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切削加工

  • 切削油(クーラント液)の種類、成分、メリット・デメリット

    金属加工の現場では、金属を削る、切断する、など、さまざまな加工が実施されます。そして、その際に「切削油」と呼ばれる油が使用されます。切削機や加工機を使用する際、ドリルやフライスに放出されている切削油。「水ではダメなの?」「何のために放出されているの?」など、疑問に思われている方も少なくないはず。そこで、今回は切削油について詳しくご紹介します。切削油(クーラント液)とは切削油とは、フライス盤や旋盤など、金属にさまざまな加工を施したい時、ドリルに対して放出される液体のことです。主に、切削時の摩擦を抑えたり、工作物の熱を奪い、熱を冷ましたりする効果を持っています。切削時に発生する切り屑を洗い流す効果もあり、加工時に起きる不具合や不良品の発生を軽減させる効果を担っています。切削油(クーラント液)を使用するメリットとデメリット切削時に水ではなく油を利用するのは、より精度の高い製品を制作するため。一般的には「水溶性」と「不水溶性」の2種類に大別され、それぞれに異なるメリット・デメリットがあり、目的・用途に合わせて使用されています。メリット切削油を使用するメリットは下記の通りです。・切削時の摩擦熱を軽減させ、品質向上と工具の摩耗を軽減させる・切削物との摩擦を減らし、加工面の品質を向上させる・切削時に発生する切り屑を洗い流し、スムーズに切削ができる・加工物の仕上げ面がよりきめ細やかで美しくなる・機械と素材の動作が円滑に行われるため生産性が向上する切削油は主に「潤滑作用」「冷却効果」「品質向上」を目的に使用されます。使用することで切削された金属の品質が向上し、機械の動きもスムーズになります。結果的に「生産性が向上し、機械の寿命を引き延ばす」効果を持ち合わせています。デメリット切削の理想はドライな状態での加工と言われています。なぜなら、潤滑油を使用するデメリットがあるからです。例えば、油によって金属に悪影響を及ぼすケースもあり、すべての金属に対して有用というわけではありません。素材によって変色や錆の原因となる可能性がある点もそのひとつです。さらに、切削油の飛散による作業効率の低下や環境的な問題などもあります。水溶性切削油の種類水溶性切削油は一般的に水道水を使って10倍~80倍に希釈して使用します。濃すぎると金属に付着した油による影響が懸念され、逆に薄すぎると水による錆などの原因となるため、適量に薄めて使用する必要があります。水溶性切削油は冷却性に優れている他、切削時の熱や火花から引火する危険性がなく、無人による作業の自動化が期待できます。エマルション(A1種)エマルションは10~30倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと乳白色になります。水と油、界面活性剤から成り、水溶性切削油の中で最も潤滑性が高い切削油です。鉄やアルミ、銅など、切削加工全般に使用されています。ソリューブル(A2種)ソリューブルは10~50倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと半透明、もしくは透明になります。エマルションに比べて洗浄性や冷却性が高く、潤滑性は劣ります。ソリューション(A3種)ソリューションは30~80倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと透明になります。浸透性と冷却性に優れている一方、潤滑性がなく、被切削物に対するダメージや肌荒れが起こりやすい油種となっています。不水溶性切削油の種類不水溶性切削は鉱油や脂肪油を主成分としています。水溶性に比べて冷却性は劣りますが、潤滑性や防錆性に優れており、切れ味の良さや、工具の寿命、加工面の品質向上が期待できます。また、使用する油によって粘度が異なりますが、一般的に低粘度のものほど浸透性に優れており、隙間に浸透し、潤滑や冷却に高い効果を発揮します。油種は大きく分けて4種類に大別されますが、すべてに引火の危険性があり、消防法によるところの「危険物」に該当します。そのため管理・使用には法律に基づいた予防措置が必要になります。油性形(N1種)油性形は鉱物と脂肪油を主成分とし、切削時に局部の焼き付きや切削性の向上を目的に使用される、極圧添加剤を含まないタイプです。非鉄金属の加工や鋳鉄の切削加工に多く用いられます。不活性極圧形(N2種)N1種の成分に極圧添加剤を含み、銅板腐食が150℃で2未満のものが該当します。不水溶性切削油の中で最もスタンダードなタイプで、一般的な切削加工に幅広く用いられています。不活性極圧形(N3種)N1種の成分に極圧添加剤として硫黄分を含み、銅板腐食が150℃で2以上のものが該当します。耐溶着効果が高く、仕上げ面を得られやすいため、難素材の加工に多く選ばれます。ただし、硫黄によって変色する金属もあるため使用には注意が必要です。活性極圧形(N4種)N1種の成分に極圧添加剤として必ず硫黄分を含み、銅板腐食が100℃で3以上のものが該当します。タップ加工やリーマ加工、ブローチ加工をはじめとする低速加工に多く用いられ、難素材の加工に適しています。

  • ボール盤とは?構造、種類、フライス盤との違い

    ボール盤は、様々な素材の穴あけを主要機能とする工作機械です。旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどと同じく、切削加工を行うための機械で、機械に取り付けた切削工具によって材料を削り出すことで加工を行います。金属・樹脂の加工工場や部品工場には、必ずと言ってもいいほど設置されている機械で、材木の成形加工を行う製材所などでも用いられています。他の工作機械と比べると安価で、DIYで使用できるような卓上のものもあります。この記事では、ボール盤とは何かというところから、その構造や種類、ボール盤で実行できる加工方法や使用されているドリルについて解説していきます。フライス盤や旋盤との違いについても触れているので、参考にしてください。ボール盤とはボール盤とは、木材や樹脂材、金属材などに対して、穴あけ加工や中ぐり加工、リーマ加工などを施すことで、材料の不要部分を除去し、材料を所定の形状に成形するための工作機械のことです。主にツイストドリルやセンタードリル、リーディングドリルなどの各種ドリルを装着して使用しますが、以下のような切削工具も用いられます。・リーマ…穴の形状を整えたり、内面を仕上げたりするための切削工具・タップ…穴の内面にネジ山を刻む(雌ネジを切る)ための切削工具・中ぐりバイト…穴の径を拡張するための切削工具・カウンターシンク…面取りやバリ取り、皿モミを行うための切削工具・面取りカッター…面取りやバリ取り、皿モミのほか、センタリングや穴あけも可能な切削工具・ホールカッター(ホールソー)…板材に大口径の貫通した穴をあけるための切削工具参考:【面取りカッター】種類、材質、サイズ、角度ボール盤では、工作物を固定し、回転する切削工具を工作物に向けて垂直に下ろすことで加工を行います。ボール盤は、高精度の穴を容易にあけることができる機械ですが、安全に十分配慮しないと怪我などに繋がりやすいというデメリットもあります。ボール盤の構造と各部の名称引用元:機械工学事典 > 生産加工・工作機械「ボール盤」一般社団法人日本機械学会ボール盤の基本的な構造は、上図のようになっています。ボール盤は、大まかに、主軸やモーターなどを備える主軸頭、工作物を固定するテーブル、主軸頭とテーブルを支えるコラム、コラムを支えるベースから構成されています。主軸頭主軸頭は、ドリルの回転軸となる主軸とその動力源となるモーター、回転数や回転力(トルク)を変えるプーリー、動力をモーターから主軸に伝達するベルト、主軸を操作するハンドルを備え持つ部位のことです。上図における、右上の樽状のものがモーター、主軸とモーターの上に位置するベルトが掛けられているものがプーリーです。●ドリルドリルは、穴あけを行うための切削工具です。ボール盤では、鉛直軸周りの回転運動を与えられ、鉛直方向に送られて工作物に接触し、工作物を削ります。●ドリルチャックドリルチャックは、主軸に取り付けられて、ドリルのシャンク(柄部)を掴んで保持し、主軸の回転運動をドリルに伝える保持器具です。ただし、主軸の取り付け口の形状によっては、主軸とドリルチャックとの間にアーバーと呼ばれる接続器具を挟むことがあります(下図参照)。引用元:ビルディマガジン > ツール「卓上ボール盤の特長・選び方とおすすめ機種を分かりやすく解説」ビルディ株式会社●主軸主軸は、ドリルを回転させるための軸のことです。スピンドルとも呼ばれます。参考:スピンドルとは?構造、原理、種類、用途●ベルト…モーターで生成された動力を主軸に伝達するためのシームレスな帯状部品です。通常は安全のため、下図のようにベルトカバーで覆われています。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校●プーリープーリーは、ベルトを掛ける滑車として働き、モーターから主軸への動力の伝達を補助する部品です。また、ボール盤のプーリーは、直径が異なる複数の円盤が連なっており、ベルトを異なる直径の円盤に掛け替えることで、自動車のトランスミッションのように、軸の回転速度を変更することができます(下図参照)。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校ベルトの掛け替えは、主軸の回転数を変更する度に必要となり、非常に手間が掛かる作業です。そのため、動力をベルトではなく、歯車で伝達しているものもあり、そのようなボール盤であれば、レバーを引くなどの簡単な操作で主軸の回転速度の変更が可能です。また、インバータによってモーターに供給する電力の周波数を制御して、モーターの回転数を連続的に制御できるようにしたボール盤もあります。それならば、稼働中でも主軸の回転数変更が可能となるため、作業時間の大幅な短縮に繋がります。●ハンドルハンドルは、主軸の上下への送りを操作するためのもので、手動でドリルを鉛直方向に送る手送りと一定の送り速度でドリルを鉛直方向に送る自動送りの双方を行うことができます。テーブルテーブルは、工作物を固定する台となるもので、通常、バイス(万力)やクランプが備え付けられています。参考:バイス(万力)種類・材質・用途テーブル自体を上下、または左右に移動させるハンドルが備わっており、ハンドル操作によって、テーブルを鉛直方向に動かしたり、コラムを中心に回転させたりすることができます(下図参照)。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校コラムコラムは、ベースの上に垂直に固定された機械を構成する柱で、主軸頭とテーブルを支える役割を持ちます。ベースベースは、直接的にはコラムを支える、機械全体の土台となる構成部品です。アンカーボルトでコンクリート地面に直接固定したり、ボルトで重量のある台座に固定したりします。ボール盤の種類ボール盤には、様々な種類があります。DIYで使えるような小型のものから、大物の加工に向いたもの、流れ作業に適したものなど、工作物の形状やサイズ、作業場の状況などに応じて、適したものを選定する必要があります。ここでは、代表的なボール盤の種類についてご説明します。直立ボール盤引用元:機械工学事典 > 生産加工・工作機械「直立ボール盤」一般社団法人日本機械学会直立ボール盤は、主軸が上下のみに動く、コンクリート床に直接据え付けたり、大型の台座に固定したりして用いるボール盤です(上図参照)。工場などでよく用いられているボール盤で、単にボール盤と言う場合は直立ボール盤のことを指します。直立ボール盤は、主軸の水平位置が固定されているため、工作物そのものや工作物を固定するテーブルを動かして加工する際の位置決めを行います。そのため、比較的小形の工作物の加工に適しています。また、テーブルは、加工作業時には固定しますが、上下方向だけでなく、水平方向に移動可能なものやコラムを中心に水平回転が可能なもの、傾斜可能なものなどがあります。ラジアルボール盤引用元:製品情報 > 工作機械部門「ラジアルボール盤シリーズ」大鳥機工株式会社ラジアルボール盤は、主軸が鉛直方向だけでなく、水平面内でも自由に移動可能なボール盤です。テーブルがなく、ベースがテーブルの代わりとなって工作物を固定することになりますが、主軸の自由度が高いため、工作物を動かすことなく、複数箇所を加工できます。ラジアルボール盤の主軸頭は、コラムを中心に旋回するアームに取り付けられており、アームに沿った移動も可能です。そのため、アームの届く範囲内であれば、主軸を水平面内の任意の位置に配置することができます。ラジアルボール盤は、主に大型、または重量のある工作物の加工に用いられます。卓上ボール盤引用元:電動工具 > 締付・穴あけ・ハツリ > 卓上ボール盤「TB-1131K」京セラインダストリアルツールズ株式会社卓上ボール盤は、ベンチドリルとも呼ばれる、作業台の上に設置して使用する小型のボール盤です。基本的な構造は直立ボール盤と同様で、主軸が上下にのみ動き、前後左右には動かないため、工作物やテーブルを動かして位置決めをして加工を行います。小型である分、工作物を固定するテーブルも小さく、小型・軽量である製品の製作やDIYなどに用いられています。多軸ボール盤引用元:多軸ボール盤・タップ盤「小型多軸ボール盤・タップ盤シリーズ」東洋精機工業株式会社多軸ボール盤は、一つの主軸頭に複数の主軸を備え持つ、同時に複数箇所の加工が可能なボール盤です。主軸頭内で主軸の配置を変化できるようになっています。主に8~12軸程度のものが使用されていますが、30以上の軸を持つものもあります。大量生産に向いており、複数箇所の穴あけを大量の材料に適用する場合などに効果的です。ただし、多数ある主軸の配置変更には時間が掛かるため、少量多品種生産には適していません。汎用の機種は少なく、特定の製品の専用機として製造され、生産ラインの特定の作業に用いられることが多いボール盤です。多頭ボール盤引用元:India | suppliers | manufacturers | Machinery「Gang Drilling Machine」Eifco Machine Tools多軸ボール盤は、多軸ボール盤と対照的に、一つの主軸を持つ複数の主軸頭を備えたボール盤です。複数の主軸頭で共通のテーブルを使用し、一つの工作物を各主軸頭の直下に順次動かしていくことで、穴あけやねじ切り、座ぐりなど、複数種類の加工を順番に実行できるようにしています。深穴ボール盤引用元:「ガンドリル加工とBTA加工の違い」株式会社不二新製作所深穴ボール盤は、他種のボール盤よりも狭く深い穴を加工する場合に用いられるボール盤です。深穴加工機やガンドリルマシンとも呼ばれ、もともとは、小銃や猟銃などの銃身の穴あけのために開発された工作機械です。ガンドリルやBTA工具と呼ばれる専用工具を使用し、ドリルを横に向け、ドリルの先端に空いた穴から切削油を供給しながら深穴加工を行います(上図参照)。深穴加工とは、穴の深さが直径の10倍を超える穴あけ加工のことですが、近年では、口径0.5mm以下の穴でも深さが50mm(0.5mmの100倍)程度まで加工可能なガンドリルが数多く登場しています。精度の要求が高いシリンダーやスピンドル、自動車のクランクシャフトなどにおいて深穴加工の需要は多く、深穴加工機は、自動車や航空機、情報家電などの薄型化・軽量化が進む部品の加工などでも用いられるようになっています。タレットボール盤引用元:Product list > Machining Center「Self-Unit V6: #30 Turret/Vertical Compact Machining Unit」SUGINO MACHINE LIMITEDタレットボール盤は、複数の切削工具を取り付けられるタレットと呼ばれる回転式の刃物台を備え持つボール盤です。タレットに複数種の工具を予め装着しておくことで、工具交換に掛かる時間を短縮することができます。例えば、タレットにドリルとタップ、面取りカッターを装着しておけば、穴あけ加工、ねじ切り加工、穴の面取り加工を連続的に実行できます。NCボール盤NCボール盤は、NC(数値制御)によって自動的に穴あけ加工などを実行できるボール盤です。最近では、コンピュータを通してNCの設定が可能なCNCボール盤も存在します。NCボール盤では、加工穴の位置や深さなどを予めプログラムしておくことで、自動的な加工が可能となります。主軸の移動もプログラムすることが可能であることから、複数箇所の連続的な加工も自動化できます。自動送り装置と組み合わせれば、ボール盤による加工を完全に自動化した生産ラインの一工程とすることも可能です。量産化や工数削減などによるコスト低減のほか、作業員の怪我防止や品質の安定化などのメリットがあります。しかし、導入費用が高かったり、NCのプログラム技術や加工ノウハウが必要となったりするなどのデメリットもあります。ボール盤でできる加工ボール盤は、主軸に装着する切削工具を交換することで、多様な加工が可能です。ここでは、ボール盤でできる代表的な加工方法についてご紹介します。穴あけ加工穴あけ加工は、ドリルによって円筒形状の穴をあけるという、ボール盤の最も基本的な加工方法です。貫通させる場合(通り穴・貫通穴)もあれば、設定した深さで止める場合(止まり穴)もあります。通常、側面の溝にねじれがあるツイストドリル(上図参照)が用いられます。穴あけ加工は通常、以下の手順で行います。1. 穴のセンタリング(位置決め)を行う2. 下穴をあける(ドリルによる穴あけ加工)3. 穴の用途に応じて、下穴へ中ぐり加工やリーマ加工、ねじ切り加工、座ぐり加工などを施す穴あけ加工の前に、まず、実行されるのが穴の中心に窪みなどの位置決め穴をあけるセンタリングです。センタリングは、センターポンチなどのケガキ工具やセンタードリル・リーディングドリルなどの切削工具を用いて行われます。位置決め穴をあける理由は、加工穴の精度確保のためでもありますが、位置決め穴がないとドリルの先端がブレて中心がズレてしまうことがあるからです。ただし、近年、ドリルの性能が向上したことにより、位置決め穴がなくても、十分な精度の穴あけ加工が可能となっています。しかし、高精度な穴あけ加工が要求されている場合には、やはりセンタリングが必須です。センタリングの後、ドリルを使用して穴をあけます。しかし、ドリルによってあけられる穴の口径は限られます。また、ドリルによる加工穴は、加工面が粗く、精度も十分ではありません。そのため、穴の用途に応じて、さらに中ぐりやリーマなどの加工が施されます。リーマ加工引用元:工具の通販モノタロウ > 切削工具の基礎講座「6-4リーマ」株式会社MonotaRO(ものたろう)リーマ加工は、穴の寸法精度を高めたり、穴の内面を滑らかに仕上げたりするために、ドリルであけた穴の内側を薄く削る加工方法です(上図参照)。リーマと呼ばれる切削工具が用いられます。リーマ加工の前にあけた下穴は、リーマの直径から0.1mm~1.0mm程度小さい口径としますが、ドリル径が足りない場合は、リーマ加工の前に中ぐり加工を施して口径を広げます。リーマは、円筒形状の切れ刃などを備えた本体にシャンクが付いたような構造をしており、円筒側面の先端から、切れ刃、切れ刃に続いてマージンと呼ばれる部位があります。切れ刃は穴の内面を削って寸法精度を高め、マージンは穴の内面を潰すことで表面を滑らかにする役割を担います。リーマ加工は、精密性を要する作業であるため、主軸の振れやチャックのガタツキなどに注意する必要があります。工作物の水平が取れているかを確認することも重要です。参考:リーマー(リーマ)の種類、サイズ、下穴径と深さ、ドリルとの違いねじ切り加工引用元:製品情報 > タッピンねじ > タップレス「ITM」イワタボルト株式会社ねじ切り加工は、ドリルであけた穴の内側に、タップと呼ばれる切削工具で、ボルトなどを通すための雌ネジのネジ山を形成する加工方法です。タップ立てやタッピングとも呼ばれます。タップは、上図中央図に見られるように、側面にネジ山のような鋭利な山が連続的に連なった構造を持ちます。ポイントタップなどの通り穴用とスパイラルタップなどの止まり穴用があり、止まり穴用には、切り屑を排出するための溝があります。ボール盤でねじ切り加工を行う場合、穴に形成するネジ山の間隔が決まっているので、自動送りによってタップを送ってねじ切りを行います。ボール盤をタップと工作物の固定具にして、手動でねじ切りを行うこともあります。その場合、まず、タップハンドルと呼ばれる手動工具にタップを取り付け、タップはボール盤に固定された工作物の下穴に合わせます。次に、ボール盤の主軸にセンタと呼ばれる支持具を取り付け、センタをタップの柄のセンタ穴に合わせてタップを保持します(下図参照)。この状態でタップハンドルを回しながらセンタを手動で下方に送ると、タップの曲がりを心配することなく、ねじ切りを行うことができます。引用元:工具の通販モノタロウ > 加工現場の手仕上げ作業の勘どころ「8-2タップおよびダイスによるねじ立て作業」株式会社MonotaRO(ものたろう)中ぐり加工引用元:工具の通販モノタロウ > 切削工具の基礎講座「6-4リーマ」株式会社MonotaRO(ものたろう)中ぐり加工は、ドリルであけた穴をさらにくり抜いて内径を削り広げる加工方法です。中ぐりバイトと呼ばれる切削工具が用いられます(上図参照)。中ぐりバイトは、上図のような構造で、先端に備えた超硬合金などから成るチップによって穴の内面を削り出します。チップは通常、交換が可能となっています。中ぐり加工を止まり穴に適用する場合、切り屑が内部に溜まりやすく、切り屑によって穴の内面がキズつきやすくなっています。定期的に加工を止め、切り屑を排出する必要があります。また、工具が穴の底に強く当たると、欠けなどの原因となるので、穴の深さに余裕を設けるか、工具をゆっくり送るようにしましょう。座ぐり加工座ぐり加工は、座ぐり穴を形成するための加工方法です。座ぐりとは、ネジやボルトを締めたとき、それらの頭部が工作物表面の下に沈み込むように、ネジ穴の周辺を凹形状に加工することです。そのネジ穴の周囲にあけた穴が座ぐり穴で、上図に見られるような、座ぐりカッターや後述する座ぐりドリルと呼ばれる特殊なドリルで形成されます。座ぐり穴にネジ・ボルトを締めると、工作物表面のネジ頭部による出っ張りがなくなり、表面は平らな仕上がりとなります。それによって、美観が良好になるほか、製品をキズつけたり、作業員が引っ掛けたりすることもなくなります。参考:ザグリの基礎!キリとの違いや関係性、深ザグリについて解説!ボール盤で使われるドリルの種類ボール盤では、様々な種類のドリルが用いられ、ドリルを使い分けることで、多様な形状の穴の加工を実現しています。ここでは、上記でも触れたツイストドリルと座ぐりドリル、センタードリルについて説明します。ツイストドリルツイストドリルは、側面の溝にねじれがある、上図のようなドリルのことです。単にドリルと言う場合、ツイストドリルを指します。溝のねじれは、ドリルの先端で生じた切り屑をシャンク側に送る役割があり、穴あけ加工の際には、このねじれた溝を通って切り屑が排出されます。また、ねじれは、先端の切れ刃と繋がっており、切れ刃の傾きでもあります。つまり、ねじれ角(下図参照)が大きいほど、切れ刃が鋭利になるとともに、より鋭い角度で工作物表面に入ることになります。それにより、切れ味が良くなって、その結果、切削抵抗も小さくなります。しかし、切れ刃の強度は低下するため、切れ刃に欠けやチッピングが起こりやすくなります。溝にねじれがない直刃ドリルと呼ばれるものもあります。直刃ドリルは、ツイストドリルに比べて、切れ味は劣りますが、切れ刃の強度は高く、硬い素材の加工や傾斜に対する穴あけ加工に用いられます。上述したように、ドリルによる穴あけ加工の前には、穴の中心に窪みなどを付けることが推奨されますが、その理由の一つに、ドリルの先端にあるチゼルエッジと呼ばれる切れ刃のない部位の存在が挙げられます(下図左図参照)。チゼルエッジはドリルの剛性を左右するウェブ(ドリルの芯)が先端に表出したものですが、最近のドリルでは、このチゼルエッジを切れ刃に加工するシンニングが施されているドリルがあります(下図右図参照)。このシンニングによって、ドリルは穴あけ開始時の工作物表面への食い付きが良くなり、場合によっては位置決めの窪みも不要となります。引用元:ダウンロード > メールマガジン「2021年1月号 (第181号)」オーエスジー株式会社座ぐりドリル座ぐりドリルは、穴あけ加工と座ぐり加工を同時に実行できる、上図のようなドリルのことです。その寸法は、ネジやドリルの規格に合わせたものがほとんどであり、先に付いているドリルの直径はネジ・ボルトの呼び径より少し小さく、中央の座ぐり刃の直径はネジ・ボルトの外径より少し大きくなっています。ただし、ネジ・ドリルを締めるには、さらにタップによるねじ切り加工が必要です。センタードリルセンタードリルは、先端に細いドリル、その細いドリルに続いて、さらに円錐状のドリルを備え持つ、上図のようなドリルのことです。センター穴と呼ばれる、工作物の端の中心にあけられる、センターを差し込んで工作物を支持するための穴の加工に用いられます。センター穴加工以外にも、先端のドリルのみでセンタリングや薄板の穴あけ加工を行ったり、円錐状のドリルで穴の面取り加工(下図参照)を行ったりと多様な使い方ができるドリルです。特に、センタードリルは剛性が高いため、位置決めの窪みなしでも工作物表面を滑ってしまうことが少なく、穴あけのセンタリングに有効です。また、センタードリルの円錐状のドリルは、60°や75°、90°の角度を持ちますが、90°のものであれば、皿頭ネジの頭部の角度(90°)と一致するため、センタードリルを皿モミ加工に使用することができるでしょう。フライス盤・旋盤との違いボール盤とフライス盤、旋盤は、共に材料を削り出して所要の形状に成形する切削加工を行うための工作機械です。しかし、ボール盤とフライス盤が転削加工を行うための機械である一方、旋盤は、旋削加工を行うための機械であるという違いがあります。・転削加工…回転させた工具を固定した材料に当てることで、材料を削り出す加工方法。・旋削加工…回転させた材料に固定した工具を当て、工具の位置を送り装置で調節することで、材料を削り出す加工方法。転削加工を行うための加工機械であるボール盤とフライス盤ですが、これらの機械は、加工するときの工具の送り方向が異なります。ボール盤は、水平面内で工具の位置を合わせた後、工具を鉛直下方に送ることで加工します。その一方、フライス盤は、3次元空間内で工具の位置を合わせた後、工具を前後、左右、及び上下に送ることで加工します。つまり、フライス盤は、ボール盤の機能を兼ねることが可能です。しかし、フライス盤では、ボール盤のように、材料をペンチで掴んで穴あけをするといった手軽な取り扱いはできず、工具を手動で大きく(速く)送るようなこともできません。また、ボール盤に比べて、工具交換に時間が掛かります。つまり、穴あけ加工を実行するならば、ボール盤の方がフライス盤より効率的であるということです。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!以上で述べたことにそのほかの情報を加えて、ボール盤とフライス盤、旋盤の違いをまとめると下表のようになります。ボール盤フライス盤旋盤加工方法転削転削旋削工具の送り方向上下前後左右上下前後左右材料の動作固定固定軸を中心に回転使用工具各種ドリルリーマタップ中ぐりバイトカウンターシンク面取りカッター正面フライス溝フライス平フライス側フライスエンドミルドリルサイドカッター片刃バイト剣バイト突切りバイトねじ切りバイト中ぐりバイトドリル実行可能な加工方法穴あけ加工リーマ加工ねじ切り加工中ぐり加工座ぐり加工外形加工側面加工曲面加工溝加工段差加工穴あけ加工中ぐり加工外径加工内径加工端面加工ねじ切り加工穴あけ加工突切り加工テーパー加工精密性普通とする高い高い

  • 【ステンレスの切削加工】工具選定や切削条件、加工時のポイント

    今回はステンレスの種類・特徴や切削加工時の工具選定などのポイントについて解説します。ステンレスはサビにくく、強度も備えた材料です。その優れた性質から、さまざまな用途で採用されています。しかし難削材とも呼ばれる材料で、被削性に乏しい特徴もあります。ステンレスの鋼種はJIS規格に記載されているものだけでも豊富にあるほか、メーカーによっては独自で開発した鋼種まであります。鋼種の違いによって特性に違いがあり、それぞれに適した用途で使い分けられます。ステンレスの切削加工が難しいと言われる理由ステンレスは耐食性や強度に優れている一方で、難削材とも言われる鋼材です。その理由は、一般的な鋼に比べて熱伝導性が低いことと、加工硬化が発生しやすい点にあります。熱伝導性が低いと切削加工を行った際に刃先に熱が集中し、切粉が逃げにくくなります。また、熱が溜まった刃物は破損しやすくなってしまいます。加工硬化とは、金属に負荷をかけると金属が硬くなる現象のことで、ステンレスの切削加工においては、適切な刃物や切削条件を選ぶ必要があります。参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介!ステンレスの切削加工の工具選定ステンレスを切削する際の工具材質は、耐摩耗性に優れたコーティング付き超硬合金製のものが有効です。工具の形状については、エンドミルの場合、強ねじれ刃が熱による負担を軽減できます。剛性があり、刃にかかる負担が少ない多刃やポジティブすくい角などの形状も効果的です。ドリルで穴あけ加工を行う場合は、ねじれ角が途中で変化したデュアルリードドリルが有効です。デュアルリードドリルを用いることで、切粉の排出性と剛性を両立できます。ステンレスを切削加工する際のポイントステンレスは切削加工で一定以上の負荷がかかると硬化してしまう特性があるので、温度が高くなりすぎないようにクーラントを必要とします。クーラントは切削箇所にエアーを供給するので十分ですが、仕上げ切削では、切れ刃の逃げ面側にオイルミストを供給すると、逃げ面の摩耗を抑えられ、切削面精度と工具寿命の向上が期待できます。エンドミルでステンレスを切削加工する際は、切込み量を少なめ、送り量(mm/刃)を多く設定するのがポイントです。ステンレスの種類と特徴オーステナイト系オーステナイト系のステンレスは、18クロム-8ニッケルのSUS304が代表的です。延性と靭性に優れており、深絞りや曲げ加工などの冷間加工性や溶接性も良好です。耐食性にも優れた材料なので、幅広い用途で採用されています。製造量は全ステンレスのなかでも多く、薄板・厚板・棒・管・線など、形状も全般的にラインナップされています。オーステナイト系ステンレスの切削加工については、粘り気があり、加工硬化を起こしやすいことから適していません。参考:オーステナイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめフェライト系フェライト系のステンレスは、18クロム系のSUS430が代表的です。熱処理により硬化することが少なく、主に焼なまし状態で使われています。マルテンサイト系よりも成形加工性・耐食性が優れており、溶接性も乏しくないことから、厨房用品や建築内装、自動車部品などの一般耐食用として採用されています。形状は主に薄板や線がラインナップされています。フェライト系ステンレスの切削加工は、オーステナイト系に比べて加工硬化しにくく、加工変態(オーステナイトがマルテンサイトに変化すること)も起こらないため、加工難度は低い傾向にあります。参考:フェライト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ二相系二相系のステンレスは、オーステナイトとフェライトの2つの金属組織をもちます。物理的性質については、オーステナイトとフェライトの中間になります。耐海水性と耐応力腐食割れ性に優れているほか、強度も良好です。これらの特性から、海水や工業用水を用いるポンプなどに利用されています。二相系の形状は、主に厚板や管、鋳物が代表的です。二相系ステンレスは、オーステナイト系に匹敵する加工硬化性を示すため、難削材に該当します。参考:二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼の基礎知識まとめマルテンサイト系マルテンサイト系のステンレスは、13クロム系のSUS403・SUS410が代表的です。マルテンサイト系は焼入れにて硬化し、成分と熱処理条件を選ぶことで、さまざまな性質が得られます。フェライト系とオーステナイト系よりも乏しいものの耐食性もあります。そのほかに、耐熱性や耐酸化性に優れているのも特徴です。用途は高強度・耐食性・耐熱性を要する機械構造用部品が挙げられます。マルテンサイト系ステンレスの形状は、主に棒鋼や平鋼で使われていることがほとんどです。マルテンサイト系は硬くて加工しにくいため、焼きなましをしてから加工を行うのが一般的です。焼きなまし状態では、フェライト系と同等の被削性になります。参考:マルテンサイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ

  • ブローチ加工の種類、切削条件、メリット・デメリット

    ブローチ加工は、金属を削って決まった形状に整えていく切削加工の一種。「ブローチ」と呼ばれる特殊な工具を使い、金属の穴を決まった形状に整える加工方法です。洋服の襟などにつける装身具のブローチを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、洋服は「brooch」、ブローチ加工は「broach」なので、関連性はありません。ブローチとは、棒状の切削工具を意味し、ブローチを使って金属を削る技術のことをブローチ加工と呼んでいます。今回は、このブローチ加工について、特徴やメリット、デメリットなどをご紹介します。よく同列で登場するスロッター加工との違いについても解説します。ブローチ加工とは引用元:ライコムシステムズ(YouTube)ブローチ加工とは「ブローチ」と呼ばれる特殊な切削工具を使い、金属を決まった形状に加工する除去加工の一種です。エンジンの部品や歯車のキー溝を彫るのに欠かせない加工方法で、スプロケット、スプライン、歯車などを製造する際に多く用いられます。そのため、自動車や飛行機の部品製造によく使われています。金属の外側を決まった形状に削る「表面ブローチ加工」と、内側の穴に貫通させる「内面ブローチ加工」の2種類があります。いずれも金属に対し、ブローチを一定の速度で貫通させることで表面を削る加工方法です。ブローチ加工の切削条件ブローチ加工では、素材に合わせ、最適な切削条件を設定する必要があります。短時間で金属を削り、粗加工から仕上げまで全行程をこなすため、ブローチの工具には硬度の高い金属が用いられます。ただ、硬ければ良いという訳ではなく、素材によって相性の良い素材が異なります。炭素鋼やステンレス鋼、チタン合金など、加工する金属はさまざま。そのため、それぞれの金属の硬度に合わせてブローチも最適な素材をチョイスしなければなりません。さらに、加工速度なども調整することで、良質な部品の加工に繋がります。ブローチ加工のメリットとデメリットブローチ加工は特定の条件において大きな効果が得られる加工法です。活用できるシーンが限られているため、メリット・デメリットが明確に分かれています。きちんと把握し、効果的に活用しましょう。ブローチ加工のメリットブローチ加工のメリットは下記の通り。・短時間・1工程で加工が完了する・同一部品の再現精度が高い・他ではできない加工が再現できる・少人数での管理が可能●短時間・1工程で加工が完了するブローチ加工は、旋盤加工なら複数の工程を経なければ完成させられない部品を、ブローチ盤で工具を引き抜くという一工程だけで、粗加工から仕上げまで完了させられます。そのため、同じ部品を大量に製造することができます。●同一部品の再現精度が高いブローチ加工は至ってシンプルな工程のため、仕上がりに大きなズレがありません。そのため「高品質・高精度」の部品を、短時間で大量に製造できます。●他ではできない加工が再現できるキー溝の形状などによって、ブローチ加工でしか実現できない部品もあります。実現が難しい螺旋状の内溝なども、ブローチ加工を用いれば簡単に実現できます。●少人数での管理が可能特殊な形状の加工を実現させるブローチ加工ですが、作業自体は特別な技術を必要としません。そのため、熟練度の低いスタッフでも、1人で全行程を完了でき、大量生産において大きなコストダウンに繋がります。ブローチ加工のデメリットブローチ加工のデメリットは下記の通り。・少量生産はコスパが悪い・不得意な加工もある●少量生産はコスパが悪いブローチ加工は、加工する部品に合わせて専用のブローチを製造します。ブローチはかなり高額で制作に時間もかかるため、少量生産だとコストパフォーマンスがかなり低めです。●不得意な加工もあるブローチを貫通させることで一度にすべての工程を完了させるため、貫通させない加工は不得意です。スロッター加工とブローチ加工の違いよく、ブローチ加工と並べて登場するのがスロッター加工。スロッター加工は金属に対し、刃物を取り付けたラムを垂直に上下動させながらキー溝加工を行います。どちらもキー溝加工に用いられますが、スロッター加工の得意分野は「小ロットの止まり穴」。ブローチ加工の不得意な部分を得意としている加工法です。

  • Mitsuri|金属加工

    ポケット加工とは?加工手順とヌスミ

    今回はポケット加工の基礎知識について解説します。ポケット加工は、材料に対して丸や四角など、一部の領域を一定の深さまで加工することを指します。単純そうに見える加工ですが、使用する工具の都合により、設計の際に気を付けなければならないポイントがあります。また、ポケット加工は削り出しの量も多いことから、加工方法についても注意点があります。設計者必見!安くなるポケット加工設計のコツこちらの動画では、ポケット加工の値段が上がってしまう背景や、コストを抑えて設計出来るコツをご紹介しています。コスト低減する方法についてお悩みの方は是非ご覧ください!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!ポケット加工とはポケット加工とは、貫通穴とは違い、ワークに対して四角や丸などの凹みを設けるための加工のことです。工作機械は主にマシニングセンタやフライス盤を使用します。引用元:小池製作所 アルミプラス ポケット加工ポケット加工は、上図のように標準的な掘り込みの加工のほかに、段違いポケットや島残しポケットの加工も含まれます。(上図左から、通常ポケット・段違い・島残しの形状)加工は基本的にエンドミルを用いるため、コーナー部にはエンドミルの半径分のアールが付きます。ピン角の加工は、放電加工により実現可能なものの、余分に手間がかかってしまうためコストも高くなります。ポケット加工の手順標準的なポケット加工を行う場合は、スクエアエンドミルやラジアスエンドミルなどを用います。フラットエンドミルは先端形状が平坦なもので、加工の底面を平坦にしたい場合にぴったりの切削工具です。ラジアスエンドミルはスクエアエンドミルの底刃と外周刃の繫がる部分がアール形状になったタイプで、ポケット加工の荒加工・中仕上げ加工において寿命の面に優れているほか、高速ミーリングにより切削時間の短縮をするのに便利です。ポケット加工はエンドミルを使用するため、コーナー部は基本的にピン角ではなく、R形状になります。仮にコーナー部分のRが5の場合は、倍の数値である直径10mmより一段階小さい直径8mmのスクエアエンドミルを基本的に使用します。引用元:MiSUMi-VONA 技術情報 ポケット加工時のドリル下穴加工を削減する方法エンドミルを使ったポケット加工の方法は大きく分けて2つあります。1つ目は、ランピング(傾斜)またはヘリカル(螺旋)切削で切り込み、横方向に切削する方法です。この方法は、回転数を高くしたまま切削が行えることから、底の浅いポケット加工を施す際に効率よく加工できます。そのほかにも、エンドミルの外周部を使った加工のため、工具の負担が少なく、長持ちしやすいというメリットがあります。2つ目は、突っ込み(ドリリング)加工により必要な深さまで下穴加工し、そこからエンドミルを使った繰り広げ加工でポケットを設けます。こちらの方法は、底が深くて幅の小さいポケット加工をするのに適しています。ただし工具刃先の負担が大きくかかるため、突っ込み加工に対応した専用の工具を使う必要があります。マシニングセンタのポケット加工プログラムによる数値制御の「NC」と、コンピューター制御によって工具を自動で交換できる機能「ATC」を備えた工作機器であるマシニングセンタにて、ポケット加工は可能です。マシニングセンタは、荒加工や仕上げ加工による工具の交換作業における位置ズレの心配がなく、人の手を使わずに加工を行えることから、難しいポケット加工が可能なほか、高品質の加工を実現します。NCによる動作のため、CAMでプログラムを作成して、事前に工具の動きをチェックできる点もポイントです。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:CAMとは?種類、CADとの違い、特徴、メリットフライス盤でのポケット加工マシニングセンタだけでなく、フライス盤でもポケット加工は可能です。ただし島残しなどの複雑なポケット加工を行う場合は、汎用フライスでの加工は困難なため、基本的にNCフライスやマシニングセンタを用います。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!ポケット加工とヌスミ引用元:超硬加工.COM ポケット加工へのヌスミ追加による加工時間の短縮ポケット加工は、加工時間を短縮したい場合や、直角形状の製品を嵌め合わせるものの場合、ヌスミ(逃げ)を設けることがあります。ヌスミを設けた場合、コーナー部のアール寸法を無視できるため、細かいアールが指定されていたときに比べて小径のエンドミルを使う必要がなくなり、加工時間やコストを削減できます。また、直角形状の製品を嵌め合う場合においても、ヌスミを設けることで放電加工のような複雑な追加工をする必要がなくなります。

  • 汎用旋盤(普通旋盤)の基礎|旋盤加工の概要、NC旋盤についても併せてご紹介!

    旋盤とは、金属加工で用いられる主要な工作機械の一つです。大根のかつら剥きのように、回転させた素材に刃物を押し当て、不要な部分を取り除き、目的の形状を削り出していく機械のことを指します。旋盤には、コンピュータ制御によるものなど、様々な種類がありますが、手動で操作する汎用旋盤も製品によってはメリットが多く、まだまだ現役で使用されています。そこで、今回の記事では、汎用旋盤の基礎的な知識やメリット・デメリットについて説明していきます。旋盤加工の概要、汎用旋盤のNC旋盤との違いについても併せてご紹介しますので、ぜひご覧ください。汎用旋盤と旋盤加工の概要汎用旋盤は、旋盤加工に用いられる工作機械です。旋盤加工機には、NC旋盤やタレット旋盤など、いくつかの種類がありますが、特に手動で操作する、標準的な構造を持った旋盤のことを汎用旋盤と言います。単に「旋盤」と言う場合には、汎用旋盤を指すことが多く、また汎用旋盤を「普通旋盤」と呼ぶこともあります。旋盤加工は「削る」ことを主眼においた加工旋盤加工とは、材料を削ることで加工を行う切削加工の一種です。回転させた材料に「バイト」と呼ばれる切削工具を当てて材料の一部を削り取り、目的の形状を削り出していく加工方法のことを指します。旋盤加工では、このバイトを加工法に合わせて交換することで様々な形状が加工可能となります。材料の外周を円形や先細形状(テーパ)に加工する、材料に内側からバイトを当てて内径を加工する、溝を掘り進めて材料の一部を切断するなど、専用バイトを使用することで多様な形状を実現することができます。旋盤加工では、回転している材料を削るため、多くの場合材料には円形断面の棒材を用いています。しかし、材料を固定する「チャック」を変えることにより、四角形状の材料や、より歪な形状の材料も加工可能です。なお、下の写真は、4つの爪を持つチャックに四角形状の材料を固定したものです。また、加工後の形状が回転軸に対して対称となるため、完成品の形状も円筒や円錐、皿形といった対称形になります。ただし、材料を脱着するなどして、材料の回転軸を変えて削れば、より複雑な形状に加工することが可能です。汎用旋盤は手動で行う旋盤加工機引用元:機械設計エンジニアの基礎知識旋盤加工に使用される旋盤加工機の中でも、バイトの移動を「手動」で行うのが汎用旋盤です。汎用旋盤では、上図のように、バイトの土台にハンドルやレバーなどが存在し、これらを手動操作することでバイトの位置を決定します。このバイトを動かし、固定位置で回転している材料に当てることで、材料を削っていきます。なお、上図中のバイトの右方にある装置は、「心(芯)押し台」と呼ばれるものです。心押し台により、材料の回転中心を押して支えたり(下図参照)、ドリルやリーマなどを取り付けて穴加工を行ったりすることが可能となります。また、材料の回転中心を決定する「心出し」にも利用可能です。引用元:国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所プログラムを利用するNC旋盤加工機との違い手動で操作する汎用旋盤に対し、予めプログラムした手順通りにバイトを動かし、「自動」で加工していく旋盤加工機がNC旋盤です。NC旋盤では、縦・横・高さの座標軸を設定してバイトの位置を数値に落とし込み、バイトの移動を機械が制御します。本体付属の操作パネルに数値を入力して操作するのが一般的ですが、現在では、コンピュータに接続して操作するNC旋盤もあります。そのようなNC旋盤は、特に「CNC旋盤」と呼ばれます。NC旋盤では、プログラムを設定して材料をセットすれば、旋盤加工を全自動で行うことができます。この点、機械に張り付き、手作業で一つ一つ加工していく汎用旋盤とは異なります。また、加工は機械的に行われるため、作業員の技術や調子に依存することなく、高精度の加工を安定して行うことが可能です。しかし、その一方で、汎用旋盤の場合にはない、事前のプログラム作成という工程が必要となります。そのため、NC旋盤は、特注品の製造には向いておらず、製品のロット数が少ない場合には、汎用旋盤よりも工数や全体としての製造時間が長くなることがあります。また、追加工などへの対応にも、その都度、プログラム作成が必要となることに注意が必要です。とは言え、NC旋盤のプログラム作成には、バイトの送り量や材料への切り込み量、バイト交換のタイミングなど、汎用旋盤において手作業で行っていた全ての作業手順と操作をプログラムに落とし込まなければなりません。そのため、汎用旋盤は、作業者の技術教育のために現在でも重要な機械であり続けています。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!汎用旋盤のメリット・デメリット汎用旋盤メリット・試作品や特注品の加工に向いている・変更や修正、追加工が用意・バイト交換時における補正が不要・切り屑の状況や削った感触などが分かる汎用旋盤デメリット・作業者の技術によって作業品質が変わる・作業員が機械に張り付いている必要がある・大量生産に向かない・安全面に注意が必要汎用旋盤のメリット①単品や試作品の加工に向いている汎用旋盤では、NC旋盤では必要なプログラム作成の工程がないので、設計図さえあればすぐに加工を開始することができます。そのため、単品や特注品の加工に向いています。また、製造手順が定まっていなかったり、製作しながら微調整を繰り返したりする試作品の加工にも向いています。汎用旋盤のメリット②変更や修正、追加工が容易汎用旋盤では、一つ一つの加工を全て手作業で行います。そのため、変更があれば、その箇所の加工を変えれば良く、間違いなどがあれば、すぐに修正することができます。その点、NC旋盤を使用する場合には、加工終了までは間違い等を発見するのが難しく、発見しても変更・修正にプログラムの修正が必要となります。追加工についても、追加工用の手順を加えれば良いだけで、容易に対応することができます。一方、NC旋盤では、追加工用のプログラム作成が必要となります。汎用旋盤のメリット③バイト交換時における補正が不要汎用旋盤では、目視しながら加工を行うので、バイトが摩耗した場合でも切り込み量などを調整することで問題なく加工を行うことができます。そのため、バイト交換によって、バイトのサイズが変わった場合でも手動による補正で対応可能です。しかし、NC旋盤を使用する場合には、バイト交換やバイトの摩耗に合わせて、送り量や切り込み量などの補正値をプログラムに反映する必要があります。ただし、最近のNC旋盤では、このバイト交換に必要となる位置確認とプログラムへの補正値反映を自動で行う機能を持つものが多くなっています。そのため、むしろ汎用旋盤において手作業で行う方が実は手間になっているという側面もあります。とは言え、超高精度な製品を製造する上では、このような補正調整作業も高度な技術を持つ作業者の手の感覚には敵わない部分があります。汎用旋盤のメリット④切り屑の状況や削った感触などが分かる機械に張り付き、手作業で加工を行うので、切り屑の状況や削った感触などをリアルタイムに知ることができます。切り屑がバイトなどに絡まった場合でもすぐに分かりますし、削った感触からバイトの状態などを知ることが可能です。そのため、切り屑が絡まった場合には除去する、バイトが切れなくなった場合には交換するなどの対応をすぐに取ることができます。汎用旋盤のデメリット①作業者の技術によって作業品質が変わる手作業で加工を行うため、作業者の技術によって品質や作業スピードに差異が生じてしまいます。汎用旋盤のデメリット②作業員が機械に張り付いている必要がある加工の全行程において作業員の手を必要とするため、その分の工数がかかります。汎用旋盤のデメリット③大量生産に向かない製品一つ一つに対し、加工はもちろん、バイト交換なども全て手作業で行うため、大量生産には向いていません。汎用旋盤のデメリット④安全面に注意が必要汎用旋盤加工の作業員は、常に機械に触っている状態にあります。そのため、作業員の安全面については十分な注意が必要です。重要な注意事項としては、以下のような点が挙げられます。汎用旋盤注意事項・チャックハンドル(材料・工具をチャックに固定するための工具)は付けたままにしない・バイト交換や材料の測定は機械を停止してから行う・材料の固定や工具の取り付けは確実に行う・繊維が引っかかることがあるので、軍手はつけない汎用旋盤で対応できる加工汎用旋盤では、以下のような加工方法に対応することができます。汎用旋盤で対応できる加工外径加工外周に対する加工方法内径加工材料に空いた穴の内周に対する加工方法端面加工材料の端面を削り、全長を短くする加工方法溝入れ加工外周に溝を入れる加工方法突切り加工溝入れ加工の溝を深くしていき、切断する加工方法ねじ切り加工雄ネジや雌ネジのネジ山を成形する加工方法穴あけ加工材料の回転中心に穴を空ける加工方法テーパ加工円錐など円周が変化していく形状の加工方法ローレット加工外周に凹凸を付ける加工方法参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!ただし、ねじ切り加工やテーパ加工を精度良く行うには、バイトの送り速度を一定にする「自動送り」という機能を使用する必要があります。その場合においても、加工形状に合わせた送り速度の計算や調整が必要です。そのため、ねじ切り加工やテーパ加工、また曲面を含む形状の加工には、NC旋盤が向いています。下の写真は、汎用旋盤による加工事例で、外径・内径加工を施した後、内側に70個の溝入れ加工を施したものです。汎用旋盤は、手動で操作する旋盤であり、大量生産には向かない工作機械です。しかし、一点物や試作品の製造を得意としており、まだまだ活躍の場はたくさんあります。また、製作する製品によっては汎用旋盤の取り扱いを得意とする業者にご依頼するのも、製品の複雑性が増し、多品種少量生産が台頭している現在においては、メリットが多いのではないでしょうか。Mitsuriは、日本全国250社以上の業者と提携しています。そのため、お客様のご要望に合わせた業者をご紹介できます。お見積りは複数社から可能です!旋盤加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにご相談ください。

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    金属加工Webサービス2020年10月版カオスマップ

    製造業業界でも2017年頃から、DX(デジタルトランフォーメーション)が進んでおり、Web上で簡単に加工品の発注や、工場検索・依頼ができる環境が整い始めてきたことで、急速な発展を遂げています。その中でも今回は、金属加工のWebサービスに特化した企業・サービスをまとめてご紹介します。金属加工依頼の目的まず、金属加工依頼や部品調達時の目的は以下の二つに分けれます。1.既に製作された製品が欲しい2.設計案に則った加工品が欲しい製作された部品が欲しい際には、ECサイトの活用が適しています。一方、設計に基づく製品を求める場合には、加工業者に依頼を出すのが一般的です。加工業者例精密金型部品工場関東精密meviy野方電機工業PROTOLABSMETAL SPEEDKabuku Connect株式会社WBIMETALWORKSECサイト一般的にECサイトとは、WEBサイト上で商品・サービスを提示し、販売を行うサイトのことを指します。サイト上に製品の写真や値段が提示され、ユーザーはサイト上の情報を見て、購入の判断を行い、決済をします。今回カオスマップの作成にあたり、ECサイトを特徴ごとに以下の3つに区分しました。ECサイト1.製造業ECサイト2.金属材料ECサイト3.加工対応ECサイト1.製造業ECサイト製造業ECサイトとして区分したサイトの特徴は、製造業の広範囲にわたって必要な製品を販売していることです。サイト内で取り扱っているものは、ネジやブラケット等の金属加工部品に留まらず、化学や医療用の機器等も含まれます。製造業ECサイトMISUMIモノタロウaperza eコマース金属材料ECサイト金属材料のみを販売するサイトを、ここでは金属材料ECサイトとしました。金属材料ECサイト岩崎商店横山テクノMetal-super加工対応ECサイト加工対応ECサイトとは、簡単な加工であればユーザーがある程度寸法や角度を指定することが可能です。設計図を加工業者に提出することなく、サイト上で設計の寸法指定から発注まで全てが対応可能なことが特徴です。加工対応ECサイトE-Metals金属板.com板曲げ.com曲げ加工.com鉄板市場Mitsuri Catalogきりいた.com見積り依頼一般的に、金属加工を加工業者に依頼する際のフローは以下の通りです。①業者に設計図を提出②業者が設計図に対する見積りを回答③発注・製作開始(ユーザーの承認得た後)④発送と納品工場・金属加工業者に直接依頼するほか、後に紹介するマッチングサービスのように仲介者を通して依頼を行う場合もあります。マッチングサービス取引先開拓などで、最適な引き合わせを行うマッチングサービス。Zehitomoや比較Bizは金属加工業者に限らず、幅広い分野の専門家マッチングサービスを提供していることが特徴です。マッチングサービスZehitomo比較Biz金属加工マッチングサービスマッチングサービスの中でも金属加工に特化したものが、「金属加工マッチングサービス」です。先に述べたマッチングサービスとの違いとしては、基本的に加工業者とのやりとりにマッチングサービスの仲介者が存在し、必要に応じてサポートをします。金属加工マッチングサービスIoMファクトリーエージェントものづくりクラウドMitsuriCADDiBtoBデーターベースBtoBデーターベースとは、技術や製品などから会社を検索できるポータルサイトです。加工業者は、BtoBデータベースに製品を掲載したカタログや企業の保有技術などを公開します。一方、ユーザーはデーターベースから製品や加工方法などで検索を行い、目的に合う技術を持つ業者を探すことができます。BtoBデーターベースの多くは金属加工に限らず、製造業全般の業者を探すことが可能です。加工業者を宣伝する場・知る場となるのがBtoBデータベースと言えます。BtoBデータベースイプロスものづくりEMIDASaperza catalogまとめ2020年10月版、金属加工Webサービスカオスマップの詳しい説明でした。本マップは、Catallaxyが作成したもので、ロゴの大きさや配置等、業界規模やシェアとは関係性はありません。本マップ記載のロゴ・サービス名につきましては、各社に掲載許諾を事前に得ていないものもあります。使用上の問題がある場合は、削除・差し替え対応をいたしますので、お手数ですが「 info@catallaxy.me 」までご連絡ください。 カオスマップダウンロード

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    アルミ複合板とは?用途から加工法まで解説!

    アルミ複合板とは、薄いアルミ板2枚で樹脂をサンドイッチした板材のことを指します。その優れた加工性や強度を活かして、主に看板や建材に使用されており、私たちの身近な場所で多く用いられています。今回は、そんなアルミ複合板について、その基本的な知識について説明した後、その特徴や用途、種類に加えて、アルミ複合板の相場など幅広い内容について詳しく解説していきます。アルミ複合板についてさらに知識を深めたい方や、アルミ複合板の使用や購入でお悩みの方は、ぜひご一読ください。アルミ複合板とは引用元:株式会社MonotaROアルミ複合板は、上図のように発泡ポリエチレン樹脂をアルミニウムでサンドイッチした、3層構造を持つ板材を指します。「アルミ樹脂複合板」や「アルミ樹脂積層複合板」とも呼ばれることもあります。以下に詳しく述べますが、アルミ複合板はさまざまな特徴を持ち、看板の材料や建材を中心に幅広い分野で使用されています。参考:【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説!アルミ複合板の特徴それでは、アルミ複合板の特徴について見ていきましょう。軽量性アルミ複合板の芯材は樹脂となっているため、非常に軽いのが特徴です。例えば、3mm厚×910mm×1820mmのアルミ板が約14kgあるのに対し、アルミ複合板は約4kgとなっており、アルミ板の半分以下の重さとなっていることが分かります。そのため、運搬や取り付けが容易となり、作業者の負担が軽減されるというメリットがあります。防火性アルミ複合板の中には、不燃アルミ複合板と言って不燃性を付加した材料があります。こういった防火性を持つ材料は、法律上で使用が定められている箇所では必須となり、今や無くてはならない材料となっています。ガソリンスタンドの看板や地下鉄などの誘導サインなど、防火性が求められる場所で用いられています。温度変化に対する安全性屋外などの日差しが当たる場所や、雨にさらされるような場所、さらに気温の変化が激しい場所などにおいても劣化しにくく、問題なく使用できます。そのため、屋外に掲げる看板はもちろん、建材にも最適な材料となっています。耐衝撃性アルミ複合板は、芯材に樹脂が用いられていることによって、強い衝撃が与えられた場合でも割れることがないため、万が一の際でも安全です。加工性アルミ複合板は、通常厚さが約3mm程度と薄く、他の板材と比較しても柔らかい材料であるため、加工性に優れているという特徴を持ちます。例えば、切断だけを行う場合はカッターナイフで簡単に切ることができます。他にも、曲げ加工やパンチング加工も容易に行うことが可能な材料となっています。平滑性アルミニウムと樹脂の積層効果により剛性が高く、たわみやひずみが無いため平滑性に優れています。そのため、カッティングシートなどの薄いシートでもきれいに貼ることが可能となります。安価看板に用いられる材料には、アルミ複合板の他にも鉄板やアクリル板などがありますが、その中でも安いのがアルミ複合板です。例えば、3mm厚×900mm×1800mmの材料の場合、アルミ複合板の金額はアクリル板の約5分の1程度となっています。アルミ複合板の用途上述した通り、多くの優れた特徴を持つアルミ複合板はさまざまな用途に用いられています。代表的な用途には、壁面看板や大型看板としての使用が挙げられます。看板には多くの種類がありますが、アルミ複合板は比較的多くの種類の看板に利用することが可能で、屋外で用いるプレート状の看板や、大きなサイズの平看板、さらに湿気などにも強いため、プールや温泉施設などでも使用が可能です。その他にも、防火性を持つタイプの材質には建材用のものもあり、キッチンなどの内装や高層ビルの外壁にも使用されているものもあります。<アルミ複合板を用いた看板の例>引用元:株式会社トレードアルミ複合板の種類と選び方ここまで、アルミ複合板の特徴や用途について説明してきましたが、アルミ複合板にはいくつか種類があり、それぞれ異なった特徴を持っています。ソレイタ引用元:株式会社トレード藤田産業株式会社で開発されたアルミ複合板です。カラーアルミを使用してフィルム貼りの手間を解消した「プレミアムカラーシリーズ」や不燃タイプなど、ラインナップが充実しています。カラータイプも1枚から購入できる他、1500×3000mmの大判までサイズ展開があるため、大型製品の製作にも最適です。カラーエース引用元:株式会社トレード福田金属箔粉工業株式会社で開発されたアルミ複合板です。看板用下地パネルとして、看板屋や印刷会社などで幅広く採用されており、アルミ複合板の中でも非常に人気の高い商品となっています。そのため、在庫も豊富で大量発注を考えている方におすすめです。セキスイアートパネル引用元:株式会社トレード積水樹脂プラメタル株式会社で開発されたアルミ複合板です。看板用としての使用に優れ、かつ不燃認定を取得した「不燃アートパネル」が特に人気があります。厚さは、1.5mm、2mm、3mm、5mmの4種類から、用途に合わせて選択できます。特に不燃性のアルミ複合板が必要な方にぴったりな材質です。三菱樹脂アルポリック引用元:株式会社トレード三菱ケミカル株式会社で開発されたアルミ複合板です。「アルポリ」の呼称で、アルミ複合板の代名詞にもなっている材料です。アルポリックはカラーエースやソレイタなどと比べて高額で、特に剛性・平滑性に優れた製品となっています。看板としての使用はもちろん、店舗内装・ビル内装材など建材としての使用に最適です。Mitsuriは、さまざまな種類のアルミ複合板の発注に対応できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。アルミ複合板の相場金額についてお話しする前に、アルミ複合板の基本のサイズについてご説明していきます。まず、アルミ複合板の厚みは3mmが主流となっており、その他には1mm、1.5mm、2mm、4mm、5mmのものも存在します。また、基本的なサイズは910mm×1820mm(サブロク)となっており、最も商品ラインナップが豊富です。その他にも 1000 mm×2000 mm(メーター板)、1200 mm×2400 mm(シハチ)などがあります。1220mm×3000mmのような大型サイズも販売されています。金額については、もちろん種類や大きさ、メーカーなどによってさまざまですが、2020年5月現在、3mm厚×910mm×1820mmのサイズで1枚当たり約2,000円程度となっています。また、人気のアルミ複合板カラーエースの場合、価格の相場は大体、910×1820mmで1枚約2600円、1000×2000mmで1枚約4200円、1220×2440mmで1枚約6500円ほどとなっています。アルミ複合板加工の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】アルミ複合板は、種類によっても特徴が異なってくるため、必要性に応じて適切な材料を選択する必要があります。また、メーカーによっても在庫のある材質やサイズなどが異なるため、事前に確認することが重要となります。アルミ複合板の発注が可能なメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    金属板の加工に関して解説!アルミやステンレス等の素材ごとの特徴もご紹介!

    金属板の加工技術は、私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。自動車、土木・建築、医療、食品など幅広い分野に利用されているほか、家電機器、産業機器などの部品の製作にもなくてはならない技術です。例えば、家の中を見渡すだけでも、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどさまざまな製品に使用されています。今回は、そんな金属板の加工について詳しく解説していきます。特に、金属板に用いられる代表的な素材とその特徴、また代表的な加工方法に関して、一つずつ丁寧にご説明していきます。金属板の加工についてさらに知識を深めたい方や、金属板の加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。金属板の加工について金属板の加工とは、文字通り金属でできた板材を加工することを指します。しかし、一口に金属板の加工と言っても、金属板にどういった材質を用いるのか、またどのような加工を施すのかで、その製品の持つ特徴や用途などが異なってきます。そのため、金属板の加工を用いて製品の設計・製作を行う場合には、素材や加工方法について十分理解した上で行っていくことが非常に重要となります。金属板の種類と用途ここでは、代表的な金属板の材質とその用途について説明していきます。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、さらに軟らかくて展性も高いことから加工性に優れた金属となっています。また、空気中において酸化皮膜を形成するため、耐食性も有しています。さらにアルミの熱伝導率は鉄の約3倍と、非常に熱を伝えやすい材質です。これらの特徴を活かして、一円硬貨やアルミホイル、アルミ缶、鍋、エンジンのシリンダー、パソコンや家電製品の筐体などさまざまな用途で使用されています。ただし、1円硬貨などを除いて、ほとんどはアルミ合金としての利用となっています。アルミ合金は、その含有されている金属によって次のように分類されており、それぞれ特徴が異なります。アルミ合金の種類・1000番手系(純アルミ):強度は低いが、加工性や熱伝導性に優れる・2000番手系(アルミ-銅合金):強度や切削性に優れるが、やや耐食性に劣る・3000番手系(アルミ-マンガン合金):加工性にはあまり優れないが、高い強度を持つ・4000番手系(アルミ-ケイ素合金):耐摩耗性に優れる・5000番手系(アルミ-マグネシウム合金):強度、耐食性に優れ、さらに溶接性も良好・6000番手系(アルミ-マグネシウム-ケイ素合金):強度、耐食性に優れる・7000番手系(アルミ-亜鉛-マグネシウム合金):アルミ合金の中で最も強度が高いステンレスステンレスは、その表面を覆っている不動態皮膜によって、錆びにくく、耐食性に優れる金属です。その他にも、 耐熱性を有し、加工性、強度においても優れた特性を有しているほか、意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。このような特徴から、建築、土木、家電・精密機器、厨房・家庭用機器、輸送機器、産業機器など非常に幅広い分野で利用されています。特に私たちに身近なものには、洗濯機や冷蔵庫、建物の外装や内装、またゴルフ用品にもステンレスが使用されています。また、ステンレスは、含有する金属及び金属組織の違いから、次のように5種類に分類されます。ステンレスの種類引用元:大同特殊鋼株式会社・マルテンサイト系:非常に硬いが、耐食性には劣る・フェライト系:耐食性は高く、応力腐食割れ(金属材に生じる経年損傷)を起こしにくい・オーステナイト系:耐食性が高く、加工性に優れる・析出硬化系:非常に硬く、耐食性にも優れる・二相系:塩化物(海水など)に対する高い耐食性を持つチタンチタンは、比重が鉄の約半分ととても軽くて、さらに海水中などでも優れた耐食性を発揮します。また、比強度(重量あたりの強度特性)が高く、アルミニウムの約3倍、鉄の約2倍の強度を示します。他にも、無毒性で、生体適合性も良く、人体にやさしい安全な金属です。これらの特徴を活かし、医療・食品の分野や化学工業、建築・土木産業、また航空宇宙産業などで広く用いられています。また、チタン合金は、焼なましの状態でのミクロ組織によって次のように分類されます。チタン合金の種類・純チタン:耐食性及び加工性に優れているが、耐摩耗性に劣る・α合金:低温から高温まで安定した強度を持つ・β合金:冷間加工性・時効硬化性(時間の経過とともに金属が硬化する現象)に優れる・α+β合金:強度が高く、また延性に優れる・耐食合金:耐食性に優れ、高い強度を持つ銅銅は、熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れている金属です。また、銅が酸素に触れると表面に酸化銅の被膜をつくることから、優れた耐食性を持っています。他にも、銅は抗菌作用を持つ金属としても知られています。これらの特徴から、電線や電子機器部品、調理道具や銅像、10円硬貨などに利用されています。銅には合金が存在し、含有する金属によって主に以下の3つに大別されます。銅合金の種類・黄銅(銅-アルミ合金):加工性がよく、意匠性に優れる・洋白(銅-亜鉛-ニッケル合金):耐食性・耐変色性に優れる・青銅(銅-すず合金):展延性に優れ、融点が低い鉄鉄は強度が高く、また優れた加工性を持つことから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として幅広く用いられてきました。現在は、金属製品の約90%が鉄でできているとも言われています。そのため、自動車、造船、土木・建築、容器・缶、家電機器、産業機械などさまざまな分野で利用されています。また、鉄はその含有する炭素量の違いによって次の3つに分類されます。鉄の種類(カッコ内には炭素含有量を示す)・純鉄(0.02%以下):非常に脆く、軟らかい・鋼(0.02% - 2.1%):炭素含有量によるが、強度、靭性、磁性、耐熱性などに優れる・鋳鉄(2.1% - 6.7%):非常に硬いが、延性や靭性に劣るMitsuriは、これらすべての材質の加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。金属板の加工法の種類最後に、金属板の各種加工方法について説明していきます。金属板の加工法【レーザー加工】レーザー加工とは、高エネルギー密度のレーザー光を照射し、熱エネルギーによって加工する方法を指します。主に、金属板の穴あけや切断に利用されています。レーザー加工では、加工領域が非常に狭いため、非常に微細な加工を行うことができるほか、高エネルギーのレーザー光を使用することで超硬金属や硬脆材料の加工も可能となります。参考記事こちらの記事では、レーザー加工についてその原理や種類など、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!金属板の加工法【溶接加工】溶接加工とは、2種類以上の金属を接合する金属加工方法のことを指します。主に、金属を局部的に加熱して溶かすことで接合する「融接法」と、加熱した金属に圧力を加えて接合する「圧接法」、母材と違う素材を溶融して接合する「ロウ付法」の3つに大別されます。ただし、細かく溶接方法を分類すると、全部で60種類以上にも及びます。参考記事こちらの記事では、溶接加工の種類について、その特徴を詳しく説明しています。溶接加工についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。⇒ 第1回 溶接加工とは?代表的な種類とメリット・デメリットを解説金属板の加工法【プレス加工】プレス加工とは、被加工材を金型に当て、圧力を加えることで材料を金型の形に変形させる加工方法のことを指します。プレス加工では、一度金型を作成すれば短時間で同じ形のものを生産することが可能なため、低コストで大量に生産する場合に最適です。また、プレス加工では金型に合わせて切断するだけでなく、曲げや絞りなどさまざまな加工を施すことができます。参考記事Mitsuriは、さまざまなプレス加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。以下の記事ではおすすめの工場を紹介していますので、プレス加工でお悩みの方はご一読ください。⇒プレス加工のおすすめ工場5選!!金型製作や微細加工等様々な工場をご紹介金属板の加工法【切削加工】切削加工とは、文字通り工具などを使用して、材料を削って加工する方法を指します。主に切削加工は、加工する工作物を固定して工具を回転させる「転削」と、工作物を回転させる「旋削」とに大別されます。参考記事転削の代表として「フライス加工」、旋削の代表として「旋盤加工」が挙げられます。以下の記事では、それら2つの加工について詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!金属板の加工を依頼するならMitsuri今回は、金属板の加工をテーマにその代表的な素材や加工方法についてご説明しましたが、いかがでしたか。金属板の素材、またその加工方法の種類は多岐に渡り、そのそれぞれが異なった特徴を持っています。そのため、金属板の加工を行う場合には、素材や加工方法の選択が非常に重要となります。また、メーカーに加工を依頼する際にも、金属板の素材や加工方法に関する基本的な知識を持っていると、より話が進みやすくなるでしょう。金属板の加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!

    軽量でありながら高強度を誇ることで、身近な製品にさまざまな用途で用いられるアルミニウム。鉄などに比べて比較的加工の容易な材ですが、特に初めて加工を依頼する際などのアルミ加工業者選びは難しいものです。「アルミ材の切断、曲げ、抜き、溶接、切削などの加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。小ロットの加工依頼をするならMitsuri小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です。さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)Mitsuriで依頼できるアルミ加工の種類①切断加工レーザー切断機、シャーリング、タップ、タレパン、カッターやソーなどのアルミ切断機を使用して、材を高速・高精度にカットします。切断は、その後の工程に大きく影響し、最終的な製品の仕上がり・精度にも関わる重要な加工工程です。特にアルミはバリや反りが発生しやすいため、高精度なカットが求められます。Mitsuriでは、高速・高精度な切断加工が可能です。小サイズの切り出し、溝部分の難加工など、あらゆるシーンで正確な切断を実現します。切断加工についてはこちら【板金加工 切断】せん断やシャー切断などの切断加工を専門家が解説!②曲げ加工アルミ板金における曲げ加工では、ベンダー(折り曲げ機)を使用して直線的に折り曲げ加工を施すほか、R曲げ、V曲げ、Z曲げ、ヘミング曲げ、ロール曲げといったあらゆる曲げを、発注に応じて使い分けます。特に小ロットでの発注の場合など、金型を用いず、叩いて成型する曲げ加工を採用することもあります。アルミ材は、曲げやすいからこそ、精密な曲げ加工には熟練の技術と適切な加工が必須です。一度断られてしまった難加工も、Mitsuriにぜひお任せください。曲げ加工についてはこちら【曲げ加工】の基礎やV曲げ/L曲げ加工について徹底解説!!③溶接MAG溶接やTIG溶接といった一般的なシールドガスアーク溶接に加え、スポット溶接やレーザー溶接、抵抗溶接などあらゆる加工法を駆使して材を溶接します。またアルミ材の場合は、比較的低温で溶着可能なろう付けが用いられることも多いです。溶接加工は機械化が進んでいるものの、アルミ溶接において最後の仕上がりを左右するのはやはり人の経験と技術です。溶融点の低いアルミは、溶接するうちにどうしても歪みが発生してしまいます。また、厚みや求められる強度などによっても注意すべきポイントが異なるのですが、そんな微妙な作業の使い分けを行える職人が、Mitsuriの協力工場には揃っています。溶接についてはこちら溶接方法について専門家が解説!【協力工場130社以上】溶接でお困りならMitsuri!④切削切削加工は大きく分けて、固定した材に対して機械を回転させて切削するフライス加工と、材を回転させる旋削加工に分けられます。フライス加工は材の表面加工に適しており、アルミの場合は特に鏡面仕上げなどを施す加工がこれに当たります。そのほかにも、穴あけや溝削りといったさまざまな加工が可能です。旋削加工では、パイプ状に加工した材にテーパ加工を施したり、中ぐり、ねじ切り、突切りといった加工を行うことができます。アルミはその他の金属と比較して溶融点が低いうえに延性が大きいため、バリが発生しやすいのが難点です。対策として、良質な工具の選定が欠かせないほか、必要に応じてクーラントを使用するなどノウハウが求められます。そんな切削加工も、Mitsuriにぜひお任せください!切削加工についてはこちら【切削加工】切削加工の方法や特徴・種類を動画を交えてご紹介!!見積もり依頼をする(無料)アルミ加工の難しさアルミ加工の中でも特に溶接加工は技術を要します。その理由は、アルミの融点にあります。鉄やステンレスの融点は1,000℃以上ありますが、一方アルミの融点は660.3℃と低いです。さらに、アルミは融点を超えた後、液体化するため、溶けたアルミが付着するのに注意して溶接作業を進める必要があります。アルミ加工実績引用:有限会社 相和シボリ工業(170Φ×120Φ×560H・へら絞り加工)引用:有限会社 相和シボリ工業(20Φ×28Φ×90H・パイプ加工)引用:多摩電子株式会社引用:布施金属工業株式会社(曲げ加工・溶接・仕上げ)見積もり依頼をする(無料)おすすめアルミ加工業者5選株式会社大盛基本情報埼玉県戸田市新曽南3-13-10TEL:048-444-0800/FAX:048-444-0842 創業年:昭和51年11月6日加工:アルミ加工、切削加工、切断加工素材:アルミ、その他非鉄金属HP:http://www.taisei-al.co.jp株式会社大盛は、アルミのマシニングセンターによる精密機械部品加工を行っています。特に、加工機械に力を入れているので、緊急の案件にも対応しやすい環境を整えています。そのため、他の工場で、この図面では製作が難しいと言われてしまった案件や、短納期の案件でお困りの際におすすめです。メリット株式会社大盛は、マシニングセンタなどの設備を導入しているので、加工に応用が効きやすく、対応できる幅が広い加工業者です。また、不良率が低いことも株式会社大盛の強みです。不良率が低いことを維持するために、設備の稼働状況に細心の注意を払っていたり、検査の際にはマイクロなどで寸法を検査することを大切にしています。メタルスピード基本情報大阪市東成区東今里2-8-12TEL:06-6976-3326/FAX:06-6976-9758創業年:昭和15年5月5日加工:フライス・マシニング加工、板金加工、NC旋盤加工素材:アルミ、鉄、ステンレス、銅、真鍮等HP:http://www.metal-speed.comメタルスピードは、良品率99.84%、納期厳守率99.86%(2018年1月時点)のとてもクリーンな会社です。また、製造コスト削減のために、ITの力を使って70年間の技術をデータベース化しています。メタルスピードが低価格で製造できるのは、この熟練工データベースのおかげです。メリットメタルスピードのメリットはなんといってもスピーディーな見積り対応。見積依頼からなんと2時間以内の回答を行っております。見積りが早いだけではなく、その後の打ち合わせや納品に至るまで、スピード感をもって対応します。製品例(治具:A5052)(アーム:A7075)株式会社シモノ基本情報石川県能美市浜開発町丙53-1TEL:0761-55-0139/FAX:0761-55-1030 創業年:昭和6年6月加工:アルミ加工素材:アルミ、その他非鉄金属HP:http://e-shimono.jp/株式会社シモノは、医療アルミ器具や食品加工機械アルミ部品の製造をはじめとする石川県の加工メーカーです。メリット株式会社シモノは、アルミ加工に注力し、常にアルミ加工の製造のために最新の設備を導入しているため、高い品質と短納期を実現できています。また、高い品質を要求される医療や食品加工用部品の製造を行っているほど、精密機械加工に確かな実績があります。有限会社城山精機製作所基本情報東京都板橋区高島平9-16-10TEL/FAX:048-421-5134創業年:昭和34年4月加工:アルミ加工、アルミ鋳物、金属加工、鉄加工素材:アルミ、鉄等HP:http://www.shiroyama-seiki.co.jp/城山精機製作所は、創業当初からアルミ加工、アルミ鋳物、鉄加工、ステンレス加工と幅広く受けていましたが、その中でもアルミ加工に注力している製作所です。メリット城山精機製作所は、中でも治具製作に力を入れています。設計はもちろんですが、設計の前の構想から城山精機製作所に入ってもらえます。治具製作をしてもらえることで、品質の向上やコスト削減に繋がります。製品例(医療部品:アルミ)(航空部品:アルミ)ニッカル商工基本情報東京都大田区東糀谷1-8-19TEL:0120-163-256/FAX:03-5735-2971 創業年:平成元年3月29日加工:アルミ加工(溶接、塗装、鋳物)、板金加工素材:アルミ、ステンレス等HP:https://nikkal.net/ニッカル商工は、1957年に日本で最初のアルミ製の平棒や角棒、パイプなどの押出材の在庫販売を行っていた会社で、現在はアルミの素材および加工品の販売を行っています。ニッカル商工のホームページ内にフリーダイヤルを用意していたり、24h対応可能のチャットを用意していたり、押出加工用の別ページを用意していたりと非常に依頼がしやすい環境が整っています。メリットニッカル商工は、試作・量産問わず対応が可能です。そして、長年培ってきたアルミ加工のノウハウを生かし、アルミコンシェルジュというアルミ加工の相談に乗っていただける人がいます。そのアルミコンシェルジュがご依頼者のニーズに合った加工を提案することが可能です。また、決済については、銀行振込やクレジット決済に加えて、手続きなしで請求書で掛け払いができる決済サービスも導入しており、依頼者のために利便性の向上を図っています。アルミ 加工を依頼するなら【アルミ加工のMitsuri】アルミ加工を依頼するなら、ぜひ技術と経験を備えた熟練の工場に依頼しましょう。Mitsuriでは、企業のご依頼だけでなく、個人での発注・見積もりにも対応しています。1個から、といった小ロットや試作のご依頼も大歓迎です!そして日本全国各地、どこからでもご相談可能です。アルミ加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにご相談ください!小ロットの加工依頼をするならMitsuri小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です。さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)

  • 切削油(クーラント液)の種類、成分、メリット・デメリット

    金属加工の現場では、金属を削る、切断する、など、さまざまな加工が実施されます。そして、その際に「切削油」と呼ばれる油が使用されます。切削機や加工機を使用する際、ドリルやフライスに放出されている切削油。「水ではダメなの?」「何のために放出されているの?」など、疑問に思われている方も少なくないはず。そこで、今回は切削油について詳しくご紹介します。切削油(クーラント液)とは切削油とは、フライス盤や旋盤など、金属にさまざまな加工を施したい時、ドリルに対して放出される液体のことです。主に、切削時の摩擦を抑えたり、工作物の熱を奪い、熱を冷ましたりする効果を持っています。切削時に発生する切り屑を洗い流す効果もあり、加工時に起きる不具合や不良品の発生を軽減させる効果を担っています。切削油(クーラント液)を使用するメリットとデメリット切削時に水ではなく油を利用するのは、より精度の高い製品を制作するため。一般的には「水溶性」と「不水溶性」の2種類に大別され、それぞれに異なるメリット・デメリットがあり、目的・用途に合わせて使用されています。メリット切削油を使用するメリットは下記の通りです。・切削時の摩擦熱を軽減させ、品質向上と工具の摩耗を軽減させる・切削物との摩擦を減らし、加工面の品質を向上させる・切削時に発生する切り屑を洗い流し、スムーズに切削ができる・加工物の仕上げ面がよりきめ細やかで美しくなる・機械と素材の動作が円滑に行われるため生産性が向上する切削油は主に「潤滑作用」「冷却効果」「品質向上」を目的に使用されます。使用することで切削された金属の品質が向上し、機械の動きもスムーズになります。結果的に「生産性が向上し、機械の寿命を引き延ばす」効果を持ち合わせています。デメリット切削の理想はドライな状態での加工と言われています。なぜなら、潤滑油を使用するデメリットがあるからです。例えば、油によって金属に悪影響を及ぼすケースもあり、すべての金属に対して有用というわけではありません。素材によって変色や錆の原因となる可能性がある点もそのひとつです。さらに、切削油の飛散による作業効率の低下や環境的な問題などもあります。水溶性切削油の種類水溶性切削油は一般的に水道水を使って10倍~80倍に希釈して使用します。濃すぎると金属に付着した油による影響が懸念され、逆に薄すぎると水による錆などの原因となるため、適量に薄めて使用する必要があります。水溶性切削油は冷却性に優れている他、切削時の熱や火花から引火する危険性がなく、無人による作業の自動化が期待できます。エマルション(A1種)エマルションは10~30倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと乳白色になります。水と油、界面活性剤から成り、水溶性切削油の中で最も潤滑性が高い切削油です。鉄やアルミ、銅など、切削加工全般に使用されています。ソリューブル(A2種)ソリューブルは10~50倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと半透明、もしくは透明になります。エマルションに比べて洗浄性や冷却性が高く、潤滑性は劣ります。ソリューション(A3種)ソリューションは30~80倍程度に希釈して使用され、水に溶かすと透明になります。浸透性と冷却性に優れている一方、潤滑性がなく、被切削物に対するダメージや肌荒れが起こりやすい油種となっています。不水溶性切削油の種類不水溶性切削は鉱油や脂肪油を主成分としています。水溶性に比べて冷却性は劣りますが、潤滑性や防錆性に優れており、切れ味の良さや、工具の寿命、加工面の品質向上が期待できます。また、使用する油によって粘度が異なりますが、一般的に低粘度のものほど浸透性に優れており、隙間に浸透し、潤滑や冷却に高い効果を発揮します。油種は大きく分けて4種類に大別されますが、すべてに引火の危険性があり、消防法によるところの「危険物」に該当します。そのため管理・使用には法律に基づいた予防措置が必要になります。油性形(N1種)油性形は鉱物と脂肪油を主成分とし、切削時に局部の焼き付きや切削性の向上を目的に使用される、極圧添加剤を含まないタイプです。非鉄金属の加工や鋳鉄の切削加工に多く用いられます。不活性極圧形(N2種)N1種の成分に極圧添加剤を含み、銅板腐食が150℃で2未満のものが該当します。不水溶性切削油の中で最もスタンダードなタイプで、一般的な切削加工に幅広く用いられています。不活性極圧形(N3種)N1種の成分に極圧添加剤として硫黄分を含み、銅板腐食が150℃で2以上のものが該当します。耐溶着効果が高く、仕上げ面を得られやすいため、難素材の加工に多く選ばれます。ただし、硫黄によって変色する金属もあるため使用には注意が必要です。活性極圧形(N4種)N1種の成分に極圧添加剤として必ず硫黄分を含み、銅板腐食が100℃で3以上のものが該当します。タップ加工やリーマ加工、ブローチ加工をはじめとする低速加工に多く用いられ、難素材の加工に適しています。

  • ボール盤とは?構造、種類、フライス盤との違い

    ボール盤は、様々な素材の穴あけを主要機能とする工作機械です。旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどと同じく、切削加工を行うための機械で、機械に取り付けた切削工具によって材料を削り出すことで加工を行います。金属・樹脂の加工工場や部品工場には、必ずと言ってもいいほど設置されている機械で、材木の成形加工を行う製材所などでも用いられています。他の工作機械と比べると安価で、DIYで使用できるような卓上のものもあります。この記事では、ボール盤とは何かというところから、その構造や種類、ボール盤で実行できる加工方法や使用されているドリルについて解説していきます。フライス盤や旋盤との違いについても触れているので、参考にしてください。ボール盤とはボール盤とは、木材や樹脂材、金属材などに対して、穴あけ加工や中ぐり加工、リーマ加工などを施すことで、材料の不要部分を除去し、材料を所定の形状に成形するための工作機械のことです。主にツイストドリルやセンタードリル、リーディングドリルなどの各種ドリルを装着して使用しますが、以下のような切削工具も用いられます。・リーマ…穴の形状を整えたり、内面を仕上げたりするための切削工具・タップ…穴の内面にネジ山を刻む(雌ネジを切る)ための切削工具・中ぐりバイト…穴の径を拡張するための切削工具・カウンターシンク…面取りやバリ取り、皿モミを行うための切削工具・面取りカッター…面取りやバリ取り、皿モミのほか、センタリングや穴あけも可能な切削工具・ホールカッター(ホールソー)…板材に大口径の貫通した穴をあけるための切削工具参考:【面取りカッター】種類、材質、サイズ、角度ボール盤では、工作物を固定し、回転する切削工具を工作物に向けて垂直に下ろすことで加工を行います。ボール盤は、高精度の穴を容易にあけることができる機械ですが、安全に十分配慮しないと怪我などに繋がりやすいというデメリットもあります。ボール盤の構造と各部の名称引用元:機械工学事典 > 生産加工・工作機械「ボール盤」一般社団法人日本機械学会ボール盤の基本的な構造は、上図のようになっています。ボール盤は、大まかに、主軸やモーターなどを備える主軸頭、工作物を固定するテーブル、主軸頭とテーブルを支えるコラム、コラムを支えるベースから構成されています。主軸頭主軸頭は、ドリルの回転軸となる主軸とその動力源となるモーター、回転数や回転力(トルク)を変えるプーリー、動力をモーターから主軸に伝達するベルト、主軸を操作するハンドルを備え持つ部位のことです。上図における、右上の樽状のものがモーター、主軸とモーターの上に位置するベルトが掛けられているものがプーリーです。●ドリルドリルは、穴あけを行うための切削工具です。ボール盤では、鉛直軸周りの回転運動を与えられ、鉛直方向に送られて工作物に接触し、工作物を削ります。●ドリルチャックドリルチャックは、主軸に取り付けられて、ドリルのシャンク(柄部)を掴んで保持し、主軸の回転運動をドリルに伝える保持器具です。ただし、主軸の取り付け口の形状によっては、主軸とドリルチャックとの間にアーバーと呼ばれる接続器具を挟むことがあります(下図参照)。引用元:ビルディマガジン > ツール「卓上ボール盤の特長・選び方とおすすめ機種を分かりやすく解説」ビルディ株式会社●主軸主軸は、ドリルを回転させるための軸のことです。スピンドルとも呼ばれます。参考:スピンドルとは?構造、原理、種類、用途●ベルト…モーターで生成された動力を主軸に伝達するためのシームレスな帯状部品です。通常は安全のため、下図のようにベルトカバーで覆われています。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校●プーリープーリーは、ベルトを掛ける滑車として働き、モーターから主軸への動力の伝達を補助する部品です。また、ボール盤のプーリーは、直径が異なる複数の円盤が連なっており、ベルトを異なる直径の円盤に掛け替えることで、自動車のトランスミッションのように、軸の回転速度を変更することができます(下図参照)。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校ベルトの掛け替えは、主軸の回転数を変更する度に必要となり、非常に手間が掛かる作業です。そのため、動力をベルトではなく、歯車で伝達しているものもあり、そのようなボール盤であれば、レバーを引くなどの簡単な操作で主軸の回転速度の変更が可能です。また、インバータによってモーターに供給する電力の周波数を制御して、モーターの回転数を連続的に制御できるようにしたボール盤もあります。それならば、稼働中でも主軸の回転数変更が可能となるため、作業時間の大幅な短縮に繋がります。●ハンドルハンドルは、主軸の上下への送りを操作するためのもので、手動でドリルを鉛直方向に送る手送りと一定の送り速度でドリルを鉛直方向に送る自動送りの双方を行うことができます。テーブルテーブルは、工作物を固定する台となるもので、通常、バイス(万力)やクランプが備え付けられています。参考:バイス(万力)種類・材質・用途テーブル自体を上下、または左右に移動させるハンドルが備わっており、ハンドル操作によって、テーブルを鉛直方向に動かしたり、コラムを中心に回転させたりすることができます(下図参照)。引用元:基盤整備センター「kaicho_1-9.pdf」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校コラムコラムは、ベースの上に垂直に固定された機械を構成する柱で、主軸頭とテーブルを支える役割を持ちます。ベースベースは、直接的にはコラムを支える、機械全体の土台となる構成部品です。アンカーボルトでコンクリート地面に直接固定したり、ボルトで重量のある台座に固定したりします。ボール盤の種類ボール盤には、様々な種類があります。DIYで使えるような小型のものから、大物の加工に向いたもの、流れ作業に適したものなど、工作物の形状やサイズ、作業場の状況などに応じて、適したものを選定する必要があります。ここでは、代表的なボール盤の種類についてご説明します。直立ボール盤引用元:機械工学事典 > 生産加工・工作機械「直立ボール盤」一般社団法人日本機械学会直立ボール盤は、主軸が上下のみに動く、コンクリート床に直接据え付けたり、大型の台座に固定したりして用いるボール盤です(上図参照)。工場などでよく用いられているボール盤で、単にボール盤と言う場合は直立ボール盤のことを指します。直立ボール盤は、主軸の水平位置が固定されているため、工作物そのものや工作物を固定するテーブルを動かして加工する際の位置決めを行います。そのため、比較的小形の工作物の加工に適しています。また、テーブルは、加工作業時には固定しますが、上下方向だけでなく、水平方向に移動可能なものやコラムを中心に水平回転が可能なもの、傾斜可能なものなどがあります。ラジアルボール盤引用元:製品情報 > 工作機械部門「ラジアルボール盤シリーズ」大鳥機工株式会社ラジアルボール盤は、主軸が鉛直方向だけでなく、水平面内でも自由に移動可能なボール盤です。テーブルがなく、ベースがテーブルの代わりとなって工作物を固定することになりますが、主軸の自由度が高いため、工作物を動かすことなく、複数箇所を加工できます。ラジアルボール盤の主軸頭は、コラムを中心に旋回するアームに取り付けられており、アームに沿った移動も可能です。そのため、アームの届く範囲内であれば、主軸を水平面内の任意の位置に配置することができます。ラジアルボール盤は、主に大型、または重量のある工作物の加工に用いられます。卓上ボール盤引用元:電動工具 > 締付・穴あけ・ハツリ > 卓上ボール盤「TB-1131K」京セラインダストリアルツールズ株式会社卓上ボール盤は、ベンチドリルとも呼ばれる、作業台の上に設置して使用する小型のボール盤です。基本的な構造は直立ボール盤と同様で、主軸が上下にのみ動き、前後左右には動かないため、工作物やテーブルを動かして位置決めをして加工を行います。小型である分、工作物を固定するテーブルも小さく、小型・軽量である製品の製作やDIYなどに用いられています。多軸ボール盤引用元:多軸ボール盤・タップ盤「小型多軸ボール盤・タップ盤シリーズ」東洋精機工業株式会社多軸ボール盤は、一つの主軸頭に複数の主軸を備え持つ、同時に複数箇所の加工が可能なボール盤です。主軸頭内で主軸の配置を変化できるようになっています。主に8~12軸程度のものが使用されていますが、30以上の軸を持つものもあります。大量生産に向いており、複数箇所の穴あけを大量の材料に適用する場合などに効果的です。ただし、多数ある主軸の配置変更には時間が掛かるため、少量多品種生産には適していません。汎用の機種は少なく、特定の製品の専用機として製造され、生産ラインの特定の作業に用いられることが多いボール盤です。多頭ボール盤引用元:India | suppliers | manufacturers | Machinery「Gang Drilling Machine」Eifco Machine Tools多軸ボール盤は、多軸ボール盤と対照的に、一つの主軸を持つ複数の主軸頭を備えたボール盤です。複数の主軸頭で共通のテーブルを使用し、一つの工作物を各主軸頭の直下に順次動かしていくことで、穴あけやねじ切り、座ぐりなど、複数種類の加工を順番に実行できるようにしています。深穴ボール盤引用元:「ガンドリル加工とBTA加工の違い」株式会社不二新製作所深穴ボール盤は、他種のボール盤よりも狭く深い穴を加工する場合に用いられるボール盤です。深穴加工機やガンドリルマシンとも呼ばれ、もともとは、小銃や猟銃などの銃身の穴あけのために開発された工作機械です。ガンドリルやBTA工具と呼ばれる専用工具を使用し、ドリルを横に向け、ドリルの先端に空いた穴から切削油を供給しながら深穴加工を行います(上図参照)。深穴加工とは、穴の深さが直径の10倍を超える穴あけ加工のことですが、近年では、口径0.5mm以下の穴でも深さが50mm(0.5mmの100倍)程度まで加工可能なガンドリルが数多く登場しています。精度の要求が高いシリンダーやスピンドル、自動車のクランクシャフトなどにおいて深穴加工の需要は多く、深穴加工機は、自動車や航空機、情報家電などの薄型化・軽量化が進む部品の加工などでも用いられるようになっています。タレットボール盤引用元:Product list > Machining Center「Self-Unit V6: #30 Turret/Vertical Compact Machining Unit」SUGINO MACHINE LIMITEDタレットボール盤は、複数の切削工具を取り付けられるタレットと呼ばれる回転式の刃物台を備え持つボール盤です。タレットに複数種の工具を予め装着しておくことで、工具交換に掛かる時間を短縮することができます。例えば、タレットにドリルとタップ、面取りカッターを装着しておけば、穴あけ加工、ねじ切り加工、穴の面取り加工を連続的に実行できます。NCボール盤NCボール盤は、NC(数値制御)によって自動的に穴あけ加工などを実行できるボール盤です。最近では、コンピュータを通してNCの設定が可能なCNCボール盤も存在します。NCボール盤では、加工穴の位置や深さなどを予めプログラムしておくことで、自動的な加工が可能となります。主軸の移動もプログラムすることが可能であることから、複数箇所の連続的な加工も自動化できます。自動送り装置と組み合わせれば、ボール盤による加工を完全に自動化した生産ラインの一工程とすることも可能です。量産化や工数削減などによるコスト低減のほか、作業員の怪我防止や品質の安定化などのメリットがあります。しかし、導入費用が高かったり、NCのプログラム技術や加工ノウハウが必要となったりするなどのデメリットもあります。ボール盤でできる加工ボール盤は、主軸に装着する切削工具を交換することで、多様な加工が可能です。ここでは、ボール盤でできる代表的な加工方法についてご紹介します。穴あけ加工穴あけ加工は、ドリルによって円筒形状の穴をあけるという、ボール盤の最も基本的な加工方法です。貫通させる場合(通り穴・貫通穴)もあれば、設定した深さで止める場合(止まり穴)もあります。通常、側面の溝にねじれがあるツイストドリル(上図参照)が用いられます。穴あけ加工は通常、以下の手順で行います。1. 穴のセンタリング(位置決め)を行う2. 下穴をあける(ドリルによる穴あけ加工)3. 穴の用途に応じて、下穴へ中ぐり加工やリーマ加工、ねじ切り加工、座ぐり加工などを施す穴あけ加工の前に、まず、実行されるのが穴の中心に窪みなどの位置決め穴をあけるセンタリングです。センタリングは、センターポンチなどのケガキ工具やセンタードリル・リーディングドリルなどの切削工具を用いて行われます。位置決め穴をあける理由は、加工穴の精度確保のためでもありますが、位置決め穴がないとドリルの先端がブレて中心がズレてしまうことがあるからです。ただし、近年、ドリルの性能が向上したことにより、位置決め穴がなくても、十分な精度の穴あけ加工が可能となっています。しかし、高精度な穴あけ加工が要求されている場合には、やはりセンタリングが必須です。センタリングの後、ドリルを使用して穴をあけます。しかし、ドリルによってあけられる穴の口径は限られます。また、ドリルによる加工穴は、加工面が粗く、精度も十分ではありません。そのため、穴の用途に応じて、さらに中ぐりやリーマなどの加工が施されます。リーマ加工引用元:工具の通販モノタロウ > 切削工具の基礎講座「6-4リーマ」株式会社MonotaRO(ものたろう)リーマ加工は、穴の寸法精度を高めたり、穴の内面を滑らかに仕上げたりするために、ドリルであけた穴の内側を薄く削る加工方法です(上図参照)。リーマと呼ばれる切削工具が用いられます。リーマ加工の前にあけた下穴は、リーマの直径から0.1mm~1.0mm程度小さい口径としますが、ドリル径が足りない場合は、リーマ加工の前に中ぐり加工を施して口径を広げます。リーマは、円筒形状の切れ刃などを備えた本体にシャンクが付いたような構造をしており、円筒側面の先端から、切れ刃、切れ刃に続いてマージンと呼ばれる部位があります。切れ刃は穴の内面を削って寸法精度を高め、マージンは穴の内面を潰すことで表面を滑らかにする役割を担います。リーマ加工は、精密性を要する作業であるため、主軸の振れやチャックのガタツキなどに注意する必要があります。工作物の水平が取れているかを確認することも重要です。参考:リーマー(リーマ)の種類、サイズ、下穴径と深さ、ドリルとの違いねじ切り加工引用元:製品情報 > タッピンねじ > タップレス「ITM」イワタボルト株式会社ねじ切り加工は、ドリルであけた穴の内側に、タップと呼ばれる切削工具で、ボルトなどを通すための雌ネジのネジ山を形成する加工方法です。タップ立てやタッピングとも呼ばれます。タップは、上図中央図に見られるように、側面にネジ山のような鋭利な山が連続的に連なった構造を持ちます。ポイントタップなどの通り穴用とスパイラルタップなどの止まり穴用があり、止まり穴用には、切り屑を排出するための溝があります。ボール盤でねじ切り加工を行う場合、穴に形成するネジ山の間隔が決まっているので、自動送りによってタップを送ってねじ切りを行います。ボール盤をタップと工作物の固定具にして、手動でねじ切りを行うこともあります。その場合、まず、タップハンドルと呼ばれる手動工具にタップを取り付け、タップはボール盤に固定された工作物の下穴に合わせます。次に、ボール盤の主軸にセンタと呼ばれる支持具を取り付け、センタをタップの柄のセンタ穴に合わせてタップを保持します(下図参照)。この状態でタップハンドルを回しながらセンタを手動で下方に送ると、タップの曲がりを心配することなく、ねじ切りを行うことができます。引用元:工具の通販モノタロウ > 加工現場の手仕上げ作業の勘どころ「8-2タップおよびダイスによるねじ立て作業」株式会社MonotaRO(ものたろう)中ぐり加工引用元:工具の通販モノタロウ > 切削工具の基礎講座「6-4リーマ」株式会社MonotaRO(ものたろう)中ぐり加工は、ドリルであけた穴をさらにくり抜いて内径を削り広げる加工方法です。中ぐりバイトと呼ばれる切削工具が用いられます(上図参照)。中ぐりバイトは、上図のような構造で、先端に備えた超硬合金などから成るチップによって穴の内面を削り出します。チップは通常、交換が可能となっています。中ぐり加工を止まり穴に適用する場合、切り屑が内部に溜まりやすく、切り屑によって穴の内面がキズつきやすくなっています。定期的に加工を止め、切り屑を排出する必要があります。また、工具が穴の底に強く当たると、欠けなどの原因となるので、穴の深さに余裕を設けるか、工具をゆっくり送るようにしましょう。座ぐり加工座ぐり加工は、座ぐり穴を形成するための加工方法です。座ぐりとは、ネジやボルトを締めたとき、それらの頭部が工作物表面の下に沈み込むように、ネジ穴の周辺を凹形状に加工することです。そのネジ穴の周囲にあけた穴が座ぐり穴で、上図に見られるような、座ぐりカッターや後述する座ぐりドリルと呼ばれる特殊なドリルで形成されます。座ぐり穴にネジ・ボルトを締めると、工作物表面のネジ頭部による出っ張りがなくなり、表面は平らな仕上がりとなります。それによって、美観が良好になるほか、製品をキズつけたり、作業員が引っ掛けたりすることもなくなります。参考:ザグリの基礎!キリとの違いや関係性、深ザグリについて解説!ボール盤で使われるドリルの種類ボール盤では、様々な種類のドリルが用いられ、ドリルを使い分けることで、多様な形状の穴の加工を実現しています。ここでは、上記でも触れたツイストドリルと座ぐりドリル、センタードリルについて説明します。ツイストドリルツイストドリルは、側面の溝にねじれがある、上図のようなドリルのことです。単にドリルと言う場合、ツイストドリルを指します。溝のねじれは、ドリルの先端で生じた切り屑をシャンク側に送る役割があり、穴あけ加工の際には、このねじれた溝を通って切り屑が排出されます。また、ねじれは、先端の切れ刃と繋がっており、切れ刃の傾きでもあります。つまり、ねじれ角(下図参照)が大きいほど、切れ刃が鋭利になるとともに、より鋭い角度で工作物表面に入ることになります。それにより、切れ味が良くなって、その結果、切削抵抗も小さくなります。しかし、切れ刃の強度は低下するため、切れ刃に欠けやチッピングが起こりやすくなります。溝にねじれがない直刃ドリルと呼ばれるものもあります。直刃ドリルは、ツイストドリルに比べて、切れ味は劣りますが、切れ刃の強度は高く、硬い素材の加工や傾斜に対する穴あけ加工に用いられます。上述したように、ドリルによる穴あけ加工の前には、穴の中心に窪みなどを付けることが推奨されますが、その理由の一つに、ドリルの先端にあるチゼルエッジと呼ばれる切れ刃のない部位の存在が挙げられます(下図左図参照)。チゼルエッジはドリルの剛性を左右するウェブ(ドリルの芯)が先端に表出したものですが、最近のドリルでは、このチゼルエッジを切れ刃に加工するシンニングが施されているドリルがあります(下図右図参照)。このシンニングによって、ドリルは穴あけ開始時の工作物表面への食い付きが良くなり、場合によっては位置決めの窪みも不要となります。引用元:ダウンロード > メールマガジン「2021年1月号 (第181号)」オーエスジー株式会社座ぐりドリル座ぐりドリルは、穴あけ加工と座ぐり加工を同時に実行できる、上図のようなドリルのことです。その寸法は、ネジやドリルの規格に合わせたものがほとんどであり、先に付いているドリルの直径はネジ・ボルトの呼び径より少し小さく、中央の座ぐり刃の直径はネジ・ボルトの外径より少し大きくなっています。ただし、ネジ・ドリルを締めるには、さらにタップによるねじ切り加工が必要です。センタードリルセンタードリルは、先端に細いドリル、その細いドリルに続いて、さらに円錐状のドリルを備え持つ、上図のようなドリルのことです。センター穴と呼ばれる、工作物の端の中心にあけられる、センターを差し込んで工作物を支持するための穴の加工に用いられます。センター穴加工以外にも、先端のドリルのみでセンタリングや薄板の穴あけ加工を行ったり、円錐状のドリルで穴の面取り加工(下図参照)を行ったりと多様な使い方ができるドリルです。特に、センタードリルは剛性が高いため、位置決めの窪みなしでも工作物表面を滑ってしまうことが少なく、穴あけのセンタリングに有効です。また、センタードリルの円錐状のドリルは、60°や75°、90°の角度を持ちますが、90°のものであれば、皿頭ネジの頭部の角度(90°)と一致するため、センタードリルを皿モミ加工に使用することができるでしょう。フライス盤・旋盤との違いボール盤とフライス盤、旋盤は、共に材料を削り出して所要の形状に成形する切削加工を行うための工作機械です。しかし、ボール盤とフライス盤が転削加工を行うための機械である一方、旋盤は、旋削加工を行うための機械であるという違いがあります。・転削加工…回転させた工具を固定した材料に当てることで、材料を削り出す加工方法。・旋削加工…回転させた材料に固定した工具を当て、工具の位置を送り装置で調節することで、材料を削り出す加工方法。転削加工を行うための加工機械であるボール盤とフライス盤ですが、これらの機械は、加工するときの工具の送り方向が異なります。ボール盤は、水平面内で工具の位置を合わせた後、工具を鉛直下方に送ることで加工します。その一方、フライス盤は、3次元空間内で工具の位置を合わせた後、工具を前後、左右、及び上下に送ることで加工します。つまり、フライス盤は、ボール盤の機能を兼ねることが可能です。しかし、フライス盤では、ボール盤のように、材料をペンチで掴んで穴あけをするといった手軽な取り扱いはできず、工具を手動で大きく(速く)送るようなこともできません。また、ボール盤に比べて、工具交換に時間が掛かります。つまり、穴あけ加工を実行するならば、ボール盤の方がフライス盤より効率的であるということです。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!以上で述べたことにそのほかの情報を加えて、ボール盤とフライス盤、旋盤の違いをまとめると下表のようになります。ボール盤フライス盤旋盤加工方法転削転削旋削工具の送り方向上下前後左右上下前後左右材料の動作固定固定軸を中心に回転使用工具各種ドリルリーマタップ中ぐりバイトカウンターシンク面取りカッター正面フライス溝フライス平フライス側フライスエンドミルドリルサイドカッター片刃バイト剣バイト突切りバイトねじ切りバイト中ぐりバイトドリル実行可能な加工方法穴あけ加工リーマ加工ねじ切り加工中ぐり加工座ぐり加工外形加工側面加工曲面加工溝加工段差加工穴あけ加工中ぐり加工外径加工内径加工端面加工ねじ切り加工穴あけ加工突切り加工テーパー加工精密性普通とする高い高い

  • 【ステンレスの切削加工】工具選定や切削条件、加工時のポイント

    今回はステンレスの種類・特徴や切削加工時の工具選定などのポイントについて解説します。ステンレスはサビにくく、強度も備えた材料です。その優れた性質から、さまざまな用途で採用されています。しかし難削材とも呼ばれる材料で、被削性に乏しい特徴もあります。ステンレスの鋼種はJIS規格に記載されているものだけでも豊富にあるほか、メーカーによっては独自で開発した鋼種まであります。鋼種の違いによって特性に違いがあり、それぞれに適した用途で使い分けられます。ステンレスの切削加工が難しいと言われる理由ステンレスは耐食性や強度に優れている一方で、難削材とも言われる鋼材です。その理由は、一般的な鋼に比べて熱伝導性が低いことと、加工硬化が発生しやすい点にあります。熱伝導性が低いと切削加工を行った際に刃先に熱が集中し、切粉が逃げにくくなります。また、熱が溜まった刃物は破損しやすくなってしまいます。加工硬化とは、金属に負荷をかけると金属が硬くなる現象のことで、ステンレスの切削加工においては、適切な刃物や切削条件を選ぶ必要があります。参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介!ステンレスの切削加工の工具選定ステンレスを切削する際の工具材質は、耐摩耗性に優れたコーティング付き超硬合金製のものが有効です。工具の形状については、エンドミルの場合、強ねじれ刃が熱による負担を軽減できます。剛性があり、刃にかかる負担が少ない多刃やポジティブすくい角などの形状も効果的です。ドリルで穴あけ加工を行う場合は、ねじれ角が途中で変化したデュアルリードドリルが有効です。デュアルリードドリルを用いることで、切粉の排出性と剛性を両立できます。ステンレスを切削加工する際のポイントステンレスは切削加工で一定以上の負荷がかかると硬化してしまう特性があるので、温度が高くなりすぎないようにクーラントを必要とします。クーラントは切削箇所にエアーを供給するので十分ですが、仕上げ切削では、切れ刃の逃げ面側にオイルミストを供給すると、逃げ面の摩耗を抑えられ、切削面精度と工具寿命の向上が期待できます。エンドミルでステンレスを切削加工する際は、切込み量を少なめ、送り量(mm/刃)を多く設定するのがポイントです。ステンレスの種類と特徴オーステナイト系オーステナイト系のステンレスは、18クロム-8ニッケルのSUS304が代表的です。延性と靭性に優れており、深絞りや曲げ加工などの冷間加工性や溶接性も良好です。耐食性にも優れた材料なので、幅広い用途で採用されています。製造量は全ステンレスのなかでも多く、薄板・厚板・棒・管・線など、形状も全般的にラインナップされています。オーステナイト系ステンレスの切削加工については、粘り気があり、加工硬化を起こしやすいことから適していません。参考:オーステナイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめフェライト系フェライト系のステンレスは、18クロム系のSUS430が代表的です。熱処理により硬化することが少なく、主に焼なまし状態で使われています。マルテンサイト系よりも成形加工性・耐食性が優れており、溶接性も乏しくないことから、厨房用品や建築内装、自動車部品などの一般耐食用として採用されています。形状は主に薄板や線がラインナップされています。フェライト系ステンレスの切削加工は、オーステナイト系に比べて加工硬化しにくく、加工変態(オーステナイトがマルテンサイトに変化すること)も起こらないため、加工難度は低い傾向にあります。参考:フェライト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ二相系二相系のステンレスは、オーステナイトとフェライトの2つの金属組織をもちます。物理的性質については、オーステナイトとフェライトの中間になります。耐海水性と耐応力腐食割れ性に優れているほか、強度も良好です。これらの特性から、海水や工業用水を用いるポンプなどに利用されています。二相系の形状は、主に厚板や管、鋳物が代表的です。二相系ステンレスは、オーステナイト系に匹敵する加工硬化性を示すため、難削材に該当します。参考:二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼の基礎知識まとめマルテンサイト系マルテンサイト系のステンレスは、13クロム系のSUS403・SUS410が代表的です。マルテンサイト系は焼入れにて硬化し、成分と熱処理条件を選ぶことで、さまざまな性質が得られます。フェライト系とオーステナイト系よりも乏しいものの耐食性もあります。そのほかに、耐熱性や耐酸化性に優れているのも特徴です。用途は高強度・耐食性・耐熱性を要する機械構造用部品が挙げられます。マルテンサイト系ステンレスの形状は、主に棒鋼や平鋼で使われていることがほとんどです。マルテンサイト系は硬くて加工しにくいため、焼きなましをしてから加工を行うのが一般的です。焼きなまし状態では、フェライト系と同等の被削性になります。参考:マルテンサイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ

  • ブローチ加工の種類、切削条件、メリット・デメリット

    ブローチ加工は、金属を削って決まった形状に整えていく切削加工の一種。「ブローチ」と呼ばれる特殊な工具を使い、金属の穴を決まった形状に整える加工方法です。洋服の襟などにつける装身具のブローチを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、洋服は「brooch」、ブローチ加工は「broach」なので、関連性はありません。ブローチとは、棒状の切削工具を意味し、ブローチを使って金属を削る技術のことをブローチ加工と呼んでいます。今回は、このブローチ加工について、特徴やメリット、デメリットなどをご紹介します。よく同列で登場するスロッター加工との違いについても解説します。ブローチ加工とは引用元:ライコムシステムズ(YouTube)ブローチ加工とは「ブローチ」と呼ばれる特殊な切削工具を使い、金属を決まった形状に加工する除去加工の一種です。エンジンの部品や歯車のキー溝を彫るのに欠かせない加工方法で、スプロケット、スプライン、歯車などを製造する際に多く用いられます。そのため、自動車や飛行機の部品製造によく使われています。金属の外側を決まった形状に削る「表面ブローチ加工」と、内側の穴に貫通させる「内面ブローチ加工」の2種類があります。いずれも金属に対し、ブローチを一定の速度で貫通させることで表面を削る加工方法です。ブローチ加工の切削条件ブローチ加工では、素材に合わせ、最適な切削条件を設定する必要があります。短時間で金属を削り、粗加工から仕上げまで全行程をこなすため、ブローチの工具には硬度の高い金属が用いられます。ただ、硬ければ良いという訳ではなく、素材によって相性の良い素材が異なります。炭素鋼やステンレス鋼、チタン合金など、加工する金属はさまざま。そのため、それぞれの金属の硬度に合わせてブローチも最適な素材をチョイスしなければなりません。さらに、加工速度なども調整することで、良質な部品の加工に繋がります。ブローチ加工のメリットとデメリットブローチ加工は特定の条件において大きな効果が得られる加工法です。活用できるシーンが限られているため、メリット・デメリットが明確に分かれています。きちんと把握し、効果的に活用しましょう。ブローチ加工のメリットブローチ加工のメリットは下記の通り。・短時間・1工程で加工が完了する・同一部品の再現精度が高い・他ではできない加工が再現できる・少人数での管理が可能●短時間・1工程で加工が完了するブローチ加工は、旋盤加工なら複数の工程を経なければ完成させられない部品を、ブローチ盤で工具を引き抜くという一工程だけで、粗加工から仕上げまで完了させられます。そのため、同じ部品を大量に製造することができます。●同一部品の再現精度が高いブローチ加工は至ってシンプルな工程のため、仕上がりに大きなズレがありません。そのため「高品質・高精度」の部品を、短時間で大量に製造できます。●他ではできない加工が再現できるキー溝の形状などによって、ブローチ加工でしか実現できない部品もあります。実現が難しい螺旋状の内溝なども、ブローチ加工を用いれば簡単に実現できます。●少人数での管理が可能特殊な形状の加工を実現させるブローチ加工ですが、作業自体は特別な技術を必要としません。そのため、熟練度の低いスタッフでも、1人で全行程を完了でき、大量生産において大きなコストダウンに繋がります。ブローチ加工のデメリットブローチ加工のデメリットは下記の通り。・少量生産はコスパが悪い・不得意な加工もある●少量生産はコスパが悪いブローチ加工は、加工する部品に合わせて専用のブローチを製造します。ブローチはかなり高額で制作に時間もかかるため、少量生産だとコストパフォーマンスがかなり低めです。●不得意な加工もあるブローチを貫通させることで一度にすべての工程を完了させるため、貫通させない加工は不得意です。スロッター加工とブローチ加工の違いよく、ブローチ加工と並べて登場するのがスロッター加工。スロッター加工は金属に対し、刃物を取り付けたラムを垂直に上下動させながらキー溝加工を行います。どちらもキー溝加工に用いられますが、スロッター加工の得意分野は「小ロットの止まり穴」。ブローチ加工の不得意な部分を得意としている加工法です。

  • Mitsuri|金属加工

    ポケット加工とは?加工手順とヌスミ

    今回はポケット加工の基礎知識について解説します。ポケット加工は、材料に対して丸や四角など、一部の領域を一定の深さまで加工することを指します。単純そうに見える加工ですが、使用する工具の都合により、設計の際に気を付けなければならないポイントがあります。また、ポケット加工は削り出しの量も多いことから、加工方法についても注意点があります。設計者必見!安くなるポケット加工設計のコツこちらの動画では、ポケット加工の値段が上がってしまう背景や、コストを抑えて設計出来るコツをご紹介しています。コスト低減する方法についてお悩みの方は是非ご覧ください!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!ポケット加工とはポケット加工とは、貫通穴とは違い、ワークに対して四角や丸などの凹みを設けるための加工のことです。工作機械は主にマシニングセンタやフライス盤を使用します。引用元:小池製作所 アルミプラス ポケット加工ポケット加工は、上図のように標準的な掘り込みの加工のほかに、段違いポケットや島残しポケットの加工も含まれます。(上図左から、通常ポケット・段違い・島残しの形状)加工は基本的にエンドミルを用いるため、コーナー部にはエンドミルの半径分のアールが付きます。ピン角の加工は、放電加工により実現可能なものの、余分に手間がかかってしまうためコストも高くなります。ポケット加工の手順標準的なポケット加工を行う場合は、スクエアエンドミルやラジアスエンドミルなどを用います。フラットエンドミルは先端形状が平坦なもので、加工の底面を平坦にしたい場合にぴったりの切削工具です。ラジアスエンドミルはスクエアエンドミルの底刃と外周刃の繫がる部分がアール形状になったタイプで、ポケット加工の荒加工・中仕上げ加工において寿命の面に優れているほか、高速ミーリングにより切削時間の短縮をするのに便利です。ポケット加工はエンドミルを使用するため、コーナー部は基本的にピン角ではなく、R形状になります。仮にコーナー部分のRが5の場合は、倍の数値である直径10mmより一段階小さい直径8mmのスクエアエンドミルを基本的に使用します。引用元:MiSUMi-VONA 技術情報 ポケット加工時のドリル下穴加工を削減する方法エンドミルを使ったポケット加工の方法は大きく分けて2つあります。1つ目は、ランピング(傾斜)またはヘリカル(螺旋)切削で切り込み、横方向に切削する方法です。この方法は、回転数を高くしたまま切削が行えることから、底の浅いポケット加工を施す際に効率よく加工できます。そのほかにも、エンドミルの外周部を使った加工のため、工具の負担が少なく、長持ちしやすいというメリットがあります。2つ目は、突っ込み(ドリリング)加工により必要な深さまで下穴加工し、そこからエンドミルを使った繰り広げ加工でポケットを設けます。こちらの方法は、底が深くて幅の小さいポケット加工をするのに適しています。ただし工具刃先の負担が大きくかかるため、突っ込み加工に対応した専用の工具を使う必要があります。マシニングセンタのポケット加工プログラムによる数値制御の「NC」と、コンピューター制御によって工具を自動で交換できる機能「ATC」を備えた工作機器であるマシニングセンタにて、ポケット加工は可能です。マシニングセンタは、荒加工や仕上げ加工による工具の交換作業における位置ズレの心配がなく、人の手を使わずに加工を行えることから、難しいポケット加工が可能なほか、高品質の加工を実現します。NCによる動作のため、CAMでプログラムを作成して、事前に工具の動きをチェックできる点もポイントです。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:CAMとは?種類、CADとの違い、特徴、メリットフライス盤でのポケット加工マシニングセンタだけでなく、フライス盤でもポケット加工は可能です。ただし島残しなどの複雑なポケット加工を行う場合は、汎用フライスでの加工は困難なため、基本的にNCフライスやマシニングセンタを用います。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!ポケット加工とヌスミ引用元:超硬加工.COM ポケット加工へのヌスミ追加による加工時間の短縮ポケット加工は、加工時間を短縮したい場合や、直角形状の製品を嵌め合わせるものの場合、ヌスミ(逃げ)を設けることがあります。ヌスミを設けた場合、コーナー部のアール寸法を無視できるため、細かいアールが指定されていたときに比べて小径のエンドミルを使う必要がなくなり、加工時間やコストを削減できます。また、直角形状の製品を嵌め合う場合においても、ヌスミを設けることで放電加工のような複雑な追加工をする必要がなくなります。

  • 汎用旋盤(普通旋盤)の基礎|旋盤加工の概要、NC旋盤についても併せてご紹介!

    旋盤とは、金属加工で用いられる主要な工作機械の一つです。大根のかつら剥きのように、回転させた素材に刃物を押し当て、不要な部分を取り除き、目的の形状を削り出していく機械のことを指します。旋盤には、コンピュータ制御によるものなど、様々な種類がありますが、手動で操作する汎用旋盤も製品によってはメリットが多く、まだまだ現役で使用されています。そこで、今回の記事では、汎用旋盤の基礎的な知識やメリット・デメリットについて説明していきます。旋盤加工の概要、汎用旋盤のNC旋盤との違いについても併せてご紹介しますので、ぜひご覧ください。汎用旋盤と旋盤加工の概要汎用旋盤は、旋盤加工に用いられる工作機械です。旋盤加工機には、NC旋盤やタレット旋盤など、いくつかの種類がありますが、特に手動で操作する、標準的な構造を持った旋盤のことを汎用旋盤と言います。単に「旋盤」と言う場合には、汎用旋盤を指すことが多く、また汎用旋盤を「普通旋盤」と呼ぶこともあります。旋盤加工は「削る」ことを主眼においた加工旋盤加工とは、材料を削ることで加工を行う切削加工の一種です。回転させた材料に「バイト」と呼ばれる切削工具を当てて材料の一部を削り取り、目的の形状を削り出していく加工方法のことを指します。旋盤加工では、このバイトを加工法に合わせて交換することで様々な形状が加工可能となります。材料の外周を円形や先細形状(テーパ)に加工する、材料に内側からバイトを当てて内径を加工する、溝を掘り進めて材料の一部を切断するなど、専用バイトを使用することで多様な形状を実現することができます。旋盤加工では、回転している材料を削るため、多くの場合材料には円形断面の棒材を用いています。しかし、材料を固定する「チャック」を変えることにより、四角形状の材料や、より歪な形状の材料も加工可能です。なお、下の写真は、4つの爪を持つチャックに四角形状の材料を固定したものです。また、加工後の形状が回転軸に対して対称となるため、完成品の形状も円筒や円錐、皿形といった対称形になります。ただし、材料を脱着するなどして、材料の回転軸を変えて削れば、より複雑な形状に加工することが可能です。汎用旋盤は手動で行う旋盤加工機引用元:機械設計エンジニアの基礎知識旋盤加工に使用される旋盤加工機の中でも、バイトの移動を「手動」で行うのが汎用旋盤です。汎用旋盤では、上図のように、バイトの土台にハンドルやレバーなどが存在し、これらを手動操作することでバイトの位置を決定します。このバイトを動かし、固定位置で回転している材料に当てることで、材料を削っていきます。なお、上図中のバイトの右方にある装置は、「心(芯)押し台」と呼ばれるものです。心押し台により、材料の回転中心を押して支えたり(下図参照)、ドリルやリーマなどを取り付けて穴加工を行ったりすることが可能となります。また、材料の回転中心を決定する「心出し」にも利用可能です。引用元:国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所プログラムを利用するNC旋盤加工機との違い手動で操作する汎用旋盤に対し、予めプログラムした手順通りにバイトを動かし、「自動」で加工していく旋盤加工機がNC旋盤です。NC旋盤では、縦・横・高さの座標軸を設定してバイトの位置を数値に落とし込み、バイトの移動を機械が制御します。本体付属の操作パネルに数値を入力して操作するのが一般的ですが、現在では、コンピュータに接続して操作するNC旋盤もあります。そのようなNC旋盤は、特に「CNC旋盤」と呼ばれます。NC旋盤では、プログラムを設定して材料をセットすれば、旋盤加工を全自動で行うことができます。この点、機械に張り付き、手作業で一つ一つ加工していく汎用旋盤とは異なります。また、加工は機械的に行われるため、作業員の技術や調子に依存することなく、高精度の加工を安定して行うことが可能です。しかし、その一方で、汎用旋盤の場合にはない、事前のプログラム作成という工程が必要となります。そのため、NC旋盤は、特注品の製造には向いておらず、製品のロット数が少ない場合には、汎用旋盤よりも工数や全体としての製造時間が長くなることがあります。また、追加工などへの対応にも、その都度、プログラム作成が必要となることに注意が必要です。とは言え、NC旋盤のプログラム作成には、バイトの送り量や材料への切り込み量、バイト交換のタイミングなど、汎用旋盤において手作業で行っていた全ての作業手順と操作をプログラムに落とし込まなければなりません。そのため、汎用旋盤は、作業者の技術教育のために現在でも重要な機械であり続けています。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!汎用旋盤のメリット・デメリット汎用旋盤メリット・試作品や特注品の加工に向いている・変更や修正、追加工が用意・バイト交換時における補正が不要・切り屑の状況や削った感触などが分かる汎用旋盤デメリット・作業者の技術によって作業品質が変わる・作業員が機械に張り付いている必要がある・大量生産に向かない・安全面に注意が必要汎用旋盤のメリット①単品や試作品の加工に向いている汎用旋盤では、NC旋盤では必要なプログラム作成の工程がないので、設計図さえあればすぐに加工を開始することができます。そのため、単品や特注品の加工に向いています。また、製造手順が定まっていなかったり、製作しながら微調整を繰り返したりする試作品の加工にも向いています。汎用旋盤のメリット②変更や修正、追加工が容易汎用旋盤では、一つ一つの加工を全て手作業で行います。そのため、変更があれば、その箇所の加工を変えれば良く、間違いなどがあれば、すぐに修正することができます。その点、NC旋盤を使用する場合には、加工終了までは間違い等を発見するのが難しく、発見しても変更・修正にプログラムの修正が必要となります。追加工についても、追加工用の手順を加えれば良いだけで、容易に対応することができます。一方、NC旋盤では、追加工用のプログラム作成が必要となります。汎用旋盤のメリット③バイト交換時における補正が不要汎用旋盤では、目視しながら加工を行うので、バイトが摩耗した場合でも切り込み量などを調整することで問題なく加工を行うことができます。そのため、バイト交換によって、バイトのサイズが変わった場合でも手動による補正で対応可能です。しかし、NC旋盤を使用する場合には、バイト交換やバイトの摩耗に合わせて、送り量や切り込み量などの補正値をプログラムに反映する必要があります。ただし、最近のNC旋盤では、このバイト交換に必要となる位置確認とプログラムへの補正値反映を自動で行う機能を持つものが多くなっています。そのため、むしろ汎用旋盤において手作業で行う方が実は手間になっているという側面もあります。とは言え、超高精度な製品を製造する上では、このような補正調整作業も高度な技術を持つ作業者の手の感覚には敵わない部分があります。汎用旋盤のメリット④切り屑の状況や削った感触などが分かる機械に張り付き、手作業で加工を行うので、切り屑の状況や削った感触などをリアルタイムに知ることができます。切り屑がバイトなどに絡まった場合でもすぐに分かりますし、削った感触からバイトの状態などを知ることが可能です。そのため、切り屑が絡まった場合には除去する、バイトが切れなくなった場合には交換するなどの対応をすぐに取ることができます。汎用旋盤のデメリット①作業者の技術によって作業品質が変わる手作業で加工を行うため、作業者の技術によって品質や作業スピードに差異が生じてしまいます。汎用旋盤のデメリット②作業員が機械に張り付いている必要がある加工の全行程において作業員の手を必要とするため、その分の工数がかかります。汎用旋盤のデメリット③大量生産に向かない製品一つ一つに対し、加工はもちろん、バイト交換なども全て手作業で行うため、大量生産には向いていません。汎用旋盤のデメリット④安全面に注意が必要汎用旋盤加工の作業員は、常に機械に触っている状態にあります。そのため、作業員の安全面については十分な注意が必要です。重要な注意事項としては、以下のような点が挙げられます。汎用旋盤注意事項・チャックハンドル(材料・工具をチャックに固定するための工具)は付けたままにしない・バイト交換や材料の測定は機械を停止してから行う・材料の固定や工具の取り付けは確実に行う・繊維が引っかかることがあるので、軍手はつけない汎用旋盤で対応できる加工汎用旋盤では、以下のような加工方法に対応することができます。汎用旋盤で対応できる加工外径加工外周に対する加工方法内径加工材料に空いた穴の内周に対する加工方法端面加工材料の端面を削り、全長を短くする加工方法溝入れ加工外周に溝を入れる加工方法突切り加工溝入れ加工の溝を深くしていき、切断する加工方法ねじ切り加工雄ネジや雌ネジのネジ山を成形する加工方法穴あけ加工材料の回転中心に穴を空ける加工方法テーパ加工円錐など円周が変化していく形状の加工方法ローレット加工外周に凹凸を付ける加工方法参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!ただし、ねじ切り加工やテーパ加工を精度良く行うには、バイトの送り速度を一定にする「自動送り」という機能を使用する必要があります。その場合においても、加工形状に合わせた送り速度の計算や調整が必要です。そのため、ねじ切り加工やテーパ加工、また曲面を含む形状の加工には、NC旋盤が向いています。下の写真は、汎用旋盤による加工事例で、外径・内径加工を施した後、内側に70個の溝入れ加工を施したものです。汎用旋盤は、手動で操作する旋盤であり、大量生産には向かない工作機械です。しかし、一点物や試作品の製造を得意としており、まだまだ活躍の場はたくさんあります。また、製作する製品によっては汎用旋盤の取り扱いを得意とする業者にご依頼するのも、製品の複雑性が増し、多品種少量生産が台頭している現在においては、メリットが多いのではないでしょうか。Mitsuriは、日本全国250社以上の業者と提携しています。そのため、お客様のご要望に合わせた業者をご紹介できます。お見積りは複数社から可能です!旋盤加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにご相談ください。

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    金属加工Webサービス2020年10月版カオスマップ

    製造業業界でも2017年頃から、DX(デジタルトランフォーメーション)が進んでおり、Web上で簡単に加工品の発注や、工場検索・依頼ができる環境が整い始めてきたことで、急速な発展を遂げています。その中でも今回は、金属加工のWebサービスに特化した企業・サービスをまとめてご紹介します。金属加工依頼の目的まず、金属加工依頼や部品調達時の目的は以下の二つに分けれます。1.既に製作された製品が欲しい2.設計案に則った加工品が欲しい製作された部品が欲しい際には、ECサイトの活用が適しています。一方、設計に基づく製品を求める場合には、加工業者に依頼を出すのが一般的です。加工業者例精密金型部品工場関東精密meviy野方電機工業PROTOLABSMETAL SPEEDKabuku Connect株式会社WBIMETALWORKSECサイト一般的にECサイトとは、WEBサイト上で商品・サービスを提示し、販売を行うサイトのことを指します。サイト上に製品の写真や値段が提示され、ユーザーはサイト上の情報を見て、購入の判断を行い、決済をします。今回カオスマップの作成にあたり、ECサイトを特徴ごとに以下の3つに区分しました。ECサイト1.製造業ECサイト2.金属材料ECサイト3.加工対応ECサイト1.製造業ECサイト製造業ECサイトとして区分したサイトの特徴は、製造業の広範囲にわたって必要な製品を販売していることです。サイト内で取り扱っているものは、ネジやブラケット等の金属加工部品に留まらず、化学や医療用の機器等も含まれます。製造業ECサイトMISUMIモノタロウaperza eコマース金属材料ECサイト金属材料のみを販売するサイトを、ここでは金属材料ECサイトとしました。金属材料ECサイト岩崎商店横山テクノMetal-super加工対応ECサイト加工対応ECサイトとは、簡単な加工であればユーザーがある程度寸法や角度を指定することが可能です。設計図を加工業者に提出することなく、サイト上で設計の寸法指定から発注まで全てが対応可能なことが特徴です。加工対応ECサイトE-Metals金属板.com板曲げ.com曲げ加工.com鉄板市場Mitsuri Catalogきりいた.com見積り依頼一般的に、金属加工を加工業者に依頼する際のフローは以下の通りです。①業者に設計図を提出②業者が設計図に対する見積りを回答③発注・製作開始(ユーザーの承認得た後)④発送と納品工場・金属加工業者に直接依頼するほか、後に紹介するマッチングサービスのように仲介者を通して依頼を行う場合もあります。マッチングサービス取引先開拓などで、最適な引き合わせを行うマッチングサービス。Zehitomoや比較Bizは金属加工業者に限らず、幅広い分野の専門家マッチングサービスを提供していることが特徴です。マッチングサービスZehitomo比較Biz金属加工マッチングサービスマッチングサービスの中でも金属加工に特化したものが、「金属加工マッチングサービス」です。先に述べたマッチングサービスとの違いとしては、基本的に加工業者とのやりとりにマッチングサービスの仲介者が存在し、必要に応じてサポートをします。金属加工マッチングサービスIoMファクトリーエージェントものづくりクラウドMitsuriCADDiBtoBデーターベースBtoBデーターベースとは、技術や製品などから会社を検索できるポータルサイトです。加工業者は、BtoBデータベースに製品を掲載したカタログや企業の保有技術などを公開します。一方、ユーザーはデーターベースから製品や加工方法などで検索を行い、目的に合う技術を持つ業者を探すことができます。BtoBデーターベースの多くは金属加工に限らず、製造業全般の業者を探すことが可能です。加工業者を宣伝する場・知る場となるのがBtoBデータベースと言えます。BtoBデータベースイプロスものづくりEMIDASaperza catalogまとめ2020年10月版、金属加工Webサービスカオスマップの詳しい説明でした。本マップは、Catallaxyが作成したもので、ロゴの大きさや配置等、業界規模やシェアとは関係性はありません。本マップ記載のロゴ・サービス名につきましては、各社に掲載許諾を事前に得ていないものもあります。使用上の問題がある場合は、削除・差し替え対応をいたしますので、お手数ですが「 info@catallaxy.me 」までご連絡ください。 カオスマップダウンロード

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    アルミ複合板とは?用途から加工法まで解説!

    アルミ複合板とは、薄いアルミ板2枚で樹脂をサンドイッチした板材のことを指します。その優れた加工性や強度を活かして、主に看板や建材に使用されており、私たちの身近な場所で多く用いられています。今回は、そんなアルミ複合板について、その基本的な知識について説明した後、その特徴や用途、種類に加えて、アルミ複合板の相場など幅広い内容について詳しく解説していきます。アルミ複合板についてさらに知識を深めたい方や、アルミ複合板の使用や購入でお悩みの方は、ぜひご一読ください。アルミ複合板とは引用元:株式会社MonotaROアルミ複合板は、上図のように発泡ポリエチレン樹脂をアルミニウムでサンドイッチした、3層構造を持つ板材を指します。「アルミ樹脂複合板」や「アルミ樹脂積層複合板」とも呼ばれることもあります。以下に詳しく述べますが、アルミ複合板はさまざまな特徴を持ち、看板の材料や建材を中心に幅広い分野で使用されています。参考:【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説!アルミ複合板の特徴それでは、アルミ複合板の特徴について見ていきましょう。軽量性アルミ複合板の芯材は樹脂となっているため、非常に軽いのが特徴です。例えば、3mm厚×910mm×1820mmのアルミ板が約14kgあるのに対し、アルミ複合板は約4kgとなっており、アルミ板の半分以下の重さとなっていることが分かります。そのため、運搬や取り付けが容易となり、作業者の負担が軽減されるというメリットがあります。防火性アルミ複合板の中には、不燃アルミ複合板と言って不燃性を付加した材料があります。こういった防火性を持つ材料は、法律上で使用が定められている箇所では必須となり、今や無くてはならない材料となっています。ガソリンスタンドの看板や地下鉄などの誘導サインなど、防火性が求められる場所で用いられています。温度変化に対する安全性屋外などの日差しが当たる場所や、雨にさらされるような場所、さらに気温の変化が激しい場所などにおいても劣化しにくく、問題なく使用できます。そのため、屋外に掲げる看板はもちろん、建材にも最適な材料となっています。耐衝撃性アルミ複合板は、芯材に樹脂が用いられていることによって、強い衝撃が与えられた場合でも割れることがないため、万が一の際でも安全です。加工性アルミ複合板は、通常厚さが約3mm程度と薄く、他の板材と比較しても柔らかい材料であるため、加工性に優れているという特徴を持ちます。例えば、切断だけを行う場合はカッターナイフで簡単に切ることができます。他にも、曲げ加工やパンチング加工も容易に行うことが可能な材料となっています。平滑性アルミニウムと樹脂の積層効果により剛性が高く、たわみやひずみが無いため平滑性に優れています。そのため、カッティングシートなどの薄いシートでもきれいに貼ることが可能となります。安価看板に用いられる材料には、アルミ複合板の他にも鉄板やアクリル板などがありますが、その中でも安いのがアルミ複合板です。例えば、3mm厚×900mm×1800mmの材料の場合、アルミ複合板の金額はアクリル板の約5分の1程度となっています。アルミ複合板の用途上述した通り、多くの優れた特徴を持つアルミ複合板はさまざまな用途に用いられています。代表的な用途には、壁面看板や大型看板としての使用が挙げられます。看板には多くの種類がありますが、アルミ複合板は比較的多くの種類の看板に利用することが可能で、屋外で用いるプレート状の看板や、大きなサイズの平看板、さらに湿気などにも強いため、プールや温泉施設などでも使用が可能です。その他にも、防火性を持つタイプの材質には建材用のものもあり、キッチンなどの内装や高層ビルの外壁にも使用されているものもあります。<アルミ複合板を用いた看板の例>引用元:株式会社トレードアルミ複合板の種類と選び方ここまで、アルミ複合板の特徴や用途について説明してきましたが、アルミ複合板にはいくつか種類があり、それぞれ異なった特徴を持っています。ソレイタ引用元:株式会社トレード藤田産業株式会社で開発されたアルミ複合板です。カラーアルミを使用してフィルム貼りの手間を解消した「プレミアムカラーシリーズ」や不燃タイプなど、ラインナップが充実しています。カラータイプも1枚から購入できる他、1500×3000mmの大判までサイズ展開があるため、大型製品の製作にも最適です。カラーエース引用元:株式会社トレード福田金属箔粉工業株式会社で開発されたアルミ複合板です。看板用下地パネルとして、看板屋や印刷会社などで幅広く採用されており、アルミ複合板の中でも非常に人気の高い商品となっています。そのため、在庫も豊富で大量発注を考えている方におすすめです。セキスイアートパネル引用元:株式会社トレード積水樹脂プラメタル株式会社で開発されたアルミ複合板です。看板用としての使用に優れ、かつ不燃認定を取得した「不燃アートパネル」が特に人気があります。厚さは、1.5mm、2mm、3mm、5mmの4種類から、用途に合わせて選択できます。特に不燃性のアルミ複合板が必要な方にぴったりな材質です。三菱樹脂アルポリック引用元:株式会社トレード三菱ケミカル株式会社で開発されたアルミ複合板です。「アルポリ」の呼称で、アルミ複合板の代名詞にもなっている材料です。アルポリックはカラーエースやソレイタなどと比べて高額で、特に剛性・平滑性に優れた製品となっています。看板としての使用はもちろん、店舗内装・ビル内装材など建材としての使用に最適です。Mitsuriは、さまざまな種類のアルミ複合板の発注に対応できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。アルミ複合板の相場金額についてお話しする前に、アルミ複合板の基本のサイズについてご説明していきます。まず、アルミ複合板の厚みは3mmが主流となっており、その他には1mm、1.5mm、2mm、4mm、5mmのものも存在します。また、基本的なサイズは910mm×1820mm(サブロク)となっており、最も商品ラインナップが豊富です。その他にも 1000 mm×2000 mm(メーター板)、1200 mm×2400 mm(シハチ)などがあります。1220mm×3000mmのような大型サイズも販売されています。金額については、もちろん種類や大きさ、メーカーなどによってさまざまですが、2020年5月現在、3mm厚×910mm×1820mmのサイズで1枚当たり約2,000円程度となっています。また、人気のアルミ複合板カラーエースの場合、価格の相場は大体、910×1820mmで1枚約2600円、1000×2000mmで1枚約4200円、1220×2440mmで1枚約6500円ほどとなっています。アルミ複合板加工の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】アルミ複合板は、種類によっても特徴が異なってくるため、必要性に応じて適切な材料を選択する必要があります。また、メーカーによっても在庫のある材質やサイズなどが異なるため、事前に確認することが重要となります。アルミ複合板の発注が可能なメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    金属板の加工に関して解説!アルミやステンレス等の素材ごとの特徴もご紹介!

    金属板の加工技術は、私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。自動車、土木・建築、医療、食品など幅広い分野に利用されているほか、家電機器、産業機器などの部品の製作にもなくてはならない技術です。例えば、家の中を見渡すだけでも、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどさまざまな製品に使用されています。今回は、そんな金属板の加工について詳しく解説していきます。特に、金属板に用いられる代表的な素材とその特徴、また代表的な加工方法に関して、一つずつ丁寧にご説明していきます。金属板の加工についてさらに知識を深めたい方や、金属板の加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。金属板の加工について金属板の加工とは、文字通り金属でできた板材を加工することを指します。しかし、一口に金属板の加工と言っても、金属板にどういった材質を用いるのか、またどのような加工を施すのかで、その製品の持つ特徴や用途などが異なってきます。そのため、金属板の加工を用いて製品の設計・製作を行う場合には、素材や加工方法について十分理解した上で行っていくことが非常に重要となります。金属板の種類と用途ここでは、代表的な金属板の材質とその用途について説明していきます。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、さらに軟らかくて展性も高いことから加工性に優れた金属となっています。また、空気中において酸化皮膜を形成するため、耐食性も有しています。さらにアルミの熱伝導率は鉄の約3倍と、非常に熱を伝えやすい材質です。これらの特徴を活かして、一円硬貨やアルミホイル、アルミ缶、鍋、エンジンのシリンダー、パソコンや家電製品の筐体などさまざまな用途で使用されています。ただし、1円硬貨などを除いて、ほとんどはアルミ合金としての利用となっています。アルミ合金は、その含有されている金属によって次のように分類されており、それぞれ特徴が異なります。アルミ合金の種類・1000番手系(純アルミ):強度は低いが、加工性や熱伝導性に優れる・2000番手系(アルミ-銅合金):強度や切削性に優れるが、やや耐食性に劣る・3000番手系(アルミ-マンガン合金):加工性にはあまり優れないが、高い強度を持つ・4000番手系(アルミ-ケイ素合金):耐摩耗性に優れる・5000番手系(アルミ-マグネシウム合金):強度、耐食性に優れ、さらに溶接性も良好・6000番手系(アルミ-マグネシウム-ケイ素合金):強度、耐食性に優れる・7000番手系(アルミ-亜鉛-マグネシウム合金):アルミ合金の中で最も強度が高いステンレスステンレスは、その表面を覆っている不動態皮膜によって、錆びにくく、耐食性に優れる金属です。その他にも、 耐熱性を有し、加工性、強度においても優れた特性を有しているほか、意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。このような特徴から、建築、土木、家電・精密機器、厨房・家庭用機器、輸送機器、産業機器など非常に幅広い分野で利用されています。特に私たちに身近なものには、洗濯機や冷蔵庫、建物の外装や内装、またゴルフ用品にもステンレスが使用されています。また、ステンレスは、含有する金属及び金属組織の違いから、次のように5種類に分類されます。ステンレスの種類引用元:大同特殊鋼株式会社・マルテンサイト系:非常に硬いが、耐食性には劣る・フェライト系:耐食性は高く、応力腐食割れ(金属材に生じる経年損傷)を起こしにくい・オーステナイト系:耐食性が高く、加工性に優れる・析出硬化系:非常に硬く、耐食性にも優れる・二相系:塩化物(海水など)に対する高い耐食性を持つチタンチタンは、比重が鉄の約半分ととても軽くて、さらに海水中などでも優れた耐食性を発揮します。また、比強度(重量あたりの強度特性)が高く、アルミニウムの約3倍、鉄の約2倍の強度を示します。他にも、無毒性で、生体適合性も良く、人体にやさしい安全な金属です。これらの特徴を活かし、医療・食品の分野や化学工業、建築・土木産業、また航空宇宙産業などで広く用いられています。また、チタン合金は、焼なましの状態でのミクロ組織によって次のように分類されます。チタン合金の種類・純チタン:耐食性及び加工性に優れているが、耐摩耗性に劣る・α合金:低温から高温まで安定した強度を持つ・β合金:冷間加工性・時効硬化性(時間の経過とともに金属が硬化する現象)に優れる・α+β合金:強度が高く、また延性に優れる・耐食合金:耐食性に優れ、高い強度を持つ銅銅は、熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れている金属です。また、銅が酸素に触れると表面に酸化銅の被膜をつくることから、優れた耐食性を持っています。他にも、銅は抗菌作用を持つ金属としても知られています。これらの特徴から、電線や電子機器部品、調理道具や銅像、10円硬貨などに利用されています。銅には合金が存在し、含有する金属によって主に以下の3つに大別されます。銅合金の種類・黄銅(銅-アルミ合金):加工性がよく、意匠性に優れる・洋白(銅-亜鉛-ニッケル合金):耐食性・耐変色性に優れる・青銅(銅-すず合金):展延性に優れ、融点が低い鉄鉄は強度が高く、また優れた加工性を持つことから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として幅広く用いられてきました。現在は、金属製品の約90%が鉄でできているとも言われています。そのため、自動車、造船、土木・建築、容器・缶、家電機器、産業機械などさまざまな分野で利用されています。また、鉄はその含有する炭素量の違いによって次の3つに分類されます。鉄の種類(カッコ内には炭素含有量を示す)・純鉄(0.02%以下):非常に脆く、軟らかい・鋼(0.02% - 2.1%):炭素含有量によるが、強度、靭性、磁性、耐熱性などに優れる・鋳鉄(2.1% - 6.7%):非常に硬いが、延性や靭性に劣るMitsuriは、これらすべての材質の加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。金属板の加工法の種類最後に、金属板の各種加工方法について説明していきます。金属板の加工法【レーザー加工】レーザー加工とは、高エネルギー密度のレーザー光を照射し、熱エネルギーによって加工する方法を指します。主に、金属板の穴あけや切断に利用されています。レーザー加工では、加工領域が非常に狭いため、非常に微細な加工を行うことができるほか、高エネルギーのレーザー光を使用することで超硬金属や硬脆材料の加工も可能となります。参考記事こちらの記事では、レーザー加工についてその原理や種類など、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!金属板の加工法【溶接加工】溶接加工とは、2種類以上の金属を接合する金属加工方法のことを指します。主に、金属を局部的に加熱して溶かすことで接合する「融接法」と、加熱した金属に圧力を加えて接合する「圧接法」、母材と違う素材を溶融して接合する「ロウ付法」の3つに大別されます。ただし、細かく溶接方法を分類すると、全部で60種類以上にも及びます。参考記事こちらの記事では、溶接加工の種類について、その特徴を詳しく説明しています。溶接加工についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。⇒ 第1回 溶接加工とは?代表的な種類とメリット・デメリットを解説金属板の加工法【プレス加工】プレス加工とは、被加工材を金型に当て、圧力を加えることで材料を金型の形に変形させる加工方法のことを指します。プレス加工では、一度金型を作成すれば短時間で同じ形のものを生産することが可能なため、低コストで大量に生産する場合に最適です。また、プレス加工では金型に合わせて切断するだけでなく、曲げや絞りなどさまざまな加工を施すことができます。参考記事Mitsuriは、さまざまなプレス加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。以下の記事ではおすすめの工場を紹介していますので、プレス加工でお悩みの方はご一読ください。⇒プレス加工のおすすめ工場5選!!金型製作や微細加工等様々な工場をご紹介金属板の加工法【切削加工】切削加工とは、文字通り工具などを使用して、材料を削って加工する方法を指します。主に切削加工は、加工する工作物を固定して工具を回転させる「転削」と、工作物を回転させる「旋削」とに大別されます。参考記事転削の代表として「フライス加工」、旋削の代表として「旋盤加工」が挙げられます。以下の記事では、それら2つの加工について詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!金属板の加工を依頼するならMitsuri今回は、金属板の加工をテーマにその代表的な素材や加工方法についてご説明しましたが、いかがでしたか。金属板の素材、またその加工方法の種類は多岐に渡り、そのそれぞれが異なった特徴を持っています。そのため、金属板の加工を行う場合には、素材や加工方法の選択が非常に重要となります。また、メーカーに加工を依頼する際にも、金属板の素材や加工方法に関する基本的な知識を持っていると、より話が進みやすくなるでしょう。金属板の加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!

    軽量でありながら高強度を誇ることで、身近な製品にさまざまな用途で用いられるアルミニウム。鉄などに比べて比較的加工の容易な材ですが、特に初めて加工を依頼する際などのアルミ加工業者選びは難しいものです。「アルミ材の切断、曲げ、抜き、溶接、切削などの加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。小ロットの加工依頼をするならMitsuri小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です。さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)Mitsuriで依頼できるアルミ加工の種類①切断加工レーザー切断機、シャーリング、タップ、タレパン、カッターやソーなどのアルミ切断機を使用して、材を高速・高精度にカットします。切断は、その後の工程に大きく影響し、最終的な製品の仕上がり・精度にも関わる重要な加工工程です。特にアルミはバリや反りが発生しやすいため、高精度なカットが求められます。Mitsuriでは、高速・高精度な切断加工が可能です。小サイズの切り出し、溝部分の難加工など、あらゆるシーンで正確な切断を実現します。切断加工についてはこちら【板金加工 切断】せん断やシャー切断などの切断加工を専門家が解説!②曲げ加工アルミ板金における曲げ加工では、ベンダー(折り曲げ機)を使用して直線的に折り曲げ加工を施すほか、R曲げ、V曲げ、Z曲げ、ヘミング曲げ、ロール曲げといったあらゆる曲げを、発注に応じて使い分けます。特に小ロットでの発注の場合など、金型を用いず、叩いて成型する曲げ加工を採用することもあります。アルミ材は、曲げやすいからこそ、精密な曲げ加工には熟練の技術と適切な加工が必須です。一度断られてしまった難加工も、Mitsuriにぜひお任せください。曲げ加工についてはこちら【曲げ加工】の基礎やV曲げ/L曲げ加工について徹底解説!!③溶接MAG溶接やTIG溶接といった一般的なシールドガスアーク溶接に加え、スポット溶接やレーザー溶接、抵抗溶接などあらゆる加工法を駆使して材を溶接します。またアルミ材の場合は、比較的低温で溶着可能なろう付けが用いられることも多いです。溶接加工は機械化が進んでいるものの、アルミ溶接において最後の仕上がりを左右するのはやはり人の経験と技術です。溶融点の低いアルミは、溶接するうちにどうしても歪みが発生してしまいます。また、厚みや求められる強度などによっても注意すべきポイントが異なるのですが、そんな微妙な作業の使い分けを行える職人が、Mitsuriの協力工場には揃っています。溶接についてはこちら溶接方法について専門家が解説!【協力工場130社以上】溶接でお困りならMitsuri!④切削切削加工は大きく分けて、固定した材に対して機械を回転させて切削するフライス加工と、材を回転させる旋削加工に分けられます。フライス加工は材の表面加工に適しており、アルミの場合は特に鏡面仕上げなどを施す加工がこれに当たります。そのほかにも、穴あけや溝削りといったさまざまな加工が可能です。旋削加工では、パイプ状に加工した材にテーパ加工を施したり、中ぐり、ねじ切り、突切りといった加工を行うことができます。アルミはその他の金属と比較して溶融点が低いうえに延性が大きいため、バリが発生しやすいのが難点です。対策として、良質な工具の選定が欠かせないほか、必要に応じてクーラントを使用するなどノウハウが求められます。そんな切削加工も、Mitsuriにぜひお任せください!切削加工についてはこちら【切削加工】切削加工の方法や特徴・種類を動画を交えてご紹介!!見積もり依頼をする(無料)アルミ加工の難しさアルミ加工の中でも特に溶接加工は技術を要します。その理由は、アルミの融点にあります。鉄やステンレスの融点は1,000℃以上ありますが、一方アルミの融点は660.3℃と低いです。さらに、アルミは融点を超えた後、液体化するため、溶けたアルミが付着するのに注意して溶接作業を進める必要があります。アルミ加工実績引用:有限会社 相和シボリ工業(170Φ×120Φ×560H・へら絞り加工)引用:有限会社 相和シボリ工業(20Φ×28Φ×90H・パイプ加工)引用:多摩電子株式会社引用:布施金属工業株式会社(曲げ加工・溶接・仕上げ)見積もり依頼をする(無料)おすすめアルミ加工業者5選株式会社大盛基本情報埼玉県戸田市新曽南3-13-10TEL:048-444-0800/FAX:048-444-0842 創業年:昭和51年11月6日加工:アルミ加工、切削加工、切断加工素材:アルミ、その他非鉄金属HP:http://www.taisei-al.co.jp株式会社大盛は、アルミのマシニングセンターによる精密機械部品加工を行っています。特に、加工機械に力を入れているので、緊急の案件にも対応しやすい環境を整えています。そのため、他の工場で、この図面では製作が難しいと言われてしまった案件や、短納期の案件でお困りの際におすすめです。メリット株式会社大盛は、マシニングセンタなどの設備を導入しているので、加工に応用が効きやすく、対応できる幅が広い加工業者です。また、不良率が低いことも株式会社大盛の強みです。不良率が低いことを維持するために、設備の稼働状況に細心の注意を払っていたり、検査の際にはマイクロなどで寸法を検査することを大切にしています。メタルスピード基本情報大阪市東成区東今里2-8-12TEL:06-6976-3326/FAX:06-6976-9758創業年:昭和15年5月5日加工:フライス・マシニング加工、板金加工、NC旋盤加工素材:アルミ、鉄、ステンレス、銅、真鍮等HP:http://www.metal-speed.comメタルスピードは、良品率99.84%、納期厳守率99.86%(2018年1月時点)のとてもクリーンな会社です。また、製造コスト削減のために、ITの力を使って70年間の技術をデータベース化しています。メタルスピードが低価格で製造できるのは、この熟練工データベースのおかげです。メリットメタルスピードのメリットはなんといってもスピーディーな見積り対応。見積依頼からなんと2時間以内の回答を行っております。見積りが早いだけではなく、その後の打ち合わせや納品に至るまで、スピード感をもって対応します。製品例(治具:A5052)(アーム:A7075)株式会社シモノ基本情報石川県能美市浜開発町丙53-1TEL:0761-55-0139/FAX:0761-55-1030 創業年:昭和6年6月加工:アルミ加工素材:アルミ、その他非鉄金属HP:http://e-shimono.jp/株式会社シモノは、医療アルミ器具や食品加工機械アルミ部品の製造をはじめとする石川県の加工メーカーです。メリット株式会社シモノは、アルミ加工に注力し、常にアルミ加工の製造のために最新の設備を導入しているため、高い品質と短納期を実現できています。また、高い品質を要求される医療や食品加工用部品の製造を行っているほど、精密機械加工に確かな実績があります。有限会社城山精機製作所基本情報東京都板橋区高島平9-16-10TEL/FAX:048-421-5134創業年:昭和34年4月加工:アルミ加工、アルミ鋳物、金属加工、鉄加工素材:アルミ、鉄等HP:http://www.shiroyama-seiki.co.jp/城山精機製作所は、創業当初からアルミ加工、アルミ鋳物、鉄加工、ステンレス加工と幅広く受けていましたが、その中でもアルミ加工に注力している製作所です。メリット城山精機製作所は、中でも治具製作に力を入れています。設計はもちろんですが、設計の前の構想から城山精機製作所に入ってもらえます。治具製作をしてもらえることで、品質の向上やコスト削減に繋がります。製品例(医療部品:アルミ)(航空部品:アルミ)ニッカル商工基本情報東京都大田区東糀谷1-8-19TEL:0120-163-256/FAX:03-5735-2971 創業年:平成元年3月29日加工:アルミ加工(溶接、塗装、鋳物)、板金加工素材:アルミ、ステンレス等HP:https://nikkal.net/ニッカル商工は、1957年に日本で最初のアルミ製の平棒や角棒、パイプなどの押出材の在庫販売を行っていた会社で、現在はアルミの素材および加工品の販売を行っています。ニッカル商工のホームページ内にフリーダイヤルを用意していたり、24h対応可能のチャットを用意していたり、押出加工用の別ページを用意していたりと非常に依頼がしやすい環境が整っています。メリットニッカル商工は、試作・量産問わず対応が可能です。そして、長年培ってきたアルミ加工のノウハウを生かし、アルミコンシェルジュというアルミ加工の相談に乗っていただける人がいます。そのアルミコンシェルジュがご依頼者のニーズに合った加工を提案することが可能です。また、決済については、銀行振込やクレジット決済に加えて、手続きなしで請求書で掛け払いができる決済サービスも導入しており、依頼者のために利便性の向上を図っています。アルミ 加工を依頼するなら【アルミ加工のMitsuri】アルミ加工を依頼するなら、ぜひ技術と経験を備えた熟練の工場に依頼しましょう。Mitsuriでは、企業のご依頼だけでなく、個人での発注・見積もりにも対応しています。1個から、といった小ロットや試作のご依頼も大歓迎です!そして日本全国各地、どこからでもご相談可能です。アルミ加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにご相談ください!小ロットの加工依頼をするならMitsuri小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です。さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)