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板金加工

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    板金の成形加工とは?種類ごとに特徴を解説

    モノづくりにはさまざまな成形加工がありますが、その中でも、今回は板金における成形加工について解説します。板金の成形加工は、塑性加工や曲げ加工などの方法を用いて板金の形状を変化させることを言います。抜き加工によって切り取られた素材を製品として整えていく過程で必要となる加工で、そこにはさまざまな種類があります。成形加工とは板金における成形加工とは、金型を用い、プレスを使って金属板を任意の形状に変化させる加工法のこと。ただ形を変化させるだけでなく、強度を上げたり部品を取り付けやすい形状へと変化させたりする目的で用いられます。成形加工の種類板金における成形加工には、さまざまな種類があります。その中でも、多く用いられる種類について解説します。タップ加工タップ加工は、タップ穴を成形するための加工法です。タップ穴はネジ穴のことで、あらかじめ開けておいた穴に工具を用いてねじの山と谷を形成していきます。タップ加工には、「切削式」と「転造式」の2種類がありますが、このうち成形加工に含まれるのは転造式の方になります。転造式のタップ加工は、金属に強い圧力をかけてネジ穴を塑性変形させることを差し、切削式に比べて切り屑の排出がありません。その代わり、ねじの山と谷を含め、適正な量の材料を計算しておく必要があり、高い下穴精度が求められます。バーリング加工バーリング加工は、板金のネジ穴などの縁が盛り上がるように成形する加工方法のこと。タップ穴を盛り上げることでネジの深さを増し、十分な締結力を確保できるようにすることが目的となります。バーリング加工はタップ加工と合わせて用いられることが多いため、バーリングタップと呼ばれることもあります。また、パイプ製品の分岐点を出っ張らせるために用いられることもあります。これにより、突合せ溶接が可能となり、溶接部分の強度と品質が向上します。ザグリ加工ザグリとは金属板を締結した際にボルトの頭の部分が出っ張らないよう考慮して穴を開ける加工法のこと。主に六角穴付きボルトに対して用いられることが多く、ボルトが出っ張ったままにしておくとケガに繋がったり、頭部分が引っかかってネジが緩みやすくなってしまったりするのを防ぐために用いられます。皿モミ加工皿モミ加工は、ネジの頭が飛び出してしまうことを防ぐ加工方法。ザグリ加工と同じ役割のため、「皿ザグリ」とも呼ばれます。加工の原理や用途はよく似ていますが、穴の形状が大きく異なります。ザグリ加工は板金に対して垂直な穴が形成されますが、皿モミ加工はネジの頭の形状に合わせ、斜めの形状をしています。エンボス加工エンボス加工は、プレスによって板金に凸形状を成形する加工法です。凹凸の立体感によってデザインを浮き上がらせる装飾効果もあり、性質の付与と合せて幅広く活用されています。エンボスは凹凸によって摩擦力や強度をアップさせたり、表面積が大きくなることで放熱性を向上させたり、音の反響面を変化させることで遮音性を持たせたり、さまざまな効果が得られます。そのため、板金におけるエンボス加工は、食品機械から放熱板、音響機器に至るまで、幅広い産業で、さまざまな効果を期待されて用いられています。ダボ出しダボ出し加工は、板金の表面にダボと呼ばれる凸形状のダボを成形する加工方法です。スポット溶接をはじめ、板金を接合する際、位置を決めるのに用いられる加工方法です。ダボ出しをすることでけがきをしたり治具を用いたりする必要がなくなるため、溶接のやりやすさが向上します。ダボ出しは、丸いものや四角いものなど、目的・用途に合わせて形状が変わります。ダボの形状に合わせ、金型を使い分けるのが一般的です。ルーバー加工ルーバー加工は、通気孔のような形状を成形する加工方法です。基本的には製品内部の熱を外に逃がすことを目的としており、製品のカバーや筐体の側面などに用いられることが多く、開口部が下を向くように成形することで内部にホコリが侵入することを防止する形状となっています。パンチングプレスパンチングプレスは、板金をプレスで打ち抜いて孔を開ける加工法です。用いる金型によってさまざまな形状をしており、目的や用途に合わせて使い分けられています。パンチングプレスによって成形された板金のことを、パンチングメタルと言います。フランジ加工フランジ加工とは、板金の縁の部分を折り曲げる加工法のことです。縁を折り曲げることで強度を向上させると共に部品の取り付け面を成形する目的があります。フランジ加工には「曲げフランジ」「縮みフランジ」「伸びフランジ」「複合フランジ」の4種類があります。●曲げフランジ直線の板金を折り曲げる、最も基本的なフランジ加工です。加工部に応力が働くことがないため、長方形のブランクが用いられます。●縮みフランジ加工線が凸型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。扇状の素材は外側は広く、内側は狭くなっています。弧の内側を曲げる場合、曲げることによって圧縮の力が働くため、たるみやシワが発生しやすくなるため注意が必要です。●伸びフランジ加工線が凹型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。縮みフランジとは逆に、弧の外側は折り曲げると引っ張る力が働きます。加工時に割れが発生しやすくなるため、注意が必要です。●複合フランジ素材によってはきれいな直線や曲線を描いていないものもあり、曲げ加工を施す際、曲げフランジ、縮みフランジ、伸びフランジをかけ合わせながら加工しなければならない場合があります。これを複合フランジと呼んでいます。加工によって素材がさまざまな作用を起こすため、非常に難易度の高い加工になります。カーリングカーリングは、素材の端を丸くカールさせる加工のことです。端部は強度が低い上、接触によってケガや破損の原因になってしまう場合があります。端部を加工することで内側に隠し、接触による事故を防ぐと共に、強度を向上させられる効果もあります。カーリングは一般的に、予備的な曲げを含め、二段階の曲げ加工を行われることが多いです。また、曲げの種類にも「直線カール」と「外巻きカール・内巻きカール」があります。●直線カール直線カールは、直線の板材に対し、端部に曲げ加工を行います。カーリングの中では最も単純な加工です。●外巻きカール・内巻きカール板金の端部を円筒状に成形する加工方法です。外側に巻く外巻きカールと、内側に巻く内巻きカールがありますが、加工方法はどちらも同じです。加工時、カール部に伸び応力と圧縮応力が働き、割れたりシワになったりする可能性があるため注意が必要です。

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    スリット加工とは?方法、用途、メリット、工程を解説

    今回はスリット加工の基礎知識について解説します。スリット加工は、スリッター機を使って、ロールしてある材料を一定の幅に連続して切断し、再度ロールとして巻き上げる加工を指します。スリッター加工は金属の加工だけでなく、紙・不織布・フィルム・粘着テープといった材料に対しても行われており、幅広い業界で利用されています。スリット加工とは引用元:日本スリッター工業株式会社 スリッターとは?スリット加工(別名:スリッター加工)とは、紙・不織布・フィルム・粘着テープ・金属など、さまざまな材質のロール状のシートを任意の幅に切断し、再度ロール状に巻き取る加工のことを指します。スリット加工を行う機械のことをスリッター機と呼びます。また、ミリ単位の細幅でスリット加工を施すことを、マイクロスリット加工と呼びます。スリット加工は、上刃と下刃の間に材料を通したところに刃を嚙み合わせて切断を行う仕組みです。上刃と下刃には隙間があり、材料に合わせて適切な設定をしないと切断面にダレ・バリ・カエリが発生します。このことから、高い精度でスリット加工を行うには作業者の経験値が要求されます。スリット加工の用途スリット加工は、加工の仕組みによっては狭い幅の材料に対しても対応が可能なほか、用途に応じた長さに切断することもできます。スリット加工に対応する材料は、紙・不織布・フィルム・粘着テープ・金属などと幅広く、さまざまな業界で活用されています。スリット加工のメリットスリット加工と似た加工方法に、大根切り(別名:押し切り)があります。大根切りとは、ロール状の材料に対して、大根を切るように刃を押し当てて任意の幅に切る加工のことです。スリット加工は大根切りに比べて、ロールの長さを自由に変えることができます。これは、ロールした材料を直接切断する大根切りと違い、スリット加工がシートを巻き返しながら指定の幅に加工する仕組みのためです。そのため、指定の長さに切断したいときにスリット加工が採用されています。また、連続した1枚のシートを切断していくので、幅の精度も良好です。一方で大根切りは、材料の長さを変えることができないものの、必要な分だけすぐに加工できるメリットがあります。スリット加工の工程ここでは、金属のスリット加工の工程について解説します。1.アンコイラーへ材料をセット引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程始めに、コイルを巻き戻しやたわみを制御する装置であるアンコイラーへ材料をセットします。2.材料を任意の幅に切断引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程カッターとスペーサーを組み合わせることで、スリット幅を決定し、材料を切断していきます。加工業者により、加工できる厚み・幅・長さは異なります。3.切断した材料の巻き取り引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程切断した材料を巻き取り装置に送ります。このとき、スリット加工する材料の厚みや幅によって、適切な張力で巻き取ります。4.スリット加工の完成引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程完成したコイルは、しっかりと巻かれているため、崩れにくい状態で出荷されます。実際にスリット加工を行っている様子は、以下の動画を参考にしてみてください。スリット加工の方法、方式スリット加工の切断方式は、主に「シャースリット方式」と「ギャングスリット方式」の2種類があります。シャースリット方式引用元:MSR株式会社 スリット加工シャースリット方式は、窪みのある下刃に上刃を挿入する形で材料を切断する方式です。シャースリット方式は、端面精度が安定しており、薄くて柔らかい材料の切断や、メーター数の長い材料の切断に適しています。ただし上刃と下刃の間に隙間があるため、折れやダレが出やすく、細い幅の材料を切断するのは不向きです。ギャングスリット方式引用元:MSR株式会社 スリット加工ギャングスリット方式は、同形状の上刃と下刃を嚙み合わせて切断する方式です。ギャングスリット方式は、左右どちらの端面もダレや折れがなく、細い製品幅の切断に適しています。しかし、セットに手間がかかり、精度を出すには管理面で気をつかう必要があります。また、巻きが緩くなる場合があるため、メーター数の長い製品には不向きです。

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    ソレノイドの用途と種類、原理を解説!

    「ソレノイド」とは、電磁力を利用して、電気エネルギーを機械的運動に変換する電気部品を指します。あまり聞き慣れない用語ではありますが、私たちの身近なところで電化製品や、自動車、自動販売機など、さまざまな用途に広く利用されており、私たちの生活に欠かせない電気部品の一つです。今回は、この「ソレノイド」をテーマに、ソレノイドの用途や使用事例をご紹介した後、ソレノイドの原理や仕組み、その他にも、ソレノイドの種類や、ソレノイドを選ぶ際に注意するべき点など、幅広い内容について詳しく解説していきます。ソレノイドについてさらに知識を深めたい方や、ソレノイドでお悩みの方は、ぜひご一読ください。ソレノイドの用途&使用事例まず初めに、ソレノイドの用途について見ていきましょう。冒頭でも述べましたが、ソレノイドは私たちの生活において幅広い用途で利用されています。例えば、家電品、OA機器、FA機器、金融端末、電子錠、自動車、自動ドアなどに用いられています。近年では、福祉・医療分野などの機器においても使用されており、その用途がますます拡大しています。以下、具体的な使用事例についてご紹介していきます。使用事例①自動販売機内のコインメックコインメックとは、自動販売機などの内部に搭載されている「つり銭機能内蔵(硬貨循環式)セレクター」を指します。自販機でお釣りの硬貨を出す際、このコインメック内で、積み重なった硬貨を電気信号によって一枚ずつはじき出す機構に、ソレノイドが利用されています。使用事例②駅の改札口自動改札機の切符送り機構や、切符などの紙に穴を空ける目的で、ソレノイドが使用されています。使用事例③スロット機スロット機とは、コイン作動式のゲーム機です。このスロット機内において、メダルの搬送、各スロット機へのメダルの振り分け、規定量を超えてのメダル投入の防止の機能をもちます。その他にも、台間機の硬貨投入口には、停電時などに硬貨が投入防止シャッターの役割など、スロット機ではさまざまな役割を持つソレノイドが使用されています。ソレノイドの原理と仕組み引用元:天竜丸澤株式会社ソレノイドは、一般的に、上図に示したように、固定鉄芯に銅線がコイル状に巻かれており、その中を可動鉄芯が上下するような構造を持っています。仕組みについては後述しますが、ソレノイドは電磁力を応用して、可動鉄芯を一方向に運動させることができる電気部品です。モーターと同じような機能を果たしますが、モーターと比較して、ソレノイドはより単純な構造を持つ上、コイルに通電するだけで動作することから、駆動が非常に簡単です。それでは、次にソレノイドの仕組みについて見ていきましょう。まず、ソレノイドには、前述した通り、固定鉄芯と可動鉄芯が設けてあり、コイルに電流を流すと磁界が発生し、電磁誘導の法則によって、可動鉄芯が固定鉄芯へ吸い寄せられます(吸引)。通電している間は常に吸い寄せられていますが、電流を遮断すると、この吸引力は消滅し、戻しバネなどの負荷により元の位置へと復帰します。このような仕組みで、ソレノイドは電気エネルギーを機械的運動へと変換させています。ソレノイドの種類次に、ソレノイドの種類について見ていきましょう。ソレノイドの種類は大きく分けて次の3つが挙げられます。以下、それぞれの仕組みの違いについて解説します。①プルソレノイドプルソレノイドは、引っ張る力を作動力として利用するソレノイドです。最もスタンダードなタイプのソレノイドで、広く利用されています。ソレノイドの動作の仕組みについて前述した通り、このプルソレノイドでは、電流を流すことで、可動鉄芯が固定鉄芯の方向へ吸い寄せられられます。②プッシュソレノイドプッシュソレノイドは、突き出た可動鉄芯で押す力を作動力として利用するソレノイドです。その動作の仕組みは、プルソレノイドと同様、電流を流すと、可動鉄芯(プランジャー)が固定鉄芯の方向へ吸い寄せられられるというものです。しかし、プッシュソレノイドでは、上図のように、可動鉄芯が貫通しているため、可動鉄芯が吸引されると反対方向に突き出るタイプのソレノイドとなります。③自己保持ソレノイド前述したプルソレノイド、プッシュソレノイドでは、可動鉄芯を吸引された状態に保つためには、電流を流し続ける必要がありました。しかし、自己保持ソレノイドでは、ソレノイド本体に永久磁石を組み込むことで、電流が流れていない時でも、この永久磁石によって可動鉄芯の吸引状態を保つことができます。電流を流したままにする必要がないため、コイルの発熱を防いだり、電力の消費量を抑えることが可能となります。また、ソレノイドにはAC電源で駆動するACソレノイドと、DC電源で動作するDCソレノイドが存在します。両方とも基本的な特性は同じですが、一般に以下のような特徴の違いが見られます。●ACソレノイド:振動騒音が大きく電流値が安定しにくい。また、突入電流(通電する際に、瞬時に定常電流の10~20倍の電流が流れること)が発生しやすく、この瞬間に可動鉄芯を強力に吸引してしまうため、安定性が低い。● DCソレノイド:電流値が一定で、騒音が小さく安定した動作が可能。交流電源と違い、オンオフ時の突入電流が発生しないという利点がある。このような理由から、市場にはDCソレノイドの方が、ACソレノイドと比較してより多く販売されています。上述したように、ソレノイドには数種類のタイプがあるほか、使用する電源や、形、サイズ、また可動鉄芯の先端形状が異なるものなど、その種類は多岐に渡り、市場には約250種類以上もの製品があると言われています。ソレノイドを選ぶ注意点最後に、ソレノイドを選定する際に注意するべき点について見ていきましょう。主に、以下4点が挙げられます。1.使用する電源・電圧前述した通り、ソレノイドにはAC電源及び、DC電源によって駆動するタイプがありますので、用途によって適切な電源を選定することが必要となります。また、ソレノイドを使用する電圧も選択する必要があるので、事前に確認しておくことをおすすめいたします。2.必要な吸引力とストロークまず、前述したソレノイドの仕組みから、吸引力、ストロークという用語について、確認しましょう。●吸引力:電流を流した際に可動鉄芯(プランジャー)を引きつける力●ストローク:可動鉄芯(プランジャー)が吸引された際に動く距離それぞれのソレノイドには、吸引力とストロークの特性が決まっており、ソレノイドを選ぶ際には、用途に合わせてこれらを選定する必要があります。3.通電率通電率とは、電流を流す時間の割合を指します。通電率は、次の式で求めることができます。通電率 = 通電時間 / (通電時間 + 通電していない時間)例えば、通電率が50%のソレノイドにおいては、通電時間が1分の場合、通電していない休憩の時間を1分設ける必要があるということです。通電率を守らず電流を規定以上に流し続けると、過度な熱が発生することでソレノイドが壊れてしまう場合もあるので、注意しましょう。なお、通電時間などが不明な場合は、連続通電のタイプのソレノイドを選定すると良いでしょう。4.サイズソレノイドには、大小さまざまなサイズがあり、必要な製品のサイズに応じてソレノイドの大きさを選びます。なお、ソレノイドは、水滴の付着や、気温の低下による氷結などによって、その機能が低下してしまう恐れがあるため、ソレノイドの設置の際には、設置場所にも気を付けることをおすすめいたします。ソレノイドについてまとめ今回は、ソレノイドをテーマに、ソレノイドの用途や使用事例、またソレノイドの原理や仕組み、その他にも、ソレノイドの種類や、ソレノイドを選ぶ際に注意するべき点など、幅広い内容について詳しく解説しましたが、いかがでしたでしょうか。前述した通り、ソレノイドの種類は多岐に渡ります。そのため、用途に合わせて適切なソレノイドを選定するためにも、事前に必要なソレノイドの条件をしっかりと確認しておくことをおすすめいたします。ソレノイドでお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    板金加工の見積もりを依頼するならMitsuriにお任せ!見積り方法とコツを専門家が解説!

    「板金加工が初めてで、具体的な見積もりが分からない…」「工場がたくさんあるから、どこに板金加工を依頼すればいいか分からない...」「板金加工の具体的な価格設定を知りたい…」そんな板金加工に関するお悩みは、この記事で解決しましょう!この記事では、板金加工の一般的な見積もりの流れを分かりやすく解説していきます。実際の板金加工の見積もりの流れや一般的な価格の目安が分かるので、初めての人も安心して依頼できるでしょう。これから板金加工の見積もり・依頼を検討されている方は、ぜひ一読してみてください。また、Mitsuriでは全国の優良な工場を簡単に比較・検討できるので、工場選びの手間や時間を短縮できておすすめです。ウェブ上でMitsuriへ登録し、案件を公開するだけで見積依頼ができるので、時間のない方や初めての方には特に便利です。板金加工についてお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!動画でも解説しています!板金加工を例に、加工部品がどのように見積もられているのか解説しています!高くなってしまうポイントも解説してますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!板金加工の見積もりの流れ母材単価を調べるまず、板金加工をするにあたっては母材単価を調べる必要があります。金属材にはいろいろな種類がありますが、選ぶ母材によって価格が大きく変わってきます。板金加工をする際には、予算や用途に応じて適切な母材を選ぶのを心がけましょう。代表的な素材の価格は次のようになります。代表的な素材の価格 チタン合金:8000円~/kg 銅:2200円~/kg 真鍮:1900円~/kg アルミ合金:700円~/kg ステンレス:400円~/kg 鉄:120円~/kg (2022年1月時点)母材の単価だけ見ると、鉄やステンレスを使うのがコストカットに繋がりそうです。しかし、鉄は錆やすいというデメリットがあります。そのため、屋外での使用や塩害が起こる可能性がある場合、別途塗装やメッキをする必要が出てきます。その場合は結局トータルで高額になってしまう場合もあるので、素材の特性を理解して選びましょう。また、性能で選ぶ場合、それぞれの母材の強みは以下のようになります。各母材の強み 強度:鉄 軽さ:アルミ合金 電気抵抗の低さ:銅・アルミ合金 耐食性:チタン・ステンレス 熱伝導の高さ:アルミ合金・銅 被削性の高さ:アルミ合金・銅合金・鉄合金こちらはあくまでも目安ですが、作成する製品によって使用する素材を選び分けるようにしましょう。参考記事板金加工については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。⇒板金加工とは何か?各加工の単価を乗せる母材を選定したら、加工単価を上乗せします。複雑な加工になるほど高額になるため、加工の手順や方法を吟味する必要があるでしょう。一般的に、板金加工の定価は公表していない工場が多く、製作する部材の状況や加工費などによってケースバイケースで決まります。そのため、おおまかな価格の把握をしたい場合でも、その都度工場に見積もりを作成してもらった方が正確でしょう。それぞれの加工の一般的な単価は以下のようになります。これらの金額はあくまでも目安で一例ですが、発注の際の参考にしてみてはいかがでしょうか?CAD/CAM 1部品あたり 500円~段取り費 下記各工程1個につき、430円前後~ 個数が多いと大幅に減額されます。切断費 200円~/加工周長300mmバリ取り費 50円~タップ加工費 20円~/1箇所曲げ費 150円~/1回溶接費 800円~/溶接距離50mm溶接焼取費 300円~ ステンレスの場合に発生し、サイズによります。メッキ・アルマイト費 1000円~/1加工塗装費 塗料代1缶3000円~ + 加工費 1500円~/個 重量・面積によります。送料・梱包費 通常の宅急便の運賃に梱包資材費と人件費が乗ります。これらの加工単価が、箇所の数だけ上乗せされます。ただし、加工箇所が大量になれば値引き出来るケースもあります。そのため、生産量や予算に応じて気軽に相談してみるのがおすすめです。そして、見積もりの作成にはMitsuriの利用が便利です。金属加工が得意な多数の職人を登録しているので、ぴったりの一社が見つかるでしょう。工場には得意・不得意な分野があり、仕上がりや価格設定にも違いが見られます。しかし、自力で最適な工場を探そうとすると、時間や労力が掛かってしまいます。Mitsuriを利用すれば、それぞれの加工が得意な工場に分散して発注を掛けることも可能なので、より効率よく見積もりが作成できるでしょう。ぜひ気軽に利用してみてください。段取り費・人件費について段取り費とは、金属加工の段取りにかかる費用のことを指します。主に人件費で、製造事務作業費、機械段取り費、製品運搬費用などが含まれています。段取り費は工夫次第で削減可能なので、コストカットのために見直しが行われることが多いです。最近では、機械のオートメーション化が進み、人件費を削減する取り組みも広がってきています。必ずある程度の費用は見積に含まれますが、昨今削減されてきております。人件費は工場によって差が大きく、加工の難易度によっても変わります。一般的には、小規模の工場の方が人件費の割合が高くなりがちという傾向が見られます。大量に受注している、中規模~大規模の工場は設備投資も充実しており、人件費を少なく抑えています。ただし、きめ細かい対応や小ロットでの生産など、小規模な工場が向いているケースも多いです。生産する部材や状況に応じて、適切な工場に依頼するようにしましょう。費用を抑えるポイント①大量発注すれば単価が下がる場合がある。②短い納期では追加料金がかかるケースがあるため、納期は長めに設定する。③複数の工場で見積もりを取り、より価格の低い工場を引き合いに出して値下げしてもらう方法もある。これらのポイントはあくまで一例なので、必ず値引きしてもらえるとは限りません。また、非常識な価格の値引きばかり要求すると、結局工場側からの信頼が得られなくなってしまうのがデメリットです。そのため、発注の意思がある場合に、工場側にとっても利益となるラインを確保できる範囲で交渉してみるのがよいでしょう。交渉次第で数万円の値引きにつながることも珍しくないので、一度話し合ってみてはいかがでしょうか?板金加工の見積もりならMitsuriこの記事では、板金加工の見積もりの流れについてご紹介しました。板金加工の見積もりの流れや価格について、具体的なイメージを掴んでいただけたのではないでしょうか。板金加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriまでご相談下さい。Mitsuriでは、板金加工に限らず、素晴らしい加工技術を持った全国各地のメーカー様とお付き合いをさせていただいています。現在、協力企業は140社以上ございます。そのため、お客様にとって最適な加工方法や素材選択のお役に立つことが可能です。板金加工のお見積もりでお困りの際は、ぜひ気軽にMitsuriにお申し付け下さい!

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    アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります

    アルミは軽量で強度もあり、加工しやすい金属として日常生活のさまざまな所で使用されています。日本の最小額硬貨である1円玉や普段飲んでいる飲料の缶などもアルミで作られているので、目にする機会も多い金属です。ただ、アルミと一言で言ってもさまざまな種類があり、それぞれ特徴や用途が分かれています。今回は、そんなアルミについて種類ごとの特徴や一般的な板厚を解説していきます。「この種類のアルミはどんな板厚があるの?」「板厚は決まっているけれど、どのアルミを使ったらいいのか分からない。」そんなお悩みをお持ちの方は、是非最後までご覧ください。アルミ板の種類と用途と一般的な板厚アルミ板は軽量で熱伝導性・導電性に優れ、展延性が高いため加工がしやすいといった特徴があります。また、アルミは空気中の酸素と結合することによって、表面に酸化被膜を形成します。この酸化被膜によって内部の金属を保護するため高い耐食性を持ちます。上記の様な特性から、アルミは鉄道や航空機などの輸送用車両の材料、アルミサッシなどの建築材料、飲料缶などの容器包装材など幅広い用途に使用されています。参考記事アルミの加工方法については以下の記事を参考にしてみてください。⇒【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!しかし、アルミは金属の中では柔らかい素材です。そのため、銅やマンガン、マグネシウムなどを添加し、強度を補強したアルミニウム合金として使用される場合がほとんどです。添加した元素の含有量によってさまざまな種類の合金に分類されます。その用途によって板材の一般的な板厚が変わってきますので、代表的な合金ごとに詳しく解説していきます。A1050A1050はアルミニウム純度が99.5%以上の純アルミニウム素材です。耐食性、溶接性、表面処理性に優れています。また、強度を高める元素の添加を行っていないため、金属としては強度が低く、加工性が高いという特徴があります。しかし、強度が低く粘り気があるため、切削加工では切り粉の巻き込みなどによって傷やへこみの原因となってしまうので、こまめに切り粉を取り除くなどの工夫が必要になります。主な用途は、日用品・電気機器・反射材・ネームプレート・装飾品・化学工業タンク類・エアコンなどの熱交換器部品などとなっており、幅広い分野で使用されています。そのため、板材の板厚が豊富で、一般的にはt0.1mm~t2mmの素材を用途によって使い分けます。A1100A1100はアルミニウム純度が99%以上の純アルミニウム素材です。耐食性、溶接性、成型加工性に優れています。A1100では他の1000番台のアルミ板と違い、アルマイトと呼ばれる酸化被膜を形成する処理が行われた後の光沢を良好にするために銅が微量添加されています。用途としてはA1050と同様に、日用品・電気機器・反射材・ネームプレート・装飾品・化学工業タンク類・エアコンなどの熱交換器部品などに幅広く使用されています。板厚はt0.8mm~t5mmの素材を用途によって使い分けます。A2017A2017はジュラルミンの名称で広く知られる、アルミニウムに銅や少量のマグネシウムを添加して強度を高めたアルミニウム合金です。銅を含むアルミは強度が高いため、鉄鋼材料にも劣らない強度を持っています。また、鍛造することもできます。ただし、強度が高くなっている分、加工性が低くなる傾向があります。強度に特化したA2017は主に、航空機や自動車、鉄道などの輸送用車両の部品・ロボット部品・油圧部品などに使用されています。他にも現金輸送箱やケースなどにも使用されていて、近年ではA2017を使用したスマホケースなども登場しています。輸送用車両などの大型の機器からスマホケースなどの小さな製品まで幅広く使用されているため、板厚もt1mmのような薄い材料からt100mm以上の材料まであります。板厚の種類が多いため、どのような用途であっても適切な板厚の素材が手に入れやすいのは利点と言えるでしょう。A5052A5052はアルミニウムにマグネシウムなどを添加したアルミニウム合金です。数あるアルミ合金のちょうど中間程度の強度を持っています。また、耐食性、成形性、溶接性、加工性に優れているため、最も使用頻度が高い素材です。A5052は冷間加工の後に室温程度の温度の中に長時間放置すると経年変化が起こります。経年変化を防ぐために、加工後150℃前後で加熱して安定化処理を施すのが一般的です。アルミの代表的な素材であるA5052は、自動車のホイール・船舶の材料・輸送用車両の材料・建築材・缶・板金製品などさまざまな用途で使用されています。板厚はt0.5mm~t300mmを超えるものまで幅広く存在します。安定化処理が必要なため、必要な板厚を精査した上で手配すると失敗が防げます。A6061A6061はアルミニウムにシリコンやマグネシウムを添加したアルミニウム合金です。強度、耐食性に優れています。特徴として、溶体化処理から冷却を行い(焼き入れ)、その後一定の温度で加熱を続ける時効硬化処理(焼き戻し)を行う熱処理(T6処理)を施すことで鉄鋼材料であるSS400と同等の強度を得ることができる点が挙げられます。熱処理によって高い強度があり、耐食性が優れているため、主な用途は強度の必要な製品や建築材料・船舶の材料・ボルト・リベットなどになります。板厚はt1mm~t150mmまで幅広くありますので、用途に合った素材を見つけることができます。まとめアルミにはさまざまな種類があることがお分かりいただけたかと思います。アルミにはそれぞれに特性があり、特性を活かして幅広い用途に使用されています。アルミニウムの素材は、用途が幅広いことからさまざまな板厚の素材を容易に入手することができます。「欲しい板厚のアルミ板を探すことができたけど加工ができない・・・。」「この用途の場合はどのアルミ材を選べばいいんだろう?」そんなお悩みをお持ちの方は、是非Mitsuriにご相談ください。日本全国140社以上の工場と提携しているMitsuriでは、アルミ加工のご相談から受注まで対応させていただきます。ぜひご利用下さい。

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    研磨加工とは?種類と加工手順、除去加工まで専門家が解説!

    金属加工方法の中でも、表面仕上げ加工に用いられる研磨加工。研磨加工は金属だけではなく非金属であるプラスチックや木など幅広い材料に加工を施す事ができますが、実際にどのような加工がどんな手順で行われているかご存じない方も多いのでは無いでしょうか。今回は研磨加工がどのような加工方法なのか、手順などをわかりやすく解説します。また、研磨以外の表面仕上げ加工方法についても併せて解説していきます。研磨加工とは?研磨加工は、製品の表面仕上げ加工によく用いられる加工方法です。ざっくり説明すると砥石を高速回転させ、製品に当てる事で表面のデコボコや異物を取り除く加工になります。中でも精度が求められるような製品や、美観が求められるような製品によく用いられます。ミクロン単位での調整が可能で、表面のデコボコや異物を取り除く事ができるため、製品加工でも最終工程で施される事が多いです。研磨加工の種類について研磨加工には、上記で説明した砥石研磨のほか、たくさんの種類があります。どの研磨法を選ぶかは、加工物の材質や形状、また表面粗さや仕上げ品質をどの程度求めるかによって違ってきます。つや出しやバリ取り、エッジ仕上げを目的に研磨加工を施すこともあります。ここでは、研磨加工の種類について説明してきます。研磨布紙加工研磨布紙加工は、固定した砥粒が配列された布や紙で加工物を磨く方法で、固定砥粒加工法の一つです。紙やすりで磨く方法と言えばわかりやすいでしょうか。工業的には、研磨ベルトと呼ばれる帯状の布が主に用いられ、継ぎ目のない輪っか状の研磨ベルトを上写真のようなベルト研磨機で回転させ、これに加工物を当てることで研磨します。砥石研磨砥石研磨は、回転する砥石に加工物を当てる、または固定した砥石に加工物を当てながら動かすことで表面を磨く研磨法です。主にサンダーやグラインダーなどの研磨機が用いられ、包丁を砥石で研ぐことも砥石研磨に当たります。なお、砥石は砥粒を結合剤と呼ばれる接着剤で固めたものであることから、砥石研磨もまた固定砥粒加工法の一つです。ラッピング研磨ラッピング研磨は、上写真に見られるようなラップ盤と呼ばれる台に加工物を置き、砥粒を含んだ研磨剤を介してすり合わせることで研磨する方法です。流動する砥粒によって研磨する遊離砥粒加工法に分類されます。主に回転するラップ盤に加工物を押し付けることで研磨を行います。平滑化効果が高く、精密に平面を出せることから鏡面のような仕上がりが要求される場合によく採用される方法です。ポリシング研磨(バフ研磨)ポリシング研磨は、ラッピング研磨同様、加工物を研磨剤を介してすり合わせて研磨する方法です。ただしポリシング研磨では、硬質なラップ盤ではなく、フェルトなどの柔らかい素材を用いて加工物を磨きます。また、ラッピング研磨に比べてより微細な砥粒を使用することから、より滑らかな鏡面を得ることができます。ツヤを出したい場合などに、研磨の最終工程として採用することが多い方法です。なお上図は、ラッピング研磨とポリシング研磨を比較したものです。バレル研磨バレル研磨は、大きな容器に研磨剤と加工物を投入し、振動または回転させることでたくさんの加工物をまとめて研磨する方法です。大量生産向きで、他の方法と比べれば高品質の研磨はできませんが、バリ取りを目的によく用いられる方法です。電解研磨電解研磨は、加工物を電解研磨液に浸し、電流を流すことで表面を溶かして研磨効果を得る方法です。電気分解によって凸部が優先的に溶解する効果を利用しています。高精度の平面が出せる上、他の研磨法では狭すぎて研磨しづらい部分も研磨することができます。ただし、適用できる金属が限られる、高コストであるなどの欠点もあります。参考:電解研磨とは!?加工方法や効果について専門家が解説!その他除去加工について金属表面の仕上げに使用する除去加工は、研磨加工だけではなく他にもたくさんあります。その中でも、代表的な加工方法を紹介していきます。加工したい加工物の形状や仕上げたい表面によって、加工方法を使い分ける必要があるので注意が必要です。主な除去加工①切削加工②研削加工③放電加工①切削加工切削加工とは製品の形状を整えるために、製品を削り出す加工のことを指します。切削加工は目的の形状に削り出す加工法なので、研磨加工と工程が異なります。切削加工で使用される機械は主に下記の3つです。【切削加工で用いる機械】・旋盤・フライス盤・ボール盤切削加工は、製品表面をきれいに仕上げるというより、仕上げたい形状に削り出すような加工方法です。バイト(刃)を材料に当てて、削り出す加工方法なので当然材料より刃の方が硬くないと加工できません。切削加工は削り出し加工なので、製品の設計直後の段階で施されます。加工工程としては最初の方に行われる事が多いです。その後に研磨加工する場合もありますが、外観や劣化を考慮する必要がない部品の場合は切削加工のみで仕上げる場合もあります。切削加工の工程では粗削りと仕上げがあり、仕上げ加工では一度にたくさんを削るのではなく、切削深さやピッチを細かくすることで、ある程度綺麗な表面に仕上げることが出来ます。②研削加工高速回転させた砥石で金属を削る加工方法です。工程の段階としては、切削加工の次の段階で施されることが多いです。研削加工で使用される機械は主に3つです。【研削加工で用いる機械】・平面研削盤・円筒研削盤・両面研削盤研削加工は、切削加工で削り出された製品をもっと高い精度で仕上げたい時に用いられます。なぜなら研削加工は、非常に硬く目の細かい砥石を使用するからです。切削加工とは違い大きく形状を変えるために削り出すことはできません。しかし製品の表面は滑らかにすることができて、精度を高く仕上げる事ができます。今回紹介している3つの除去加工の中で、1番研磨加工に似ている加工方法になります。ほとんど同じですが、研磨加工の中でも最初の方に用いるので目が粗い仕上がりになります。③放電加工一般的な除去加工では機械加工(旋盤やドリル)といった実態のある刃物で加工します。一方で放電加工では電気エネルギーによって金属加工を施します。イメージとしては、削り出すというよりかは抜き出す加工法になります。加工方法としては、まず電極と加工物の間にアーク放電を放出します。その後、放電の熱で加工する製品の一部を除去する加工方法です。他の加工方法とは全く違うアプローチになっています。こちらの加工方法は、他の除去加工では削りきれないような硬い材料で用いられる事が多いです。研磨の加工手順続いて研磨加工の手順について解説していきます。研磨加工は大きく分けて4つの工程に分けられます。用途や材料に応じて細かい工程は変わりますが、大きな流れは変わりません。では早速みていきましょう。①下地下地はまず、大きなデコボコや異物を除去していく作業です。この工程はかなり重要で、下地の工程をしっかり行わないと最優的な仕上がりに影響してきます。研磨に使用する砥石は、番手が小さく目の粗いものを選択します。砥石の番数は基本的に低い方が粗くなっていて、高い方が細かくなっています。下地の段階では細かく表面を揃えていくというよりは、大胆に削っていく工程になります。なのでこの段階では、寸法など細かいことはあまり気にせず大胆に削っていきましょう。下地のポイント・製品表面のデコボコや異物を除去する工程・目の粗い砥石を使用する②ならし下地の段階が終われば、次はならしの工程です。下地の段階である程度、製品表面が平らになっていればそこまで難しい工程ではありません。ならしの工程では、ざらざらした表面を文字通りならしていくんです。下地で使用した砥石より、番数が高く目の細かい砥石を使用します。そうすることによって、ならし工程が終わる頃にはほとんど表面は平らになっています。ならしのポイント・下地で削った表面をならしていく・下地より目の細かい砥石を使用する③つや出し下地、ならしでほとんど、製品表面のデコボコや異物は取り除く事ができます。続いて製品表面を、きれいに見せるために必要なつや出しの工程です。こちらは、鏡面仕上げで製品表面をツルツルにする為の前段階だと思ってください。ならしの工程でデコボコや異物は除去できるのですが、それはあくまで製品表面を平らにしただけです。つや出しの工程では、表面の汚れを除去すると覚えてください。そのため、使用する砥石はならしの工程よりも目の細かいものを選びます。バイブレーション研磨やヘアライン加工のように、あえて表面に傷をつける加工方法もあります。しかし今回は製品表面を、ツルツルに加工する鏡面仕上げの研磨方法で解説していきます。つや出しのポイント・鏡面仕上げの前の汚れ除去・砥石はならしより目の細かい砥石を使用する④鏡面仕上げ最終仕上げの工程である鏡面仕上げです。こちらは名前の通り、製品の表面を鏡のように研磨する工程になります。前までの工程をしっかり行っていれば、そこまで大変な作業ではありません。番数の高く目が細かい砥石で研磨することはもちろんなんですが、こちらは番数を少しずつ上げていくことによってより細かい仕上げを行う事ができます。また研磨といっても砥石ではなく研磨剤を使用するバフ仕上げなどが用いられることもあります。鏡面仕上げのポイント・最終仕上げの工程・製品の表面を鏡のように加工する研磨加工まとめ研磨の手順は大きく分けて4つに分かれており、下地、ならし、つや出し、鏡面仕上げという流れになります。仕上げが大事だと思われがちですが、一番大事な工程は下地の工程です。下地の時点で、製品表面におおきなデコボコが残っていたらどんなに他の工程を丁寧に行っても、精度のいい製品はできません。他にも加工したい形状や表面によって、加工方法の選定をしなければなりません。選定には、他の加工方法の特徴なども知る必要があります。まずはどのような形状の材料にどのような加工を施したいのかを確認しましょう。研磨加工の依頼先でお困りの方は、Mitsuriにご相談ください。Mitsuriには、全国各地に提携工場が250社あり、研磨加工に強みを持つ工場をご紹介可能です。どうぞご利用下さい!

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    専門家が電解メッキを徹底解説!無電解メッキとの違いについてもご紹介

    メッキは、材料に防食性や装飾性、導電性や摩耗耐性などの機能性を付与するために行われます。なかでも電解メッキは、最も広範囲に用いられているメッキ技術であり、身の回りの金属製品の多くがこの技術によりメッキされています。しかし、電解メッキはどのような方法で、どんな種類があるのか詳しくは分からない方も多いことでしょう。金属製品を扱っている方には、電解メッキのメリットやデメリットを知っておきたいと考えている方もいるかも知れません。そこで本記事では、電解メッキの詳細や種類、メリットやデメリットを解説していきます。無電解メッキとの違いについてもご紹介しますので、メッキ方法を選択するときの参考にしてください。電解メッキとは電解メッキとは、電解液にメッキされる金属を浸し、電気を通してメッキしたい金属を析出させるメッキ法で、電気メッキともいわれます。具体的には、電解液に陽極であるメッキ金属と陰極である被メッキ金属を浸し、直流の電気を通します。すると、陽極では酸化反応によってメッキ金属が液中に溶け出し、陰極では還元反応によってメッキ金属が析出してメッキ皮膜に成長します。しかし、この方法は、メッキ金属が可溶性金属、つまり電解液に溶ける金属でない場合は用いることができません。電解液に溶けにくい金や白金などの不溶性金属をメッキしたい場合には、シアン化金カリウムや塩化白金酸に代表される金属塩など電解液に溶ける状態にしたものを補給して電解メッキを行います。電解液への添加剤もメッキの品質や機能に重要な役割を持ちます。その役割の1つがメッキ皮膜の形状制御です。添加剤はこの場合、被メッキ金属やメッキ皮膜に吸着して反応を促進、または抑制し、メッキ皮膜の平滑化や光沢化、穴埋めなどを可能にします。添加剤によっては、メッキ皮膜の硬さ・伸び・脆さ・応力などの物性にも影響するものがあります。しかし、これらの添加剤は、ニーズに応じて試行錯誤で開発されてきたため、メーカーによって多種多様な種類があります。Mitsuriでしたら、電解メッキの多様な技術やノウハウを持つメーカーをご紹介可能です。電解メッキのご依頼がありましたら、ぜひMitsuriにご連絡ください。電解メッキと無電解メッキの違いについて電解メッキと無電解メッキ、この2種のメッキ法の違いは、電解メッキが電気を流したときの電気分解による化学反応を利用しているのに対し、無電解メッキは薬品による化学反応だけを利用していることです。そのため、無電解メッキは化学メッキとも呼ばれます。電解メッキ・無電解メッキの違い電解メッキ…電気を流したときの電気分解による化学反応を利用無電解メッキ…薬品による化学反応だけを利用無電解メッキは、メッキしたい物質を含む水溶液に被メッキ物を浸し、表面で還元反応を生じさせてメッキ皮膜を成長させる方法です。無電解メッキでは、電気を使わないため、被メッキ物に導電性がなくてもメッキできます。さらに、電気の流れに左右されないため、表面に均一にメッキすることができます。そのため、無電解メッキは、複雑な形状のメッキにより適しています。それに対し、電解メッキで同様な品質のメッキ皮膜を得るには、メッキ治具による被メッキ物の配置や、メッキ皮膜が厚く、もしくは薄くなってしまう部位近くへの補助極の配置など、多くの工夫やノウハウを必要とします。無電解メッキは、化学反応だけで皮膜を形成するので、膜厚に限度がある、析出する速度が遅いなどの欠点があります。また、化学反応に高温の維持を必要とする場合もあることから、メッキ槽の管理が難しくなります。さらに、メッキ槽が化学的に不安定になりやすく、その調整のために投入する薬液にコストがかかります。このようなメッキ槽の維持管理の困難さから、無電解メッキの多くは電解メッキよりも高コストです。無電解メッキでは、ph調整剤や添加剤などのメッキ槽へ投入する薬品と、温度維持などのメッキ槽の調整だけで、メッキしたい物質と被メッキ物が化学反応しなくてはなりません。そのため、無電解メッキの種類は電解メッキに比べて限られています。電解メッキのメリット・デメリット電解メッキは、以下のようなメリット・デメリットがあります。電解メッキのメリット・低コスト・メッキする速度が速い・厚くメッキすることが可能・様々な金属・合金にメッキ可能・被メッキ金属への熱的影響が小さい電解メッキのデメリット・均一にメッキすることが難しい・複雑形状の金属にメッキすることが難しい・不導体にはメッキできない電解メッキの工程について引用元:通販モノタロウ電解メッキの工程は、上図に見られるように、大きく前処理、本処理、後処理に分けることができます。ここでは、これらの処理工程の詳細について解説していきます。前処理前処理は、メッキがしっかりと密着するように、汚れや酸化皮膜などを除去し、被メッキ物の素地面を露出させるために行われます。前処理の工程は、脱脂、酸洗い、酸活性など多様で、メッキの種類や被メッキ物の材質、加工履歴などの違いにより、適切な工程が選定され、実施されます。●水洗・湯洗水洗・湯洗は、水やお湯で素材を洗浄する工程で、各工程で用いられた溶剤などの成分を次工程に持ち込ませないために行われます。そのため、各工程の完了後には水洗・湯洗が実施され、状態の確認も併せて行われます。●脱脂(溶剤洗浄、アルカリ洗浄)脱脂は、素材表面に付着したゴミや、加工の際に用いたオイルなどの有機性の汚れを除去する工程です。その中でも、溶剤洗浄は有機溶剤を用いることで、アルカリ洗浄はアルカリ性の苛性ソーダなどに漬け込むことで油脂を取り除きます。●酸洗い酸洗いは、サビやスケール(熱処理で生じる焼けや変色)を除去するため、硫酸や塩酸など、比較的強力な酸に漬け込む工程です。●電解洗浄電解洗浄は、素材に電流を流すことで素材表面に酸素や水素などを発生させ、そのガスの力によって微細な凹凸面に付着したゴミやスケールなどを除去する工程です。取り切れなかった汚れや酸化皮膜を取り除く仕上げの洗浄工程と言えるでしょう。●酸活性(酸浸漬)酸活性は、素材を酸に漬けることでメッキしやすい素材の素地面を露出させる工程です。●中和酸やアルカリを次工程に持ち込ませないように酸性溶液やアルカリ性溶液に漬け込んで中和することがあります。●ストライクメッキ引用元:株式会社会津技研ストライクメッキは、下地メッキを施す工程で、素材表面が活性化しにくい場合などに行われます。上図は、下地メッキとして銅を用いた例で、平滑化や密着性向上を目的に実施されます。本処理実際にメッキを施す工程です。黄銅、亜鉛、アルミニウムなどのメッキでは、耐食性向上や変色防止を目的に、さらにクロメート処理を行うことがあります。クロメート処理は、金属表面にクロムの酸化皮膜を形成させる表面処理です。後処理メッキを施した後は、水洗した後、水を吹き飛ばす、熱するなどすることで乾燥させれば完成です。ただし、水素脆性に陥りやすい素材では、190〜220℃程度に加熱することで水素を追い出すベーキング処理が必要になることがあります。電解メッキの種類それでは、電解メッキにはどのような種類があるのでしょうか。代表的な「銅メッキ」「亜鉛メッキ」「クロムメッキ」「ニッケルメッキ」「金メッキ」について解説します。銅メッキ銅は、熱伝導性・導電性が高く、展延性に優れる金属で、赤い色調の光沢を持ちます。メッキとしては、高い導電性や優れた展延性を活かして、プリント配線板などの電子部品に多く用いられています。装飾を目的とする場合は、銅は変色するため、クリアー塗装などの表面処理が必要です。しかし銅メッキは、優れた平滑性を示し、また加工しやすいことから、他のメッキの下地に多く利用されています。また銅メッキは、炭素添加によって耐摩耗性を向上させる浸炭処理時に、炭素の侵入を防止する特性があります。そのため、浸炭の効果が表れてほしくない部位に銅をメッキすることがあります。亜鉛メッキ亜鉛は、大気中で優れた耐食性を示し、水分下でも亜鉛自らが溶解して鉄の腐食を防ぐ働きをします。そのため、亜鉛メッキは、鉄鋼の防サビ用メッキとして広く用いられています。しかしほとんどの場合、亜鉛メッキだけでは耐食性能に限りがあるため、メッキ後にクロム酸塩を含む溶液に浸して酸化皮膜を生じさせるクロメート処理を行います。クロメート処理では、その溶液を調整することで、亜鉛メッキに以下の外観や耐食性を持たせることができます。クロメート処理の種類光沢クロメート:ユニクロとも呼ばれ、青銀白色で美しいが耐食性は低い有色クロメート:黄金色や虹色で、耐食性は良好緑色クロメート:緑色や茶色で、高腐食環境で使用される黒色クロメート:黒色で、耐食性は良好亜鉛メッキの用途としては、自動車部品、電気機器部品、機械部品、建築部品などが挙げられます。最近では、クロメート処理による装飾性の向上により、事務機や文具などの外観が問題となる製品にも多く利用されています。参考記事鉄鋼に対するメッキについては以下に詳しくご紹介していますのでご覧ください。⇒鉄メッキならMitsuri!1コ〜お受けいたします!クロムメッキクロムは、光沢のある銀白色の硬い金属で、耐食性のある酸化皮膜を形成することからメッキとして広く用いられています。クロムメッキは、光沢と美しい外観を活かす場合には装飾用として、硬さや耐摩耗性を活かす場合には工業用として利用されています。装飾用クロムメッキでは、主に銅やニッケルを下地として0.1~0.5μm程度の薄いメッキを施します。装飾用クロムメッキは、この薄さでも耐食性、耐変色性、耐候性などに優れた性能を示します。そのため、自動車や機械の外装部品、台所用品やインテリア関係など、美観を求められる製品で幅広い用途があります。また、装飾用としては、漆黒調の皮膜が得られる黒クロムメッキもあり、自動車やオートバイ、カメラ、時計、事務機などに利用されています。工業用クロムメッキは、硬質クロムメッキとも呼ばれ、5μmから100μm超まで、用途に従って厚くメッキします。そのメッキ皮膜は、硬く耐磨耗性に優れ、低摩擦係数や非粘着性などの特性も有します。そのため、ベアリングやロール、シリンダー、金型などの産業用機械部品や自動車部品などに広く用いられています。ニッケルメッキニッケルは、光沢があり耐食性や導電性に優れています。硬さ、柔軟性なども良好なため、メッキとしてもよく利用されています。ただし、空気中で時間経過と共に変色するので、その上にクロムメッキを施すことが多いメッキ金属です。ニッケルメッキは、様々な金属への密着性が高いことから、中間層や下地としてよく用いられています。また、銅素材に金をメッキする際には、金が銅に拡散するのを防ぐため、金の下地としてニッケルがメッキされます。ニッケルメッキは、電解メッキするときの添加剤によって無光沢から光沢まで調整することができます。そのため、自動車部品や産業機械部品などのほか、装飾用にも多く用いられています。特殊な用途として、はんだ付け性が高いことから電子部品などにもよく利用されています。またニッケルメッキは、無電解メッキでも行えるため、複雑な形状や精密な部品のメッキには無電解メッキが用いられます。金メッキ金は、高い熱伝導性・導電性を持ち、化学的に非常に安定で耐食性に優れた金属です。金メッキとしては、はんだ付け性が良く、時間経過による接触抵抗の変化が小さいため、電子部品などに多く利用されています。外観も美しいので、装飾器具や時計、自動車のエンブレムや内装部品などに用いられています。上述したように、金は銅や銅合金と接すると拡散していくため、銅素材にメッキする場合にはニッケルメッキの下地が必要です。金は無電解メッキも可能なため、導電しない素材や複雑なパターンのメッキには、無電解メッキが用いられています。まとめ以上、電解メッキの詳細や種類、また無電解メッキと比較した場合のメリット・デメリットについて解説しました。電解メッキは、無電解メッキと比較して、低コストで様々な金属にメッキできるため、最も広範に用いられているメッキ法です。電解メッキの種類も様々ですが、品質やコストを勘案すると、無電解メッキが適切な場合もあります。Mitsuriは協力工場が全国に140社以上あるため、電解メッキと無電解メッキ含めて最適なメッキ法をご提案できます。電解メッキでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!

    包丁・スパナ・ペンチなどの身近な道具から、航空機のジェットエンジン部品や胴体フレーム、自動車・電車のギヤ部品などにも用いられる鍛造加工。指輪などの装飾品にも利用され、非常に柔軟性のある加工法と言えます。しかし幅広く活用される一方で種類も多く、具体的に鍛造加工とは何なのか理解するのはなかなか容易ではありません。そこで今回から鍛造加工について、初めて鍛造加工に触れる方でも分かりやすいように、全3回に分けて基本的な知識をお届けします。第1回となる今回は、鍛造加工の定義や特徴から、加工法と加工温度による分類について解説します。鍛造加工とはまずは、鍛造加工とは何かを確認し、そして鍛造加工で実際に作成される製品例などをご紹介します。鍛造加工の定義鍛造は、金属などの物質が持つ塑性という特性を活かした塑性加工の一種で、ハンマーなどの工具や金型で金属に大きな力を加えて、目的の形に成型する加工法です。一般的には、熱した鉄を叩いて鍛える、昔ながらの鍛冶屋のイメージが強いかもしれません。日本工業規格であるJISの定義によれば、鍛造は「工具、金型などを用い、固体材料の一部または全体を圧縮または打撃することによって、成形および鍛錬を行なうこと」となっています。鍛造加工の特徴とメリット圧縮・打撃などによって材料に大きな力を加えることで、高い強度と靭性を持つ、一言でいえば耐久性のある製品を作成できるのが鍛造加工の強みです。なぜ耐久性を持つかというと、圧縮・打撃を受けた金属は、金属内部の気泡などが圧着されることで欠陥がなくなり、結晶が微細化して結晶方向が揃うためです。方向の揃った結晶組織が形成するラインを、鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)と言います。鍛流線が形成されることで薄肉化や中空構造が可能となるため、材料費の削減に繋がるだけでなく、複数部品の一体成型といった工程の短縮まで可能となります。さらに、そのほかの加工法が抱える問題不良もほぼ発生しないため、加工時間そのものも短縮でき、生産効率が高いことが特徴として挙げられます。また、近年では鍛造技術の進歩によって精密加工も可能となり、鍛造後の機械加工がほとんど必要ないニアネットシェイプ加工、後加工が不要なネットシェイプ加工などが実現しています。鍛造加工のメリットをまとめると、次の4点に集約されます。鍛造加工のメリット・耐久性が高い(高強度・高靭性)・省コスト(省材料化・加工工程短縮)・高効率(省加工時間)・後加工不要な精度も確保できる(ニアネットシェイプ・ネットシェイプ)鍛造加工の歴史引用:株式会社 東亜鍛工所金属を叩いて加工する、というシンプルな定義を持つ鍛造加工の歴史は非常に古く、その起源は紀元前4000年――今から6000年以上前にさかのぼります。そもそも金属の加工法としてはじめて用いられた方法が、この鍛造だったのです。今後発見される史料によっては覆される可能性も十分にありますが、金属を削る切削加工や、金属を溶かして型に流し込む鋳造などに比べると、「金属を叩いて成型する」という加工法は実にシンプルで、これが人類初の金属加工だったとすることに、あまり違和感はないのではないでしょうか。さて、日本で鍛造が用いられるようになったのは、それから6500年近く経過した紀元470年ごろ、大陸から鉄が持ち込まれたことに端を発します。日本における鍛造技術といえば、古墳時代の鉄製の刀剣に始まり、平安時代に完成したと言われている日本刀です。日本刀を製作する刀鍛冶の鍛造技術は世界的に見ても非常に優れており、同時代における農工具や鉄砲製作技術などもあいまって、精密鍛造などにおいて日本は世界トップクラスの技術力を持つようになりました。鍛造加工の具体例鍛造加工によって製造されている製品の一例をご紹介します。なお鍛造は本当に幅広く用いられている加工法のため、ここに挙げたものはあくまでもその一部です。製品例航空機・発電用ローター主軸などの大型部品自動車部品(ギヤ・ホイールなど)工具ガス給湯器電設機器農機具高圧ポンプ機器半導体製造装置レーザー機器ロボット機器指輪鍛造加工の工程引用:大連柴田精密機械有限公司一般的な鍛造加工の工程は、4つに分けられます。鍛造加工の工程①素材の切断と設置②圧縮・打撃により力を加える③さらに力を加える④成型完了鍛造加工の種類続いて、鍛造加工の分類について解説します。加工方法による分類まずは加工方法による分類からです。鍛造加工は、加工方法により「自由鍛造」と「型打ち鍛造」に分けられます。①自由鍛造自由鍛造とは、型を用いずに台(金敷)とハンマーで自由に材料を成型する、昔ながらの鍛造法です。基本的にはすべて手作業で成型するため初期投資があまりかからず、複雑な形状の多品種少量生産や大型鍛造品など、金型を用意するのが難しい場合に用いられます。古くは職人の技量が製造品の精度に直結する手法でしたが、現在では機械ハンマーによるものが主流です。②型鍛造(型打ち鍛造)自由鍛造とは対照的に、大量生産向きの鍛造法が型打ち鍛造です。ダイスと呼ばれる金型を用意することで、高い生産効率で同形状の製品を大量に作ることが可能です。型打ち鍛造の中にもいくつか種類があります。上下の型が隙間なく閉じて材料を密閉する密閉鍛造、余分な材料をはみ出させて材料を充満させる半密閉鍛造、型で圧縮したのちにさらに型やピンを動かし、材料を押し出して成型する閉塞鍛造、などが挙げられますが、このうちどの方法を採用するかは成型したい形状などによります。加工金属の温度による分類続いて、加工する温度による分類です。こちらは下記の4つに分類されています。加工温度による分類①半溶融鍛造②熱間鍛造③冷間鍛造④温間鍛造①半溶融鍛造主に車のアルミホイール成型などで用いられる鍛造法で、名前の通りアルミを半ば溶融させた状態で成型します。純粋な鍛造というよりは、鍛造と鋳造(溶融させた金属を成型する工法)の間のような手法で、鍛造の強度と鋳造の自由度を両立させた加工法です。②熱間鍛造熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200度程度)に一度熱してから行う鍛造法です。これにより、柔らかくなった金属はゆがんだ結晶が正常な結晶に変化するため、適切なメタルフローラインを形成することができます。熱間鍛造の場合、複雑な形状であっても強度を確保しやすい点がメリットとして挙げられます。③冷間鍛造熱間鍛造が「再結晶温度以上」で鍛造を行うのに対し、常温で行う鍛造を冷間鍛造と呼びます。金属が硬い状態のまま加工を行うため、精度に優れる一方で非常に高い圧力が必要になります。そのため、大量生産品かつ小さな部品(ねじ、ボルト、ナットなど)に向いた鍛造法です。④温間鍛造熱間鍛造と冷間鍛造の間(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)で行われる鍛造を温間鍛造と呼びます。冷間鍛造では成型が難しい範囲の複雑な形状加工や、高硬度の材料加工も行えるうえに、熱間鍛造よりも高い精度の鍛造品を製造することが可能です。主な製造品としては、自動車部品では各種ギヤ類などが挙げられます。まとめ鍛造加工は、「金属に熱と力を加えて成型する」というシンプルな工法ですが、多品種少量生産には自由鍛造、大量生産には型打ち鍛造、とフレキシブルに工法を選べる優れた塑性加工です。次回は、そのほかの加工法と比べて、その違いから、さらに具体的なメリット・デメリットについて解説します。ぜひあわせて参考にしてください。

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    ろう付けとは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

    ろう付け(ろう接)とは ろう付けは、被溶接材料(母材)を溶かさずに、溶加材を接着剤のように接合面のすきまに行き渡らせて接合する加工法です。ろう付けの原理ろう付けは、母材と溶加材の融点の違いによるぬれ現象を利用した溶接法です。ある温度で溶加材を熱することで、母材を溶かさずに溶加材のみを溶かし、毛細管現象によって溶着面に浸透拡散させます。溶加材が接着面に行き渡る様子を「母材が溶加材によって”ぬれる”」と表現し、その状態は紙や布が水によってぬれるのと同様の原理です。この「行き渡りやすさ」をぬれ性と言い、母材の材質や、溶加材として用いるろうの種類などによってぬれ性は異なります。 ろう付けの代表的な種類ろう付けを行う際、溶加材で効率よく母材をぬれさせるためには母材表面の酸化被膜を除去する必要があり、この酸化被膜の除去方法によってろう付けは大きく2種類に分けられます。フラックス    ろう付けフラックスとは、活性温度まで熱することで、金属表面に形成された酸化皮膜を分解除去する化学薬品です。次のフラックスの条件を満たす、適切なフラックスの選定と塗布が必要になります。①流動性、ぬれ性がよいこと②被覆性及びろうとの置換性がよいこと(再酸化防止および欠陥防止のため)③耐熱性がよいこと④塗布性がよく加熱中も垂れないこと⑤残渣(溶着後に残った溶加材などのカス)の除去が容易で腐食性がないこと雰囲気(制御)ろう付けろう付け時の雰囲気(周辺の気体)を制御し、酸化皮膜を分解・除去するろう付け法です。雰囲気中のろう付けは、フラックスろう付けと比べて残渣などの処理が不要で、複雑な部品の同時ろう付け、そのほかフラックスろう付けが適さない母材のろう付けなどにも用いられます。ろう付雰囲気は、還元性ガスの水素、無酸化性ガスの窒素や不活性ガス、および真空の3種類に大別され、それぞれ母材とろう材に応じて使い分けられます。上記の画像は無酸化雰囲気ろう付けの様子で、ベルトコンベアと無酸化炉によって、自動化多量生産を実現しています。ろう付けと他の溶接の違い溶接には、ろう付け以外に融接や圧接などの加工法があります。それぞれの特徴と比べた、ろう付けのメリット・デメリットを確認してみましょう。なお、ろう付けと一口にいってもその加工法は用いるろう材や母材の組み合わせによって大きく異なるため、続いて解説するのはすべてのろう付けに当てはまる特徴というよりも、あくまでもそういった傾向がある、といった程度に認識していただければ幸いです。ろう付けのメリットろう付け法のメリットは、おおむね次の通りです。①母材がほとんど溶けないので寸法精度が高い②真空ひずみが少ないので、薄板や精密な接合ができる③ぬれによってろうが母材の隙間に入り込むので、接合箇所が複数あるような複雑な形状の接合の自動化や大量生産に適している④ぬれによってろうが母材の隙間に行き渡るので、見えないところや溶接棒が直接届かない部分の接合も容易である⑤ろう材と母材が溶け合う必要がないので、条件を適切に選択すれば、特殊な材料・異種材料間での接合が融接などに比べて容易である⑥ろう材と母材の融点が異なるため、再加熱により接合部を離すことができるろう付けのデメリット対してろう付けのデメリットは次の通りです。①接合強度が、他の溶接に比べるとやや弱いものが多い②ろうと母材の組み合わせによっては著しい侵食が起こる(ニッケル基合金をニッケルろうでろう付けする場合など)③接合部を直接確認することが適わないため、欠陥制御が難しいろう付けとはんだ付けの違いろう付けと同じ原理を利用した加工法として「はんだ付け」がありますが、ろう付けとの違いは使用するろう材です。融点450℃以上の硬ろうを用いるものがろう付け、融点450℃未満の軟ろうを用いるものがはんだ付けに分類されます。450℃で区分していることに物理的な意味はなく、450℃近くを液相線温度とするろう材やはんだが少なかったためです。なお英語ではろう付けをBrazing、はんだ付けをSolderingと区別していますが、ドイツ語では両者をLötenと称し、区別していません。それくらい近しい加工法であり、明確に分けて考えないケースも多いです。ろう付けの方法ろう付けやはんだ付けは、道具さえそろえればDIYなどで活用することも可能です。上記は一般的な銀ろう付けの手順で、ご覧いただくと分かる通り、特別な道具はセラミックボードやカーボンプロテクター、サポートスタンド程度で、そのほかは一般的な工具で賄うことができます。

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    【へら絞り】へら絞りの加工方法やメリット・デメリットをわかりやすく解説!!

    へら絞りとはタオルを絞ったりホースの先を絞ったり。『しぼる』という言葉には衣類をねじったり締め付けたり、カメラのレンズの範囲を小さくするといった意味がありますね。今回のテーマであるへら絞りにも、絞るという言葉が使われているだけあって、金属を縮めたり圧縮していく加工を施していくのですが、その様子を実際に見てみると言葉とは真逆の広げたり伸ばしたりといった感じの加工をしているように見えます。ですが、その加工の様子を言葉だけで説明しようとするといまいち伝わりにくいかもしれませんので、まずは実際に加工している様子が分かる動画を見ていきましょう。へら絞りには職人が手作業で加工する『手絞り』と機械が自動で加工する『自動絞り』の2種類があるので、それぞれご覧いただけるとより分かりやすいかと思います。手絞り加工 自動絞り 滑らかに金属が伸びていくさまが何となく陶芸のろくろを回している所を連想させますね。動画の通り、へら絞りとは素材となる金属を高速で回転させて、へらと呼ばれる棒を押し当てることで形を作っていく加工のことです。元は薄っぺらい円盤状の金属を、へら棒と呼ばれる金属の棒を当てることで徐々に引き伸ばすようにして成形していきます。へら絞りはその金属を回転させながら加工する方法からスピニングとも呼ばれます。ただ、動画を見た限りでは、やはりへら絞りは金属を伸ばして加工しており、とても絞っているようには見えませんよね。実はこの絞っているという表現は、伸びていっている先端の方ではなく、根元の方を指しているのです。加工しているところを見ると、どうしても伸びている方に目が行くため印象が薄くなりますが、物質の量は変わらない以上、根元の方は小さく薄くなっていることになりますね。金属なので縮んでいる感じがなくイメージしづらいですが、身近な物に例えて、サランラップをコップに押し当てるところを想像すると分かりやすいでしょうか。あるいは靴下を履くところでもいいでしょう。ラップや布地が伸びている部分に対して、反対側は薄く締め付けられていますね。これを絞るというふうに表現して、これらの加工のことを『絞り加工』、へら棒を使う場合は『へら絞り』と言うようになったのです。率直に「伸ばし加工」と名付けてもよさそうなところですが、あえて目立たない方に目を付けて「絞り加工」と命名するあたりが、粋に職人気質な感じが出ていて面白いですね。へら絞りによって作られる製品や主な材料へら絞りは加工の仕方から、大量生産よりも多品種少量生産に適しています。作られる製品には身近なところでやかんや鍋、大型の製品ではパラボラアンテナなどがあります。他にも通信機器や医療機器、照明器具などの部品としても使われ、他にも様々な機械に組み込まれています。主な材料はよく使われる鉄やアルミ、素材が硬く加工が難しいステンレスやチタン、高級ではありますが美しい見た目に彩れる銅や真鍮(しんちゅう)などがあります。加工できる素材の中ではアルミが一番深く絞りやすく、次いで値段が安価である鉄が深く絞れます。加工が難しいステンレスやチタンはあまり深く絞れませんが、強度が高く錆びにくいので、鉄より高い強度が必要な部品や野外など錆びてしまう場所で重宝されています。へら絞りは作業者の熟練度によってはプレス加工よりも高い精度の製品に仕上げることができますが、実際にやると加工中に曲がったり破断が起きたりしやすく、品質の良い製品を作るには熟練の技術がいる難易度の高い加工方法です。動画を見た感じでは棒を押し当てているだけで簡単そうに見えるんですけどね。ただその辺は、ろくろを回す作業をやってみると案外難しいのと同じように、しっかりとした製品を作るには高い技術が必要なのです。しかしながら熟練度や得意分野によって大きく差が出るへら絞りでは、その難しさがゆえに、むしろ多くの職人がやりがいや誇り持っています。へら絞りのメリット・デメリット絞り加工にはへら絞りの他に、よく使われる手法としてプレス機を使ったプレス絞り加工という方法があります。へら絞りを使わず絞り加工をする際はだいたいそのプレス加工絞りが用いられます。この項目では状況に応じて使い分けられるへら絞りとプレス加工絞りを比較しながらメリットとデメリットの説明をしていきます。メリット・初期費用が安くすむへら絞りは試作品や少量生産で製品を作る場合、プレス機を使うよりもコストが安くすみます。プレス機を使った加工なら金型が二ついるところが、へら絞りなら一つでいいためです。金型とは製品を作るための元となる型のことです。例えて言えば、ハンコを押す際の印鑑のようなものですね。印鑑さえあれば次々と判を押せるように、金型さえあれば次々と製品を作ることができるのです。プレス機の場合その印鑑が二つ分、へら絞りであれば一つでいいということですね。簡単なものですと、プレス機であれば10万円もコストが掛かるところが、へら絞りならわずか数千円ですむこともあるのでとても安価です。プレス機自体の値段も高いですし、材料費も薄い皿のような金属板1枚から製品が作れるのでそれほど掛かりませんので、試作品の製作や多品種少量生産の場合はへら絞りの方が適していると言えます。・短納期で加工ができる製作期間においても、へら絞りはプレス機を使うよりも圧倒的に早くできます。プレス機は一つの製品を作るにしても金型の製作からしなければならず、簡単な製品でも10日~20日、難しいものになると1か月~2ヶ月ほど掛かることもあります。ですが、へら絞りなら金型が不要で段取りも早くすむため、簡単な製品であればなんと1時間以内で、複雑な形状をしていても1週間あればできます。ただ、大量に作るとなると技術者の負担が大きくなってしまうので、大量生産をする場合はプレス機を使って自動化した方が効率が良くなります。これらのことから試作品や少量生産の場合はへら絞りで、大量生産する場合はプレス機を使って加工していくのが向いていると言えますね。さすがに大量生産となるとプレス機を使って加工を自動化した方が効率がいいですが、まだ試作段階だったり多品種少量生産を目的としているならへら絞りの方が向いています。・幅広い製品に加工できるへら絞りは数ミリの小さな製品はもちろんのこと、何メートルもするような大きな製品でも問題なく加工できます。小さな製品で言うと細かい機械の部品、大型の製品には先ほども例に挙げたパラボラアンテナがありますね。また、鉄やアルミなどの加工しやすい素材であれば深絞り加工も容易です。深絞り加工とはコップや鍋などの底が深い製品を加工することで、反対にフライパンや金属の皿のような底が浅い製品の場合は浅絞り加工と言います。ステンレスやチタンのような硬い素材は深く絞ろうとするほど難しくなりますが、それら以外の材料であれば複雑な形をした部品やある程度底が深い製品でも比較的容易に作ることができます。・品質がよくなるへら絞りで加工した製品はプレス機で加工するよりも表面が滑らかになります。バリが出ないので後処理も必要なく、技術のある人であれば製品ごとに厚さがバラバラになることもありません。バリとは金属を切ったり削ったりした時にできる粗のことで、これがあると表面処理をして綺麗にする必要があります。他にへら絞りには軽量化ができたり強度が高くなったりする利点もあるため、品質面で非常に優れた製品ができます。手絞りにおいても自動絞りにおいても、職人の技術や機械の機能はどんどん良くなっているので、品質や厚さなど精度が安定しなかった製品でも、年々へら絞りで加工できるようになってきています。デメリット・大量生産に向かないこれまで示してきたようにへら絞りは大量生産には適していません。デメリットと言えるほど致命的な欠点はあまりないへら絞りですが、1000個を超える依頼を受けた場合は効率的にプレス機にお任せした方がよいかと思われます。・熟練した職人が必要これも前述の通り、へら絞りは難しい加工であるだけあって技術の習得は容易ではありません。手に職をつけるには十分な知識と経験が必要となるでしょう。その理由から、これは製造業全体に言えることでもありますが、へら絞りにおいても若い世代の職人が不足しています。町工場や中小企業にとって厳しい状況が続いている世の中ですが、少しでも職場の環境や待遇を改善し、より広く若者を受け入れる体制を作っていきたいところですね。へら絞りで作ることができる形状同じ加工の仕方でも製品の形は多彩に作れるのが金属加工の面白いところ。へら絞りも他の加工と同様、様々な形状に加工することができますが、実はへら絞りのもう一つのデメリットに、丸い形以外の製品は作ることが困難という欠点があります。動画で回転させながら加工するところを見ると、確かに四角や三角の形は作りにくそうですよね。ただ、それでもなお、何十何百という種類の形を生み出してしまうのが熟練の職人たちのすごいところでもあります。引用元:株式会社 北嶋絞製作所上の画像はへら絞りで作った製品の一例です。単に丸形と言っても、シンプルなお椀の形をしているものから複雑そうなものまで色々ありますね。これだけ多くの種類が作れるなら丸形のみというデメリットもあまりないように感じます。ただ、プレス絞り加工では四角や三角などの形状の製品も問題なくできるので、その辺は適材適所として使い分けるのがよいでしょう。下の画像はへら絞りで作ることができる形状の断面図です。引用元:SHINYU METAL FACTORY立体にするとどんな形をしているか分かりやすい形もあれば、イマイチ想像しにくい形もあって興味深いですね。画像にはたくさんの形状が載っていますが、これもあくまで一例で、他にも多くの形が作られています。これからも多くの職人たちの手によって様々な形の製品が日々、生み出されていくことでしょう。まとめ時代が進むにつれて技術が発展してきたことにより、多くの製品がより精密に作れるようになってきた今の世の中。へら絞りもまた技術や自動機の開発が著しく進み、より精度の高い製品が効率よく作れるようになってきました。製造業の盛り返しはまだ訪れませんが、へら絞りに懸けるものづくりへの情熱が少しでも若者に伝わることを願っています。

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    板金の成形加工とは?種類ごとに特徴を解説

    モノづくりにはさまざまな成形加工がありますが、その中でも、今回は板金における成形加工について解説します。板金の成形加工は、塑性加工や曲げ加工などの方法を用いて板金の形状を変化させることを言います。抜き加工によって切り取られた素材を製品として整えていく過程で必要となる加工で、そこにはさまざまな種類があります。成形加工とは板金における成形加工とは、金型を用い、プレスを使って金属板を任意の形状に変化させる加工法のこと。ただ形を変化させるだけでなく、強度を上げたり部品を取り付けやすい形状へと変化させたりする目的で用いられます。成形加工の種類板金における成形加工には、さまざまな種類があります。その中でも、多く用いられる種類について解説します。タップ加工タップ加工は、タップ穴を成形するための加工法です。タップ穴はネジ穴のことで、あらかじめ開けておいた穴に工具を用いてねじの山と谷を形成していきます。タップ加工には、「切削式」と「転造式」の2種類がありますが、このうち成形加工に含まれるのは転造式の方になります。転造式のタップ加工は、金属に強い圧力をかけてネジ穴を塑性変形させることを差し、切削式に比べて切り屑の排出がありません。その代わり、ねじの山と谷を含め、適正な量の材料を計算しておく必要があり、高い下穴精度が求められます。バーリング加工バーリング加工は、板金のネジ穴などの縁が盛り上がるように成形する加工方法のこと。タップ穴を盛り上げることでネジの深さを増し、十分な締結力を確保できるようにすることが目的となります。バーリング加工はタップ加工と合わせて用いられることが多いため、バーリングタップと呼ばれることもあります。また、パイプ製品の分岐点を出っ張らせるために用いられることもあります。これにより、突合せ溶接が可能となり、溶接部分の強度と品質が向上します。ザグリ加工ザグリとは金属板を締結した際にボルトの頭の部分が出っ張らないよう考慮して穴を開ける加工法のこと。主に六角穴付きボルトに対して用いられることが多く、ボルトが出っ張ったままにしておくとケガに繋がったり、頭部分が引っかかってネジが緩みやすくなってしまったりするのを防ぐために用いられます。皿モミ加工皿モミ加工は、ネジの頭が飛び出してしまうことを防ぐ加工方法。ザグリ加工と同じ役割のため、「皿ザグリ」とも呼ばれます。加工の原理や用途はよく似ていますが、穴の形状が大きく異なります。ザグリ加工は板金に対して垂直な穴が形成されますが、皿モミ加工はネジの頭の形状に合わせ、斜めの形状をしています。エンボス加工エンボス加工は、プレスによって板金に凸形状を成形する加工法です。凹凸の立体感によってデザインを浮き上がらせる装飾効果もあり、性質の付与と合せて幅広く活用されています。エンボスは凹凸によって摩擦力や強度をアップさせたり、表面積が大きくなることで放熱性を向上させたり、音の反響面を変化させることで遮音性を持たせたり、さまざまな効果が得られます。そのため、板金におけるエンボス加工は、食品機械から放熱板、音響機器に至るまで、幅広い産業で、さまざまな効果を期待されて用いられています。ダボ出しダボ出し加工は、板金の表面にダボと呼ばれる凸形状のダボを成形する加工方法です。スポット溶接をはじめ、板金を接合する際、位置を決めるのに用いられる加工方法です。ダボ出しをすることでけがきをしたり治具を用いたりする必要がなくなるため、溶接のやりやすさが向上します。ダボ出しは、丸いものや四角いものなど、目的・用途に合わせて形状が変わります。ダボの形状に合わせ、金型を使い分けるのが一般的です。ルーバー加工ルーバー加工は、通気孔のような形状を成形する加工方法です。基本的には製品内部の熱を外に逃がすことを目的としており、製品のカバーや筐体の側面などに用いられることが多く、開口部が下を向くように成形することで内部にホコリが侵入することを防止する形状となっています。パンチングプレスパンチングプレスは、板金をプレスで打ち抜いて孔を開ける加工法です。用いる金型によってさまざまな形状をしており、目的や用途に合わせて使い分けられています。パンチングプレスによって成形された板金のことを、パンチングメタルと言います。フランジ加工フランジ加工とは、板金の縁の部分を折り曲げる加工法のことです。縁を折り曲げることで強度を向上させると共に部品の取り付け面を成形する目的があります。フランジ加工には「曲げフランジ」「縮みフランジ」「伸びフランジ」「複合フランジ」の4種類があります。●曲げフランジ直線の板金を折り曲げる、最も基本的なフランジ加工です。加工部に応力が働くことがないため、長方形のブランクが用いられます。●縮みフランジ加工線が凸型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。扇状の素材は外側は広く、内側は狭くなっています。弧の内側を曲げる場合、曲げることによって圧縮の力が働くため、たるみやシワが発生しやすくなるため注意が必要です。●伸びフランジ加工線が凹型の弧を描く素材を折り曲げるフランジ加工です。縮みフランジとは逆に、弧の外側は折り曲げると引っ張る力が働きます。加工時に割れが発生しやすくなるため、注意が必要です。●複合フランジ素材によってはきれいな直線や曲線を描いていないものもあり、曲げ加工を施す際、曲げフランジ、縮みフランジ、伸びフランジをかけ合わせながら加工しなければならない場合があります。これを複合フランジと呼んでいます。加工によって素材がさまざまな作用を起こすため、非常に難易度の高い加工になります。カーリングカーリングは、素材の端を丸くカールさせる加工のことです。端部は強度が低い上、接触によってケガや破損の原因になってしまう場合があります。端部を加工することで内側に隠し、接触による事故を防ぐと共に、強度を向上させられる効果もあります。カーリングは一般的に、予備的な曲げを含め、二段階の曲げ加工を行われることが多いです。また、曲げの種類にも「直線カール」と「外巻きカール・内巻きカール」があります。●直線カール直線カールは、直線の板材に対し、端部に曲げ加工を行います。カーリングの中では最も単純な加工です。●外巻きカール・内巻きカール板金の端部を円筒状に成形する加工方法です。外側に巻く外巻きカールと、内側に巻く内巻きカールがありますが、加工方法はどちらも同じです。加工時、カール部に伸び応力と圧縮応力が働き、割れたりシワになったりする可能性があるため注意が必要です。

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    スリット加工とは?方法、用途、メリット、工程を解説

    今回はスリット加工の基礎知識について解説します。スリット加工は、スリッター機を使って、ロールしてある材料を一定の幅に連続して切断し、再度ロールとして巻き上げる加工を指します。スリッター加工は金属の加工だけでなく、紙・不織布・フィルム・粘着テープといった材料に対しても行われており、幅広い業界で利用されています。スリット加工とは引用元:日本スリッター工業株式会社 スリッターとは?スリット加工(別名:スリッター加工)とは、紙・不織布・フィルム・粘着テープ・金属など、さまざまな材質のロール状のシートを任意の幅に切断し、再度ロール状に巻き取る加工のことを指します。スリット加工を行う機械のことをスリッター機と呼びます。また、ミリ単位の細幅でスリット加工を施すことを、マイクロスリット加工と呼びます。スリット加工は、上刃と下刃の間に材料を通したところに刃を嚙み合わせて切断を行う仕組みです。上刃と下刃には隙間があり、材料に合わせて適切な設定をしないと切断面にダレ・バリ・カエリが発生します。このことから、高い精度でスリット加工を行うには作業者の経験値が要求されます。スリット加工の用途スリット加工は、加工の仕組みによっては狭い幅の材料に対しても対応が可能なほか、用途に応じた長さに切断することもできます。スリット加工に対応する材料は、紙・不織布・フィルム・粘着テープ・金属などと幅広く、さまざまな業界で活用されています。スリット加工のメリットスリット加工と似た加工方法に、大根切り(別名:押し切り)があります。大根切りとは、ロール状の材料に対して、大根を切るように刃を押し当てて任意の幅に切る加工のことです。スリット加工は大根切りに比べて、ロールの長さを自由に変えることができます。これは、ロールした材料を直接切断する大根切りと違い、スリット加工がシートを巻き返しながら指定の幅に加工する仕組みのためです。そのため、指定の長さに切断したいときにスリット加工が採用されています。また、連続した1枚のシートを切断していくので、幅の精度も良好です。一方で大根切りは、材料の長さを変えることができないものの、必要な分だけすぐに加工できるメリットがあります。スリット加工の工程ここでは、金属のスリット加工の工程について解説します。1.アンコイラーへ材料をセット引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程始めに、コイルを巻き戻しやたわみを制御する装置であるアンコイラーへ材料をセットします。2.材料を任意の幅に切断引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程カッターとスペーサーを組み合わせることで、スリット幅を決定し、材料を切断していきます。加工業者により、加工できる厚み・幅・長さは異なります。3.切断した材料の巻き取り引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程切断した材料を巻き取り装置に送ります。このとき、スリット加工する材料の厚みや幅によって、適切な張力で巻き取ります。4.スリット加工の完成引用元:株式会社日本クロス圧延 スリット加工の工程完成したコイルは、しっかりと巻かれているため、崩れにくい状態で出荷されます。実際にスリット加工を行っている様子は、以下の動画を参考にしてみてください。スリット加工の方法、方式スリット加工の切断方式は、主に「シャースリット方式」と「ギャングスリット方式」の2種類があります。シャースリット方式引用元:MSR株式会社 スリット加工シャースリット方式は、窪みのある下刃に上刃を挿入する形で材料を切断する方式です。シャースリット方式は、端面精度が安定しており、薄くて柔らかい材料の切断や、メーター数の長い材料の切断に適しています。ただし上刃と下刃の間に隙間があるため、折れやダレが出やすく、細い幅の材料を切断するのは不向きです。ギャングスリット方式引用元:MSR株式会社 スリット加工ギャングスリット方式は、同形状の上刃と下刃を嚙み合わせて切断する方式です。ギャングスリット方式は、左右どちらの端面もダレや折れがなく、細い製品幅の切断に適しています。しかし、セットに手間がかかり、精度を出すには管理面で気をつかう必要があります。また、巻きが緩くなる場合があるため、メーター数の長い製品には不向きです。

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    ソレノイドの用途と種類、原理を解説!

    「ソレノイド」とは、電磁力を利用して、電気エネルギーを機械的運動に変換する電気部品を指します。あまり聞き慣れない用語ではありますが、私たちの身近なところで電化製品や、自動車、自動販売機など、さまざまな用途に広く利用されており、私たちの生活に欠かせない電気部品の一つです。今回は、この「ソレノイド」をテーマに、ソレノイドの用途や使用事例をご紹介した後、ソレノイドの原理や仕組み、その他にも、ソレノイドの種類や、ソレノイドを選ぶ際に注意するべき点など、幅広い内容について詳しく解説していきます。ソレノイドについてさらに知識を深めたい方や、ソレノイドでお悩みの方は、ぜひご一読ください。ソレノイドの用途&使用事例まず初めに、ソレノイドの用途について見ていきましょう。冒頭でも述べましたが、ソレノイドは私たちの生活において幅広い用途で利用されています。例えば、家電品、OA機器、FA機器、金融端末、電子錠、自動車、自動ドアなどに用いられています。近年では、福祉・医療分野などの機器においても使用されており、その用途がますます拡大しています。以下、具体的な使用事例についてご紹介していきます。使用事例①自動販売機内のコインメックコインメックとは、自動販売機などの内部に搭載されている「つり銭機能内蔵(硬貨循環式)セレクター」を指します。自販機でお釣りの硬貨を出す際、このコインメック内で、積み重なった硬貨を電気信号によって一枚ずつはじき出す機構に、ソレノイドが利用されています。使用事例②駅の改札口自動改札機の切符送り機構や、切符などの紙に穴を空ける目的で、ソレノイドが使用されています。使用事例③スロット機スロット機とは、コイン作動式のゲーム機です。このスロット機内において、メダルの搬送、各スロット機へのメダルの振り分け、規定量を超えてのメダル投入の防止の機能をもちます。その他にも、台間機の硬貨投入口には、停電時などに硬貨が投入防止シャッターの役割など、スロット機ではさまざまな役割を持つソレノイドが使用されています。ソレノイドの原理と仕組み引用元:天竜丸澤株式会社ソレノイドは、一般的に、上図に示したように、固定鉄芯に銅線がコイル状に巻かれており、その中を可動鉄芯が上下するような構造を持っています。仕組みについては後述しますが、ソレノイドは電磁力を応用して、可動鉄芯を一方向に運動させることができる電気部品です。モーターと同じような機能を果たしますが、モーターと比較して、ソレノイドはより単純な構造を持つ上、コイルに通電するだけで動作することから、駆動が非常に簡単です。それでは、次にソレノイドの仕組みについて見ていきましょう。まず、ソレノイドには、前述した通り、固定鉄芯と可動鉄芯が設けてあり、コイルに電流を流すと磁界が発生し、電磁誘導の法則によって、可動鉄芯が固定鉄芯へ吸い寄せられます(吸引)。通電している間は常に吸い寄せられていますが、電流を遮断すると、この吸引力は消滅し、戻しバネなどの負荷により元の位置へと復帰します。このような仕組みで、ソレノイドは電気エネルギーを機械的運動へと変換させています。ソレノイドの種類次に、ソレノイドの種類について見ていきましょう。ソレノイドの種類は大きく分けて次の3つが挙げられます。以下、それぞれの仕組みの違いについて解説します。①プルソレノイドプルソレノイドは、引っ張る力を作動力として利用するソレノイドです。最もスタンダードなタイプのソレノイドで、広く利用されています。ソレノイドの動作の仕組みについて前述した通り、このプルソレノイドでは、電流を流すことで、可動鉄芯が固定鉄芯の方向へ吸い寄せられられます。②プッシュソレノイドプッシュソレノイドは、突き出た可動鉄芯で押す力を作動力として利用するソレノイドです。その動作の仕組みは、プルソレノイドと同様、電流を流すと、可動鉄芯(プランジャー)が固定鉄芯の方向へ吸い寄せられられるというものです。しかし、プッシュソレノイドでは、上図のように、可動鉄芯が貫通しているため、可動鉄芯が吸引されると反対方向に突き出るタイプのソレノイドとなります。③自己保持ソレノイド前述したプルソレノイド、プッシュソレノイドでは、可動鉄芯を吸引された状態に保つためには、電流を流し続ける必要がありました。しかし、自己保持ソレノイドでは、ソレノイド本体に永久磁石を組み込むことで、電流が流れていない時でも、この永久磁石によって可動鉄芯の吸引状態を保つことができます。電流を流したままにする必要がないため、コイルの発熱を防いだり、電力の消費量を抑えることが可能となります。また、ソレノイドにはAC電源で駆動するACソレノイドと、DC電源で動作するDCソレノイドが存在します。両方とも基本的な特性は同じですが、一般に以下のような特徴の違いが見られます。●ACソレノイド:振動騒音が大きく電流値が安定しにくい。また、突入電流(通電する際に、瞬時に定常電流の10~20倍の電流が流れること)が発生しやすく、この瞬間に可動鉄芯を強力に吸引してしまうため、安定性が低い。● DCソレノイド:電流値が一定で、騒音が小さく安定した動作が可能。交流電源と違い、オンオフ時の突入電流が発生しないという利点がある。このような理由から、市場にはDCソレノイドの方が、ACソレノイドと比較してより多く販売されています。上述したように、ソレノイドには数種類のタイプがあるほか、使用する電源や、形、サイズ、また可動鉄芯の先端形状が異なるものなど、その種類は多岐に渡り、市場には約250種類以上もの製品があると言われています。ソレノイドを選ぶ注意点最後に、ソレノイドを選定する際に注意するべき点について見ていきましょう。主に、以下4点が挙げられます。1.使用する電源・電圧前述した通り、ソレノイドにはAC電源及び、DC電源によって駆動するタイプがありますので、用途によって適切な電源を選定することが必要となります。また、ソレノイドを使用する電圧も選択する必要があるので、事前に確認しておくことをおすすめいたします。2.必要な吸引力とストロークまず、前述したソレノイドの仕組みから、吸引力、ストロークという用語について、確認しましょう。●吸引力:電流を流した際に可動鉄芯(プランジャー)を引きつける力●ストローク:可動鉄芯(プランジャー)が吸引された際に動く距離それぞれのソレノイドには、吸引力とストロークの特性が決まっており、ソレノイドを選ぶ際には、用途に合わせてこれらを選定する必要があります。3.通電率通電率とは、電流を流す時間の割合を指します。通電率は、次の式で求めることができます。通電率 = 通電時間 / (通電時間 + 通電していない時間)例えば、通電率が50%のソレノイドにおいては、通電時間が1分の場合、通電していない休憩の時間を1分設ける必要があるということです。通電率を守らず電流を規定以上に流し続けると、過度な熱が発生することでソレノイドが壊れてしまう場合もあるので、注意しましょう。なお、通電時間などが不明な場合は、連続通電のタイプのソレノイドを選定すると良いでしょう。4.サイズソレノイドには、大小さまざまなサイズがあり、必要な製品のサイズに応じてソレノイドの大きさを選びます。なお、ソレノイドは、水滴の付着や、気温の低下による氷結などによって、その機能が低下してしまう恐れがあるため、ソレノイドの設置の際には、設置場所にも気を付けることをおすすめいたします。ソレノイドについてまとめ今回は、ソレノイドをテーマに、ソレノイドの用途や使用事例、またソレノイドの原理や仕組み、その他にも、ソレノイドの種類や、ソレノイドを選ぶ際に注意するべき点など、幅広い内容について詳しく解説しましたが、いかがでしたでしょうか。前述した通り、ソレノイドの種類は多岐に渡ります。そのため、用途に合わせて適切なソレノイドを選定するためにも、事前に必要なソレノイドの条件をしっかりと確認しておくことをおすすめいたします。ソレノイドでお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    板金加工の見積もりを依頼するならMitsuriにお任せ!見積り方法とコツを専門家が解説!

    「板金加工が初めてで、具体的な見積もりが分からない…」「工場がたくさんあるから、どこに板金加工を依頼すればいいか分からない...」「板金加工の具体的な価格設定を知りたい…」そんな板金加工に関するお悩みは、この記事で解決しましょう!この記事では、板金加工の一般的な見積もりの流れを分かりやすく解説していきます。実際の板金加工の見積もりの流れや一般的な価格の目安が分かるので、初めての人も安心して依頼できるでしょう。これから板金加工の見積もり・依頼を検討されている方は、ぜひ一読してみてください。また、Mitsuriでは全国の優良な工場を簡単に比較・検討できるので、工場選びの手間や時間を短縮できておすすめです。ウェブ上でMitsuriへ登録し、案件を公開するだけで見積依頼ができるので、時間のない方や初めての方には特に便利です。板金加工についてお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!動画でも解説しています!板金加工を例に、加工部品がどのように見積もられているのか解説しています!高くなってしまうポイントも解説してますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!板金加工の見積もりの流れ母材単価を調べるまず、板金加工をするにあたっては母材単価を調べる必要があります。金属材にはいろいろな種類がありますが、選ぶ母材によって価格が大きく変わってきます。板金加工をする際には、予算や用途に応じて適切な母材を選ぶのを心がけましょう。代表的な素材の価格は次のようになります。代表的な素材の価格 チタン合金:8000円~/kg 銅:2200円~/kg 真鍮:1900円~/kg アルミ合金:700円~/kg ステンレス:400円~/kg 鉄:120円~/kg (2022年1月時点)母材の単価だけ見ると、鉄やステンレスを使うのがコストカットに繋がりそうです。しかし、鉄は錆やすいというデメリットがあります。そのため、屋外での使用や塩害が起こる可能性がある場合、別途塗装やメッキをする必要が出てきます。その場合は結局トータルで高額になってしまう場合もあるので、素材の特性を理解して選びましょう。また、性能で選ぶ場合、それぞれの母材の強みは以下のようになります。各母材の強み 強度:鉄 軽さ:アルミ合金 電気抵抗の低さ:銅・アルミ合金 耐食性:チタン・ステンレス 熱伝導の高さ:アルミ合金・銅 被削性の高さ:アルミ合金・銅合金・鉄合金こちらはあくまでも目安ですが、作成する製品によって使用する素材を選び分けるようにしましょう。参考記事板金加工については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。⇒板金加工とは何か?各加工の単価を乗せる母材を選定したら、加工単価を上乗せします。複雑な加工になるほど高額になるため、加工の手順や方法を吟味する必要があるでしょう。一般的に、板金加工の定価は公表していない工場が多く、製作する部材の状況や加工費などによってケースバイケースで決まります。そのため、おおまかな価格の把握をしたい場合でも、その都度工場に見積もりを作成してもらった方が正確でしょう。それぞれの加工の一般的な単価は以下のようになります。これらの金額はあくまでも目安で一例ですが、発注の際の参考にしてみてはいかがでしょうか?CAD/CAM 1部品あたり 500円~段取り費 下記各工程1個につき、430円前後~ 個数が多いと大幅に減額されます。切断費 200円~/加工周長300mmバリ取り費 50円~タップ加工費 20円~/1箇所曲げ費 150円~/1回溶接費 800円~/溶接距離50mm溶接焼取費 300円~ ステンレスの場合に発生し、サイズによります。メッキ・アルマイト費 1000円~/1加工塗装費 塗料代1缶3000円~ + 加工費 1500円~/個 重量・面積によります。送料・梱包費 通常の宅急便の運賃に梱包資材費と人件費が乗ります。これらの加工単価が、箇所の数だけ上乗せされます。ただし、加工箇所が大量になれば値引き出来るケースもあります。そのため、生産量や予算に応じて気軽に相談してみるのがおすすめです。そして、見積もりの作成にはMitsuriの利用が便利です。金属加工が得意な多数の職人を登録しているので、ぴったりの一社が見つかるでしょう。工場には得意・不得意な分野があり、仕上がりや価格設定にも違いが見られます。しかし、自力で最適な工場を探そうとすると、時間や労力が掛かってしまいます。Mitsuriを利用すれば、それぞれの加工が得意な工場に分散して発注を掛けることも可能なので、より効率よく見積もりが作成できるでしょう。ぜひ気軽に利用してみてください。段取り費・人件費について段取り費とは、金属加工の段取りにかかる費用のことを指します。主に人件費で、製造事務作業費、機械段取り費、製品運搬費用などが含まれています。段取り費は工夫次第で削減可能なので、コストカットのために見直しが行われることが多いです。最近では、機械のオートメーション化が進み、人件費を削減する取り組みも広がってきています。必ずある程度の費用は見積に含まれますが、昨今削減されてきております。人件費は工場によって差が大きく、加工の難易度によっても変わります。一般的には、小規模の工場の方が人件費の割合が高くなりがちという傾向が見られます。大量に受注している、中規模~大規模の工場は設備投資も充実しており、人件費を少なく抑えています。ただし、きめ細かい対応や小ロットでの生産など、小規模な工場が向いているケースも多いです。生産する部材や状況に応じて、適切な工場に依頼するようにしましょう。費用を抑えるポイント①大量発注すれば単価が下がる場合がある。②短い納期では追加料金がかかるケースがあるため、納期は長めに設定する。③複数の工場で見積もりを取り、より価格の低い工場を引き合いに出して値下げしてもらう方法もある。これらのポイントはあくまで一例なので、必ず値引きしてもらえるとは限りません。また、非常識な価格の値引きばかり要求すると、結局工場側からの信頼が得られなくなってしまうのがデメリットです。そのため、発注の意思がある場合に、工場側にとっても利益となるラインを確保できる範囲で交渉してみるのがよいでしょう。交渉次第で数万円の値引きにつながることも珍しくないので、一度話し合ってみてはいかがでしょうか?板金加工の見積もりならMitsuriこの記事では、板金加工の見積もりの流れについてご紹介しました。板金加工の見積もりの流れや価格について、具体的なイメージを掴んでいただけたのではないでしょうか。板金加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriまでご相談下さい。Mitsuriでは、板金加工に限らず、素晴らしい加工技術を持った全国各地のメーカー様とお付き合いをさせていただいています。現在、協力企業は140社以上ございます。そのため、お客様にとって最適な加工方法や素材選択のお役に立つことが可能です。板金加工のお見積もりでお困りの際は、ぜひ気軽にMitsuriにお申し付け下さい!

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    アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります

    アルミは軽量で強度もあり、加工しやすい金属として日常生活のさまざまな所で使用されています。日本の最小額硬貨である1円玉や普段飲んでいる飲料の缶などもアルミで作られているので、目にする機会も多い金属です。ただ、アルミと一言で言ってもさまざまな種類があり、それぞれ特徴や用途が分かれています。今回は、そんなアルミについて種類ごとの特徴や一般的な板厚を解説していきます。「この種類のアルミはどんな板厚があるの?」「板厚は決まっているけれど、どのアルミを使ったらいいのか分からない。」そんなお悩みをお持ちの方は、是非最後までご覧ください。アルミ板の種類と用途と一般的な板厚アルミ板は軽量で熱伝導性・導電性に優れ、展延性が高いため加工がしやすいといった特徴があります。また、アルミは空気中の酸素と結合することによって、表面に酸化被膜を形成します。この酸化被膜によって内部の金属を保護するため高い耐食性を持ちます。上記の様な特性から、アルミは鉄道や航空機などの輸送用車両の材料、アルミサッシなどの建築材料、飲料缶などの容器包装材など幅広い用途に使用されています。参考記事アルミの加工方法については以下の記事を参考にしてみてください。⇒【協力工場130社以上】アルミ加工でお困りならMitsuriにお任せください!個人の依頼案件も対応します!しかし、アルミは金属の中では柔らかい素材です。そのため、銅やマンガン、マグネシウムなどを添加し、強度を補強したアルミニウム合金として使用される場合がほとんどです。添加した元素の含有量によってさまざまな種類の合金に分類されます。その用途によって板材の一般的な板厚が変わってきますので、代表的な合金ごとに詳しく解説していきます。A1050A1050はアルミニウム純度が99.5%以上の純アルミニウム素材です。耐食性、溶接性、表面処理性に優れています。また、強度を高める元素の添加を行っていないため、金属としては強度が低く、加工性が高いという特徴があります。しかし、強度が低く粘り気があるため、切削加工では切り粉の巻き込みなどによって傷やへこみの原因となってしまうので、こまめに切り粉を取り除くなどの工夫が必要になります。主な用途は、日用品・電気機器・反射材・ネームプレート・装飾品・化学工業タンク類・エアコンなどの熱交換器部品などとなっており、幅広い分野で使用されています。そのため、板材の板厚が豊富で、一般的にはt0.1mm~t2mmの素材を用途によって使い分けます。A1100A1100はアルミニウム純度が99%以上の純アルミニウム素材です。耐食性、溶接性、成型加工性に優れています。A1100では他の1000番台のアルミ板と違い、アルマイトと呼ばれる酸化被膜を形成する処理が行われた後の光沢を良好にするために銅が微量添加されています。用途としてはA1050と同様に、日用品・電気機器・反射材・ネームプレート・装飾品・化学工業タンク類・エアコンなどの熱交換器部品などに幅広く使用されています。板厚はt0.8mm~t5mmの素材を用途によって使い分けます。A2017A2017はジュラルミンの名称で広く知られる、アルミニウムに銅や少量のマグネシウムを添加して強度を高めたアルミニウム合金です。銅を含むアルミは強度が高いため、鉄鋼材料にも劣らない強度を持っています。また、鍛造することもできます。ただし、強度が高くなっている分、加工性が低くなる傾向があります。強度に特化したA2017は主に、航空機や自動車、鉄道などの輸送用車両の部品・ロボット部品・油圧部品などに使用されています。他にも現金輸送箱やケースなどにも使用されていて、近年ではA2017を使用したスマホケースなども登場しています。輸送用車両などの大型の機器からスマホケースなどの小さな製品まで幅広く使用されているため、板厚もt1mmのような薄い材料からt100mm以上の材料まであります。板厚の種類が多いため、どのような用途であっても適切な板厚の素材が手に入れやすいのは利点と言えるでしょう。A5052A5052はアルミニウムにマグネシウムなどを添加したアルミニウム合金です。数あるアルミ合金のちょうど中間程度の強度を持っています。また、耐食性、成形性、溶接性、加工性に優れているため、最も使用頻度が高い素材です。A5052は冷間加工の後に室温程度の温度の中に長時間放置すると経年変化が起こります。経年変化を防ぐために、加工後150℃前後で加熱して安定化処理を施すのが一般的です。アルミの代表的な素材であるA5052は、自動車のホイール・船舶の材料・輸送用車両の材料・建築材・缶・板金製品などさまざまな用途で使用されています。板厚はt0.5mm~t300mmを超えるものまで幅広く存在します。安定化処理が必要なため、必要な板厚を精査した上で手配すると失敗が防げます。A6061A6061はアルミニウムにシリコンやマグネシウムを添加したアルミニウム合金です。強度、耐食性に優れています。特徴として、溶体化処理から冷却を行い(焼き入れ)、その後一定の温度で加熱を続ける時効硬化処理(焼き戻し)を行う熱処理(T6処理)を施すことで鉄鋼材料であるSS400と同等の強度を得ることができる点が挙げられます。熱処理によって高い強度があり、耐食性が優れているため、主な用途は強度の必要な製品や建築材料・船舶の材料・ボルト・リベットなどになります。板厚はt1mm~t150mmまで幅広くありますので、用途に合った素材を見つけることができます。まとめアルミにはさまざまな種類があることがお分かりいただけたかと思います。アルミにはそれぞれに特性があり、特性を活かして幅広い用途に使用されています。アルミニウムの素材は、用途が幅広いことからさまざまな板厚の素材を容易に入手することができます。「欲しい板厚のアルミ板を探すことができたけど加工ができない・・・。」「この用途の場合はどのアルミ材を選べばいいんだろう?」そんなお悩みをお持ちの方は、是非Mitsuriにご相談ください。日本全国140社以上の工場と提携しているMitsuriでは、アルミ加工のご相談から受注まで対応させていただきます。ぜひご利用下さい。

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    研磨加工とは?種類と加工手順、除去加工まで専門家が解説!

    金属加工方法の中でも、表面仕上げ加工に用いられる研磨加工。研磨加工は金属だけではなく非金属であるプラスチックや木など幅広い材料に加工を施す事ができますが、実際にどのような加工がどんな手順で行われているかご存じない方も多いのでは無いでしょうか。今回は研磨加工がどのような加工方法なのか、手順などをわかりやすく解説します。また、研磨以外の表面仕上げ加工方法についても併せて解説していきます。研磨加工とは?研磨加工は、製品の表面仕上げ加工によく用いられる加工方法です。ざっくり説明すると砥石を高速回転させ、製品に当てる事で表面のデコボコや異物を取り除く加工になります。中でも精度が求められるような製品や、美観が求められるような製品によく用いられます。ミクロン単位での調整が可能で、表面のデコボコや異物を取り除く事ができるため、製品加工でも最終工程で施される事が多いです。研磨加工の種類について研磨加工には、上記で説明した砥石研磨のほか、たくさんの種類があります。どの研磨法を選ぶかは、加工物の材質や形状、また表面粗さや仕上げ品質をどの程度求めるかによって違ってきます。つや出しやバリ取り、エッジ仕上げを目的に研磨加工を施すこともあります。ここでは、研磨加工の種類について説明してきます。研磨布紙加工研磨布紙加工は、固定した砥粒が配列された布や紙で加工物を磨く方法で、固定砥粒加工法の一つです。紙やすりで磨く方法と言えばわかりやすいでしょうか。工業的には、研磨ベルトと呼ばれる帯状の布が主に用いられ、継ぎ目のない輪っか状の研磨ベルトを上写真のようなベルト研磨機で回転させ、これに加工物を当てることで研磨します。砥石研磨砥石研磨は、回転する砥石に加工物を当てる、または固定した砥石に加工物を当てながら動かすことで表面を磨く研磨法です。主にサンダーやグラインダーなどの研磨機が用いられ、包丁を砥石で研ぐことも砥石研磨に当たります。なお、砥石は砥粒を結合剤と呼ばれる接着剤で固めたものであることから、砥石研磨もまた固定砥粒加工法の一つです。ラッピング研磨ラッピング研磨は、上写真に見られるようなラップ盤と呼ばれる台に加工物を置き、砥粒を含んだ研磨剤を介してすり合わせることで研磨する方法です。流動する砥粒によって研磨する遊離砥粒加工法に分類されます。主に回転するラップ盤に加工物を押し付けることで研磨を行います。平滑化効果が高く、精密に平面を出せることから鏡面のような仕上がりが要求される場合によく採用される方法です。ポリシング研磨(バフ研磨)ポリシング研磨は、ラッピング研磨同様、加工物を研磨剤を介してすり合わせて研磨する方法です。ただしポリシング研磨では、硬質なラップ盤ではなく、フェルトなどの柔らかい素材を用いて加工物を磨きます。また、ラッピング研磨に比べてより微細な砥粒を使用することから、より滑らかな鏡面を得ることができます。ツヤを出したい場合などに、研磨の最終工程として採用することが多い方法です。なお上図は、ラッピング研磨とポリシング研磨を比較したものです。バレル研磨バレル研磨は、大きな容器に研磨剤と加工物を投入し、振動または回転させることでたくさんの加工物をまとめて研磨する方法です。大量生産向きで、他の方法と比べれば高品質の研磨はできませんが、バリ取りを目的によく用いられる方法です。電解研磨電解研磨は、加工物を電解研磨液に浸し、電流を流すことで表面を溶かして研磨効果を得る方法です。電気分解によって凸部が優先的に溶解する効果を利用しています。高精度の平面が出せる上、他の研磨法では狭すぎて研磨しづらい部分も研磨することができます。ただし、適用できる金属が限られる、高コストであるなどの欠点もあります。参考:電解研磨とは!?加工方法や効果について専門家が解説!その他除去加工について金属表面の仕上げに使用する除去加工は、研磨加工だけではなく他にもたくさんあります。その中でも、代表的な加工方法を紹介していきます。加工したい加工物の形状や仕上げたい表面によって、加工方法を使い分ける必要があるので注意が必要です。主な除去加工①切削加工②研削加工③放電加工①切削加工切削加工とは製品の形状を整えるために、製品を削り出す加工のことを指します。切削加工は目的の形状に削り出す加工法なので、研磨加工と工程が異なります。切削加工で使用される機械は主に下記の3つです。【切削加工で用いる機械】・旋盤・フライス盤・ボール盤切削加工は、製品表面をきれいに仕上げるというより、仕上げたい形状に削り出すような加工方法です。バイト(刃)を材料に当てて、削り出す加工方法なので当然材料より刃の方が硬くないと加工できません。切削加工は削り出し加工なので、製品の設計直後の段階で施されます。加工工程としては最初の方に行われる事が多いです。その後に研磨加工する場合もありますが、外観や劣化を考慮する必要がない部品の場合は切削加工のみで仕上げる場合もあります。切削加工の工程では粗削りと仕上げがあり、仕上げ加工では一度にたくさんを削るのではなく、切削深さやピッチを細かくすることで、ある程度綺麗な表面に仕上げることが出来ます。②研削加工高速回転させた砥石で金属を削る加工方法です。工程の段階としては、切削加工の次の段階で施されることが多いです。研削加工で使用される機械は主に3つです。【研削加工で用いる機械】・平面研削盤・円筒研削盤・両面研削盤研削加工は、切削加工で削り出された製品をもっと高い精度で仕上げたい時に用いられます。なぜなら研削加工は、非常に硬く目の細かい砥石を使用するからです。切削加工とは違い大きく形状を変えるために削り出すことはできません。しかし製品の表面は滑らかにすることができて、精度を高く仕上げる事ができます。今回紹介している3つの除去加工の中で、1番研磨加工に似ている加工方法になります。ほとんど同じですが、研磨加工の中でも最初の方に用いるので目が粗い仕上がりになります。③放電加工一般的な除去加工では機械加工(旋盤やドリル)といった実態のある刃物で加工します。一方で放電加工では電気エネルギーによって金属加工を施します。イメージとしては、削り出すというよりかは抜き出す加工法になります。加工方法としては、まず電極と加工物の間にアーク放電を放出します。その後、放電の熱で加工する製品の一部を除去する加工方法です。他の加工方法とは全く違うアプローチになっています。こちらの加工方法は、他の除去加工では削りきれないような硬い材料で用いられる事が多いです。研磨の加工手順続いて研磨加工の手順について解説していきます。研磨加工は大きく分けて4つの工程に分けられます。用途や材料に応じて細かい工程は変わりますが、大きな流れは変わりません。では早速みていきましょう。①下地下地はまず、大きなデコボコや異物を除去していく作業です。この工程はかなり重要で、下地の工程をしっかり行わないと最優的な仕上がりに影響してきます。研磨に使用する砥石は、番手が小さく目の粗いものを選択します。砥石の番数は基本的に低い方が粗くなっていて、高い方が細かくなっています。下地の段階では細かく表面を揃えていくというよりは、大胆に削っていく工程になります。なのでこの段階では、寸法など細かいことはあまり気にせず大胆に削っていきましょう。下地のポイント・製品表面のデコボコや異物を除去する工程・目の粗い砥石を使用する②ならし下地の段階が終われば、次はならしの工程です。下地の段階である程度、製品表面が平らになっていればそこまで難しい工程ではありません。ならしの工程では、ざらざらした表面を文字通りならしていくんです。下地で使用した砥石より、番数が高く目の細かい砥石を使用します。そうすることによって、ならし工程が終わる頃にはほとんど表面は平らになっています。ならしのポイント・下地で削った表面をならしていく・下地より目の細かい砥石を使用する③つや出し下地、ならしでほとんど、製品表面のデコボコや異物は取り除く事ができます。続いて製品表面を、きれいに見せるために必要なつや出しの工程です。こちらは、鏡面仕上げで製品表面をツルツルにする為の前段階だと思ってください。ならしの工程でデコボコや異物は除去できるのですが、それはあくまで製品表面を平らにしただけです。つや出しの工程では、表面の汚れを除去すると覚えてください。そのため、使用する砥石はならしの工程よりも目の細かいものを選びます。バイブレーション研磨やヘアライン加工のように、あえて表面に傷をつける加工方法もあります。しかし今回は製品表面を、ツルツルに加工する鏡面仕上げの研磨方法で解説していきます。つや出しのポイント・鏡面仕上げの前の汚れ除去・砥石はならしより目の細かい砥石を使用する④鏡面仕上げ最終仕上げの工程である鏡面仕上げです。こちらは名前の通り、製品の表面を鏡のように研磨する工程になります。前までの工程をしっかり行っていれば、そこまで大変な作業ではありません。番数の高く目が細かい砥石で研磨することはもちろんなんですが、こちらは番数を少しずつ上げていくことによってより細かい仕上げを行う事ができます。また研磨といっても砥石ではなく研磨剤を使用するバフ仕上げなどが用いられることもあります。鏡面仕上げのポイント・最終仕上げの工程・製品の表面を鏡のように加工する研磨加工まとめ研磨の手順は大きく分けて4つに分かれており、下地、ならし、つや出し、鏡面仕上げという流れになります。仕上げが大事だと思われがちですが、一番大事な工程は下地の工程です。下地の時点で、製品表面におおきなデコボコが残っていたらどんなに他の工程を丁寧に行っても、精度のいい製品はできません。他にも加工したい形状や表面によって、加工方法の選定をしなければなりません。選定には、他の加工方法の特徴なども知る必要があります。まずはどのような形状の材料にどのような加工を施したいのかを確認しましょう。研磨加工の依頼先でお困りの方は、Mitsuriにご相談ください。Mitsuriには、全国各地に提携工場が250社あり、研磨加工に強みを持つ工場をご紹介可能です。どうぞご利用下さい!

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    専門家が電解メッキを徹底解説!無電解メッキとの違いについてもご紹介

    メッキは、材料に防食性や装飾性、導電性や摩耗耐性などの機能性を付与するために行われます。なかでも電解メッキは、最も広範囲に用いられているメッキ技術であり、身の回りの金属製品の多くがこの技術によりメッキされています。しかし、電解メッキはどのような方法で、どんな種類があるのか詳しくは分からない方も多いことでしょう。金属製品を扱っている方には、電解メッキのメリットやデメリットを知っておきたいと考えている方もいるかも知れません。そこで本記事では、電解メッキの詳細や種類、メリットやデメリットを解説していきます。無電解メッキとの違いについてもご紹介しますので、メッキ方法を選択するときの参考にしてください。電解メッキとは電解メッキとは、電解液にメッキされる金属を浸し、電気を通してメッキしたい金属を析出させるメッキ法で、電気メッキともいわれます。具体的には、電解液に陽極であるメッキ金属と陰極である被メッキ金属を浸し、直流の電気を通します。すると、陽極では酸化反応によってメッキ金属が液中に溶け出し、陰極では還元反応によってメッキ金属が析出してメッキ皮膜に成長します。しかし、この方法は、メッキ金属が可溶性金属、つまり電解液に溶ける金属でない場合は用いることができません。電解液に溶けにくい金や白金などの不溶性金属をメッキしたい場合には、シアン化金カリウムや塩化白金酸に代表される金属塩など電解液に溶ける状態にしたものを補給して電解メッキを行います。電解液への添加剤もメッキの品質や機能に重要な役割を持ちます。その役割の1つがメッキ皮膜の形状制御です。添加剤はこの場合、被メッキ金属やメッキ皮膜に吸着して反応を促進、または抑制し、メッキ皮膜の平滑化や光沢化、穴埋めなどを可能にします。添加剤によっては、メッキ皮膜の硬さ・伸び・脆さ・応力などの物性にも影響するものがあります。しかし、これらの添加剤は、ニーズに応じて試行錯誤で開発されてきたため、メーカーによって多種多様な種類があります。Mitsuriでしたら、電解メッキの多様な技術やノウハウを持つメーカーをご紹介可能です。電解メッキのご依頼がありましたら、ぜひMitsuriにご連絡ください。電解メッキと無電解メッキの違いについて電解メッキと無電解メッキ、この2種のメッキ法の違いは、電解メッキが電気を流したときの電気分解による化学反応を利用しているのに対し、無電解メッキは薬品による化学反応だけを利用していることです。そのため、無電解メッキは化学メッキとも呼ばれます。電解メッキ・無電解メッキの違い電解メッキ…電気を流したときの電気分解による化学反応を利用無電解メッキ…薬品による化学反応だけを利用無電解メッキは、メッキしたい物質を含む水溶液に被メッキ物を浸し、表面で還元反応を生じさせてメッキ皮膜を成長させる方法です。無電解メッキでは、電気を使わないため、被メッキ物に導電性がなくてもメッキできます。さらに、電気の流れに左右されないため、表面に均一にメッキすることができます。そのため、無電解メッキは、複雑な形状のメッキにより適しています。それに対し、電解メッキで同様な品質のメッキ皮膜を得るには、メッキ治具による被メッキ物の配置や、メッキ皮膜が厚く、もしくは薄くなってしまう部位近くへの補助極の配置など、多くの工夫やノウハウを必要とします。無電解メッキは、化学反応だけで皮膜を形成するので、膜厚に限度がある、析出する速度が遅いなどの欠点があります。また、化学反応に高温の維持を必要とする場合もあることから、メッキ槽の管理が難しくなります。さらに、メッキ槽が化学的に不安定になりやすく、その調整のために投入する薬液にコストがかかります。このようなメッキ槽の維持管理の困難さから、無電解メッキの多くは電解メッキよりも高コストです。無電解メッキでは、ph調整剤や添加剤などのメッキ槽へ投入する薬品と、温度維持などのメッキ槽の調整だけで、メッキしたい物質と被メッキ物が化学反応しなくてはなりません。そのため、無電解メッキの種類は電解メッキに比べて限られています。電解メッキのメリット・デメリット電解メッキは、以下のようなメリット・デメリットがあります。電解メッキのメリット・低コスト・メッキする速度が速い・厚くメッキすることが可能・様々な金属・合金にメッキ可能・被メッキ金属への熱的影響が小さい電解メッキのデメリット・均一にメッキすることが難しい・複雑形状の金属にメッキすることが難しい・不導体にはメッキできない電解メッキの工程について引用元:通販モノタロウ電解メッキの工程は、上図に見られるように、大きく前処理、本処理、後処理に分けることができます。ここでは、これらの処理工程の詳細について解説していきます。前処理前処理は、メッキがしっかりと密着するように、汚れや酸化皮膜などを除去し、被メッキ物の素地面を露出させるために行われます。前処理の工程は、脱脂、酸洗い、酸活性など多様で、メッキの種類や被メッキ物の材質、加工履歴などの違いにより、適切な工程が選定され、実施されます。●水洗・湯洗水洗・湯洗は、水やお湯で素材を洗浄する工程で、各工程で用いられた溶剤などの成分を次工程に持ち込ませないために行われます。そのため、各工程の完了後には水洗・湯洗が実施され、状態の確認も併せて行われます。●脱脂(溶剤洗浄、アルカリ洗浄)脱脂は、素材表面に付着したゴミや、加工の際に用いたオイルなどの有機性の汚れを除去する工程です。その中でも、溶剤洗浄は有機溶剤を用いることで、アルカリ洗浄はアルカリ性の苛性ソーダなどに漬け込むことで油脂を取り除きます。●酸洗い酸洗いは、サビやスケール(熱処理で生じる焼けや変色)を除去するため、硫酸や塩酸など、比較的強力な酸に漬け込む工程です。●電解洗浄電解洗浄は、素材に電流を流すことで素材表面に酸素や水素などを発生させ、そのガスの力によって微細な凹凸面に付着したゴミやスケールなどを除去する工程です。取り切れなかった汚れや酸化皮膜を取り除く仕上げの洗浄工程と言えるでしょう。●酸活性(酸浸漬)酸活性は、素材を酸に漬けることでメッキしやすい素材の素地面を露出させる工程です。●中和酸やアルカリを次工程に持ち込ませないように酸性溶液やアルカリ性溶液に漬け込んで中和することがあります。●ストライクメッキ引用元:株式会社会津技研ストライクメッキは、下地メッキを施す工程で、素材表面が活性化しにくい場合などに行われます。上図は、下地メッキとして銅を用いた例で、平滑化や密着性向上を目的に実施されます。本処理実際にメッキを施す工程です。黄銅、亜鉛、アルミニウムなどのメッキでは、耐食性向上や変色防止を目的に、さらにクロメート処理を行うことがあります。クロメート処理は、金属表面にクロムの酸化皮膜を形成させる表面処理です。後処理メッキを施した後は、水洗した後、水を吹き飛ばす、熱するなどすることで乾燥させれば完成です。ただし、水素脆性に陥りやすい素材では、190〜220℃程度に加熱することで水素を追い出すベーキング処理が必要になることがあります。電解メッキの種類それでは、電解メッキにはどのような種類があるのでしょうか。代表的な「銅メッキ」「亜鉛メッキ」「クロムメッキ」「ニッケルメッキ」「金メッキ」について解説します。銅メッキ銅は、熱伝導性・導電性が高く、展延性に優れる金属で、赤い色調の光沢を持ちます。メッキとしては、高い導電性や優れた展延性を活かして、プリント配線板などの電子部品に多く用いられています。装飾を目的とする場合は、銅は変色するため、クリアー塗装などの表面処理が必要です。しかし銅メッキは、優れた平滑性を示し、また加工しやすいことから、他のメッキの下地に多く利用されています。また銅メッキは、炭素添加によって耐摩耗性を向上させる浸炭処理時に、炭素の侵入を防止する特性があります。そのため、浸炭の効果が表れてほしくない部位に銅をメッキすることがあります。亜鉛メッキ亜鉛は、大気中で優れた耐食性を示し、水分下でも亜鉛自らが溶解して鉄の腐食を防ぐ働きをします。そのため、亜鉛メッキは、鉄鋼の防サビ用メッキとして広く用いられています。しかしほとんどの場合、亜鉛メッキだけでは耐食性能に限りがあるため、メッキ後にクロム酸塩を含む溶液に浸して酸化皮膜を生じさせるクロメート処理を行います。クロメート処理では、その溶液を調整することで、亜鉛メッキに以下の外観や耐食性を持たせることができます。クロメート処理の種類光沢クロメート:ユニクロとも呼ばれ、青銀白色で美しいが耐食性は低い有色クロメート:黄金色や虹色で、耐食性は良好緑色クロメート:緑色や茶色で、高腐食環境で使用される黒色クロメート:黒色で、耐食性は良好亜鉛メッキの用途としては、自動車部品、電気機器部品、機械部品、建築部品などが挙げられます。最近では、クロメート処理による装飾性の向上により、事務機や文具などの外観が問題となる製品にも多く利用されています。参考記事鉄鋼に対するメッキについては以下に詳しくご紹介していますのでご覧ください。⇒鉄メッキならMitsuri!1コ〜お受けいたします!クロムメッキクロムは、光沢のある銀白色の硬い金属で、耐食性のある酸化皮膜を形成することからメッキとして広く用いられています。クロムメッキは、光沢と美しい外観を活かす場合には装飾用として、硬さや耐摩耗性を活かす場合には工業用として利用されています。装飾用クロムメッキでは、主に銅やニッケルを下地として0.1~0.5μm程度の薄いメッキを施します。装飾用クロムメッキは、この薄さでも耐食性、耐変色性、耐候性などに優れた性能を示します。そのため、自動車や機械の外装部品、台所用品やインテリア関係など、美観を求められる製品で幅広い用途があります。また、装飾用としては、漆黒調の皮膜が得られる黒クロムメッキもあり、自動車やオートバイ、カメラ、時計、事務機などに利用されています。工業用クロムメッキは、硬質クロムメッキとも呼ばれ、5μmから100μm超まで、用途に従って厚くメッキします。そのメッキ皮膜は、硬く耐磨耗性に優れ、低摩擦係数や非粘着性などの特性も有します。そのため、ベアリングやロール、シリンダー、金型などの産業用機械部品や自動車部品などに広く用いられています。ニッケルメッキニッケルは、光沢があり耐食性や導電性に優れています。硬さ、柔軟性なども良好なため、メッキとしてもよく利用されています。ただし、空気中で時間経過と共に変色するので、その上にクロムメッキを施すことが多いメッキ金属です。ニッケルメッキは、様々な金属への密着性が高いことから、中間層や下地としてよく用いられています。また、銅素材に金をメッキする際には、金が銅に拡散するのを防ぐため、金の下地としてニッケルがメッキされます。ニッケルメッキは、電解メッキするときの添加剤によって無光沢から光沢まで調整することができます。そのため、自動車部品や産業機械部品などのほか、装飾用にも多く用いられています。特殊な用途として、はんだ付け性が高いことから電子部品などにもよく利用されています。またニッケルメッキは、無電解メッキでも行えるため、複雑な形状や精密な部品のメッキには無電解メッキが用いられます。金メッキ金は、高い熱伝導性・導電性を持ち、化学的に非常に安定で耐食性に優れた金属です。金メッキとしては、はんだ付け性が良く、時間経過による接触抵抗の変化が小さいため、電子部品などに多く利用されています。外観も美しいので、装飾器具や時計、自動車のエンブレムや内装部品などに用いられています。上述したように、金は銅や銅合金と接すると拡散していくため、銅素材にメッキする場合にはニッケルメッキの下地が必要です。金は無電解メッキも可能なため、導電しない素材や複雑なパターンのメッキには、無電解メッキが用いられています。まとめ以上、電解メッキの詳細や種類、また無電解メッキと比較した場合のメリット・デメリットについて解説しました。電解メッキは、無電解メッキと比較して、低コストで様々な金属にメッキできるため、最も広範に用いられているメッキ法です。電解メッキの種類も様々ですが、品質やコストを勘案すると、無電解メッキが適切な場合もあります。Mitsuriは協力工場が全国に140社以上あるため、電解メッキと無電解メッキ含めて最適なメッキ法をご提案できます。電解メッキでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!

    包丁・スパナ・ペンチなどの身近な道具から、航空機のジェットエンジン部品や胴体フレーム、自動車・電車のギヤ部品などにも用いられる鍛造加工。指輪などの装飾品にも利用され、非常に柔軟性のある加工法と言えます。しかし幅広く活用される一方で種類も多く、具体的に鍛造加工とは何なのか理解するのはなかなか容易ではありません。そこで今回から鍛造加工について、初めて鍛造加工に触れる方でも分かりやすいように、全3回に分けて基本的な知識をお届けします。第1回となる今回は、鍛造加工の定義や特徴から、加工法と加工温度による分類について解説します。鍛造加工とはまずは、鍛造加工とは何かを確認し、そして鍛造加工で実際に作成される製品例などをご紹介します。鍛造加工の定義鍛造は、金属などの物質が持つ塑性という特性を活かした塑性加工の一種で、ハンマーなどの工具や金型で金属に大きな力を加えて、目的の形に成型する加工法です。一般的には、熱した鉄を叩いて鍛える、昔ながらの鍛冶屋のイメージが強いかもしれません。日本工業規格であるJISの定義によれば、鍛造は「工具、金型などを用い、固体材料の一部または全体を圧縮または打撃することによって、成形および鍛錬を行なうこと」となっています。鍛造加工の特徴とメリット圧縮・打撃などによって材料に大きな力を加えることで、高い強度と靭性を持つ、一言でいえば耐久性のある製品を作成できるのが鍛造加工の強みです。なぜ耐久性を持つかというと、圧縮・打撃を受けた金属は、金属内部の気泡などが圧着されることで欠陥がなくなり、結晶が微細化して結晶方向が揃うためです。方向の揃った結晶組織が形成するラインを、鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)と言います。鍛流線が形成されることで薄肉化や中空構造が可能となるため、材料費の削減に繋がるだけでなく、複数部品の一体成型といった工程の短縮まで可能となります。さらに、そのほかの加工法が抱える問題不良もほぼ発生しないため、加工時間そのものも短縮でき、生産効率が高いことが特徴として挙げられます。また、近年では鍛造技術の進歩によって精密加工も可能となり、鍛造後の機械加工がほとんど必要ないニアネットシェイプ加工、後加工が不要なネットシェイプ加工などが実現しています。鍛造加工のメリットをまとめると、次の4点に集約されます。鍛造加工のメリット・耐久性が高い(高強度・高靭性)・省コスト(省材料化・加工工程短縮)・高効率(省加工時間)・後加工不要な精度も確保できる(ニアネットシェイプ・ネットシェイプ)鍛造加工の歴史引用:株式会社 東亜鍛工所金属を叩いて加工する、というシンプルな定義を持つ鍛造加工の歴史は非常に古く、その起源は紀元前4000年――今から6000年以上前にさかのぼります。そもそも金属の加工法としてはじめて用いられた方法が、この鍛造だったのです。今後発見される史料によっては覆される可能性も十分にありますが、金属を削る切削加工や、金属を溶かして型に流し込む鋳造などに比べると、「金属を叩いて成型する」という加工法は実にシンプルで、これが人類初の金属加工だったとすることに、あまり違和感はないのではないでしょうか。さて、日本で鍛造が用いられるようになったのは、それから6500年近く経過した紀元470年ごろ、大陸から鉄が持ち込まれたことに端を発します。日本における鍛造技術といえば、古墳時代の鉄製の刀剣に始まり、平安時代に完成したと言われている日本刀です。日本刀を製作する刀鍛冶の鍛造技術は世界的に見ても非常に優れており、同時代における農工具や鉄砲製作技術などもあいまって、精密鍛造などにおいて日本は世界トップクラスの技術力を持つようになりました。鍛造加工の具体例鍛造加工によって製造されている製品の一例をご紹介します。なお鍛造は本当に幅広く用いられている加工法のため、ここに挙げたものはあくまでもその一部です。製品例航空機・発電用ローター主軸などの大型部品自動車部品(ギヤ・ホイールなど)工具ガス給湯器電設機器農機具高圧ポンプ機器半導体製造装置レーザー機器ロボット機器指輪鍛造加工の工程引用:大連柴田精密機械有限公司一般的な鍛造加工の工程は、4つに分けられます。鍛造加工の工程①素材の切断と設置②圧縮・打撃により力を加える③さらに力を加える④成型完了鍛造加工の種類続いて、鍛造加工の分類について解説します。加工方法による分類まずは加工方法による分類からです。鍛造加工は、加工方法により「自由鍛造」と「型打ち鍛造」に分けられます。①自由鍛造自由鍛造とは、型を用いずに台(金敷)とハンマーで自由に材料を成型する、昔ながらの鍛造法です。基本的にはすべて手作業で成型するため初期投資があまりかからず、複雑な形状の多品種少量生産や大型鍛造品など、金型を用意するのが難しい場合に用いられます。古くは職人の技量が製造品の精度に直結する手法でしたが、現在では機械ハンマーによるものが主流です。②型鍛造(型打ち鍛造)自由鍛造とは対照的に、大量生産向きの鍛造法が型打ち鍛造です。ダイスと呼ばれる金型を用意することで、高い生産効率で同形状の製品を大量に作ることが可能です。型打ち鍛造の中にもいくつか種類があります。上下の型が隙間なく閉じて材料を密閉する密閉鍛造、余分な材料をはみ出させて材料を充満させる半密閉鍛造、型で圧縮したのちにさらに型やピンを動かし、材料を押し出して成型する閉塞鍛造、などが挙げられますが、このうちどの方法を採用するかは成型したい形状などによります。加工金属の温度による分類続いて、加工する温度による分類です。こちらは下記の4つに分類されています。加工温度による分類①半溶融鍛造②熱間鍛造③冷間鍛造④温間鍛造①半溶融鍛造主に車のアルミホイール成型などで用いられる鍛造法で、名前の通りアルミを半ば溶融させた状態で成型します。純粋な鍛造というよりは、鍛造と鋳造(溶融させた金属を成型する工法)の間のような手法で、鍛造の強度と鋳造の自由度を両立させた加工法です。②熱間鍛造熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200度程度)に一度熱してから行う鍛造法です。これにより、柔らかくなった金属はゆがんだ結晶が正常な結晶に変化するため、適切なメタルフローラインを形成することができます。熱間鍛造の場合、複雑な形状であっても強度を確保しやすい点がメリットとして挙げられます。③冷間鍛造熱間鍛造が「再結晶温度以上」で鍛造を行うのに対し、常温で行う鍛造を冷間鍛造と呼びます。金属が硬い状態のまま加工を行うため、精度に優れる一方で非常に高い圧力が必要になります。そのため、大量生産品かつ小さな部品(ねじ、ボルト、ナットなど)に向いた鍛造法です。④温間鍛造熱間鍛造と冷間鍛造の間(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)で行われる鍛造を温間鍛造と呼びます。冷間鍛造では成型が難しい範囲の複雑な形状加工や、高硬度の材料加工も行えるうえに、熱間鍛造よりも高い精度の鍛造品を製造することが可能です。主な製造品としては、自動車部品では各種ギヤ類などが挙げられます。まとめ鍛造加工は、「金属に熱と力を加えて成型する」というシンプルな工法ですが、多品種少量生産には自由鍛造、大量生産には型打ち鍛造、とフレキシブルに工法を選べる優れた塑性加工です。次回は、そのほかの加工法と比べて、その違いから、さらに具体的なメリット・デメリットについて解説します。ぜひあわせて参考にしてください。

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    ろう付けとは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

    ろう付け(ろう接)とは ろう付けは、被溶接材料(母材)を溶かさずに、溶加材を接着剤のように接合面のすきまに行き渡らせて接合する加工法です。ろう付けの原理ろう付けは、母材と溶加材の融点の違いによるぬれ現象を利用した溶接法です。ある温度で溶加材を熱することで、母材を溶かさずに溶加材のみを溶かし、毛細管現象によって溶着面に浸透拡散させます。溶加材が接着面に行き渡る様子を「母材が溶加材によって”ぬれる”」と表現し、その状態は紙や布が水によってぬれるのと同様の原理です。この「行き渡りやすさ」をぬれ性と言い、母材の材質や、溶加材として用いるろうの種類などによってぬれ性は異なります。 ろう付けの代表的な種類ろう付けを行う際、溶加材で効率よく母材をぬれさせるためには母材表面の酸化被膜を除去する必要があり、この酸化被膜の除去方法によってろう付けは大きく2種類に分けられます。フラックス    ろう付けフラックスとは、活性温度まで熱することで、金属表面に形成された酸化皮膜を分解除去する化学薬品です。次のフラックスの条件を満たす、適切なフラックスの選定と塗布が必要になります。①流動性、ぬれ性がよいこと②被覆性及びろうとの置換性がよいこと(再酸化防止および欠陥防止のため)③耐熱性がよいこと④塗布性がよく加熱中も垂れないこと⑤残渣(溶着後に残った溶加材などのカス)の除去が容易で腐食性がないこと雰囲気(制御)ろう付けろう付け時の雰囲気(周辺の気体)を制御し、酸化皮膜を分解・除去するろう付け法です。雰囲気中のろう付けは、フラックスろう付けと比べて残渣などの処理が不要で、複雑な部品の同時ろう付け、そのほかフラックスろう付けが適さない母材のろう付けなどにも用いられます。ろう付雰囲気は、還元性ガスの水素、無酸化性ガスの窒素や不活性ガス、および真空の3種類に大別され、それぞれ母材とろう材に応じて使い分けられます。上記の画像は無酸化雰囲気ろう付けの様子で、ベルトコンベアと無酸化炉によって、自動化多量生産を実現しています。ろう付けと他の溶接の違い溶接には、ろう付け以外に融接や圧接などの加工法があります。それぞれの特徴と比べた、ろう付けのメリット・デメリットを確認してみましょう。なお、ろう付けと一口にいってもその加工法は用いるろう材や母材の組み合わせによって大きく異なるため、続いて解説するのはすべてのろう付けに当てはまる特徴というよりも、あくまでもそういった傾向がある、といった程度に認識していただければ幸いです。ろう付けのメリットろう付け法のメリットは、おおむね次の通りです。①母材がほとんど溶けないので寸法精度が高い②真空ひずみが少ないので、薄板や精密な接合ができる③ぬれによってろうが母材の隙間に入り込むので、接合箇所が複数あるような複雑な形状の接合の自動化や大量生産に適している④ぬれによってろうが母材の隙間に行き渡るので、見えないところや溶接棒が直接届かない部分の接合も容易である⑤ろう材と母材が溶け合う必要がないので、条件を適切に選択すれば、特殊な材料・異種材料間での接合が融接などに比べて容易である⑥ろう材と母材の融点が異なるため、再加熱により接合部を離すことができるろう付けのデメリット対してろう付けのデメリットは次の通りです。①接合強度が、他の溶接に比べるとやや弱いものが多い②ろうと母材の組み合わせによっては著しい侵食が起こる(ニッケル基合金をニッケルろうでろう付けする場合など)③接合部を直接確認することが適わないため、欠陥制御が難しいろう付けとはんだ付けの違いろう付けと同じ原理を利用した加工法として「はんだ付け」がありますが、ろう付けとの違いは使用するろう材です。融点450℃以上の硬ろうを用いるものがろう付け、融点450℃未満の軟ろうを用いるものがはんだ付けに分類されます。450℃で区分していることに物理的な意味はなく、450℃近くを液相線温度とするろう材やはんだが少なかったためです。なお英語ではろう付けをBrazing、はんだ付けをSolderingと区別していますが、ドイツ語では両者をLötenと称し、区別していません。それくらい近しい加工法であり、明確に分けて考えないケースも多いです。ろう付けの方法ろう付けやはんだ付けは、道具さえそろえればDIYなどで活用することも可能です。上記は一般的な銀ろう付けの手順で、ご覧いただくと分かる通り、特別な道具はセラミックボードやカーボンプロテクター、サポートスタンド程度で、そのほかは一般的な工具で賄うことができます。

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    【へら絞り】へら絞りの加工方法やメリット・デメリットをわかりやすく解説!!

    へら絞りとはタオルを絞ったりホースの先を絞ったり。『しぼる』という言葉には衣類をねじったり締め付けたり、カメラのレンズの範囲を小さくするといった意味がありますね。今回のテーマであるへら絞りにも、絞るという言葉が使われているだけあって、金属を縮めたり圧縮していく加工を施していくのですが、その様子を実際に見てみると言葉とは真逆の広げたり伸ばしたりといった感じの加工をしているように見えます。ですが、その加工の様子を言葉だけで説明しようとするといまいち伝わりにくいかもしれませんので、まずは実際に加工している様子が分かる動画を見ていきましょう。へら絞りには職人が手作業で加工する『手絞り』と機械が自動で加工する『自動絞り』の2種類があるので、それぞれご覧いただけるとより分かりやすいかと思います。手絞り加工 自動絞り 滑らかに金属が伸びていくさまが何となく陶芸のろくろを回している所を連想させますね。動画の通り、へら絞りとは素材となる金属を高速で回転させて、へらと呼ばれる棒を押し当てることで形を作っていく加工のことです。元は薄っぺらい円盤状の金属を、へら棒と呼ばれる金属の棒を当てることで徐々に引き伸ばすようにして成形していきます。へら絞りはその金属を回転させながら加工する方法からスピニングとも呼ばれます。ただ、動画を見た限りでは、やはりへら絞りは金属を伸ばして加工しており、とても絞っているようには見えませんよね。実はこの絞っているという表現は、伸びていっている先端の方ではなく、根元の方を指しているのです。加工しているところを見ると、どうしても伸びている方に目が行くため印象が薄くなりますが、物質の量は変わらない以上、根元の方は小さく薄くなっていることになりますね。金属なので縮んでいる感じがなくイメージしづらいですが、身近な物に例えて、サランラップをコップに押し当てるところを想像すると分かりやすいでしょうか。あるいは靴下を履くところでもいいでしょう。ラップや布地が伸びている部分に対して、反対側は薄く締め付けられていますね。これを絞るというふうに表現して、これらの加工のことを『絞り加工』、へら棒を使う場合は『へら絞り』と言うようになったのです。率直に「伸ばし加工」と名付けてもよさそうなところですが、あえて目立たない方に目を付けて「絞り加工」と命名するあたりが、粋に職人気質な感じが出ていて面白いですね。へら絞りによって作られる製品や主な材料へら絞りは加工の仕方から、大量生産よりも多品種少量生産に適しています。作られる製品には身近なところでやかんや鍋、大型の製品ではパラボラアンテナなどがあります。他にも通信機器や医療機器、照明器具などの部品としても使われ、他にも様々な機械に組み込まれています。主な材料はよく使われる鉄やアルミ、素材が硬く加工が難しいステンレスやチタン、高級ではありますが美しい見た目に彩れる銅や真鍮(しんちゅう)などがあります。加工できる素材の中ではアルミが一番深く絞りやすく、次いで値段が安価である鉄が深く絞れます。加工が難しいステンレスやチタンはあまり深く絞れませんが、強度が高く錆びにくいので、鉄より高い強度が必要な部品や野外など錆びてしまう場所で重宝されています。へら絞りは作業者の熟練度によってはプレス加工よりも高い精度の製品に仕上げることができますが、実際にやると加工中に曲がったり破断が起きたりしやすく、品質の良い製品を作るには熟練の技術がいる難易度の高い加工方法です。動画を見た感じでは棒を押し当てているだけで簡単そうに見えるんですけどね。ただその辺は、ろくろを回す作業をやってみると案外難しいのと同じように、しっかりとした製品を作るには高い技術が必要なのです。しかしながら熟練度や得意分野によって大きく差が出るへら絞りでは、その難しさがゆえに、むしろ多くの職人がやりがいや誇り持っています。へら絞りのメリット・デメリット絞り加工にはへら絞りの他に、よく使われる手法としてプレス機を使ったプレス絞り加工という方法があります。へら絞りを使わず絞り加工をする際はだいたいそのプレス加工絞りが用いられます。この項目では状況に応じて使い分けられるへら絞りとプレス加工絞りを比較しながらメリットとデメリットの説明をしていきます。メリット・初期費用が安くすむへら絞りは試作品や少量生産で製品を作る場合、プレス機を使うよりもコストが安くすみます。プレス機を使った加工なら金型が二ついるところが、へら絞りなら一つでいいためです。金型とは製品を作るための元となる型のことです。例えて言えば、ハンコを押す際の印鑑のようなものですね。印鑑さえあれば次々と判を押せるように、金型さえあれば次々と製品を作ることができるのです。プレス機の場合その印鑑が二つ分、へら絞りであれば一つでいいということですね。簡単なものですと、プレス機であれば10万円もコストが掛かるところが、へら絞りならわずか数千円ですむこともあるのでとても安価です。プレス機自体の値段も高いですし、材料費も薄い皿のような金属板1枚から製品が作れるのでそれほど掛かりませんので、試作品の製作や多品種少量生産の場合はへら絞りの方が適していると言えます。・短納期で加工ができる製作期間においても、へら絞りはプレス機を使うよりも圧倒的に早くできます。プレス機は一つの製品を作るにしても金型の製作からしなければならず、簡単な製品でも10日~20日、難しいものになると1か月~2ヶ月ほど掛かることもあります。ですが、へら絞りなら金型が不要で段取りも早くすむため、簡単な製品であればなんと1時間以内で、複雑な形状をしていても1週間あればできます。ただ、大量に作るとなると技術者の負担が大きくなってしまうので、大量生産をする場合はプレス機を使って自動化した方が効率が良くなります。これらのことから試作品や少量生産の場合はへら絞りで、大量生産する場合はプレス機を使って加工していくのが向いていると言えますね。さすがに大量生産となるとプレス機を使って加工を自動化した方が効率がいいですが、まだ試作段階だったり多品種少量生産を目的としているならへら絞りの方が向いています。・幅広い製品に加工できるへら絞りは数ミリの小さな製品はもちろんのこと、何メートルもするような大きな製品でも問題なく加工できます。小さな製品で言うと細かい機械の部品、大型の製品には先ほども例に挙げたパラボラアンテナがありますね。また、鉄やアルミなどの加工しやすい素材であれば深絞り加工も容易です。深絞り加工とはコップや鍋などの底が深い製品を加工することで、反対にフライパンや金属の皿のような底が浅い製品の場合は浅絞り加工と言います。ステンレスやチタンのような硬い素材は深く絞ろうとするほど難しくなりますが、それら以外の材料であれば複雑な形をした部品やある程度底が深い製品でも比較的容易に作ることができます。・品質がよくなるへら絞りで加工した製品はプレス機で加工するよりも表面が滑らかになります。バリが出ないので後処理も必要なく、技術のある人であれば製品ごとに厚さがバラバラになることもありません。バリとは金属を切ったり削ったりした時にできる粗のことで、これがあると表面処理をして綺麗にする必要があります。他にへら絞りには軽量化ができたり強度が高くなったりする利点もあるため、品質面で非常に優れた製品ができます。手絞りにおいても自動絞りにおいても、職人の技術や機械の機能はどんどん良くなっているので、品質や厚さなど精度が安定しなかった製品でも、年々へら絞りで加工できるようになってきています。デメリット・大量生産に向かないこれまで示してきたようにへら絞りは大量生産には適していません。デメリットと言えるほど致命的な欠点はあまりないへら絞りですが、1000個を超える依頼を受けた場合は効率的にプレス機にお任せした方がよいかと思われます。・熟練した職人が必要これも前述の通り、へら絞りは難しい加工であるだけあって技術の習得は容易ではありません。手に職をつけるには十分な知識と経験が必要となるでしょう。その理由から、これは製造業全体に言えることでもありますが、へら絞りにおいても若い世代の職人が不足しています。町工場や中小企業にとって厳しい状況が続いている世の中ですが、少しでも職場の環境や待遇を改善し、より広く若者を受け入れる体制を作っていきたいところですね。へら絞りで作ることができる形状同じ加工の仕方でも製品の形は多彩に作れるのが金属加工の面白いところ。へら絞りも他の加工と同様、様々な形状に加工することができますが、実はへら絞りのもう一つのデメリットに、丸い形以外の製品は作ることが困難という欠点があります。動画で回転させながら加工するところを見ると、確かに四角や三角の形は作りにくそうですよね。ただ、それでもなお、何十何百という種類の形を生み出してしまうのが熟練の職人たちのすごいところでもあります。引用元:株式会社 北嶋絞製作所上の画像はへら絞りで作った製品の一例です。単に丸形と言っても、シンプルなお椀の形をしているものから複雑そうなものまで色々ありますね。これだけ多くの種類が作れるなら丸形のみというデメリットもあまりないように感じます。ただ、プレス絞り加工では四角や三角などの形状の製品も問題なくできるので、その辺は適材適所として使い分けるのがよいでしょう。下の画像はへら絞りで作ることができる形状の断面図です。引用元:SHINYU METAL FACTORY立体にするとどんな形をしているか分かりやすい形もあれば、イマイチ想像しにくい形もあって興味深いですね。画像にはたくさんの形状が載っていますが、これもあくまで一例で、他にも多くの形が作られています。これからも多くの職人たちの手によって様々な形の製品が日々、生み出されていくことでしょう。まとめ時代が進むにつれて技術が発展してきたことにより、多くの製品がより精密に作れるようになってきた今の世の中。へら絞りもまた技術や自動機の開発が著しく進み、より精度の高い製品が効率よく作れるようになってきました。製造業の盛り返しはまだ訪れませんが、へら絞りに懸けるものづくりへの情熱が少しでも若者に伝わることを願っています。