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    金属加工の塗装の依頼方法のコツ!

    過去の記事で、各塗装方法の特徴、メリット・デメリットを解説してきました。※気になる方は、こちらの記事をご覧ください。こちらの記事では、実際に工場へ塗装を依頼する方法と、NG例を紹介します。【6分でわかる】塗装の依頼方法工場さんに塗装をお願いするときのコツを簡単に動画で解説しています!6分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひご覧ください!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!一言で「塗装」と依頼するだけでは見積がつきません。下記の項目を埋めて、初めて見積や加工ができるようになります。①どの製品に塗装するのか図面を用意する②個数③色を指定④艶の具合⑤塗装方法 ※指定なしでもOK⑥用途①製品の図面を用意するサイズ・形状・材質がしっかり記載された図面を用意しましょう。サイズ・形状により、用意する塗料の量が変わります。材質により、塗装金額が変わる場合もございます。また、塗装する際は吊り下げて塗装をすることが大半です。必ず吊り穴となる穴があるように設計しましょう。穴のない製品で塗装を依頼すると、工場から吊り穴の追加をお願いされることが大半です。必ずチェックしましょう!②個数個数が多ければ多いほど製品1個あたりの塗装費は安くなります。さらに、用意するべき塗料の量も左右されるため、必ず記載しましょう。③色の指定塗装できる色は様々で、原色のものもあれば調色してご希望の色に合わせることもあります。「黒」や「白」というオーダーであればわかりやすいのですが、「緑」というオーダーであれば、工場も困ってしまいます。例えば「緑」という色でもこのように様々な「緑」があります。どの「緑」かわかるように、予め色を細かく指定しましょう。色の指定方法は大きく4つあります。マンセル値で指定マンセル値は、数字とアルファベットで色を表しています。R(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)、P(紫)、と基本の5色相とその中間色で計10色相をアルファベットで表します。中間色とはYRの場合はR(赤)とY(黄)の中間になるので、オレンジになります。各色相は、主に2.5、5、7.5、10と数字を刻みます。5Bあたりにつきましては、青緑色になっており、一般的に青と想像できる色とずれていますのでご注意ください。また、明度と彩度も数字で表します。明度は黒を0、白を10として11段階に分割しています。しかしながら、完璧な黒、完璧な白は再現できないため、0や10はなく、最も暗い黒で1.0、最も明るい白で9.5になります。彩度は鮮やかさを0から14程度までの数値で表します。白や黒といった無彩色に近い、色味の薄い色ほど0に近く、鮮やかな色ほど数値が大きくなります。最も鮮やかな色の数値は色相によって異なり、赤は14〜16程度ありますが、青は8程度になります。ご希望の色の数値を確認したい場合は、マンセル値測定器を使うか、色見本から選択してみてください。通称:「日塗工」の色見本帳から色を選択する「日塗工」とは、一般社団法人日本塗料工業会の通称です。色見本帳を見ながら色を選択できます。「色票番号」という各色をアルファベットと数字で組み合わせた番号で色を指定します。1995年を境に色票番号の表記ルールが変わっています。現行の番号と表記が違う場合はご注意ください。色見本帳は2年毎に最新版が発行されています。こちらのページを書いた2022年4月ですと、最新版は2021年版になります。また、色見本帳の有効期限は3年と設定されています。塗料の色にも色見本帳の色にも経年劣化があり、数年経てば原色を保っていることがありませんので、色の打ち合わせは最新版でのお話をおすすめします。参考:一般社団法人 日本塗料工業会色見本サンプルを工場に送るすでに塗装されたものを塗装工場に送り、同じような色に調色してもらえるよう塗装を依頼できます。サンプルは見積依頼をする際に同意を得る前に送るのではなく、必ず工場の同意を得てから小さいサイズのものを送りましょう。色にこだわりがない場合は…こだわりがない場合は、こだわりがない旨を伝えましょう。ある程度色の希望を伝えつつ、下記のように伝えてみましょう。例)「白に近い色であれば大丈夫です。」「鮮やかな青でお願いします。塗料はあり合わせのもので大丈夫です。ない場合は原色の青でお願いします。」色の希望もない場合は、白・黒・ベージュから選択してみましょう。この3色は、よく塗装される色です。そのため、塗料を在庫している可能性が非常に高いです。都度塗料を調達する必要がなくなる可能性が高いため、塗装費が他の色と比べて安価になる可能性が高いです。どの色の指定方法も厳密にいえば、色の差が発生してしまいます。複数の部品を塗装し、組付けして、色のわずかな差が気になるようでしたら、塗装のみ同じ塗装工場へ出せるように手配するのがオススメです。④艶の具合色を選択したら次は艶です。艶の具合は、艶あり・艶なし・半艶(五分艶)・〇分艶と指定します。艶の有無は塗料に艶消し剤を入れて作っていきます。そのため、艶ありより艶なしの方が艶消し剤を入れる段取り分高価になります。艶の有無でも単価に差が生じますので、必ず指定しましょう。⑤塗装方法(指定なしでもOK)様々な塗装方法があります。各塗装方法やメリットデメリットはこちらの記事で解説しています。吹付塗装、焼付塗装、粉体塗装、電着塗装など様々な塗装方法があります。特に指定がない場合は一般的に吹付塗装か焼付塗装になります。もし、シボ加工のように表面に凹凸を出すような特殊な塗装をご希望の場合は必ず記載しましょう。対応可能な工場が限られてくる上に、通常の塗装より高価になります。⑥用途簡単で構いませんので記載しましょう。塗料にも屋内用と屋外用があります。それ以外にも用途別で塗料がラインナップされています。屋内用か屋外用かだけでも記載しましょう。塗装の依頼は、図面、個数、色、艶、塗装方法、用途の項目を揃えることでスムーズに依頼ができるようになります。一つでも欠けてしまうと見積がつかなくなる可能性が高くなりますので、必ず依頼前に確認しましょう。図番:ABC-333個数:30個色:2.5Y8/1.5艶:艶あり塗装方法:焼付塗装用途:屋内用図面に記載する箇所がない場合は、上記のように記載するとわかりやすくなります。いかがでしたか?Mitsuriでは塗装も含めた金属加工を依頼できます。見積依頼はこちらから!

  • 塗装とは?金属加工の塗装について解説!

    塗装と聞くと、金属をはじめとするさまざまな物に色を塗り、見た目をキレイにするイメージがありますが、それ以外にも金属をコーティングすることで保護する役割を持っています。そのため、めっきと比較されることも少なくありません。今回の記事では、塗装の特徴や種類、メリット・デメリットやめっきとの違いなどをご紹介します。金属製品を装飾したり、保護・防錆をしたりすることを目的に塗装を考えている方は、どういった種類の塗装をするのが適しているのかも含め、ぜひ参考にしてください。塗装とは塗装とは、物体に塗料を塗って塗膜を形成させることを言います。とりわけ、金属製品への塗装は、装飾に加え、コーティングによる保護を目的に用いられます。特に、錆による劣化は金属の天敵となるため、水からの保護が欠かせません。他にも、汚れや油など、さまざまなものから守るための役割を持っています。塗装の多くは常温・大気下で皮膜となる塗料を塗布することができます。一般的にはハケやローラーなどを用いて塗布する印象が強いですが、金属部品の加工にはさまざまな種類の塗装が存在しています。塗装の種類金属加工における塗装は、ただ単純に金属に色を塗れば良いというわけではありません。なぜなら、金属によって相性の良い塗装と相性の悪い塗装があるからです。もし、適切な塗装方法を選択しなかった場合、せっかく塗った塗料がすぐに剝がれてしまい、見た目が悪くなるだけでなく、目的の「保護」の役割を果たせなくなってしまう可能性があります。そのため、製品をキレイに保つためには目的に合った塗装方法を選択肢することが重要と言えます。下記は、金属加工における一般的な塗装の種類です。溶剤塗装溶剤塗装は、シンナーなどの有機溶剤に樹脂や顔料を混ぜた塗料を塗布する方法のこと。塗装の中で最もスタンダードな方法で、ハケやスプレー、ペイントローラーを使って物体に塗料を塗っていきます。溶剤塗装は他に比べて塗料が安く、製品単価を下げられるメリットがあります。ただし、有機溶剤には中毒性があり、大気汚染などの危険性があるため取り扱い方法に注意が必要です。⇒溶剤塗装とは?特徴や粉体塗装との違いについて専門家が解説!焼付塗装焼付塗装は、塗料に熱を加え揮発させることで、乾いたときに硬化し、強度を高める塗装方法のことです。皮膜を硬化させるにあたって100度~200度を超える高温にする必要があります。焼付塗装は製品と塗膜の密着性が高く、温度や湿度、風雨などに晒される屋外の環境下で高い効果を発揮できるため、自動車などのボディの下塗りにも用いられます。メラミン、フッ素、アクリルと、焼付塗装にも大きく分けて3つの種類があり、それぞれに塗装温度や硬化、安全性などに違いがあるので、目的に応じて選択が必要です。電着塗装電着塗装は、塗料が入った液体の中に加工物を入れ電気を流すことで、塗料を加工物に付着させ、塗膜を形成させる方法です。ハケやローラー、スプレーなどではムラができてしまいやすい、複雑な形状の素材にも均一な塗膜を形成させることができるほか、膜厚をはじめとする処理条件も管理しやすいため、大量生産に向いている塗装方法です。一方で、塗装をするために設備をはじめさまざまな準備が必要となるため、小ロットの生産には不向きと言えます。静電塗装静電塗装は、帯電した塗料を利用することで、静電気によって塗料が加工物に引き寄せられ、塗膜を形成する方法です。塗料を効率よく付着させることができ、均一で美しい仕上がりの塗膜になる特徴があります。一方で、高電圧の作業が必要となるため、感電や火災などの事故が発生しないよう、十分に注意しながら作業を進める必要があります。基本的には手作業よりも産業用ロボットなどを用いたライン生産方式が適しており、自動車の車体や家電、OA機器などの塗装に用いられます。粉体塗装粉体塗装は、粉末状の塗料を静電気によって付着させた後、加熱溶解することで塗膜を形成する方法です。他の塗装は一般的に液状の塗料が用いられますが、それに比べてより厚い塗膜を形成しやすい特徴があります。さらに、塗料の入れ替えがしやすく、吹き付けた後、飛散した塗料を回収・再利用しやすいため、高い塗料を無駄なく活用することができます。自動車や家電製品などのライン生産に多く用いられます。塗装処理の工程塗装は主に、前処理、調合、塗布、乾燥の4ステップに分かれています。これは、溶剤塗装から粉体塗装まで、まったく異なる塗料を用いても基本的に変わることはありません。各工程において、どのような作業が発生しているのか、詳しく解説していきます。1.前処理前処理は、加工物に塗料をしっかりと密着させるための処理のこと。具体的には、材料表面の油や錆、異物などを取り除いてキレイにする作業のことです。例えば、過去に塗られていた塗装や錆をやすりなどで削っていったんキレイにする作業も前処理のひとつです。もし、前処理をしないまま作業を進めてしまうと、せっかく塗った塗料が塗装後に剥がれやすくなるなど、不具合が発生しやすくなるため、塗装後の製品をキレイなまま長持ちさせるためにも重要な工程と言えます。前処理は、研磨による機械的処理と、表面を皮膜で覆う科学的処理の2種類があります。目的や用途、加工物の状態などによってどちらをチョイスすれば良いかも変わります。2.調合調合は、塗料の準備の工程です。機能性を高めるために複数の塗料を混合したり、目的に合わせて色を調整したりするために、異なる塗料を調合することも少なくありません。また、塗装方法や作業環境に応じてシンナーの希釈剤を入れて塗料を調整することもあります。エナメルをはじめとする顔料を含んだ塗料は沈殿している場合があるため、色むらをなくすためにしっかり撹拌して使用する必要があります。また、手作業で塗料を混合する場合、比率を間違えると乾燥不良や塗膜の欠陥が出る可能性があるため、正確な作業が求められます。3.塗布塗布は、製品に塗料を付着させる工程のことです。材料に応じて塗ったり吹き付けたり、上述した塗装方法を用いて加工物に塗膜を形成させます。また、目的に応じて下塗り、中塗り、上塗りなど、複数回に分けて塗料を塗布することもあります。塗布工程は、仕上がりの見た目の美しさや均一性など、製品の品質に大きく影響するため、最も重要な工程と言えます。製品をキレイな状態で長持ちさせるためには、相性の良い塗装方法を選択し、適切に作業を進めることが大切です。4.乾燥塗料は乾燥することで塗膜の役割を果たす、いわゆるコーティングへと変化します。そのためには、常温乾燥、または加熱乾燥が必要です。常温乾燥にも、何もせずに一定期間置いておく自然乾燥と、紫外線や電子線を照射して乾燥させる方法の2種類があります。また、加熱乾燥では熱風や赤外線、電磁誘導など、複数の乾燥方法が用いられています。乾燥方法も、塗装の種類に適したカタチで行わなければ、穴があいてしまったり、硬化状態が悪かったりと、塗膜に欠陥が発生してしまう可能性があります。塗装のメリット・デメリット塗装には、めっきをはじめとする他の表面処理に比べたメリット・デメリットが存在します。●塗装のメリット・常温・大気下で塗布することができるため、汎用性が高い・塗装方法によっては現地で作業ができる・大きさに影響されにくく、大小さまざまなものに表面処理を施すことができる・金属だけでなく、ガラスやセラミック、木材などにも塗布できる・方法や塗料の種類が多いため、選択肢が多い・塗装の膜厚を薄いものから厚いものまである程度調整できる・塗り直しができる・めっきに比べてコストが安い●塗装のデメリット・製品と塗膜の密着性が他の表面加工に比べて高くない・作業者のスキルによって表面にムラが発生しやすい・めっきに比べると強度が低く、損傷しやすい・めっきに比べて剥がれやすい塗装とめっきの違いメリット・デメリットから見ても分かるように、塗装は処理方法や効果の関係上、めっきと比較されがちです。これは、塗装とめっきがいずれも表面に膜を形成し、装飾性を高めつつ、加工品を保護する役割を持っているからです。塗装に比べてめっきの方が高価な分、保護効果が高く長持ちします。一方、塗装はめっきに比べて剥がれやすい、損傷しやすいなどのデメリットはあるものの、塗り直しによって保護効果を再度高めることができるため、メンテナンスを加えることで長持ちさせることが可能です。また、めっきは取り扱う金属の種類やサイズ、環境などによって対応できない場合があり、塗装ほど汎用性に優れていません。それぞれの特徴を詳しく理解した上で、どちらをチョイスした方が良いか判断したい場合は、下記記事でより詳しい情報をチェックしておきましょう。⇒めっきと塗装の違いは?それぞれの特徴、めっき塗装に関しても解説!

  • 粉体塗装とは?特徴、種類、メリット・デメリット

    粉体塗装とは、パウダー状の塗料を金属に直接付着させて加熱し、乾燥させて固めることで塗膜とする塗装法です。一般的な塗装に用いられる有機溶剤を全く使用しないため、環境や人体への影響が小さく、環境保全や健康増進への取り組みが強化されている現在、注目が集まっています。また、省資源性にも優れるほか、自動化しやすいという特徴もあります。これらの理由から、溶剤塗装からの転換が進んでおり、その市場は拡大しています。この記事では、粉体塗装とは何かというところから、その方法や種類、特徴、メリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。粉体塗装とは粉体塗装とは、パウダーコーティングとも呼ばれる、粉末状の塗料を用いる塗装のことです。細かく粉砕して粉状にした塗料(粉体塗料)を、塗装対象物に直接付着させ、高温で溶かしてから、乾燥させて固めることで塗膜を形成します。加熱して固化させることで塗膜を形成することから、焼付塗装の一種でもあります。参考:焼付塗装ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!粉体塗料には、エポキシやポリエステルなどを含む熱硬化性のものと、ポリエチレンやナイロンなどを含む熱可塑性のものがあります。粉体塗料は、これら樹脂のほか、顔料、添加剤をパウダー状にしたものから構成されており、溶剤塗料や水性塗料の成分である有機溶剤や水などの溶媒は含みません。なお、ここでの添加剤とは、硬化剤や乾燥剤、消泡剤、フィラー(充填剤)などで、塗料の流動性・湿潤性の調整や塗料の脱気(空気を除去すること)などの機能を持ちます。粉体塗装は、他の種類の塗装と同じく、塗装対象物の防錆や着色、耐候性向上、美観向上、機能性付与などが目的です。また、溶剤塗装に比べて、環境汚染や健康被害、火災などのリスクが低いため、溶剤塗装からの転換が進んでいます。参考:溶剤塗装とは?特徴や粉体塗装との違いについて専門家が解説!粉体塗装の方法粉体塗装の方法には、静電粉体塗装法と流動浸漬塗装法があります。●静電粉体塗装法参照元:粉体塗装とは? > 粉体塗装の紹介「塗装工程と塗装法」日本パウダーコーティング協同組合静電粉体塗装法は、アースに繋げてプラスに帯電させた塗装対象物へ、スプレーガンにてマイナスに帯電させた粉体塗料を噴射することで、塗料を静電的に対象物へ付着させる方法です。この塗装法では、一般的に熱硬化性粉体塗料を使用し、加熱によって架橋と呼ばれる化学反応を誘起することで硬い塗膜を形成します。一度硬化した塗料は、再度加熱しても硬いままで、軟化・流動することはありません。この塗装法では、以下の工程に従って塗装を行います。1. 前処理…油脂成分を除去するアルカリ脱脂処理や錆を落とす酸洗処理、薬液などを洗い流す水洗処理を実施する処理工程。塗装の密着性向上を目的としており、素材によっては、塗膜のさらなる品質向上のために化成処理なども行う。2. 水切り乾燥…乾燥炉で塗装対象物に付着した水分を完全に除去する処理工程。ブリスター(塗装膜下に残存した水分によって生じる気泡)と呼ばれる外観不良の発生を防止する。3. 粉体塗装…粉体塗料を静電引力によって対象物に付着させる処理工程。4. 焼付乾燥…塗装対象物に付着した塗料を180~200℃の高温に加熱した焼付炉で焼き付け乾燥させる処理工程。5. 冷却…冷却して塗膜を形成する処理工程。静電粉体塗装法は、流動浸漬塗装法と比較すると、以下のような特徴を持ちます。・塗装対象物の形状やサイズに対してあまり制約がない。・均一な膜厚が得やすい。・膜厚の調節が可能(30〜150μm)。・電気を通さない素材には塗装できない。参考:塗装前処理とは?目的や工程の流れについて専門家が解説!●流動浸漬塗装法参照元:粉体塗装とは? > 粉体塗装の紹介「塗装工程と塗装法」日本パウダーコーティング協同組合流動浸漬塗装法は、事前に加熱した塗装対象物を、粉体塗料を圧縮空気によって流動させた流動浸漬槽と呼ばれる容器に入れることで、塗料を対象物の熱で溶かして付着させる方法です。この塗装法では、一般的に熱可塑性粉体塗料が使用されます。熱可塑性粉体塗料は、加熱によって軟化・溶融して形状を変えることができ、冷却によって固化して塗膜とすることができる塗料です。化学変化を伴わないため、再度加熱して冷却すると、再び軟化・溶融して固化します。この塗装の工程は、以下の通りです。1. 前処理…塗装の密着性向上を目的に、脱脂処理や酸洗処理、化成処理、水洗処理などを行う処理工程。2. 予備加熱…塗装対象物を塗料の融点以上の温度に予熱する処理工程。3. 流動浸漬…予熱した対象物を流動浸漬槽に入れることで、粉体塗料を対象物に接触させて溶かし付着させる処理工程。4. 後加熱…塗膜の平滑性向上を目的に、塗装対象物に付着した塗料を融点以上の温度に加熱する処理工程。5. 冷却…冷却して塗膜を形成する処理工程。流動浸漬塗装法は、静電粉体塗装法と比べて、以下のような特徴を持ちます。・塗装対象物のサイズが流動浸漬槽のサイズ以下に制限される・塗装対象物が複雑な形状である場合、膜厚が不均一になりやすい。・厚膜が一度の塗装で得られる(200〜1500μm)。・厚膜の塗装が容易。・粉体塗料の回収装置が不要。・予熱を必要とする。・膜厚の調節が難しい。・電気を通さない素材にも塗装できる。粉体塗装の用途粉体塗装は、金属素材の製品を中心に、様々な分野で採用されています。その使用分野は、下図に見られるように、金属家具や電気機器、建設・産業機械、機械・器具の割合が大きくなっています。粉体塗装の具体的な使用例は、下表の通りとなっており、特に工業塗装に多く採用されています。<粉体塗装の分野別使用例>使用分野使用例金属家具机, 椅子, 陳列棚, 書架, ロッカー, 業務用ワゴン, ベッド電気機器分電盤, 配電盤, ラジエーター, 柱上トランス, 電力計, 発電機, モーター, ガス給湯器建設・産業機械パワーショベル, フォークリフト, FA機器, 工作機械, 包装機, ボンベ, 農業機械機械・器具医療用品, 現像機, 精密機器, IT機器, 事務機家電製品レンジ, レンジフード, エアコン, 冷蔵庫, 洗濯機, 暖房機, ミシン, 照明器具, 電話機道路資材ガードレール, ガードパイプ, 橋梁手摺り, 欄干, 標識用ポール, 信号機, 照明柱水道資材鋼管, 鋳鉄管, 異形管, ニップル, 仕切弁, 継ぎ手, 水栓金具, メーター建築資材フェンス, 門扉, 手摺り, 面格子, 住宅鉄骨, シャッター, カーテン, ウォール, パーテーション, 雨樋金具, 鉄筋バー自動車部品ボディー, ワイパー, バンパー, スプリング, ホイール, ブレーキドラム, ブレーキパッド, オイルフィルター, エンジンブロック, ルーフレール, ドライブシャフト, トラック荷台部分, その他農業資材, 家庭用品, 消火器, ガーデニング用品粉体塗装の特徴粉体塗装には、様々な特徴があります。ここでは、溶剤塗装や水性塗装と比較したときの粉体塗装の特徴について説明します。参考:金属加工の板金塗装の見積りについて解説!塗装の種類ごとについてもご紹介!塗膜の強度と耐久性が高い粉体塗装は、塗膜の強度および耐久性が高いという特徴があります。粉体塗装では、一度の塗装で厚膜の塗膜を形成することができます。その膜厚は、静電粉体塗装法で最大150μm、流動浸漬塗装法では最大1500μmにも達します。それは、一度の溶剤塗装による塗膜の厚さ約20μmと比較すると、数倍から数十倍の厚みに相当します。また、焼付塗装の一種であることから、塗膜自体の強度が高く、柔軟性にも優れます。つまり、粉体塗装では、高強度で柔軟な分厚い塗膜が得られるのです。従って、粉体塗装の塗膜は、傷が付きにくい上、温度・湿度変化が激しい環境でも、伸縮しやすいことにより、ヒビ割れや剥離などが発生しにくくなっています。それは、耐久性に優れ、寿命も長くなることを意味します。塗膜の性能が高い粉体塗装の塗膜は、耐食性や耐候性、耐薬品性などの性能にも優れます。粉体塗装では、その塗装方法から、塗装ムラが起きにくく、ピンホール(塗装面に生じる小穴)も発生しにくい塗膜となります。さらに、塗膜が分厚く、高い強度と耐久性を持つことも相まって、塗膜下の金属が空気に触れにくく、降雨なども塗膜下に浸透しにくくなっています。そのため、粉体塗装の塗膜は、防錆性能をはじめとする塗装対象物の保護機能を高いレベルで発揮するのです。塗料に溶媒を含まない参照元:粉体塗装について「粉体塗装(パウダーコーティング)とは?」有限会社シリウス粉体塗料は、溶媒を含まないという特徴があります。溶剤塗装や水性塗装の塗料は、顔料・樹脂・添加剤といった塗膜を形成する成分以外に、これらの成分を溶解または分散させるシンナーなどの有機溶剤や水分を含んでいます。これらの溶媒は、塗料を塗装対象物に接着する役割を持っており、焼き付けや乾燥などの過程で揮発します(上右図参照)。一方、粉体塗料は、塗膜を形成する成分のみから構成されています。そして、塗装の際には、溶媒の代わりに電気や熱の効果を利用することで、塗装対象物に付着させているのです(上左図参照)。塗料の回収・再利用が可能粉体塗装では、塗装時に塗装対象物に付着しなかった塗料を回収して再利用することが可能です。粉体塗料は、溶剤塗料の有機溶剤や水性塗料の水のような揮発成分を含まないため、熱影響を受けなければ、変質することはほとんどありません。そのため、静電粉体塗装で噴射した塗料も、流動浸漬塗装法で流動させた塗料も回収すれば、再度使用することができます。その点、溶剤塗料や水性塗料は、溶媒が揮発すると塗料が変質してしまうことがあり、多くの場合、変質してしまった塗料は再度使用することはできません。しかし、塗料を調整して揮発性を低下させても、乾燥して硬化するまでの時間が長くなり、作業性が下がってしまいます。塗料に揮発性有機化合物(VOC)を含まない引用元:低VOC塗料の現状と今後「塗料からの溶剤(VOC)の蒸発」経済産業省 近畿経済産業局粉体塗料は、大気汚染や健康被害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)を全く含みません。VOCは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物のことで、溶剤塗料には20~60%、水性塗料には0~10%含まれている物質です。溶剤塗料には、塗料に対して5~50%がさらに投入され、希釈溶剤(シンナー)として使用されます(上図参照)。その種類は、下表のように多様で、溶解する樹脂や用途に応じて塗料に混合されています。<溶剤塗料や水性塗料に含まれる代表的なVOCの種類と性質・用途>VOCの分類VOCの種類性質・用途アルコール系メタノール, エタノール, イソプロピルアルコール(IPA), イソブタノールラッカー塗料や添加剤などの溶解ケトン系アセトン, メチルエチルケトン(MEK), メチルイソブチルケトン(MIBK), シクロヘキサノン樹脂を強力に溶解エステル系酢酸エチル, 酢酸ブチル樹脂を比較的強く溶解エーテル系ブチルセロソルブ, ブチルカルビトール焼付塗料の仕上り向上・水性塗料にも使用炭化水素系脂肪族系ミネラルスピリット樹脂を比較的弱く溶解芳香族系トルエン, エチルベンゼン, キシレン多種類の樹脂を溶解、溶解性と乾燥性のバランスが良い混合系ソルベントナフサ焼付塗料用しかし、VOCは、以下のように大気汚染の原因となり、人体にも有害です。●大気環境への影響VOCは、大気中に拡散されると、光化学反応などを起こして変質します。変質したVOCは、光化学スモッグの原因となるほか、浮遊粒子状物質(SPM)を生成して、目や呼吸器などに悪影響を及ぼし、喘息やアレルギー疾患のリスクを増大させることが知られています。●室内環境における人体への影響VOCは、住宅の建材などから発生して、室内の空気を汚染し、シックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こすことがあります。●作業環境における人体への影響VOCは、塗装に従事する作業者に下表のような様々な症状を引き起こすことが報告されています。ただし、近年においては、毒性の高いVOCの使用が制限されており、以前よりも塗料の安全性は確保されています。<毒性の高いVOCによって引き起こされる症状>VOCの種類急性毒性慢性毒性メタノール粘膜刺激, 麻酔作用咳, めまい, 頭痛, 嘔吐, 脱力感, 眠気, 不眠, 視力障害, 神経系障害IPA皮膚刺激, 粘膜刺激眠気, 頭痛, 協調運動不能, 皮膚炎, 神経系障害, 腎臓障害, 血管障害, 肝臓障害, 脾臓障害MEK皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用呼吸器刺激, 咳, 息切れ, 頭痛, めまい, 視野狭窄, 嘔吐, 下痢, 意識喪失, 神経系障害, 腎臓障害酢酸エチル粘膜刺激呼吸器刺激, 眠気, めまい, 咽頭痛, 咳, 頭痛, 意識混濁トルエン皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用咳, 咽頭痛, めまい, 意識混濁, 頭痛, 嘔吐, 意識喪失, 神経系障害, 腎臓障害, 肝臓障害エチルベンゼン皮膚刺激, 粘膜刺激咳, めまい, 意識混濁, 頭痛呼吸器障害, 神経系障害キシレン皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用めまい, 意識混濁, 頭痛, 嘔吐, 呼吸器障害, 神経系障害塗装に器具・設備が必要粉体塗装は、静電粉体塗装法と流動浸漬塗装法の双方について、いくつかの器具・設備が必要です。<静電粉体塗装法の器具・設備>・浸漬方式の洗浄設備(洗浄槽など)・粉体塗装ブース・静電粉体塗装機(静電ガン、静電コントローラー、ホース類など)・粉体塗料回収装置・焼付乾燥炉・防塵マスクや防塵ゴーグル、静電服、静電靴などの保護具・換気装置(塗装ブース用と建屋全体用の装置設置を推奨)<流動浸漬塗装法の器具・設備>・浸漬方式の洗浄設備(洗浄槽など)・流動浸漬槽・加熱炉・防塵マスクや防塵ゴーグル、静電服、静電靴などの保護具・換気装置(建屋全体用の装置設置を推奨)なお、静電服と静電靴は、静電気による粉体塗料の着火によって発生する粉塵爆発の防止に必要な保護具です。粉塵爆発を防止するため、機器類の接地が必須であり、静電気対策床の設置なども推奨されます。現場施工が困難粉体塗装は、以下の理由から、工場などで施工しなくてはならず、現場での施工は現状の方法ではできません。・据え置き型の設備が必要・前処理に確実な洗浄や乾燥が必要・塗装処理時に粉塵対策が必須・焼き付け温度が高く、炉での加熱や乾燥が必要塗装作業の機械化・自動化に適している粉体塗装は、工場での施工が標準的であることもあり、機械化や自動化に向いた塗装法です。粉体塗装は、浸漬洗浄、炉での乾燥・加熱、静電引力や空気流動を利用した静電粉体塗装や流動浸漬塗装など、主要な処理工程の人手を排することが可能です。そのため、塗装対象物をフックに吊り下げるなどして、順番に洗浄槽、乾燥炉、塗装ブース、焼付乾燥炉と流していくことで、主要工程を完了させることができます。粉体塗料の種類粉体塗装では、様々な塗料が用いられますが、その塗料は、含有樹脂の熱に対する反応性から、熱硬化性粉体塗料と熱可塑性粉体塗料の2種類に分類されます。熱硬化性粉体塗料熱硬化性粉体塗料は、加熱によって架橋反応を誘起することで、硬化する塗料です。一度硬化した塗料は、再度加熱しても硬いままで、軟化・流動しないという特徴があります。主に静電粉体塗装法で用いられる粉体塗料です。熱硬化性粉体塗料は、含有する樹脂の系統によって特徴や塗装条件が異なるため、用途に応じた塗料を選ぶことができます。下表は、代表的な樹脂系ごとの塗装条件や特徴、用途をまとめたものです。<代表的な熱硬化性粉体塗料の樹脂系ごとの塗装条件・特徴・用途>樹脂系焼付温度焼付時間特徴用途エポキシ系130~200℃5~50分高耐食性, 高耐薬品性, 高密着性, 高耐水性, 高硬度, 絶縁性低耐候性家電, 自動車部品, 上下水道管, 電気部品, 重電機器, 船舶, エポキシポリエステル系150~200℃10~50分高耐食性, 高作業性, 高加工性, 高経済性低耐候性鋼製家具, 家電, 自動車部品, 建築資材, 事務機器, 家庭用品, 電気部品ポリエステル系140~230℃5~60分高耐候性, 高耐水性, 高作業性, 高加工性, 高経済性家電, 自動車部品, 道路資材, 建築資材, 鋼製家具, 重電機器, 建設機械, 農機具, 家庭用品アクリル系150~200℃8~50分高耐候性, 高耐汚染性, 高鮮映性, 低温硬化性家電, 自動車部品, 道路資材, 建築資材フッ素系160~360℃15~30分高耐候性、高耐光性、高耐薬品性, 高耐摩耗性、高耐熱性高層建築外装, 工業用部品, 家電, 厨房器具熱可塑性粉体塗料熱可塑性粉体塗料は、加熱によって軟化・溶融して変形し、冷却によって固化する塗料です。化学変化を伴わないため、再度加熱して冷却すれば、再び軟化・溶融して固化するという特徴があります。主に流動浸漬塗装法で用いられる粉体塗料です。熱可塑性粉体塗料もまた、下表のように、いくつかの樹脂系があります。<代表的な熱可塑性樹脂の樹脂系ごとの塗装条件・特徴・用途>樹脂系予熱温度後加熱温度特徴用途塩化ビニル系230~290℃200~320℃高耐候性, 高耐薬品性, 高耐食性, 高耐水性, 被覆性, 厚膜美装性道路資材, 建築資材ポリエチレン系260〜320℃200〜320℃高耐食性, 高耐候性, 高耐水性, 高耐久性, 高耐摩耗性, 被覆性家電, 上水道管, 建築資材, 道路資材, 重電機器, 家庭用品ナイロン系340〜430℃340〜370℃高耐油性, 高密着性, 耐摩耗性, 高耐衝撃性, 耐熱性, 絶縁性, 被覆性家電部品, 自動車部品, 配管, 機械部品, 鉄道部材, 家庭用品, 医療機器, 飲料水容器粉体塗装のメリット上述したように、粉体塗装には他の塗装法とは異なる多様な特徴がありますが、ここではその中でもメリットとなる特徴について紹介します。<塗膜について>・塗膜の強度が高い・塗膜の耐久性が高い・塗膜の性能が優れる・厚い塗膜の形成が可能・錆が発生しにくい<方法について>・一度の塗装で厚い塗膜を形成可能・塗料の回収・再利用が可能・塗装環境(温度・湿度など)の影響を受けにくい・塗料の焼付処理が短時間で済む・塗装の機械化・自動化が容易<塗料について>・塗料に有機溶剤(VOC)を含有しない・臭気がない(有機溶剤は臭気を放つ)<経済性について>・塗料を無駄なく使用できる・耐用年数が長い(15~20年)<安全性について>・VOCによる大気汚染や健康被害については考慮不要・VOCによる火災の発生リスクがない粉体塗装のデメリット一方、粉体塗装には、以下のようなデメリットがあります。<方法について>・薄い塗膜の形成が困難(一般に30μm以上)・焼付温度や予熱・加熱温度が高い・塗装後に色の調整ができない・色の微調整が難しい・現場施工が困難・塗り替えが困難<経済性について>・塗装設備が必要であるため、初期投資が掛かる<安全性について>・粉塵による健康被害のリスクがある・粉塵爆発の発生リスクがある

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    フランジ加工の方法を製品事例を用いて解説!

    フランジは、突縁や出縁、鍔(つば)を意味しますが、工業用語では2つの配管を接続する継ぎ手部分などを指す言葉として使われています。フランジは、機械部品や電子部品、建築部材など、様々なところに広く用いられている構造ですが、実際にはどのように成形しているのか知らない方が多いと思います。そこで今回の記事では、フランジの加工方法について詳しく解説していきます。また、加工事例も多数ご紹介していきますので、フランジ加工をご依頼するときの参考にしてください。フランジとはフランジとは、物の端からはみ出すように出っ張った部分のことです。フランジは主に、円筒形状の管や軸の端に円盤の形状で成形され、管や軸同士をつなぎ合わせる際に使用されます。例えば、配管では、パイプの端に円盤状のフランジがあり、そのフランジ同士を合わせ、ボルトなどで固定して配管同士を接続します。またフランジは、回転する2つの軸を接続し、一方の軸のトルクをもう一方の軸に伝達する継ぎ手としても利用されています。そのほか、管部の内側にねじ山を成形したねじ込みフランジは、2つの製品を接続するジョイントとして使用されています。フランジ加工の方法フランジの成形方法には、NC旋盤やマシニングセンタなどによって削り出す加工方法と、板金をプレス機によって絞る、または曲げることで成形する加工方法があります。なお、フランジだけを別に製造し、溶接することでフランジを成形することも多いです。旋盤加工旋盤加工は、NC旋盤などを使用し、回転させた工作物に工具を当てることで外丸削り、面削り、中ぐり、穴あけ、突切り、ねじ切りなどの加工を行う方法です。主に、棒状の素材から円盤状のフランジを削り出す場合に採用されます。ただし、旋盤加工による加工形状は、連続的な回転対称である必要があります。そのため、複雑な形状のフランジでは、旋盤加工の後、マシニングセンタなどによる追加工が必要となる場合があります。切削加工切削加工は、マシニングセンタなどを使用し、固定した工作物に回転または直線運動する工具を当てることで穴あけ、中ぐり、フライス削り、ねじ立て、リーマ仕上げなどの加工を行う方法です。主に、旋盤では加工できない角型のフランジや、旋盤加工では難しい複雑形状の追加工を必要とする場合などに採用されます。板金加工板金からフランジを成形する方法には、プレス機を使用する絞り加工と曲げ加工があります。絞り加工は容器や管などの形状のものに、曲げ加工は板などの形状のものにフランジを成形する場合に採用されます。・絞り加工絞り加工では、下図のように、下側の金型(ダイ)に素材(ブランク)を置き、フランジとなる部分をブランクホルダーで抑えます。そして、上側の金型(パンチ)でブランクに圧を加え、容器部とフランジ部を同時に成形します。引用元:通販モノタロウ・曲げ加工一方、曲げ加工では、多様な角度で曲げることが可能なV曲げ、1箇所を90度の角度で曲げるL曲げ、2箇所を90度の角度で曲げるU曲げといった加工方法でフランジを成形します。この3種類の曲げ加工の特徴を述べると、まずV曲げでは、ダイとパンチ間のクリアランスを調整することで、曲げの角度を変えることができる自由曲げと、パンチ・ダイの形状を転写、またはパンチを押し込んでブランクを圧縮する突き曲げが可能なことが挙げられます。一方、L曲げやU曲げでは、クリアランスは常に一定に保たれます。しかし、パッドの押さえる力が弱いと、L曲げではパンチ方向にブランクが引かれることがあり、U曲げでは容器形状の底部の平面度が不安定になることがあります。参考記事曲げ加工の基礎からV曲げ、L曲げなどの詳細については、以下の記事をご覧ください。⇒【曲げ加工】の基礎やV曲げ/L曲げ加工について徹底解説!!・フランジの種類板金加工によって成形されたフランジは、材料の流動状態という観点から、直線フランジ、縮みフランジ、伸びフランジの3種類に分けられます。直線フランジは、加工線が直線となる場合のフランジを指します。絞り加工では、下図のような角筒絞りでフランジ部の加工線が直線となり、このフランジ部は曲げ方向に引張応力を受けます。一方、曲げ加工では、板などを単純に曲げて成形する際のフランジが直線フランジとなり、このフランジ部には応力は働きません。引用元:MiSUMi-VONA縮みフランジは、加工線が外側に湾曲する場合のフランジのことです。絞り加工では、曲げ方向には引っ張り応力を、曲げ方向と直角方向には圧縮をフランジ部に受けます。一方、曲げ加工では、曲げ方向と直角方向の圧縮をフランジ部に受けます。縮みフランジとなる場合、曲げ加工では、圧縮の効果をあらかじめ考慮し、フランジとなる部分の形状を開いた扇型にしておく必要があります。なお、絞り加工では、主に円盤状の板金をプレスしてフランジを成形しますが、この場合は考慮以前にフランジ部分は扇形です。また、縮みフランジでは、フランジ部に圧縮する力が加えられるため、フランジ部を厚くする作用が生じます。その結果、フランジ部にたるみやシワが発生しやすいため、注意が必要です。伸びフランジは、加工線が内側に湾曲する場合のフランジのことです。絞り加工では、曲げ方向には圧縮応力を、曲げ方向と直角方向には引張応力をフランジ部に受けます。一方、曲げ加工では、曲げ方向と直角方向の引張応力をフランジ部に受けます。伸びフランジとなる場合、曲げ加工の縮みフランジと同様、引張応力の効果を考え、フランジとなる部分の形状は閉じた扇型にしておく必要があります。また、縮みフランジと反対に、フランジ部を薄くする作用が生じるので、割れの発生に注意する必要があります。フランジ加工の工程フランジ加工の工程は、旋盤加工や切削加工、板金加工の絞り加工や曲げ加工、それぞれで異なります。ここでは、下図のようなフランジ付き円筒を例に、絞り加工によるフランジ加工の工程を説明していきます。引用元:MiSUMi-VONA①寸法の決定フランジ付き円筒を成形するにあたり、まず製品の完成形状を展開してブランクの寸法を決定します。ただし、絞り加工では、成形後にフランジの縁が変形するので、トリミング代を決めることが必要です。ブランクの寸法は、トリミング代を加えたフランジ径を用い、以下の計算式で算出できます。ブランクの寸法計算式D=x2+4yhD:ブランク直径、x:フランジ直径、y:絞り部分の直径、h:絞り部分の高さこの計算式は、成形後に板厚が変化しないこと、曲線部が小さいことを前提としています。また、絞り部分の直径は、内径、外径、もしくは板厚中心が考えられますが、外径としておくと、フランジ径が大きくなるのでトリミング代に余裕ができるでしょう。②絞り回数の決定このブランクを加工していきますが、絞り加工は通常、1回で完成形状まで成形できることはありません。それは、絞ることが可能な深さに限界があることを理由とします。そのため、完成形状より大きな絞り径と浅い絞り深さで絞り、絞り径と絞り深さを完成形状に近づけながら、繰り返し絞り加工を行います。絞り径の算出その絞り径ですが、絞りやすさを表す相対板厚を参考に、材料の加工硬化を考慮した絞り率の式と値から算出します。算出方法絞り率 = 絞り後の径 ÷ 絞り前の径相対板厚 = 板厚 ÷ ブランク直径 ✕ 100(%)絞り率初絞り・・・0.5~0.62絞り・・・0.75~0.83絞り以降・・・0.8~0.9相対板厚は、値が小さいほど絞りにくく、大きいほど絞りやすいことを表現しています。そのため、相対板厚が小さい場合は絞り率は大きい数値を、相対板厚が大きい場合は絞り率は小さい数値を採用し、絞り後の径を算出します。絞り回数の算出絞り径が求められると絞り回数も算出できます。各絞り加工時の絞り径は以下のようになります。各絞り加工時の絞り径初絞り後の絞り径…ブランク直径 ✕ 初絞りの絞り率2絞り後の絞り径…初絞り後の絞り径 ✕ 2絞りの絞り率3絞り後の絞り径…2絞り後の絞り径 ✕ 3絞りの絞り率求める絞り回数は、この絞り径が絞り部分の内径より小さくなったときの絞り回数に当たります。絞り高さの算出絞りの各工程の絞り高さは、上述したブランク直径の計算式から以下のように求められます。各工程の絞り高さh=(D2-x2)÷(4y)h:絞り部分の高さ、D:ブランク直径、x:フランジ直径、y:各工程の絞り部分の直径この絞り高さを参考に、各工程においてどの程度の深さまでブランクにパンチを押し込むかを決定します。ただし、あくまで参考であり、絞り状態を見て調整することを前提としています。③金型設計次に、絞りにおける各工程毎の金型、つまりパンチとダイを設計します。パンチの設計パンチの設計では、パンチの直径と肩半径を決めます。パンチの直径は、成形形状の内径となることを考慮し、絞り径から決定します。例としたフランジ付き円筒の寸法で、相対板厚が大きいとした場合には、各工程のパンチの直径は下図のようになります。引用元:MiSUMi-VONAパンチの肩半径は、完成形状の肩半径から最終の一つ前の工程の肩半径を算出、というように初絞りの肩半径まで順番に決定していきます。まず、下図のように、完成形状の肩半径の中心を最終一つ前工程の肩半径の中心とします。次に、その肩半径の中心から最終二つ前工程のパンチの端までの距離を3~4等分し、パンチの端側に少しずらした位置を最終二つ前工程の肩半径の中心とします。これを繰り返し、初絞りの肩半径まで決定します。また、パンチの肩半径は加工時、小さすぎると割れが生じ、大きすぎるとシワが生じるので注意が必要です。ダイの設計ダイの設計では、ダイの穴径と肩半径を決めます。ダイの穴径は、単純にパンチの直径に板厚を加えた値とすることはできません。それは、絞り加工に伴い、円筒の縁部分が収縮して板厚が増加するからです。そのため、初絞りのダイの穴径は、クリアランスが板厚よりも大きくなるように設定されます。しかし、板厚増加は寸法精度を悪化させるので、絞りの工程が進むごとにクリアランスを本来の板厚に近づけていきます。さらに、最終工程近くの絞り加工では、クリアランスを本来の板厚よりも小さくし、材料をしごいて厚さを均一にすることもあります。例としたフランジ付き円筒の寸法では、各工程のダイの内径は下図のようになります。引用元:MiSUMi-VONAダイの肩半径は、各工程のパンチの肩半径と同じか少し大きい値とします。ただし、フランジと円筒の境界部分は適切な寸法にならないことがよくあります。それは、ダイの肩に置かれたブランクは、ブランクホルダーで押さえつけているだけでパンチが行われないからです。そのため、この部分の形状などを整えるリストライクという工程を行うことがあります。④プレス機械の選定プレス機械の選定では、選んだ材料に対する絞り加工力を計算し、その力を発揮できるものを選ぶ必要があります。円筒絞りの絞り加工力の計算には、以下の式がよく用いられています。円筒絞りの絞り加工力の求め方P = K ✕ π ✕ d ✕ t ✕ TsP:絞り加工力(Kgf)、K:係数、π:円周率、d:絞り径(mm)、t:板厚(mm)、Ts:引張強さ(Kgf)ここで、係数Kは、計算式では考慮されていない絞り率や相対板厚の効果を、絞り加工力Pに反映するために設定する値です。係数Kは、絞り率や相対板厚が大きいほど小さく、小さいほど大きく設定され、1.0を上限としています。プレス機械は、フランジ部を適切な圧力で押さえることが可能なものを選ぶ必要があります。絞り加工時、フランジ部は、プレス機のブランクホルダー(シワ抑え板)でホールドされていますが、この圧力が弱すぎればシワが、強すぎれば割れが生じます。フランジ部の成形に重要なこの圧力ですが、圧力の強さは材料の材質や板厚などにも依存するため、圧力を調節可能なプレス機械を選ぶとよいでしょう。そのほかプレス機械の選定には、金型を取り付けられる寸法があること、パンチに張り付いた成形品を引き剥がせる機構が備わっていること、絞り加工完了後に成形品を取り出せるパンチとダイ間の間隔があることなどに気をつける必要があります。⑤実加工前の注意点以上の工程を経て、実加工に進みますが、その前にいくつか注意しておくべき点があります。まず、注文により指定された、もしくは選定した材料は、設計通りの絞り加工が可能かどうかを確認しておく必要があります。絞り加工に関係する材料の特性には、引張り強さ、降伏点、伸び、硬さがありますが、絞り加工性を考えるときは、材料の加工硬化係数(n値)とランフォード値(r値)がよく参考にされます。なお、r値は、板材を長手方向に引き伸ばしたとき、板厚方向よりも短手方向に収縮しやすいことを示す値です。また、絞り加工時、潤滑油を使うかどうか、どの潤滑油を使うかも問題となります。潤滑油は、ブランクをパンチで押し込むとき、ブランクとダイとの接地面を滑りやすくしてくれます。そのため、潤滑油を使用しないと、ブランクとダイの摩擦により、破断や焼付き、かじりなどを生じることがあります。参考記事絞り加工については、以下の記事に詳細がありますので、ご覧ください。⇒絞り加工の基礎知識と工程9ステップを徹底解説!フランジの加工事例それでは、上述した加工方法で成形したフランジの事例を紹介していきます。下の写真は、材料記号A5056のアルミ合金をNC旋盤で加工したものです。引用元:株式会社エージェンシーアシスト次の写真は、旋盤加工によってフランジ部を成形した後、マシニングセンタにより円筒内側部にキー溝を成形したものです。引用元:特殊フランジ・継手加工.com次もNC旋盤とマシニングセンタの両方を使用した製品です。通電箇所に用いられるため、銅を材質としているそうです。引用元:特殊フランジ・継手加工.com次の2つの写真は、プレス機による絞り加工でフランジを成形した事例です。引用元:岐阜精器工業株式会社引用元:ミカドテクノス株式会社続く写真は、プレス機による曲げ加工によってフランジを成形しています。引用元:TECH-JOURNEYフランジ加工ならMitsuri!以上、フランジの加工方法や工程について解説し、加工事例を紹介しました。フランジの加工方法には、材料から削り出す旋盤加工や切削加工、板金から成形する絞り加工や曲げ加工があります。特に絞り加工は、大量生産を行う際に採用されますが、絞りの方法や金型の設計などに多様なノウハウや技術が詰め込まれています。そのため、メーカーによって加工可能な材質・形状は異なり、また精度や品質も変わってきます。Mitsuriでしたら、日本全国に協力工場が140社以上あるため、お客様の要求に合わせたメーカーをご紹介できます。フランジ加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    レーザー刻印をしたい方必読!【金属別事例あり】適したレーザー・金属を徹底紹介!

    金属にレーザー刻印をしてみたいと考えても、どうすれば良いかわからないのではないでしょうか。 記念品やプレゼントなどの金属部に、ロゴや企業名、名前を刻みたいなど、要望は様々あるでしょう。また、トレーサビリティが必要な金属製品にも、レーザー刻印は欠かせません。「印字は、どのような出来上がりになるのだろう?」「どの金属にも刻めるのだろうか・・・」 レーザー刻印は、どんな金属なら可能で、どの様な仕上がり具合になるのか、また価格や注文ロット数なども気になるところです。この記事では、レーザー刻印をしたいと思っている方の疑問が解決できるよう、適したレーザーや金属、印字の種類などを、金属別の事例を挙げてわかりやすく解説します。レーザー刻印に適した金属基本的に、レーザーを照射できる金属は、すべてレーザー刻印が可能です。高硬度な材質にも印字できます。レーザー刻印に適している主な金属の中から、13種類ご紹介しましょう。 レーザー刻印に適した金属ステンレス鋼アルミニウム陽極酸化アルミニウム(アルマイト)チタン、チタン合金錫カーバイド(炭化物)プラチナ銀金銅真鍮被覆金属(めっき)合金鋼参考記事レーザー加工の原理や仕組み、メリット・デメリットについて詳しくは【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!! をご覧ください。金属レーザー加工の用途レーザーで刻印された金属の用途には、色々あります。宣伝や広告のための商材に刻印するロゴや企業名、ギフトに刻むメッセージや名前など、企業から個人まで多種多様な利用法があるのです。レーザー刻印の用途表札・標識・看板・ネームプレート指輪や時計などの宝飾品ペン・万年筆カトラリーなどの食器栓抜き・ポケットナイフ・包丁ライター             キーホルダー・鍵携帯電話・ノートPC・タブレット額縁ギフト商品・サンプル品トレーサビリティへの活用レーザー加工機による金属への刻印・マーキングは、デジタル制御による精密さや正確さ、錆などの腐食に強い耐久性があるため、幅広い業界でトレーサビリティとしても活用され始めています。トレーサビリティは、日本語で「追跡可能」という意味です。つまりトレーサビリティとは、どこで誰がどんなものを使って作り、どこからどこへ流通し、どのような店で販売されたかなど、履歴が追跡・特定できるようにすることです。そのため、組み立て、流通、販売の流れの中、製造者・仕入れ先・販売元などが、レーザー刻印された製品や部品のナンバーやバーコードで記録できるようにする必要があります。レーザー刻印なら、摩擦に強く消えにくい印字で、限られた小スペースの中に、製造年月日や製造元、製造番号やロットナンバーなどの膨大な情報を刻むことが可能です。製品や部品の履歴が追跡できるようになれば、品質管理や安全面・環境面の向上などにおいて、大いに役立ちます。今や、工場製品をはじめ、自動車や電子部品、医療業界など様々な分野で、利用されています。Mitsuriは金属レーザー加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にご相談ください。刻印に適したレーザーの種類金属の印字に適したレーザーには、どのようなものがあるでしょうか。レーザー加工の種類は、媒体から大きく分けてガスレーザーと固体レーザーの2つがあります。 ガスレーザーは、従来CO2レーザーが使われています。様々な素材に、安価に刻印ができるため汎用性が高く、コストパフォーマンスにも優れているので、最も使用されているレーザー加工です。個体レーザーは、YAG/YVO4やファイバーレーザーがあります。金属のレーザー加工は、目に見えない近赤外線領域の1.03~1.09μmの波長のレーザーが向いていますので、ファイバーレーザーやYAG/YVO4レーザーなどが最適です。CO2レーザー(ガスレーザー)CO2レーザーは、二酸化炭素のガスを利用したもので、波長10.6μmの遠赤外線域のレーザー光になります。遠赤外線になるほど金属へのレーザー光の吸収率が下がるため、金属を加工しにくくなります。そのため、アルミニウム、真鍮、銅、鉄、チタンなどの反射率の高い金属にCO2レーザー加工するには、工業用並みの高出力が必要になります。ただし、アルマイト処理されたアルミは、アルマイト層のみをレーザーで気化させることで、文字や絵柄を作ることは得意です。他に、マーキング用の溶剤やテープを使用し、レーザーで地金に接着することでマーキングができます。ファイバーレーザー(固体レーザー)高出力のCO2レーザーの他、金属・被覆金属に適しているのは、ファイバーレーザーになります。ファイバーレーザー加工は、アルミニウム、真鍮、銅、鉄、チタンなどのレーザー光を反射しやすい金属にも使えます。消えにくく耐久性に優れた金属刻印ができます。CO2の100倍のレーザー強度があるファイバーレーザーは、金属彫刻やアニーリング方式の金属マーキング(焼きなまし)にもぴったりです。焼きなましとは、金属を気化させずに適度に加熱後、ゆっくり冷却する熱処理のこと。金属の表面にダメージを与えず、凹凸のない刻印ができます。 加工機の値段は高価ですが、ガス補充の必要がなくエネルギー効率も良いため、ランニングコストは安くなります。YAGレーザー/YVO4レーザー(固体レーザー)YAG/YVO4レーザーは、ファイバーレーザーと同じ波長である1.064μmのレーザーを照射して、金属・被覆金属の加工を得意とします。YAGとYVO4の違いは、使用している結晶の違いによるもので、結晶にNd(ネオジム)を添加して加工するのは同じです。YAGレーザーとは、Y(イットリウム)・A(アルミニウム)・G(ガーネット)の結晶を用いた固体レーザーです。YVO­4レーザーは、Y(イットリウム)・V(バナデイト)・O4(オキサイド)、もしくはY(イットリウム)・VO4(バナード)の結晶構造を持つレーザーになります。YAG/YVO4レーザーは、主にレーザーマーキングに使われます。そのため、アルミや銅などの反射しやすい金属の加工もできます。金属を削らないため、素材の強度や耐久性を損なうことなく、ずっと残る印字が可能です。ただし、CO2レーザーやファイバーレーザーより価格やランニングコストが高くなります。金属印字の種類レーザー加工で金属に印字する場合、金属表面を彫ったり、マーキングしたりすることで、材料の焼けや変色もなく、耐久性のある印字が可能です。金属印字の種類は、5つあります。黒色印字黒色印字は、酸化印字とも言います。黒字印字は、金属表面の温度をレーザー照射で上昇させて酸化させ、酸化膜を形成することで印字するからです。基材が金属の場合、酸化膜が黒いため、黒い色の印字になります。白色印字白色印字は、金属を削って印字するため、削り印字とも呼ばれます。レーザー照射で表面を凹凸に削り、光の乱反射を使って白く浮き上がるようにする印字法です。彫り込み印字レーザーの照射回数を増やして金属を複数回に渡り、深めに彫り込むことで印字したものが、彫り込み印字です。白色印字と違って彫った面が平らなため、印字は金属と同じ色になります。刻印後に基材を塗装しても、印字が見えなくなることはありません。表面層剥離印字加飾層剥離印字とも言われる表面層剥離印字は、金属基材の表面を覆っているめっき層やインキ塗膜などの加飾層を、レーザーで削り取り、地金の基材と表面の加飾層とのコントラストで文字や絵柄を浮き上がらせる印字方法です。レーザーマーキングある色だけを反射するように削ることで、色を塗らずに光の干渉だけで発色させる印字法です。金属を酸化被膜で覆い、酸化被膜を削って厚みを変えることで反射する光を調節し、色彩を表現します。レーザーマーキングは、チタンやステンレス鋼、クロム、ニオブなどの金属に適した印字法です。【金属別】レーザー刻印事例レーザー刻印事例を主な金属で、3つご紹介します。アルミ-アルマイト処理 アルマイト処理をしているアルミであれば、CO2レーザーで刻印することが可能です。アルマイトの層のみをレーザーで削り、下地のアルミが見えるように表面剥離をし、刻印しています。ステンレス YAGレーザーYAGレーザー加工は、CO2レーザーに比べて5倍の集光ができるため、細かいデザインや文字の刻印が可能です。ステンレスに、肉眼で確認が難しいほどの小ささで、印字することもできます。真鍮レーザー刻印を使えば、真鍮に美しい文様や緻密な文字、図形などを刻印することができます。デジタル制御の上、レーザー照射がピンポイントなため、熱変形などの余計な基材への負担を、最小限にとどめることが可能です。まとめレーザ加工に適したレーザーや金属、印字の種類などの基礎知識を解説しました。レーザーは3種類、印字法は5種類あります。レーザが照射できる金属にはレーザー加工を施せますが、それぞれの金属に適したレーザーや印字法があります。金属加工には、ファイバーレーザーやYAG/YVO4レーザーが最適ですが、レーザーマークで印字する場合、CO2レーザーもきれいに仕上がります。また、色彩が表現できるレーザーマーキングにより、レーザー刻印の多様な使い道が広がっていくことでしょう。 記念品やプレゼントなどに、ロゴや企業名、名前を刻印したい方やトレーサビリティにレーザー加工を役立てたい場合は、レーザー加工を得意とするMitsuriに、お気軽にお問い合わせください。

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    アルミのレーザー 加工ならMitsuri!【協力工場350社以上】最適な工場をご紹介します!

    この記事を読んでくださっている方の中には、「アルミのレーザー加工ができないって本当?」と不安に思っている方もいらっしゃると思います。結論からいうと、アルミは一般的に多く使われている炭酸ガスレーザー加工機ではリスクが高いために切断できません。実際に「アルミのレーザー加工を依頼したけど、断られてしまった」という経験をしたことはありませんか?アルミのレーザー加工や切断には、鉄やステンレスを加工するよりもリスクがあるため加工が難しいと考えられています。そのため、アルミのレーザー加工は行わない業者も多いのが現実です。では、アルミのレーザー加工をすることは不可能なのでしょうか?今回の記事では、アルミのレーザー加工についてはもちろん、どのくらいまでアルミをカットすることができるのかという事例を紹介しつつ、わかりやすく解説していきます。アルミのレーザー加工のやり方引用元 株式会社TANABEアルミを加工することができるレーザー加工機はいくつかありますが、その中でも一般的なものは、炭酸ガスレーザー加工機とファイバーレーザー加工機でしょう。そこでそれぞれの加工機について詳しく説明していきます。炭酸ガスレーザー加工機炭酸ガスレーザー加工機のレーザー光を発する発振器では、炭酸ガス(CO2ガス)が充填された発振器内で励起されたレーザー光を出力ミラーから取り出し、複数の反射ミラーで加工ヘッドまで伝送しています。炭酸ガスを使用する事からCO2レーザー加工機とも呼ばれています。前述でも説明した通り、アルミの反射によって加工機自体を損傷するリスクがあると言いましたが、最近の機械では反射で跳ね返ってきたレーザーを遮断する機構がついている物もあります。これによって機械が壊れる可能性もかなり低くなっていますので、技術蓄積のある加工業者では、アルミの中でも材料や板厚によっては炭酸ガスレーザーで加工する場合もあるのが実情です。ファイバーレーザー加工機ファイバーレーザーでは、複数の発振器ユニットから出力されるレーザーを1本の光ファイバーにまとめて加工ヘッドまで伝送しています。ファイバーレーザーを使用すれば、レーザー照射面積が小さく且つ高いエネルギーで加工できることから、加工速度が早く、反射光のリスクを気にせず加工することができます。この利点としては、他のレーザーと比べて切断面が均一でバリや歪みも最小限に抑えることができ、そのぶん手間を省くことができるという大きな特徴もあります。また、加工時間短縮もファイバーレーザーの優れているところです。さらに、エネルギー効率は炭酸ガスレーザーに比べ3倍以上とも言われ、電力消費量を大幅に削減できます。炭酸ガスレーザーで必要な暖気運転や炭酸ガスはもちろん不要で、ランニングコストは70%以上もカットできると言われています。発振器のメンテナンスが必要ないということからも、近年注目を集めているレーザー加工機のひとつです。最近は、高性能レーザー加工機を導入している業者も増えていてMituriで見積もりを行えばそういった業者をご紹介することも可能です。炭酸ガスレーザーでカットできるアルミの板厚について引用元 株式会社井田商店炭酸ガスレーザーを使ってアルミ板をカットしてくれる工場は、Mituriには多数あります。アルミ板材を炭酸ガスレーザーでカットすると、ギザギザの筋が入ったような断面になってしまいます。しかし、切断面を綺麗に仕上げる必要がない場合は、切削加工などに比べすぐにできるため、スピーディーかつリーズナブルな価格でカットできます。さらにCADデータ(DXF)があればさらに短納期でカットできるため、急いでいる方にはとてもおすすめな加工方法です。Mituriの協力工場ではt0.1㎜〜t6㎜までの切断に対応しています。ここまで幅広い厚さに対応している工場はそう多くはありません。ファイバーレーザーでカットできるアルミの板厚についてファイバーレーザーを使えば、通常のレーザーではカットできない厚さのアルミもカットできます。また、断面がキレイに仕上がるという特徴もあります。しかし、厚みがあるアルミ板材を切断するのはファイバーレーザーでも容易ではありません。そのため、ほとんどの業者ではt10㎜くらいまでの対応となってしまいます。Mituriでは、ファイバーレーザーでt20㎜の厚さまでのカットできる協力工場も存在します。ですから、厚みのあるアルミ板材を切断したい場合はMituriで見積もりをするのがベストでしょう。アルミ板のレーザー加工事例ここでは、アルミ板のレーザー加工事例をご紹介します。(アルミ板のレーザー加工品) 引用元:株式会社かねよし(ファイバーレーザーを使った深堀りマーキング) 引用元:株式会社アマダミヤチ(アルミのレーザー加工を施して作成した作品) 引用元:株式会社かねよし(ファイバーレーザーによるアルミへのレーザー彫刻) 引用元:レーザー加工機ドットコム(アルミ板厚t8㎜ クリーンレーザーカット) 引用元:株式会社大畠製作所なぜアルミのレーザー加工は難しいのか「アルミのレーザー加工を依頼したら断られてしまった」という方は多いと思います。なぜアルミのレーザー加工は断られてしまう場合があるのでしょうか。それは、一般的な炭酸ガスレーザー加工機では加工機を壊すリスクがあるためです。特に板厚が厚いアルミ等を加工する場合、レーザー加工機の加工ノズルから照射されたレーザー光がアルミニウムの表面で一瞬だけ反射されてしまうことがあり、そのとき加工ノズルからレーザー光が逆入し、加工レンズを破損してしまう可能性があるのです。また、加工レンズの破損にとどまらず、複数枚の反射ミラーを傷つけ、最悪の場合、発振器まで破損してしまう可能性もあります。このように、アルミを切ることによって、レーザー加工機自体が壊れてしまう可能性があるため、加工業者は受注に消極的になっていたのです。レーザー加工について【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!!代表的なアルミニウム合金代表的なアルミニウム合金には、どんなタイプがあるかについてご紹介する前に、アルミニウムがどのように分類されているかを先に説明します。アルミ材の選び方についてはこちら!材質として、アルミの番手をどういう基準で選べばいいのかを簡単に動画で解説しています! 9分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひ!アルミニウム合金の種類の見分け方金属加工に用いられるアルミニウムに、純度100%の物はほとんどありません。アルミニウムは、比重が軽く柔らかい性質を持っているため、製品にする上で強度が不足することがあるからです。製品強度が必要な場合は、アルミニウムにMg(マンガン)・Cu(銅)・Si(ケイ素)・Zn(亜鉛)・Mg(マグネシウム)・Ni(ニッケル)などを添加して強度を上げ、アルミニウムを合金にして対応します。このアルミニウム合金は、添加された金属によって分類され、アルミ番手と呼ばれる番号が割り当てられています。つまり、どんなアルミニウム合金なのかを知るには、「アルミ番手」に着目して見分ければ良いのです。●アルミ番手アルミ番手は、「A〇〇〇〇」のように、アルファベットAと4桁の数字になっています。アルミ番手は、1000番台から8000番台まであり、それぞれの特性を活かし様々な製品の材料として用いられています。それでは、それぞれの違いや特徴などを主な用途例と共にご紹介しましょう。1000系(純アルミニウム)1000系で有名なアルミニウム合金は、A1100とA1070に加えA1050などがあります。4桁の数字の下2桁は、アルミニウムの含有率の小数点第2位までを表しています。A1100はAl(アルミニウム)99.00%以上含有しており、、A1070はAl(アルミニウム)99.70%以上、A1050はAl(アルミニウム)99.50%以上含まれていることになります。主な用途例家庭用品電気器具送配電用材料放熱材化学工業タンク2000系(Al-Cu系:アルミニウム+銅)2000系を象徴するアルミニウム合金は、Cu(銅)で強度を高めたA2017・A2024などがあります。A2017はジュラルミン、A2024は超ジュラルミンのことです。強度を上げるため添加されたCu(銅)は、酸化しやすい性質を持つため、2000系のアルミニウム合金は酸化しやすく腐食に弱くなります。そのため、用途によってはアルマイト加工の表面処理をし、耐食性を高めます。主な用途例航空機用部材ねじギア部品成形用金型油圧部品3000系(Al-Mn系:アルミニウム+マンガン)3000系のアルミニウム合金の中では、A3003が良く知られています。3000系は、アルミニウムの特性である耐食性を損なわずに強度を上げるため、Mn(マンガン)を添加して作られたアルミニウム合金です。さらに強度を増すために、Mg(マグネシウム)を添加することも可能です。ただし、Mn(マンガン)を添加することで、強度と共に延性も向上するため難削となり、一般的な切削加工には向かない合金です。主な用途例建築用部材屋根材アルミ缶電球口金4000系(Al-Si系:アルミニウム+ケイ素)4000系のアルミニウム合金の中では、A4032が良く利用されています。4000系は、熱に強く摩耗しにくいSi(シリコン)をアルミニウムに添加することで、耐熱性や耐摩耗性を高めたものです。熱に強く熱膨張率が小さいため、ピストンやシリンダーなどに用いられます。しかし切削する場合は、この耐摩耗性の高さが工具への負荷を大きくするため、一般的な切削加工には向いていません。アルミニウム合金の中でも低融点合金である4000系は、溶接溶加材にも使用されます。主な用途例ピストンシリンダーヘッド溶接線5000系(Al-Mg系:アルミニウム+マグネシウム)5000系のアルミニウム合金は、A5052・A5056・A5083などが主な合金です。板材としてよく利用されるのはA5052、丸材におすすめなのがA5056、高強度が必要な製品にはA5083がよく採用されます。5000系は、耐食性の高いMg(マグネシウム)を添加することで、その特性をアルミニウムに取り込み、強度と耐食性を高めていて加工しやすいので、一般的な切削加工の材料に適しています。主な用途例調理器具燃料タンク建築用内外装反射板6000系(Al-Mg-Si系:アルミニウム+マグネシウム+ケイ素)6000系のアルミニウム合金は、A6061・A6063などが良く利用されています。アルミニウムにSi(シリコン:ケイ素)とMg(マグネシウム)が加えられたことで、5000系より強度が高く腐食しにくくなっています。A6061は、Cu(銅)を添加し熱処理で硬化することにより、SS400に負けない強度になります。一方A6063は、卓越した押出性があり、耐食性・表面処理性にも優れているため、複雑な断面形状の押出用に向いています。主な用途例車両・船舶などの輸送構造部材建築用サッシドア7000系(Al-Zn-Mg系:アルミニウム+亜鉛+マグネシウム)日本で開発されたことで有名な超々ジュラルミンA7075が、7000系のアルミニウム合金のシンボル的存在です。7000系は、アルミニウムにZn(亜鉛)とMg(マグネシウム)を添加し熱処理でつくられます。アルミニウム合金の中では、7000系が最も高強度を誇ります。主な用途例スポーツ用品(金属バット・スキーストックなど)艦型部材オートバイリム車軸8000系(その他の材料系: アルミニウム+Liリチウムなど)1000系~7000系のどれにも属さないアルミニウム合金が8000系になります。8000系でよく知られているアルミニウム合金には、Al-Li系合金であるA8011やA8021・A8079などのアルミ箔合金があります。Al-Li系合金は、Li(リチウム)を添加して開発されたため、高剛性に富んだ優れた低密度材で、航空機の材料にも適しています。アルミニウムにFe(鉄)を添加したアルミ箔合金は、腐食しにくい展延性に優れた合金です。主な用途例食品包装材医療用包装アルミキャップアルミニウム箔地電気通信用たくさんあるアルミの種類から、買うべきアルミがわからない時は、こちらの「アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります」の記事がお役に立ちます。その他のアルミ加工についてMituriでは、アルミのレーザー加工以外にもさまざまな加工に対応している協力工場が多数存在しています。アルミ加工についてはこちら【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!「少数だけ注文したいけど引き受けてくれる工場がなかなかなくて困っている」「初めて工場に依頼するからどこに依頼したらいいかわからない」という方にこそ、ぜひ見積もりを行っていただきたいです!まとめ今回の記事をご覧いただければ「アルミのレーザー加工を引き受けてくれる業者がある!」と希望を持っていただけるのではないでしょうか。たしかに、アルミのレーザー加工は比較的難しい技術であるため、そのぶん業者の実績や技術力も求められます。そんなときはぜひMituriを利用してみてください。Mituriは日本全国170社以上の協力工場と多数の実績をもつ数少ない受発注プラットフォームです。ぜひ一度Mituriで見積りをして、理想の業者にアルミのレーザー加工を依頼しましょう。

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    電解研磨とは!?加工方法や効果について専門家が解説!

    電解研磨という仕上げ加工方法をご存知でしょうか。電解研磨が電気分解による作用を利用していることは知っていても、具体的な方法までは分からない人も多いでしょう。また、電気分解の原理を知らない人も少なくないはずです。さらに、電解研磨をするとどのくらい金属の表面が綺麗になるのか気になりませんか。電解研磨は万能な方法ではありませんが、特定の金属や製品に対しては高い研磨効果を発揮します。この記事では、電解研磨の概要から原理、方法、得られる効果まで、幅広く解説します。ぜひ、電解研磨の理解を深める参考にしてください。電解研磨とは電解研磨とは、電気分解の原理を利用して、金属の表面を溶かして研磨効果を得ることです。一般的にSUS304やSUS316などのオ-ステナイト系ステンレスのほか、アルミニウムの研磨によく用いられています。電解研磨の特徴は仕上がりが美しいことです。物理的研磨や洗浄等では取り除くことが困難な、微細な傷や汚れでも排除することができます。さらに、電解研磨した金属の表面は均一に滑らかになるため、汚れが付着しにくい状態になります。たとえ汚れが付着しても、軽い洗浄で綺麗にしやすい状態が保たれます。また、物理的研磨と比較し、仕上がりが加工者の技量に左右されづらいのも特徴です。電解研磨の原理電解研磨は電気分解の作用により実現します。電気分解とは、化合物に電圧をかけることで、陰極で還元反応、陽極で酸化反応を起こして化合物を化学的に分解する方法です。引用元:ネプロス処理ABC上の図を例に、電解研磨の原理を見ていきましょう。まず、研磨したい部品(図の筒状の部品)を専用の電解研磨液に入れ、プラス側の電極とつないで、これを陽極とします。上の図で、青い線で描かれているのが陽極です。そして、マイナス側となる陰極も同様に溶液に差し込み、電流を流します。上の図では、陰極は赤い線で描かれており、研磨液の容器そのものも陰極として扱われています。電流とは電子の流れで、陰極から陽極に向かって流れています。上の図で言えば、「e」が示すのが電子です。電流は陽極から陰極に流れていると思われがちですが、電流の正体である電子は陰極から陽極に向けて流れます。電解研磨においては、陰極から流れてきた電子を、研磨対象の表面の金属原子が受け取ろうとします。たとえば、アルミニウム製品を電解研磨する場合は、表面のアルミニウム原子が電子を求めて研磨液中に溶けるのです。特に、溶液と接触する表面積が広い凹凸部分が優先的に分解されるため、結果的に凹凸が減って表面は滑らかになります。同時に、表面に不純物として付着していた別の金属等も溶け、製品表面がクリーンな状態になります。さらに、電解研磨した部品の素材がステンレスの場合、より耐食性の向上が期待できます。ステンレスは、電解研磨でなくても研磨すれば表面に酸化被膜を生じるため錆びませんが、電解研磨の場合、ほかの研磨方法よりも高い耐食性が実現できるのです。なぜなら、電解研磨では成分の中でも電解しやすい鉄が優先的に電解液に溶出することで、研磨した表面にクロムの割合が高くなった酸化被膜がより緻密で、より均一、より強固に形成されるからです。電解研磨の方法引用元:株式会社 中野科学電解研磨は、製品表面の陰極に近い部分から優先的に行われます。上の図で言えば製品の外面が優先的に分解されることになります。そのことに対して特に対策を立てず、そのまま電解研磨を行なうことを「成行き」と呼びます。溶液と最低限の電極さえ用意できれば良いため、もっとも安価に実現する方法です。しかし、成行きでは製品の部位によって電解研磨の効果がばらついて困ることもあります。その場合、電解研磨の効果を均一にするには、製品表面と陰極の距離が均等になるような工夫が必要です。これには陰極側電極を複数枚用意するなどの対策を行います。引用元:株式会社 中野科学上の図では、箱状の部品の内側も適切に電解研磨するために、箱の内側にも陰極を差し込んでいます。ほかにも、たとえば筒状の製品であれば、筒の中に陰極を差し込むことがあります。形状が複雑であるほど陰極の状態も複雑化するため、コストは高くなります。しかし、逆に言えば電極の位置を適切に調節できれば、様々な部品形状を研磨できるということです。たとえば、細いパイプの内側は物理的研磨が困難ですが、電解研磨であれば、内側に陰極を配置することで研磨できます。電解研磨の効果電解研磨は、表面の凹凸が大きい製品には不向きです。陰極の位置の調節が難しく、位置によってムラが生じるためです。一方、細かい凹凸(傷)や汚れの除去には適しています。具体的には、以下のような効果が得られます。1.仕上げ研磨の品質向上引用元:株式会社 中野科学仕上げ研磨を行う前に電解研磨を行うことがあります。事前に細かい汚れや傷を排除することで、仕上げ研磨がより美しく仕上がります。2.溶接焼けの除去溶接焼けを除去するには、電解研磨だけでは難しいため、酸洗いも併せて行います。ただし、溶接時に生じる黒い焦げのような部分は、電解研磨や酸洗いでも除去が困難なため、物理的研磨も行います。また、油の焼き付きも同様に物理的研磨のほうが向いていますので、これらの方法と組み合わせて使用されています。3.洗浄効果引用元:株式会社 中野科学電解研磨では、目に見えない微細な汚れも落とせます。さらに、表面が滑らかになり汚れが着きにくくなります。たとえ実用上は問題がなくても、見た目が美しいほうが製品価値は向上するでしょう。4.バリ取り引用元:株式会社 中野科学大きなバリであれば物理的研磨や化学研磨で除去できます。しかし、細かいバリをそれらの方法で除去するのは困難です。電解研磨であれば、上の図のような微細なバリも除去できます。5.光沢を出す引用元:株式会社 中野科学電解研磨で製品表面に金属光沢を出すことができます。特に、バフ研磨と組み合わせることで、鏡面化も可能です。ただし、すべての金属で可能なわけではありません。たとえば、BA材や2B材では美しい光沢が出ますが、#400材ではかえって見た目が悪くなるので注意が必要です。上の図は2B材の鏡面化した例です。まとめ電解研磨の概要や原理、方法、効果について解説しました。電解研磨では、オ-ステナイト系ステンレスやアルミニウム製品を研磨することが可能です。物理的研磨が難しい部分でも、美しく仕上がるのが特徴です。しかし、あらゆる製品に適用できる万能な方法ではないため、素材に適した加工方法をよく見極めることが大切です。また、依頼するメーカーによっても仕上がりは変わってくるでしょう。電解研磨を依頼したいときは、ぜひMitsuriにご相談ください。

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    板曲げが得意な工場をご紹介!依頼時に注意すべき点についても解説!

    板曲げ加工とは、プレスブレーキなどを用いて、金属板をV字やU字などさまざまな形に曲げる加工方法です。金物部品やパネルなど多くの分野で板曲げ加工は使われます。ただ、依頼を出す場合にどの工場へ発注するか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。板曲げ加工にも、工場によって得意としてる加工が異なるため、依頼先の選定は非常に大切です。そこで今回は、板曲げ加工の依頼を出したい方へ向けて、金属板の曲げ加工が得意な工場を3つご紹介します。依頼時の流れや注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。板曲げの加工を依頼する際の流れ初めて板曲げ加工を外注する場合、どのような流れで注文すればいいかわからない方は多いと思います。ここでは、板曲げ加工を依頼する際の流れについて解説します。注文時の流れを把握しておき、依頼をスムーズに行いましょう。1.工場に見積り依頼まずは、工場に見積り依頼を出します。見積りをお願いする際には、特に以下の点を記載しておきましょう。・要求仕様・設計図・制作個数・希望納期また、設計図がない場合は簡単なラフ図を提示するのがおすすめです。ラフ図があるだけで、製品イメージがつきやすくなり、正確な見積り書を提出してくれるでしょう。無料で見積りできる企業が多いですが、担当者が時間を割いて見積り書の作成を行っています。できるだけ、担当の方が困らないように細かく要望を伝えておきましょう。2.見積り比較/工場決定複数の会社からいただいた見積りの比較を行い、依頼する工場を決定します。見積りを複数社に出すのは、それぞれの会社で加工方法、加工コスト等、最終的にかかる費用が異なるからです。1社だけに見積りを出しても、提示された値段が適切なのかどうかわかりません。複数社から見積りを取り、費用や納品日などを参考にその製品にあった工場を選定してください。3.製作~納品工場選定が終わり、打ち合わせも終了すれば、実際に製品の製作から納品までが行われます。この段階に入ると、基本的に発注者側が行うことはありません。もし、初めての依頼で加工状況がどうなっているのか気になる場合は、進捗を確認してみてもいいでしょう。板曲げ加工を依頼する際の注意点板曲げ加工を依頼する際には3つ注意点があります。注意点を抑えておくと、業者との打ち合わせがスムーズに進んだり、加工コストを抑えたりできるでしょう。板曲げ加工を依頼する際は、ぜひ参考にしてください。1.加工工程はできるだけ少なくする業者側の加工工程をできるだけ少なくなるように製品図面を作成しましょう。板曲げ加工だけでも、曲げ回数が多かったり、斜め加工があったりして加工難易度が高まるとコストがかかってしまいます。ほかにも、穴あけ加工や切断加工があると、さらに加工コストが増えるでしょう。そのため、設計段階でできるだけ少ない工程で加工できるように図面を作成するのがおすすめです。図面を作成できない場合は、ラフ図でもいいので作成しておきましょう。2.材質の選定に注意依頼する際には、どの金属で製品を作ってもらうか材質の選定を行いましょう。製品の用途や使用環境によって適正な材質は異なります。ただ、どんな材質が適切かわからない場合は、用途や使用する環境、予算を詳しく伝え業者に素材を提案してもらうのも一つの手段です。ただし、業者にも得意・不得意があるので全てに回答できるわけではありません。場合によっては複数社に使用する素材を聞き、比較することも良いでしょう。3.最小曲げrについて素材を曲げるために、曲げる位置から曲げの中心部までの半径を求める必要があります。これが曲げrのことです。素材が割れないぐらい曲げ加工が行える限界のrを、最小曲げrと呼ぶます。最小曲げrが大きくなると希望通りの製品を作れない可能性があります。最小曲げrは素材や板厚によって変わってくるため、正確に計算することは難しいです。そのため、多くの場合設計者の経験値によって設定されています。参考記事最小曲げrについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。⇒曲げRの計算方法について【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説では、金属板の曲げ加工におすすめの工場を3つご紹介していきます。以下はMitsuriとの提携工場です。金属板の曲げ加工おすすめ工場①【スリーナイン島野株式会社】引用元:スリーナイン島野株式会社①会社概要本社:大阪市西区南堀江3丁目2番17号TEL:06-6531-9423/ FAX:06-6538-0174創業年:1956年加工内容:陳列装飾金物、硝子付属金物、家具金物などURL:https://www.999shimano.com/②会社紹介大阪市西区にある1956年に創業された、陳列金物や家具・建築金物などの内装機能備品の製作を行っているのがスリーナイン島野株式会社です。金物の中でも、硝子引戸レールには長年の経験と知恵から高い自信を持っています。硝子引戸レールのような薄板長尺の曲げ加工を依頼したい場合は、ぜひスリーナイン島野株式会社へご依頼ください。③メリット得意な加工は薄くて細い素材の板金加工。手加工で曲げることで、他社にはできないような難易度の高い曲げ加工を行うことができます。協力工場と連携しながら、独自金型を作り上げて生産効率を上げているのも魅力的なポイント。依頼する際は多品種微量生産が可能になっています。また、バフ研磨加工を1本1本丁寧に手磨きで行っているのも特徴です。「装飾」を目的とした金物も作っているため、見た目の美しさは非常に大切しており、手磨きすることで職人それぞれの微妙な研磨の違いを楽しめるでしょう。④製品紹介(硝子付属金属)(硝子付属金属)(硝子引戸レール)参考記事スリーナイン島野株式会社について詳しく知りたい方は、下記のインタビュー記事もご参照ください。⇒スリーナイン島野株式会社金属板の曲げ加工おすすめ工場②【株式会社NTメタル】引用元:株式会社NTメタル①会社概要本社:鹿児島県鹿児島市七ツ島1丁目4-9TEL:099-230-0594 /FAX:099-230-0694創業年:2014年加工内容:スチール・アルミ・ステンレスなどの板金切削、非鉄金属の製作施工、レーザー加工URL:https://ntmetal.amebaownd.com/②会社紹介鹿児島県鹿児島市にある板金・製缶加工業者が株式会社NTメタルです。創業が平成26年と比較的若い会社ですが、ステンレス材を中心に鉄やアルミ、真鍮といった金属の加工を得意としています。株式会社NTメタルなら、加工状況によりますが最短で当日発送が可能です。板金・製缶加工の依頼先に悩まれている方は、ぜひ株式会社NTメタルにご相談ください。③メリット設備が充実しており、特に「AMADA LC3015F1」というレーザー加工機は板厚0.3~3.2mm最大2420mmの長さの金属板を加工可能です。そのほかには以下のような設備・ソフトを取り揃えています。・シャーリング・タレットパンチプレス・プレスブレーキ・2D CADまた、加工状況によりますが最短で当日発送を行えるのも魅力的なポイントです。④製品紹介(板金加工)(板金、レーザー加工)(板金、レーザー加工)金属板の曲げ加工おすすめ工場③【株式会社エッジ・エンタープライズ】引用元:株式会社エッジ・エンタープライズ①会社概要本社:東京都墨田区八広3-29-11TEL:048-446-7880 /FAX:048-446-7885創業年:1952年加工内容:ステンレス板金加工、建築内外装飾品製作、サイン看板製作などURL:http://www.edge-enterprise.jp/index.html②会社紹介1952年に創業した、東京都墨田区に本社をおく企業が株式会社エッジ・エンタープライズです。多品種小ロットの生産を行っており、依頼主のさまざまなニーズに対応できます。・建築金物・フレームやパネル・バンパーやベンダーなどの装飾品関係株式会社エッジ・エンタープライズでは、上記のような製品加工を得意としています。最新のレーザー加工機を用いて、文字抜きなどの細かい装飾も加工可能です。③メリットラフ図からの図面起こしから、加工、検査・納品まで全ての工程を自社工場だけで一貫対応ができます。さらに、15種類340パターンの材料を常備しているので、材料発注などの手間が少なくなり短納期で納品も可能です。サイン看板パネルや折り曲げ加工の依頼先に悩まれている方は、株式会社エッジ・エンタープライズに依頼してみてはいかがでしょうか。④製品紹介(シンクパネル)(外壁パネル)(証明関係)参考記事株式会社エッジ・エンタープライズについて、さらに詳しく知りたい方は代表の森川氏へのインタビュー記事をご参照ください。⇒株式会社エッジ・エンタープライズ板曲げ加工の見積り依頼ならMitsuri今回は、金属板の板曲げ加工のおすすめ工場や依頼時の注意点についてご紹介しました。金属板の曲げ加工を依頼する場合、加工工程を少なくしたり、最小曲げrを確認することが大切です。解説した3つの注意点を気にしておくと、製品コストを下げて依頼できるでしょう。また、今回ご紹介した3つの工場以外にも、それぞれの会社には得意分野があるため、記事の内容を参考にあなたが作りたい製品に合わせて、加工工場の選定に役立てていただけたら幸いです。Mitsuriがお取引しているメーカー様は、日本全国250社以上です。取引メーカーの中には板曲げ加工ができる会社は多数あります。板曲げ加工をどこのメーカーへ出すか考えている方は、完全無料で複数社から同時見積りが取れるMitsuriに、ぜひご相談ください。

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    アルミケースの加工方法、業者について紹介!

    「アルミケースの加工方法が知りたい」「自分で加工してみたいがやり方がや必要な道具が分からない」「業者に加工を依頼したいがどうすればいいのか」アルミケースを加工するには、様々な道具を用意した上で、加工する技術が必要になります。丈夫でデザイン性に優れているアルミケースは、アンプ・スピーカー・パソコンなど電子機器に多用されています。電子工作を趣味にしていたり、音響機器などを扱う企業で、アルミケースの加工が必要になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はアルミケースの加工方法、おすすめの加工業者をご紹介していきます。必要な道具や、自作する際の注意点もまとめていますので、アルミケース加工時の参考になれば幸いです。アルミケースの加工方法アルミケースの加工は、主に下記の流れで行われます。①切断加工②曲げ加工③穴あけ加工④接合自作する方は、既に箱状になっているアルミケースを加工する場合が多いかと思いますが、順を追ってご紹介していきます。①切断加工まず始めに行うのは、切断加工です。切断前に図面を作成して、寸法を決めます。その後アルミケースの元になるアルミ板に、目印となる罫書き線を書き込み、切断します。この時アルミの厚さによって、適切な道具が変わります。薄い場合はカッター、厚い場合は金切鋸やサンダー電動工具など、業者であればレーザー加工機を使用します。②曲げ加工アルミ板を切断加工した後は、箱状にするため曲げ加工を施します。曲げ加工はベンダーマシンを使用するのが一般的で、上型と下型の間にアルミを入れ、押し込む圧力によって型通りに変形させます。その際は、切断加工と同様、アルミの厚さによって適切な曲げ加工方法が変わります。薄い場合は直角に曲げても美しく仕上がりますが、厚みがある場合は、角Rを付けた方が仕上がりが良くなります。曲げ加工は、アルミの弾性も考えて行わなければいけないので、ある程度の技術が必要とされます。③穴あけ加工曲げ加工前に穴あけ加工を施す場合も多々あります。手順については、効率の良い順番で行います。切断加工時の罫書きを入れる際に、穴あけ加工を施す場所にもポンチで罫書きを入れておきます。罫書きを入れた場所に、寸法より小さ目の穴をあけ、その後寸法通りの大きさに加工します。ドリルで穴を円の中心部分として、圧力で押し切るシャーシパンチや、ホールソーなどで穴を広げます。角穴加工を施す際は、ドリルで開けた穴をニッパーで繋げていく方法や、鋸で切っていく方法があります。最後はやすりで寸法通りに整えます。④接合アルミ板同士の接合は、主にリベットが使用されています。リベットはリベッターと呼ばれる工具で、かしめ作業を行う事で素材と素材を結合します。穴あけ加工で事前にあけた穴にリベットを差し込み、リベッターでかしめることで圧力により素材と素材を結合します。またアルミの厚さによっては、溶接やネジ・ナットで接合する場合もあります。自作でアルミケースの加工をおこなう方法電子工作が趣味で、アルミケースを自作したい、自分で加工したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際にアルミケース加工を自作している方は大勢いらっしゃいます。加工時に必要となる道具や、自作する際に注意するべき点をご紹介していきます。加工に必要な道具①ものさし・スケールまず必要なのは、図面を作成したり寸法を測るのに使用するものさしやスケールです。②カッター・センターポンチ・ハンマー切断加工、穴あけ加工を施す場所に罫書きを入れるために使用します。センターポンチは上からハンマーで叩き、罫書きを入れます。手で押し込むだけで罫書くことができるオートポンチもあります。③卓上ボール盤・電動ドライバー・ドリルビット卓上ボール盤は、穴あけ加工を施す際に、アルミ板を固定してドリルで穴をあけるために使用します。自力で固定して、電動ドライバーで穴をあけることも可能です。卓上ボール盤は簡単に固定できますが、素材の大きさ次第で使用できない場合があります。電動ドライバーは自身でしっかり固定しなければいけませんが、素材の大きさに関係なく使用できます。ドリルビットは金属製を使用します。④シャーシリーマ・シャーシパンチ・ホールソードリルであけた穴を、寸法通りに大きくするために使用する道具です。シャーシリーマーは穴を少し広げる際に、手で時計回りに押し込みながら使用します。シャーシパンチ・ホールソーはさらに大きく加工する際に卓上ボール盤や、電動ドライバーにセットして使用します。⑤ニッパー・ハンドソー・やすり角穴加工を施す際には、ドリルであけた穴をニッパーかハンドソーで繋げ、仕上げにやすりで寸法通りに削っていきます。⑥タップ・ドライバー・ナットドライバータップはネジ穴を作成する場合に使用する道具です。下穴にタップを通し、ネジの種類に合わせた穴を作成します。ドライバーやナットドライバーはネジ、ナットを締める際に使用します。⑦ペンチ・ベンダー曲げ加工を施す際に使用します。ベンダーを使用するのが確実ですが、細かい曲げ加工が必要な場合は、ペンチで行う方もいます。⑧作業用の手袋切断した後の角や、切粉が刺さるなどのケガ防止用です。またアルミは素手だと滑る可能性が高いので、滑り止め付きの作業用手袋がおすすめです。アルミケースの加工を自作でおこなう際の注意点アルミケース加工時には、注意するべき点があります。ケガ、事故、トラブルの元になるので、十分注意して作業しましょう。①固定が緩い切断加工、穴あけ加工、曲げ加工、全ての工程で注意するべき点です。特に電動ドライバーなどの工具を使用する際に固定が甘いと、アルミ板が回転したり、電動ドライバーが滑り体に当たるなど、ケガ、事故の元になります。何かで挟み込むなど、しっかり固定した上で、滑り止めの作業用手袋を着用して作業しましょう。②アルミの破片、切粉の放置アルミの破片や切粉を放置すると踏んだりした際に、ケガの元となります。切粉は目に見えない場合も多いので、加工後はすぐに処理しましょう。③騒音問題自作する方は特に注意しなければいけないのが、騒音問題です。電動ドライバーなどの工具を使用する場合は、騒音や振動に気を付けなければいけません。特に集合住宅や住宅街で使用する際は、防音対策が必要となる場合もあります。作業している本人は気にならないかもしれませんが、周囲の方にはうるさく感じることもあります。トラブルの元になるので、騒音には十分注意しましょう。アルミケースの加工を依頼する場合のおすすめ業者3選株式会社タカチ電機工業引用元:株式会社タカチ電機工業基本情報本社:埼玉県川口市東領家3-21-16TEL:048-222-5430FAX:048-222-5502創業年:昭和54年HP:https://www.takachi-el.co.jp/①会社紹介株式会社タカチ電機工業は、工業用、電気用の筐体などに使用されるアルミケースを主に加工生産している企業です。リピートすることで、5%割引が適用されるので、コストの削減に繋がります。②製品紹介(ヒートシンクアルミケース EXHシリーズ)(IP67防水アルミケース AWNシリーズ)(プロテクター付防水アルミケース AWPシリーズ)アクテック株式会社引用元:アクテック株式会社基本情報本社:大阪府枚方市長尾家具町3-10-10TEL:072-857-0898FAX:0120-898-001創業年:昭和47年HP:http://www.actec1972.co.jp/①会社紹介アクテック株式会社は、収納用、保管用のアルミケースを中心に加工を行っている企業です。元々あるテンプレートから製品を選べる他、オーダーメイドにも受け付けていて、1mm単位の調整も可能としています。②製品紹介三晃電器工業 株式会社引用元:三晃電器工業 株式会社基本情報本社:大阪府大阪市東住吉区中野1-13-9TEL:06-6701-0407FAX:06-6704-0367創業年:昭和44HP:http://www.sankoudenkikougyou.co.jp/①会社紹介三晃電器工業 株式会社は、アルミの板金加工を得意としている企業です。サイズの小さな精密加工を、小ロットから受け付けています。通信機器メーカーや制御機器を取り扱う企業などと取引実績があります。②製品紹介(ラックケース)(小物精密板金)(農業機械部品)アルミケースの加工に関するまとめ今回は、アルミケースの加工方法や必要な道具、ご依頼におすすめの企業をご紹介しました。切断加工、穴あけ加工、曲げ加工など、アルミケース加工に使用される方法は複数あり、パンチや電動ドライバーなど必要な道具も様々です。ご自身での加工が難しい、時間がとれない方は、企業へのご依頼がおすすめです。

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    溶接方法について専門家が解説!【協力工場140社以上】溶接でお困りならMitsuri!

    皆さんは溶接にどのようなイメージをお持ちでしょうか。重装備をしたエンジニアがバチバチと火花を散らして、鉄板相手に格闘している光景を思い浮かべる人もいるでしょう。一口に「溶接」といっても非常に奥が深く、実に様々な溶接方法が存在します。「溶接について詳しく知りたい」「どんな溶接方法があるの?」本記事では、溶接方法の種類について簡潔に解説いたしますので、参考にしていただければと思います。そもそも溶接とは溶接とは、二つ以上の金属部品同士を繋ぎ合わせる方法です。基本的には同種の金属を溶接しますが、特別な方法を用いることによって異種同士を接合ケースもあります。金属加工でよく使われる溶接方法6選!溶接は単純に見えて奥が深く、数多くの方法があります。ここでは、一般的によく使用される溶接方法を解説していきます。TIG溶接「TIG溶接」は溶接ビードが一番きれいな溶接方法です。技術がある溶接工が仕上げた溶接ビードは、鱗が均一に整い、溶接ビードが製品の美観を損ないません。そのため、美観を意識する製品はTIG溶接が適しています。TIG溶接では、高温に強いタングステン電極棒よりアークを発生させ、母材を溶かし溶接棒(溶加材)を加えていきます。アークによって溶かされた母材をアルゴンガスなどのシールドガスで守ることによって、溶接部分の酸化やブローホールを防ぎます。TIG溶接はビードが美しく仕上がりますので、ステンレスやアルミでの溶接に多用されています。スパッタが飛ばず、ヒュームも少ないため、ほとんど汚れずに溶接できる点においては優れています。ただし、母材をしっかり温めなければならない関係上、スピードが他の溶接方法に劣り、広範囲の溶接には向かないのが難点です。また、アークの温度は高く、紫外線も強いため日焼けを最もしやすい溶接方法です。TIG溶接についてはこちらティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!プラズマ溶接プラズマ溶接はTIG溶接と基本的には同じですが、タングステン電極棒からアークを発生させ、母材を溶かし溶接します。ただし、プラズマ溶接では水冷ノズル内にプラズマガスを発生させ、アークを極限まで狭めプラズマアークとなります。プラズマアークはTIG溶接より溶け込みが深いです。溶け込みが深いため、TIG溶接では4パス必要な厚みでもプラズマ溶接では1パスで事足り、熱変形による母材の歪が少なく効率の良い溶接ができる点は魅力的。しかし、溶接機が高価でメンテナンスもコストがかかるだけでなく、調整が難しい点がデメリットです。被覆アーク溶接被覆アーク溶接は、溶接棒から直接アークを飛ばし、母材と溶接棒を溶かしながら融合させていく溶接方法です。溶接棒を電極で加えて溶接するので、製造現場では棒溶接とも呼ばれています。溶接棒の周りには、酸化やブローを防止する被覆がされているお陰で、シールドガスが不要。ガスが要らず携行設備が不要なため現場溶接に向いており、建設現場の鉄骨は被覆アーク溶接が多用されています。昔は工場でも被覆アーク溶接が主流でしたが、スラグやスパッタが大量に出るのと、溶接スピードが半自動溶接より劣るため、今ではほとんど半自動溶接に置き換わっています。しかし、横向きや立て向き姿勢の溶接が必要な箇所の母材に対する溶け込みは、被覆アーク溶接の方が優れており、工場でも大型架台を製造する会社は被覆アーク溶接を使用しています。ただし、溶け込みが深い反面、ビードの外側にアンダーカットができやすいため、熟練の技術は必要不可欠。近年、被覆アーク溶接技術者の減少が目立ってきており、技術力低下が叫ばれています。アーク溶接についてはこちら【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説CO2(炭酸ガス)溶接CO2溶接とは、シールドガスに炭酸ガスを用いる溶接方法で、半自動溶接で使用されています。半自動溶接は炭酸ガスをシールドガスに使用していることが多いです。溶接母材は鉄のみで、アルミなどの非鉄金属では使用できません。炭酸ガスはアルゴンガスと比較して費用が安く、アークが細くなるため溶け込みは他のガスより深くなります。半自動溶接は、溶接棒が減って高さ調整が必要な被覆アーク溶接と異なり、溶接ワイヤーが自動的にトーチの先端から出てきてアークを発生させ、母材を溶かしながらワイヤーと融合する溶接方法です。溶接母材によって電流と電圧を調整し、被覆アーク溶接に比べてスピードが速くスラグが格段に少ないのが特徴です。ワイヤーが自動的に出るため、肉盛りがしやすい反面、溶け込みが浅くなりやすい点に注意しなくてはなりません。また、オーバーラップが最も多い溶接方法といえます。CO2溶接についてはこちら炭酸ガスアーク溶接とは?【3分でわかる】向いている金属もご紹介!MAG溶接「MAG溶接」はCO2溶接と同じく半自動溶接の一種です。使用するシールドガスには、アルゴンガス80%、炭酸ガス20%の混合ガスを使用します。MAG溶接も非鉄金属を溶接することはできません。CO2溶接と比較してスパッタが少なく、キレイなビードで溶接が可能です。外観を重視する溶接では、MAG溶接を用いることが多いです。ただし、溶け込みに関しては不活性ガスを使っている関係上、アークが広がり浅くなりやすいのが難点。また、コストもCO2ガス溶接に比べて高価です。マグ溶接についてはこちら【マグ溶接】マグ溶接原理や特徴を解説!!他の溶接との違いはどこにある?MIG溶接「MIG溶接」は、アルゴンガスを使用した半自動溶接のことを言います。アルゴンガスを用いているため、アルミやステンレスなどの非鉄金属が溶接でき、スパッタが少なく半自動溶接の中でも見た目が一番きれいな溶接方法です。TIG溶接と異なり、半自動溶接のためスピードに優れ、アルミやステンレスを広範囲に溶接する場合はMIG溶接が適しています。しかし、MIG溶接設備を整えている会社は多くありません。理由は、MIG溶接を覚えるのに時間がかかるのと、広範囲に非鉄金属を溶接するケースが少ないからです。そのため、CO2溶接とTIG溶接を主軸にしている工場が多い傾向にあります。MIG溶接を主軸にしている工場は、ステンレス専門製造企業といえます。Mitsuriでは、6種類の溶接方法全てに対応することができます。ミグ溶接についてはこちらミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!その他の溶接これまでは主要溶接方法を説明しましたが、頻度や使用できる箇所が限定的な溶接方法もご紹介します。スポット溶接「スポット溶接」は、2枚の鉄板を電極と電極で挟み込み、鉄板を貼り合わせる溶接方法です。これまで紹介した溶接と異なり、プレス機のようなスポット溶接機に板を設置し、上から押し付ける形で溶接します。特別な技術は必要ない為、比較的簡単にできる溶接方法と言われています。スポット溶接は板が厚かったり、サイズが大きすぎたりすると接合面まで熱が伝わらず、充分に溶接されないこともあります。自動車工場などにある大型スポット溶接機であれば、板が厚くてもスポット溶接可能です。スポット溶接をする際は、接合する溶接機にあった板厚を選択する必要があります。スポット溶接についてはこちら【スポット溶接】メリット・デメリットや他の溶接との違いを専門家が解説!レーザー溶接「レーザー溶接」は、圧縮したレーザーを照射し、一枚板同士を接合させる方法です。レーザーの出力を微妙に調整することによって、接合部を溶かし溶接します。溶接棒を足すわけでなく、なめ付けとなるため強度は比較的弱め。しかし、レーザーを高速で深くまで照射できるため溶け込みは深く、ゆがみが少ないのが特徴です。ステンレスでも溶接できるため、大手自動車メーカーなどでは自動レーザー溶接機を設置していることもあります。また、溶け込みが浅いが肉盛が十分な半自動溶接とレーザー溶接をハイブリットした溶接方法が研究されています。レーザー溶接についてはこちら【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!溶接方法の比較溶接方法を紹介してきましたが、それぞれの特徴や違いについてまとめていきます。まず、シンプルな加工におすすめの方法はティグ溶接となります。基本的な突合せ溶接などをする際にはおすすめです。ティグ溶接と似ている手法にプラズマアーク溶接がありますが、プラズマアーク溶接の方が高温で溶接速度が速いという違いがあります。プラズマ溶接はTIG溶接と基本的には同じですが、タングステン電極棒からアークを発生させ、母材を溶かし溶接します。しかし、あまり経済的でないため肉盛溶接などに用途が限られています。生産性が高いのはスポット溶接です。溶接時間が短く効率的に溶接できるので、自動車ボディの接合などに使われています。そして、さらに効率的なのがレーザー溶接です。スポット溶接の代用技術として導入が進められており、産業用ロボットと組み合わせて使われています。溶接時の手間が少ないのは、半自動溶接です。これにはCO2溶接、MAG溶接、MIG溶接などが含まれます。トーチのスイッチを押すとワイヤーが自動で出てきて母材に接触し、ワイヤーと母材を溶かして溶接できます。CO2溶接は半自動溶接の中では最もコストが低く、使われる頻度も多いです。鉄の溶接に最適となっています。MAG溶接は炭酸ガスとアルゴンガスが組み合わさっており、CO2溶接よりもスパッターが少なくきれいに仕上がります。MIG溶接は主にアルゴンガスを主成分としており、鉄ではなくステンレスやアルミの溶接に使われます。仕上がりも美しいので、表面の加工などに最適です。一流の板金加工業者に依頼しませんか?溶接ならMitsuri!今回は代表的な溶接方法についてご紹介しました。溶接方法は数多くの種類があり、製品によって適した溶接方法は異なります。実は溶接方法を選択するにあたり、明確な基準はなく、設計者や作業者の好みや考え方で異なる事があります。つまり、経験や技術がない会社に依頼すると、溶接方法の選択を誤り、熱変形によるゆがみや溶接不良が発生してしまいます。

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    金属加工の塗装の依頼方法のコツ!

    過去の記事で、各塗装方法の特徴、メリット・デメリットを解説してきました。※気になる方は、こちらの記事をご覧ください。こちらの記事では、実際に工場へ塗装を依頼する方法と、NG例を紹介します。【6分でわかる】塗装の依頼方法工場さんに塗装をお願いするときのコツを簡単に動画で解説しています!6分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひご覧ください!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!一言で「塗装」と依頼するだけでは見積がつきません。下記の項目を埋めて、初めて見積や加工ができるようになります。①どの製品に塗装するのか図面を用意する②個数③色を指定④艶の具合⑤塗装方法 ※指定なしでもOK⑥用途①製品の図面を用意するサイズ・形状・材質がしっかり記載された図面を用意しましょう。サイズ・形状により、用意する塗料の量が変わります。材質により、塗装金額が変わる場合もございます。また、塗装する際は吊り下げて塗装をすることが大半です。必ず吊り穴となる穴があるように設計しましょう。穴のない製品で塗装を依頼すると、工場から吊り穴の追加をお願いされることが大半です。必ずチェックしましょう!②個数個数が多ければ多いほど製品1個あたりの塗装費は安くなります。さらに、用意するべき塗料の量も左右されるため、必ず記載しましょう。③色の指定塗装できる色は様々で、原色のものもあれば調色してご希望の色に合わせることもあります。「黒」や「白」というオーダーであればわかりやすいのですが、「緑」というオーダーであれば、工場も困ってしまいます。例えば「緑」という色でもこのように様々な「緑」があります。どの「緑」かわかるように、予め色を細かく指定しましょう。色の指定方法は大きく4つあります。マンセル値で指定マンセル値は、数字とアルファベットで色を表しています。R(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)、P(紫)、と基本の5色相とその中間色で計10色相をアルファベットで表します。中間色とはYRの場合はR(赤)とY(黄)の中間になるので、オレンジになります。各色相は、主に2.5、5、7.5、10と数字を刻みます。5Bあたりにつきましては、青緑色になっており、一般的に青と想像できる色とずれていますのでご注意ください。また、明度と彩度も数字で表します。明度は黒を0、白を10として11段階に分割しています。しかしながら、完璧な黒、完璧な白は再現できないため、0や10はなく、最も暗い黒で1.0、最も明るい白で9.5になります。彩度は鮮やかさを0から14程度までの数値で表します。白や黒といった無彩色に近い、色味の薄い色ほど0に近く、鮮やかな色ほど数値が大きくなります。最も鮮やかな色の数値は色相によって異なり、赤は14〜16程度ありますが、青は8程度になります。ご希望の色の数値を確認したい場合は、マンセル値測定器を使うか、色見本から選択してみてください。通称:「日塗工」の色見本帳から色を選択する「日塗工」とは、一般社団法人日本塗料工業会の通称です。色見本帳を見ながら色を選択できます。「色票番号」という各色をアルファベットと数字で組み合わせた番号で色を指定します。1995年を境に色票番号の表記ルールが変わっています。現行の番号と表記が違う場合はご注意ください。色見本帳は2年毎に最新版が発行されています。こちらのページを書いた2022年4月ですと、最新版は2021年版になります。また、色見本帳の有効期限は3年と設定されています。塗料の色にも色見本帳の色にも経年劣化があり、数年経てば原色を保っていることがありませんので、色の打ち合わせは最新版でのお話をおすすめします。参考:一般社団法人 日本塗料工業会色見本サンプルを工場に送るすでに塗装されたものを塗装工場に送り、同じような色に調色してもらえるよう塗装を依頼できます。サンプルは見積依頼をする際に同意を得る前に送るのではなく、必ず工場の同意を得てから小さいサイズのものを送りましょう。色にこだわりがない場合は…こだわりがない場合は、こだわりがない旨を伝えましょう。ある程度色の希望を伝えつつ、下記のように伝えてみましょう。例)「白に近い色であれば大丈夫です。」「鮮やかな青でお願いします。塗料はあり合わせのもので大丈夫です。ない場合は原色の青でお願いします。」色の希望もない場合は、白・黒・ベージュから選択してみましょう。この3色は、よく塗装される色です。そのため、塗料を在庫している可能性が非常に高いです。都度塗料を調達する必要がなくなる可能性が高いため、塗装費が他の色と比べて安価になる可能性が高いです。どの色の指定方法も厳密にいえば、色の差が発生してしまいます。複数の部品を塗装し、組付けして、色のわずかな差が気になるようでしたら、塗装のみ同じ塗装工場へ出せるように手配するのがオススメです。④艶の具合色を選択したら次は艶です。艶の具合は、艶あり・艶なし・半艶(五分艶)・〇分艶と指定します。艶の有無は塗料に艶消し剤を入れて作っていきます。そのため、艶ありより艶なしの方が艶消し剤を入れる段取り分高価になります。艶の有無でも単価に差が生じますので、必ず指定しましょう。⑤塗装方法(指定なしでもOK)様々な塗装方法があります。各塗装方法やメリットデメリットはこちらの記事で解説しています。吹付塗装、焼付塗装、粉体塗装、電着塗装など様々な塗装方法があります。特に指定がない場合は一般的に吹付塗装か焼付塗装になります。もし、シボ加工のように表面に凹凸を出すような特殊な塗装をご希望の場合は必ず記載しましょう。対応可能な工場が限られてくる上に、通常の塗装より高価になります。⑥用途簡単で構いませんので記載しましょう。塗料にも屋内用と屋外用があります。それ以外にも用途別で塗料がラインナップされています。屋内用か屋外用かだけでも記載しましょう。塗装の依頼は、図面、個数、色、艶、塗装方法、用途の項目を揃えることでスムーズに依頼ができるようになります。一つでも欠けてしまうと見積がつかなくなる可能性が高くなりますので、必ず依頼前に確認しましょう。図番:ABC-333個数:30個色:2.5Y8/1.5艶:艶あり塗装方法:焼付塗装用途:屋内用図面に記載する箇所がない場合は、上記のように記載するとわかりやすくなります。いかがでしたか?Mitsuriでは塗装も含めた金属加工を依頼できます。見積依頼はこちらから!

  • 塗装とは?金属加工の塗装について解説!

    塗装と聞くと、金属をはじめとするさまざまな物に色を塗り、見た目をキレイにするイメージがありますが、それ以外にも金属をコーティングすることで保護する役割を持っています。そのため、めっきと比較されることも少なくありません。今回の記事では、塗装の特徴や種類、メリット・デメリットやめっきとの違いなどをご紹介します。金属製品を装飾したり、保護・防錆をしたりすることを目的に塗装を考えている方は、どういった種類の塗装をするのが適しているのかも含め、ぜひ参考にしてください。塗装とは塗装とは、物体に塗料を塗って塗膜を形成させることを言います。とりわけ、金属製品への塗装は、装飾に加え、コーティングによる保護を目的に用いられます。特に、錆による劣化は金属の天敵となるため、水からの保護が欠かせません。他にも、汚れや油など、さまざまなものから守るための役割を持っています。塗装の多くは常温・大気下で皮膜となる塗料を塗布することができます。一般的にはハケやローラーなどを用いて塗布する印象が強いですが、金属部品の加工にはさまざまな種類の塗装が存在しています。塗装の種類金属加工における塗装は、ただ単純に金属に色を塗れば良いというわけではありません。なぜなら、金属によって相性の良い塗装と相性の悪い塗装があるからです。もし、適切な塗装方法を選択しなかった場合、せっかく塗った塗料がすぐに剝がれてしまい、見た目が悪くなるだけでなく、目的の「保護」の役割を果たせなくなってしまう可能性があります。そのため、製品をキレイに保つためには目的に合った塗装方法を選択肢することが重要と言えます。下記は、金属加工における一般的な塗装の種類です。溶剤塗装溶剤塗装は、シンナーなどの有機溶剤に樹脂や顔料を混ぜた塗料を塗布する方法のこと。塗装の中で最もスタンダードな方法で、ハケやスプレー、ペイントローラーを使って物体に塗料を塗っていきます。溶剤塗装は他に比べて塗料が安く、製品単価を下げられるメリットがあります。ただし、有機溶剤には中毒性があり、大気汚染などの危険性があるため取り扱い方法に注意が必要です。⇒溶剤塗装とは?特徴や粉体塗装との違いについて専門家が解説!焼付塗装焼付塗装は、塗料に熱を加え揮発させることで、乾いたときに硬化し、強度を高める塗装方法のことです。皮膜を硬化させるにあたって100度~200度を超える高温にする必要があります。焼付塗装は製品と塗膜の密着性が高く、温度や湿度、風雨などに晒される屋外の環境下で高い効果を発揮できるため、自動車などのボディの下塗りにも用いられます。メラミン、フッ素、アクリルと、焼付塗装にも大きく分けて3つの種類があり、それぞれに塗装温度や硬化、安全性などに違いがあるので、目的に応じて選択が必要です。電着塗装電着塗装は、塗料が入った液体の中に加工物を入れ電気を流すことで、塗料を加工物に付着させ、塗膜を形成させる方法です。ハケやローラー、スプレーなどではムラができてしまいやすい、複雑な形状の素材にも均一な塗膜を形成させることができるほか、膜厚をはじめとする処理条件も管理しやすいため、大量生産に向いている塗装方法です。一方で、塗装をするために設備をはじめさまざまな準備が必要となるため、小ロットの生産には不向きと言えます。静電塗装静電塗装は、帯電した塗料を利用することで、静電気によって塗料が加工物に引き寄せられ、塗膜を形成する方法です。塗料を効率よく付着させることができ、均一で美しい仕上がりの塗膜になる特徴があります。一方で、高電圧の作業が必要となるため、感電や火災などの事故が発生しないよう、十分に注意しながら作業を進める必要があります。基本的には手作業よりも産業用ロボットなどを用いたライン生産方式が適しており、自動車の車体や家電、OA機器などの塗装に用いられます。粉体塗装粉体塗装は、粉末状の塗料を静電気によって付着させた後、加熱溶解することで塗膜を形成する方法です。他の塗装は一般的に液状の塗料が用いられますが、それに比べてより厚い塗膜を形成しやすい特徴があります。さらに、塗料の入れ替えがしやすく、吹き付けた後、飛散した塗料を回収・再利用しやすいため、高い塗料を無駄なく活用することができます。自動車や家電製品などのライン生産に多く用いられます。塗装処理の工程塗装は主に、前処理、調合、塗布、乾燥の4ステップに分かれています。これは、溶剤塗装から粉体塗装まで、まったく異なる塗料を用いても基本的に変わることはありません。各工程において、どのような作業が発生しているのか、詳しく解説していきます。1.前処理前処理は、加工物に塗料をしっかりと密着させるための処理のこと。具体的には、材料表面の油や錆、異物などを取り除いてキレイにする作業のことです。例えば、過去に塗られていた塗装や錆をやすりなどで削っていったんキレイにする作業も前処理のひとつです。もし、前処理をしないまま作業を進めてしまうと、せっかく塗った塗料が塗装後に剥がれやすくなるなど、不具合が発生しやすくなるため、塗装後の製品をキレイなまま長持ちさせるためにも重要な工程と言えます。前処理は、研磨による機械的処理と、表面を皮膜で覆う科学的処理の2種類があります。目的や用途、加工物の状態などによってどちらをチョイスすれば良いかも変わります。2.調合調合は、塗料の準備の工程です。機能性を高めるために複数の塗料を混合したり、目的に合わせて色を調整したりするために、異なる塗料を調合することも少なくありません。また、塗装方法や作業環境に応じてシンナーの希釈剤を入れて塗料を調整することもあります。エナメルをはじめとする顔料を含んだ塗料は沈殿している場合があるため、色むらをなくすためにしっかり撹拌して使用する必要があります。また、手作業で塗料を混合する場合、比率を間違えると乾燥不良や塗膜の欠陥が出る可能性があるため、正確な作業が求められます。3.塗布塗布は、製品に塗料を付着させる工程のことです。材料に応じて塗ったり吹き付けたり、上述した塗装方法を用いて加工物に塗膜を形成させます。また、目的に応じて下塗り、中塗り、上塗りなど、複数回に分けて塗料を塗布することもあります。塗布工程は、仕上がりの見た目の美しさや均一性など、製品の品質に大きく影響するため、最も重要な工程と言えます。製品をキレイな状態で長持ちさせるためには、相性の良い塗装方法を選択し、適切に作業を進めることが大切です。4.乾燥塗料は乾燥することで塗膜の役割を果たす、いわゆるコーティングへと変化します。そのためには、常温乾燥、または加熱乾燥が必要です。常温乾燥にも、何もせずに一定期間置いておく自然乾燥と、紫外線や電子線を照射して乾燥させる方法の2種類があります。また、加熱乾燥では熱風や赤外線、電磁誘導など、複数の乾燥方法が用いられています。乾燥方法も、塗装の種類に適したカタチで行わなければ、穴があいてしまったり、硬化状態が悪かったりと、塗膜に欠陥が発生してしまう可能性があります。塗装のメリット・デメリット塗装には、めっきをはじめとする他の表面処理に比べたメリット・デメリットが存在します。●塗装のメリット・常温・大気下で塗布することができるため、汎用性が高い・塗装方法によっては現地で作業ができる・大きさに影響されにくく、大小さまざまなものに表面処理を施すことができる・金属だけでなく、ガラスやセラミック、木材などにも塗布できる・方法や塗料の種類が多いため、選択肢が多い・塗装の膜厚を薄いものから厚いものまである程度調整できる・塗り直しができる・めっきに比べてコストが安い●塗装のデメリット・製品と塗膜の密着性が他の表面加工に比べて高くない・作業者のスキルによって表面にムラが発生しやすい・めっきに比べると強度が低く、損傷しやすい・めっきに比べて剥がれやすい塗装とめっきの違いメリット・デメリットから見ても分かるように、塗装は処理方法や効果の関係上、めっきと比較されがちです。これは、塗装とめっきがいずれも表面に膜を形成し、装飾性を高めつつ、加工品を保護する役割を持っているからです。塗装に比べてめっきの方が高価な分、保護効果が高く長持ちします。一方、塗装はめっきに比べて剥がれやすい、損傷しやすいなどのデメリットはあるものの、塗り直しによって保護効果を再度高めることができるため、メンテナンスを加えることで長持ちさせることが可能です。また、めっきは取り扱う金属の種類やサイズ、環境などによって対応できない場合があり、塗装ほど汎用性に優れていません。それぞれの特徴を詳しく理解した上で、どちらをチョイスした方が良いか判断したい場合は、下記記事でより詳しい情報をチェックしておきましょう。⇒めっきと塗装の違いは?それぞれの特徴、めっき塗装に関しても解説!

  • 粉体塗装とは?特徴、種類、メリット・デメリット

    粉体塗装とは、パウダー状の塗料を金属に直接付着させて加熱し、乾燥させて固めることで塗膜とする塗装法です。一般的な塗装に用いられる有機溶剤を全く使用しないため、環境や人体への影響が小さく、環境保全や健康増進への取り組みが強化されている現在、注目が集まっています。また、省資源性にも優れるほか、自動化しやすいという特徴もあります。これらの理由から、溶剤塗装からの転換が進んでおり、その市場は拡大しています。この記事では、粉体塗装とは何かというところから、その方法や種類、特徴、メリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。粉体塗装とは粉体塗装とは、パウダーコーティングとも呼ばれる、粉末状の塗料を用いる塗装のことです。細かく粉砕して粉状にした塗料(粉体塗料)を、塗装対象物に直接付着させ、高温で溶かしてから、乾燥させて固めることで塗膜を形成します。加熱して固化させることで塗膜を形成することから、焼付塗装の一種でもあります。参考:焼付塗装ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!粉体塗料には、エポキシやポリエステルなどを含む熱硬化性のものと、ポリエチレンやナイロンなどを含む熱可塑性のものがあります。粉体塗料は、これら樹脂のほか、顔料、添加剤をパウダー状にしたものから構成されており、溶剤塗料や水性塗料の成分である有機溶剤や水などの溶媒は含みません。なお、ここでの添加剤とは、硬化剤や乾燥剤、消泡剤、フィラー(充填剤)などで、塗料の流動性・湿潤性の調整や塗料の脱気(空気を除去すること)などの機能を持ちます。粉体塗装は、他の種類の塗装と同じく、塗装対象物の防錆や着色、耐候性向上、美観向上、機能性付与などが目的です。また、溶剤塗装に比べて、環境汚染や健康被害、火災などのリスクが低いため、溶剤塗装からの転換が進んでいます。参考:溶剤塗装とは?特徴や粉体塗装との違いについて専門家が解説!粉体塗装の方法粉体塗装の方法には、静電粉体塗装法と流動浸漬塗装法があります。●静電粉体塗装法参照元:粉体塗装とは? > 粉体塗装の紹介「塗装工程と塗装法」日本パウダーコーティング協同組合静電粉体塗装法は、アースに繋げてプラスに帯電させた塗装対象物へ、スプレーガンにてマイナスに帯電させた粉体塗料を噴射することで、塗料を静電的に対象物へ付着させる方法です。この塗装法では、一般的に熱硬化性粉体塗料を使用し、加熱によって架橋と呼ばれる化学反応を誘起することで硬い塗膜を形成します。一度硬化した塗料は、再度加熱しても硬いままで、軟化・流動することはありません。この塗装法では、以下の工程に従って塗装を行います。1. 前処理…油脂成分を除去するアルカリ脱脂処理や錆を落とす酸洗処理、薬液などを洗い流す水洗処理を実施する処理工程。塗装の密着性向上を目的としており、素材によっては、塗膜のさらなる品質向上のために化成処理なども行う。2. 水切り乾燥…乾燥炉で塗装対象物に付着した水分を完全に除去する処理工程。ブリスター(塗装膜下に残存した水分によって生じる気泡)と呼ばれる外観不良の発生を防止する。3. 粉体塗装…粉体塗料を静電引力によって対象物に付着させる処理工程。4. 焼付乾燥…塗装対象物に付着した塗料を180~200℃の高温に加熱した焼付炉で焼き付け乾燥させる処理工程。5. 冷却…冷却して塗膜を形成する処理工程。静電粉体塗装法は、流動浸漬塗装法と比較すると、以下のような特徴を持ちます。・塗装対象物の形状やサイズに対してあまり制約がない。・均一な膜厚が得やすい。・膜厚の調節が可能(30〜150μm)。・電気を通さない素材には塗装できない。参考:塗装前処理とは?目的や工程の流れについて専門家が解説!●流動浸漬塗装法参照元:粉体塗装とは? > 粉体塗装の紹介「塗装工程と塗装法」日本パウダーコーティング協同組合流動浸漬塗装法は、事前に加熱した塗装対象物を、粉体塗料を圧縮空気によって流動させた流動浸漬槽と呼ばれる容器に入れることで、塗料を対象物の熱で溶かして付着させる方法です。この塗装法では、一般的に熱可塑性粉体塗料が使用されます。熱可塑性粉体塗料は、加熱によって軟化・溶融して形状を変えることができ、冷却によって固化して塗膜とすることができる塗料です。化学変化を伴わないため、再度加熱して冷却すると、再び軟化・溶融して固化します。この塗装の工程は、以下の通りです。1. 前処理…塗装の密着性向上を目的に、脱脂処理や酸洗処理、化成処理、水洗処理などを行う処理工程。2. 予備加熱…塗装対象物を塗料の融点以上の温度に予熱する処理工程。3. 流動浸漬…予熱した対象物を流動浸漬槽に入れることで、粉体塗料を対象物に接触させて溶かし付着させる処理工程。4. 後加熱…塗膜の平滑性向上を目的に、塗装対象物に付着した塗料を融点以上の温度に加熱する処理工程。5. 冷却…冷却して塗膜を形成する処理工程。流動浸漬塗装法は、静電粉体塗装法と比べて、以下のような特徴を持ちます。・塗装対象物のサイズが流動浸漬槽のサイズ以下に制限される・塗装対象物が複雑な形状である場合、膜厚が不均一になりやすい。・厚膜が一度の塗装で得られる(200〜1500μm)。・厚膜の塗装が容易。・粉体塗料の回収装置が不要。・予熱を必要とする。・膜厚の調節が難しい。・電気を通さない素材にも塗装できる。粉体塗装の用途粉体塗装は、金属素材の製品を中心に、様々な分野で採用されています。その使用分野は、下図に見られるように、金属家具や電気機器、建設・産業機械、機械・器具の割合が大きくなっています。粉体塗装の具体的な使用例は、下表の通りとなっており、特に工業塗装に多く採用されています。<粉体塗装の分野別使用例>使用分野使用例金属家具机, 椅子, 陳列棚, 書架, ロッカー, 業務用ワゴン, ベッド電気機器分電盤, 配電盤, ラジエーター, 柱上トランス, 電力計, 発電機, モーター, ガス給湯器建設・産業機械パワーショベル, フォークリフト, FA機器, 工作機械, 包装機, ボンベ, 農業機械機械・器具医療用品, 現像機, 精密機器, IT機器, 事務機家電製品レンジ, レンジフード, エアコン, 冷蔵庫, 洗濯機, 暖房機, ミシン, 照明器具, 電話機道路資材ガードレール, ガードパイプ, 橋梁手摺り, 欄干, 標識用ポール, 信号機, 照明柱水道資材鋼管, 鋳鉄管, 異形管, ニップル, 仕切弁, 継ぎ手, 水栓金具, メーター建築資材フェンス, 門扉, 手摺り, 面格子, 住宅鉄骨, シャッター, カーテン, ウォール, パーテーション, 雨樋金具, 鉄筋バー自動車部品ボディー, ワイパー, バンパー, スプリング, ホイール, ブレーキドラム, ブレーキパッド, オイルフィルター, エンジンブロック, ルーフレール, ドライブシャフト, トラック荷台部分, その他農業資材, 家庭用品, 消火器, ガーデニング用品粉体塗装の特徴粉体塗装には、様々な特徴があります。ここでは、溶剤塗装や水性塗装と比較したときの粉体塗装の特徴について説明します。参考:金属加工の板金塗装の見積りについて解説!塗装の種類ごとについてもご紹介!塗膜の強度と耐久性が高い粉体塗装は、塗膜の強度および耐久性が高いという特徴があります。粉体塗装では、一度の塗装で厚膜の塗膜を形成することができます。その膜厚は、静電粉体塗装法で最大150μm、流動浸漬塗装法では最大1500μmにも達します。それは、一度の溶剤塗装による塗膜の厚さ約20μmと比較すると、数倍から数十倍の厚みに相当します。また、焼付塗装の一種であることから、塗膜自体の強度が高く、柔軟性にも優れます。つまり、粉体塗装では、高強度で柔軟な分厚い塗膜が得られるのです。従って、粉体塗装の塗膜は、傷が付きにくい上、温度・湿度変化が激しい環境でも、伸縮しやすいことにより、ヒビ割れや剥離などが発生しにくくなっています。それは、耐久性に優れ、寿命も長くなることを意味します。塗膜の性能が高い粉体塗装の塗膜は、耐食性や耐候性、耐薬品性などの性能にも優れます。粉体塗装では、その塗装方法から、塗装ムラが起きにくく、ピンホール(塗装面に生じる小穴)も発生しにくい塗膜となります。さらに、塗膜が分厚く、高い強度と耐久性を持つことも相まって、塗膜下の金属が空気に触れにくく、降雨なども塗膜下に浸透しにくくなっています。そのため、粉体塗装の塗膜は、防錆性能をはじめとする塗装対象物の保護機能を高いレベルで発揮するのです。塗料に溶媒を含まない参照元:粉体塗装について「粉体塗装(パウダーコーティング)とは?」有限会社シリウス粉体塗料は、溶媒を含まないという特徴があります。溶剤塗装や水性塗装の塗料は、顔料・樹脂・添加剤といった塗膜を形成する成分以外に、これらの成分を溶解または分散させるシンナーなどの有機溶剤や水分を含んでいます。これらの溶媒は、塗料を塗装対象物に接着する役割を持っており、焼き付けや乾燥などの過程で揮発します(上右図参照)。一方、粉体塗料は、塗膜を形成する成分のみから構成されています。そして、塗装の際には、溶媒の代わりに電気や熱の効果を利用することで、塗装対象物に付着させているのです(上左図参照)。塗料の回収・再利用が可能粉体塗装では、塗装時に塗装対象物に付着しなかった塗料を回収して再利用することが可能です。粉体塗料は、溶剤塗料の有機溶剤や水性塗料の水のような揮発成分を含まないため、熱影響を受けなければ、変質することはほとんどありません。そのため、静電粉体塗装で噴射した塗料も、流動浸漬塗装法で流動させた塗料も回収すれば、再度使用することができます。その点、溶剤塗料や水性塗料は、溶媒が揮発すると塗料が変質してしまうことがあり、多くの場合、変質してしまった塗料は再度使用することはできません。しかし、塗料を調整して揮発性を低下させても、乾燥して硬化するまでの時間が長くなり、作業性が下がってしまいます。塗料に揮発性有機化合物(VOC)を含まない引用元:低VOC塗料の現状と今後「塗料からの溶剤(VOC)の蒸発」経済産業省 近畿経済産業局粉体塗料は、大気汚染や健康被害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)を全く含みません。VOCは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物のことで、溶剤塗料には20~60%、水性塗料には0~10%含まれている物質です。溶剤塗料には、塗料に対して5~50%がさらに投入され、希釈溶剤(シンナー)として使用されます(上図参照)。その種類は、下表のように多様で、溶解する樹脂や用途に応じて塗料に混合されています。<溶剤塗料や水性塗料に含まれる代表的なVOCの種類と性質・用途>VOCの分類VOCの種類性質・用途アルコール系メタノール, エタノール, イソプロピルアルコール(IPA), イソブタノールラッカー塗料や添加剤などの溶解ケトン系アセトン, メチルエチルケトン(MEK), メチルイソブチルケトン(MIBK), シクロヘキサノン樹脂を強力に溶解エステル系酢酸エチル, 酢酸ブチル樹脂を比較的強く溶解エーテル系ブチルセロソルブ, ブチルカルビトール焼付塗料の仕上り向上・水性塗料にも使用炭化水素系脂肪族系ミネラルスピリット樹脂を比較的弱く溶解芳香族系トルエン, エチルベンゼン, キシレン多種類の樹脂を溶解、溶解性と乾燥性のバランスが良い混合系ソルベントナフサ焼付塗料用しかし、VOCは、以下のように大気汚染の原因となり、人体にも有害です。●大気環境への影響VOCは、大気中に拡散されると、光化学反応などを起こして変質します。変質したVOCは、光化学スモッグの原因となるほか、浮遊粒子状物質(SPM)を生成して、目や呼吸器などに悪影響を及ぼし、喘息やアレルギー疾患のリスクを増大させることが知られています。●室内環境における人体への影響VOCは、住宅の建材などから発生して、室内の空気を汚染し、シックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こすことがあります。●作業環境における人体への影響VOCは、塗装に従事する作業者に下表のような様々な症状を引き起こすことが報告されています。ただし、近年においては、毒性の高いVOCの使用が制限されており、以前よりも塗料の安全性は確保されています。<毒性の高いVOCによって引き起こされる症状>VOCの種類急性毒性慢性毒性メタノール粘膜刺激, 麻酔作用咳, めまい, 頭痛, 嘔吐, 脱力感, 眠気, 不眠, 視力障害, 神経系障害IPA皮膚刺激, 粘膜刺激眠気, 頭痛, 協調運動不能, 皮膚炎, 神経系障害, 腎臓障害, 血管障害, 肝臓障害, 脾臓障害MEK皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用呼吸器刺激, 咳, 息切れ, 頭痛, めまい, 視野狭窄, 嘔吐, 下痢, 意識喪失, 神経系障害, 腎臓障害酢酸エチル粘膜刺激呼吸器刺激, 眠気, めまい, 咽頭痛, 咳, 頭痛, 意識混濁トルエン皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用咳, 咽頭痛, めまい, 意識混濁, 頭痛, 嘔吐, 意識喪失, 神経系障害, 腎臓障害, 肝臓障害エチルベンゼン皮膚刺激, 粘膜刺激咳, めまい, 意識混濁, 頭痛呼吸器障害, 神経系障害キシレン皮膚刺激, 粘膜刺激, 麻酔作用めまい, 意識混濁, 頭痛, 嘔吐, 呼吸器障害, 神経系障害塗装に器具・設備が必要粉体塗装は、静電粉体塗装法と流動浸漬塗装法の双方について、いくつかの器具・設備が必要です。<静電粉体塗装法の器具・設備>・浸漬方式の洗浄設備(洗浄槽など)・粉体塗装ブース・静電粉体塗装機(静電ガン、静電コントローラー、ホース類など)・粉体塗料回収装置・焼付乾燥炉・防塵マスクや防塵ゴーグル、静電服、静電靴などの保護具・換気装置(塗装ブース用と建屋全体用の装置設置を推奨)<流動浸漬塗装法の器具・設備>・浸漬方式の洗浄設備(洗浄槽など)・流動浸漬槽・加熱炉・防塵マスクや防塵ゴーグル、静電服、静電靴などの保護具・換気装置(建屋全体用の装置設置を推奨)なお、静電服と静電靴は、静電気による粉体塗料の着火によって発生する粉塵爆発の防止に必要な保護具です。粉塵爆発を防止するため、機器類の接地が必須であり、静電気対策床の設置なども推奨されます。現場施工が困難粉体塗装は、以下の理由から、工場などで施工しなくてはならず、現場での施工は現状の方法ではできません。・据え置き型の設備が必要・前処理に確実な洗浄や乾燥が必要・塗装処理時に粉塵対策が必須・焼き付け温度が高く、炉での加熱や乾燥が必要塗装作業の機械化・自動化に適している粉体塗装は、工場での施工が標準的であることもあり、機械化や自動化に向いた塗装法です。粉体塗装は、浸漬洗浄、炉での乾燥・加熱、静電引力や空気流動を利用した静電粉体塗装や流動浸漬塗装など、主要な処理工程の人手を排することが可能です。そのため、塗装対象物をフックに吊り下げるなどして、順番に洗浄槽、乾燥炉、塗装ブース、焼付乾燥炉と流していくことで、主要工程を完了させることができます。粉体塗料の種類粉体塗装では、様々な塗料が用いられますが、その塗料は、含有樹脂の熱に対する反応性から、熱硬化性粉体塗料と熱可塑性粉体塗料の2種類に分類されます。熱硬化性粉体塗料熱硬化性粉体塗料は、加熱によって架橋反応を誘起することで、硬化する塗料です。一度硬化した塗料は、再度加熱しても硬いままで、軟化・流動しないという特徴があります。主に静電粉体塗装法で用いられる粉体塗料です。熱硬化性粉体塗料は、含有する樹脂の系統によって特徴や塗装条件が異なるため、用途に応じた塗料を選ぶことができます。下表は、代表的な樹脂系ごとの塗装条件や特徴、用途をまとめたものです。<代表的な熱硬化性粉体塗料の樹脂系ごとの塗装条件・特徴・用途>樹脂系焼付温度焼付時間特徴用途エポキシ系130~200℃5~50分高耐食性, 高耐薬品性, 高密着性, 高耐水性, 高硬度, 絶縁性低耐候性家電, 自動車部品, 上下水道管, 電気部品, 重電機器, 船舶, エポキシポリエステル系150~200℃10~50分高耐食性, 高作業性, 高加工性, 高経済性低耐候性鋼製家具, 家電, 自動車部品, 建築資材, 事務機器, 家庭用品, 電気部品ポリエステル系140~230℃5~60分高耐候性, 高耐水性, 高作業性, 高加工性, 高経済性家電, 自動車部品, 道路資材, 建築資材, 鋼製家具, 重電機器, 建設機械, 農機具, 家庭用品アクリル系150~200℃8~50分高耐候性, 高耐汚染性, 高鮮映性, 低温硬化性家電, 自動車部品, 道路資材, 建築資材フッ素系160~360℃15~30分高耐候性、高耐光性、高耐薬品性, 高耐摩耗性、高耐熱性高層建築外装, 工業用部品, 家電, 厨房器具熱可塑性粉体塗料熱可塑性粉体塗料は、加熱によって軟化・溶融して変形し、冷却によって固化する塗料です。化学変化を伴わないため、再度加熱して冷却すれば、再び軟化・溶融して固化するという特徴があります。主に流動浸漬塗装法で用いられる粉体塗料です。熱可塑性粉体塗料もまた、下表のように、いくつかの樹脂系があります。<代表的な熱可塑性樹脂の樹脂系ごとの塗装条件・特徴・用途>樹脂系予熱温度後加熱温度特徴用途塩化ビニル系230~290℃200~320℃高耐候性, 高耐薬品性, 高耐食性, 高耐水性, 被覆性, 厚膜美装性道路資材, 建築資材ポリエチレン系260〜320℃200〜320℃高耐食性, 高耐候性, 高耐水性, 高耐久性, 高耐摩耗性, 被覆性家電, 上水道管, 建築資材, 道路資材, 重電機器, 家庭用品ナイロン系340〜430℃340〜370℃高耐油性, 高密着性, 耐摩耗性, 高耐衝撃性, 耐熱性, 絶縁性, 被覆性家電部品, 自動車部品, 配管, 機械部品, 鉄道部材, 家庭用品, 医療機器, 飲料水容器粉体塗装のメリット上述したように、粉体塗装には他の塗装法とは異なる多様な特徴がありますが、ここではその中でもメリットとなる特徴について紹介します。<塗膜について>・塗膜の強度が高い・塗膜の耐久性が高い・塗膜の性能が優れる・厚い塗膜の形成が可能・錆が発生しにくい<方法について>・一度の塗装で厚い塗膜を形成可能・塗料の回収・再利用が可能・塗装環境(温度・湿度など)の影響を受けにくい・塗料の焼付処理が短時間で済む・塗装の機械化・自動化が容易<塗料について>・塗料に有機溶剤(VOC)を含有しない・臭気がない(有機溶剤は臭気を放つ)<経済性について>・塗料を無駄なく使用できる・耐用年数が長い(15~20年)<安全性について>・VOCによる大気汚染や健康被害については考慮不要・VOCによる火災の発生リスクがない粉体塗装のデメリット一方、粉体塗装には、以下のようなデメリットがあります。<方法について>・薄い塗膜の形成が困難(一般に30μm以上)・焼付温度や予熱・加熱温度が高い・塗装後に色の調整ができない・色の微調整が難しい・現場施工が困難・塗り替えが困難<経済性について>・塗装設備が必要であるため、初期投資が掛かる<安全性について>・粉塵による健康被害のリスクがある・粉塵爆発の発生リスクがある

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    フランジ加工の方法を製品事例を用いて解説!

    フランジは、突縁や出縁、鍔(つば)を意味しますが、工業用語では2つの配管を接続する継ぎ手部分などを指す言葉として使われています。フランジは、機械部品や電子部品、建築部材など、様々なところに広く用いられている構造ですが、実際にはどのように成形しているのか知らない方が多いと思います。そこで今回の記事では、フランジの加工方法について詳しく解説していきます。また、加工事例も多数ご紹介していきますので、フランジ加工をご依頼するときの参考にしてください。フランジとはフランジとは、物の端からはみ出すように出っ張った部分のことです。フランジは主に、円筒形状の管や軸の端に円盤の形状で成形され、管や軸同士をつなぎ合わせる際に使用されます。例えば、配管では、パイプの端に円盤状のフランジがあり、そのフランジ同士を合わせ、ボルトなどで固定して配管同士を接続します。またフランジは、回転する2つの軸を接続し、一方の軸のトルクをもう一方の軸に伝達する継ぎ手としても利用されています。そのほか、管部の内側にねじ山を成形したねじ込みフランジは、2つの製品を接続するジョイントとして使用されています。フランジ加工の方法フランジの成形方法には、NC旋盤やマシニングセンタなどによって削り出す加工方法と、板金をプレス機によって絞る、または曲げることで成形する加工方法があります。なお、フランジだけを別に製造し、溶接することでフランジを成形することも多いです。旋盤加工旋盤加工は、NC旋盤などを使用し、回転させた工作物に工具を当てることで外丸削り、面削り、中ぐり、穴あけ、突切り、ねじ切りなどの加工を行う方法です。主に、棒状の素材から円盤状のフランジを削り出す場合に採用されます。ただし、旋盤加工による加工形状は、連続的な回転対称である必要があります。そのため、複雑な形状のフランジでは、旋盤加工の後、マシニングセンタなどによる追加工が必要となる場合があります。切削加工切削加工は、マシニングセンタなどを使用し、固定した工作物に回転または直線運動する工具を当てることで穴あけ、中ぐり、フライス削り、ねじ立て、リーマ仕上げなどの加工を行う方法です。主に、旋盤では加工できない角型のフランジや、旋盤加工では難しい複雑形状の追加工を必要とする場合などに採用されます。板金加工板金からフランジを成形する方法には、プレス機を使用する絞り加工と曲げ加工があります。絞り加工は容器や管などの形状のものに、曲げ加工は板などの形状のものにフランジを成形する場合に採用されます。・絞り加工絞り加工では、下図のように、下側の金型(ダイ)に素材(ブランク)を置き、フランジとなる部分をブランクホルダーで抑えます。そして、上側の金型(パンチ)でブランクに圧を加え、容器部とフランジ部を同時に成形します。引用元:通販モノタロウ・曲げ加工一方、曲げ加工では、多様な角度で曲げることが可能なV曲げ、1箇所を90度の角度で曲げるL曲げ、2箇所を90度の角度で曲げるU曲げといった加工方法でフランジを成形します。この3種類の曲げ加工の特徴を述べると、まずV曲げでは、ダイとパンチ間のクリアランスを調整することで、曲げの角度を変えることができる自由曲げと、パンチ・ダイの形状を転写、またはパンチを押し込んでブランクを圧縮する突き曲げが可能なことが挙げられます。一方、L曲げやU曲げでは、クリアランスは常に一定に保たれます。しかし、パッドの押さえる力が弱いと、L曲げではパンチ方向にブランクが引かれることがあり、U曲げでは容器形状の底部の平面度が不安定になることがあります。参考記事曲げ加工の基礎からV曲げ、L曲げなどの詳細については、以下の記事をご覧ください。⇒【曲げ加工】の基礎やV曲げ/L曲げ加工について徹底解説!!・フランジの種類板金加工によって成形されたフランジは、材料の流動状態という観点から、直線フランジ、縮みフランジ、伸びフランジの3種類に分けられます。直線フランジは、加工線が直線となる場合のフランジを指します。絞り加工では、下図のような角筒絞りでフランジ部の加工線が直線となり、このフランジ部は曲げ方向に引張応力を受けます。一方、曲げ加工では、板などを単純に曲げて成形する際のフランジが直線フランジとなり、このフランジ部には応力は働きません。引用元:MiSUMi-VONA縮みフランジは、加工線が外側に湾曲する場合のフランジのことです。絞り加工では、曲げ方向には引っ張り応力を、曲げ方向と直角方向には圧縮をフランジ部に受けます。一方、曲げ加工では、曲げ方向と直角方向の圧縮をフランジ部に受けます。縮みフランジとなる場合、曲げ加工では、圧縮の効果をあらかじめ考慮し、フランジとなる部分の形状を開いた扇型にしておく必要があります。なお、絞り加工では、主に円盤状の板金をプレスしてフランジを成形しますが、この場合は考慮以前にフランジ部分は扇形です。また、縮みフランジでは、フランジ部に圧縮する力が加えられるため、フランジ部を厚くする作用が生じます。その結果、フランジ部にたるみやシワが発生しやすいため、注意が必要です。伸びフランジは、加工線が内側に湾曲する場合のフランジのことです。絞り加工では、曲げ方向には圧縮応力を、曲げ方向と直角方向には引張応力をフランジ部に受けます。一方、曲げ加工では、曲げ方向と直角方向の引張応力をフランジ部に受けます。伸びフランジとなる場合、曲げ加工の縮みフランジと同様、引張応力の効果を考え、フランジとなる部分の形状は閉じた扇型にしておく必要があります。また、縮みフランジと反対に、フランジ部を薄くする作用が生じるので、割れの発生に注意する必要があります。フランジ加工の工程フランジ加工の工程は、旋盤加工や切削加工、板金加工の絞り加工や曲げ加工、それぞれで異なります。ここでは、下図のようなフランジ付き円筒を例に、絞り加工によるフランジ加工の工程を説明していきます。引用元:MiSUMi-VONA①寸法の決定フランジ付き円筒を成形するにあたり、まず製品の完成形状を展開してブランクの寸法を決定します。ただし、絞り加工では、成形後にフランジの縁が変形するので、トリミング代を決めることが必要です。ブランクの寸法は、トリミング代を加えたフランジ径を用い、以下の計算式で算出できます。ブランクの寸法計算式D=x2+4yhD:ブランク直径、x:フランジ直径、y:絞り部分の直径、h:絞り部分の高さこの計算式は、成形後に板厚が変化しないこと、曲線部が小さいことを前提としています。また、絞り部分の直径は、内径、外径、もしくは板厚中心が考えられますが、外径としておくと、フランジ径が大きくなるのでトリミング代に余裕ができるでしょう。②絞り回数の決定このブランクを加工していきますが、絞り加工は通常、1回で完成形状まで成形できることはありません。それは、絞ることが可能な深さに限界があることを理由とします。そのため、完成形状より大きな絞り径と浅い絞り深さで絞り、絞り径と絞り深さを完成形状に近づけながら、繰り返し絞り加工を行います。絞り径の算出その絞り径ですが、絞りやすさを表す相対板厚を参考に、材料の加工硬化を考慮した絞り率の式と値から算出します。算出方法絞り率 = 絞り後の径 ÷ 絞り前の径相対板厚 = 板厚 ÷ ブランク直径 ✕ 100(%)絞り率初絞り・・・0.5~0.62絞り・・・0.75~0.83絞り以降・・・0.8~0.9相対板厚は、値が小さいほど絞りにくく、大きいほど絞りやすいことを表現しています。そのため、相対板厚が小さい場合は絞り率は大きい数値を、相対板厚が大きい場合は絞り率は小さい数値を採用し、絞り後の径を算出します。絞り回数の算出絞り径が求められると絞り回数も算出できます。各絞り加工時の絞り径は以下のようになります。各絞り加工時の絞り径初絞り後の絞り径…ブランク直径 ✕ 初絞りの絞り率2絞り後の絞り径…初絞り後の絞り径 ✕ 2絞りの絞り率3絞り後の絞り径…2絞り後の絞り径 ✕ 3絞りの絞り率求める絞り回数は、この絞り径が絞り部分の内径より小さくなったときの絞り回数に当たります。絞り高さの算出絞りの各工程の絞り高さは、上述したブランク直径の計算式から以下のように求められます。各工程の絞り高さh=(D2-x2)÷(4y)h:絞り部分の高さ、D:ブランク直径、x:フランジ直径、y:各工程の絞り部分の直径この絞り高さを参考に、各工程においてどの程度の深さまでブランクにパンチを押し込むかを決定します。ただし、あくまで参考であり、絞り状態を見て調整することを前提としています。③金型設計次に、絞りにおける各工程毎の金型、つまりパンチとダイを設計します。パンチの設計パンチの設計では、パンチの直径と肩半径を決めます。パンチの直径は、成形形状の内径となることを考慮し、絞り径から決定します。例としたフランジ付き円筒の寸法で、相対板厚が大きいとした場合には、各工程のパンチの直径は下図のようになります。引用元:MiSUMi-VONAパンチの肩半径は、完成形状の肩半径から最終の一つ前の工程の肩半径を算出、というように初絞りの肩半径まで順番に決定していきます。まず、下図のように、完成形状の肩半径の中心を最終一つ前工程の肩半径の中心とします。次に、その肩半径の中心から最終二つ前工程のパンチの端までの距離を3~4等分し、パンチの端側に少しずらした位置を最終二つ前工程の肩半径の中心とします。これを繰り返し、初絞りの肩半径まで決定します。また、パンチの肩半径は加工時、小さすぎると割れが生じ、大きすぎるとシワが生じるので注意が必要です。ダイの設計ダイの設計では、ダイの穴径と肩半径を決めます。ダイの穴径は、単純にパンチの直径に板厚を加えた値とすることはできません。それは、絞り加工に伴い、円筒の縁部分が収縮して板厚が増加するからです。そのため、初絞りのダイの穴径は、クリアランスが板厚よりも大きくなるように設定されます。しかし、板厚増加は寸法精度を悪化させるので、絞りの工程が進むごとにクリアランスを本来の板厚に近づけていきます。さらに、最終工程近くの絞り加工では、クリアランスを本来の板厚よりも小さくし、材料をしごいて厚さを均一にすることもあります。例としたフランジ付き円筒の寸法では、各工程のダイの内径は下図のようになります。引用元:MiSUMi-VONAダイの肩半径は、各工程のパンチの肩半径と同じか少し大きい値とします。ただし、フランジと円筒の境界部分は適切な寸法にならないことがよくあります。それは、ダイの肩に置かれたブランクは、ブランクホルダーで押さえつけているだけでパンチが行われないからです。そのため、この部分の形状などを整えるリストライクという工程を行うことがあります。④プレス機械の選定プレス機械の選定では、選んだ材料に対する絞り加工力を計算し、その力を発揮できるものを選ぶ必要があります。円筒絞りの絞り加工力の計算には、以下の式がよく用いられています。円筒絞りの絞り加工力の求め方P = K ✕ π ✕ d ✕ t ✕ TsP:絞り加工力(Kgf)、K:係数、π:円周率、d:絞り径(mm)、t:板厚(mm)、Ts:引張強さ(Kgf)ここで、係数Kは、計算式では考慮されていない絞り率や相対板厚の効果を、絞り加工力Pに反映するために設定する値です。係数Kは、絞り率や相対板厚が大きいほど小さく、小さいほど大きく設定され、1.0を上限としています。プレス機械は、フランジ部を適切な圧力で押さえることが可能なものを選ぶ必要があります。絞り加工時、フランジ部は、プレス機のブランクホルダー(シワ抑え板)でホールドされていますが、この圧力が弱すぎればシワが、強すぎれば割れが生じます。フランジ部の成形に重要なこの圧力ですが、圧力の強さは材料の材質や板厚などにも依存するため、圧力を調節可能なプレス機械を選ぶとよいでしょう。そのほかプレス機械の選定には、金型を取り付けられる寸法があること、パンチに張り付いた成形品を引き剥がせる機構が備わっていること、絞り加工完了後に成形品を取り出せるパンチとダイ間の間隔があることなどに気をつける必要があります。⑤実加工前の注意点以上の工程を経て、実加工に進みますが、その前にいくつか注意しておくべき点があります。まず、注文により指定された、もしくは選定した材料は、設計通りの絞り加工が可能かどうかを確認しておく必要があります。絞り加工に関係する材料の特性には、引張り強さ、降伏点、伸び、硬さがありますが、絞り加工性を考えるときは、材料の加工硬化係数(n値)とランフォード値(r値)がよく参考にされます。なお、r値は、板材を長手方向に引き伸ばしたとき、板厚方向よりも短手方向に収縮しやすいことを示す値です。また、絞り加工時、潤滑油を使うかどうか、どの潤滑油を使うかも問題となります。潤滑油は、ブランクをパンチで押し込むとき、ブランクとダイとの接地面を滑りやすくしてくれます。そのため、潤滑油を使用しないと、ブランクとダイの摩擦により、破断や焼付き、かじりなどを生じることがあります。参考記事絞り加工については、以下の記事に詳細がありますので、ご覧ください。⇒絞り加工の基礎知識と工程9ステップを徹底解説!フランジの加工事例それでは、上述した加工方法で成形したフランジの事例を紹介していきます。下の写真は、材料記号A5056のアルミ合金をNC旋盤で加工したものです。引用元:株式会社エージェンシーアシスト次の写真は、旋盤加工によってフランジ部を成形した後、マシニングセンタにより円筒内側部にキー溝を成形したものです。引用元:特殊フランジ・継手加工.com次もNC旋盤とマシニングセンタの両方を使用した製品です。通電箇所に用いられるため、銅を材質としているそうです。引用元:特殊フランジ・継手加工.com次の2つの写真は、プレス機による絞り加工でフランジを成形した事例です。引用元:岐阜精器工業株式会社引用元:ミカドテクノス株式会社続く写真は、プレス機による曲げ加工によってフランジを成形しています。引用元:TECH-JOURNEYフランジ加工ならMitsuri!以上、フランジの加工方法や工程について解説し、加工事例を紹介しました。フランジの加工方法には、材料から削り出す旋盤加工や切削加工、板金から成形する絞り加工や曲げ加工があります。特に絞り加工は、大量生産を行う際に採用されますが、絞りの方法や金型の設計などに多様なノウハウや技術が詰め込まれています。そのため、メーカーによって加工可能な材質・形状は異なり、また精度や品質も変わってきます。Mitsuriでしたら、日本全国に協力工場が140社以上あるため、お客様の要求に合わせたメーカーをご紹介できます。フランジ加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    レーザー刻印をしたい方必読!【金属別事例あり】適したレーザー・金属を徹底紹介!

    金属にレーザー刻印をしてみたいと考えても、どうすれば良いかわからないのではないでしょうか。 記念品やプレゼントなどの金属部に、ロゴや企業名、名前を刻みたいなど、要望は様々あるでしょう。また、トレーサビリティが必要な金属製品にも、レーザー刻印は欠かせません。「印字は、どのような出来上がりになるのだろう?」「どの金属にも刻めるのだろうか・・・」 レーザー刻印は、どんな金属なら可能で、どの様な仕上がり具合になるのか、また価格や注文ロット数なども気になるところです。この記事では、レーザー刻印をしたいと思っている方の疑問が解決できるよう、適したレーザーや金属、印字の種類などを、金属別の事例を挙げてわかりやすく解説します。レーザー刻印に適した金属基本的に、レーザーを照射できる金属は、すべてレーザー刻印が可能です。高硬度な材質にも印字できます。レーザー刻印に適している主な金属の中から、13種類ご紹介しましょう。 レーザー刻印に適した金属ステンレス鋼アルミニウム陽極酸化アルミニウム(アルマイト)チタン、チタン合金錫カーバイド(炭化物)プラチナ銀金銅真鍮被覆金属(めっき)合金鋼参考記事レーザー加工の原理や仕組み、メリット・デメリットについて詳しくは【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!! をご覧ください。金属レーザー加工の用途レーザーで刻印された金属の用途には、色々あります。宣伝や広告のための商材に刻印するロゴや企業名、ギフトに刻むメッセージや名前など、企業から個人まで多種多様な利用法があるのです。レーザー刻印の用途表札・標識・看板・ネームプレート指輪や時計などの宝飾品ペン・万年筆カトラリーなどの食器栓抜き・ポケットナイフ・包丁ライター             キーホルダー・鍵携帯電話・ノートPC・タブレット額縁ギフト商品・サンプル品トレーサビリティへの活用レーザー加工機による金属への刻印・マーキングは、デジタル制御による精密さや正確さ、錆などの腐食に強い耐久性があるため、幅広い業界でトレーサビリティとしても活用され始めています。トレーサビリティは、日本語で「追跡可能」という意味です。つまりトレーサビリティとは、どこで誰がどんなものを使って作り、どこからどこへ流通し、どのような店で販売されたかなど、履歴が追跡・特定できるようにすることです。そのため、組み立て、流通、販売の流れの中、製造者・仕入れ先・販売元などが、レーザー刻印された製品や部品のナンバーやバーコードで記録できるようにする必要があります。レーザー刻印なら、摩擦に強く消えにくい印字で、限られた小スペースの中に、製造年月日や製造元、製造番号やロットナンバーなどの膨大な情報を刻むことが可能です。製品や部品の履歴が追跡できるようになれば、品質管理や安全面・環境面の向上などにおいて、大いに役立ちます。今や、工場製品をはじめ、自動車や電子部品、医療業界など様々な分野で、利用されています。Mitsuriは金属レーザー加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にご相談ください。刻印に適したレーザーの種類金属の印字に適したレーザーには、どのようなものがあるでしょうか。レーザー加工の種類は、媒体から大きく分けてガスレーザーと固体レーザーの2つがあります。 ガスレーザーは、従来CO2レーザーが使われています。様々な素材に、安価に刻印ができるため汎用性が高く、コストパフォーマンスにも優れているので、最も使用されているレーザー加工です。個体レーザーは、YAG/YVO4やファイバーレーザーがあります。金属のレーザー加工は、目に見えない近赤外線領域の1.03~1.09μmの波長のレーザーが向いていますので、ファイバーレーザーやYAG/YVO4レーザーなどが最適です。CO2レーザー(ガスレーザー)CO2レーザーは、二酸化炭素のガスを利用したもので、波長10.6μmの遠赤外線域のレーザー光になります。遠赤外線になるほど金属へのレーザー光の吸収率が下がるため、金属を加工しにくくなります。そのため、アルミニウム、真鍮、銅、鉄、チタンなどの反射率の高い金属にCO2レーザー加工するには、工業用並みの高出力が必要になります。ただし、アルマイト処理されたアルミは、アルマイト層のみをレーザーで気化させることで、文字や絵柄を作ることは得意です。他に、マーキング用の溶剤やテープを使用し、レーザーで地金に接着することでマーキングができます。ファイバーレーザー(固体レーザー)高出力のCO2レーザーの他、金属・被覆金属に適しているのは、ファイバーレーザーになります。ファイバーレーザー加工は、アルミニウム、真鍮、銅、鉄、チタンなどのレーザー光を反射しやすい金属にも使えます。消えにくく耐久性に優れた金属刻印ができます。CO2の100倍のレーザー強度があるファイバーレーザーは、金属彫刻やアニーリング方式の金属マーキング(焼きなまし)にもぴったりです。焼きなましとは、金属を気化させずに適度に加熱後、ゆっくり冷却する熱処理のこと。金属の表面にダメージを与えず、凹凸のない刻印ができます。 加工機の値段は高価ですが、ガス補充の必要がなくエネルギー効率も良いため、ランニングコストは安くなります。YAGレーザー/YVO4レーザー(固体レーザー)YAG/YVO4レーザーは、ファイバーレーザーと同じ波長である1.064μmのレーザーを照射して、金属・被覆金属の加工を得意とします。YAGとYVO4の違いは、使用している結晶の違いによるもので、結晶にNd(ネオジム)を添加して加工するのは同じです。YAGレーザーとは、Y(イットリウム)・A(アルミニウム)・G(ガーネット)の結晶を用いた固体レーザーです。YVO­4レーザーは、Y(イットリウム)・V(バナデイト)・O4(オキサイド)、もしくはY(イットリウム)・VO4(バナード)の結晶構造を持つレーザーになります。YAG/YVO4レーザーは、主にレーザーマーキングに使われます。そのため、アルミや銅などの反射しやすい金属の加工もできます。金属を削らないため、素材の強度や耐久性を損なうことなく、ずっと残る印字が可能です。ただし、CO2レーザーやファイバーレーザーより価格やランニングコストが高くなります。金属印字の種類レーザー加工で金属に印字する場合、金属表面を彫ったり、マーキングしたりすることで、材料の焼けや変色もなく、耐久性のある印字が可能です。金属印字の種類は、5つあります。黒色印字黒色印字は、酸化印字とも言います。黒字印字は、金属表面の温度をレーザー照射で上昇させて酸化させ、酸化膜を形成することで印字するからです。基材が金属の場合、酸化膜が黒いため、黒い色の印字になります。白色印字白色印字は、金属を削って印字するため、削り印字とも呼ばれます。レーザー照射で表面を凹凸に削り、光の乱反射を使って白く浮き上がるようにする印字法です。彫り込み印字レーザーの照射回数を増やして金属を複数回に渡り、深めに彫り込むことで印字したものが、彫り込み印字です。白色印字と違って彫った面が平らなため、印字は金属と同じ色になります。刻印後に基材を塗装しても、印字が見えなくなることはありません。表面層剥離印字加飾層剥離印字とも言われる表面層剥離印字は、金属基材の表面を覆っているめっき層やインキ塗膜などの加飾層を、レーザーで削り取り、地金の基材と表面の加飾層とのコントラストで文字や絵柄を浮き上がらせる印字方法です。レーザーマーキングある色だけを反射するように削ることで、色を塗らずに光の干渉だけで発色させる印字法です。金属を酸化被膜で覆い、酸化被膜を削って厚みを変えることで反射する光を調節し、色彩を表現します。レーザーマーキングは、チタンやステンレス鋼、クロム、ニオブなどの金属に適した印字法です。【金属別】レーザー刻印事例レーザー刻印事例を主な金属で、3つご紹介します。アルミ-アルマイト処理 アルマイト処理をしているアルミであれば、CO2レーザーで刻印することが可能です。アルマイトの層のみをレーザーで削り、下地のアルミが見えるように表面剥離をし、刻印しています。ステンレス YAGレーザーYAGレーザー加工は、CO2レーザーに比べて5倍の集光ができるため、細かいデザインや文字の刻印が可能です。ステンレスに、肉眼で確認が難しいほどの小ささで、印字することもできます。真鍮レーザー刻印を使えば、真鍮に美しい文様や緻密な文字、図形などを刻印することができます。デジタル制御の上、レーザー照射がピンポイントなため、熱変形などの余計な基材への負担を、最小限にとどめることが可能です。まとめレーザ加工に適したレーザーや金属、印字の種類などの基礎知識を解説しました。レーザーは3種類、印字法は5種類あります。レーザが照射できる金属にはレーザー加工を施せますが、それぞれの金属に適したレーザーや印字法があります。金属加工には、ファイバーレーザーやYAG/YVO4レーザーが最適ですが、レーザーマークで印字する場合、CO2レーザーもきれいに仕上がります。また、色彩が表現できるレーザーマーキングにより、レーザー刻印の多様な使い道が広がっていくことでしょう。 記念品やプレゼントなどに、ロゴや企業名、名前を刻印したい方やトレーサビリティにレーザー加工を役立てたい場合は、レーザー加工を得意とするMitsuriに、お気軽にお問い合わせください。

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    アルミのレーザー 加工ならMitsuri!【協力工場350社以上】最適な工場をご紹介します!

    この記事を読んでくださっている方の中には、「アルミのレーザー加工ができないって本当?」と不安に思っている方もいらっしゃると思います。結論からいうと、アルミは一般的に多く使われている炭酸ガスレーザー加工機ではリスクが高いために切断できません。実際に「アルミのレーザー加工を依頼したけど、断られてしまった」という経験をしたことはありませんか?アルミのレーザー加工や切断には、鉄やステンレスを加工するよりもリスクがあるため加工が難しいと考えられています。そのため、アルミのレーザー加工は行わない業者も多いのが現実です。では、アルミのレーザー加工をすることは不可能なのでしょうか?今回の記事では、アルミのレーザー加工についてはもちろん、どのくらいまでアルミをカットすることができるのかという事例を紹介しつつ、わかりやすく解説していきます。アルミのレーザー加工のやり方引用元 株式会社TANABEアルミを加工することができるレーザー加工機はいくつかありますが、その中でも一般的なものは、炭酸ガスレーザー加工機とファイバーレーザー加工機でしょう。そこでそれぞれの加工機について詳しく説明していきます。炭酸ガスレーザー加工機炭酸ガスレーザー加工機のレーザー光を発する発振器では、炭酸ガス(CO2ガス)が充填された発振器内で励起されたレーザー光を出力ミラーから取り出し、複数の反射ミラーで加工ヘッドまで伝送しています。炭酸ガスを使用する事からCO2レーザー加工機とも呼ばれています。前述でも説明した通り、アルミの反射によって加工機自体を損傷するリスクがあると言いましたが、最近の機械では反射で跳ね返ってきたレーザーを遮断する機構がついている物もあります。これによって機械が壊れる可能性もかなり低くなっていますので、技術蓄積のある加工業者では、アルミの中でも材料や板厚によっては炭酸ガスレーザーで加工する場合もあるのが実情です。ファイバーレーザー加工機ファイバーレーザーでは、複数の発振器ユニットから出力されるレーザーを1本の光ファイバーにまとめて加工ヘッドまで伝送しています。ファイバーレーザーを使用すれば、レーザー照射面積が小さく且つ高いエネルギーで加工できることから、加工速度が早く、反射光のリスクを気にせず加工することができます。この利点としては、他のレーザーと比べて切断面が均一でバリや歪みも最小限に抑えることができ、そのぶん手間を省くことができるという大きな特徴もあります。また、加工時間短縮もファイバーレーザーの優れているところです。さらに、エネルギー効率は炭酸ガスレーザーに比べ3倍以上とも言われ、電力消費量を大幅に削減できます。炭酸ガスレーザーで必要な暖気運転や炭酸ガスはもちろん不要で、ランニングコストは70%以上もカットできると言われています。発振器のメンテナンスが必要ないということからも、近年注目を集めているレーザー加工機のひとつです。最近は、高性能レーザー加工機を導入している業者も増えていてMituriで見積もりを行えばそういった業者をご紹介することも可能です。炭酸ガスレーザーでカットできるアルミの板厚について引用元 株式会社井田商店炭酸ガスレーザーを使ってアルミ板をカットしてくれる工場は、Mituriには多数あります。アルミ板材を炭酸ガスレーザーでカットすると、ギザギザの筋が入ったような断面になってしまいます。しかし、切断面を綺麗に仕上げる必要がない場合は、切削加工などに比べすぐにできるため、スピーディーかつリーズナブルな価格でカットできます。さらにCADデータ(DXF)があればさらに短納期でカットできるため、急いでいる方にはとてもおすすめな加工方法です。Mituriの協力工場ではt0.1㎜〜t6㎜までの切断に対応しています。ここまで幅広い厚さに対応している工場はそう多くはありません。ファイバーレーザーでカットできるアルミの板厚についてファイバーレーザーを使えば、通常のレーザーではカットできない厚さのアルミもカットできます。また、断面がキレイに仕上がるという特徴もあります。しかし、厚みがあるアルミ板材を切断するのはファイバーレーザーでも容易ではありません。そのため、ほとんどの業者ではt10㎜くらいまでの対応となってしまいます。Mituriでは、ファイバーレーザーでt20㎜の厚さまでのカットできる協力工場も存在します。ですから、厚みのあるアルミ板材を切断したい場合はMituriで見積もりをするのがベストでしょう。アルミ板のレーザー加工事例ここでは、アルミ板のレーザー加工事例をご紹介します。(アルミ板のレーザー加工品) 引用元:株式会社かねよし(ファイバーレーザーを使った深堀りマーキング) 引用元:株式会社アマダミヤチ(アルミのレーザー加工を施して作成した作品) 引用元:株式会社かねよし(ファイバーレーザーによるアルミへのレーザー彫刻) 引用元:レーザー加工機ドットコム(アルミ板厚t8㎜ クリーンレーザーカット) 引用元:株式会社大畠製作所なぜアルミのレーザー加工は難しいのか「アルミのレーザー加工を依頼したら断られてしまった」という方は多いと思います。なぜアルミのレーザー加工は断られてしまう場合があるのでしょうか。それは、一般的な炭酸ガスレーザー加工機では加工機を壊すリスクがあるためです。特に板厚が厚いアルミ等を加工する場合、レーザー加工機の加工ノズルから照射されたレーザー光がアルミニウムの表面で一瞬だけ反射されてしまうことがあり、そのとき加工ノズルからレーザー光が逆入し、加工レンズを破損してしまう可能性があるのです。また、加工レンズの破損にとどまらず、複数枚の反射ミラーを傷つけ、最悪の場合、発振器まで破損してしまう可能性もあります。このように、アルミを切ることによって、レーザー加工機自体が壊れてしまう可能性があるため、加工業者は受注に消極的になっていたのです。レーザー加工について【レーザー加工】原理や種類、メリット・デメリットを専門家が紹介!!代表的なアルミニウム合金代表的なアルミニウム合金には、どんなタイプがあるかについてご紹介する前に、アルミニウムがどのように分類されているかを先に説明します。アルミ材の選び方についてはこちら!材質として、アルミの番手をどういう基準で選べばいいのかを簡単に動画で解説しています! 9分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひ!アルミニウム合金の種類の見分け方金属加工に用いられるアルミニウムに、純度100%の物はほとんどありません。アルミニウムは、比重が軽く柔らかい性質を持っているため、製品にする上で強度が不足することがあるからです。製品強度が必要な場合は、アルミニウムにMg(マンガン)・Cu(銅)・Si(ケイ素)・Zn(亜鉛)・Mg(マグネシウム)・Ni(ニッケル)などを添加して強度を上げ、アルミニウムを合金にして対応します。このアルミニウム合金は、添加された金属によって分類され、アルミ番手と呼ばれる番号が割り当てられています。つまり、どんなアルミニウム合金なのかを知るには、「アルミ番手」に着目して見分ければ良いのです。●アルミ番手アルミ番手は、「A〇〇〇〇」のように、アルファベットAと4桁の数字になっています。アルミ番手は、1000番台から8000番台まであり、それぞれの特性を活かし様々な製品の材料として用いられています。それでは、それぞれの違いや特徴などを主な用途例と共にご紹介しましょう。1000系(純アルミニウム)1000系で有名なアルミニウム合金は、A1100とA1070に加えA1050などがあります。4桁の数字の下2桁は、アルミニウムの含有率の小数点第2位までを表しています。A1100はAl(アルミニウム)99.00%以上含有しており、、A1070はAl(アルミニウム)99.70%以上、A1050はAl(アルミニウム)99.50%以上含まれていることになります。主な用途例家庭用品電気器具送配電用材料放熱材化学工業タンク2000系(Al-Cu系:アルミニウム+銅)2000系を象徴するアルミニウム合金は、Cu(銅)で強度を高めたA2017・A2024などがあります。A2017はジュラルミン、A2024は超ジュラルミンのことです。強度を上げるため添加されたCu(銅)は、酸化しやすい性質を持つため、2000系のアルミニウム合金は酸化しやすく腐食に弱くなります。そのため、用途によってはアルマイト加工の表面処理をし、耐食性を高めます。主な用途例航空機用部材ねじギア部品成形用金型油圧部品3000系(Al-Mn系:アルミニウム+マンガン)3000系のアルミニウム合金の中では、A3003が良く知られています。3000系は、アルミニウムの特性である耐食性を損なわずに強度を上げるため、Mn(マンガン)を添加して作られたアルミニウム合金です。さらに強度を増すために、Mg(マグネシウム)を添加することも可能です。ただし、Mn(マンガン)を添加することで、強度と共に延性も向上するため難削となり、一般的な切削加工には向かない合金です。主な用途例建築用部材屋根材アルミ缶電球口金4000系(Al-Si系:アルミニウム+ケイ素)4000系のアルミニウム合金の中では、A4032が良く利用されています。4000系は、熱に強く摩耗しにくいSi(シリコン)をアルミニウムに添加することで、耐熱性や耐摩耗性を高めたものです。熱に強く熱膨張率が小さいため、ピストンやシリンダーなどに用いられます。しかし切削する場合は、この耐摩耗性の高さが工具への負荷を大きくするため、一般的な切削加工には向いていません。アルミニウム合金の中でも低融点合金である4000系は、溶接溶加材にも使用されます。主な用途例ピストンシリンダーヘッド溶接線5000系(Al-Mg系:アルミニウム+マグネシウム)5000系のアルミニウム合金は、A5052・A5056・A5083などが主な合金です。板材としてよく利用されるのはA5052、丸材におすすめなのがA5056、高強度が必要な製品にはA5083がよく採用されます。5000系は、耐食性の高いMg(マグネシウム)を添加することで、その特性をアルミニウムに取り込み、強度と耐食性を高めていて加工しやすいので、一般的な切削加工の材料に適しています。主な用途例調理器具燃料タンク建築用内外装反射板6000系(Al-Mg-Si系:アルミニウム+マグネシウム+ケイ素)6000系のアルミニウム合金は、A6061・A6063などが良く利用されています。アルミニウムにSi(シリコン:ケイ素)とMg(マグネシウム)が加えられたことで、5000系より強度が高く腐食しにくくなっています。A6061は、Cu(銅)を添加し熱処理で硬化することにより、SS400に負けない強度になります。一方A6063は、卓越した押出性があり、耐食性・表面処理性にも優れているため、複雑な断面形状の押出用に向いています。主な用途例車両・船舶などの輸送構造部材建築用サッシドア7000系(Al-Zn-Mg系:アルミニウム+亜鉛+マグネシウム)日本で開発されたことで有名な超々ジュラルミンA7075が、7000系のアルミニウム合金のシンボル的存在です。7000系は、アルミニウムにZn(亜鉛)とMg(マグネシウム)を添加し熱処理でつくられます。アルミニウム合金の中では、7000系が最も高強度を誇ります。主な用途例スポーツ用品(金属バット・スキーストックなど)艦型部材オートバイリム車軸8000系(その他の材料系: アルミニウム+Liリチウムなど)1000系~7000系のどれにも属さないアルミニウム合金が8000系になります。8000系でよく知られているアルミニウム合金には、Al-Li系合金であるA8011やA8021・A8079などのアルミ箔合金があります。Al-Li系合金は、Li(リチウム)を添加して開発されたため、高剛性に富んだ優れた低密度材で、航空機の材料にも適しています。アルミニウムにFe(鉄)を添加したアルミ箔合金は、腐食しにくい展延性に優れた合金です。主な用途例食品包装材医療用包装アルミキャップアルミニウム箔地電気通信用たくさんあるアルミの種類から、買うべきアルミがわからない時は、こちらの「アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります」の記事がお役に立ちます。その他のアルミ加工についてMituriでは、アルミのレーザー加工以外にもさまざまな加工に対応している協力工場が多数存在しています。アルミ加工についてはこちら【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!「少数だけ注文したいけど引き受けてくれる工場がなかなかなくて困っている」「初めて工場に依頼するからどこに依頼したらいいかわからない」という方にこそ、ぜひ見積もりを行っていただきたいです!まとめ今回の記事をご覧いただければ「アルミのレーザー加工を引き受けてくれる業者がある!」と希望を持っていただけるのではないでしょうか。たしかに、アルミのレーザー加工は比較的難しい技術であるため、そのぶん業者の実績や技術力も求められます。そんなときはぜひMituriを利用してみてください。Mituriは日本全国170社以上の協力工場と多数の実績をもつ数少ない受発注プラットフォームです。ぜひ一度Mituriで見積りをして、理想の業者にアルミのレーザー加工を依頼しましょう。

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    電解研磨とは!?加工方法や効果について専門家が解説!

    電解研磨という仕上げ加工方法をご存知でしょうか。電解研磨が電気分解による作用を利用していることは知っていても、具体的な方法までは分からない人も多いでしょう。また、電気分解の原理を知らない人も少なくないはずです。さらに、電解研磨をするとどのくらい金属の表面が綺麗になるのか気になりませんか。電解研磨は万能な方法ではありませんが、特定の金属や製品に対しては高い研磨効果を発揮します。この記事では、電解研磨の概要から原理、方法、得られる効果まで、幅広く解説します。ぜひ、電解研磨の理解を深める参考にしてください。電解研磨とは電解研磨とは、電気分解の原理を利用して、金属の表面を溶かして研磨効果を得ることです。一般的にSUS304やSUS316などのオ-ステナイト系ステンレスのほか、アルミニウムの研磨によく用いられています。電解研磨の特徴は仕上がりが美しいことです。物理的研磨や洗浄等では取り除くことが困難な、微細な傷や汚れでも排除することができます。さらに、電解研磨した金属の表面は均一に滑らかになるため、汚れが付着しにくい状態になります。たとえ汚れが付着しても、軽い洗浄で綺麗にしやすい状態が保たれます。また、物理的研磨と比較し、仕上がりが加工者の技量に左右されづらいのも特徴です。電解研磨の原理電解研磨は電気分解の作用により実現します。電気分解とは、化合物に電圧をかけることで、陰極で還元反応、陽極で酸化反応を起こして化合物を化学的に分解する方法です。引用元:ネプロス処理ABC上の図を例に、電解研磨の原理を見ていきましょう。まず、研磨したい部品(図の筒状の部品)を専用の電解研磨液に入れ、プラス側の電極とつないで、これを陽極とします。上の図で、青い線で描かれているのが陽極です。そして、マイナス側となる陰極も同様に溶液に差し込み、電流を流します。上の図では、陰極は赤い線で描かれており、研磨液の容器そのものも陰極として扱われています。電流とは電子の流れで、陰極から陽極に向かって流れています。上の図で言えば、「e」が示すのが電子です。電流は陽極から陰極に流れていると思われがちですが、電流の正体である電子は陰極から陽極に向けて流れます。電解研磨においては、陰極から流れてきた電子を、研磨対象の表面の金属原子が受け取ろうとします。たとえば、アルミニウム製品を電解研磨する場合は、表面のアルミニウム原子が電子を求めて研磨液中に溶けるのです。特に、溶液と接触する表面積が広い凹凸部分が優先的に分解されるため、結果的に凹凸が減って表面は滑らかになります。同時に、表面に不純物として付着していた別の金属等も溶け、製品表面がクリーンな状態になります。さらに、電解研磨した部品の素材がステンレスの場合、より耐食性の向上が期待できます。ステンレスは、電解研磨でなくても研磨すれば表面に酸化被膜を生じるため錆びませんが、電解研磨の場合、ほかの研磨方法よりも高い耐食性が実現できるのです。なぜなら、電解研磨では成分の中でも電解しやすい鉄が優先的に電解液に溶出することで、研磨した表面にクロムの割合が高くなった酸化被膜がより緻密で、より均一、より強固に形成されるからです。電解研磨の方法引用元:株式会社 中野科学電解研磨は、製品表面の陰極に近い部分から優先的に行われます。上の図で言えば製品の外面が優先的に分解されることになります。そのことに対して特に対策を立てず、そのまま電解研磨を行なうことを「成行き」と呼びます。溶液と最低限の電極さえ用意できれば良いため、もっとも安価に実現する方法です。しかし、成行きでは製品の部位によって電解研磨の効果がばらついて困ることもあります。その場合、電解研磨の効果を均一にするには、製品表面と陰極の距離が均等になるような工夫が必要です。これには陰極側電極を複数枚用意するなどの対策を行います。引用元:株式会社 中野科学上の図では、箱状の部品の内側も適切に電解研磨するために、箱の内側にも陰極を差し込んでいます。ほかにも、たとえば筒状の製品であれば、筒の中に陰極を差し込むことがあります。形状が複雑であるほど陰極の状態も複雑化するため、コストは高くなります。しかし、逆に言えば電極の位置を適切に調節できれば、様々な部品形状を研磨できるということです。たとえば、細いパイプの内側は物理的研磨が困難ですが、電解研磨であれば、内側に陰極を配置することで研磨できます。電解研磨の効果電解研磨は、表面の凹凸が大きい製品には不向きです。陰極の位置の調節が難しく、位置によってムラが生じるためです。一方、細かい凹凸(傷)や汚れの除去には適しています。具体的には、以下のような効果が得られます。1.仕上げ研磨の品質向上引用元:株式会社 中野科学仕上げ研磨を行う前に電解研磨を行うことがあります。事前に細かい汚れや傷を排除することで、仕上げ研磨がより美しく仕上がります。2.溶接焼けの除去溶接焼けを除去するには、電解研磨だけでは難しいため、酸洗いも併せて行います。ただし、溶接時に生じる黒い焦げのような部分は、電解研磨や酸洗いでも除去が困難なため、物理的研磨も行います。また、油の焼き付きも同様に物理的研磨のほうが向いていますので、これらの方法と組み合わせて使用されています。3.洗浄効果引用元:株式会社 中野科学電解研磨では、目に見えない微細な汚れも落とせます。さらに、表面が滑らかになり汚れが着きにくくなります。たとえ実用上は問題がなくても、見た目が美しいほうが製品価値は向上するでしょう。4.バリ取り引用元:株式会社 中野科学大きなバリであれば物理的研磨や化学研磨で除去できます。しかし、細かいバリをそれらの方法で除去するのは困難です。電解研磨であれば、上の図のような微細なバリも除去できます。5.光沢を出す引用元:株式会社 中野科学電解研磨で製品表面に金属光沢を出すことができます。特に、バフ研磨と組み合わせることで、鏡面化も可能です。ただし、すべての金属で可能なわけではありません。たとえば、BA材や2B材では美しい光沢が出ますが、#400材ではかえって見た目が悪くなるので注意が必要です。上の図は2B材の鏡面化した例です。まとめ電解研磨の概要や原理、方法、効果について解説しました。電解研磨では、オ-ステナイト系ステンレスやアルミニウム製品を研磨することが可能です。物理的研磨が難しい部分でも、美しく仕上がるのが特徴です。しかし、あらゆる製品に適用できる万能な方法ではないため、素材に適した加工方法をよく見極めることが大切です。また、依頼するメーカーによっても仕上がりは変わってくるでしょう。電解研磨を依頼したいときは、ぜひMitsuriにご相談ください。

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    板曲げが得意な工場をご紹介!依頼時に注意すべき点についても解説!

    板曲げ加工とは、プレスブレーキなどを用いて、金属板をV字やU字などさまざまな形に曲げる加工方法です。金物部品やパネルなど多くの分野で板曲げ加工は使われます。ただ、依頼を出す場合にどの工場へ発注するか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。板曲げ加工にも、工場によって得意としてる加工が異なるため、依頼先の選定は非常に大切です。そこで今回は、板曲げ加工の依頼を出したい方へ向けて、金属板の曲げ加工が得意な工場を3つご紹介します。依頼時の流れや注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。板曲げの加工を依頼する際の流れ初めて板曲げ加工を外注する場合、どのような流れで注文すればいいかわからない方は多いと思います。ここでは、板曲げ加工を依頼する際の流れについて解説します。注文時の流れを把握しておき、依頼をスムーズに行いましょう。1.工場に見積り依頼まずは、工場に見積り依頼を出します。見積りをお願いする際には、特に以下の点を記載しておきましょう。・要求仕様・設計図・制作個数・希望納期また、設計図がない場合は簡単なラフ図を提示するのがおすすめです。ラフ図があるだけで、製品イメージがつきやすくなり、正確な見積り書を提出してくれるでしょう。無料で見積りできる企業が多いですが、担当者が時間を割いて見積り書の作成を行っています。できるだけ、担当の方が困らないように細かく要望を伝えておきましょう。2.見積り比較/工場決定複数の会社からいただいた見積りの比較を行い、依頼する工場を決定します。見積りを複数社に出すのは、それぞれの会社で加工方法、加工コスト等、最終的にかかる費用が異なるからです。1社だけに見積りを出しても、提示された値段が適切なのかどうかわかりません。複数社から見積りを取り、費用や納品日などを参考にその製品にあった工場を選定してください。3.製作~納品工場選定が終わり、打ち合わせも終了すれば、実際に製品の製作から納品までが行われます。この段階に入ると、基本的に発注者側が行うことはありません。もし、初めての依頼で加工状況がどうなっているのか気になる場合は、進捗を確認してみてもいいでしょう。板曲げ加工を依頼する際の注意点板曲げ加工を依頼する際には3つ注意点があります。注意点を抑えておくと、業者との打ち合わせがスムーズに進んだり、加工コストを抑えたりできるでしょう。板曲げ加工を依頼する際は、ぜひ参考にしてください。1.加工工程はできるだけ少なくする業者側の加工工程をできるだけ少なくなるように製品図面を作成しましょう。板曲げ加工だけでも、曲げ回数が多かったり、斜め加工があったりして加工難易度が高まるとコストがかかってしまいます。ほかにも、穴あけ加工や切断加工があると、さらに加工コストが増えるでしょう。そのため、設計段階でできるだけ少ない工程で加工できるように図面を作成するのがおすすめです。図面を作成できない場合は、ラフ図でもいいので作成しておきましょう。2.材質の選定に注意依頼する際には、どの金属で製品を作ってもらうか材質の選定を行いましょう。製品の用途や使用環境によって適正な材質は異なります。ただ、どんな材質が適切かわからない場合は、用途や使用する環境、予算を詳しく伝え業者に素材を提案してもらうのも一つの手段です。ただし、業者にも得意・不得意があるので全てに回答できるわけではありません。場合によっては複数社に使用する素材を聞き、比較することも良いでしょう。3.最小曲げrについて素材を曲げるために、曲げる位置から曲げの中心部までの半径を求める必要があります。これが曲げrのことです。素材が割れないぐらい曲げ加工が行える限界のrを、最小曲げrと呼ぶます。最小曲げrが大きくなると希望通りの製品を作れない可能性があります。最小曲げrは素材や板厚によって変わってくるため、正確に計算することは難しいです。そのため、多くの場合設計者の経験値によって設定されています。参考記事最小曲げrについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。⇒曲げRの計算方法について【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説では、金属板の曲げ加工におすすめの工場を3つご紹介していきます。以下はMitsuriとの提携工場です。金属板の曲げ加工おすすめ工場①【スリーナイン島野株式会社】引用元:スリーナイン島野株式会社①会社概要本社:大阪市西区南堀江3丁目2番17号TEL:06-6531-9423/ FAX:06-6538-0174創業年:1956年加工内容:陳列装飾金物、硝子付属金物、家具金物などURL:https://www.999shimano.com/②会社紹介大阪市西区にある1956年に創業された、陳列金物や家具・建築金物などの内装機能備品の製作を行っているのがスリーナイン島野株式会社です。金物の中でも、硝子引戸レールには長年の経験と知恵から高い自信を持っています。硝子引戸レールのような薄板長尺の曲げ加工を依頼したい場合は、ぜひスリーナイン島野株式会社へご依頼ください。③メリット得意な加工は薄くて細い素材の板金加工。手加工で曲げることで、他社にはできないような難易度の高い曲げ加工を行うことができます。協力工場と連携しながら、独自金型を作り上げて生産効率を上げているのも魅力的なポイント。依頼する際は多品種微量生産が可能になっています。また、バフ研磨加工を1本1本丁寧に手磨きで行っているのも特徴です。「装飾」を目的とした金物も作っているため、見た目の美しさは非常に大切しており、手磨きすることで職人それぞれの微妙な研磨の違いを楽しめるでしょう。④製品紹介(硝子付属金属)(硝子付属金属)(硝子引戸レール)参考記事スリーナイン島野株式会社について詳しく知りたい方は、下記のインタビュー記事もご参照ください。⇒スリーナイン島野株式会社金属板の曲げ加工おすすめ工場②【株式会社NTメタル】引用元:株式会社NTメタル①会社概要本社:鹿児島県鹿児島市七ツ島1丁目4-9TEL:099-230-0594 /FAX:099-230-0694創業年:2014年加工内容:スチール・アルミ・ステンレスなどの板金切削、非鉄金属の製作施工、レーザー加工URL:https://ntmetal.amebaownd.com/②会社紹介鹿児島県鹿児島市にある板金・製缶加工業者が株式会社NTメタルです。創業が平成26年と比較的若い会社ですが、ステンレス材を中心に鉄やアルミ、真鍮といった金属の加工を得意としています。株式会社NTメタルなら、加工状況によりますが最短で当日発送が可能です。板金・製缶加工の依頼先に悩まれている方は、ぜひ株式会社NTメタルにご相談ください。③メリット設備が充実しており、特に「AMADA LC3015F1」というレーザー加工機は板厚0.3~3.2mm最大2420mmの長さの金属板を加工可能です。そのほかには以下のような設備・ソフトを取り揃えています。・シャーリング・タレットパンチプレス・プレスブレーキ・2D CADまた、加工状況によりますが最短で当日発送を行えるのも魅力的なポイントです。④製品紹介(板金加工)(板金、レーザー加工)(板金、レーザー加工)金属板の曲げ加工おすすめ工場③【株式会社エッジ・エンタープライズ】引用元:株式会社エッジ・エンタープライズ①会社概要本社:東京都墨田区八広3-29-11TEL:048-446-7880 /FAX:048-446-7885創業年:1952年加工内容:ステンレス板金加工、建築内外装飾品製作、サイン看板製作などURL:http://www.edge-enterprise.jp/index.html②会社紹介1952年に創業した、東京都墨田区に本社をおく企業が株式会社エッジ・エンタープライズです。多品種小ロットの生産を行っており、依頼主のさまざまなニーズに対応できます。・建築金物・フレームやパネル・バンパーやベンダーなどの装飾品関係株式会社エッジ・エンタープライズでは、上記のような製品加工を得意としています。最新のレーザー加工機を用いて、文字抜きなどの細かい装飾も加工可能です。③メリットラフ図からの図面起こしから、加工、検査・納品まで全ての工程を自社工場だけで一貫対応ができます。さらに、15種類340パターンの材料を常備しているので、材料発注などの手間が少なくなり短納期で納品も可能です。サイン看板パネルや折り曲げ加工の依頼先に悩まれている方は、株式会社エッジ・エンタープライズに依頼してみてはいかがでしょうか。④製品紹介(シンクパネル)(外壁パネル)(証明関係)参考記事株式会社エッジ・エンタープライズについて、さらに詳しく知りたい方は代表の森川氏へのインタビュー記事をご参照ください。⇒株式会社エッジ・エンタープライズ板曲げ加工の見積り依頼ならMitsuri今回は、金属板の板曲げ加工のおすすめ工場や依頼時の注意点についてご紹介しました。金属板の曲げ加工を依頼する場合、加工工程を少なくしたり、最小曲げrを確認することが大切です。解説した3つの注意点を気にしておくと、製品コストを下げて依頼できるでしょう。また、今回ご紹介した3つの工場以外にも、それぞれの会社には得意分野があるため、記事の内容を参考にあなたが作りたい製品に合わせて、加工工場の選定に役立てていただけたら幸いです。Mitsuriがお取引しているメーカー様は、日本全国250社以上です。取引メーカーの中には板曲げ加工ができる会社は多数あります。板曲げ加工をどこのメーカーへ出すか考えている方は、完全無料で複数社から同時見積りが取れるMitsuriに、ぜひご相談ください。

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    アルミケースの加工方法、業者について紹介!

    「アルミケースの加工方法が知りたい」「自分で加工してみたいがやり方がや必要な道具が分からない」「業者に加工を依頼したいがどうすればいいのか」アルミケースを加工するには、様々な道具を用意した上で、加工する技術が必要になります。丈夫でデザイン性に優れているアルミケースは、アンプ・スピーカー・パソコンなど電子機器に多用されています。電子工作を趣味にしていたり、音響機器などを扱う企業で、アルミケースの加工が必要になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はアルミケースの加工方法、おすすめの加工業者をご紹介していきます。必要な道具や、自作する際の注意点もまとめていますので、アルミケース加工時の参考になれば幸いです。アルミケースの加工方法アルミケースの加工は、主に下記の流れで行われます。①切断加工②曲げ加工③穴あけ加工④接合自作する方は、既に箱状になっているアルミケースを加工する場合が多いかと思いますが、順を追ってご紹介していきます。①切断加工まず始めに行うのは、切断加工です。切断前に図面を作成して、寸法を決めます。その後アルミケースの元になるアルミ板に、目印となる罫書き線を書き込み、切断します。この時アルミの厚さによって、適切な道具が変わります。薄い場合はカッター、厚い場合は金切鋸やサンダー電動工具など、業者であればレーザー加工機を使用します。②曲げ加工アルミ板を切断加工した後は、箱状にするため曲げ加工を施します。曲げ加工はベンダーマシンを使用するのが一般的で、上型と下型の間にアルミを入れ、押し込む圧力によって型通りに変形させます。その際は、切断加工と同様、アルミの厚さによって適切な曲げ加工方法が変わります。薄い場合は直角に曲げても美しく仕上がりますが、厚みがある場合は、角Rを付けた方が仕上がりが良くなります。曲げ加工は、アルミの弾性も考えて行わなければいけないので、ある程度の技術が必要とされます。③穴あけ加工曲げ加工前に穴あけ加工を施す場合も多々あります。手順については、効率の良い順番で行います。切断加工時の罫書きを入れる際に、穴あけ加工を施す場所にもポンチで罫書きを入れておきます。罫書きを入れた場所に、寸法より小さ目の穴をあけ、その後寸法通りの大きさに加工します。ドリルで穴を円の中心部分として、圧力で押し切るシャーシパンチや、ホールソーなどで穴を広げます。角穴加工を施す際は、ドリルで開けた穴をニッパーで繋げていく方法や、鋸で切っていく方法があります。最後はやすりで寸法通りに整えます。④接合アルミ板同士の接合は、主にリベットが使用されています。リベットはリベッターと呼ばれる工具で、かしめ作業を行う事で素材と素材を結合します。穴あけ加工で事前にあけた穴にリベットを差し込み、リベッターでかしめることで圧力により素材と素材を結合します。またアルミの厚さによっては、溶接やネジ・ナットで接合する場合もあります。自作でアルミケースの加工をおこなう方法電子工作が趣味で、アルミケースを自作したい、自分で加工したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際にアルミケース加工を自作している方は大勢いらっしゃいます。加工時に必要となる道具や、自作する際に注意するべき点をご紹介していきます。加工に必要な道具①ものさし・スケールまず必要なのは、図面を作成したり寸法を測るのに使用するものさしやスケールです。②カッター・センターポンチ・ハンマー切断加工、穴あけ加工を施す場所に罫書きを入れるために使用します。センターポンチは上からハンマーで叩き、罫書きを入れます。手で押し込むだけで罫書くことができるオートポンチもあります。③卓上ボール盤・電動ドライバー・ドリルビット卓上ボール盤は、穴あけ加工を施す際に、アルミ板を固定してドリルで穴をあけるために使用します。自力で固定して、電動ドライバーで穴をあけることも可能です。卓上ボール盤は簡単に固定できますが、素材の大きさ次第で使用できない場合があります。電動ドライバーは自身でしっかり固定しなければいけませんが、素材の大きさに関係なく使用できます。ドリルビットは金属製を使用します。④シャーシリーマ・シャーシパンチ・ホールソードリルであけた穴を、寸法通りに大きくするために使用する道具です。シャーシリーマーは穴を少し広げる際に、手で時計回りに押し込みながら使用します。シャーシパンチ・ホールソーはさらに大きく加工する際に卓上ボール盤や、電動ドライバーにセットして使用します。⑤ニッパー・ハンドソー・やすり角穴加工を施す際には、ドリルであけた穴をニッパーかハンドソーで繋げ、仕上げにやすりで寸法通りに削っていきます。⑥タップ・ドライバー・ナットドライバータップはネジ穴を作成する場合に使用する道具です。下穴にタップを通し、ネジの種類に合わせた穴を作成します。ドライバーやナットドライバーはネジ、ナットを締める際に使用します。⑦ペンチ・ベンダー曲げ加工を施す際に使用します。ベンダーを使用するのが確実ですが、細かい曲げ加工が必要な場合は、ペンチで行う方もいます。⑧作業用の手袋切断した後の角や、切粉が刺さるなどのケガ防止用です。またアルミは素手だと滑る可能性が高いので、滑り止め付きの作業用手袋がおすすめです。アルミケースの加工を自作でおこなう際の注意点アルミケース加工時には、注意するべき点があります。ケガ、事故、トラブルの元になるので、十分注意して作業しましょう。①固定が緩い切断加工、穴あけ加工、曲げ加工、全ての工程で注意するべき点です。特に電動ドライバーなどの工具を使用する際に固定が甘いと、アルミ板が回転したり、電動ドライバーが滑り体に当たるなど、ケガ、事故の元になります。何かで挟み込むなど、しっかり固定した上で、滑り止めの作業用手袋を着用して作業しましょう。②アルミの破片、切粉の放置アルミの破片や切粉を放置すると踏んだりした際に、ケガの元となります。切粉は目に見えない場合も多いので、加工後はすぐに処理しましょう。③騒音問題自作する方は特に注意しなければいけないのが、騒音問題です。電動ドライバーなどの工具を使用する場合は、騒音や振動に気を付けなければいけません。特に集合住宅や住宅街で使用する際は、防音対策が必要となる場合もあります。作業している本人は気にならないかもしれませんが、周囲の方にはうるさく感じることもあります。トラブルの元になるので、騒音には十分注意しましょう。アルミケースの加工を依頼する場合のおすすめ業者3選株式会社タカチ電機工業引用元:株式会社タカチ電機工業基本情報本社:埼玉県川口市東領家3-21-16TEL:048-222-5430FAX:048-222-5502創業年:昭和54年HP:https://www.takachi-el.co.jp/①会社紹介株式会社タカチ電機工業は、工業用、電気用の筐体などに使用されるアルミケースを主に加工生産している企業です。リピートすることで、5%割引が適用されるので、コストの削減に繋がります。②製品紹介(ヒートシンクアルミケース EXHシリーズ)(IP67防水アルミケース AWNシリーズ)(プロテクター付防水アルミケース AWPシリーズ)アクテック株式会社引用元:アクテック株式会社基本情報本社:大阪府枚方市長尾家具町3-10-10TEL:072-857-0898FAX:0120-898-001創業年:昭和47年HP:http://www.actec1972.co.jp/①会社紹介アクテック株式会社は、収納用、保管用のアルミケースを中心に加工を行っている企業です。元々あるテンプレートから製品を選べる他、オーダーメイドにも受け付けていて、1mm単位の調整も可能としています。②製品紹介三晃電器工業 株式会社引用元:三晃電器工業 株式会社基本情報本社:大阪府大阪市東住吉区中野1-13-9TEL:06-6701-0407FAX:06-6704-0367創業年:昭和44HP:http://www.sankoudenkikougyou.co.jp/①会社紹介三晃電器工業 株式会社は、アルミの板金加工を得意としている企業です。サイズの小さな精密加工を、小ロットから受け付けています。通信機器メーカーや制御機器を取り扱う企業などと取引実績があります。②製品紹介(ラックケース)(小物精密板金)(農業機械部品)アルミケースの加工に関するまとめ今回は、アルミケースの加工方法や必要な道具、ご依頼におすすめの企業をご紹介しました。切断加工、穴あけ加工、曲げ加工など、アルミケース加工に使用される方法は複数あり、パンチや電動ドライバーなど必要な道具も様々です。ご自身での加工が難しい、時間がとれない方は、企業へのご依頼がおすすめです。

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    溶接方法について専門家が解説!【協力工場140社以上】溶接でお困りならMitsuri!

    皆さんは溶接にどのようなイメージをお持ちでしょうか。重装備をしたエンジニアがバチバチと火花を散らして、鉄板相手に格闘している光景を思い浮かべる人もいるでしょう。一口に「溶接」といっても非常に奥が深く、実に様々な溶接方法が存在します。「溶接について詳しく知りたい」「どんな溶接方法があるの?」本記事では、溶接方法の種類について簡潔に解説いたしますので、参考にしていただければと思います。そもそも溶接とは溶接とは、二つ以上の金属部品同士を繋ぎ合わせる方法です。基本的には同種の金属を溶接しますが、特別な方法を用いることによって異種同士を接合ケースもあります。金属加工でよく使われる溶接方法6選!溶接は単純に見えて奥が深く、数多くの方法があります。ここでは、一般的によく使用される溶接方法を解説していきます。TIG溶接「TIG溶接」は溶接ビードが一番きれいな溶接方法です。技術がある溶接工が仕上げた溶接ビードは、鱗が均一に整い、溶接ビードが製品の美観を損ないません。そのため、美観を意識する製品はTIG溶接が適しています。TIG溶接では、高温に強いタングステン電極棒よりアークを発生させ、母材を溶かし溶接棒(溶加材)を加えていきます。アークによって溶かされた母材をアルゴンガスなどのシールドガスで守ることによって、溶接部分の酸化やブローホールを防ぎます。TIG溶接はビードが美しく仕上がりますので、ステンレスやアルミでの溶接に多用されています。スパッタが飛ばず、ヒュームも少ないため、ほとんど汚れずに溶接できる点においては優れています。ただし、母材をしっかり温めなければならない関係上、スピードが他の溶接方法に劣り、広範囲の溶接には向かないのが難点です。また、アークの温度は高く、紫外線も強いため日焼けを最もしやすい溶接方法です。TIG溶接についてはこちらティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!プラズマ溶接プラズマ溶接はTIG溶接と基本的には同じですが、タングステン電極棒からアークを発生させ、母材を溶かし溶接します。ただし、プラズマ溶接では水冷ノズル内にプラズマガスを発生させ、アークを極限まで狭めプラズマアークとなります。プラズマアークはTIG溶接より溶け込みが深いです。溶け込みが深いため、TIG溶接では4パス必要な厚みでもプラズマ溶接では1パスで事足り、熱変形による母材の歪が少なく効率の良い溶接ができる点は魅力的。しかし、溶接機が高価でメンテナンスもコストがかかるだけでなく、調整が難しい点がデメリットです。被覆アーク溶接被覆アーク溶接は、溶接棒から直接アークを飛ばし、母材と溶接棒を溶かしながら融合させていく溶接方法です。溶接棒を電極で加えて溶接するので、製造現場では棒溶接とも呼ばれています。溶接棒の周りには、酸化やブローを防止する被覆がされているお陰で、シールドガスが不要。ガスが要らず携行設備が不要なため現場溶接に向いており、建設現場の鉄骨は被覆アーク溶接が多用されています。昔は工場でも被覆アーク溶接が主流でしたが、スラグやスパッタが大量に出るのと、溶接スピードが半自動溶接より劣るため、今ではほとんど半自動溶接に置き換わっています。しかし、横向きや立て向き姿勢の溶接が必要な箇所の母材に対する溶け込みは、被覆アーク溶接の方が優れており、工場でも大型架台を製造する会社は被覆アーク溶接を使用しています。ただし、溶け込みが深い反面、ビードの外側にアンダーカットができやすいため、熟練の技術は必要不可欠。近年、被覆アーク溶接技術者の減少が目立ってきており、技術力低下が叫ばれています。アーク溶接についてはこちら【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説CO2(炭酸ガス)溶接CO2溶接とは、シールドガスに炭酸ガスを用いる溶接方法で、半自動溶接で使用されています。半自動溶接は炭酸ガスをシールドガスに使用していることが多いです。溶接母材は鉄のみで、アルミなどの非鉄金属では使用できません。炭酸ガスはアルゴンガスと比較して費用が安く、アークが細くなるため溶け込みは他のガスより深くなります。半自動溶接は、溶接棒が減って高さ調整が必要な被覆アーク溶接と異なり、溶接ワイヤーが自動的にトーチの先端から出てきてアークを発生させ、母材を溶かしながらワイヤーと融合する溶接方法です。溶接母材によって電流と電圧を調整し、被覆アーク溶接に比べてスピードが速くスラグが格段に少ないのが特徴です。ワイヤーが自動的に出るため、肉盛りがしやすい反面、溶け込みが浅くなりやすい点に注意しなくてはなりません。また、オーバーラップが最も多い溶接方法といえます。CO2溶接についてはこちら炭酸ガスアーク溶接とは?【3分でわかる】向いている金属もご紹介!MAG溶接「MAG溶接」はCO2溶接と同じく半自動溶接の一種です。使用するシールドガスには、アルゴンガス80%、炭酸ガス20%の混合ガスを使用します。MAG溶接も非鉄金属を溶接することはできません。CO2溶接と比較してスパッタが少なく、キレイなビードで溶接が可能です。外観を重視する溶接では、MAG溶接を用いることが多いです。ただし、溶け込みに関しては不活性ガスを使っている関係上、アークが広がり浅くなりやすいのが難点。また、コストもCO2ガス溶接に比べて高価です。マグ溶接についてはこちら【マグ溶接】マグ溶接原理や特徴を解説!!他の溶接との違いはどこにある?MIG溶接「MIG溶接」は、アルゴンガスを使用した半自動溶接のことを言います。アルゴンガスを用いているため、アルミやステンレスなどの非鉄金属が溶接でき、スパッタが少なく半自動溶接の中でも見た目が一番きれいな溶接方法です。TIG溶接と異なり、半自動溶接のためスピードに優れ、アルミやステンレスを広範囲に溶接する場合はMIG溶接が適しています。しかし、MIG溶接設備を整えている会社は多くありません。理由は、MIG溶接を覚えるのに時間がかかるのと、広範囲に非鉄金属を溶接するケースが少ないからです。そのため、CO2溶接とTIG溶接を主軸にしている工場が多い傾向にあります。MIG溶接を主軸にしている工場は、ステンレス専門製造企業といえます。Mitsuriでは、6種類の溶接方法全てに対応することができます。ミグ溶接についてはこちらミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!その他の溶接これまでは主要溶接方法を説明しましたが、頻度や使用できる箇所が限定的な溶接方法もご紹介します。スポット溶接「スポット溶接」は、2枚の鉄板を電極と電極で挟み込み、鉄板を貼り合わせる溶接方法です。これまで紹介した溶接と異なり、プレス機のようなスポット溶接機に板を設置し、上から押し付ける形で溶接します。特別な技術は必要ない為、比較的簡単にできる溶接方法と言われています。スポット溶接は板が厚かったり、サイズが大きすぎたりすると接合面まで熱が伝わらず、充分に溶接されないこともあります。自動車工場などにある大型スポット溶接機であれば、板が厚くてもスポット溶接可能です。スポット溶接をする際は、接合する溶接機にあった板厚を選択する必要があります。スポット溶接についてはこちら【スポット溶接】メリット・デメリットや他の溶接との違いを専門家が解説!レーザー溶接「レーザー溶接」は、圧縮したレーザーを照射し、一枚板同士を接合させる方法です。レーザーの出力を微妙に調整することによって、接合部を溶かし溶接します。溶接棒を足すわけでなく、なめ付けとなるため強度は比較的弱め。しかし、レーザーを高速で深くまで照射できるため溶け込みは深く、ゆがみが少ないのが特徴です。ステンレスでも溶接できるため、大手自動車メーカーなどでは自動レーザー溶接機を設置していることもあります。また、溶け込みが浅いが肉盛が十分な半自動溶接とレーザー溶接をハイブリットした溶接方法が研究されています。レーザー溶接についてはこちら【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!溶接方法の比較溶接方法を紹介してきましたが、それぞれの特徴や違いについてまとめていきます。まず、シンプルな加工におすすめの方法はティグ溶接となります。基本的な突合せ溶接などをする際にはおすすめです。ティグ溶接と似ている手法にプラズマアーク溶接がありますが、プラズマアーク溶接の方が高温で溶接速度が速いという違いがあります。プラズマ溶接はTIG溶接と基本的には同じですが、タングステン電極棒からアークを発生させ、母材を溶かし溶接します。しかし、あまり経済的でないため肉盛溶接などに用途が限られています。生産性が高いのはスポット溶接です。溶接時間が短く効率的に溶接できるので、自動車ボディの接合などに使われています。そして、さらに効率的なのがレーザー溶接です。スポット溶接の代用技術として導入が進められており、産業用ロボットと組み合わせて使われています。溶接時の手間が少ないのは、半自動溶接です。これにはCO2溶接、MAG溶接、MIG溶接などが含まれます。トーチのスイッチを押すとワイヤーが自動で出てきて母材に接触し、ワイヤーと母材を溶かして溶接できます。CO2溶接は半自動溶接の中では最もコストが低く、使われる頻度も多いです。鉄の溶接に最適となっています。MAG溶接は炭酸ガスとアルゴンガスが組み合わさっており、CO2溶接よりもスパッターが少なくきれいに仕上がります。MIG溶接は主にアルゴンガスを主成分としており、鉄ではなくステンレスやアルミの溶接に使われます。仕上がりも美しいので、表面の加工などに最適です。一流の板金加工業者に依頼しませんか?溶接ならMitsuri!今回は代表的な溶接方法についてご紹介しました。溶接方法は数多くの種類があり、製品によって適した溶接方法は異なります。実は溶接方法を選択するにあたり、明確な基準はなく、設計者や作業者の好みや考え方で異なる事があります。つまり、経験や技術がない会社に依頼すると、溶接方法の選択を誤り、熱変形によるゆがみや溶接不良が発生してしまいます。