Category

樹脂加工

  • ABS樹脂とは?特徴、用途、種類、製品例

    ABS樹脂は、3種類の有機化合物を合成したプラスチックです。それぞれの成分の良い特徴を組み合わせることで、強度と柔軟性のバランスが良く、様々な耐性を持った素材になっています。安価で大量生産される汎用樹脂の一つに数えられることから、幅広い用途があります。製品例としては、液晶テレビやデジタルカメラの外装、自動車部品、文房具、各種ケースなどが挙げられ、私たちが利用する多様な製品に用いられています。この記事では、ABS樹脂の特徴や用途、種類などについて解説します。他の素材との性質の比較もしていますので、ABS樹脂について知りたい方は参考にしてください。ABS樹脂とはABS樹脂とは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンという3種類の有機化合物を化学的に結合させた合成樹脂のことです。加熱によって軟化して可塑性を示し、冷却によって再び固化する「熱可塑性樹脂」に分類されます。正式名称はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂で、「ABS」は各有機化合物の頭文字からとった略称です。ABS樹脂は、上記3種類の有機化合物のポリマーであるポリアクリロニトリル、ポリブタジエンおよびポリスチレンの下表に挙げたような特性を組み合わせることで、それぞれの利点を活かしつつ、欠点を補うように作り上げた合成樹脂です。<ABS樹脂を構成するモノマーとそのポリマーの特徴>モノマー名称ポリマー名称ポリマーの特徴アクリロニトリル(acrylonitrile)ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)高強度, 高剛性, 高硬度, 耐熱性, 耐候性, 耐油性, 耐薬品性ブタジエン(butadiene)ポリブタジエン(polybutadiene)高弾性, 耐衝撃性, 耐寒性スチレン(styrene)ポリスチレン(polystyrene)高強度, 高剛性, 高硬度, 脆い, 衝撃に弱い, 高流動性, 加工性が良い, 寸法安定性が良い, 耐薬品性, 電気絶縁性, 光沢性なお、ポリマーとは、その構成要素であるモノマー(スチレン分子など)が鎖状や網状に結合してできた高分子化合物のことです。そして、モノマーからポリマーを合成することを重合、2種類以上のモノマーからポリマーを合成することを共重合と言います。また、ABS樹脂は、熱可塑性樹脂の中でも、性能が比較的低いものの、低価格で生産量が多く、大量に消費される汎用樹脂の一つです。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)と並ぶ、5大汎用樹脂の一つに数えられることもあり、様々な用途・分野で使用されています。参考:塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法ABS樹脂の特徴と用途ABS樹脂の機械的性質ABS樹脂の特徴は、まず強度や剛性、硬度と靭性(衝撃耐性)のバランスが良いことです。つまり、ABS樹脂は、壊れにくく、変形しにくく、その上、硬いにも関わらず、割れにくい素材であることを意味します。ABS樹脂は、下表に見られるように、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)と比較して、「衝撃強さ」が特に大きく、強度や剛性、硬度のほか、靭性も兼ね備えていることが理解できます(下表参照)。<ABS・PP・PSの機械的性質>汎用樹脂の略称ABSPPPS引張強さ(MPa)23~5531~4136~52引張弾性率(MPa)1900~28001100~16002300~3300圧縮強さ(MPa)45~5238~5582~89曲げ強さ(MPa)66~9641~5569~101衝撃強さ(J/m)75~64022~7519~24ロックウェル硬さR100~120R80~102M60~75参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの物性」株式会社KDAなお、上表の「ロックウェル硬さ」の「R」と「M」は、スケールの違いを意味し、RスケールよりもMスケールの方が高硬度です。このような優れた機械的性質から、ABS樹脂は、家電製品や電気・電子製品、機械の部品などに用いられています。ABS樹脂の熱的性質ABS樹脂の熱的性質は、耐熱温度が66~110℃、脆くなって壊れやすくなる脆化温度が-20℃と、一般的な用途での使用範囲としては充分に良好です。しかし、他の汎用樹脂と比べて特に優れているわけではなく、下表に見られるように、ABS樹脂の耐熱温度は、ポリスチレン(PS)やポリ塩化ビニル(PVC)よりは高いものの、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)よりも低くなっています。<主要汎用樹脂の熱的性質>汎用樹脂の略称連続耐熱温度 (℃)熱変形温度 (℃)ABS66~11094~107高密度PE12143~54PP107~15052~60PS66~77~104硬質PVC66~7954~74参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社なお、上表の「熱変形温度」とは、18.5kg/cm2の荷重が加えられたときに変形が始まる温度のことです。ABS樹脂の腐食耐性耐薬品性について、ABS樹脂は、酸やアルカリ、塩類に耐性があります。しかし、強酸に対しては、これらが付着すると劣化してクラックなどが生じることがあります。溶剤には特に弱く、ケトンやエステル、塩素化炭化水素などの有機溶剤に接触すると溶解するので注意が必要です。一方、アルコールや炭化水素には不溶ですが、これらに長時間浸漬すると吸収して膨潤してしまいます。また、ABS樹脂は、紫外線の影響でブタジエン成分が酸化することから耐候性が低く、長時間直射日光に曝されると表面変色や光沢劣化が発生します。そのため、屋内で使用される家電製品や雑貨品などの材料には適しているものの、屋外での使用には向いていません。ただし、塗装を施したものや構成成分を変えて耐候性を高めたものの中には、十分に屋外使用に耐えうるABS樹脂が存在します。他の汎用樹脂と腐食耐性を比較したのが下表で、ABS樹脂の腐食耐性は汎用樹脂の中では低めです。<主要汎用樹脂の腐食耐性(数字が大きいほど耐薬品性が高い)>汎用樹脂の略称酸アルカリ塩類酸化(耐候性)有機溶剤ABS981044PE10101087PP10101087PS10101042硬質PVC10101095参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの耐薬品性」株式会社KDAABS樹脂の加工性加工性が良好であることもABS樹脂の特徴です。ABS樹脂は、流動性に優れるため、射出成形や押出成形、ブロー成形などの樹脂成形全般に適しており、薄肉品なども容易に成形できます(成形時の条件・性質は下表参照)。<ABS樹脂の樹脂成形時の性質>性質の項目 (単位)値圧縮成形温度 (℃)149~230射出成形温度 (℃)177~316成形収縮率 (%)0.3~0.8 参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社ABS樹脂は、その流動性の高さから、3Dプリンターの材料としても有用です。プリンターのノズルで詰まったり、固まったりすることはほとんどなく、プリントしやすい樹脂として頻繁に用いられています。切削加工や曲げ加工の加工性も良好で、溶接や溶着、接着なども可能です。めっきや塗装などの表面処理も適用可能で、印刷特性にも優れます。ABS樹脂へのめっき例としては、銅めっきや金めっき、クロムめっきが挙げられ、めっきが施されたABS樹脂は、自動車の内外装部品や様々な機器の筐体などに用いられています。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も参考:押出成形の仕組み・メリット・用途などを解説!参考:ブロー成形とは|特徴や仕組み、用途を解説!ABS樹脂の外観外観について、ABS樹脂の自然色は、光沢のある薄目のアイボリー色です。着色できる上、自然色に癖がないため、自由に色を着けることが可能です。光沢についても調節可能で、光沢を残すことも、艶を消してマットな質感にすることもできます。このABS樹脂の光沢を活かしたのが「ピアノブラック」と呼ばれる高級感のある色調です。ピアノブラックは、その名の通り、ピアノの高光沢の黒色のことで、家電製品の筐体や自動車の内装に採用されています。その鏡面のような仕上がりは、通常何層もの塗装とその研磨によって実現していますが、ABS樹脂を材料とする特殊な射出成形技術によっても実現可能です。ABS樹脂の電気的性質ABS樹脂は、電気絶縁性を示します。幅広い温度・湿度・周波数の範囲で良好な絶縁性を示し、誘電率も極めて低くなっています。ABS樹脂の燃焼性ABS樹脂は、可燃性です。とは言え、引火しやすいわけではなく、燃焼速度も速いわけではありませんが、ゴム臭を伴って煤を出しながら燃焼します。以上の特徴・性質は、ABS樹脂の成分比率や合成方法、ペレット(素材となる粒状の合成樹脂)のサイズによって変化します。一般的に、ABS樹脂を構成するアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの成分比率は、20:30:50となっており、この比率が異なると、性質も変わってきます。例えば、ブタジエンの比率が多いABS樹脂では、耐衝撃性が高くなりますが、強度や剛性、硬度、流動性、耐熱性は低くなります。一方で、ABS樹脂を販売している素材メーカーの多くは、成分比率や合成方法を公開しておらず、またデータシートなどに記載されている機械的性質などはメーカーによって異なります。従って、ABS樹脂を選定する際には、その違いを考慮する必要があります。ABS樹脂のメリット・デメリット以上のように、ABS樹脂は、様々な特徴がありますが、メリットとデメリットに分けてまとめると以下の通りです。メリット・機械的性質のバランスが良い・耐寒性に優れる上、耐熱性も比較的高いため、広い温度範囲で使用可能・耐薬品性を持ち、弱酸や弱アルカリ、塩類に強い・良好な電気絶縁性を示す・樹脂成形(射出成形・押出成形・ブロー成形・カレンダー成形など)に適している・多様な加工方法(切削加工・曲げ加工・溶接・溶着・接着など)にも対応している・表面処理(めっき・塗装など)の適用が可能・印刷特性が良好・自由な着色が可能・光沢の調整が可能・構成成分の比率を変えることで、性質の調整が可能・3Dプリンターの材料に使用可能デメリット・強酸や強アルカリに若干弱く、クラックなどの原因となる・有機溶剤に弱く、溶解する・アルコールや炭化水素を吸収し、膨潤する・紫外線に弱く、耐候性が低い・可燃性で、ゴム臭と煤を伴って燃焼するABS樹脂の種類ABS樹脂は、上述したように、構成成分の比率や合成方法などによって性質が大きく変わりますが、添加物を加えたり、構成成分を入れ替えたりすることでも、性能の向上や機能の付加を図ることが可能です。ここでは、そのような例をいくつかをご紹介します。強化ABS樹脂強化ABS樹脂は、主に機械的性質の向上を目的に繊維素材などを添加したABS樹脂です。ガラス繊維(Glass Fiber)を添加した「GF強化ABS樹脂」が最も多く採用されており、剛性強化や耐熱性向上を図ることができます。「CF強化ABS樹脂」と呼ばれる炭素繊維(Carbon Fiber)を添加したABS樹脂も存在し、強度や剛性、耐摩耗性を高める効果があるほか、軽量化が図れるという利点があります。そのほか、添加剤を加えて耐薬品性や耐候性を高めたものなど、様々な特性を強化したABS樹脂を素材メーカーは取り揃えています。αメチルスチレン系、フェニルマレイミド系αメチルスチレン系ABS樹脂とフェニルマレイミド系ABS樹脂は、ABS樹脂の耐熱性を高めたものです。αメチルスチレン系はスチレンをαメチルスチレンで代替したもの、フェニルマレイミド系はN-フェニルマレイミドを添加してスチレン成分に重合させたもので、フェニルマレイミド系の方が耐熱効果に優れます。ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂ASA樹脂、ACS樹脂およびAES樹脂は、ABS樹脂の弱点である耐候性を改善するため、紫外線に弱いブタジエンをそれぞれ別の成分に入れ替えて共重合させた合成樹脂のことです。ASA樹脂(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂)は、アクリルゴムにアクリロニトリルとスチレンを共重合させた合成樹脂です。耐候性や耐オゾン性に優れたアクリルゴムを用いることで、耐衝撃性を維持しつつ、耐候性の改善が図れます。ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン樹脂)は、ブタジエンの代わりに、耐候性や耐オゾン性、耐衝撃性に優れた塩素化ポリエチレンを用いた合成樹脂です。ABS樹脂よりも、優れた耐候性、耐帯電性および耐汚染性を示すほか、可燃性のABS樹脂とは異なり難燃性です, AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン樹脂)は、ブタジエンの代替としてエチレンプロピレンジエンゴムを共重合させた合成樹脂です。ABS樹脂に比べて、耐候性に勝りますが、熱的性質に若干劣ります。下表は、これらの樹脂とABS樹脂の違いをまとめたものです。<ASA樹脂・ACS樹脂・AES樹脂とABS樹脂との違い>樹脂の名称入替前成分入替後成分ABS樹脂に勝る特性ASA樹脂ブタジエンアクリルゴム耐候性ACS樹脂塩素化ポリエチレン耐候性, 難燃性, 耐帯電性, 耐汚染性AES樹脂エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)耐候性ABS樹脂の製品例ABS樹脂は、外観の良さとバランスの取れた機械的性質などから、以下のような様々な製品に用いられています。●家電製品…テレビ、エアコン、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、ポット、PC、ノートパソコン、デジタルカメラ、プリンター、ゲーム機など●自動車部品…メーターケース、カーナビフレーム、コンソールボックス、フロントグリル、ハンドルなど●建築部材…ドアや流し台、棚などの装飾部材(屋内用)、パイプなど●日用品…食器、トレー、密閉容器、スーツケース、キャリーケース、おもちゃ、スポーツ用品、家具、文具、楽器などABS樹脂とポリカーボネートとの性能の違いポリカーボネート(Poly Carbonate: PC)樹脂は、ABS樹脂と同じ熱可塑性樹脂の一つですが、汎用樹脂であるABS樹脂とは異なり、より高性能なエンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)に分類される合成樹脂です。ここでは、ポリカーボネート樹脂のABS樹脂との性能の違いについてご紹介します。参考:ポリカーボネート(PC)とは?加工方法と特徴外観の違いポリカーボネート樹脂の外観は、薄く色付いているABS樹脂とは違って、クリアな透明です。非常に透明性が高く、その透明度は光学機器に用いられるほどです。アクリル樹脂などと共に有機ガラスと呼ばれることがあります。機械的性質の違いポリカーボネート樹脂の機械的性質は、強度、剛性、硬度および靭性(耐衝撃性)の全てにおいてABS樹脂よりも優れています(下表参照)。特に、耐衝撃性は、汎用エンプラの中でも特に高く、銃弾の貫通を防ぐ防弾ガラスの材料にも使用されています。<ABS樹脂とPC樹脂の機械的性質の比較>汎用樹脂の略称ABSPC引張強さ(MPa)23~5564~66引張弾性率(MPa)1900~28002400圧縮強さ(MPa)45~5269~86曲げ強さ(MPa)66~9693衝撃強さ(J/m)75~640640~854ロックウェル硬さR100~120M70~72参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの物性」株式会社KDA熱的性質の違いポリカーボネート樹脂は、熱的性質にも優れており、-100~140℃の温度範囲で使用可能です。ABS樹脂も-20~110℃の温度範囲で使用できることから決して悪くはありませんが、ポリカーボネート樹脂には劣ります(下表参照)。なお、ポリカーボネートの使用可能温度範囲の下限は、脆化温度のー100℃です。<ABS樹脂とPC樹脂の熱的性質の比較>汎用樹脂の略称ABSPC連続耐熱温度 (℃)66~110120熱変形温度 (℃)94~107 130~140参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社腐食耐性の違い耐薬品性について、ポリカーボネート樹脂は、酸とアルカリの双方に弱く、特にアルカリに対しては弱アルカリでも接触すると劣化します。この点、ABS樹脂の耐薬品性に劣っています。有機溶剤に対しても弱い特徴がありますが、これはABS樹脂も同様です。耐候性については、ABS樹脂よりは良好であるものの、紫外線による劣化は起こります。下表は、以上のポリカーボネート樹脂とABS樹脂の腐食耐性を数値化してまとめたものです。<ABS樹脂とPC樹脂の腐食耐性の比較(数字が大きいほど耐薬品性が高い)>汎用樹脂の略称ABSPC酸97アルカリ81塩類1010酸化 (耐候性)46有機溶剤43参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの耐薬品性」株式会社KDA加工性の違いポリカーボネート樹脂は、ABS樹脂同様、樹脂成形加工と切削加工の加工性が良く、溶接にも適しています。ただし、曲げ加工については適用可能ですが、ABS樹脂ほど加工しやすいわけではありません。めっき方法も確立しており、塗装もABS樹脂と同様に可能です。燃焼性の違いそのほか、ポリカーボネート樹脂は、不燃性であるという利点があります。この点、可燃性のABS樹脂と比べると、使いやすい樹脂であると言えます。

  • PPS樹脂とは?性質、用途、メリット・デメリット

    PPSは、ガラス繊維などと合わせてプラスチック部品を形成する際に使用される結晶性樹脂です。成形時に充填する繊維の種類や配合など、組み合わせを変えることにより性能を強化することができます。完成された部品はスーパーエンジニアリングプラスチックという種類に分類されます。配合だけでなく、成形方法によっても特徴が変化するため、用途や目的に適したものを選ぶには、数ある特徴を正確に押さえておく必要があります。本記事ではPPSについて詳しくご紹介しますので、製品を考える際の参考にしてください。PPS樹脂とはPPS(ポリフェニレンサルファイド)は、融点が約280度、連続使用温度が220度という高い耐熱温度を持っている樹脂のことです。融点が高く、難燃剤を添加しなくても自己消化性に優れている他、高い耐薬品性や絶縁性など、さまざまな利点を兼ね備えています。PPSはベンゼンと硫黄の簡単な化学構造で構成された結晶性を持っており、ガラス繊維などの繊維状強化剤や無機質フィラーを充填させることで強度や性能を向上させて使用されます。PPSの用途PPSは、車やバイクなどのエンジン周りのパーツに欠かせない素材です。エンジンはガソリンなどの油を燃焼させ、そのエネルギーを動力としているため、稼働中は非常に高い温度環境に晒されます。PPS樹脂は200℃以上の高温環境下で連続使用できる耐熱性を兼ね備えている上、線膨張係数や寸法安定性にも優れています。しかも、金属より軽くコストも安いため、エンジンの部品として欠かせない素材となっています。PPSは絶縁性を持っていることから、コネクタやスイッチ、基盤やIC部品など、さまざまな電子部品やOA機器、家電製品などにも活用されています。特に、安全性を保つために高い耐熱性や成形性など、多くの性能を求められる電子レンジには欠かせない素材となっています。金属を使用できない検査機器や、酸・アルカリなど強い薬品への耐性が求められる機器などにも、寸法安定性や耐薬品性を兼ね備えているPPS樹脂が活躍します。また、医療器具に使用されている金属部品をプラスチックに置き換えることで、MRIに対応できるメリットがあります。プラスチックは金属に比べて軽い上にコストも安いため、医療機器の部品としてだけでなく、手術器具などにも使われ始め、注目が集まっています。PPSの長所・短所PPSにはさまざまな長所がありますが、もちろん短所もあります。それぞれについて詳しくご紹介します。長所●耐熱性200度を超える環境でも連続使用ができるため高温下での耐熱性能がフォーカスされがちですが、実は寒い環境にも耐性があり、約マイナス20度まで耐えることが可能です。●耐薬品性酸性、アルカリ性をはじめとする薬品に対して耐性を持っているほか、有機溶剤や油脂などさまざまな化学品への耐性があります。200度に近い高温環境下で有機溶剤や油脂を扱っても、耐熱性、耐薬品性共に高い抵抗力を維持することができます。●絶縁性PPSは誘電率、誘電正接共に低く周波数に対しても耐性がある、電気絶縁性の高い素材です。温度への耐性も含め、電子レンジやOA機器など、近年の電子機器に求められる条件を兼ね備えています。●耐久性PPSは部品に対して継続的に負荷がかけられる状況下でも極めて変形量が少ない特徴を持っています。そのため、クリープや応力緩和特性の試験においても良好な数値を示しています。●寸法安定性部品成型時の収縮率が小さく吸水性も低いため、さまざまな環境下でも製品が型崩れをしない高い寸法安定性を持っています。●材料異方性結晶性樹脂であるPPSは、ガラス繊維をはじめとする剛性の高い繊維で強化する際、繊維の性質に支配される高い材料異方性を持っています。そのため、繊維との配合によって強度や弾性率、伸びなどの機械的性質や、成形収縮率、線熱膨張、熱変形温度など、さまざまな性能を向上させることが可能です。短所●耐衝撃性耐久性の高いPPSですが、瞬間的な衝撃への耐性が低いため、落下する可能性がある機器などの素材には不向きです。●耐摩耗性熱耐性が強いためエンジンやブレーキなどの部品として選ばれやすい傾向にありますが、摩耗への耐性が低いため注意が必要です。PPSの機械的性質PPSはさまざまな温度下において引張強度や曲げ強度、高い剛性を維持することができます。ポリエチレンやポリスチレン、アクリルなど、さまざまなプラスチックの引張強度が高くても10kgf/㎟であるのに対し、PPSは無充填時で7.0kgf/㎟、グラスファイバーを40%充填することで16.4kgf/㎟という高い強度を示します。PPSの物理的性質結晶性を持つ材料のPPSは、無充填時でも密度が1.34g/㎤、グラスファイバー40%充填時では、1.64g/㎤となっています。溶融状態のベースポリマの密度が1.05g/㎤であることを考慮すると、極めて高い数値と言えます。結晶性を持ち、融点290度という高い耐熱性を兼ね備えていることから、熱処理のしやすい性質を持っています。

  • ポリプロピレン(PP樹脂)とは?特徴、用途、性質、メリット・デメリット

    今回は、ポリプロピレンの特徴や用途、機械的性質などについて解説します。ポリプロピレンは、合成樹脂(プラスチック)のなかでも「汎用樹脂」と呼ばれる材料の一種です。汎用樹脂は、主に日常でよく使われている家庭用品・雑貨・包装材料などに採用されています。そのなかでもポリプロピレンは、同じ汎用樹脂であるポリエチレンに次いで生産量が多く、幅広い用途で活用されている材料です。ポリプロピレンとポリエチレンは、似た性質を多く持ちますが、違いもいくつかあります。この記事では、ポリプロピレンとポリエチレンの違いについてもご紹介します。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリプロピレン(PP樹脂)とはポリプロピレン(PP樹脂)とは、炭素と水素からなる重合体(ポリマー)で、汎用樹脂の一種です。プラスチックのなかでも生産量が非常に多く、比重が0.9と軽量な材料です。製法も、射出成形・押出成形・ブロー成形・真空成形などと豊富で、大量生産に適しています。また、最新のテクノロジーである3Dプリンタの材料としても利用されています。参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も参考:押出成形の仕組み・メリット・用途などを解説!参考:ブロー成形とは|特徴や仕組み、用途を解説!参考:3Dプリンタとは?3Dプリンタの基礎を丁寧に解説!ポリプロピレンの特徴と用途ポリプロピレンは、熱可塑性樹脂であるため、熱を加えると変形する特徴を持ちます。反りが発生しやすい材料のため、ポリプロピレンの製品を作る際は、反りにくい形状に設計する必要があります。しかし、耐薬品性・耐摩耗性・耐衝撃性・軽量性に優れており丈夫で傷が付きにくい性質を持つことから、自動車部品や食品容器、医療機器などの幅広い分野で採用されています。また、低コストで量産が可能なので、家庭用品・雑貨・包装材料などにも使われています。ポリプロピレンのメリットとデメリットメリット●軽量性ポリプロピレンは、比重が0.9と軽量です。比重が1よりも低いことから、水に浮かぶほどの軽量性を有しています。そのため、製品の軽量化目的で採用されることがあります。●耐熱性ポリプロピレンは、熱可塑性樹脂のなかでも耐熱温度が高い傾向にあります。●耐薬品性ポリプロピレンは、薬品による影響を受けにくいため、科学機器や医薬機器などにも多く採用されています。●機械的強度に優れるポリプロピレンは、機械的強度に優れており、表面が硬くて耐摩耗性も良好です。●低コストで大量生産できるポリプロピレンは、切削加工や曲げ加工などの加工がしやすく、射出成形や押出成形などさまざまな製法に対応できます。金型を使った製造をすれば、低コストで大量生産が可能です。デメリット●耐候性に乏しいポリプロピレンは、一般的に紫外線に弱く、日光に当たると白くなってしまうので、屋外での使用には適していません。ただし、酸化防止剤などの添加剤を入れることで、改善が見込めます。●接着しにくいポリプロピレンは、接着性に乏しい特徴があります。表面を粗くするなどの下地処理を施すことで改善はされますが、金属を接着するほどの強度を得るのは難しいです。●印刷しにくいポリプロピレンは、そのままだと印刷が難しい材料です。印刷したい場合は、接着のときと同じく下地処理を施す必要があります。ポリプロピレンの機械的性質ポリプロピレンは多くのグレードが存在しており、グレードによって強度に幅があります。一般的なグレードにおける引張強度は30MPa程度です。そのほかの機械的性質については以下の表を参考にしてください。<ポリプロピレンの機械的性質>項目最小値最大値平均値標準偏差引張降伏応力 (MPa)    2641--引張破壊応力 (MPa)    ----引張弾性率(ヤング率)(MPa)60022001313336ポアソン比----曲げ強度 (MPa)254731.96.4曲げ弾性率 (MPa)    65023001291356圧縮永久歪(%)    ----シャルピー衝撃強度(kJ/m2)1667.87.4アイゾット衝撃強度(kJ/m2)----表面硬度6211089.111.2引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 ポリプロピレン樹脂(PP)の物性・用途・特性ポリプロピレンの熱的性質ポリプロピレンは熱に強い樹脂のため、ポリプロピレン製の耐熱容器は電子レンジにも対応できます。小さな荷重が加わる場合でも、製品の構造によりますが、100℃近い温度で連続して使うことができます。例えば、市販されているポリプロピレン製のパイプは、0.2MPaの圧力で耐熱温度は90℃です。<ポリプロピレンの熱的性質>項目最小値最大値平均値標準偏差ビカット軟化温度 (℃)110140119.210.5荷重たわみ温度 (℃)6512593.114.4線膨張係数:流動(×10-5/℃)----線膨張係数:直角(×10-5/℃)----引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 ポリプロピレン樹脂(PP)の物性・用途・特性ポリプロピレンとポリエチレンの違いポリエチレンは、ポリプロピレンと同じく汎用樹脂の一種です。ポリプロピレンとポリエチレンは以下のような多くの共通点があります。●ポリプロピレンとポリエチレンの共通点・炭素と水素からなるポリマー・熱可塑性樹脂で射出成形・押出成形など、金型を使用した多くのプラスチック成形に対応しており、安いコストで大量生産が可能・絶縁体・比重が軽い(ポリプロピレン:0.9、ポリエチレン:0.95)・吸水率が低く、寸法安定性が良好・誘電率が低く、高周波材料として使われる。電子レンジで発熱しない・無臭、無毒一方で、ポリプロピレンとポリエチレンの違いについては以下の要素が挙げられます。●ポリプロピレンとポリエチレンの相違点・ポリプロピレンは硬く、ポリエチレンは柔らかい・耐候性はポリエチレンの方が優れる・耐熱温度はポリプロピレンの方が優れる・融点はポリプロピレンの方が高い・ポリプロピレンは無色透明に近いものができるが、ポリエチレンは白濁したもののみポリプロピレンとポリエチレンの特徴的な違いは、透明性や耐熱性です。内容物を確認したい場合や、滅菌処理をしたい場合などの違いで、それぞれの材料が使い分けられています。

  • PEEKとは?用途、種類、性質、メリット・デメリット

    今回は、PEEKの基礎知識について解説します。PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれる、熱可塑性樹脂の一種で、エンジニアリングプラスチックに比べて高い性能を有しています。多くのメリットを持つプラスチックであるため、安全性が求められる製品や、金属部品の代わりとして多く採用されています。この記事で、PEEKの特徴や用途などについて詳しく見てみましょう。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法PEEKとはPEEK(ピーク)とは、Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)と呼ばれる樹脂の略称で、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、あるいは芳香族ポリエーテルケトンと呼ばれるポリマー群の一種です。PAEKは、アリール基・エーテル基・ケトン基から構成されるポリマー群で、これらの官能基の組み合わせや配列などにより、さまざまな種類の樹脂が存在します。そのなかでもPEEKは豊富なメリットを持つため、PAEKの代表的な樹脂として採用されています。また、PEEKは、熱可塑性樹脂のスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に該当する樹脂で、スーパーエンプラのなかでも代表的な樹脂として扱われています。スーパーエンプラは、工業用として耐熱性や機械的強度を向上させていますが、PEEKは特に耐熱性や耐薬品性などに優れています。PEEKのメリットとデメリットメリット●耐熱性・耐高温性・耐加水分解性PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックのなかでも、耐熱性・耐高温性・耐加水分解性が非常に優れた材料です。連続使用温度は250℃程度とされており、熱老朽にも強い特徴があります。耐熱水性にも優れており、200~250℃のスチームの中でも連続使用が可能です。そのためスチーム滅菌も可能で、短時間であれば300℃の高温にも耐えられる性能を有しています。●耐薬品性PEEKは、非常に優れた耐薬品性を有しています。多くの酸やアルカリ、有機溶媒に対して耐性があり、高温化でも耐えられるプラスチックです。ただし濃硫酸などの強酸には耐えられないので注意してください。●機械特性・クリープ特性・耐摩耗性PEEKは、広い温度範囲において高い強度と剛性を示し、機械特性にも優れたプラスチックです。強度については、ガラス繊維やカーボン繊維によって、さらに強化されます。また、クリープ特性や耐摩耗性にも優れており、金属の代替品としても活用されています。●耐放射線性熱加工性を持つ一般的な樹脂は、電磁波や放射線の影響により、脆くなる特徴があります。しかし、PEEKは科学的構造が安定しているため、電磁波や放射線のある環境下でも使うことが可能です。●難燃性PEEKは、難燃性の材料であるため、摩擦熱などの熱で燃える可能性が、他のプラスチックに比べて少ないです。また、燃焼時の発煙や腐食性ガス、有毒ガスなどが極めて少ないのもメリットです。デメリット●コストが高いPEEKは豊富なメリットを持ちますが、他のプラスチックに比べてコストが高いです。PEEKの用途PEEKは、豊富なメリットを持つことから、航空・宇宙・自動車産業、食品加工産業、医療分野、電子産業など、さまざまな業界で採用されています。金属の代替品として使われることもあり、自動車の性能向上や軽量化、コスト削減のために、金属部品の代わりとして多用されています。ギア・ワッシャー・ベアリングなどのパーツ類もPEEKにて製造が可能で、高温時でも優れた機械的性能や耐摩耗性、耐薬品性などを要する場合にPEEKが用いられます。PEEKの種類一般的にPEEKと呼ばれているものは、さまざまなグレードがあるうちのひとつである、基本グレードのことを指しています。ここでは基本グレードにさらに特性を付与した他のグレードについて、いくつかご紹介します。摺動グレード摺動グレードは、基本グレードに炭素繊維・グラファイト・四フッ化エチレン(PTFE)を充填したグレードで、基本グレードに比べて耐摩耗性や摺動性に優れています。用途としては、軸受やライナーなどの摺動部品に採用されています。ガラス繊維強化グレードガラス繊維強化グレードは、基本グレードに比べて高い剛性と耐クリープ性を持ちます。また、寸法安定性も良好です。主に静的荷重が長時間かかる場所に使用されています。カーボン繊維強化・導電グレードカーボン繊維強化・導電グレードは、ガラス繊維強化グレードに比べてより高い剛性を持つほか、機械的強度やクリープ性、耐摩耗性にも優れています。カーボン繊維を採用していることから、基本グレードに比べて約3.5倍高い熱伝導率も有しており、部品に発生した熱を素早く放散します。用途としては、静電気やほこりなどを嫌う環境で採用されています。PEEKの物理的・機械的性質<PEEKの物理的・機械的性質>比重引張強さ(MPa)破断時伸び(%)圧縮強さ(MPa)曲げ強さ(MPa)衝撃強さ (アイゾット ノッチ付)(J/m)1.371-10330-15012511085引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性<PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性>線膨張率(×10-5/℃)荷重たわみ温度(1.81MPa)(℃)成形温度(射出成形)℃成形温度 (押出成形)℃吸水率 (24h)(重量%)4.0-4.7 (<150℃)160350-400350-3800.10-0.14引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)

  • ポリアセタール樹脂(POM)種類・製法・特徴・加工方法

    ポリアセタール樹脂(POM)は、耐衝撃性や耐摩耗性、機械的性質に優れるプラスチック素材です。さまざまな生活用品や、家電製品、機械部品、自動車部品、配管部品、ハードウェア部品、電子部品、電気部品などに用いられており、私たちの生活には欠かせない素材の一つです。今回は、ポリアセタール樹脂(POM)について、種類・製法・特徴・加工方法など幅広い内容について解説します。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリアセタール樹脂(POM)とはポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene)の構造(-CH2O-)を持つポリマーであり、その略記号を用いてPOMと呼ばれています。ポリアセタール樹脂(POM)は、耐衝撃性や耐摩耗性に優れており、「エンジニアプラスチック(特に強度や耐熱性などの特性に優れるプラスチック)」に分類されます。このようなプラスチックは、プラスチックの最大の欠点である熱劣化性を改善した材料であり、金属の代替部品として幅広い用途に利用されています。ポリアセタールとジュラコンとデルリンの違いポリアセタール樹脂(POM)は、複数の会社で製造されており、それぞれ製品名が異なります。代表的な製品として、ポリプラスチックス社のジュラコン®(DURACON®) とデュポン社が開発したデルリン®(Delrin®) が挙げられます。この2つの製品の違いは、分子構造です。ジュラコン®はコポリマーであるのに対し、デルリン®(Delrin®)はホモポリマーと呼ばれる分子構造を持ちます。ポリアセタールの種類と製法前述した通り、ポリアセタール樹脂(POM)は、分子構造によってホモポリマーとコポリマーに分類されます。それぞれの構造について製法と合わせて、以下説明します。ホモポリマーホモポリマーの構造を持つポリアセタール樹脂(POM)は、上図のような分子構造を有します。ホモポリマーとは、モノマー(ポリマーを構成する化合物の単位)が一種類のポリマーを指します。ホルムアルデヒドを原料とし、重合を行って製造されます。コポリマーコポリマーの構造を持つポリアセタール樹脂(POM)は、上図のような分子構造を有します。コポリマーとは、二種類以上のモノマーから構成されるポリマーを指します。コポリマーは、ホルムアルデヒドから三量体であるトリオキサンを生成し、エチレンオキサイドなどのコモノマーとともに重合することで製造されます。ポリアセタールの特徴と用途ポリアセタール樹脂(POM)は、耐摩耗性、剛性や靭性などの機械的性質のほか、耐疲労性や耐クリープ性に優れる素材です。他にも、金属と比較して軽量な素材であることから、より軽い部品、製品の設計が可能となります。また、寸法安定性に優れ、精密部品への使用にも向いています。このような優れた特徴を有するポリアセタール樹脂(POM)は、金属に代わる素材として、さまざまな分野において採用されています。特に、耐久性が必要とされる部品に多用されています。●ポリアセタール樹脂(POM)の主な用途・ギヤ(歯車)やベアリング・生活用品(ファスナー、クリップ、文房具)・自動車部品(燃料ポンプ、ドアロック・ドアラッチ、シートベルトロック機構)・機械部品(半導体製造装置部品、電子機器部品、産業機械部品)・楽器(リコーダーや木管楽器など)ポリアセタールの長所ポリアセタール樹脂(POM)の優れた特徴についてご紹介します。耐衝撃性靭性が高いため衝撃への耐性に優れます。耐熱性耐熱温度は、ホモポリマー約85℃、コポリマー約105℃です。短時間であれば、150℃でも使用可能です。高温での使用のほか、低温耐性にも優れ零下40℃前後まで使用できます。耐薬品性薬品や溶剤への耐性に優れ、薬品による劣化の影響を受けにくい素材です。ただし、強酸には耐性がないため注意が必要です。寸法安定性寸法安定性に優れます。精密部品への使用にも最適です。耐摩耗性自己潤滑性が高い、つまり摩擦係数が極めて小さいためほとんど摩耗しません。ポリアセタール樹脂(POM)は、プラスチックの中でも特に耐摩耗性に優れる素材です。ポリアセタールの短所さまざまな優れた特徴を持つポリアセタール樹脂(POM)ですが、次のような短所もあります。難燃性ポリアセタール樹脂(POM)の分子構造には、酸素(O)が含まれます。そのため、酸化指数が高く燃えやすい材料であるため、注意が必要です。耐候性紫外線(UV)安定性が低く、屋外での使用など長時間紫外線にさらされるような環境においては素材が劣化し、色の変化や強度の低下などが発生します。そのため、屋外での使用には、安定剤やUV吸着剤などを含む製品を利用する必要があります。接着性接着性に優れず、塗装などを行うことが困難です。ただし、溶接は可能です。ポリアセタールの加工方法ポリアセタール(POM)の成形、接着・溶着の加工方法について、説明します。射出成形・ブロー成形ポリアセタール(POM)の主な成形加工方法として、射出成形とブロー成形が挙げられます。ポリアセタール(POM)は熱可塑性樹脂であるため、加熱によって軟化させ成形し、冷却して固化することができる素材で、成形加工性にも優れます。参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も接着と溶着前述した通り、ポリアセタール(POM)は接着性には優れません。通常の接着剤を使用しての接着は極めて困難であるため、ポリアセタール(POM)の接着には特殊な方法を用いる必要があります。一つ目の方法は、エッチングなどの表面加工を利用して、その後に接着剤を使用して接着する方法です。なお、エッチングとは化学薬品を利用して、化学反応による腐食作用によって、被加工物表面を溶解させる加工方法です。また、溶着を用いる方法も有効です。溶着とは樹脂などの非鉄金属を接合する技術です。この方法を用いれば、ポリアセタール(POM)の接着が可能です。参考:【エッチング加工とは?】価格や加工例、製造工程までご紹介!ポリアセタールとナイロンの比較と使い分けエンジニアプラスチックには、ポリアセタール樹脂(POM)のほかにもナイロンが挙げられます。ナイロンには、PA6(Polyamide 6)とPA66(Polyamide 6)が存在し、それぞれ6ナイロン、66ナイロンと呼ばれます。<6ナイロン><66ナイロン>上図に、6ナイロン、66ナイロンの分子構造を示しました。分子構造からわかる通り、ナイロン(ポリアミド系樹脂)はアミド結合(-CONH-)を有するポリマーです。ナイロンは、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性に優れるほか、高い靱性・引っ張り強度を示します。特に、ナイロンの融点は6ナイロンが225℃、66ナイロンが265℃と、ポリアセタール樹脂(POM)をはじめとするその他のプラスチックよりも、高い融点を示します。そのため、金型を使用してナイロンを成形する際には、温度の管理をより注意して行う必要があります。また、ナイロンは吸水性があり、寸法安定性が低いという特徴があります。そのため、精密部品の製作には、寸法安定性の高いポリアセタール樹脂(POM)の使用が適切です。

  • 塩ビ管(塩ビパイプ)種類・特徴・用途・規格まとめ

    今回は塩ビ管の種類や特徴、用途などについて解説します。塩ビ管とは、主に配管で使われている部材です。塩ビ管は、水道や下水道管などで流体を流すだけでなく、ケーブルを通す保護管としても採用されることがあります。塩ビ管は鉄製の管に比べて施工性・軽量性・経済性などに優れているのが特徴です。塩ビ管に使われている素材のポリ塩化ビニルは、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合させたプラスチックです。ポリ塩化ビニルは熱可塑性樹脂の一種で、五大汎用樹脂とも呼ばれています。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法塩ビ管(塩ビパイプ)とは塩ビ管とは、ポリ塩化ビニルでできた配管素材のことです。塩ビ管の正式名称は「硬質ポリ塩化ビニル管」で、通称「ポリ塩化ビニル・塩化ビニル樹脂」とも呼ばれています。塩ビ管は鉄製の管よりも流体の流れる抵抗が少なく、腐食にも強い特徴があります。軽量性にも優れており、取り扱いやすいのもポイントです。塩ビ管の素材であるポリ塩化ビニル(PVC)は合成樹脂(プラスチック)です。ポリ塩化ビニルは加工性に優れ、軟質から硬質まで幅広い成型品を製造できます。また、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・電気絶縁性・耐候性・難燃性・経済性など、多くの メリットがあります。一方で、耐熱性・耐衝撃性が低い点はデメリットです。参考:塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法塩ビ管(塩ビパイプ)の種類と色、用途塩ビ管は大きく分けてVP管とVU管があります。VP管は厚肉、VU管は薄肉の特徴があり、用途に合わせて使い分けられています。また、VP管には耐火性・耐衝撃性・耐熱性をそれぞれ向上した種類もラインナップしています。ここでは、各種類の特徴について解説します。塩ビ管の色が違う理由塩ビ管は種類ごとに色が異なります。一般的に、VU管とVP管はグレー、耐火VP管は緑色、HI管・HIVP管は黒色または濃紺色、HT管・HTVP管は赤茶色で分けられています。VU管(グレー)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはVU管は、VP管と比べて薄肉で、主に無圧管路に使用する塩ビ管です。低層住宅の排水系統や、埋設では自然流下用途(下水用・土木用・排水用)に採用されています。VU管は薄肉管なので、VP管と比べて重量が軽いメリットがありますが、圧力には弱く、中~高圧管路用には使用できません。VP管(グレー)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはVP管は、一般的に圧力用の上農水道埋設用・建築給水用に採用されています。そのほかにも集合住宅の排水・通気配管や浅埋設・深埋設の用途でも採用されます。VP管はVU管に比べて厚肉でたわみにくい特徴があります。また、内面が滑らかで摩擦抵抗が小さいことから、粘性の高い液体などが付着しにくく、排水効率に優れています。しかし、直射日光により、塩ビ管の表面温度が上昇すると、塩ビ管の裏側との温度差により反りが発生するので注意が必要です。耐火VP管(緑色) 引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは耐火VP管は、火災時の延焼を防止する塩ビ管です。主に集合住宅や店舗等の建物内の雑排水・汚水・雨水排水などの排水設備用として使われています。耐火VP管は、内層・中間層・外層の3層で構成されており、内層と外層は従来の硬質ポリ塩化ビニル樹脂を、中間層には耐火性硬質ポリ塩化ビニル樹脂を採用しています。また、VP管と寸法や性能が同等で、軽量性にも優れており施工が簡単に行えます。HI管・HIVP管(黒色) 引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはHI管(HIVP管)は、耐衝撃性能を向上させた塩ビ管です。主に寒冷地での使用や、施工時における、外部衝撃による破損を防止する場面に採用されています。従来の塩ビ管は、低温環境だと耐衝撃性が低下する傾向にありましたが、HI管は粘り強さがあることで、衝撃を吸収します。また、優れた可とう性を有しているほか、管軸・管側方向の荷重に対する接合部の信頼性も高く、地震に強い管路を構築できます。一方で高性能であることから、配管コストがかかる点はデメリットです。HT管・HTVP管(赤茶色)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはHT管(HTVP管)は、耐熱性を向上させた塩ビ管で、給湯配管、冷・暖房管、温泉配管などの用途に採用されています。HT管は熱伝導率が非常に小さい特徴があり、配管内部の流体の保温性に優れています。また、金属管とは異なり、錆びや腐食による水質悪化や電食、漏電事故などの心配もありません。しかし、高性能な塩ビ管のため、配管コストが増加します。塩ビ管の規格(サイズと太さ)塩ビ管のサイズ選びで見ておくべきポイントとして「呼び径」があります。呼び径は管の太さを表す呼称ですが、管の呼び径=管の外径というわけではありません。また、VP管に関しては呼び径と概略内径が近い値を示していますが、実際のところ呼び径は内径とも異なります。JIS規格では、塩ビ管は外径を基準寸法としており、外径から厚さを差し引いた分が内径になるので、内径の値は参考値となります。以下に、JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管の規格に記載されている、一部の呼び径を抜粋したものを参考として記載します。<VP・HIVP管の外径・厚さ・概略内径>呼び径外径厚さ参考基準寸法最小許容差概略内径1318.02.2+0.6131622.02.7162026.0202532.03.1+0.8253038.0314048.03.6405060.04.1516576.0677589.05.577引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管<VU管の外径・厚さ・概略内径>呼び径外径厚さ参考基準寸法最小許容差概略内径4048.01.8+0.4445060.0566576.02.2+0.6717589.02.783100114.03.1+0.8107125140.04.1131150165.05.1154200216.06.5+1.0202250267.07.8+1.2250引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管では、VP管(HIVP管)の呼び径は13~300まであります。一方でVU管は呼び径40~600まであります。上の2つの表を見比べると、VP管とVU管で同じ呼び径のものは、同じ外径の寸法を示していることが分かります。ただし、厚みの寸法はそれぞれで違うので、内径の寸法はVP管とVU管で異なります。

  • 塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法

    今回の記事では塩ビについての特徴・加工方法・用途などについて解説します。塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)は熱可塑性樹脂の一種で、五大汎用樹脂とも呼ばれるほど汎用性が高い材質です。用途としては、上下水道管や波板などの建築資材や、家具のレザーなどに採用されており、私たちの身近なところでも、比較的見かけることが多いでしょう。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法塩ビとは?塩ビとは、「塩化ビニル樹脂」または「ポリ塩化ビニル」の略称で、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合させたプラスチックの一種です。英語ではPVC(Poly Vinyl Cloride)と表記します。また、軟質PVCはソフトビニールやソフビとも呼ばれています。塩ビは、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・ポリスチレン(PS)と同じく、五大汎用樹脂に分類される材料です。性能はあまり高くないものの、安価で生産量が多い特徴があります。また、製造過程において可塑剤の添加量を調整することで、硬質・軟質の製品が得られるのも特徴です。塩ビは安価かつ大量に生産されているエチレンと塩素を原料としており、石油を原料とする他のプラスチック製品と比べて省資源で製造できます。ポリ塩化ビニルと塩化ビニルの違いモノマーである塩化ビニル(クロロエチレン)を、繰り返し結合したものをポリ塩化ビニルと呼びます。ポリ塩化ビニルの「ポリ」という言葉は、ポリマー(重合体)からきたもので、「たくさん」という意味があります。しかし、一般的に呼ばれている「塩ビ」は塩化ビニルではなく、ポリ塩化ビニルを指しているケースが多いので注意が必要です。軟質PVCと硬質PVC塩ビには「軟質PVC」と「硬質PVC」の2種類があります。軟質PVCは柔らかい素材で、多少厚みがあるものでも手で曲げられるほどの柔軟性があります。一方、硬質PVCは硬くて強度に優れています。これらの違いは硬さだけでなく、物性や機械的性質にも違いがあります。一例を挙げると、比重は軟質PVCで1.16~1.35、硬質PVCで1.30~1.58と値が異なります。引張強さにおいても軟質PVCは6.9~25MPa、硬質PVCは34~62MPaと大きく違いがあります。PVCの重合度(分子量)比較的小さな分子であるモノマーが、繰り返し結合したものをポリマーと呼びますが、この繰り返し結合した度合いのことを「重合度」と呼びます。PVCは以下の表のように、重合度を変えることでさまざまな用途に活用できます。<PVCの重合度の違いによる分類>平均重合度用途別分類150~400接着剤600~700硬質射出成型品700~800硬質フィルム、シート、ボトル1000硬質パイプ、一般軟質品、波板1300~1800軟質フィルム、電線被覆2000~4000パッキン、床材表面層引用元:ダイヤモンドホイール・ダイヤモンド砥石・CBN工具・CBN砥石と研削研磨の情報サイト ポリ塩化ビニル(PVC)の素材としての特徴|物性と用途、特性についてPVCは、クロロエチレンのみで重合したPVC-S(ストレートPVC)と、ほかの物質との共重合体であるPVC-Mがあります。PVC-Mには、プロピレンと塩ビとの共重合体、酢酸ビニルと塩ビとの共重合体などがあります。塩ビの特徴(長所と短所)ここでは主な塩ビの長所と短所についてご紹介します。塩ビの長所・耐薬品性:薬品に対しての耐性が強い。・耐酸性、耐アルカリ性:酸やアルカリに強い。・耐水性:水を通さない。・電気絶縁性:電気を通しにくい。・難燃性:酸素指数が45~49と高く、自己消火性樹脂に分類される。・耐久性:通常の使用環境下での経年劣化が少ない。・着色やプリント加工性:着色や柄のプリントが可能。・価格が安価:他の材質に比べて価格が安価。重量も重たくないので、運送費や管理費なども抑えられる。塩ビの短所(耐熱温度と融点)・耐熱性:塩ビの耐熱温度は60~80℃、融点は85~210℃程度と、耐熱性に乏しい。・耐衝撃性:他の五大汎用樹脂と比べて耐衝撃性に乏しい。特に低温環境だと衝撃値が低下する。塩ビの加工方法ここでは塩ビの加工方法として代表的なものである、押出成形・カレンダー成形・射出成形・熱成形・ディッピング加工・コーティング加工を解説します。押出成形押出成形は、押出機のなかに溶融した原料を入れ、口金から押し出して成形する加工方法です。パイプなどのように、断面形状がシンプルな形状の製品を作るのに適しています。口金の形状を変えることで、押し出される製品も形を変えられます。カレンダー成形カレンダー成形は、シートやフィルムなどの平らな製品を成形するのに活用される加工方法です。何本もある加熱したロールに、原料を通して圧延したあと、冷却ロールに通して厚みを調整し、材料を巻き取ることで、シートやフィルム状の塩ビを成形します。射出成形射出成形は、金型に溶融した原料を流し込んで固める成形方法です。立体的な製品を成形可能で、押し出し成形よりも複雑な形状を生産できます。製品のサイズも小さいものから大きなものまで対応が可能です。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!熱成形熱成形は、押出成形やカレンダー成形であらかじめ生産した板状の製品を加熱し、空気や気圧を利用して型の形に成形する加工方法です。型のなかにある空気を吸い取り、大気圧で型に押し付ける手法を「真空成形」、大気圧ではなく圧縮空気で金型に押し付ける手法を「圧空成形」と呼びます。ディッピング加工引用元:塩ビ工業・環境協会 塩ビ樹脂の配合・加工方法ディッピング加工は、ペンチなどの取っ手を保護するカバーのように、皮膜を形成する際に活用されている加工方法です。塩ビ樹脂溶液に皮膜を形成したいものを浸漬し、熱乾燥することで皮膜を形成できます。コーティング加工引用元:塩ビ工業・環境協会 塩ビ樹脂の配合・加工方法コーティング加工は、繊維材料などに樹脂溶液を塗布して熱乾燥処理する加工方法です。上図はドクターナイフ法と呼ばれる方式で、厚みの調節が自由に行えます。表面に凹凸の模様を入れるエンボス加工にも対応が可能です。塩ビの用途塩ビは耐久性・耐薬品性・電気絶縁性などに優れている特徴から、幅広い用途で採用されています。建築資材で使われることの多い材料のため、塩ビの取扱いがない方でも目にする機会は多くあります。軟質PVC硬質PVC床材壁紙家具や車などのレザー人工皮革テープ上下水道・電線管などのパイプや継手バルブ波板やプリント合板などの建築資材平板排水マス

  • ポリカーボネート(PC)とは?加工方法と特徴

    ポリカーボネートは「ポリカ」や「PC」とも呼ばれている、熱可塑性樹脂の一種です。優れた特性を多くもつことから、屋根材やパーテーションなどのさまざまな製品に採用されています。ポリカーボネートはDIYで人気のあるアクリルと同じ種類の材料ですが、特性に違いがあることをご存知でしょうか?この記事では、ポリカーボネートの特徴や用途、加工方法について解説します。ポリカーボネートとは?種類と特徴ポリカーボネートとは、熱可塑性樹脂である汎用エンプラの一種。「5大汎用エンプラ」と呼ばれるほど代表的な材料で、さまざまな用途で採用されています。ポリカーボネートの特徴は、高い透明性・耐衝撃性・耐久性・耐候性・自己消火性をもつ点にあります。また、プラスチックの基本的な成形方法である、射出成形・押出成形・真空成形・ブロー成形などに対応しているのもポイントです。一方で、有機溶剤や界面活性剤に弱いほか、キズが付きやすいといったデメリットがあります。また、アクリルと比べて、接着や熱曲げ加工には不向きです。これらの特徴から、ポリカーボネートは細かい加工を行うよりも、板状のまま使用することが多い材料です。DIYでも加工を行えるものの、アクリルに比べて加工性に劣る点に注意してください。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリカーボネートの種類ポリカーボネートには、【平板・中空板・波板】の3種類があります。●平板平板は、アクリル板のような1枚板のタイプで、無色透明から色付きのモノ、すりガラスのような加工を施したモノと種類が豊富です。平板は汎用性が高く、パーテーションや看板、カーポートの屋根材など、幅広い用途で使われています。●中空板中空板は、段ボールのように板と板の間に空洞を設けているのが特徴です。空洞であることで高い断熱性と保温性を有しており、屋根材や保温室、ドアの採光などの用途に適しています。●波板波板は、断面が波をうったような形に成形されているのが特徴です。波状の形により、平板よりも高い強度をもちます。雨水が集まり流れ落ちやすくなるので、屋根材に使われることが多くあります。ポリカーボネートの用途ポリカーボネートは、透明性・耐衝撃性・耐久性・耐候性・自己消火性に優れていることから、幅広い用途で使われています。例えば、高い透明性と耐久性があることにより、DVD基盤やメガネのレンズによく採用されています。また、スマートフォンに内蔵されているカメラのレンズや、スマートフォン用のケースにもぴったりの材料です。ポリカーボネートは高い精度で作れるだけでなく、ひずみも少ないため、カメラよりも雑に扱われることの多いスマートフォンへの使用に適しています。ポリカーボネートは割れにくい特性もあるので、安全性が求められるパーテーションや、階段の腰板にもおすすめの材料です。ポリカーボネートの長所と短所ここではポリカーボネートの長所と短所について詳しく見てみましょう。ポリカーボネートの長所●透明性可視光線透過率80~90%というガラスやアクリルに近い透明性をもちます。●耐衝撃性ポリカーボネートは、ABS樹脂の5倍、ポリ塩化ビニル(PVC)の10倍、ポリエチレン(PE)やアクリル(PMMA)の50倍程度の耐衝撃性を有しています。これはプラスチックのなかでも非常に強く、ハンマーで叩いても壊れないほどです。●耐候性例えば、耐候性の低いポリエチレンなどの樹脂素材は、太陽光・紫外線・雨などの自然環境による影響で、屋外で使用しているとヒビが入ったり変形したりします。一方、ポリカーボネートは耐候性に優れているので、屋外で使用してもさまざまな自然環境に耐えられる性質をもちます。そのため屋根材や看板といった屋外で使用するモノにも適した材料です。●自己消火性ポリカーボネートは、自己消火性(火がついても燃え広がらずに自然に消火される特性)をもちます。プラスチックの自己消化性を判断する材料として代表的なものに、“UL94規格”と“JIS K 7201”の酸素指数(OI)があります。UL94規格では難燃性の違いによってUL94の後ろにさまざまな記号が付きますが、ポリカーボネートは“UL94 V-2”程度の値を示します。これは、2回(各10秒間)炎に接触させても、燃焼時間が30秒以下であることを示します。酸素指数は、数値が高いモノほど難燃性であることを示しますが、ポリカーボネートの酸素指数は24~25程度です。この数値は、材料が燃えるものの、自己消火性があることを示しています。ポリカーボネートの短所●有機溶剤・界面活性剤に弱いポリカーボネートは、有機溶剤・界面活性剤に弱い特徴があります。これらが付着した状態で放置していると、ヒビ割れや変形などを起こす場合があります。●キズがつきやすいポリカーボネートは耐久性に優れているものの、キズがつきやすい点はデメリットです。鉛筆の硬度だとHB程度のため、ブラシで擦るだけでもキズがついてしまいます。キズがつくと透明感が失われるほか、外観も悪くなってしまうので、美観性を求められる箇所にはポリカーボネートの使用は避けたほうがよいでしょう。●加工がアクリルに比べて難しいアクリルは、カッター切断や曲げ加工、溶剤接着が手軽に行えるため、DIYでも人気の材料です。一方でポリカーボネートは、これらの加工を行うのがアクリルに比べて難しい傾向にあるので、板状のまま使うことが多くなります。ポリカーボネートの加工ここではポリカーボネートの加工方法・工作例をご紹介します。ただし、ポリカーボネートはアクリルに比べて加工が難しい傾向にあるので取り扱いには注意が必要です。●切断加工ポリカーボネートは、アクリルカッターを用いて切断することができます。切断の際は板を固定した状態で行い、定規などをガイドにして加工してください。アクリルカッターで設けた溝が不十分だと、折るときに割れてしまう可能性があるので注意が必要です。●面取りポリカーボネートの端部は、何も処理を施していないと鋭利な状態になっているので、取り扱いに注意してください。端部に触れるような用途での使用の際は、糸面取りを行うようにしましょう。糸面取りは、プラスチック用カッターの刃の裏やスクレーパーの刃の側面を、擦るように端から端まで走らせることで角が取れます。●曲げ加工ポリカーボネートは棒ヒーターやヒートガンを用いて曲げられますが、細かい温度調節が求められるため難しい傾向にあります。●接着材料を溶かして接着する溶剤接着は、仕上がりが悪く、強度も損なうので避けてください。●ボルト固定ボルト固定の場合は下記の穴ピッチを参考にしてください。・板厚が3.0mm以下:10~20mm・板厚が3.0mm以上:20~30mm・押さえ板による固定:30~50mmボルト穴の寸法は、温度の変化により伸縮することを想定して、ボルト軸の径に対して2~4mm大きい径で開けましょう。縁にボルト穴を設ける場合は、板の縁から穴径の2.5倍以上内側に位置するようにしてください。●シーリングポリカーボネートのシーリングは、シリコン系アルコールタイプを使用します。アルコールタイプ以外のシーリング材を使用するとクラックが発生する場合があるので注意してください。

  • NO IMAGE

    鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など

    図1:鉄と鋼と鋳鉄の炭素量の違い 鉄と鋼と鋳鉄の違いは含まれる炭素量です。すべて鉄と炭素の合金である点は共通で、炭素の量のみが異なります。炭素の量が変わると、特に鉄が持つ強さの性能(「強度」と「硬度」)が変わります。素材鉄鋼鋳鉄炭素量(%)0.02%未満0.02~2.14%2.14%超※↑具体的数値については別の考え方もあります。炭素量が多い場合、材料の硬さが増します。硬さが増すほど、一定限度を超えた力が加わったときに折れやすくなるため、用途に応じて適切な素材を選択する必要があります。鉄と鋼と鋳鉄の違いは炭素量だけ鉄の炭素量はおよそ0.02%未満です。一般的に炭素量が多い金属ほど硬くなり、硬くなるほど脆くなるので、鉄は鋼・鋳鉄よりも強度が劣ります。鉄は酸化しやすく加工も難しいため、製品としてそのまま用いられることはほぼありません。基本的に、鉄は炭素量を0.02~2.1%に増やして強度を持たせ、「鋼」として活用します。私たちが普段の生活で使っている「鉄」は、ほとんどが正確には「鋼」です。図2:炭素量の違いで硬さと靭性が反比例する様子鉄・鋼・鋳鉄は、炭素量が増えるほど材料は硬くなり、強度が増しますが、粘り強さを表す「靭性」については、性能が落ちます。靭性が高いほど、材料は折れにくくなります。鉄と鋼は、鋳鉄と比較して炭素量が少ないため、硬さには劣りますが靭性に優れています。鋳鉄より厚みが薄くても、割れにくいのが特徴です。鋼製フライパン鋳鉄製フライパン靭性に優れる薄く成形できる軽い靭性に乏しい割れないように厚みあり重い表面がざらざらしてる場合あり例えば、家庭で使われているフライパンにはプレス加工で作った鋼製のものや、鋳鉄製のものがあります。プレス加工で作った鋼製は、鋳鉄製と比べて靭性に優れているため、薄く成形が可能で重量も軽くなります。一方、鋳鉄製は靭性に乏しいため、割れないように厚みを持たせており、重量も重たくなります。JISによる鉄と鋼と鋳鉄の違いと分類図3:JISによる鉄と鋼と鋳鉄の分類 鉄と鋼と鋳鉄の鉄鋼材料は、性能や規格の種類分類がJISによって定められています。JISの「鉄」は「鋳鉄」を指しています。鉄と鋳鉄の製法の違いと見分け方(1)製法の違い鋳鉄と鉄の違いは炭素量だけではなく、製法にもあります。鋳鉄は、銑鉄・鉄スクラップ・戻り材などの材料を、「キュポラ」と呼ばれる溶解炉などに溶かして作られます。銑鉄は、コークスと鉄鉱石を高炉で溶かしてできたもので、鉄を作るのにも必要な材料です。溶かした鋳鉄は、鋳型に流し込み、冷やし固めることで製品化されます。①高炉 鉄鉱石を溶解・還元②溶銑予備処理 酸素・石灰を加えて不純物除去③転炉 炭素を取り除いて溶鋼へ④二次精錬 不純物を除去しより品質高める⑤連続鋳造設備 鋼片(スラブ・ビームプランク・ブルーム)を作る鉄は、銑鉄から酸素や石灰を加えて硫黄やリンなどの不純物を除去し、酸素を加えて炭素を低減させることにより作られます。これらを取り除く過程で溶かした鉄は、圧延しやすい鋼片(スラブ・ビームブランク・ブルーム)に生成されます。鋼片から圧延や鍛造がされ、鋼管・形鋼・鋼板が作られて市場に出回ります。圧延・鍛造ではなく、鋳造で作られた鋼のことを「鋳鋼」と呼びます。特徴鋳鉄製品・溶かした金属を鋳型に入れ、冷やして凝固し成形・「鋳肌」や「ゆず肌」・厚みが必要鉄製品・鍛造・切削・溶接によって成形・薄くできる鋳鉄製品と鉄製品は、成形の仕方で見分けることができます。鋳鉄品は溶かした金属を鋳型に入れた後、冷やして凝固させ成形しています。鉄製品は、鍛造・切削・溶接により成形しています。鋳鉄は、鋳型から取り出して表面を加工していない「鋳放し」のものだと、表面の仕上がりがざらざらしている場合があります。「鋳肌」や「ゆず肌」と呼ばれ、砂型による造形で起こりうるものです。(2)肉厚の違い鉄と鋳鉄は、肉厚にも大きな違いがあります。鉄は炭素量が少なく粘り強さがあるため、薄肉の形状のものを作ることができます。鋳鉄は粘り強さに欠けるほか、鋳型のなかに溶けた金属を充填させる必要があり、どうしても肉厚が必要です。肉厚が薄いと、鋳型に溶けた金属が回りきらず、成形不良を起こしてしまいます。鉄の種類と炭素量の違い(1)SS材SS材は「一般構造用圧延鋼材」ともいい、建築関係や土木業界で多く使用されている材料です。SS材は、JIS規格によると、SS330・400・490・540の4種類が規定されています。化学成分は、リンと硫黄の含有量が0.05%以内と定められていますが、SS540のみ炭素が0.3%以下、マンガン1.6%以下の条件も加わります。SSの後ろにつく数字は、最低保障されている引っ張り強さを表しています。SS400で例を挙げると、引っ張り強さが400~510N/mm2です。SS材のなかでもSS400は、平鋼・棒鋼・形鋼などで多く流通しており、価格も安価なのが特徴です。(2)炭素鋼鋼材S-C系(SC材)炭素鋼鋼材S-C系は「機械構造用炭素鋼材」といい、一般的に「SC材」とも呼ばれています。SC材はJIS規格で20種類以上の種類がありますが、最も多く使用されている素材は「S45C」です。SとCの間に入る2桁の数字は炭素の含有量を示します。S45Cは、0.45%前後の炭素を含むという意味です。SC材は、SS材に比べて硬度と強度があります。加工性や溶接性にも優れている分、価格も高めです。SS材とSC材の選び方として、硬度や強度などを求める場合はSC材、コストを抑えたい場合はSS材を選ぶのがおすすめです。参考:鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い図4:「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い 「鋳物」と「鉄・鋼・鋳鉄」との違いは、素材か製品かという点です。鋳物は金属を流し込んで作られた"製品"で、鉄・鋼・鋳鉄は"素材"です。鋳物とは、作りたい製品と同じ空隙を持つ鋳型に溶けた金属を流し込み、冷やし固めてできた製品を指します。冷え固まった製品は、鋳型を分解して取り出したのち、不要な注ぎ口のカットや仕上げ工程などを行って製品化されます。鋳物で使われる鉄系素材鋳物で使われる鉄系素材鋳鋼鋳鉄炭素量0.02~2.1%炭素量2.1~6.67%普通鋼鋳鋼特殊鋼鋳鋼球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)CV黒鉛鋳鉄片状黒鉛鋳鉄白鋳鉄鋳物で使われる鉄系素材は、大きく分けて「鋳鋼」と「鋳鉄」に分類されます。炭素量に違いがあり、鋳鋼は炭素量が0.02~2.1%、鋳鉄は炭素量が2.1~6.67%程度含まれています。鉄と比べて炭素量が多いです。(1)鋳鋼鋳鋼は鋳造で用いられる鋼で、鍛造では作りにくい複雑な形状かつ、鋳鉄だとすぐに壊れてしまうような製品に対して利用されます。鋳鋼には大きく分けて「炭素鋼鋳鋼」と「合金鋼鋳鋼」の2種類があります。図6:炭素鋼鋳鋼の炭素含有量による分類 炭素鋼鋳鋼は、炭素C以外の元素を合金元素として含まない鋳鋼で、電動機部品や車両部品に活用されています。炭素の含有量が0.2%以下を「低炭素鋼」、0.2~0.5%は「中炭素鋼」、0.5%以上は「高炭素鋼」に分類されます。炭素量が多いほど強度が増して靭性が落ちるため、バランスを見て適切な鋳鋼を選ぶ必要があります。合金鋼鋳鋼は、マンガンMn、クロムCr、モリブデンMoなどを添加し、耐食性・耐熱性・耐摩耗性を向上させた鋳鋼です。合金鋼鋳鋼は、主に機械部品・化学工業用ポンプ・キャタピラで活用されています。(2)鋳鉄引用元:日之出水道機器株式会社鋳鉄は、鋳鋼よりも融点が下がり、低い温度で溶解できるのが特徴です。炭素を多く含んでいることから、黒鉛を晶出します。鋳物の冷却速度や合金成分によって黒鉛の形状は変化し、より高い強度や靭性(粘り強さ)を持たせることも可能です。a. 球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)「球状黒鉛鋳鉄」は「ダクタイル鋳鉄」とも呼ばれ、強度がありながらも、靭性に優れています。球状黒鉛鋳鉄は、強度の高さから自動車部品・水道管・車道用マンホール蓋に多く採用されている材料です。b. 片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)「片状黒鉛鋳鉄」は「ねずみ鋳鉄」とも呼ばれ、硬さはあるものの、球状黒鉛鋳鉄に比べると伸びがなく、脆いのが特徴です。片状黒鉛鋳鉄は、歩道用マンホール蓋で採用されるなど、球状黒鉛鋳鉄ほど強度を必要としない場合に活用されます。鉄と鋳物の使い分け方とメリット・デメリット鋳物メリット・複雑な形状でも量産可能・硬さ必要&複雑形状の場合、コスト抑えられる・厚み・リブを設けることで簡単に強度を増せるデメリット・製品ごとに鋳型が必要で仕様変更に弱い・鋳型の初期費用掛かる・厚み・寸法精度出せない鋳物は、複雑な形状をした製品でも量産が可能な点がメリットです。車のエンジン部品やマンホール蓋のような、硬さが必要かつ複雑な成形が求められる場合だと、鉄よりも鋳物のほうがコストを抑えられます。しかし、製品ごとに専用の型を用意する必要があるため、仕様変更があった際に融通が利きにくいほか、イニシャルコストもかかる点はデメリットです。鋳物の原型は、基本的に上型と下型用で別々に用意する必要があるほか、中空がある製品の場合、それを設けるための「中子」も用意しなければなりません。鋳造するうえで成形不良を起こさないために、製品に厚みを持たせる必要もあります。鉄系の鋳物は、製品が冷え固まる際に収縮するため、寸法精度が出しにくい点もデメリットです。もし、寸法精度が求められる場合は2次加工により精度を出す必要があります。鉄メリット・薄い製品作れる・寸法精度が安定するデメリット・強度が欲しい箇所には補強部品を別途追加して接合しないといけない鉄は、フライパンのような薄い製品を作る場合や、高い精度を求める場合におすすめです。鉄は粘り強さがあるほか、板金加工やプレス加工による成形により、肉厚が薄い製品でも製作できます。鋳造では鋳物が冷えて固まる際に製品が収縮するなど製品不良を起こす心配がありますが、鉄製品であればこれらの心配はなく、強度や寸法を安定して出せるのがポイントです。鉄のデメリットは、製品に強度を持たせたい場合に補強部品を追加する必要があることです。鋳物だと、簡単に強度が欲しい箇所へ厚みやリブなどを設けられますが、鉄の場合は別途部品を用意して接合しなければなりません。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらの製法が適切か選択する必要があります。① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く!  ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積もりを取得!金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の登録工場の中からご要望に沿った工場が探しやすく、お見積りは、複数社から直接届きます。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!

  • NO IMAGE

    【愛媛でアルミ加工を依頼するなら】愛媛の加工メーカー7選

    アルミ加工は、鉄やステンレスと比較すると対応している工場が少ないことから、アルミ加工業者を選定することは簡単ではありません。また、単にアルミ加工と言っても板金加工や溶接加工、切削加工などの多様な加工法があり、工場によってはご要望に合った加工法に対応していない場合もあります。今回の記事では、愛媛県でアルミ加工に強みを持つ業者を7社ご紹介します。得意な加工法も合わせてまとめています。株式会社松南工業(愛媛県松山市)アルミ加工対応!短納期・小ロット・中量数が得意引用元:株式会社松南工業①会社概要本社:愛媛県松山市上野町甲207番地2号TEL:089-968-1330FAX:089-968-1331設立:平成24年11月加工:切削、溶接、曲げ、ワイヤー放電、レーザー、プレス、ショットブラスト など素材:ステンレス、アルミ などHP:https://www.syounan.ne.jp/②会社の紹介松南工業は、精密部品加工の高度な専門性を持つ金属加工業者です。マシニングセンタやNC旋盤を駆使した切削加工に強みがあり、アルミ加工を得意としています。縦型・横型マシニングセンタやNC旋盤、複合加工機といった切削加工機を20台以上も保有。切削加工に関する機動力のある生産体制を整備し、短納期を実現しています。半導体・液晶や自動機、食品関連、車両関係などの装置部品に多数の実績があります。板金加工や溶接、これらを組み合わせた製缶加工も請け負っており、真空容器や配管などの製造にも対応。さらに、治具の設計・製作も承っています。複雑な形状の製品や精密性が要求される製品の製作におすすめの業者です。建築分野など、同社の専門性から遠い分野のご依頼は、製品により対応できない可能性があります。また、小・中ロット生産品を主に扱っていますので、量産品を依頼する際は、事前に確認してください。③製品紹介マシニングセンタ加工品引用元:株式会社松南工業NC旋盤加工品引用元:株式会社松南工業アルミ加工品引用元:株式会社松南工業株式会社カンテツ(愛媛県今治市)船用製品をメインにしたアルミ加工総合メーカー引用元:株式会社カンテツ①会社概要本社:愛媛県今治市高部甲356-2TEL:0898-41-8105FAX:0898-43-0794創業:1945年加工:板金、溶接 など素材:アルミ、ステンレス、鉄 などHP:http://www.kantetu.jp/②会社の紹介カンテツは、アルミをはじめとする非鉄金属加工を主要事業とする船舶艤装品メーカーです。船舶や港湾で用いられる機器・設備などを設計・製造しています。主力製品は、アルミ製のウォークラダー(歩み板)で、ボルトやシャフトなどにはステンレスを使用し、耐食性の強化を図っています。トロール船用やコンテナ船用、車椅子対応タイプなど、様々なタイプのウォークラダーを用意。オーダーメイドにも対応しています。そのほか、船舶・港湾で使用されるはしごや角度可変式の階段、ゴンドラ、各種作業台、台車なども提供。さらに、海上保安庁・自衛隊やマリーナ向けの渡橋・浮桟橋・連結橋などの製作実績があります。上述した様々な製品や関連した製品の特注品などもご提供できますが、専門性の強いメーカーです。製品分野の異なる製品には対応できない可能性がありますので、事前にご確認ください。③製品紹介全天候型ウォークラダー可変式階段門扉付連結橋株式会社フラスコ(愛媛県西条市)アルミにも対応可!持続可能な社会実現を意識したものづくり引用元:株式会社フラスコ①会社概要本社:愛媛県西条市飯岡字岸之上3743番2TEL:0897-56-7482FAX:0897-56-6534創業:昭和48年1月加工:切削、ワイヤー放電、研削、プラズマ切断、溶接 など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅、チタン、ニッケル、ジルコニウム、タングステン、樹脂 などHP:https://s-frasco.com/②会社の紹介フラスコは、精密加工や難削材加工に強みを持つ切削加工業者です。5軸マシニングセンタや5軸複合旋盤など、最新の切削加工機を多数保有。自由自在な切削加工により複雑形状の加工や精密性の高い製品を提供しています。また近年、インド支社を開設して業務を拡大。さらに、研究機関から依頼された研究用材料などの加工も請け負い、技術の高度化を図っています。ステンレス・チタンなどの難削材やタングステンなどの超硬素材に対する加工技術を持ち、数百にも及ぶ素材に対応。高度な切削加工技術を生かした、ジェラルミンなどのアルミ合金の加工、アルミの極薄加工や微細加工にも定評があります。省力化自動機や真空関連機器部品、半導体製造装置部品など、産業用製造装置の精密部品に豊富な実績があり、高い品質が要求される製品分野を開拓してきました。ただし、切削加工に特化した加工業者であり、板金加工設備は保有していません。製品によっては、対応できない可能性がありますので、事前にご確認ください。③製品紹介特殊樹脂製品用金型の部品アルミ円盤SUS316F製の熱交換器の管板(多数の管を取り付ける板)株式会社続木鉄工所(愛媛県新追浜市)アルミ配管・特殊溶接を伴う加工に対応!引用元:株式会社続木鉄工所①会社概要本社:愛媛県新居浜市西原町3丁目3番37号TEL:0897-33-7141FAX:0897-37-2334創業:昭和22年4月加工:切断、曲げ、ロール、研磨、穴あけ、旋盤、溶接、塗装 など素材:アルミ、ステンレス、鉄 などHP:http://tzk-iw.com/②会社の紹介続木鉄工所は、大型製缶やアルミ配管の製作・加工に強みを持つ金属加工業者です。各種プラント設備の建設・メンテナンス事業を手掛け、プラント設備に必要なタンクや配管などの製造はもちろん、施工・メンテンスも一括して請け負っています。大型の製缶加工が可能な広い工場と設備を保有しており、大型の圧力容器やサイロ、ステンレス製タンクなどの製作に豊富な実績があります。また、配管については、プラント配管のみならず、アルミ配管やサニタリー配管など、各種配管の製造にも対応。配管工事も受け付けており、現場において必要となる手作業での溶接技術にも定評があります。特に、難易度の高いアルミの完全溶け込み溶接は、高い評価を受けています。これらの事業と並行して、研磨事業も展開。主力製品である大型製缶品のバフ研磨を自社で行うことで、コストダウンや納期短縮を実現しています。独自の電解研磨技術も確立しており、大型のステンレスタンクなどもムラなく鏡面仕上げにすることが可能です。製鉄や製紙の関連設備、水処理・浄化設備、半導体・医療産業関連設備など、幅広い分野の工業・産業設備の製品製造や施工を行っている業者です。ただし、切削加工が可能な設備はほとんど保有していませんので、小型の機械部品などの製造には対応できない可能性があります。ご依頼前にご確認ください。③製品紹介SUS304製食品タンクSUS316L製薬品タンク現場溶接したアルミ配管ツウテック株式会社(愛媛県東温市)アルミなどを使用した精密機械部品加工が得意引用元:ツウテック株式会社①会社概要本社:愛媛県東温市則之内甲208番地1TEL:089-966-4040FAX:089-966-4047設立:1990年4月加工:切削、ワイヤー放電、研削、ショットブラスト など素材:アルミ、ステンレス、銅、鉄、チタン、モリブデン、樹脂 などHP:http://two-teq.com/index.html②会社の紹介ツウテックは、精密切削加工に強みを持つ精密加工の専門業者です。航空宇宙や半導体、通信、医療関連など、微細かつ高精度、高難易度の加工技術を要求される分野において多数の実績があります。多種多様なマシニングセンタやNC/CNC旋盤、複合加工機を保有。さらには、実加工精度が±1μm以下という微細加工の専門機も駆使し、ミクロンレベルの穴ピッチや平面度要求が高い薄物加工など、あらゆる微細・精密加工のニーズに対応しています。また、お客様がご使用の産業機械や製造装置などの部品及び消耗部品の製作も請け負っています。製作図面がない場合でも、サンプル部品をお借りできれば、図面を製作し、部品を納入することが可能です。大手メーカー製品の部品でも、コストダウンや納期短縮の実績があります。ただし、精密切削加工に特化した業者ですので、板金加工や溶接が必要となる製品など、専門から離れた加工には対応できない可能性があります。必要な加工方法が分からない場合もあるかと思いますので、事前にご相談ください。③製品紹介トロブ工業(愛媛県松山市)アルミやステンレス、鉄の製缶をメインに対応引用元:トロブ工業①会社概要本社:愛媛県松山市堀江町甲194-2TEL/FAX:089-978-6835加工:切断、曲げ、穴あけ、旋盤、溶接 など素材:鉄、ステンレス、アルミ などHP:https://www.torobu.com/②会社の紹介トロブ工業は、アルミやステンレス、鉄の製缶加工を主要事業としている金属加工業者です。溶接加工に強みがあり、歪みを抑制した溶接や薄板に対する溶接なども可能です。特に、溶接歪みの抑制技術に自信があり、歪みを修正するための研磨にかかるコストや工数の削減を実現しています。機械加工にも対応しており、切削加工が必要となる機械部品などの製作も依頼することが可能です。また、鉄製のエクステリアや家具の製作事業も展開。門扉や柵、棚やテーブル、椅子などの製作を請け負うと共に、金属製家具のある住まいのプロデュースも行っています。なお、ご依頼は、小ロットからでも可能で、短納期のご要望にも可能な限り応えています。幅広い加工方法に対応していますが、板金加工や溶接を中心に行っている業者です。高度な切削加工技術を要する精密機械部品の製造などには対応できない可能性があるので、事前にご相談ください。③製品紹介グランドピアノの移動器具(はこべー)グランドピアノの移動器具(GPキャリー)コンベアフレーム株式会社ミヤタニ(愛媛県松山市)アルミ加工も対応可!医療用部品がメイン引用元:株式会社ミヤタニ①会社概要本社:愛媛県松山市和気町1-446-6TEL:089-979-3794FAX:089-979-3798創業:1993年加工:切削、研削 など素材:鉄、ステンレス、アルミ などHP:http://miyatani-medical.jp/index.html②会社の紹介ミヤタニは、アルミやステンレスの加工に強みを持ち、精密部品加工を主要事業としている業者です。特に、アルミの小物部品の製作を得意としています。自動機や自転車、医療機器の部品製作に豊富な実績がありますが、近年は医療用部品・医療機器の製造に注力。整形外科手術で用いられる機器など、医療現場のニーズから開発した医療機器を製造・販売しています。試作開発や少量生産などのご依頼に対応しています。ただし、小規模な事業者であるため、場合によっては大量生産品の製造には対応できない可能性があります。事前にご確認ください。③製品紹介引用元:愛媛ものづくり企業『スゴ技』データベースケイエム採骨器エムジーソーブレードエムケー開創器愛媛のアルミ加工依頼ならMitsuri愛媛のアルミ加工業者を7社ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。アルミ加工に強みを持つ業者と言っても、製缶加工が得意であったり、精密・微細加工に優れていたりと、業者によって様々です。また、業者によっては、取り扱っている製品分野が特化しており、分野が異なる製品の加工には対応できないこともあります。これらの点に注意すると共に、疑問があれば問い合わせるなどして確認することをおすすめします。Mitsuriでは優れたアルミ加工技術を持つ全国各地の業者とお付き合いがあります。協力企業は250社以上ありますので、製品分野が近く、ご要望に沿った加工法を得意とする加工業者をご紹介できます。お見積りは複数社可能です。下の赤いボタンからお気軽にお問い合わせください。

  • ABS樹脂とは?特徴、用途、種類、製品例

    ABS樹脂は、3種類の有機化合物を合成したプラスチックです。それぞれの成分の良い特徴を組み合わせることで、強度と柔軟性のバランスが良く、様々な耐性を持った素材になっています。安価で大量生産される汎用樹脂の一つに数えられることから、幅広い用途があります。製品例としては、液晶テレビやデジタルカメラの外装、自動車部品、文房具、各種ケースなどが挙げられ、私たちが利用する多様な製品に用いられています。この記事では、ABS樹脂の特徴や用途、種類などについて解説します。他の素材との性質の比較もしていますので、ABS樹脂について知りたい方は参考にしてください。ABS樹脂とはABS樹脂とは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンという3種類の有機化合物を化学的に結合させた合成樹脂のことです。加熱によって軟化して可塑性を示し、冷却によって再び固化する「熱可塑性樹脂」に分類されます。正式名称はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂で、「ABS」は各有機化合物の頭文字からとった略称です。ABS樹脂は、上記3種類の有機化合物のポリマーであるポリアクリロニトリル、ポリブタジエンおよびポリスチレンの下表に挙げたような特性を組み合わせることで、それぞれの利点を活かしつつ、欠点を補うように作り上げた合成樹脂です。<ABS樹脂を構成するモノマーとそのポリマーの特徴>モノマー名称ポリマー名称ポリマーの特徴アクリロニトリル(acrylonitrile)ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)高強度, 高剛性, 高硬度, 耐熱性, 耐候性, 耐油性, 耐薬品性ブタジエン(butadiene)ポリブタジエン(polybutadiene)高弾性, 耐衝撃性, 耐寒性スチレン(styrene)ポリスチレン(polystyrene)高強度, 高剛性, 高硬度, 脆い, 衝撃に弱い, 高流動性, 加工性が良い, 寸法安定性が良い, 耐薬品性, 電気絶縁性, 光沢性なお、ポリマーとは、その構成要素であるモノマー(スチレン分子など)が鎖状や網状に結合してできた高分子化合物のことです。そして、モノマーからポリマーを合成することを重合、2種類以上のモノマーからポリマーを合成することを共重合と言います。また、ABS樹脂は、熱可塑性樹脂の中でも、性能が比較的低いものの、低価格で生産量が多く、大量に消費される汎用樹脂の一つです。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)と並ぶ、5大汎用樹脂の一つに数えられることもあり、様々な用途・分野で使用されています。参考:塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法ABS樹脂の特徴と用途ABS樹脂の機械的性質ABS樹脂の特徴は、まず強度や剛性、硬度と靭性(衝撃耐性)のバランスが良いことです。つまり、ABS樹脂は、壊れにくく、変形しにくく、その上、硬いにも関わらず、割れにくい素材であることを意味します。ABS樹脂は、下表に見られるように、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)と比較して、「衝撃強さ」が特に大きく、強度や剛性、硬度のほか、靭性も兼ね備えていることが理解できます(下表参照)。<ABS・PP・PSの機械的性質>汎用樹脂の略称ABSPPPS引張強さ(MPa)23~5531~4136~52引張弾性率(MPa)1900~28001100~16002300~3300圧縮強さ(MPa)45~5238~5582~89曲げ強さ(MPa)66~9641~5569~101衝撃強さ(J/m)75~64022~7519~24ロックウェル硬さR100~120R80~102M60~75参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの物性」株式会社KDAなお、上表の「ロックウェル硬さ」の「R」と「M」は、スケールの違いを意味し、RスケールよりもMスケールの方が高硬度です。このような優れた機械的性質から、ABS樹脂は、家電製品や電気・電子製品、機械の部品などに用いられています。ABS樹脂の熱的性質ABS樹脂の熱的性質は、耐熱温度が66~110℃、脆くなって壊れやすくなる脆化温度が-20℃と、一般的な用途での使用範囲としては充分に良好です。しかし、他の汎用樹脂と比べて特に優れているわけではなく、下表に見られるように、ABS樹脂の耐熱温度は、ポリスチレン(PS)やポリ塩化ビニル(PVC)よりは高いものの、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)よりも低くなっています。<主要汎用樹脂の熱的性質>汎用樹脂の略称連続耐熱温度 (℃)熱変形温度 (℃)ABS66~11094~107高密度PE12143~54PP107~15052~60PS66~77~104硬質PVC66~7954~74参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社なお、上表の「熱変形温度」とは、18.5kg/cm2の荷重が加えられたときに変形が始まる温度のことです。ABS樹脂の腐食耐性耐薬品性について、ABS樹脂は、酸やアルカリ、塩類に耐性があります。しかし、強酸に対しては、これらが付着すると劣化してクラックなどが生じることがあります。溶剤には特に弱く、ケトンやエステル、塩素化炭化水素などの有機溶剤に接触すると溶解するので注意が必要です。一方、アルコールや炭化水素には不溶ですが、これらに長時間浸漬すると吸収して膨潤してしまいます。また、ABS樹脂は、紫外線の影響でブタジエン成分が酸化することから耐候性が低く、長時間直射日光に曝されると表面変色や光沢劣化が発生します。そのため、屋内で使用される家電製品や雑貨品などの材料には適しているものの、屋外での使用には向いていません。ただし、塗装を施したものや構成成分を変えて耐候性を高めたものの中には、十分に屋外使用に耐えうるABS樹脂が存在します。他の汎用樹脂と腐食耐性を比較したのが下表で、ABS樹脂の腐食耐性は汎用樹脂の中では低めです。<主要汎用樹脂の腐食耐性(数字が大きいほど耐薬品性が高い)>汎用樹脂の略称酸アルカリ塩類酸化(耐候性)有機溶剤ABS981044PE10101087PP10101087PS10101042硬質PVC10101095参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの耐薬品性」株式会社KDAABS樹脂の加工性加工性が良好であることもABS樹脂の特徴です。ABS樹脂は、流動性に優れるため、射出成形や押出成形、ブロー成形などの樹脂成形全般に適しており、薄肉品なども容易に成形できます(成形時の条件・性質は下表参照)。<ABS樹脂の樹脂成形時の性質>性質の項目 (単位)値圧縮成形温度 (℃)149~230射出成形温度 (℃)177~316成形収縮率 (%)0.3~0.8 参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社ABS樹脂は、その流動性の高さから、3Dプリンターの材料としても有用です。プリンターのノズルで詰まったり、固まったりすることはほとんどなく、プリントしやすい樹脂として頻繁に用いられています。切削加工や曲げ加工の加工性も良好で、溶接や溶着、接着なども可能です。めっきや塗装などの表面処理も適用可能で、印刷特性にも優れます。ABS樹脂へのめっき例としては、銅めっきや金めっき、クロムめっきが挙げられ、めっきが施されたABS樹脂は、自動車の内外装部品や様々な機器の筐体などに用いられています。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も参考:押出成形の仕組み・メリット・用途などを解説!参考:ブロー成形とは|特徴や仕組み、用途を解説!ABS樹脂の外観外観について、ABS樹脂の自然色は、光沢のある薄目のアイボリー色です。着色できる上、自然色に癖がないため、自由に色を着けることが可能です。光沢についても調節可能で、光沢を残すことも、艶を消してマットな質感にすることもできます。このABS樹脂の光沢を活かしたのが「ピアノブラック」と呼ばれる高級感のある色調です。ピアノブラックは、その名の通り、ピアノの高光沢の黒色のことで、家電製品の筐体や自動車の内装に採用されています。その鏡面のような仕上がりは、通常何層もの塗装とその研磨によって実現していますが、ABS樹脂を材料とする特殊な射出成形技術によっても実現可能です。ABS樹脂の電気的性質ABS樹脂は、電気絶縁性を示します。幅広い温度・湿度・周波数の範囲で良好な絶縁性を示し、誘電率も極めて低くなっています。ABS樹脂の燃焼性ABS樹脂は、可燃性です。とは言え、引火しやすいわけではなく、燃焼速度も速いわけではありませんが、ゴム臭を伴って煤を出しながら燃焼します。以上の特徴・性質は、ABS樹脂の成分比率や合成方法、ペレット(素材となる粒状の合成樹脂)のサイズによって変化します。一般的に、ABS樹脂を構成するアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの成分比率は、20:30:50となっており、この比率が異なると、性質も変わってきます。例えば、ブタジエンの比率が多いABS樹脂では、耐衝撃性が高くなりますが、強度や剛性、硬度、流動性、耐熱性は低くなります。一方で、ABS樹脂を販売している素材メーカーの多くは、成分比率や合成方法を公開しておらず、またデータシートなどに記載されている機械的性質などはメーカーによって異なります。従って、ABS樹脂を選定する際には、その違いを考慮する必要があります。ABS樹脂のメリット・デメリット以上のように、ABS樹脂は、様々な特徴がありますが、メリットとデメリットに分けてまとめると以下の通りです。メリット・機械的性質のバランスが良い・耐寒性に優れる上、耐熱性も比較的高いため、広い温度範囲で使用可能・耐薬品性を持ち、弱酸や弱アルカリ、塩類に強い・良好な電気絶縁性を示す・樹脂成形(射出成形・押出成形・ブロー成形・カレンダー成形など)に適している・多様な加工方法(切削加工・曲げ加工・溶接・溶着・接着など)にも対応している・表面処理(めっき・塗装など)の適用が可能・印刷特性が良好・自由な着色が可能・光沢の調整が可能・構成成分の比率を変えることで、性質の調整が可能・3Dプリンターの材料に使用可能デメリット・強酸や強アルカリに若干弱く、クラックなどの原因となる・有機溶剤に弱く、溶解する・アルコールや炭化水素を吸収し、膨潤する・紫外線に弱く、耐候性が低い・可燃性で、ゴム臭と煤を伴って燃焼するABS樹脂の種類ABS樹脂は、上述したように、構成成分の比率や合成方法などによって性質が大きく変わりますが、添加物を加えたり、構成成分を入れ替えたりすることでも、性能の向上や機能の付加を図ることが可能です。ここでは、そのような例をいくつかをご紹介します。強化ABS樹脂強化ABS樹脂は、主に機械的性質の向上を目的に繊維素材などを添加したABS樹脂です。ガラス繊維(Glass Fiber)を添加した「GF強化ABS樹脂」が最も多く採用されており、剛性強化や耐熱性向上を図ることができます。「CF強化ABS樹脂」と呼ばれる炭素繊維(Carbon Fiber)を添加したABS樹脂も存在し、強度や剛性、耐摩耗性を高める効果があるほか、軽量化が図れるという利点があります。そのほか、添加剤を加えて耐薬品性や耐候性を高めたものなど、様々な特性を強化したABS樹脂を素材メーカーは取り揃えています。αメチルスチレン系、フェニルマレイミド系αメチルスチレン系ABS樹脂とフェニルマレイミド系ABS樹脂は、ABS樹脂の耐熱性を高めたものです。αメチルスチレン系はスチレンをαメチルスチレンで代替したもの、フェニルマレイミド系はN-フェニルマレイミドを添加してスチレン成分に重合させたもので、フェニルマレイミド系の方が耐熱効果に優れます。ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂ASA樹脂、ACS樹脂およびAES樹脂は、ABS樹脂の弱点である耐候性を改善するため、紫外線に弱いブタジエンをそれぞれ別の成分に入れ替えて共重合させた合成樹脂のことです。ASA樹脂(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂)は、アクリルゴムにアクリロニトリルとスチレンを共重合させた合成樹脂です。耐候性や耐オゾン性に優れたアクリルゴムを用いることで、耐衝撃性を維持しつつ、耐候性の改善が図れます。ACS樹脂(アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン樹脂)は、ブタジエンの代わりに、耐候性や耐オゾン性、耐衝撃性に優れた塩素化ポリエチレンを用いた合成樹脂です。ABS樹脂よりも、優れた耐候性、耐帯電性および耐汚染性を示すほか、可燃性のABS樹脂とは異なり難燃性です, AES樹脂(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン樹脂)は、ブタジエンの代替としてエチレンプロピレンジエンゴムを共重合させた合成樹脂です。ABS樹脂に比べて、耐候性に勝りますが、熱的性質に若干劣ります。下表は、これらの樹脂とABS樹脂の違いをまとめたものです。<ASA樹脂・ACS樹脂・AES樹脂とABS樹脂との違い>樹脂の名称入替前成分入替後成分ABS樹脂に勝る特性ASA樹脂ブタジエンアクリルゴム耐候性ACS樹脂塩素化ポリエチレン耐候性, 難燃性, 耐帯電性, 耐汚染性AES樹脂エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)耐候性ABS樹脂の製品例ABS樹脂は、外観の良さとバランスの取れた機械的性質などから、以下のような様々な製品に用いられています。●家電製品…テレビ、エアコン、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、ポット、PC、ノートパソコン、デジタルカメラ、プリンター、ゲーム機など●自動車部品…メーターケース、カーナビフレーム、コンソールボックス、フロントグリル、ハンドルなど●建築部材…ドアや流し台、棚などの装飾部材(屋内用)、パイプなど●日用品…食器、トレー、密閉容器、スーツケース、キャリーケース、おもちゃ、スポーツ用品、家具、文具、楽器などABS樹脂とポリカーボネートとの性能の違いポリカーボネート(Poly Carbonate: PC)樹脂は、ABS樹脂と同じ熱可塑性樹脂の一つですが、汎用樹脂であるABS樹脂とは異なり、より高性能なエンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)に分類される合成樹脂です。ここでは、ポリカーボネート樹脂のABS樹脂との性能の違いについてご紹介します。参考:ポリカーボネート(PC)とは?加工方法と特徴外観の違いポリカーボネート樹脂の外観は、薄く色付いているABS樹脂とは違って、クリアな透明です。非常に透明性が高く、その透明度は光学機器に用いられるほどです。アクリル樹脂などと共に有機ガラスと呼ばれることがあります。機械的性質の違いポリカーボネート樹脂の機械的性質は、強度、剛性、硬度および靭性(耐衝撃性)の全てにおいてABS樹脂よりも優れています(下表参照)。特に、耐衝撃性は、汎用エンプラの中でも特に高く、銃弾の貫通を防ぐ防弾ガラスの材料にも使用されています。<ABS樹脂とPC樹脂の機械的性質の比較>汎用樹脂の略称ABSPC引張強さ(MPa)23~5564~66引張弾性率(MPa)1900~28002400圧縮強さ(MPa)45~5269~86曲げ強さ(MPa)66~9693衝撃強さ(J/m)75~640640~854ロックウェル硬さR100~120M70~72参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの物性」株式会社KDA熱的性質の違いポリカーボネート樹脂は、熱的性質にも優れており、-100~140℃の温度範囲で使用可能です。ABS樹脂も-20~110℃の温度範囲で使用できることから決して悪くはありませんが、ポリカーボネート樹脂には劣ります(下表参照)。なお、ポリカーボネートの使用可能温度範囲の下限は、脆化温度のー100℃です。<ABS樹脂とPC樹脂の熱的性質の比較>汎用樹脂の略称ABSPC連続耐熱温度 (℃)66~110120熱変形温度 (℃)94~107 130~140参照元:技術情報「プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)」華陽物産株式会社腐食耐性の違い耐薬品性について、ポリカーボネート樹脂は、酸とアルカリの双方に弱く、特にアルカリに対しては弱アルカリでも接触すると劣化します。この点、ABS樹脂の耐薬品性に劣っています。有機溶剤に対しても弱い特徴がありますが、これはABS樹脂も同様です。耐候性については、ABS樹脂よりは良好であるものの、紫外線による劣化は起こります。下表は、以上のポリカーボネート樹脂とABS樹脂の腐食耐性を数値化してまとめたものです。<ABS樹脂とPC樹脂の腐食耐性の比較(数字が大きいほど耐薬品性が高い)>汎用樹脂の略称ABSPC酸97アルカリ81塩類1010酸化 (耐候性)46有機溶剤43参照元:プラスチックの基礎「プラスチックの耐薬品性」株式会社KDA加工性の違いポリカーボネート樹脂は、ABS樹脂同様、樹脂成形加工と切削加工の加工性が良く、溶接にも適しています。ただし、曲げ加工については適用可能ですが、ABS樹脂ほど加工しやすいわけではありません。めっき方法も確立しており、塗装もABS樹脂と同様に可能です。燃焼性の違いそのほか、ポリカーボネート樹脂は、不燃性であるという利点があります。この点、可燃性のABS樹脂と比べると、使いやすい樹脂であると言えます。

  • PPS樹脂とは?性質、用途、メリット・デメリット

    PPSは、ガラス繊維などと合わせてプラスチック部品を形成する際に使用される結晶性樹脂です。成形時に充填する繊維の種類や配合など、組み合わせを変えることにより性能を強化することができます。完成された部品はスーパーエンジニアリングプラスチックという種類に分類されます。配合だけでなく、成形方法によっても特徴が変化するため、用途や目的に適したものを選ぶには、数ある特徴を正確に押さえておく必要があります。本記事ではPPSについて詳しくご紹介しますので、製品を考える際の参考にしてください。PPS樹脂とはPPS(ポリフェニレンサルファイド)は、融点が約280度、連続使用温度が220度という高い耐熱温度を持っている樹脂のことです。融点が高く、難燃剤を添加しなくても自己消化性に優れている他、高い耐薬品性や絶縁性など、さまざまな利点を兼ね備えています。PPSはベンゼンと硫黄の簡単な化学構造で構成された結晶性を持っており、ガラス繊維などの繊維状強化剤や無機質フィラーを充填させることで強度や性能を向上させて使用されます。PPSの用途PPSは、車やバイクなどのエンジン周りのパーツに欠かせない素材です。エンジンはガソリンなどの油を燃焼させ、そのエネルギーを動力としているため、稼働中は非常に高い温度環境に晒されます。PPS樹脂は200℃以上の高温環境下で連続使用できる耐熱性を兼ね備えている上、線膨張係数や寸法安定性にも優れています。しかも、金属より軽くコストも安いため、エンジンの部品として欠かせない素材となっています。PPSは絶縁性を持っていることから、コネクタやスイッチ、基盤やIC部品など、さまざまな電子部品やOA機器、家電製品などにも活用されています。特に、安全性を保つために高い耐熱性や成形性など、多くの性能を求められる電子レンジには欠かせない素材となっています。金属を使用できない検査機器や、酸・アルカリなど強い薬品への耐性が求められる機器などにも、寸法安定性や耐薬品性を兼ね備えているPPS樹脂が活躍します。また、医療器具に使用されている金属部品をプラスチックに置き換えることで、MRIに対応できるメリットがあります。プラスチックは金属に比べて軽い上にコストも安いため、医療機器の部品としてだけでなく、手術器具などにも使われ始め、注目が集まっています。PPSの長所・短所PPSにはさまざまな長所がありますが、もちろん短所もあります。それぞれについて詳しくご紹介します。長所●耐熱性200度を超える環境でも連続使用ができるため高温下での耐熱性能がフォーカスされがちですが、実は寒い環境にも耐性があり、約マイナス20度まで耐えることが可能です。●耐薬品性酸性、アルカリ性をはじめとする薬品に対して耐性を持っているほか、有機溶剤や油脂などさまざまな化学品への耐性があります。200度に近い高温環境下で有機溶剤や油脂を扱っても、耐熱性、耐薬品性共に高い抵抗力を維持することができます。●絶縁性PPSは誘電率、誘電正接共に低く周波数に対しても耐性がある、電気絶縁性の高い素材です。温度への耐性も含め、電子レンジやOA機器など、近年の電子機器に求められる条件を兼ね備えています。●耐久性PPSは部品に対して継続的に負荷がかけられる状況下でも極めて変形量が少ない特徴を持っています。そのため、クリープや応力緩和特性の試験においても良好な数値を示しています。●寸法安定性部品成型時の収縮率が小さく吸水性も低いため、さまざまな環境下でも製品が型崩れをしない高い寸法安定性を持っています。●材料異方性結晶性樹脂であるPPSは、ガラス繊維をはじめとする剛性の高い繊維で強化する際、繊維の性質に支配される高い材料異方性を持っています。そのため、繊維との配合によって強度や弾性率、伸びなどの機械的性質や、成形収縮率、線熱膨張、熱変形温度など、さまざまな性能を向上させることが可能です。短所●耐衝撃性耐久性の高いPPSですが、瞬間的な衝撃への耐性が低いため、落下する可能性がある機器などの素材には不向きです。●耐摩耗性熱耐性が強いためエンジンやブレーキなどの部品として選ばれやすい傾向にありますが、摩耗への耐性が低いため注意が必要です。PPSの機械的性質PPSはさまざまな温度下において引張強度や曲げ強度、高い剛性を維持することができます。ポリエチレンやポリスチレン、アクリルなど、さまざまなプラスチックの引張強度が高くても10kgf/㎟であるのに対し、PPSは無充填時で7.0kgf/㎟、グラスファイバーを40%充填することで16.4kgf/㎟という高い強度を示します。PPSの物理的性質結晶性を持つ材料のPPSは、無充填時でも密度が1.34g/㎤、グラスファイバー40%充填時では、1.64g/㎤となっています。溶融状態のベースポリマの密度が1.05g/㎤であることを考慮すると、極めて高い数値と言えます。結晶性を持ち、融点290度という高い耐熱性を兼ね備えていることから、熱処理のしやすい性質を持っています。

  • ポリプロピレン(PP樹脂)とは?特徴、用途、性質、メリット・デメリット

    今回は、ポリプロピレンの特徴や用途、機械的性質などについて解説します。ポリプロピレンは、合成樹脂(プラスチック)のなかでも「汎用樹脂」と呼ばれる材料の一種です。汎用樹脂は、主に日常でよく使われている家庭用品・雑貨・包装材料などに採用されています。そのなかでもポリプロピレンは、同じ汎用樹脂であるポリエチレンに次いで生産量が多く、幅広い用途で活用されている材料です。ポリプロピレンとポリエチレンは、似た性質を多く持ちますが、違いもいくつかあります。この記事では、ポリプロピレンとポリエチレンの違いについてもご紹介します。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリプロピレン(PP樹脂)とはポリプロピレン(PP樹脂)とは、炭素と水素からなる重合体(ポリマー)で、汎用樹脂の一種です。プラスチックのなかでも生産量が非常に多く、比重が0.9と軽量な材料です。製法も、射出成形・押出成形・ブロー成形・真空成形などと豊富で、大量生産に適しています。また、最新のテクノロジーである3Dプリンタの材料としても利用されています。参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も参考:押出成形の仕組み・メリット・用途などを解説!参考:ブロー成形とは|特徴や仕組み、用途を解説!参考:3Dプリンタとは?3Dプリンタの基礎を丁寧に解説!ポリプロピレンの特徴と用途ポリプロピレンは、熱可塑性樹脂であるため、熱を加えると変形する特徴を持ちます。反りが発生しやすい材料のため、ポリプロピレンの製品を作る際は、反りにくい形状に設計する必要があります。しかし、耐薬品性・耐摩耗性・耐衝撃性・軽量性に優れており丈夫で傷が付きにくい性質を持つことから、自動車部品や食品容器、医療機器などの幅広い分野で採用されています。また、低コストで量産が可能なので、家庭用品・雑貨・包装材料などにも使われています。ポリプロピレンのメリットとデメリットメリット●軽量性ポリプロピレンは、比重が0.9と軽量です。比重が1よりも低いことから、水に浮かぶほどの軽量性を有しています。そのため、製品の軽量化目的で採用されることがあります。●耐熱性ポリプロピレンは、熱可塑性樹脂のなかでも耐熱温度が高い傾向にあります。●耐薬品性ポリプロピレンは、薬品による影響を受けにくいため、科学機器や医薬機器などにも多く採用されています。●機械的強度に優れるポリプロピレンは、機械的強度に優れており、表面が硬くて耐摩耗性も良好です。●低コストで大量生産できるポリプロピレンは、切削加工や曲げ加工などの加工がしやすく、射出成形や押出成形などさまざまな製法に対応できます。金型を使った製造をすれば、低コストで大量生産が可能です。デメリット●耐候性に乏しいポリプロピレンは、一般的に紫外線に弱く、日光に当たると白くなってしまうので、屋外での使用には適していません。ただし、酸化防止剤などの添加剤を入れることで、改善が見込めます。●接着しにくいポリプロピレンは、接着性に乏しい特徴があります。表面を粗くするなどの下地処理を施すことで改善はされますが、金属を接着するほどの強度を得るのは難しいです。●印刷しにくいポリプロピレンは、そのままだと印刷が難しい材料です。印刷したい場合は、接着のときと同じく下地処理を施す必要があります。ポリプロピレンの機械的性質ポリプロピレンは多くのグレードが存在しており、グレードによって強度に幅があります。一般的なグレードにおける引張強度は30MPa程度です。そのほかの機械的性質については以下の表を参考にしてください。<ポリプロピレンの機械的性質>項目最小値最大値平均値標準偏差引張降伏応力 (MPa)    2641--引張破壊応力 (MPa)    ----引張弾性率(ヤング率)(MPa)60022001313336ポアソン比----曲げ強度 (MPa)254731.96.4曲げ弾性率 (MPa)    65023001291356圧縮永久歪(%)    ----シャルピー衝撃強度(kJ/m2)1667.87.4アイゾット衝撃強度(kJ/m2)----表面硬度6211089.111.2引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 ポリプロピレン樹脂(PP)の物性・用途・特性ポリプロピレンの熱的性質ポリプロピレンは熱に強い樹脂のため、ポリプロピレン製の耐熱容器は電子レンジにも対応できます。小さな荷重が加わる場合でも、製品の構造によりますが、100℃近い温度で連続して使うことができます。例えば、市販されているポリプロピレン製のパイプは、0.2MPaの圧力で耐熱温度は90℃です。<ポリプロピレンの熱的性質>項目最小値最大値平均値標準偏差ビカット軟化温度 (℃)110140119.210.5荷重たわみ温度 (℃)6512593.114.4線膨張係数:流動(×10-5/℃)----線膨張係数:直角(×10-5/℃)----引用元:機械設計エンジニアの基礎知識 ポリプロピレン樹脂(PP)の物性・用途・特性ポリプロピレンとポリエチレンの違いポリエチレンは、ポリプロピレンと同じく汎用樹脂の一種です。ポリプロピレンとポリエチレンは以下のような多くの共通点があります。●ポリプロピレンとポリエチレンの共通点・炭素と水素からなるポリマー・熱可塑性樹脂で射出成形・押出成形など、金型を使用した多くのプラスチック成形に対応しており、安いコストで大量生産が可能・絶縁体・比重が軽い(ポリプロピレン:0.9、ポリエチレン:0.95)・吸水率が低く、寸法安定性が良好・誘電率が低く、高周波材料として使われる。電子レンジで発熱しない・無臭、無毒一方で、ポリプロピレンとポリエチレンの違いについては以下の要素が挙げられます。●ポリプロピレンとポリエチレンの相違点・ポリプロピレンは硬く、ポリエチレンは柔らかい・耐候性はポリエチレンの方が優れる・耐熱温度はポリプロピレンの方が優れる・融点はポリプロピレンの方が高い・ポリプロピレンは無色透明に近いものができるが、ポリエチレンは白濁したもののみポリプロピレンとポリエチレンの特徴的な違いは、透明性や耐熱性です。内容物を確認したい場合や、滅菌処理をしたい場合などの違いで、それぞれの材料が使い分けられています。

  • PEEKとは?用途、種類、性質、メリット・デメリット

    今回は、PEEKの基礎知識について解説します。PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれる、熱可塑性樹脂の一種で、エンジニアリングプラスチックに比べて高い性能を有しています。多くのメリットを持つプラスチックであるため、安全性が求められる製品や、金属部品の代わりとして多く採用されています。この記事で、PEEKの特徴や用途などについて詳しく見てみましょう。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法PEEKとはPEEK(ピーク)とは、Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)と呼ばれる樹脂の略称で、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、あるいは芳香族ポリエーテルケトンと呼ばれるポリマー群の一種です。PAEKは、アリール基・エーテル基・ケトン基から構成されるポリマー群で、これらの官能基の組み合わせや配列などにより、さまざまな種類の樹脂が存在します。そのなかでもPEEKは豊富なメリットを持つため、PAEKの代表的な樹脂として採用されています。また、PEEKは、熱可塑性樹脂のスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に該当する樹脂で、スーパーエンプラのなかでも代表的な樹脂として扱われています。スーパーエンプラは、工業用として耐熱性や機械的強度を向上させていますが、PEEKは特に耐熱性や耐薬品性などに優れています。PEEKのメリットとデメリットメリット●耐熱性・耐高温性・耐加水分解性PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチックのなかでも、耐熱性・耐高温性・耐加水分解性が非常に優れた材料です。連続使用温度は250℃程度とされており、熱老朽にも強い特徴があります。耐熱水性にも優れており、200~250℃のスチームの中でも連続使用が可能です。そのためスチーム滅菌も可能で、短時間であれば300℃の高温にも耐えられる性能を有しています。●耐薬品性PEEKは、非常に優れた耐薬品性を有しています。多くの酸やアルカリ、有機溶媒に対して耐性があり、高温化でも耐えられるプラスチックです。ただし濃硫酸などの強酸には耐えられないので注意してください。●機械特性・クリープ特性・耐摩耗性PEEKは、広い温度範囲において高い強度と剛性を示し、機械特性にも優れたプラスチックです。強度については、ガラス繊維やカーボン繊維によって、さらに強化されます。また、クリープ特性や耐摩耗性にも優れており、金属の代替品としても活用されています。●耐放射線性熱加工性を持つ一般的な樹脂は、電磁波や放射線の影響により、脆くなる特徴があります。しかし、PEEKは科学的構造が安定しているため、電磁波や放射線のある環境下でも使うことが可能です。●難燃性PEEKは、難燃性の材料であるため、摩擦熱などの熱で燃える可能性が、他のプラスチックに比べて少ないです。また、燃焼時の発煙や腐食性ガス、有毒ガスなどが極めて少ないのもメリットです。デメリット●コストが高いPEEKは豊富なメリットを持ちますが、他のプラスチックに比べてコストが高いです。PEEKの用途PEEKは、豊富なメリットを持つことから、航空・宇宙・自動車産業、食品加工産業、医療分野、電子産業など、さまざまな業界で採用されています。金属の代替品として使われることもあり、自動車の性能向上や軽量化、コスト削減のために、金属部品の代わりとして多用されています。ギア・ワッシャー・ベアリングなどのパーツ類もPEEKにて製造が可能で、高温時でも優れた機械的性能や耐摩耗性、耐薬品性などを要する場合にPEEKが用いられます。PEEKの種類一般的にPEEKと呼ばれているものは、さまざまなグレードがあるうちのひとつである、基本グレードのことを指しています。ここでは基本グレードにさらに特性を付与した他のグレードについて、いくつかご紹介します。摺動グレード摺動グレードは、基本グレードに炭素繊維・グラファイト・四フッ化エチレン(PTFE)を充填したグレードで、基本グレードに比べて耐摩耗性や摺動性に優れています。用途としては、軸受やライナーなどの摺動部品に採用されています。ガラス繊維強化グレードガラス繊維強化グレードは、基本グレードに比べて高い剛性と耐クリープ性を持ちます。また、寸法安定性も良好です。主に静的荷重が長時間かかる場所に使用されています。カーボン繊維強化・導電グレードカーボン繊維強化・導電グレードは、ガラス繊維強化グレードに比べてより高い剛性を持つほか、機械的強度やクリープ性、耐摩耗性にも優れています。カーボン繊維を採用していることから、基本グレードに比べて約3.5倍高い熱伝導率も有しており、部品に発生した熱を素早く放散します。用途としては、静電気やほこりなどを嫌う環境で採用されています。PEEKの物理的・機械的性質<PEEKの物理的・機械的性質>比重引張強さ(MPa)破断時伸び(%)圧縮強さ(MPa)曲げ強さ(MPa)衝撃強さ (アイゾット ノッチ付)(J/m)1.371-10330-15012511085引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性<PEEKの熱的性質・成形時の性質・吸水性>線膨張率(×10-5/℃)荷重たわみ温度(1.81MPa)(℃)成形温度(射出成形)℃成形温度 (押出成形)℃吸水率 (24h)(重量%)4.0-4.7 (<150℃)160350-400350-3800.10-0.14引用元:株式会社KDA PEEK(ピーク)樹脂の物性物性表1 ※引用資料「プラスチック読本」(プラスチックス・エージ発行)

  • ポリアセタール樹脂(POM)種類・製法・特徴・加工方法

    ポリアセタール樹脂(POM)は、耐衝撃性や耐摩耗性、機械的性質に優れるプラスチック素材です。さまざまな生活用品や、家電製品、機械部品、自動車部品、配管部品、ハードウェア部品、電子部品、電気部品などに用いられており、私たちの生活には欠かせない素材の一つです。今回は、ポリアセタール樹脂(POM)について、種類・製法・特徴・加工方法など幅広い内容について解説します。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリアセタール樹脂(POM)とはポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene)の構造(-CH2O-)を持つポリマーであり、その略記号を用いてPOMと呼ばれています。ポリアセタール樹脂(POM)は、耐衝撃性や耐摩耗性に優れており、「エンジニアプラスチック(特に強度や耐熱性などの特性に優れるプラスチック)」に分類されます。このようなプラスチックは、プラスチックの最大の欠点である熱劣化性を改善した材料であり、金属の代替部品として幅広い用途に利用されています。ポリアセタールとジュラコンとデルリンの違いポリアセタール樹脂(POM)は、複数の会社で製造されており、それぞれ製品名が異なります。代表的な製品として、ポリプラスチックス社のジュラコン®(DURACON®) とデュポン社が開発したデルリン®(Delrin®) が挙げられます。この2つの製品の違いは、分子構造です。ジュラコン®はコポリマーであるのに対し、デルリン®(Delrin®)はホモポリマーと呼ばれる分子構造を持ちます。ポリアセタールの種類と製法前述した通り、ポリアセタール樹脂(POM)は、分子構造によってホモポリマーとコポリマーに分類されます。それぞれの構造について製法と合わせて、以下説明します。ホモポリマーホモポリマーの構造を持つポリアセタール樹脂(POM)は、上図のような分子構造を有します。ホモポリマーとは、モノマー(ポリマーを構成する化合物の単位)が一種類のポリマーを指します。ホルムアルデヒドを原料とし、重合を行って製造されます。コポリマーコポリマーの構造を持つポリアセタール樹脂(POM)は、上図のような分子構造を有します。コポリマーとは、二種類以上のモノマーから構成されるポリマーを指します。コポリマーは、ホルムアルデヒドから三量体であるトリオキサンを生成し、エチレンオキサイドなどのコモノマーとともに重合することで製造されます。ポリアセタールの特徴と用途ポリアセタール樹脂(POM)は、耐摩耗性、剛性や靭性などの機械的性質のほか、耐疲労性や耐クリープ性に優れる素材です。他にも、金属と比較して軽量な素材であることから、より軽い部品、製品の設計が可能となります。また、寸法安定性に優れ、精密部品への使用にも向いています。このような優れた特徴を有するポリアセタール樹脂(POM)は、金属に代わる素材として、さまざまな分野において採用されています。特に、耐久性が必要とされる部品に多用されています。●ポリアセタール樹脂(POM)の主な用途・ギヤ(歯車)やベアリング・生活用品(ファスナー、クリップ、文房具)・自動車部品(燃料ポンプ、ドアロック・ドアラッチ、シートベルトロック機構)・機械部品(半導体製造装置部品、電子機器部品、産業機械部品)・楽器(リコーダーや木管楽器など)ポリアセタールの長所ポリアセタール樹脂(POM)の優れた特徴についてご紹介します。耐衝撃性靭性が高いため衝撃への耐性に優れます。耐熱性耐熱温度は、ホモポリマー約85℃、コポリマー約105℃です。短時間であれば、150℃でも使用可能です。高温での使用のほか、低温耐性にも優れ零下40℃前後まで使用できます。耐薬品性薬品や溶剤への耐性に優れ、薬品による劣化の影響を受けにくい素材です。ただし、強酸には耐性がないため注意が必要です。寸法安定性寸法安定性に優れます。精密部品への使用にも最適です。耐摩耗性自己潤滑性が高い、つまり摩擦係数が極めて小さいためほとんど摩耗しません。ポリアセタール樹脂(POM)は、プラスチックの中でも特に耐摩耗性に優れる素材です。ポリアセタールの短所さまざまな優れた特徴を持つポリアセタール樹脂(POM)ですが、次のような短所もあります。難燃性ポリアセタール樹脂(POM)の分子構造には、酸素(O)が含まれます。そのため、酸化指数が高く燃えやすい材料であるため、注意が必要です。耐候性紫外線(UV)安定性が低く、屋外での使用など長時間紫外線にさらされるような環境においては素材が劣化し、色の変化や強度の低下などが発生します。そのため、屋外での使用には、安定剤やUV吸着剤などを含む製品を利用する必要があります。接着性接着性に優れず、塗装などを行うことが困難です。ただし、溶接は可能です。ポリアセタールの加工方法ポリアセタール(POM)の成形、接着・溶着の加工方法について、説明します。射出成形・ブロー成形ポリアセタール(POM)の主な成形加工方法として、射出成形とブロー成形が挙げられます。ポリアセタール(POM)は熱可塑性樹脂であるため、加熱によって軟化させ成形し、冷却して固化することができる素材で、成形加工性にも優れます。参考:射出成形の仕組みやメリットを解説!他の加工法との比較も接着と溶着前述した通り、ポリアセタール(POM)は接着性には優れません。通常の接着剤を使用しての接着は極めて困難であるため、ポリアセタール(POM)の接着には特殊な方法を用いる必要があります。一つ目の方法は、エッチングなどの表面加工を利用して、その後に接着剤を使用して接着する方法です。なお、エッチングとは化学薬品を利用して、化学反応による腐食作用によって、被加工物表面を溶解させる加工方法です。また、溶着を用いる方法も有効です。溶着とは樹脂などの非鉄金属を接合する技術です。この方法を用いれば、ポリアセタール(POM)の接着が可能です。参考:【エッチング加工とは?】価格や加工例、製造工程までご紹介!ポリアセタールとナイロンの比較と使い分けエンジニアプラスチックには、ポリアセタール樹脂(POM)のほかにもナイロンが挙げられます。ナイロンには、PA6(Polyamide 6)とPA66(Polyamide 6)が存在し、それぞれ6ナイロン、66ナイロンと呼ばれます。<6ナイロン><66ナイロン>上図に、6ナイロン、66ナイロンの分子構造を示しました。分子構造からわかる通り、ナイロン(ポリアミド系樹脂)はアミド結合(-CONH-)を有するポリマーです。ナイロンは、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性に優れるほか、高い靱性・引っ張り強度を示します。特に、ナイロンの融点は6ナイロンが225℃、66ナイロンが265℃と、ポリアセタール樹脂(POM)をはじめとするその他のプラスチックよりも、高い融点を示します。そのため、金型を使用してナイロンを成形する際には、温度の管理をより注意して行う必要があります。また、ナイロンは吸水性があり、寸法安定性が低いという特徴があります。そのため、精密部品の製作には、寸法安定性の高いポリアセタール樹脂(POM)の使用が適切です。

  • 塩ビ管(塩ビパイプ)種類・特徴・用途・規格まとめ

    今回は塩ビ管の種類や特徴、用途などについて解説します。塩ビ管とは、主に配管で使われている部材です。塩ビ管は、水道や下水道管などで流体を流すだけでなく、ケーブルを通す保護管としても採用されることがあります。塩ビ管は鉄製の管に比べて施工性・軽量性・経済性などに優れているのが特徴です。塩ビ管に使われている素材のポリ塩化ビニルは、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合させたプラスチックです。ポリ塩化ビニルは熱可塑性樹脂の一種で、五大汎用樹脂とも呼ばれています。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法塩ビ管(塩ビパイプ)とは塩ビ管とは、ポリ塩化ビニルでできた配管素材のことです。塩ビ管の正式名称は「硬質ポリ塩化ビニル管」で、通称「ポリ塩化ビニル・塩化ビニル樹脂」とも呼ばれています。塩ビ管は鉄製の管よりも流体の流れる抵抗が少なく、腐食にも強い特徴があります。軽量性にも優れており、取り扱いやすいのもポイントです。塩ビ管の素材であるポリ塩化ビニル(PVC)は合成樹脂(プラスチック)です。ポリ塩化ビニルは加工性に優れ、軟質から硬質まで幅広い成型品を製造できます。また、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・電気絶縁性・耐候性・難燃性・経済性など、多くの メリットがあります。一方で、耐熱性・耐衝撃性が低い点はデメリットです。参考:塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法塩ビ管(塩ビパイプ)の種類と色、用途塩ビ管は大きく分けてVP管とVU管があります。VP管は厚肉、VU管は薄肉の特徴があり、用途に合わせて使い分けられています。また、VP管には耐火性・耐衝撃性・耐熱性をそれぞれ向上した種類もラインナップしています。ここでは、各種類の特徴について解説します。塩ビ管の色が違う理由塩ビ管は種類ごとに色が異なります。一般的に、VU管とVP管はグレー、耐火VP管は緑色、HI管・HIVP管は黒色または濃紺色、HT管・HTVP管は赤茶色で分けられています。VU管(グレー)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはVU管は、VP管と比べて薄肉で、主に無圧管路に使用する塩ビ管です。低層住宅の排水系統や、埋設では自然流下用途(下水用・土木用・排水用)に採用されています。VU管は薄肉管なので、VP管と比べて重量が軽いメリットがありますが、圧力には弱く、中~高圧管路用には使用できません。VP管(グレー)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはVP管は、一般的に圧力用の上農水道埋設用・建築給水用に採用されています。そのほかにも集合住宅の排水・通気配管や浅埋設・深埋設の用途でも採用されます。VP管はVU管に比べて厚肉でたわみにくい特徴があります。また、内面が滑らかで摩擦抵抗が小さいことから、粘性の高い液体などが付着しにくく、排水効率に優れています。しかし、直射日光により、塩ビ管の表面温度が上昇すると、塩ビ管の裏側との温度差により反りが発生するので注意が必要です。耐火VP管(緑色) 引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは耐火VP管は、火災時の延焼を防止する塩ビ管です。主に集合住宅や店舗等の建物内の雑排水・汚水・雨水排水などの排水設備用として使われています。耐火VP管は、内層・中間層・外層の3層で構成されており、内層と外層は従来の硬質ポリ塩化ビニル樹脂を、中間層には耐火性硬質ポリ塩化ビニル樹脂を採用しています。また、VP管と寸法や性能が同等で、軽量性にも優れており施工が簡単に行えます。HI管・HIVP管(黒色) 引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはHI管(HIVP管)は、耐衝撃性能を向上させた塩ビ管です。主に寒冷地での使用や、施工時における、外部衝撃による破損を防止する場面に採用されています。従来の塩ビ管は、低温環境だと耐衝撃性が低下する傾向にありましたが、HI管は粘り強さがあることで、衝撃を吸収します。また、優れた可とう性を有しているほか、管軸・管側方向の荷重に対する接合部の信頼性も高く、地震に強い管路を構築できます。一方で高性能であることから、配管コストがかかる点はデメリットです。HT管・HTVP管(赤茶色)引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とはHT管(HTVP管)は、耐熱性を向上させた塩ビ管で、給湯配管、冷・暖房管、温泉配管などの用途に採用されています。HT管は熱伝導率が非常に小さい特徴があり、配管内部の流体の保温性に優れています。また、金属管とは異なり、錆びや腐食による水質悪化や電食、漏電事故などの心配もありません。しかし、高性能な塩ビ管のため、配管コストが増加します。塩ビ管の規格(サイズと太さ)塩ビ管のサイズ選びで見ておくべきポイントとして「呼び径」があります。呼び径は管の太さを表す呼称ですが、管の呼び径=管の外径というわけではありません。また、VP管に関しては呼び径と概略内径が近い値を示していますが、実際のところ呼び径は内径とも異なります。JIS規格では、塩ビ管は外径を基準寸法としており、外径から厚さを差し引いた分が内径になるので、内径の値は参考値となります。以下に、JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管の規格に記載されている、一部の呼び径を抜粋したものを参考として記載します。<VP・HIVP管の外径・厚さ・概略内径>呼び径外径厚さ参考基準寸法最小許容差概略内径1318.02.2+0.6131622.02.7162026.0202532.03.1+0.8253038.0314048.03.6405060.04.1516576.0677589.05.577引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管<VU管の外径・厚さ・概略内径>呼び径外径厚さ参考基準寸法最小許容差概略内径4048.01.8+0.4445060.0566576.02.2+0.6717589.02.783100114.03.1+0.8107125140.04.1131150165.05.1154200216.06.5+1.0202250267.07.8+1.2250引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管では、VP管(HIVP管)の呼び径は13~300まであります。一方でVU管は呼び径40~600まであります。上の2つの表を見比べると、VP管とVU管で同じ呼び径のものは、同じ外径の寸法を示していることが分かります。ただし、厚みの寸法はそれぞれで違うので、内径の寸法はVP管とVU管で異なります。

  • 塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法

    今回の記事では塩ビについての特徴・加工方法・用途などについて解説します。塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)は熱可塑性樹脂の一種で、五大汎用樹脂とも呼ばれるほど汎用性が高い材質です。用途としては、上下水道管や波板などの建築資材や、家具のレザーなどに採用されており、私たちの身近なところでも、比較的見かけることが多いでしょう。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法塩ビとは?塩ビとは、「塩化ビニル樹脂」または「ポリ塩化ビニル」の略称で、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合させたプラスチックの一種です。英語ではPVC(Poly Vinyl Cloride)と表記します。また、軟質PVCはソフトビニールやソフビとも呼ばれています。塩ビは、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・ポリスチレン(PS)と同じく、五大汎用樹脂に分類される材料です。性能はあまり高くないものの、安価で生産量が多い特徴があります。また、製造過程において可塑剤の添加量を調整することで、硬質・軟質の製品が得られるのも特徴です。塩ビは安価かつ大量に生産されているエチレンと塩素を原料としており、石油を原料とする他のプラスチック製品と比べて省資源で製造できます。ポリ塩化ビニルと塩化ビニルの違いモノマーである塩化ビニル(クロロエチレン)を、繰り返し結合したものをポリ塩化ビニルと呼びます。ポリ塩化ビニルの「ポリ」という言葉は、ポリマー(重合体)からきたもので、「たくさん」という意味があります。しかし、一般的に呼ばれている「塩ビ」は塩化ビニルではなく、ポリ塩化ビニルを指しているケースが多いので注意が必要です。軟質PVCと硬質PVC塩ビには「軟質PVC」と「硬質PVC」の2種類があります。軟質PVCは柔らかい素材で、多少厚みがあるものでも手で曲げられるほどの柔軟性があります。一方、硬質PVCは硬くて強度に優れています。これらの違いは硬さだけでなく、物性や機械的性質にも違いがあります。一例を挙げると、比重は軟質PVCで1.16~1.35、硬質PVCで1.30~1.58と値が異なります。引張強さにおいても軟質PVCは6.9~25MPa、硬質PVCは34~62MPaと大きく違いがあります。PVCの重合度(分子量)比較的小さな分子であるモノマーが、繰り返し結合したものをポリマーと呼びますが、この繰り返し結合した度合いのことを「重合度」と呼びます。PVCは以下の表のように、重合度を変えることでさまざまな用途に活用できます。<PVCの重合度の違いによる分類>平均重合度用途別分類150~400接着剤600~700硬質射出成型品700~800硬質フィルム、シート、ボトル1000硬質パイプ、一般軟質品、波板1300~1800軟質フィルム、電線被覆2000~4000パッキン、床材表面層引用元:ダイヤモンドホイール・ダイヤモンド砥石・CBN工具・CBN砥石と研削研磨の情報サイト ポリ塩化ビニル(PVC)の素材としての特徴|物性と用途、特性についてPVCは、クロロエチレンのみで重合したPVC-S(ストレートPVC)と、ほかの物質との共重合体であるPVC-Mがあります。PVC-Mには、プロピレンと塩ビとの共重合体、酢酸ビニルと塩ビとの共重合体などがあります。塩ビの特徴(長所と短所)ここでは主な塩ビの長所と短所についてご紹介します。塩ビの長所・耐薬品性:薬品に対しての耐性が強い。・耐酸性、耐アルカリ性:酸やアルカリに強い。・耐水性:水を通さない。・電気絶縁性:電気を通しにくい。・難燃性:酸素指数が45~49と高く、自己消火性樹脂に分類される。・耐久性:通常の使用環境下での経年劣化が少ない。・着色やプリント加工性:着色や柄のプリントが可能。・価格が安価:他の材質に比べて価格が安価。重量も重たくないので、運送費や管理費なども抑えられる。塩ビの短所(耐熱温度と融点)・耐熱性:塩ビの耐熱温度は60~80℃、融点は85~210℃程度と、耐熱性に乏しい。・耐衝撃性:他の五大汎用樹脂と比べて耐衝撃性に乏しい。特に低温環境だと衝撃値が低下する。塩ビの加工方法ここでは塩ビの加工方法として代表的なものである、押出成形・カレンダー成形・射出成形・熱成形・ディッピング加工・コーティング加工を解説します。押出成形押出成形は、押出機のなかに溶融した原料を入れ、口金から押し出して成形する加工方法です。パイプなどのように、断面形状がシンプルな形状の製品を作るのに適しています。口金の形状を変えることで、押し出される製品も形を変えられます。カレンダー成形カレンダー成形は、シートやフィルムなどの平らな製品を成形するのに活用される加工方法です。何本もある加熱したロールに、原料を通して圧延したあと、冷却ロールに通して厚みを調整し、材料を巻き取ることで、シートやフィルム状の塩ビを成形します。射出成形射出成形は、金型に溶融した原料を流し込んで固める成形方法です。立体的な製品を成形可能で、押し出し成形よりも複雑な形状を生産できます。製品のサイズも小さいものから大きなものまで対応が可能です。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!熱成形熱成形は、押出成形やカレンダー成形であらかじめ生産した板状の製品を加熱し、空気や気圧を利用して型の形に成形する加工方法です。型のなかにある空気を吸い取り、大気圧で型に押し付ける手法を「真空成形」、大気圧ではなく圧縮空気で金型に押し付ける手法を「圧空成形」と呼びます。ディッピング加工引用元:塩ビ工業・環境協会 塩ビ樹脂の配合・加工方法ディッピング加工は、ペンチなどの取っ手を保護するカバーのように、皮膜を形成する際に活用されている加工方法です。塩ビ樹脂溶液に皮膜を形成したいものを浸漬し、熱乾燥することで皮膜を形成できます。コーティング加工引用元:塩ビ工業・環境協会 塩ビ樹脂の配合・加工方法コーティング加工は、繊維材料などに樹脂溶液を塗布して熱乾燥処理する加工方法です。上図はドクターナイフ法と呼ばれる方式で、厚みの調節が自由に行えます。表面に凹凸の模様を入れるエンボス加工にも対応が可能です。塩ビの用途塩ビは耐久性・耐薬品性・電気絶縁性などに優れている特徴から、幅広い用途で採用されています。建築資材で使われることの多い材料のため、塩ビの取扱いがない方でも目にする機会は多くあります。軟質PVC硬質PVC床材壁紙家具や車などのレザー人工皮革テープ上下水道・電線管などのパイプや継手バルブ波板やプリント合板などの建築資材平板排水マス

  • ポリカーボネート(PC)とは?加工方法と特徴

    ポリカーボネートは「ポリカ」や「PC」とも呼ばれている、熱可塑性樹脂の一種です。優れた特性を多くもつことから、屋根材やパーテーションなどのさまざまな製品に採用されています。ポリカーボネートはDIYで人気のあるアクリルと同じ種類の材料ですが、特性に違いがあることをご存知でしょうか?この記事では、ポリカーボネートの特徴や用途、加工方法について解説します。ポリカーボネートとは?種類と特徴ポリカーボネートとは、熱可塑性樹脂である汎用エンプラの一種。「5大汎用エンプラ」と呼ばれるほど代表的な材料で、さまざまな用途で採用されています。ポリカーボネートの特徴は、高い透明性・耐衝撃性・耐久性・耐候性・自己消火性をもつ点にあります。また、プラスチックの基本的な成形方法である、射出成形・押出成形・真空成形・ブロー成形などに対応しているのもポイントです。一方で、有機溶剤や界面活性剤に弱いほか、キズが付きやすいといったデメリットがあります。また、アクリルと比べて、接着や熱曲げ加工には不向きです。これらの特徴から、ポリカーボネートは細かい加工を行うよりも、板状のまま使用することが多い材料です。DIYでも加工を行えるものの、アクリルに比べて加工性に劣る点に注意してください。参考:樹脂加工とは?素材の種類と加工方法ポリカーボネートの種類ポリカーボネートには、【平板・中空板・波板】の3種類があります。●平板平板は、アクリル板のような1枚板のタイプで、無色透明から色付きのモノ、すりガラスのような加工を施したモノと種類が豊富です。平板は汎用性が高く、パーテーションや看板、カーポートの屋根材など、幅広い用途で使われています。●中空板中空板は、段ボールのように板と板の間に空洞を設けているのが特徴です。空洞であることで高い断熱性と保温性を有しており、屋根材や保温室、ドアの採光などの用途に適しています。●波板波板は、断面が波をうったような形に成形されているのが特徴です。波状の形により、平板よりも高い強度をもちます。雨水が集まり流れ落ちやすくなるので、屋根材に使われることが多くあります。ポリカーボネートの用途ポリカーボネートは、透明性・耐衝撃性・耐久性・耐候性・自己消火性に優れていることから、幅広い用途で使われています。例えば、高い透明性と耐久性があることにより、DVD基盤やメガネのレンズによく採用されています。また、スマートフォンに内蔵されているカメラのレンズや、スマートフォン用のケースにもぴったりの材料です。ポリカーボネートは高い精度で作れるだけでなく、ひずみも少ないため、カメラよりも雑に扱われることの多いスマートフォンへの使用に適しています。ポリカーボネートは割れにくい特性もあるので、安全性が求められるパーテーションや、階段の腰板にもおすすめの材料です。ポリカーボネートの長所と短所ここではポリカーボネートの長所と短所について詳しく見てみましょう。ポリカーボネートの長所●透明性可視光線透過率80~90%というガラスやアクリルに近い透明性をもちます。●耐衝撃性ポリカーボネートは、ABS樹脂の5倍、ポリ塩化ビニル(PVC)の10倍、ポリエチレン(PE)やアクリル(PMMA)の50倍程度の耐衝撃性を有しています。これはプラスチックのなかでも非常に強く、ハンマーで叩いても壊れないほどです。●耐候性例えば、耐候性の低いポリエチレンなどの樹脂素材は、太陽光・紫外線・雨などの自然環境による影響で、屋外で使用しているとヒビが入ったり変形したりします。一方、ポリカーボネートは耐候性に優れているので、屋外で使用してもさまざまな自然環境に耐えられる性質をもちます。そのため屋根材や看板といった屋外で使用するモノにも適した材料です。●自己消火性ポリカーボネートは、自己消火性(火がついても燃え広がらずに自然に消火される特性)をもちます。プラスチックの自己消化性を判断する材料として代表的なものに、“UL94規格”と“JIS K 7201”の酸素指数(OI)があります。UL94規格では難燃性の違いによってUL94の後ろにさまざまな記号が付きますが、ポリカーボネートは“UL94 V-2”程度の値を示します。これは、2回(各10秒間)炎に接触させても、燃焼時間が30秒以下であることを示します。酸素指数は、数値が高いモノほど難燃性であることを示しますが、ポリカーボネートの酸素指数は24~25程度です。この数値は、材料が燃えるものの、自己消火性があることを示しています。ポリカーボネートの短所●有機溶剤・界面活性剤に弱いポリカーボネートは、有機溶剤・界面活性剤に弱い特徴があります。これらが付着した状態で放置していると、ヒビ割れや変形などを起こす場合があります。●キズがつきやすいポリカーボネートは耐久性に優れているものの、キズがつきやすい点はデメリットです。鉛筆の硬度だとHB程度のため、ブラシで擦るだけでもキズがついてしまいます。キズがつくと透明感が失われるほか、外観も悪くなってしまうので、美観性を求められる箇所にはポリカーボネートの使用は避けたほうがよいでしょう。●加工がアクリルに比べて難しいアクリルは、カッター切断や曲げ加工、溶剤接着が手軽に行えるため、DIYでも人気の材料です。一方でポリカーボネートは、これらの加工を行うのがアクリルに比べて難しい傾向にあるので、板状のまま使うことが多くなります。ポリカーボネートの加工ここではポリカーボネートの加工方法・工作例をご紹介します。ただし、ポリカーボネートはアクリルに比べて加工が難しい傾向にあるので取り扱いには注意が必要です。●切断加工ポリカーボネートは、アクリルカッターを用いて切断することができます。切断の際は板を固定した状態で行い、定規などをガイドにして加工してください。アクリルカッターで設けた溝が不十分だと、折るときに割れてしまう可能性があるので注意が必要です。●面取りポリカーボネートの端部は、何も処理を施していないと鋭利な状態になっているので、取り扱いに注意してください。端部に触れるような用途での使用の際は、糸面取りを行うようにしましょう。糸面取りは、プラスチック用カッターの刃の裏やスクレーパーの刃の側面を、擦るように端から端まで走らせることで角が取れます。●曲げ加工ポリカーボネートは棒ヒーターやヒートガンを用いて曲げられますが、細かい温度調節が求められるため難しい傾向にあります。●接着材料を溶かして接着する溶剤接着は、仕上がりが悪く、強度も損なうので避けてください。●ボルト固定ボルト固定の場合は下記の穴ピッチを参考にしてください。・板厚が3.0mm以下:10~20mm・板厚が3.0mm以上:20~30mm・押さえ板による固定:30~50mmボルト穴の寸法は、温度の変化により伸縮することを想定して、ボルト軸の径に対して2~4mm大きい径で開けましょう。縁にボルト穴を設ける場合は、板の縁から穴径の2.5倍以上内側に位置するようにしてください。●シーリングポリカーボネートのシーリングは、シリコン系アルコールタイプを使用します。アルコールタイプ以外のシーリング材を使用するとクラックが発生する場合があるので注意してください。

  • NO IMAGE

    鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など

    図1:鉄と鋼と鋳鉄の炭素量の違い 鉄と鋼と鋳鉄の違いは含まれる炭素量です。すべて鉄と炭素の合金である点は共通で、炭素の量のみが異なります。炭素の量が変わると、特に鉄が持つ強さの性能(「強度」と「硬度」)が変わります。素材鉄鋼鋳鉄炭素量(%)0.02%未満0.02~2.14%2.14%超※↑具体的数値については別の考え方もあります。炭素量が多い場合、材料の硬さが増します。硬さが増すほど、一定限度を超えた力が加わったときに折れやすくなるため、用途に応じて適切な素材を選択する必要があります。鉄と鋼と鋳鉄の違いは炭素量だけ鉄の炭素量はおよそ0.02%未満です。一般的に炭素量が多い金属ほど硬くなり、硬くなるほど脆くなるので、鉄は鋼・鋳鉄よりも強度が劣ります。鉄は酸化しやすく加工も難しいため、製品としてそのまま用いられることはほぼありません。基本的に、鉄は炭素量を0.02~2.1%に増やして強度を持たせ、「鋼」として活用します。私たちが普段の生活で使っている「鉄」は、ほとんどが正確には「鋼」です。図2:炭素量の違いで硬さと靭性が反比例する様子鉄・鋼・鋳鉄は、炭素量が増えるほど材料は硬くなり、強度が増しますが、粘り強さを表す「靭性」については、性能が落ちます。靭性が高いほど、材料は折れにくくなります。鉄と鋼は、鋳鉄と比較して炭素量が少ないため、硬さには劣りますが靭性に優れています。鋳鉄より厚みが薄くても、割れにくいのが特徴です。鋼製フライパン鋳鉄製フライパン靭性に優れる薄く成形できる軽い靭性に乏しい割れないように厚みあり重い表面がざらざらしてる場合あり例えば、家庭で使われているフライパンにはプレス加工で作った鋼製のものや、鋳鉄製のものがあります。プレス加工で作った鋼製は、鋳鉄製と比べて靭性に優れているため、薄く成形が可能で重量も軽くなります。一方、鋳鉄製は靭性に乏しいため、割れないように厚みを持たせており、重量も重たくなります。JISによる鉄と鋼と鋳鉄の違いと分類図3:JISによる鉄と鋼と鋳鉄の分類 鉄と鋼と鋳鉄の鉄鋼材料は、性能や規格の種類分類がJISによって定められています。JISの「鉄」は「鋳鉄」を指しています。鉄と鋳鉄の製法の違いと見分け方(1)製法の違い鋳鉄と鉄の違いは炭素量だけではなく、製法にもあります。鋳鉄は、銑鉄・鉄スクラップ・戻り材などの材料を、「キュポラ」と呼ばれる溶解炉などに溶かして作られます。銑鉄は、コークスと鉄鉱石を高炉で溶かしてできたもので、鉄を作るのにも必要な材料です。溶かした鋳鉄は、鋳型に流し込み、冷やし固めることで製品化されます。①高炉 鉄鉱石を溶解・還元②溶銑予備処理 酸素・石灰を加えて不純物除去③転炉 炭素を取り除いて溶鋼へ④二次精錬 不純物を除去しより品質高める⑤連続鋳造設備 鋼片(スラブ・ビームプランク・ブルーム)を作る鉄は、銑鉄から酸素や石灰を加えて硫黄やリンなどの不純物を除去し、酸素を加えて炭素を低減させることにより作られます。これらを取り除く過程で溶かした鉄は、圧延しやすい鋼片(スラブ・ビームブランク・ブルーム)に生成されます。鋼片から圧延や鍛造がされ、鋼管・形鋼・鋼板が作られて市場に出回ります。圧延・鍛造ではなく、鋳造で作られた鋼のことを「鋳鋼」と呼びます。特徴鋳鉄製品・溶かした金属を鋳型に入れ、冷やして凝固し成形・「鋳肌」や「ゆず肌」・厚みが必要鉄製品・鍛造・切削・溶接によって成形・薄くできる鋳鉄製品と鉄製品は、成形の仕方で見分けることができます。鋳鉄品は溶かした金属を鋳型に入れた後、冷やして凝固させ成形しています。鉄製品は、鍛造・切削・溶接により成形しています。鋳鉄は、鋳型から取り出して表面を加工していない「鋳放し」のものだと、表面の仕上がりがざらざらしている場合があります。「鋳肌」や「ゆず肌」と呼ばれ、砂型による造形で起こりうるものです。(2)肉厚の違い鉄と鋳鉄は、肉厚にも大きな違いがあります。鉄は炭素量が少なく粘り強さがあるため、薄肉の形状のものを作ることができます。鋳鉄は粘り強さに欠けるほか、鋳型のなかに溶けた金属を充填させる必要があり、どうしても肉厚が必要です。肉厚が薄いと、鋳型に溶けた金属が回りきらず、成形不良を起こしてしまいます。鉄の種類と炭素量の違い(1)SS材SS材は「一般構造用圧延鋼材」ともいい、建築関係や土木業界で多く使用されている材料です。SS材は、JIS規格によると、SS330・400・490・540の4種類が規定されています。化学成分は、リンと硫黄の含有量が0.05%以内と定められていますが、SS540のみ炭素が0.3%以下、マンガン1.6%以下の条件も加わります。SSの後ろにつく数字は、最低保障されている引っ張り強さを表しています。SS400で例を挙げると、引っ張り強さが400~510N/mm2です。SS材のなかでもSS400は、平鋼・棒鋼・形鋼などで多く流通しており、価格も安価なのが特徴です。(2)炭素鋼鋼材S-C系(SC材)炭素鋼鋼材S-C系は「機械構造用炭素鋼材」といい、一般的に「SC材」とも呼ばれています。SC材はJIS規格で20種類以上の種類がありますが、最も多く使用されている素材は「S45C」です。SとCの間に入る2桁の数字は炭素の含有量を示します。S45Cは、0.45%前後の炭素を含むという意味です。SC材は、SS材に比べて硬度と強度があります。加工性や溶接性にも優れている分、価格も高めです。SS材とSC材の選び方として、硬度や強度などを求める場合はSC材、コストを抑えたい場合はSS材を選ぶのがおすすめです。参考:鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い図4:「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い 「鋳物」と「鉄・鋼・鋳鉄」との違いは、素材か製品かという点です。鋳物は金属を流し込んで作られた"製品"で、鉄・鋼・鋳鉄は"素材"です。鋳物とは、作りたい製品と同じ空隙を持つ鋳型に溶けた金属を流し込み、冷やし固めてできた製品を指します。冷え固まった製品は、鋳型を分解して取り出したのち、不要な注ぎ口のカットや仕上げ工程などを行って製品化されます。鋳物で使われる鉄系素材鋳物で使われる鉄系素材鋳鋼鋳鉄炭素量0.02~2.1%炭素量2.1~6.67%普通鋼鋳鋼特殊鋼鋳鋼球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)CV黒鉛鋳鉄片状黒鉛鋳鉄白鋳鉄鋳物で使われる鉄系素材は、大きく分けて「鋳鋼」と「鋳鉄」に分類されます。炭素量に違いがあり、鋳鋼は炭素量が0.02~2.1%、鋳鉄は炭素量が2.1~6.67%程度含まれています。鉄と比べて炭素量が多いです。(1)鋳鋼鋳鋼は鋳造で用いられる鋼で、鍛造では作りにくい複雑な形状かつ、鋳鉄だとすぐに壊れてしまうような製品に対して利用されます。鋳鋼には大きく分けて「炭素鋼鋳鋼」と「合金鋼鋳鋼」の2種類があります。図6:炭素鋼鋳鋼の炭素含有量による分類 炭素鋼鋳鋼は、炭素C以外の元素を合金元素として含まない鋳鋼で、電動機部品や車両部品に活用されています。炭素の含有量が0.2%以下を「低炭素鋼」、0.2~0.5%は「中炭素鋼」、0.5%以上は「高炭素鋼」に分類されます。炭素量が多いほど強度が増して靭性が落ちるため、バランスを見て適切な鋳鋼を選ぶ必要があります。合金鋼鋳鋼は、マンガンMn、クロムCr、モリブデンMoなどを添加し、耐食性・耐熱性・耐摩耗性を向上させた鋳鋼です。合金鋼鋳鋼は、主に機械部品・化学工業用ポンプ・キャタピラで活用されています。(2)鋳鉄引用元:日之出水道機器株式会社鋳鉄は、鋳鋼よりも融点が下がり、低い温度で溶解できるのが特徴です。炭素を多く含んでいることから、黒鉛を晶出します。鋳物の冷却速度や合金成分によって黒鉛の形状は変化し、より高い強度や靭性(粘り強さ)を持たせることも可能です。a. 球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)「球状黒鉛鋳鉄」は「ダクタイル鋳鉄」とも呼ばれ、強度がありながらも、靭性に優れています。球状黒鉛鋳鉄は、強度の高さから自動車部品・水道管・車道用マンホール蓋に多く採用されている材料です。b. 片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)「片状黒鉛鋳鉄」は「ねずみ鋳鉄」とも呼ばれ、硬さはあるものの、球状黒鉛鋳鉄に比べると伸びがなく、脆いのが特徴です。片状黒鉛鋳鉄は、歩道用マンホール蓋で採用されるなど、球状黒鉛鋳鉄ほど強度を必要としない場合に活用されます。鉄と鋳物の使い分け方とメリット・デメリット鋳物メリット・複雑な形状でも量産可能・硬さ必要&複雑形状の場合、コスト抑えられる・厚み・リブを設けることで簡単に強度を増せるデメリット・製品ごとに鋳型が必要で仕様変更に弱い・鋳型の初期費用掛かる・厚み・寸法精度出せない鋳物は、複雑な形状をした製品でも量産が可能な点がメリットです。車のエンジン部品やマンホール蓋のような、硬さが必要かつ複雑な成形が求められる場合だと、鉄よりも鋳物のほうがコストを抑えられます。しかし、製品ごとに専用の型を用意する必要があるため、仕様変更があった際に融通が利きにくいほか、イニシャルコストもかかる点はデメリットです。鋳物の原型は、基本的に上型と下型用で別々に用意する必要があるほか、中空がある製品の場合、それを設けるための「中子」も用意しなければなりません。鋳造するうえで成形不良を起こさないために、製品に厚みを持たせる必要もあります。鉄系の鋳物は、製品が冷え固まる際に収縮するため、寸法精度が出しにくい点もデメリットです。もし、寸法精度が求められる場合は2次加工により精度を出す必要があります。鉄メリット・薄い製品作れる・寸法精度が安定するデメリット・強度が欲しい箇所には補強部品を別途追加して接合しないといけない鉄は、フライパンのような薄い製品を作る場合や、高い精度を求める場合におすすめです。鉄は粘り強さがあるほか、板金加工やプレス加工による成形により、肉厚が薄い製品でも製作できます。鋳造では鋳物が冷えて固まる際に製品が収縮するなど製品不良を起こす心配がありますが、鉄製品であればこれらの心配はなく、強度や寸法を安定して出せるのがポイントです。鉄のデメリットは、製品に強度を持たせたい場合に補強部品を追加する必要があることです。鋳物だと、簡単に強度が欲しい箇所へ厚みやリブなどを設けられますが、鉄の場合は別途部品を用意して接合しなければなりません。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらの製法が適切か選択する必要があります。① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く!  ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積もりを取得!金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の登録工場の中からご要望に沿った工場が探しやすく、お見積りは、複数社から直接届きます。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!

  • NO IMAGE

    【愛媛でアルミ加工を依頼するなら】愛媛の加工メーカー7選

    アルミ加工は、鉄やステンレスと比較すると対応している工場が少ないことから、アルミ加工業者を選定することは簡単ではありません。また、単にアルミ加工と言っても板金加工や溶接加工、切削加工などの多様な加工法があり、工場によってはご要望に合った加工法に対応していない場合もあります。今回の記事では、愛媛県でアルミ加工に強みを持つ業者を7社ご紹介します。得意な加工法も合わせてまとめています。株式会社松南工業(愛媛県松山市)アルミ加工対応!短納期・小ロット・中量数が得意引用元:株式会社松南工業①会社概要本社:愛媛県松山市上野町甲207番地2号TEL:089-968-1330FAX:089-968-1331設立:平成24年11月加工:切削、溶接、曲げ、ワイヤー放電、レーザー、プレス、ショットブラスト など素材:ステンレス、アルミ などHP:https://www.syounan.ne.jp/②会社の紹介松南工業は、精密部品加工の高度な専門性を持つ金属加工業者です。マシニングセンタやNC旋盤を駆使した切削加工に強みがあり、アルミ加工を得意としています。縦型・横型マシニングセンタやNC旋盤、複合加工機といった切削加工機を20台以上も保有。切削加工に関する機動力のある生産体制を整備し、短納期を実現しています。半導体・液晶や自動機、食品関連、車両関係などの装置部品に多数の実績があります。板金加工や溶接、これらを組み合わせた製缶加工も請け負っており、真空容器や配管などの製造にも対応。さらに、治具の設計・製作も承っています。複雑な形状の製品や精密性が要求される製品の製作におすすめの業者です。建築分野など、同社の専門性から遠い分野のご依頼は、製品により対応できない可能性があります。また、小・中ロット生産品を主に扱っていますので、量産品を依頼する際は、事前に確認してください。③製品紹介マシニングセンタ加工品引用元:株式会社松南工業NC旋盤加工品引用元:株式会社松南工業アルミ加工品引用元:株式会社松南工業株式会社カンテツ(愛媛県今治市)船用製品をメインにしたアルミ加工総合メーカー引用元:株式会社カンテツ①会社概要本社:愛媛県今治市高部甲356-2TEL:0898-41-8105FAX:0898-43-0794創業:1945年加工:板金、溶接 など素材:アルミ、ステンレス、鉄 などHP:http://www.kantetu.jp/②会社の紹介カンテツは、アルミをはじめとする非鉄金属加工を主要事業とする船舶艤装品メーカーです。船舶や港湾で用いられる機器・設備などを設計・製造しています。主力製品は、アルミ製のウォークラダー(歩み板)で、ボルトやシャフトなどにはステンレスを使用し、耐食性の強化を図っています。トロール船用やコンテナ船用、車椅子対応タイプなど、様々なタイプのウォークラダーを用意。オーダーメイドにも対応しています。そのほか、船舶・港湾で使用されるはしごや角度可変式の階段、ゴンドラ、各種作業台、台車なども提供。さらに、海上保安庁・自衛隊やマリーナ向けの渡橋・浮桟橋・連結橋などの製作実績があります。上述した様々な製品や関連した製品の特注品などもご提供できますが、専門性の強いメーカーです。製品分野の異なる製品には対応できない可能性がありますので、事前にご確認ください。③製品紹介全天候型ウォークラダー可変式階段門扉付連結橋株式会社フラスコ(愛媛県西条市)アルミにも対応可!持続可能な社会実現を意識したものづくり引用元:株式会社フラスコ①会社概要本社:愛媛県西条市飯岡字岸之上3743番2TEL:0897-56-7482FAX:0897-56-6534創業:昭和48年1月加工:切削、ワイヤー放電、研削、プラズマ切断、溶接 など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅、チタン、ニッケル、ジルコニウム、タングステン、樹脂 などHP:https://s-frasco.com/②会社の紹介フラスコは、精密加工や難削材加工に強みを持つ切削加工業者です。5軸マシニングセンタや5軸複合旋盤など、最新の切削加工機を多数保有。自由自在な切削加工により複雑形状の加工や精密性の高い製品を提供しています。また近年、インド支社を開設して業務を拡大。さらに、研究機関から依頼された研究用材料などの加工も請け負い、技術の高度化を図っています。ステンレス・チタンなどの難削材やタングステンなどの超硬素材に対する加工技術を持ち、数百にも及ぶ素材に対応。高度な切削加工技術を生かした、ジェラルミンなどのアルミ合金の加工、アルミの極薄加工や微細加工にも定評があります。省力化自動機や真空関連機器部品、半導体製造装置部品など、産業用製造装置の精密部品に豊富な実績があり、高い品質が要求される製品分野を開拓してきました。ただし、切削加工に特化した加工業者であり、板金加工設備は保有していません。製品によっては、対応できない可能性がありますので、事前にご確認ください。③製品紹介特殊樹脂製品用金型の部品アルミ円盤SUS316F製の熱交換器の管板(多数の管を取り付ける板)株式会社続木鉄工所(愛媛県新追浜市)アルミ配管・特殊溶接を伴う加工に対応!引用元:株式会社続木鉄工所①会社概要本社:愛媛県新居浜市西原町3丁目3番37号TEL:0897-33-7141FAX:0897-37-2334創業:昭和22年4月加工:切断、曲げ、ロール、研磨、穴あけ、旋盤、溶接、塗装 など素材:アルミ、ステンレス、鉄 などHP:http://tzk-iw.com/②会社の紹介続木鉄工所は、大型製缶やアルミ配管の製作・加工に強みを持つ金属加工業者です。各種プラント設備の建設・メンテナンス事業を手掛け、プラント設備に必要なタンクや配管などの製造はもちろん、施工・メンテンスも一括して請け負っています。大型の製缶加工が可能な広い工場と設備を保有しており、大型の圧力容器やサイロ、ステンレス製タンクなどの製作に豊富な実績があります。また、配管については、プラント配管のみならず、アルミ配管やサニタリー配管など、各種配管の製造にも対応。配管工事も受け付けており、現場において必要となる手作業での溶接技術にも定評があります。特に、難易度の高いアルミの完全溶け込み溶接は、高い評価を受けています。これらの事業と並行して、研磨事業も展開。主力製品である大型製缶品のバフ研磨を自社で行うことで、コストダウンや納期短縮を実現しています。独自の電解研磨技術も確立しており、大型のステンレスタンクなどもムラなく鏡面仕上げにすることが可能です。製鉄や製紙の関連設備、水処理・浄化設備、半導体・医療産業関連設備など、幅広い分野の工業・産業設備の製品製造や施工を行っている業者です。ただし、切削加工が可能な設備はほとんど保有していませんので、小型の機械部品などの製造には対応できない可能性があります。ご依頼前にご確認ください。③製品紹介SUS304製食品タンクSUS316L製薬品タンク現場溶接したアルミ配管ツウテック株式会社(愛媛県東温市)アルミなどを使用した精密機械部品加工が得意引用元:ツウテック株式会社①会社概要本社:愛媛県東温市則之内甲208番地1TEL:089-966-4040FAX:089-966-4047設立:1990年4月加工:切削、ワイヤー放電、研削、ショットブラスト など素材:アルミ、ステンレス、銅、鉄、チタン、モリブデン、樹脂 などHP:http://two-teq.com/index.html②会社の紹介ツウテックは、精密切削加工に強みを持つ精密加工の専門業者です。航空宇宙や半導体、通信、医療関連など、微細かつ高精度、高難易度の加工技術を要求される分野において多数の実績があります。多種多様なマシニングセンタやNC/CNC旋盤、複合加工機を保有。さらには、実加工精度が±1μm以下という微細加工の専門機も駆使し、ミクロンレベルの穴ピッチや平面度要求が高い薄物加工など、あらゆる微細・精密加工のニーズに対応しています。また、お客様がご使用の産業機械や製造装置などの部品及び消耗部品の製作も請け負っています。製作図面がない場合でも、サンプル部品をお借りできれば、図面を製作し、部品を納入することが可能です。大手メーカー製品の部品でも、コストダウンや納期短縮の実績があります。ただし、精密切削加工に特化した業者ですので、板金加工や溶接が必要となる製品など、専門から離れた加工には対応できない可能性があります。必要な加工方法が分からない場合もあるかと思いますので、事前にご相談ください。③製品紹介トロブ工業(愛媛県松山市)アルミやステンレス、鉄の製缶をメインに対応引用元:トロブ工業①会社概要本社:愛媛県松山市堀江町甲194-2TEL/FAX:089-978-6835加工:切断、曲げ、穴あけ、旋盤、溶接 など素材:鉄、ステンレス、アルミ などHP:https://www.torobu.com/②会社の紹介トロブ工業は、アルミやステンレス、鉄の製缶加工を主要事業としている金属加工業者です。溶接加工に強みがあり、歪みを抑制した溶接や薄板に対する溶接なども可能です。特に、溶接歪みの抑制技術に自信があり、歪みを修正するための研磨にかかるコストや工数の削減を実現しています。機械加工にも対応しており、切削加工が必要となる機械部品などの製作も依頼することが可能です。また、鉄製のエクステリアや家具の製作事業も展開。門扉や柵、棚やテーブル、椅子などの製作を請け負うと共に、金属製家具のある住まいのプロデュースも行っています。なお、ご依頼は、小ロットからでも可能で、短納期のご要望にも可能な限り応えています。幅広い加工方法に対応していますが、板金加工や溶接を中心に行っている業者です。高度な切削加工技術を要する精密機械部品の製造などには対応できない可能性があるので、事前にご相談ください。③製品紹介グランドピアノの移動器具(はこべー)グランドピアノの移動器具(GPキャリー)コンベアフレーム株式会社ミヤタニ(愛媛県松山市)アルミ加工も対応可!医療用部品がメイン引用元:株式会社ミヤタニ①会社概要本社:愛媛県松山市和気町1-446-6TEL:089-979-3794FAX:089-979-3798創業:1993年加工:切削、研削 など素材:鉄、ステンレス、アルミ などHP:http://miyatani-medical.jp/index.html②会社の紹介ミヤタニは、アルミやステンレスの加工に強みを持ち、精密部品加工を主要事業としている業者です。特に、アルミの小物部品の製作を得意としています。自動機や自転車、医療機器の部品製作に豊富な実績がありますが、近年は医療用部品・医療機器の製造に注力。整形外科手術で用いられる機器など、医療現場のニーズから開発した医療機器を製造・販売しています。試作開発や少量生産などのご依頼に対応しています。ただし、小規模な事業者であるため、場合によっては大量生産品の製造には対応できない可能性があります。事前にご確認ください。③製品紹介引用元:愛媛ものづくり企業『スゴ技』データベースケイエム採骨器エムジーソーブレードエムケー開創器愛媛のアルミ加工依頼ならMitsuri愛媛のアルミ加工業者を7社ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。アルミ加工に強みを持つ業者と言っても、製缶加工が得意であったり、精密・微細加工に優れていたりと、業者によって様々です。また、業者によっては、取り扱っている製品分野が特化しており、分野が異なる製品の加工には対応できないこともあります。これらの点に注意すると共に、疑問があれば問い合わせるなどして確認することをおすすめします。Mitsuriでは優れたアルミ加工技術を持つ全国各地の業者とお付き合いがあります。協力企業は250社以上ありますので、製品分野が近く、ご要望に沿った加工法を得意とする加工業者をご紹介できます。お見積りは複数社可能です。下の赤いボタンからお気軽にお問い合わせください。