです。金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の提携工場があり、ご要望に沿った工場が見つかります。お見積りは複数社から可能です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください! 

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    【溶接の資格難易度】種類一覧!費用と取り方&難易度別!プロの溶接工が取っておくべき資格

    溶接の資格は新人から熟練者向けまでたくさんの種類があります。それぞれ取り方や難易度が異なります。試験や実技が必要なもの、費用を支払って講座を受講しなければならないものなど様々です。溶接工として進むキャリアの築き方は千差万別です。本記事は新人溶接工からベテランまで、自分にピッタリのキャリアを歩んでいけるよう、資格の取得を検討されている方に向けた記事です。溶接資格の種類!難易度別一覧溶接の資格はたくさんあります。その中でも特に有名な溶接資格を項目別に分類して一覧にしました。難易度溶接資格年齢制限溶接経験有無取り方と費用★ガス溶接技能者18歳以上未経験者向け・講習2日間(14時間)学科と実技・講習最後の1時間は修了試験・13,000~18,000円程度+教材費1,650円程度(実施先による)★アーク溶接作業者満18歳以上未経験者向け・講習/学科2日間(11h)+講習/実技1日間(10h)・11,600~15,240円(教材費込/実施先による)※インターネット申込で割引あり★★アルミニウム溶接技能者(基本級)満15歳以上実務経験1ヶ月以上・学科試験(1,210円)・実技試験(8,580~53,240円)・合格後は認定料(4,510円)が必要・更新あり★★アルミニウム溶接技能者(専門級)15歳以上実務経験3ヶ月以上かつ基本級有資格者同上★★PC工法溶接技能者—1年程度(目安)平成29年度から取り止め(要確認)★★溶接管理技術者理大卒業及び要実務経験3年以上(目安)・筆記試験Ⅰ/Ⅱ(26,400円)・口述試験(22,000~27,500円)・合格後、登録料が19,800円必要・有効期限5年間、更新あり★★★ガス溶接作業主任者—3年以上(目安)・受験資格なし・3時間20問の筆記試験(業務経験・卒業学歴によって科目免除制度あり)・受験料6,800円※合格後、免許申請するには実務経験の証明が必要。★★★普通ボイラー溶接士—溶接実務1年以上・学科試験(40問2.5時間)6,800円  ・実技試験(1時間)下向き立向き突合せ溶接/18,900円  ・有効期限2年間、更新あり  ★★★特別ボイラー溶接士—普通ボイラー取得後、溶接実務1年以上・必要な溶接実務経験→ガス溶接・自動溶接は除かれる・学科試験(40問2.5時間)6,800円・実技試験(1時間)横向き突合せ溶接/21,800円・有効期限2年間、更新あり    ※学科免除制度多々あり ★★★溶接作業指導者満25歳以上3年以上(目安)技量資格保有・講習3日間・受講後、学科試験あり(実技試験はなし)・受講料54,050円(溶接管理技術者は23,600円、再受験者は12,600円)参考:溶接方法について専門家が解説!【協力工場130社以上】溶接でお困りならMitsuri!溶接未経験者はアーク溶接作業者の資格からプロの溶接工としてキャリアをスタートさせるにあたり、まず取るべき溶接資格は「アーク溶接作業者」です。工場経営者は従業員の業務安全確保のため、アーク溶接作業者の資格を従業員に取らせることを義務付けられています。業務として溶接を行うにあたり、必須の資格です。アーク溶接作業者の資格難易度(★)アーク溶接作業者の資格の難易度は、非常に易しいです。講習(アーク溶接特別教育)試験に遅刻したり早退するようなことがなければ、まず合格できます。講習は3日間(学科2日/実技1日)で、受講料は11,600~15,240円程度(実施会場によって異なります)です。 アーク溶接特別教育の内容(1)アーク溶接等に関する知識 ・アーク溶接等の基礎理論 ・電気に関する基礎知識(2)アーク溶接装置に関する基礎知識 ・直流アーク溶接機 ・交流アーク溶接機 ・交流アーク溶接機用自動電撃防止装置 ・溶接棒等及び溶接棒のホルダー配線(3)アーク溶接等の作業方法に関する知識 ・作業前の点検整備 ・溶接、溶断の方法 ・溶接部の点検 ・作業後の処置 ・災害防止(4)関係法令 ・法令、安衛則中の関係条項溶接技能者資格の分類整理表溶接資格はたくさんあって、分かりにくいかもしれません。日本溶接協会の溶接技能者資格は「対象材料」と「溶接方法」によって区別をし、整理・分類されています。溶接対象材料溶接方法手溶接アーク溶接炭素鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せガス溶接炭素鋼・ガス溶接半自動溶接炭素鋼・マグ溶接・ティグ溶接とマグ溶接との組合せ・セルフシールドアーク溶接ステンレス鋼溶接ステンレス鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ・ミグ溶接またはマグ溶接チタン溶接チタンチタン合金・ティグ溶接・ミグ溶接プラスチック溶接塩化ビニルポリエチレンポリプロピレン・ホットジェット溶接銀ろう付ステンレス鋼炭素鋼銅・トーチろう付すみ肉溶接炭素鋼・被覆アーク溶接・マグ溶接基礎杭溶接炭素鋼管・被覆アーク溶接・マグ溶接・セルフシールドアーク溶接石油工業溶接高張力鋼耐熱鋼ステンレス鋼・被覆アーク溶接・ティグ溶接・ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ汎用性高いおすすめ溶接資格!半自動溶接、tig溶接、jis溶接技能者資格など様々な種類の資格の中で、実務において汎用性の高い資格をご紹介します。アーク溶接作業者とガス溶接作業者|★上述している通り、未経験から取得出来るアーク溶接作業者とガス溶接作業者にまず挑戦するのがおすすめです。溶接は危険有害業務にあたります。ヒュームによるじん肺の危険性、電撃による感電、火花等によるヤケドなど様々な危険がある業務です。溶接業務をするには、これらの資格取得で基本を学習しましょう。アーク溶接作業者を取得すると、手アーク溶接(被覆アーク溶接・ガスシールドアーク溶接など)、半自動アーク溶接、自動溶接ができるようになります。ガス溶接作業者を取得すると、可燃性ガス・酸素混合ガスを用いる溶接、切断等のガス溶接作業ができるようになります(※ガストーチによる“ろう付け”はここでいうガス溶接に含みません)。 【tig溶接】JIS溶接技能者(TN-F)|★★薄板ステンレスにおける基本級(下向き)です。配管溶接工で、持ってない人はいないくらい大事なTig溶接の資格です。持ってない人は「モグリ」と呼ばれることもあるそうです。被膜アーク溶接よりもTig溶接の方が難易度が低いと感じる人が多く、合格率はおよそ80%です。JIS溶接技能者(TN-F)は、一定の国内規格(JIS、WESなど)に基づいて溶接作業の技量について評価試験を行い、資格として格付けや認証を行います。資格は発注者からの溶接施工等に関する仕様書などで、要求される溶接品質を確保するために、製作者が信頼性を証明する手段の 1つです。たとえば建築鉄骨の製作工場認定の要件や、JIS Z 3400「溶接の品質要求事項」に基づいて溶接施工を行う場合の要件になっています。溶接構造物の信頼性、安全性の確保に応えるものとして、公的にも国際的にも広く認知されています。大半のクライアントがスキルの証明を要求してきます。溶接工にとってJIS溶接技能者TN-Fは、登竜門でもあります。JIS溶接技能者(TN-F)は、裏波も簡単に出すことができますし、溶接初心者のキャリア初期資格としておすすめです。受講資格は「15歳以上かつ溶接経験1ヵ月以上」なので、溶接工2年目に適した資格です。どれだけ「1年目で基礎が積めたか」を測る良い機会にもなるでしょう。JIS溶接技能者(TN-P)|★★★薄肉管ステンレス、専門級(全姿勢)、裏波の出し方は下向きの溶接と一緒です。体の姿勢を安定させることができれば、簡単に合格できます。JIS溶接技能者(N-2F)|★★★中板SS材、基本級(下向き)です。裏波溶接がポイントで、意外と苦戦する人が多い資格です。溶接工3年目が挑戦目安です。職場に慣れて、仕事の段取りも覚えてくる頃にさらなるレベルアップのために挑戦する資格です。JIS溶接技能者(T-1F, P)|★★★薄板及び管、基本級(下向き)、専門級(全姿勢)、Tig溶接での裏波溶接です。この資格を簡単に取得できるレベルであれば、Tig溶接はかなり上手いはずです。電流調整、ルートギャップといった調整方法を練習する際は薄板がおすすめです。JIS溶接技能者(N-2V, P)|★★★★中板SS材及び管、専門級(縦向き)、専門級(全姿勢)、被覆アーク溶接の技能資格です。難易度はかなり上がり、JIS溶接技能者(N-2P)の合格率は約30%ぐらいです。被覆アーク溶接も現場では必須スキルです。裏波を継げるようになれば、かなりのスキルといえます。溶接工4年目以降に挑戦するハイレベルな資格です。熟練溶接工・ベテラン向け資格とコンクールさらに高みを目指す場合は「組合わせ溶接」「ボイラー溶接士」「半自動溶接」「溶接作業指導者」などへ進みましょう。また、電気事業法で定める「溶接士」資格があれば、発電所での溶接キャリアも開けます。業界では「マルG溶接士」と呼ばれることもあります。他にも、石油系溶接資格など細分化されています。溶接工としての技術に熟練している場合、コンクール出場を検討すのも良いと思います。メンタルとスキルの両方が鍛えられます。溶接技能者資格の受験方法手順溶接技能者資格を受験する際は、以下の手順で進めます。溶接技能者資格受験(1)受験申請(2)受験(3)合否通知(4)認証手続(1)受験申請受験申請書の入手・問合せなどは、各地区溶接技術検定委員会もしくは各都道府県指定機関で行なってください。それぞれの資格には、受験可能な条件が定まっています。ホームページに記載されている、それぞれの受験資格の詳細を満たしているか確認しておきましょう。試験日は、各都道府県の指定機関に問い合わせ・ホームページの溶接技能者評価試験日程などを事前に確認しましょう。受験申込みは、試験の35日前までに必ず済ませなければなりません。試験申込は、申請書と受験料を揃えて各々の都道府県の指定機関に行きましょう。申請書には写真(パスポート用の大きさ、6ヵ月以内に撮影、裏面に氏名記入)が必要です。(2)受験「受験の心得」などの書類内容は、必ず読み通しておきます。試験の持ち物受験票作業着安全防具工具類溶接材料筆記用具(学科試験時)試験会場では、必ず係員の指示に従いましょう。試験時の安全確保のため、ホームページの受験時の安全又はパンフレット「安全必携」を事前に読んで受験してください。(3)合否通知受験後、2ヵ月程度で試験の結果が通知されます。学科試験実技試験備考新規受験不合格合格学科追試を1回だけ受けられる合格不合格学科合格証明書(有料)を受領可能(*1)(*1)学科合格証明書があれば3年間は学科試験を免除できます。(4)認証手続合否が通知された日から45日以内に「合否通知」「認証料」を各々の都道府県指定機関に持参して手続きをします。適格性証明書を受領したら、必ず記載事項が正しいかチェックしましょう。証明書の裏に記載されている内容も確認してください。溶接技能者資格の維持溶接技能者の技量は、資格があるだけで一人前というわけではありません。日頃から資格の内容に沿った業務に励み、鍛錬を積み重ねることによって初めて技術が維持されます。さらに視力の悪化など、エンジニアの身体状態によっても技量は変化していきます。溶接技能者資格も、維持に関しては以下2つの事項があります。①サーベイランス溶接技能者として資格認証された者が「業務従事証明」によって、認証要求事項を十分に満たしていることをチェックされます。②再評価試験再評価試験に見事合格した際は、保有している適格性証明書の有効期間に継ぎ足すようにして認証されます。溶接の資格Q&AまとめQ1.未経験から取得出来る溶接資格はありますか?あります。「アーク溶接作業者」から始めましょう。3日間の講習を受ける必要がありますが、取得難易度は易しいです。また、「ガス溶接作業者」もおすすめです。Q2.溶接は資格無しで行なっても良いのでしょうか?はい。資格が無くても、溶接はできます。趣味のDIYで溶接する場合など、特別な資格は不要です。ただし、会社が従業員に仕事の中で溶接をさせる場合は、アーク溶接の講習を受けさせなければならないといった決まりはあります。そうはいっても、溶接は危険が伴う作業ですので、基礎を学ぶためにも講習を受けておくことをおすすめします。Q3.溶接の資格にはどんな種類がありますか。一覧で見たいです。ガス溶接技能者アーク溶接作業者アルミニウム溶接技能者(基本級)アルミニウム溶接技能者(専門級)PC工法溶接技能者溶接管理技術者ガス溶接作業主任者普通ボイラー溶接士特別ボイラー溶接士溶接作業指導者 など