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切削工具

  • カウンターシンクとは?種類ごとの特徴や面取りカッターとの違い

    今回はカウンターシンクの種類ごとの特徴や面取りカッターとの違いについて解説します。カウンターシンクは、主に穴加工のあとに面取りやバリ取りを行うための刃物のことを指します。比較的安価で入手できるので、穴の面取りをする際に頻繁に使われています。カウンターシンクとは引用元:大洋ツール株式会社 超硬3枚刃カウンターシンクカウンターシンクとは、面取りやバリ取りをするための刃物のことを指します。面取りは加工物の角でケガをしたり、ものが破損するのを防ぐ目的で行います。カウンターシンクはキノコのような形状が特徴的で、ツイストドリルなどで穴加工をした後のエッジのカエリやバリを取り除いたり、面取りをしたりする目的でカウンターシンクを用います。カウンターシンクの材質は、超硬のものもありますが、主にハイスが採用されています。コストが比較的安く済むので、ちょっとした面取りをするのにカウンターシンクが使われています。製品によってはハイスにチタンコーティングなどを施しており、耐摩耗性を向上しています。面取りできる刃物にはリーディングドリルもありますが、リーディングドリルは面取りに限らず、穴加工の際の位置決めに使用する刃物で、カウンターシンクとは異なる性質を持ちます。参考:リーディングドリルとは?用途、種類、切削条件カウンターシンクの種類と特徴カウンターシンクは製品によって、先端角の角度が60°・90°・120°などと異なります。基本的な皿モミ加工やバリ取り、面取りを行うのであれば、先端角90°のものが最適です。より大きな角度で面取りをしたい場合に先端角120°のものを用いるなど、目的によって使い分けます。製品によっては刃の分割数が不等分割されたものもあります。このタイプは切削抵抗を軽減し、ビビリが少ないことから、面取り精度の向上が期待できます。次にカウンターシンクの種類とそれぞれの特徴について見てみましょう。ロングシャンクタイプ引用元:株式会社ライノス 製品詳細 【HSSカウンターシンク】3枚刃 ロングシャンク 90°《No.19092》ロングシャンクタイプは、シャンクが長いカウンターシンクです。シャンクが長いことで、深さのあるワークに対しても加工がしやすいほか、工具とワークが干渉しにくい特徴があります。TiNコーティングタイプ引用元:株式会社丸藤TiNコーティングタイプは、チタンコーティングを施したカウンターシンクです。TiNコーティングはドリルやカッターなどの切削工具に多く採用されており、安定した膜質と耐摩耗性が得られます。TiNコーティングされた切削工具は、外観が黄金色になっているのが特徴です。Vコーティングタイプ引用元:MiSUMi-VONA V-UCS 穴面取り カウンタ-シンク VコーティングVコーティングタイプは、TiN層にTiCN層(炭窒化チタン)を被膜させた複層構造のカウンターシンクです。TiNコーティングに比べてコストが高いものの、より高い硬度が得られるため、工具の長寿命化が期待できます。VコーティングタイプはTiNコーティングの黄金色と違い、外観が茶色やグレー色になっています。穴あきタイプ引用元:株式会社ライノス 製品詳細 【HSSカウンターシンク】穴あきカウンターシンク 60°《No.21811》穴あきタイプは、刃部に貫通穴が開いているカウンターシンクです。穴の部分が刃になっていて、切削したときに切粉が排出しやすいほか、非鉄金属や軟質材料に対してキレイに面取りができるのも特徴です。また、貫通穴はオイルホールの役割を担い、加工の際にオイルを刃先へ供給しやすく、仕上がり面を高精度で加工できる製品もあります。面取りカッターとの違いカウンターシンクと面取りカッターは、どちらもバリ取りや面取り加工をするための刃物のことを指しており、ほとんど違いはありません。傾向として、カウンターシンクは皿モミ加工を目的とした工具、面取りカッターは皿モミに限らずパイプ端部などのさまざまな面取り加工の工具の総称を指すことが多いです。参考:【面取りカッター】種類、材質、サイズ、角度

  • ホールソーの種類、用途、サイズ、規格

    ホールソーは、DIYや各種の工事、金属加工などで用いられている切削工具です。大口径の穴をあけるのに適しており、精度良く、短い時間、少ない電力で大きな穴をあけることができます。様々な材質のホールソーが市販されており、木材や樹脂材、金属材など、加工対象に合わせたラインナップがあります。サイズも多様ですが、ホールソーの外径が開口する穴の径となるため、穴径に合わせてホールソーを選定する必要があります。電動ドライバーやインパクトドライバーなどに装着して使用することが多く、手動で簡単に綺麗な穴をあけたいときに役立つでしょう。この記事では、このホールソーの詳細や用途などについて詳しく解説してきます。ホールソーの種類や種類毎の特徴、加工対象、サイズにも言及しますので、参考にしてください。ホールソーとは引用元:製品情報 > 切断・穿孔機器 > ダイヤモンドコアビット「H.S.S.ハイスホールソー(排水マス用)」レッキス工業株式会社ホールソーとは、木・樹脂・金属製の板材や樹脂・金属製の管材に大口径の穴をあけるための切削工具のことです。ホールソー全体は、上図のように円筒形状となっており、円筒の先端には円周に沿って刃が付いています。円筒の中心軸にはドリルが備え付けられており、ホールソーの刃とドリルが一緒に回転することで、穴の中心を維持しながら穴をあけることが可能です。なお、上図の有効長は、穴あけ可能な最大深さで、同時に穿孔可能な最大板厚を示します。また、切粉除去孔は、ホールソー側面の穴のことで、切削によって生じた切粉を排出する機能があります。ホールソーは、主に切削ビットとして電動ドリルや電動ドライバー、インパクトドライバーなどの電動工具に装着して手動で使用しますが、ボール盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械に装着して自動で使用するタイプのものもあります。引用元:製品紹介 > ホールソー「超硬ホールソー メタコアトリプル」ユニカ株式会社なお、ドリルではなく、ホールソーで穴をあけることのメリットは、上図から理解されるように、切削面積が小さいため、短時間、省エネルギーで穴あけが可能なことです。また、工具自体を比べると、ホールソーの方が工具を構成する素材の量が少なくて済みます。参考:穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!ホールソーの用途用途としては、水道・ガス・エアコンなどの配管工事やコンセントやスイッチなどの取付穴の開口といった電気工事のほか、木工や樹脂加工、金属加工などが挙げられます。木工では家具などの生産に、樹脂加工ではFRP(繊維強化プラスチック)製のコンテナや塩ビ(ポリ塩化ビニル)樹脂製の機械カバーなどの製作に、金属加工ではステンレス製のキャビネットや内装パネルの製作などにホールソーが用いられています。ホールソーの価格帯価格帯は、1,000円程度から50,000円程度までと幅広く、材質の違いや精密性の高さ、サイズ、ドリルの有無などによって価格が違います。ドリルとセットになっていないものはドリルを別に用意する必要があります。材質は、安価な順に、炭素工具鋼、高速度工具鋼(ハイス)、超硬合金となっています。ただし、ハイス製のホールソーは、刃先のみがハイスで、円筒部がバネ鋼となっている「バイメタル」(2種類の金属を溶接などで接続した複合材)が使用されていることが多く、バイメタルホールソーとも呼ばれます。ホールソーとコアドリルの違い引用元:事業紹介「コアドリル工法」コンクリートコーリング株式会社なお、ホールソーと類似した工具にコアドリルがありますが、コアドリルは、鉄筋・無筋コンクリート材やサイディング材(外壁材)、石材、木材などが対象です(上図参照)。また、ホールソーであける穴よりも深い穴をあけるために用いられます。そのため、開口する穴が浅い場合にはホールソー、穴が深い場合にはコアドリルを使用すると良いでしょう。ホールソーの使用方法●確認事項ホールソーで穴あけを行う場合は、まず以下の事項の確認が必要です。・ホールソーが加工物の材質に対応しているかを確認します。・ホールソーのシャンク(柄部)の形状が取り付ける電動工具のチャック(工具の保持具)と合っているかを確認します。・ホールソーの有効長が加工物の厚さよりも小さいことを確認します。・ホールソーの径が開口する穴の径に合っているかを確認します。●使用手順そして、手動で取り扱う電動工具を使用する場合は、以下のような手順で穴をあけていきます。1. ホールソーを電動工具に取り付けます。2. 加工物の下に、ドリルやホールソーの刃を受けるための下地材を敷きます。3. 開口する穴の中心にマーキングとして印、または窪みを付けます。4. ドリルの先端を印、または窪みに当て、加工物と垂直になるように構えます。5. 電動工具のトリガーを少しずつ引きながら、低速回転から少しずつ回転数が上げていきます。6. ドリルは、ある程度の深さを掘り進むと、自動的にねじ込まれていきますので、大きな力を加えずに構えてセンター穴をあけていきます。7. ホールソーの刃が加工物に触れたら、再び低速回転にして回転数が徐々に上がっていくように穴をあけていきます。8. ドリルの推進力でホールソーの刃による加工も進行していきます。9. 穴が貫通したら作業終了です。●作業時の注意点作業時の注意点としては、以下が挙げられます。・ホールソーの刃よりもドリルの先端が突出しているので、加工物の下に敷いた下地材にはドリルによる穴が必ずあいてしまいます。そのため、下地材の板厚に余裕を持つなど、注意が必要です。・ある程度の厚みがある木材は、穴が貫通した際に亀裂や大きなバリが生じることがあります。その防止には、加工物の表と裏から半分の深さずつ穴あけを行って穴を貫通させることが有効です。・加工後のドリルやホールソーは、高温になっていることがあるので、しばらく素手では触れないようにしましょう。・加工中、切り屑などでホールソーの刃が目詰まりを起こすことがあるので、頻繁に切り屑を除去しながら穴あけを行いましょう。ホールソーの種類ホールソーの種類は、大きく木工用と金属加工用に分けることが可能で、金属加工用ではバイメタルホールソーと超硬ホールソーが代表的です。ここでは、一つで複数の穴径に対応している木工用ホールソー、刃の材質にハイスを使用しているバイメタルホールソー、バイメタルホールソーの上位互換とも言える超硬ホールソーについてご紹介します。木工用ホールソー引用元:先端工具>木工アクセサリ>フリーカッター「SK11 インパクト用木工ホールソー SIH-001」藤原産業株式会社木工用ホールソーは、木板やベニヤ板(合板)、コンクリートパネル(コンパネ)などの穴あけに用いられるホールソーです。塩ビやアクリル、発泡スチロールなどの樹脂の加工も可能ですが、通常、金属板の加工はできません。刃の材質は主に炭素工具鋼が用いられていますが、ステンレスのSUS420J2が用いられていることもあります。市販品は通常、口径の異なる薄目の刃が複数枚セットとなって販売されています(上図参照)。そして、刃となる円筒の側面部と刃の土台となる円筒の底面部が分離できるようになっており、底面部には、ドリルを中心に同心円状の溝があります。つまり、木工用ホールソーは、開口する穴の径に合った溝に刃を取り付けることで、様々な径の穴に対応できるのです。超硬ホールソー引用元:製品紹介 > ホールソー「超硬ホールソー メタコア」ユニカ株式会社超硬ホールソーは、刃部に超硬合金が使用されているホールソーのことです(上図参照)。鋼板やステンレス板、アルミ板などの金属板のほか、鋼管やステンレス管などの穴あけに用いられるホールソーです。木材や樹脂材の穴あけもできます。参考:アルミ板の穴あけに関してご紹介!必要な工具や工場の手法に関しても解説!参考:パイプの穴あけ加工を製品事例と共に徹底解説!特に、硬い金属板や厚い鋼板などが加工対象で、これらに対応できるように刃が高硬度で分厚く、耐摩耗性にも優れます。チッピング防止や摩耗対策、長寿命化のため、刃部にチタンなどがコーティングされているものもあります。なお、上図のドリルに巻き付いているバネは、下図のように、ドリルの貫通時にホールソーが勢い良く加工物に当たってしまうことを防止するために備え付けられています。引用元:製品紹介 > ホールソー「H.S.S ハイスホールソー」ユニカ株式会社ただし、木工用ホールソーとは違って、口径ごとにホールソーを用意しなくてはならず、ホールソー一つ一つの価格も高くなっています。バイメタルホールソー引用元:製品紹介 > ホールソー「H.S.S ハイスホールソー」ユニカ株式会社バイメタルホールソーは、上述したように、バイメタルと呼ばれる複合金属材料を材質とするホールソーのことです(上図参照)。刃先には主に高速での切削加工に適したハイスが、刃先以外には硬度と靭性のバランス良いバネ鋼などが用いられています。その刃は、薄いものから厚いものまであり、極薄のものであれば精密性の高い加工が可能です。刃の材質は、SKH51やSKH59といったモリブデン系高速度工具鋼などが用いられています。主に薄目の鋼板やステンレス板、アルミ板などの加工に用いられますが、木材や樹脂材の加工も可能です。しかし、超硬ホールソーに比べると、硬度や耐摩耗性に劣るので、分厚いステンレス板などの穴あけは推奨されません。ホールソーのサイズと規格一覧ホールソーには、公的に定められた規格はありませんが、電動工具や工作機械との接続部であるシャンクについてはメーカーに関わらず形状やサイズが統一されています。市販のホールソーは、インパクトドライバーの六角軸チャックに取り付けられるシャンク径6.35mmの六角軸シャンクか、電動ドリル・電動ドライバーのドリルチャックに取り付けられるシャンク径6~13mmのストレートシャンクであるものが大部分です。一方、開口する穴の大きさを決める口径と穿孔可能な最大の板厚を決める有効長、及び推奨される最大板厚の適応板厚は、ホールソーのメーカーや製品、種類によって様々です。市販されているホールソーの口径と有効長、適応板厚を種類毎に挙げると下表のようになっています。(単位:mm)木工用バイメタル超硬口径(外径)21~17012~17014~150 有効長12.5~15010~504~35適応板厚~150(電動工具)~3.2(電動工具)~4.5(電動工具)~25(工作機械)

  • ツーリング工具の構造、種類、規格

    ツーリングとは、工作機械に切削工具を設置させるため、間に入ってアダプターの役割を果たす工具のこと。ドリルやフライスなどの「ツール」の間に入ることから、「tooling」と表記されます。実際に金属を加工するのに必要なのは切削工具ですが、その性能を最大限に発揮させるためにはツールをしっかりと固定し、金属を削っている間も重心がブレず、力を正しく伝える必要があります。そのため、一般的な金属の切削では脱着のしやすさ、高硬度の金属や高精度な加工を要求される現場においては保持力や剛性などが求められるなど、状況や要求に応じてさまざまな需要があります。ツーリングの構造と仕組みフライス盤の場合、ツーリングはツールホルダ、ツールアダプタで構成されています。ツールホルダツールホルダは工作機械に直接つながるパーツの相称で、ツールアダプタを固定したまま状態を保てる「保持力」と重心がブレずに金属を切削できる「取り付け精度」などが求められます。ツールホルダには、加工工具によって凹状、凸状の2種類があり、凹状のものを「ホルダ」、凸状のものを「アーバ」と呼んでいます。ツールアダプタツールアダプタはドリルやフライス、アーバなどの加工工具とツールホルダの間に取り付けられる工具のこと。場合によって、ツールホルダと分離しているものと、一体型になっているものがあります。プルスタッドプルスタッドはツールホルダの後端に取り付けられ、工作機械の主軸穴に固定させるために用いられるボルトのことです。切削工具同様、工作機械に取り付けられる消耗品で、耐摩耗性に優れた素材を使用することで長期間、安定した加工を維持することができます。ツーリングの種類と特徴ツールホルダは保持力や剛性などが求められる一方、脱着のしやすさや熟練度など、方法によって違った特徴も持ち合わせています。それぞれに特徴の異なる5種類のツールホルダについてご紹介します。コレットチャックコレットチャックは最も一般的なツールホルダで、ドリルやエンドミルなど、幅広いツールに対応しています。すり割りと呼ばれる縦方向の切り込みが入った金具に切削工具を差し込み、外側から絞めつけることで工具を固定する仕組みとなっています。取り付け精度が高く、交換しやすいメリットを持っています。保持力が弱いため、高速回転の軽切削に向いています。ミーリングチャックニードルベアリングの力を使い、切削工具を締め付けて固定するツールホルダで、汎用性が高く、ストレートコレットを変更することでさまざまな工具に対応することが可能です。工具の保持力や剛性に優れているため、エンドミルを使った重切削に向いていますが、曲げ剛性に弱いため扱いには注意が必要です。サイドロックホルダストレートシャンクに対し、ホルダ側面からねじを締め付けて固定するホルダです。切削工具をねじで押さえつける単純な構造のため、取り付けがしやすく効率的に切削工具を脱着できます。高い保持力を持つ反面、剛性に弱いため、高いコストパフォーマンスを生かせる刃先交換式のドリルなどに向いています。油圧チャックホルダに油圧機構を取り入れたチャックのことで、ホルダ内部に充填されたオイルの力によってツールを固定します。保持力や取り付け精度、剛性など、さまざまな面に優れているため、高い精度を求められるリーマ加工などに適しています。また、簡単に脱着ができるため作業者に熟練度を必要としない点もメリットのひとつです。焼き嵌めチャックツールホルダ本体を加熱し、取付穴を熱膨張によって広げた上で挿入し、その後冷却し、元のサイズに戻すことで工具を締め付ける仕組みのホルダです。加熱にはバーナーや電熱ヒーター、高周波誘導加熱装置など、専用の加熱装置が用いられ、冷却は自然冷却や、エア冷却などで対応するのが一般的です。加熱・冷却に時間がかかるものの、構造自体はシンプルで保持力、精度、剛性にも優れており、主にマシニングセンタで使用されます。ツーリングの規格ツーリングには、旋盤やマシニングセンタなど、取り付ける切削機械によってさまざまな種類があります。その中から、多く用いられるNT、BT、BBT、HSKの4種類をご紹介します。NT(ナショナルテーパ)NTとは、ナショナルテーパのことで、主に汎用タイプの旋盤に使用されます。BTはプルスタッドを用いて固定されるのに対し、NTは引きねじで固定するのが一般的です。BT(ボトルグリップテーパ)BTとは、ボトルグリップテーパのことで、主にマシニングセンタに使用するツーリングのことを指します。プルスタッドを用いて強い力でツールホルダを固定する仕組みになっています。BBT(二面拘束テーパ)二面拘束のBTシャンクのことです。テーパ部に加え、ツールホルダのフランジ部分も拘束することで、シャンクをより強く固定します。これにより、BTで主軸とテーパ部分が密着した際に発生することがある熱膨張などによる食い込みを解消し、高速かつ高精度な加工を実現させています。 HSK(中空テーパ)主にマシニングセンタで使用される中空タイプのシャンクです。加工時に遠心力の影響を受けにくく、高速加工にも対応が可能。BTシャンクに比べ、高い精度を発揮します。

  • コレットチャックとは?構造、原理、材質

    今回はコレットチャックの基礎知識について解説します。コレットチャックは、工作機械の一種である、NC旋盤などの主軸に搭載されたチャック機構の一部です。コレットチャックは本体にスリットが入った構造で、口を閉じたり開いたりさせることで、ワークを固定します。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!コレットチャックとは?引用元:株式会社シンテック コレットチャックとはコレットチャックとは、加工時にワークを固定したり、切削工具を固定したりするための工具を指します。主にNC旋盤などの工作機械に搭載されるチャック機構の部品の一部として搭載されています。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについてコレットチャックにはさまざまな種類や形状があり、用途によって使い分けが必要です。大きく種類を分けると、ワークの外径を掴んで固定する「外径把握コレットチャック」と、ワークの内径から固定する「内径把握コレットチャック」があります。基本的にコレットチャックは、把握部分が分割形状になっています。外径把握コレットチャックを例に挙げると、圧力が分散して包み込むようにワークを把握します。これにより、1点にかかる圧力が少なく済み、ワークがキズ付くのを防止するほか、強力に把握・固定できます。以上のことからコレットチャックは、薄肉パイプや、銅・アルミなどの柔らかい材料、既に仕上がっている箇所を掴むのに適しています。ただし、コレットチャックは消耗品のため、寿命がある点に注意が必要です。コレットが開閉を繰り返していると、本体のスプリング性がなくなってしまい、自由状態での開きが無くなったり疲労破壊したりします。また、本体のテーパー部分や口径部分が摩耗して、把握精度が低下してしまう場合もあります。コレットの形状と構造コレットチャックにはさまざまな形状があります。今回は代表的なタイプである、ワーク外径把握用コレットチャックの「静止型」と「引き型」について見てみましょう。静止型(S形)引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャック静止型は、コレットが軸方向に動かず静止するタイプです。軸方向の位置決め精度が高く、旋盤に多く採用されています。上の断面図は黄色がワーク、赤色がコレットを示しています。下図は静止型コレットの構造図と各部名称を示したものです。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについて引き型(D形)引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャック引き型は、コレットを引いて対象物を把握するオーソドックスなタイプです。振れ精度・繰り返し精度・把握力に優れています。下図は引き型コレットの構造図と各部名称を示したものです。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについてコレットチャックの仕組みと原理コレットチャックは、先端形状を見ると放射状に切れ込みが入った形状になっています。例えば外径把握用のコレットチャックは、中央の穴にワークを挿入し、外側から締めることで、切れ込みの分だけ穴が縮小し、ワークを強固に固定できます。他のチャックの種類としてスクロールチャックがありますが、スクロールチャックは3つの爪でワークを簡単に固定できるものの、芯の位置がズレてしまいます。一方コレットチャックは、芯ズレが起こりにくいメリットがあります。しかし、固定する工具などの径に合ったものを用意しなければならないため、その分コレットチャックの種類も数多く必要とします。参考:スクロールチャックの仕組み、構造、使い方、規格コレットチャックの材質コレットチャックの材質は、主に鋼・超硬・サーメットが採用されています。各種類の特徴は以下の通りです。鋼鋼はスチールとも呼ばれる材質で、鉄を主成分とする合金の総称を指します。鋼のコレットチャックは、超硬の材質に比べてしっかりと対象物を掴めます。また、コストが安価で経済性に優れていることから、少量生産に適しています。超硬超硬は超硬合金とも呼ばれる材質で、硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金です。超硬のコレットチャックは、硬度と耐摩耗性に優れており、長期間使用しても摩耗しにくく、高い精度が保てます。主に量産品の加工に採用されています。サーメットサーメットとは、硬質化合物の粉末と金属を複合し、焼結した材料のことです。サーメットの名称は、ceramics(セラミックス)とmetal(金属)を組み合わせたものが語源となっています。サーメットのコレットチャックは、耐熱性に優れ、鉄との親和性が低いため、ステンレス系材料のような焼きつきの起こりやすい材料に適しています。

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    ホーニング加工とは?ホーニング加工のメリット・デメリットについても詳しく解説!

    ホーニング加工は、エンジンや油圧機器のシリンダーなど、円筒形状の機械部品の内面を高精度に研磨できる優れた加工方法です。さらに最近では、静音性が重要視される、ハイブリッド車や電気自動車などに用いられるギアの精度を向上させるためにも用いられています。そのため、今後も引き合いが見込める加工法であり、その適用対象も拡大していく可能性があります。今回の記事では、このホーニング加工とはどのような加工方法なのかについて解説していきます。また、類似の加工方法である内面研削との違いやホーニング加工の種類、メリットやデメリットについても説明します。ホーニング加工とはホーニング加工とは、中空構造物の内面に砥石を押し付け、回転させながら往復させて、磨き上げる加工方法のことです。水溶性の切削油や研削油などを大量に流し込みながら加工を行います。研削・研磨加工に分類される加工方法です。例えば、中空円筒の内壁にホーニング加工を行う場合では、下図のように、まず複数の砥石が取り付けられたマンドレルと呼ばれる回転工具を中心に挿入。次に、マンドレルを拡張させることで内壁に砥石を密着させます。その上で、内壁に適切な圧力を加えながらマンドレルを動作させることで内壁を研磨します。引用元:Weblio辞書特徴としては、加工公差が小さく、高精度な加工が可能であることが挙げられます。さらに、表面を滑らかに研磨することができ、表面粗さの小さい仕上げを行うことが可能です。また、加工対象が中空円筒の場合は、優れた真円度と円筒度を実現することができます。適用される対象としては、シリンダーや歯車などが代表的です。シリンダーは、主にエンジンや油圧機器などのピストンと対になるものが対象となります(下図参照)。それは、ホーニング加工では、往復と回転の同時運動により、シリンダーの内壁に摩擦発生を抑制するクロスハッチ(上図参照)と呼ばれる網状の微細な筋を形成できるからです。このクロスハッチは、ピストンとシリンダーが摺動する(滑り動く)際、潤滑油を保持することで摩擦の発生を抑制します。引用元:株式会社佐々木歯車の歯面の加工においても、ホーニング加工は非常に有効です。近年のハイブリッド車や電気自動車(EV)の広まりと共に、トランスミッションのギヤから生じる騒音や振動が問題となっていました。その点、ホーニング加工では、歯車に噛み合い一定の軸交差角を持たせた砥石を用いることで、歯面の加工目を制御することができます(下図参照)。それにより、歯車が噛み合う際のノイズを減少させることが可能です。また、砥石と歯車の回転を同期させて研磨することにより、歯車のピッチを砥石のピッチに矯正することができます。そのため、トランスミッションの騒音の原因の一つとなっていた、累積ピッチ誤差を低減することが可能となります。なお、累積ピッチ誤差は、歯車の歯間のピッチ誤差を全歯にわたり累積し、最大と最小を求めて振幅として表したものです。引用元:ヤンマー農機株式会社引用元:ヤンマー農機株式会社ホーニング加工と内面研削の違い引用元:東大阪市技術交流プラザ内面研削は、上図のように、回転させた中空の工作物に回転している砥石を挿入して研削する加工法です。この方法では、加工後の形状が工作物の回転中心の位置と砥石の挿入位置に依存します。そのため、前加工の精度に依存するホーニング加工と異なり、前加工での位置精度が不十分だった場合には修正が利きます。また、内面研削は、一つの砥石で多様な内径の工作物を研削することができます。しかし、精度に関しては、表面粗さ・真円度・円筒度の全てにおいてホーニング加工が優れています。そして、内面研削では、加工目が一定方向を向くため、ピストンシリンダーなどで用いられる潤滑油が馴染みにくいという欠点もあります。参考記事研削・研磨加工の種類などについては、以下の記事に詳細がありますので、ご参照ください。⇒研磨加工とは?種類と加工手順、その他除去加工についても解説!ホーニング加工機の種類引用元:昌富工業株式会社ホーニング加工機には様々な種類が存在し、場合によっては特注で製造されることも少なくありません。その中でも大部分を占めるのが、上述した中空構造物の内壁を研磨する加工機です。これらの加工機は、マンドレルを上下に動かすことが可能な縦型と、水平に動かすことが可能な横型に分類されます。縦型は、円筒形状の製品を安定して据えることができるため、様々な直径の製品を対象とした多様な加工機が存在します(上の写真参照)。特に直径が大きい大物の加工には縦型が適しています。その一方で、横型は、長尺の製品に向いています(下の写真を参照)。引用元:昌富工業株式会社そのほか、ホーニング加工機には、外径を研磨するものなどがありますが、ここでは、「平行平面ホーニング研削盤」「CNC多軸ホーニング盤」「液体ホーニング盤」について解説します。平行平面ホーニング研削盤平行平面ホーニング研削盤は、工作物を2枚の円盤型砥石で上下から挟み、往復回転させることで加工を行う研削盤です。中空構造物の内面を加工する加工機ではありませんが、通常のホーニング加工機とは、砥石を押し付けて磨き上げる加工機であるという共通点があります。円盤型砥石で挟める製品ならば、下図のように、形状の異なるものも同時に加工できる加工機です。従って、同一の高さであるものの、外形が異なる製品の高さを揃えるためなどに用いられます。引用元:精密研削加工.comCNC多軸ホーニング盤CNC多軸ホーニング盤は、コンピュータによる数値制御を可能とし、多軸化したホーニング加工機です。通常のホーニング加工では、粗仕上げや中仕上げ、最終仕上げといった工程ごとに砥石などを交換する必要があります。しかし、この加工機では、自動的に全ての仕上げ工程を完結させることが可能です。そのほか、工作物の自動搬送に対応している加工機もあり、工場のライン上でホーニング加工が可能なものがあります。液体ホーニング液体ホーニングは、微細な砥粒と水の混合液を加工物に噴射するホーニング加工方法です。この研磨法は、表面の仕上げのほか、メッキや塗装面の下地仕上げ、錆取り、バリ取り、清掃などにも利用されます。砥粒や噴射速度などを調整することにより、準鏡面から梨地面(微細な凹凸が施された状態)までの表面仕上げを施すことが可能です。その表面は、硬化して疲労強度や耐摩耗性が向上します。また、入り組んだ形状をしているなど、複雑な形状の加工物にも容易に適用可能です。ホーニング加工のメリットホーニング加工のメリット、特に内面研削と比較したときのメリットは以下の通りです。穴精度が高いホーニング加工で研磨することで、高精度の真円や円筒形状を実現可能です。ホーニング加工では、中空円筒の内壁を研磨する際に砥石を内壁に密着させますが、このとき砥石は、可能な限り精密な円を描くように内壁に押し付けられます。そのため、中空円筒の内面は、高精度な真円度と円筒度を持った穴となります。加工公差が小さい内面研削では、加工物と砥石を固定した後にこれらを回転させて研削するため、加工物と砥石が接触した部位は削り取られてしまいます。しかし、ホーニング加工では、加工物の形状に合わせて磨き上げるため、加工前の形状を加工後も持ち越すことが可能です。そのため、ホーニング加工の前加工の寸法精度が高ければ、ホーニング加工の加工後も寸法精度が高くなります。加工目を制御可能ホーニング加工では、内面研削と異なり、回転運動と往復運動を組み合わせて研磨するため、円周方向以外の加工目を形成することができます。このとき加工目は、円周方向に角度が付いた形で形成されますが、回転速度と往復速度を調整することでこの角度も変化させることが可能です。従って、加工目のパターンが製品の品質に影響するピストンシリンダーなどでは、ホーニング加工を採用するメリットが高くなります。高精度な表面を形成可能この加工法では、大きな圧力を加えず、比較的ゆっくりとした速度で研磨するため、滑らかで表面粗さの小さい表面を形成することができます。加工物への負荷が小さい加えられる圧力が小さく、研磨速度も比較的遅いため、加工物が高熱を帯びたり火花が発生したりすることはあまりありません。そのため、加工物の強度が小さかったり熱に弱かったりしても加工の影響は小さくなります。ホーニング加工のデメリットその一方で、ホーニング加工には、以下のようなデメリットがあります。前加工の寸法精度に依存するホーニング加工では、前加工で成形された形状を保持したまま磨き上げるため、前加工の精度が悪い場合でも修正が利かないというデメリットがあります。そのため、前加工段階での精密さが重要となります。マンドレルの拡張限界以下の内径までしか加工できない内壁に回転させた砥石を当てるだけで加工可能な内面研削と異なり、ホーニング加工では、マンドレルに放射状に取り付けられた砥石全てを内壁に密着させて研磨を行います。そのため、加工物の内径がマンドレルの拡張限界を超えてしまうと加工はできません。従って、加工物の内径に合ったマンドレルを用意する必要がありますし、それに取り付けられる砥石も揃えなくてはなりません。試作品や小ロット品の加工を依頼する場合、形状によっては工具を用意する分までコストがかかったり、加工を断られたりすることがありますのでご注意ください。ホーニング加工の見積り依頼をするならMitsuri!手動で制御するにせよ数値で制御するにせよ、ホーニング加工を行うのは熟練した技術を要するので、この加工をご依頼する際には適切なメーカー選びが必要となります。Mitsuriは、ホーニング加工の高度な技術を有する全国各地のメーカー様とお付き合いがあります。現在、協力企業は日本全国に250社以上あり、お客様に最適なメーカー様をご紹介することが可能です。お見積りは複数社から可能です!ホーニング加工のお見積りでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

  • カウンターシンクとは?種類ごとの特徴や面取りカッターとの違い

    今回はカウンターシンクの種類ごとの特徴や面取りカッターとの違いについて解説します。カウンターシンクは、主に穴加工のあとに面取りやバリ取りを行うための刃物のことを指します。比較的安価で入手できるので、穴の面取りをする際に頻繁に使われています。カウンターシンクとは引用元:大洋ツール株式会社 超硬3枚刃カウンターシンクカウンターシンクとは、面取りやバリ取りをするための刃物のことを指します。面取りは加工物の角でケガをしたり、ものが破損するのを防ぐ目的で行います。カウンターシンクはキノコのような形状が特徴的で、ツイストドリルなどで穴加工をした後のエッジのカエリやバリを取り除いたり、面取りをしたりする目的でカウンターシンクを用います。カウンターシンクの材質は、超硬のものもありますが、主にハイスが採用されています。コストが比較的安く済むので、ちょっとした面取りをするのにカウンターシンクが使われています。製品によってはハイスにチタンコーティングなどを施しており、耐摩耗性を向上しています。面取りできる刃物にはリーディングドリルもありますが、リーディングドリルは面取りに限らず、穴加工の際の位置決めに使用する刃物で、カウンターシンクとは異なる性質を持ちます。参考:リーディングドリルとは?用途、種類、切削条件カウンターシンクの種類と特徴カウンターシンクは製品によって、先端角の角度が60°・90°・120°などと異なります。基本的な皿モミ加工やバリ取り、面取りを行うのであれば、先端角90°のものが最適です。より大きな角度で面取りをしたい場合に先端角120°のものを用いるなど、目的によって使い分けます。製品によっては刃の分割数が不等分割されたものもあります。このタイプは切削抵抗を軽減し、ビビリが少ないことから、面取り精度の向上が期待できます。次にカウンターシンクの種類とそれぞれの特徴について見てみましょう。ロングシャンクタイプ引用元:株式会社ライノス 製品詳細 【HSSカウンターシンク】3枚刃 ロングシャンク 90°《No.19092》ロングシャンクタイプは、シャンクが長いカウンターシンクです。シャンクが長いことで、深さのあるワークに対しても加工がしやすいほか、工具とワークが干渉しにくい特徴があります。TiNコーティングタイプ引用元:株式会社丸藤TiNコーティングタイプは、チタンコーティングを施したカウンターシンクです。TiNコーティングはドリルやカッターなどの切削工具に多く採用されており、安定した膜質と耐摩耗性が得られます。TiNコーティングされた切削工具は、外観が黄金色になっているのが特徴です。Vコーティングタイプ引用元:MiSUMi-VONA V-UCS 穴面取り カウンタ-シンク VコーティングVコーティングタイプは、TiN層にTiCN層(炭窒化チタン)を被膜させた複層構造のカウンターシンクです。TiNコーティングに比べてコストが高いものの、より高い硬度が得られるため、工具の長寿命化が期待できます。VコーティングタイプはTiNコーティングの黄金色と違い、外観が茶色やグレー色になっています。穴あきタイプ引用元:株式会社ライノス 製品詳細 【HSSカウンターシンク】穴あきカウンターシンク 60°《No.21811》穴あきタイプは、刃部に貫通穴が開いているカウンターシンクです。穴の部分が刃になっていて、切削したときに切粉が排出しやすいほか、非鉄金属や軟質材料に対してキレイに面取りができるのも特徴です。また、貫通穴はオイルホールの役割を担い、加工の際にオイルを刃先へ供給しやすく、仕上がり面を高精度で加工できる製品もあります。面取りカッターとの違いカウンターシンクと面取りカッターは、どちらもバリ取りや面取り加工をするための刃物のことを指しており、ほとんど違いはありません。傾向として、カウンターシンクは皿モミ加工を目的とした工具、面取りカッターは皿モミに限らずパイプ端部などのさまざまな面取り加工の工具の総称を指すことが多いです。参考:【面取りカッター】種類、材質、サイズ、角度

  • ホールソーの種類、用途、サイズ、規格

    ホールソーは、DIYや各種の工事、金属加工などで用いられている切削工具です。大口径の穴をあけるのに適しており、精度良く、短い時間、少ない電力で大きな穴をあけることができます。様々な材質のホールソーが市販されており、木材や樹脂材、金属材など、加工対象に合わせたラインナップがあります。サイズも多様ですが、ホールソーの外径が開口する穴の径となるため、穴径に合わせてホールソーを選定する必要があります。電動ドライバーやインパクトドライバーなどに装着して使用することが多く、手動で簡単に綺麗な穴をあけたいときに役立つでしょう。この記事では、このホールソーの詳細や用途などについて詳しく解説してきます。ホールソーの種類や種類毎の特徴、加工対象、サイズにも言及しますので、参考にしてください。ホールソーとは引用元:製品情報 > 切断・穿孔機器 > ダイヤモンドコアビット「H.S.S.ハイスホールソー(排水マス用)」レッキス工業株式会社ホールソーとは、木・樹脂・金属製の板材や樹脂・金属製の管材に大口径の穴をあけるための切削工具のことです。ホールソー全体は、上図のように円筒形状となっており、円筒の先端には円周に沿って刃が付いています。円筒の中心軸にはドリルが備え付けられており、ホールソーの刃とドリルが一緒に回転することで、穴の中心を維持しながら穴をあけることが可能です。なお、上図の有効長は、穴あけ可能な最大深さで、同時に穿孔可能な最大板厚を示します。また、切粉除去孔は、ホールソー側面の穴のことで、切削によって生じた切粉を排出する機能があります。ホールソーは、主に切削ビットとして電動ドリルや電動ドライバー、インパクトドライバーなどの電動工具に装着して手動で使用しますが、ボール盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械に装着して自動で使用するタイプのものもあります。引用元:製品紹介 > ホールソー「超硬ホールソー メタコアトリプル」ユニカ株式会社なお、ドリルではなく、ホールソーで穴をあけることのメリットは、上図から理解されるように、切削面積が小さいため、短時間、省エネルギーで穴あけが可能なことです。また、工具自体を比べると、ホールソーの方が工具を構成する素材の量が少なくて済みます。参考:穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!ホールソーの用途用途としては、水道・ガス・エアコンなどの配管工事やコンセントやスイッチなどの取付穴の開口といった電気工事のほか、木工や樹脂加工、金属加工などが挙げられます。木工では家具などの生産に、樹脂加工ではFRP(繊維強化プラスチック)製のコンテナや塩ビ(ポリ塩化ビニル)樹脂製の機械カバーなどの製作に、金属加工ではステンレス製のキャビネットや内装パネルの製作などにホールソーが用いられています。ホールソーの価格帯価格帯は、1,000円程度から50,000円程度までと幅広く、材質の違いや精密性の高さ、サイズ、ドリルの有無などによって価格が違います。ドリルとセットになっていないものはドリルを別に用意する必要があります。材質は、安価な順に、炭素工具鋼、高速度工具鋼(ハイス)、超硬合金となっています。ただし、ハイス製のホールソーは、刃先のみがハイスで、円筒部がバネ鋼となっている「バイメタル」(2種類の金属を溶接などで接続した複合材)が使用されていることが多く、バイメタルホールソーとも呼ばれます。ホールソーとコアドリルの違い引用元:事業紹介「コアドリル工法」コンクリートコーリング株式会社なお、ホールソーと類似した工具にコアドリルがありますが、コアドリルは、鉄筋・無筋コンクリート材やサイディング材(外壁材)、石材、木材などが対象です(上図参照)。また、ホールソーであける穴よりも深い穴をあけるために用いられます。そのため、開口する穴が浅い場合にはホールソー、穴が深い場合にはコアドリルを使用すると良いでしょう。ホールソーの使用方法●確認事項ホールソーで穴あけを行う場合は、まず以下の事項の確認が必要です。・ホールソーが加工物の材質に対応しているかを確認します。・ホールソーのシャンク(柄部)の形状が取り付ける電動工具のチャック(工具の保持具)と合っているかを確認します。・ホールソーの有効長が加工物の厚さよりも小さいことを確認します。・ホールソーの径が開口する穴の径に合っているかを確認します。●使用手順そして、手動で取り扱う電動工具を使用する場合は、以下のような手順で穴をあけていきます。1. ホールソーを電動工具に取り付けます。2. 加工物の下に、ドリルやホールソーの刃を受けるための下地材を敷きます。3. 開口する穴の中心にマーキングとして印、または窪みを付けます。4. ドリルの先端を印、または窪みに当て、加工物と垂直になるように構えます。5. 電動工具のトリガーを少しずつ引きながら、低速回転から少しずつ回転数が上げていきます。6. ドリルは、ある程度の深さを掘り進むと、自動的にねじ込まれていきますので、大きな力を加えずに構えてセンター穴をあけていきます。7. ホールソーの刃が加工物に触れたら、再び低速回転にして回転数が徐々に上がっていくように穴をあけていきます。8. ドリルの推進力でホールソーの刃による加工も進行していきます。9. 穴が貫通したら作業終了です。●作業時の注意点作業時の注意点としては、以下が挙げられます。・ホールソーの刃よりもドリルの先端が突出しているので、加工物の下に敷いた下地材にはドリルによる穴が必ずあいてしまいます。そのため、下地材の板厚に余裕を持つなど、注意が必要です。・ある程度の厚みがある木材は、穴が貫通した際に亀裂や大きなバリが生じることがあります。その防止には、加工物の表と裏から半分の深さずつ穴あけを行って穴を貫通させることが有効です。・加工後のドリルやホールソーは、高温になっていることがあるので、しばらく素手では触れないようにしましょう。・加工中、切り屑などでホールソーの刃が目詰まりを起こすことがあるので、頻繁に切り屑を除去しながら穴あけを行いましょう。ホールソーの種類ホールソーの種類は、大きく木工用と金属加工用に分けることが可能で、金属加工用ではバイメタルホールソーと超硬ホールソーが代表的です。ここでは、一つで複数の穴径に対応している木工用ホールソー、刃の材質にハイスを使用しているバイメタルホールソー、バイメタルホールソーの上位互換とも言える超硬ホールソーについてご紹介します。木工用ホールソー引用元:先端工具>木工アクセサリ>フリーカッター「SK11 インパクト用木工ホールソー SIH-001」藤原産業株式会社木工用ホールソーは、木板やベニヤ板(合板)、コンクリートパネル(コンパネ)などの穴あけに用いられるホールソーです。塩ビやアクリル、発泡スチロールなどの樹脂の加工も可能ですが、通常、金属板の加工はできません。刃の材質は主に炭素工具鋼が用いられていますが、ステンレスのSUS420J2が用いられていることもあります。市販品は通常、口径の異なる薄目の刃が複数枚セットとなって販売されています(上図参照)。そして、刃となる円筒の側面部と刃の土台となる円筒の底面部が分離できるようになっており、底面部には、ドリルを中心に同心円状の溝があります。つまり、木工用ホールソーは、開口する穴の径に合った溝に刃を取り付けることで、様々な径の穴に対応できるのです。超硬ホールソー引用元:製品紹介 > ホールソー「超硬ホールソー メタコア」ユニカ株式会社超硬ホールソーは、刃部に超硬合金が使用されているホールソーのことです(上図参照)。鋼板やステンレス板、アルミ板などの金属板のほか、鋼管やステンレス管などの穴あけに用いられるホールソーです。木材や樹脂材の穴あけもできます。参考:アルミ板の穴あけに関してご紹介!必要な工具や工場の手法に関しても解説!参考:パイプの穴あけ加工を製品事例と共に徹底解説!特に、硬い金属板や厚い鋼板などが加工対象で、これらに対応できるように刃が高硬度で分厚く、耐摩耗性にも優れます。チッピング防止や摩耗対策、長寿命化のため、刃部にチタンなどがコーティングされているものもあります。なお、上図のドリルに巻き付いているバネは、下図のように、ドリルの貫通時にホールソーが勢い良く加工物に当たってしまうことを防止するために備え付けられています。引用元:製品紹介 > ホールソー「H.S.S ハイスホールソー」ユニカ株式会社ただし、木工用ホールソーとは違って、口径ごとにホールソーを用意しなくてはならず、ホールソー一つ一つの価格も高くなっています。バイメタルホールソー引用元:製品紹介 > ホールソー「H.S.S ハイスホールソー」ユニカ株式会社バイメタルホールソーは、上述したように、バイメタルと呼ばれる複合金属材料を材質とするホールソーのことです(上図参照)。刃先には主に高速での切削加工に適したハイスが、刃先以外には硬度と靭性のバランス良いバネ鋼などが用いられています。その刃は、薄いものから厚いものまであり、極薄のものであれば精密性の高い加工が可能です。刃の材質は、SKH51やSKH59といったモリブデン系高速度工具鋼などが用いられています。主に薄目の鋼板やステンレス板、アルミ板などの加工に用いられますが、木材や樹脂材の加工も可能です。しかし、超硬ホールソーに比べると、硬度や耐摩耗性に劣るので、分厚いステンレス板などの穴あけは推奨されません。ホールソーのサイズと規格一覧ホールソーには、公的に定められた規格はありませんが、電動工具や工作機械との接続部であるシャンクについてはメーカーに関わらず形状やサイズが統一されています。市販のホールソーは、インパクトドライバーの六角軸チャックに取り付けられるシャンク径6.35mmの六角軸シャンクか、電動ドリル・電動ドライバーのドリルチャックに取り付けられるシャンク径6~13mmのストレートシャンクであるものが大部分です。一方、開口する穴の大きさを決める口径と穿孔可能な最大の板厚を決める有効長、及び推奨される最大板厚の適応板厚は、ホールソーのメーカーや製品、種類によって様々です。市販されているホールソーの口径と有効長、適応板厚を種類毎に挙げると下表のようになっています。(単位:mm)木工用バイメタル超硬口径(外径)21~17012~17014~150 有効長12.5~15010~504~35適応板厚~150(電動工具)~3.2(電動工具)~4.5(電動工具)~25(工作機械)

  • ツーリング工具の構造、種類、規格

    ツーリングとは、工作機械に切削工具を設置させるため、間に入ってアダプターの役割を果たす工具のこと。ドリルやフライスなどの「ツール」の間に入ることから、「tooling」と表記されます。実際に金属を加工するのに必要なのは切削工具ですが、その性能を最大限に発揮させるためにはツールをしっかりと固定し、金属を削っている間も重心がブレず、力を正しく伝える必要があります。そのため、一般的な金属の切削では脱着のしやすさ、高硬度の金属や高精度な加工を要求される現場においては保持力や剛性などが求められるなど、状況や要求に応じてさまざまな需要があります。ツーリングの構造と仕組みフライス盤の場合、ツーリングはツールホルダ、ツールアダプタで構成されています。ツールホルダツールホルダは工作機械に直接つながるパーツの相称で、ツールアダプタを固定したまま状態を保てる「保持力」と重心がブレずに金属を切削できる「取り付け精度」などが求められます。ツールホルダには、加工工具によって凹状、凸状の2種類があり、凹状のものを「ホルダ」、凸状のものを「アーバ」と呼んでいます。ツールアダプタツールアダプタはドリルやフライス、アーバなどの加工工具とツールホルダの間に取り付けられる工具のこと。場合によって、ツールホルダと分離しているものと、一体型になっているものがあります。プルスタッドプルスタッドはツールホルダの後端に取り付けられ、工作機械の主軸穴に固定させるために用いられるボルトのことです。切削工具同様、工作機械に取り付けられる消耗品で、耐摩耗性に優れた素材を使用することで長期間、安定した加工を維持することができます。ツーリングの種類と特徴ツールホルダは保持力や剛性などが求められる一方、脱着のしやすさや熟練度など、方法によって違った特徴も持ち合わせています。それぞれに特徴の異なる5種類のツールホルダについてご紹介します。コレットチャックコレットチャックは最も一般的なツールホルダで、ドリルやエンドミルなど、幅広いツールに対応しています。すり割りと呼ばれる縦方向の切り込みが入った金具に切削工具を差し込み、外側から絞めつけることで工具を固定する仕組みとなっています。取り付け精度が高く、交換しやすいメリットを持っています。保持力が弱いため、高速回転の軽切削に向いています。ミーリングチャックニードルベアリングの力を使い、切削工具を締め付けて固定するツールホルダで、汎用性が高く、ストレートコレットを変更することでさまざまな工具に対応することが可能です。工具の保持力や剛性に優れているため、エンドミルを使った重切削に向いていますが、曲げ剛性に弱いため扱いには注意が必要です。サイドロックホルダストレートシャンクに対し、ホルダ側面からねじを締め付けて固定するホルダです。切削工具をねじで押さえつける単純な構造のため、取り付けがしやすく効率的に切削工具を脱着できます。高い保持力を持つ反面、剛性に弱いため、高いコストパフォーマンスを生かせる刃先交換式のドリルなどに向いています。油圧チャックホルダに油圧機構を取り入れたチャックのことで、ホルダ内部に充填されたオイルの力によってツールを固定します。保持力や取り付け精度、剛性など、さまざまな面に優れているため、高い精度を求められるリーマ加工などに適しています。また、簡単に脱着ができるため作業者に熟練度を必要としない点もメリットのひとつです。焼き嵌めチャックツールホルダ本体を加熱し、取付穴を熱膨張によって広げた上で挿入し、その後冷却し、元のサイズに戻すことで工具を締め付ける仕組みのホルダです。加熱にはバーナーや電熱ヒーター、高周波誘導加熱装置など、専用の加熱装置が用いられ、冷却は自然冷却や、エア冷却などで対応するのが一般的です。加熱・冷却に時間がかかるものの、構造自体はシンプルで保持力、精度、剛性にも優れており、主にマシニングセンタで使用されます。ツーリングの規格ツーリングには、旋盤やマシニングセンタなど、取り付ける切削機械によってさまざまな種類があります。その中から、多く用いられるNT、BT、BBT、HSKの4種類をご紹介します。NT(ナショナルテーパ)NTとは、ナショナルテーパのことで、主に汎用タイプの旋盤に使用されます。BTはプルスタッドを用いて固定されるのに対し、NTは引きねじで固定するのが一般的です。BT(ボトルグリップテーパ)BTとは、ボトルグリップテーパのことで、主にマシニングセンタに使用するツーリングのことを指します。プルスタッドを用いて強い力でツールホルダを固定する仕組みになっています。BBT(二面拘束テーパ)二面拘束のBTシャンクのことです。テーパ部に加え、ツールホルダのフランジ部分も拘束することで、シャンクをより強く固定します。これにより、BTで主軸とテーパ部分が密着した際に発生することがある熱膨張などによる食い込みを解消し、高速かつ高精度な加工を実現させています。 HSK(中空テーパ)主にマシニングセンタで使用される中空タイプのシャンクです。加工時に遠心力の影響を受けにくく、高速加工にも対応が可能。BTシャンクに比べ、高い精度を発揮します。

  • コレットチャックとは?構造、原理、材質

    今回はコレットチャックの基礎知識について解説します。コレットチャックは、工作機械の一種である、NC旋盤などの主軸に搭載されたチャック機構の一部です。コレットチャックは本体にスリットが入った構造で、口を閉じたり開いたりさせることで、ワークを固定します。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!コレットチャックとは?引用元:株式会社シンテック コレットチャックとはコレットチャックとは、加工時にワークを固定したり、切削工具を固定したりするための工具を指します。主にNC旋盤などの工作機械に搭載されるチャック機構の部品の一部として搭載されています。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについてコレットチャックにはさまざまな種類や形状があり、用途によって使い分けが必要です。大きく種類を分けると、ワークの外径を掴んで固定する「外径把握コレットチャック」と、ワークの内径から固定する「内径把握コレットチャック」があります。基本的にコレットチャックは、把握部分が分割形状になっています。外径把握コレットチャックを例に挙げると、圧力が分散して包み込むようにワークを把握します。これにより、1点にかかる圧力が少なく済み、ワークがキズ付くのを防止するほか、強力に把握・固定できます。以上のことからコレットチャックは、薄肉パイプや、銅・アルミなどの柔らかい材料、既に仕上がっている箇所を掴むのに適しています。ただし、コレットチャックは消耗品のため、寿命がある点に注意が必要です。コレットが開閉を繰り返していると、本体のスプリング性がなくなってしまい、自由状態での開きが無くなったり疲労破壊したりします。また、本体のテーパー部分や口径部分が摩耗して、把握精度が低下してしまう場合もあります。コレットの形状と構造コレットチャックにはさまざまな形状があります。今回は代表的なタイプである、ワーク外径把握用コレットチャックの「静止型」と「引き型」について見てみましょう。静止型(S形)引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャック静止型は、コレットが軸方向に動かず静止するタイプです。軸方向の位置決め精度が高く、旋盤に多く採用されています。上の断面図は黄色がワーク、赤色がコレットを示しています。下図は静止型コレットの構造図と各部名称を示したものです。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについて引き型(D形)引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャック引き型は、コレットを引いて対象物を把握するオーソドックスなタイプです。振れ精度・繰り返し精度・把握力に優れています。下図は引き型コレットの構造図と各部名称を示したものです。引用元:ユキワ精工株式会社 コレットチャックについてコレットチャックの仕組みと原理コレットチャックは、先端形状を見ると放射状に切れ込みが入った形状になっています。例えば外径把握用のコレットチャックは、中央の穴にワークを挿入し、外側から締めることで、切れ込みの分だけ穴が縮小し、ワークを強固に固定できます。他のチャックの種類としてスクロールチャックがありますが、スクロールチャックは3つの爪でワークを簡単に固定できるものの、芯の位置がズレてしまいます。一方コレットチャックは、芯ズレが起こりにくいメリットがあります。しかし、固定する工具などの径に合ったものを用意しなければならないため、その分コレットチャックの種類も数多く必要とします。参考:スクロールチャックの仕組み、構造、使い方、規格コレットチャックの材質コレットチャックの材質は、主に鋼・超硬・サーメットが採用されています。各種類の特徴は以下の通りです。鋼鋼はスチールとも呼ばれる材質で、鉄を主成分とする合金の総称を指します。鋼のコレットチャックは、超硬の材質に比べてしっかりと対象物を掴めます。また、コストが安価で経済性に優れていることから、少量生産に適しています。超硬超硬は超硬合金とも呼ばれる材質で、硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金です。超硬のコレットチャックは、硬度と耐摩耗性に優れており、長期間使用しても摩耗しにくく、高い精度が保てます。主に量産品の加工に採用されています。サーメットサーメットとは、硬質化合物の粉末と金属を複合し、焼結した材料のことです。サーメットの名称は、ceramics(セラミックス)とmetal(金属)を組み合わせたものが語源となっています。サーメットのコレットチャックは、耐熱性に優れ、鉄との親和性が低いため、ステンレス系材料のような焼きつきの起こりやすい材料に適しています。

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    ホーニング加工とは?ホーニング加工のメリット・デメリットについても詳しく解説!

    ホーニング加工は、エンジンや油圧機器のシリンダーなど、円筒形状の機械部品の内面を高精度に研磨できる優れた加工方法です。さらに最近では、静音性が重要視される、ハイブリッド車や電気自動車などに用いられるギアの精度を向上させるためにも用いられています。そのため、今後も引き合いが見込める加工法であり、その適用対象も拡大していく可能性があります。今回の記事では、このホーニング加工とはどのような加工方法なのかについて解説していきます。また、類似の加工方法である内面研削との違いやホーニング加工の種類、メリットやデメリットについても説明します。ホーニング加工とはホーニング加工とは、中空構造物の内面に砥石を押し付け、回転させながら往復させて、磨き上げる加工方法のことです。水溶性の切削油や研削油などを大量に流し込みながら加工を行います。研削・研磨加工に分類される加工方法です。例えば、中空円筒の内壁にホーニング加工を行う場合では、下図のように、まず複数の砥石が取り付けられたマンドレルと呼ばれる回転工具を中心に挿入。次に、マンドレルを拡張させることで内壁に砥石を密着させます。その上で、内壁に適切な圧力を加えながらマンドレルを動作させることで内壁を研磨します。引用元:Weblio辞書特徴としては、加工公差が小さく、高精度な加工が可能であることが挙げられます。さらに、表面を滑らかに研磨することができ、表面粗さの小さい仕上げを行うことが可能です。また、加工対象が中空円筒の場合は、優れた真円度と円筒度を実現することができます。適用される対象としては、シリンダーや歯車などが代表的です。シリンダーは、主にエンジンや油圧機器などのピストンと対になるものが対象となります(下図参照)。それは、ホーニング加工では、往復と回転の同時運動により、シリンダーの内壁に摩擦発生を抑制するクロスハッチ(上図参照)と呼ばれる網状の微細な筋を形成できるからです。このクロスハッチは、ピストンとシリンダーが摺動する(滑り動く)際、潤滑油を保持することで摩擦の発生を抑制します。引用元:株式会社佐々木歯車の歯面の加工においても、ホーニング加工は非常に有効です。近年のハイブリッド車や電気自動車(EV)の広まりと共に、トランスミッションのギヤから生じる騒音や振動が問題となっていました。その点、ホーニング加工では、歯車に噛み合い一定の軸交差角を持たせた砥石を用いることで、歯面の加工目を制御することができます(下図参照)。それにより、歯車が噛み合う際のノイズを減少させることが可能です。また、砥石と歯車の回転を同期させて研磨することにより、歯車のピッチを砥石のピッチに矯正することができます。そのため、トランスミッションの騒音の原因の一つとなっていた、累積ピッチ誤差を低減することが可能となります。なお、累積ピッチ誤差は、歯車の歯間のピッチ誤差を全歯にわたり累積し、最大と最小を求めて振幅として表したものです。引用元:ヤンマー農機株式会社引用元:ヤンマー農機株式会社ホーニング加工と内面研削の違い引用元:東大阪市技術交流プラザ内面研削は、上図のように、回転させた中空の工作物に回転している砥石を挿入して研削する加工法です。この方法では、加工後の形状が工作物の回転中心の位置と砥石の挿入位置に依存します。そのため、前加工の精度に依存するホーニング加工と異なり、前加工での位置精度が不十分だった場合には修正が利きます。また、内面研削は、一つの砥石で多様な内径の工作物を研削することができます。しかし、精度に関しては、表面粗さ・真円度・円筒度の全てにおいてホーニング加工が優れています。そして、内面研削では、加工目が一定方向を向くため、ピストンシリンダーなどで用いられる潤滑油が馴染みにくいという欠点もあります。参考記事研削・研磨加工の種類などについては、以下の記事に詳細がありますので、ご参照ください。⇒研磨加工とは?種類と加工手順、その他除去加工についても解説!ホーニング加工機の種類引用元:昌富工業株式会社ホーニング加工機には様々な種類が存在し、場合によっては特注で製造されることも少なくありません。その中でも大部分を占めるのが、上述した中空構造物の内壁を研磨する加工機です。これらの加工機は、マンドレルを上下に動かすことが可能な縦型と、水平に動かすことが可能な横型に分類されます。縦型は、円筒形状の製品を安定して据えることができるため、様々な直径の製品を対象とした多様な加工機が存在します(上の写真参照)。特に直径が大きい大物の加工には縦型が適しています。その一方で、横型は、長尺の製品に向いています(下の写真を参照)。引用元:昌富工業株式会社そのほか、ホーニング加工機には、外径を研磨するものなどがありますが、ここでは、「平行平面ホーニング研削盤」「CNC多軸ホーニング盤」「液体ホーニング盤」について解説します。平行平面ホーニング研削盤平行平面ホーニング研削盤は、工作物を2枚の円盤型砥石で上下から挟み、往復回転させることで加工を行う研削盤です。中空構造物の内面を加工する加工機ではありませんが、通常のホーニング加工機とは、砥石を押し付けて磨き上げる加工機であるという共通点があります。円盤型砥石で挟める製品ならば、下図のように、形状の異なるものも同時に加工できる加工機です。従って、同一の高さであるものの、外形が異なる製品の高さを揃えるためなどに用いられます。引用元:精密研削加工.comCNC多軸ホーニング盤CNC多軸ホーニング盤は、コンピュータによる数値制御を可能とし、多軸化したホーニング加工機です。通常のホーニング加工では、粗仕上げや中仕上げ、最終仕上げといった工程ごとに砥石などを交換する必要があります。しかし、この加工機では、自動的に全ての仕上げ工程を完結させることが可能です。そのほか、工作物の自動搬送に対応している加工機もあり、工場のライン上でホーニング加工が可能なものがあります。液体ホーニング液体ホーニングは、微細な砥粒と水の混合液を加工物に噴射するホーニング加工方法です。この研磨法は、表面の仕上げのほか、メッキや塗装面の下地仕上げ、錆取り、バリ取り、清掃などにも利用されます。砥粒や噴射速度などを調整することにより、準鏡面から梨地面(微細な凹凸が施された状態)までの表面仕上げを施すことが可能です。その表面は、硬化して疲労強度や耐摩耗性が向上します。また、入り組んだ形状をしているなど、複雑な形状の加工物にも容易に適用可能です。ホーニング加工のメリットホーニング加工のメリット、特に内面研削と比較したときのメリットは以下の通りです。穴精度が高いホーニング加工で研磨することで、高精度の真円や円筒形状を実現可能です。ホーニング加工では、中空円筒の内壁を研磨する際に砥石を内壁に密着させますが、このとき砥石は、可能な限り精密な円を描くように内壁に押し付けられます。そのため、中空円筒の内面は、高精度な真円度と円筒度を持った穴となります。加工公差が小さい内面研削では、加工物と砥石を固定した後にこれらを回転させて研削するため、加工物と砥石が接触した部位は削り取られてしまいます。しかし、ホーニング加工では、加工物の形状に合わせて磨き上げるため、加工前の形状を加工後も持ち越すことが可能です。そのため、ホーニング加工の前加工の寸法精度が高ければ、ホーニング加工の加工後も寸法精度が高くなります。加工目を制御可能ホーニング加工では、内面研削と異なり、回転運動と往復運動を組み合わせて研磨するため、円周方向以外の加工目を形成することができます。このとき加工目は、円周方向に角度が付いた形で形成されますが、回転速度と往復速度を調整することでこの角度も変化させることが可能です。従って、加工目のパターンが製品の品質に影響するピストンシリンダーなどでは、ホーニング加工を採用するメリットが高くなります。高精度な表面を形成可能この加工法では、大きな圧力を加えず、比較的ゆっくりとした速度で研磨するため、滑らかで表面粗さの小さい表面を形成することができます。加工物への負荷が小さい加えられる圧力が小さく、研磨速度も比較的遅いため、加工物が高熱を帯びたり火花が発生したりすることはあまりありません。そのため、加工物の強度が小さかったり熱に弱かったりしても加工の影響は小さくなります。ホーニング加工のデメリットその一方で、ホーニング加工には、以下のようなデメリットがあります。前加工の寸法精度に依存するホーニング加工では、前加工で成形された形状を保持したまま磨き上げるため、前加工の精度が悪い場合でも修正が利かないというデメリットがあります。そのため、前加工段階での精密さが重要となります。マンドレルの拡張限界以下の内径までしか加工できない内壁に回転させた砥石を当てるだけで加工可能な内面研削と異なり、ホーニング加工では、マンドレルに放射状に取り付けられた砥石全てを内壁に密着させて研磨を行います。そのため、加工物の内径がマンドレルの拡張限界を超えてしまうと加工はできません。従って、加工物の内径に合ったマンドレルを用意する必要がありますし、それに取り付けられる砥石も揃えなくてはなりません。試作品や小ロット品の加工を依頼する場合、形状によっては工具を用意する分までコストがかかったり、加工を断られたりすることがありますのでご注意ください。ホーニング加工の見積り依頼をするならMitsuri!手動で制御するにせよ数値で制御するにせよ、ホーニング加工を行うのは熟練した技術を要するので、この加工をご依頼する際には適切なメーカー選びが必要となります。Mitsuriは、ホーニング加工の高度な技術を有する全国各地のメーカー様とお付き合いがあります。現在、協力企業は日本全国に250社以上あり、お客様に最適なメーカー様をご紹介することが可能です。お見積りは複数社から可能です!ホーニング加工のお見積りでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!