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塑性加工

  • 型鍛造とは?特徴、メリット・デメリット、製品例

    今回は型鍛造の特徴、メリット・デメリット、製品例について解説します。鍛造とは、金属の塊に圧力をかけて目的の形に成形する加工方法です。鍛造は日本で古くから活用されており、高い強度を必要とする農具の鋤や日本刀といったものを作るのに採用されていました。鍛造には大きく分けて「型鍛造」「自由鍛造」の2種類があります。今回ご紹介する型鍛造は、専用の金型を用いて金属材料を成形する手法で、自由鍛造とは異なる特徴があります。参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説参考:【第3回】鍛造加工で使用する機械・道具とは?昔ながらの工具から最新機械までご紹介!型鍛造とは?型鍛造とは、別名「型打ち鍛造」とも呼ばれる手法で、専用の金型を用いて鍛造を行うことを指します。金型は上下で一対の構造になっており、間に金属材料を入れて圧力をかけ、成型を行います。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!型鍛造は、さらに細かく分けると「密閉鍛造」「半密閉鍛造」「閉塞鍛造」「中空鍛造」の4つがあります。●密閉鍛造引用元:株式会社イプロス Tech Note 鍛造加工とは?鍛造加工の種類は?:鍛造加工の基礎知識1密閉鍛造は、上下の型に隙間なく材料を閉じ込めて成形する手法です。バリが出ないので、除去する工程を省くことができ、製造時間の短縮と材料費を削減できます。●半密閉鍛造引用元:株式会社イプロス Tech Note 鍛造加工とは?鍛造加工の種類は?:鍛造加工の基礎知識1半密閉鍛造は、上下の型に材料を閉じ込めて成形を行いますが、目的の形状から余分に材料をはみ出させて鍛造する手法です。こうすることによって、型内に材料を充満させられるほか、余分な体積をバリとして逃すことができます。しかし、バリを後工程にて除去する必要があります。●閉塞鍛造引用元:鍛造事典 鍛造の種類Ⅰ(金型および変型方式・加工温度)閉塞鍛造は、上図のように上下の型に材料を閉じ込めたあと、パンチで押し込み圧力をかけて、型全体に流動させる手法です。パンチの形状や数によって複雑な形状を成形することもできます。●中空鍛造引用元:鍛造事典 鍛造の種類Ⅰ(金型および変型方式・加工温度)中空鍛造は、上図のように上下の型に材料を閉じ込めて、成型ピンを挿入することで、中空形状を成形する手法です。成型ピンは横からだけでなく、上下からも挿入させれば、より複雑な形状にすることもできます。また、鍛造には「熱間鍛造」「冷間鍛造」「温間鍛造」「半溶融鍛造」といった材料の加熱温度による違いもあります。●熱間鍛造熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200℃程度)に熱してから行う鍛造法です。高温に加熱することで金属が柔らかくなるほか、金属の結晶が正常に変化します。熱間鍛造は、複雑な形状でも強度を確保しやすいメリットがあります。●冷間鍛造冷間鍛造は、常温で行う鍛造を指します。金属が硬い状態のまま加工を行うため、高い精度が得られますが、成形するために高い圧力を必要とします。●温間鍛造温間鍛造は、熱間鍛造と冷間鍛造の間(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)で行われる鍛造を指します。冷間鍛造では成形が難しい複雑な形状の加工や、高硬度の材料にも対応が可能です。●半溶融鍛造半溶融鍛造は、鍛造と鋳造(溶融させた金属を成型する工法)の間のような手法で、主に車のアルミホイール成型などで採用されています。材料を半凝固状態で加圧して成形を行うため、鋳造のように自由な形状が作れるほか、鋳造で問題となる巣ができにくく、鍛造のように強度も得られます。参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説型鍛造の特徴型鍛造は、目的の製品に合った専用金型を使って成形する鍛造のため、同じ形状の製品を大量生産するのに適しています。専用金型での成形は寸法精度が高く、短時間で成形できるのもポイントです。型鍛造に限らず、自由鍛造にも共通している特徴は、「鍛流線」と呼ばれる金属組織の流れが形成されることで、金属材料が機械的性質が向上する点にあります。これにより、切削加工や鋳造で作られた製品に比べて耐久性が高く、肉厚を薄く作ることもできます。ただし型鍛造は、専用金型を作るのに初期費用がかかるので、小ロットの生産には適していません。型鍛造のメリット・デメリットメリット●材料を節約できる。型鍛造は、完成形状に近いものを成形するため、後工程で除去する金属の量が少なく済みます。これにより無駄になる材料が少なく、材料費の節約が可能です。後加工にかかる時間も削減できるので、作業効率の向上も期待できます。●内部欠陥のない成形が可能。型鍛造は、鋳造と違って内部欠陥がなく製品を成形できるほか、圧力が加えられることで金属の結晶粒が細かくなり、耐久性を向上させられます。●鍛流線の形成により、機械的性質が向上する。鍛造で作られた製品は、切削加工や鋳造で作られたものと違って「鍛流線」と呼ばれる金属組織の流れが形成されます。鍛流線が形成された金属は、硬さ・引張強度などの機械的性質を高められます。●専用金型を使った大量生産が可能。型鍛造は、目的の製品を作るために専用金型を用意します。専用金型はひとつの製品を作るのに使いまわしが効くほか、素早くに成形できるので大量生産に適しています。●自由鍛造よりも高い寸法精度が得られる。型鍛造は、専用金型による成形のため、ハンマーで叩くなどして成形する自由鍛造に比べて高い寸法精度が得られます。デメリット●専用金型の製作にコストがかかる。型鍛造は、専用金型を要するため、自由鍛造に比べて初期コストがかかります。金型の設計・製作に時間もかかるので、少ロットの生産には不向きです。●自由鍛造に比べて歩留まりが落ちる。型鍛造は、半密閉鍛造のようなバリが出る手法の場合は、後加工で除去する必要があるので、自由鍛造に比べて歩留まりが落ちるデメリットがあります。型鍛造の製品例型鍛造は、専用金型に金属材料を入れて成型する手法のため、自由鍛造に比べて小型部品や量産品を製造するのに適しています。型鍛造で作られている製品は、主に以下の製品が挙げられます。・ベアリング、フック、ボルトなどの工業製品・レンチ、スパナ、ペンチなどの工具類・クランクシャフト、コネクティングロッドなどの自動車部品・電車や航空機などに用いられる部品・ナイフ、フォーク、スプーンなどのカトラリー類・ハサミ、爪切りなどの日用品型鍛造の工程型鍛造の基本的な工程は以下の通りです。1.材料の切り出し2.材料の加熱3.鍛造4.バリ取り・表面処理型鍛造では、始めに金属の塊から材料の切り出しを行います。材料のサイズは専用の金型に合うように切り出します。加工用の寸法に切り出された金属の塊は「ビレット」と呼ばれます。次にビレットを加熱して金属を成形しやすくします。そのあと、加熱したビレットを専用金型に入れて成形します。始めに使う型は粗型で、最終形状に近いおおよその形状を作ります。次に仕上げ型を用いて精度の高い寸法に仕上げます。鍛造した製品はバリ処理や表面処理などを行い、製品が完成します。自由鍛造との比較鍛造は、専用金型を使用する「型鍛造(型打ち鍛造)」と、専用金型を使用しない「自由鍛造(フリー鍛造)」に大別されます。<型鍛造と自由鍛造の比較表>適したロット数金型にかかるコスト製品精度型鍛造多数高価高自由鍛造少数安価並型鍛造は、専用金型を使った鍛造で、製品を素早く成形できるほか、金型を使いまわせるので大量生産に適しています。また、高い寸法精度が得られるのも特徴です。しかし金型を作るため、初期コストが大きくかかります。自由鍛造は、専用金型を必要とせず、汎用金型とハンマーなどで鍛造を行う手法です。初期コストがかからないため、小ロットの製品に適しています。しかし、ひとつの製品を作るのに時間がかかるため、大量生産には適していません。精度も型鍛造と比べると劣ります。参考:自由鍛造とは?特徴、製品例、メリット・デメリット

  • 自由鍛造とは?特徴、製品例、メリット・デメリット

    今回は自由鍛造の特徴や製品例、メリット・デメリットについてご紹介します。鍛造とは、金属を叩いて鍛えることから名付けられており、日本でも刀などの製造で古くから活用されている手法です。鍛造には、大きく分けて「自由鍛造」と「型鍛造」の2種類があります。自由鍛造は、金敷の上で金属材料をハンマーなどで叩いて成形する手法で、金属内部の結晶が整い、強い金属が得られます。参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説参考:【第3回】鍛造加工で使用する機械・道具とは?昔ながらの工具から最新機械までご紹介!自由鍛造とは?自由鍛造とは、専用の金型を必要とせず、ハンマーやプレスで金属材料を叩いて成形することで、別名「フリー鍛造」とも呼ばれています。自由鍛造は、熱間加工の一種で、金敷に金属材料をのせて、据込み・鍛伸・展伸・穴あけ・穴広げ・中空・背切り・せん断などの作業を行い、目的の製品へと成形します。鍛造は、温度で見た場合、主に冷間鍛造・温間鍛造・熱間鍛造の3つに分類されます。冷間鍛造は、熱を加えずに圧力だけで加工する手法です。精度に優れていますが、高い圧力が必要なほか、使用する工具や金型は高い剛性を必要とします。温間鍛造は、材料を常温以上(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)に加熱して鍛造を行う手法です。冷間鍛造では成形が難しい製品の加工や、熱間鍛造よりも高い精度を得たい場合に採用されています。熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200℃程度)に加熱してから鍛造を行う手法です。金属が柔らかくなった状態で加工を施すため、より自由な成形ができるメリットがあります。ただし、温間加工は冷えるときに収縮するため、後加工が必要です。自由鍛造では、主に熱間鍛造が採用されています。自由鍛造の特徴と製品例引用元:同和鍛造株式会社 大型・自由鍛造自由鍛造は、リング・パイプ・円盤などのさまざまな形状に成形できます。自由鍛造で成形した製品は、内部欠陥がなく、優れた強度が得られるので、耐久性を要する部品に採用されていることが多くあります。以下は、自由鍛造で作られている製品の一例です。・金槌やペンチなどの工具類・スプロケットなどの産業機械部品・耕運機の爪などの農機具・クランク軸などの自動車・船舶用部品・包丁、フォーク、ナイフなどの台所用品・指輪などの装飾品自由鍛造のメリット・デメリットメリット●金型を作るコストが発生しない。型鍛造の場合は、専用の金型を用意する必要があります。しかし自由鍛造では、既存の汎用的な金型を用いて成形するため、専用金型を作るコストがかからないメリットがあります。●型鍛造では難しい大型の製品にも対応が可能。自由鍛造は、専用の金型を必要としないことから、製造が難しい大型の製品も加工できます。●歩留まりがよく、材料費と機械加工にかかるコストを抑えられる。自由鍛造では、完成品に近い形状に鍛造を行うため、歩留まりがよく、材料費を節約できます。また、機械加工にかかる時間や費用を削減できるのもポイントです。●金属の内部欠陥が発生せず、強度が向上する。鍛造は、体積移動により材料が鍛錬され、製品形状に沿った鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)が生まれます。鍛流線とは、金属材料を鍛造した際にみられる繊維状の金属組織の流れのことです。鍛流線が得られる鍛造品は、鋳造や削り出しで製造したものに比べて、機械的性質が高められ、強度が向上します。デメリット●加工時間が長く、大量生産に不向き。自由鍛造は、ハンマーなどで1点ごとに成形する手法のため、加工時間がかかります。そのため、専用の金型で成形する型鍛造に比べて大量生産には不向きです。自由鍛造は、主に大きな製品の鍛造や、多種類の製品を小ロットで作る場合に適しています。●複雑な形状の加工は難しい。自由鍛造は、ハンマーなどで叩いて成形する手法のため、複雑かつ精度が求められる製品は難しい傾向にあります。複雑かつ精度の要求される製品を鍛造する場合は、型鍛造が適しています。●仕上がりが作業者の技術に左右されやすい。自由鍛造は、型鍛造に比べて作業者の技術に左右されやすく、製品によっては希望する精度に満たない製品にできあがる可能性があります。そのため自由鍛造を依頼する場合は、技術力と実績のある業者に依頼するようにしましょう。自由鍛造の手法自由鍛造では、さまざまな作業を使い分けることで、目的の形状に成形していきます。ここでは、自由鍛造で行われている代表的な作業の手法についてご紹介します。据込み据込みは、平行平面型を用いて上から力を加えることで、素材の高さを圧縮し、材料を横方向に広げる手法です。別名で「すえ」や「圧縮」とも呼ばれています。据込みは、「アプセット鍛造」とも呼ばれており、ボルト・釘・ピンなどの頭を成形する際に採用されます。鍛伸鍛伸は、棒状の素材を回転させながら上下から加圧することで、断面積を縮小させて、長さを得る手法です。別名「伸ばし」とも呼ばれており、主に軸部品の成形に採用されます。展伸展伸は、幅が広い工具で材料を一方向から圧力をかけて、厚みを縮小し、伸ばす手法です。別名「延べ」とも呼ばれており、包丁やブロック部品の成形に採用されます。穴広げ穴広げは、リング状の素材を穴の内側と外側とで挟んで加圧することで、リングの厚みを薄くし、穴を広げる手法です。主にリング状の部品の成形や、指輪のサイズ調整に採用されます。背切り背切りは、工具や金型を用いて材料を圧延する方法を指します。背切りを繰り返すことで、薄板状に成形できます。型鍛造との違い鍛造は、専用金型を使用する「型鍛造(型打ち鍛造)」と、専用金型を使用しない「自由鍛造(フリー鍛造)」に大別されます。型鍛造と自由鍛造は、どちらも完成した形状に近い製品が得られるので、歩留まりがよいこと、そのほかにも内部欠陥のない成形、機械的性質の向上といったメリットがあります。<型鍛造と自由鍛造の比較表>適したロット数金型にかかるコスト製品精度型鍛造多数高価高自由鍛造少数安価並型鍛造と自由鍛造の違いについては上表の通りです。型鍛造は専用金型による成形のため、ロット数の多い製品に適しています。また、自由鍛造に比べて安定した精度が得られるのも特徴です。ただし、専用金型を製作するのにコストがかかるので、小ロットの製作には適していません。自由鍛造の場合は、成形に時間がかかるため、大ロットには適していませんが、金型の製作費にかかるコストを抑えられるメリットがあります。参考:型鍛造とは?特徴、メリット・デメリット、製品例

  • Mitsuri|金属加工

    抜き加工とは?種類、適した材料、加工限界、方法を解説

    金属を使った製品の製造において、板材を曲げたり切断したりする「板金加工」は欠かせない金属の加工方法です。その中でも、板材にシャフトやケーブルを通したり、ネジで締め付けたりするような構造が必要となる場合があります。その中でも薄い板に穴を開ける方法のひとつとして「抜き加工」があります。今回は、板金加工において、薄い板材に穴を開ける代表的な加工方法、抜き加工について解説していきます。抜き加工の種類や適した材料、やり方などの基礎知識、必要とされる板材の厚さによっても加工方法が異なるため、条件やメリットなども含めて詳しくご紹介します。板金加工の抜き加工とは?板金加工における抜き加工は、一般的に金属の板材をせん断することを言います。プレス、レーザー、ワイヤーカットなど、用いられる方法はさまざまですが、丸型や角型の板材を、汎用的な金型を使って特定の形状にせん断する、タレパンと呼ばれるタレットパンチプレス機が最もポピュラーな抜き加工の方法です。複雑な形状や高い精度が要求される場合、専用型が用いられる場合もありますが、こちらは汎用型に比べてコストが高くなります。また、同じ抜き加工でもタレパンとレーザーとでは加工の定義や方法が大きく異なるため、今回は板金加工における抜き加工の代表的な方法、タレパンを使った抜き加工についてご紹介します。抜き加工の種類抜き加工には、大きく分けて5種類の加工方法があります。また、抜き加工は製品が圧力を受けてせん断されるため、板材は押し込まれる時に多少曲がり、引っ張られたような形状になります。●打ち抜き加工…板材から部品になる部分をくり抜く●穴抜き加工…製品から不要な部分を切り抜く●切り込み(スリット)加工…製品を繋がったままにして切り込みを入れる●縁取り(トリミング)加工…製品の不要な部分を縁取る●半抜き加工…完全に抜くのではなく、浮き上がらせた状態で止める製品によっては穴抜きと半抜きを両方取り入れるなど、ひとつの製品に複数の抜き加工が施されることもあります。打ち抜き加工打ち抜き加工は、抜型と呼ばれる型を使い、金属板に圧力をかけて目的のカタチに打ち抜き、製品部分を完全に分離させる加工方法です。抜き加工といえば打ち抜き加工を想像する人も多く、最もポピュラーな加工方法です。穴抜き加工穴抜き加工は打ち抜き加工と同じく型枠を使って金属板をくり抜く加工方法です。異なるのは、打ち抜かれた方ではなく、プレス機に残った金属板が製品になるという点です。用途は製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。切り込み(スリット)加工一部がドアのように開いた形状の製品を作る際に用いられる抜き加工です。切り込みに合わせて曲げ加工も必要となるため、金属板と平行のパンチを使うことはできません。そのため、スリットの角度に合わせたパンチとダイが一体となったものを使用するのが一般的です。傾斜の角度や形状によって抜かれた部分が分離してしまう可能性があるため、加工の際には注意が必要です。縁取り(トリミング)加工型枠などで整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整えるのが縁取り加工です。打ち抜き加工のように製品部分をくり抜くタイプの抜き加工ですが、大きく異なるのはすでに成形されている商品をキレイにするのが目的であること。一般的には、製品の大きさを調整するために用いられます。半抜き加工抜き加工を途中やめにして、凸状態の形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、形状を変化させただけでくり抜いてはいませんが、凹凸をつけるだけの半抜き加工も、抜き加工のひとつに分類されます。深くまでプレスし過ぎると板材が分断されたり亀裂が入ったりしてしまったりするため、きれいに成形できるかどうかが技術の見せ所となります。抜き加工に適した材料抜き加工には、鉄やアルミ、ステンレスや銅などの金属以外にも、ウレタンやゴム、樹脂やカーボンなどにも用いられます。一定の靭性がないと、製品はひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい、ガラスのような素材には抜き加工は使えません。また、同じ形状の加工でも、やり方や得意不得意が加工会社によって異なるため、工場によって抜き方や製品単価などが変動することもあります。抜き加工の加工限界抜き加工に適した素材を使用していても、厚みが薄すぎるとうまく抜くことができません。逆に、厚過ぎる場合も同様で、曲げたりせん断したりすることが難しくなります。そのため、素材によっても異なりますが、一般的に抜き加工は0.5mm~3mmの素材が使用されます。抜き加工の方法抜き加工は、タレパンを使った最もポピュラーな加工と、それ以外の方法を使ったものの2種類に大別されます。どちらを選ぶかは、素材や目的、コストによっても異なります。そのため、タレパンが適しているのはどのような場合か、以下解説します。タレパンを使った抜き加工タレパンを使うメリットは加工スピードの早さとコストの安さ。金型を使用するため、1回のプレスで複数個の穴を同時に打ち抜くことも可能です。板材を打ち抜く際、型の取り方を工夫したり、異なる製品を同じ板材から打ちぬいたりすることで、材料を無駄なく活用することができます。タレパンには複数の金型を同時にセットすることができ、NC制御によって板材を打ち抜いては次の工程へ送るという動作を繰り返すことができます。これにより、ひとつのプレス機で複数の抜き加工を施し、金属加工を完成させることが可能です。タレパンの種類と選び方タレパンには、「単発型」「トランスファー型」「順送型」の3種類があります。●単発型単発型は、単純に1回のプレスで抜き加工をした後、作業者が1つずつ材料の取り出しと次の材料のセットを行う、最も単純で手間の多い方法です。ただし、手間はかかるものの、金型の修理や改造がしやすいメリットもあるため、製品の試作段階で用いられるのはほとんどが単発型です。数百、数千といったレベルの製品個数であれば、単発型でも十分対応が可能です。また、1個や2個といった少量生産の場合、レーザーを使った加工の方がコスパが良い可能性があります。●トランスファー型トランスファー型は、1つのプレスが終わったら次のプレス機へ、さらにその次のプレス機へと加工品を移動させていくタイプの加工方法です。●順送型順送型は、1台のプレス機に複数の金型をセットし、プレス機の上下動で、1回目はAの型枠を使用して穴を開け、次の型枠に送って2回目は凹凸を作り、3回目にくり抜くといったカタチで、同じプレス機を使い、連続したプレスによって製品を作り出す加工方法です。どちらも生産速度が早く、数万個、数十万個といった大量生産にも問題なく対応が可能です。

  • フォーミング加工とは?加工の種類や特徴、適した材質

    フォーミング加工は、様々な種類の塑性加工をフォーミングマシンと呼ばれる機械で連続的かつ自動的に実行する加工法です。材料の送り、加工物の保持や位置決めなども数値制御で自動的に行います。様々な種類の切削加工を連続的かつ自動的に行うマシニングセンタを用いたマシニング加工に対し、フォーミング加工は、その塑性加工版とも言える加工法です。この記事では、マシニング加工同様、近年幅広く採用されるようになったフォーミング加工についてご紹介します。加工法の種類や特徴などについても解説しますので参考にしてください。フォーミング加工とはフォーミング加工とは、鍛造や曲げ、せん断、絞りなどの加工を連続的に実行することができるフォーミングマシンを使用した加工法のことです。NC(数値制御)・CNC(コンピュータ数値制御)機能が付属しており、材料の投入から送り、加工品の位置決め、固定、加工、排出までの手順を予めプログラムした順序に従って自動的に実行します。フォーミングマシンは、材料送り装置(フィード装置)とプレス加工や曲げ加工などを実行するための複数の加工装置を備えており、自動的に材料を送って連続的に複数の加工を行います。主に線材や板材、帯板材の加工に用いられ、ピンやクリップ、バネ、コイルなどの比較的小さな部品の大量生産に使用されます(下図参照)。引用元:製品情報「線材・マルチフォーミング加工、洗浄」株式会社カシワセフォーミングマシンを導入することによって、シャーリングマシンで材料を切断し、プレス機械とベンディングマシンで成形するといった、従来は複数の機械と工程が必要であった部品の製造が一つの機械と工程で行えるようになります。フォーミングマシンによって生産された部品は、自動車や産業機械、電気・電子機器、建築金物、日用雑貨など、民生用と業務用の双方に幅広く用いられています。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!参考:【金属の曲げ加工】加工方法やよく使われる材質について解説!フォーミング加工の種類フォーミング加工は、大まかに、マルチフォーミング加工とワイヤーフォーミング加工の2種類に分けられます。マルチフォーミング加工引用元:製品案内「薄板ばね」東都発条株式会社マルチフォーミング加工は、マルチフォーミングマシンを用いて、プレス加工や複数回の曲げ加工を自動的かつ連続的に実行する加工法です。板材や帯板材から、ピンやクリップ、止め輪、板バネ、バンドなどを製造する場合に採用されます。マルチフォーミングマシンは、上図のように3つの装置から構成されています。右のフィード装置によって材料を送り、中央のプレス加工が可能なスタンピング装置によってブランク加工(打ち抜き加工などで加工品の輪郭形状を成形する加工法)や絞り加工などを実行します。そして、左に配置されたフォーミング装置の中央部で材料を保持し、円周状に配列された複数の曲げパンチで代わる代わる曲げ加工を実行して、最後に加工品を切り離せば完了です(下図参照)。引用元:製品情報「フォーミングマシンとは?」ティーエス プレシジョン株式会社対応可能な寸法は、おおよそ、板厚が0.05mm~2.5mm、板幅が3mm~100mmです。ただし、マシンには、小型のものや大型のものもあり、対応可能な寸法もマシンによって異なります。ワイヤーフォーミング加工ワイヤーフォーミング加工は、マルチフォーミングマシンのほか、専用のワイヤーフォーミングマシンを用いて、線材に切断加工や複数回の曲げ加工などを自動的かつ連続的に実行する加工法です。各種のバネやコイル、電子部品のリード線などを製造する際に採用されます。参考:ばねの基礎 |ばねの種類やそれぞれの特徴を詳しく説明します!下図のような構造の装置で実行されますが、これは、マルチフォーミングマシンのフォーミング装置に該当するものです。ワイヤーフォーミングマシンは、マルチフォーミングマシンからフィード装置やスタンピング装置を省いた機械であり、フォーミング装置によって実現される機能に特化した機械であると言えます。引用元:塑性(そせい)加工「フォーミングマシン」株式会社キーエンスワイヤーフォーミング加工は、フォーミング装置の中央部から線材を出して保持し、円周状に配列された曲げパンチや様々な曲げツールで連続的に曲げ加工や巻き加工を実行します。全周方向から線材を曲げる、捻る、丸める、圧縮する、引っ張るなどの多様な加工が可能で、複雑な3次元形状も高精度かつ高速に行うことができます。対応可能な寸法は、線径が0.1mmから5mm程度までが標準的ですが、10mm程度までの線径に対応しているマシンもあります。フォーミング加工で加工できる素材・材質フォーミング加工が可能な素材・材質は、炭素鋼や炭素工具鋼、ステンレスといった鉄鋼材料、アルミや銅合金、ニッケル合金、チタン、モリブデンといった非鉄材料など、金属材料全般です。ただし、通常のプレス機械でも加工が難しい、高張力鋼やチタン合金、マグネシウム合金、ジュラルミンなどの加工はできない場合があります。また、フォーミングマシンのスタンピング装置とフォーミング装置のそれぞれには、最大加圧力が仕様として決まっています。そのため、マシンによりますが、材料の寸法や加工形状によっては、ステンレスなどでも加工できないことがあります。フォーミング加工のメリットフォーミングマシンを用いたフォーミング加工には、プレス機械などを用いて加工した場合にはない、様々なメリットがあります。ここでは、そのフォーミング加工のメリットについて説明します。複雑な形状の加工に適しているフォーミング加工は、フォーミングマシンを構成する、スタンピング装置によるプレス加工とフォーミング装置による複数回の曲げ加工を一工程で実施できるため、複雑な形状を成形するのに適しています。プレス機械だけで複雑な形状を成形する場合、数種類の金型を用いて複数回プレス加工を実施するか、複雑な形状の金型を用意してプレス加工を実施するかのどちらかが必要です。その点、フォーミングマシンならば、以下のような一連の加工を一工程で実施するといったことも可能です。1. ブランク加工用の金型だけを用意して、スタンピング装置でプレス加工を実行2. フォーミング装置の多様な曲げパンチや曲げツールで、多方向から複数回の加工を実行なお、フォーミングマシンと類似の加工は、プレス機械とベンディングマシンを組み合わせることで可能ですが、手間が掛かる上、加工品の移し替えを伴うため、品質が安定しません。安定した品質で均一性の高い製品を加工できるフォーミング加工では、複数回の加工を手作業なしにNC・CNC機能で自動的に実施するため、安定した品質で均一な形状の製品を加工できます。特に、フォーミングマシンでの一工程だけで材料から完成品までの加工が可能な場合、機械間で加工品を移し替える際の位置決めのズレがないため、品質と形状が安定します。大量生産に適しているフォーミング加工は、プログラムした手順に従って自動的に実行する加工法であるため、製品の大量生産に向いています。特に、コイル材を材料にフォーミングマシンだけで完成品とすることができる製品は量産に最適です。工数やコストの削減が可能フォーミング加工は、プレス機械などで加工する場合に比べて、作業時間の短縮やコストの削減が可能です。上述したように、フォーミング加工では、自動化によって作業速度が上がり、工程集約によって作業量が減少するため、工数を削減することができます。また、プレス機械だけで加工する場合、数種類の金型もしくは複雑な形状の金型が必要です。一方、フォーミング加工では、複数回の曲げ加工で複雑な加工ができるため、金型の形状を簡素化できます。従って、フォーミング加工は、プレス機械を用いる場合に比べて、コストの削減が可能です。フォーミング加工は、プレス加工ではスクラップとなってしまう材料の余肉(押さえなどに利用される)が不要で、材料と製品の幅を同一にすることができるため、材料ロスが少なくなっています。そのため、材料の歩留まり率を上げやすく、材料コストの低減を比較的容易に図ることができます。下図は、左が順送型プレス加工での材料レイアウト、右がフォーミング加工での材料レイアウトで、斜線部がスクラップとなります。なお、順送型プレス加工とは、1つの金型に2つ以上の工程を設けて、1回のプレス毎に次の工程へ材料を送って順次加工していくプレス加工法です。引用元:「フォーミング加工とは」アポロテック株式会社プレス加工との違いフォーミング加工とプレス加工との違いは、加工する製品によっては当て嵌まらないこともありますが、以下のように類似した作業を行う際の違いを見ることで理解できます。・プレス加工では多工程が必要な作業を、フォーミング加工では一工程の作業に集約することができる・プレス加工では数種類の金型によるプレス加工が必要な作業を、フォーミング加工では一つの金型によるプレス加工と複数回の曲げ加工で代替することができる・プレス加工では複数の加工工程と工程間の加工品の移し替えが必要な作業を、フォーミング加工ではNC・CNCによる材料の送りと加工で自動的に実施することができる・プレス加工では材料の押さえや金型のキズ防止のために必要な余肉を、フォーミング加工では省くことができる

  • プレス機械とは?種類ごとに異なる特徴や目的・用途について解説

    物体に圧力を加え、形状を変化させるプレス機械は、元々は金属の棒や板を加熱し、叩いて伸ばしながら形状を作る「鍛造」に、水圧を用いたことが始まりと言われています。その後、時代と共にプレス機も進化していき、クランクレス機構を使った500トンプレス、油圧式の5000トンプレスと、どんどん大型化が進んでいきます。しかし、現在では大型化よりも生産ラインをより効率的に回すために用いられることが多くなり、速さや精密さなどが求められるようになってきています。プレス機械とはプレス機械とは、上から下方向に強い圧力を加え、金属を折り曲げたり、切り取ったりできる機械のこと。別名で、板金機械、鍛圧機械といった呼ばれ方もしています。主にアルミやステンレスなどの薄い板金素材に対し、型枠を使うことで形状を変化させたり決められた形状に型抜きしたりできることから、多くの工場で金属加工に取り入れられています。プレス機械の特徴現代のプレス機械は、単純に物体を圧縮するだけではなく、加工の用途に合わせて種類が分かれています。また、金属加工におけるプレス機は金型とセットで用いられることが多く、金型の形状によって金属を曲げたり、絞ったり、穴を開けたりと、さまざまな用途に使い分けられています。金型には上側に設置されるオス金型と、下側に設置されるメス金型があり、圧縮時にオス金型とメス金型が合わさることで金属を折ったり、切ったり、穴を開けたりしています。プレス機械を使った加工には、1回プレスするごとに材料の設置と取り出しを毎回手作業で行う単発型だけでなく、ベルトコンベアのような機械で材料を決まった量送り出し、プレス機ひとつで穴あけ、切断、折り曲げなどを順番にこなす順送型などがあります。プレス機械の動力源による種類プレス機械には、手で圧縮するものから油圧や電動モーターなどを使って圧縮するものまで、さまざまな種類があります。下記では、プレス機械の種類やそれぞれの特徴についてご紹介します。機械式プレス機械モーターの回転運動の動作を用いてスライドを上下させ、圧力をかけるプレス機械のこと。クランク機構、スクリュー機構など、メーカーによってさまざまな手法が用いられており、クランクがひとつだけのものはシングルクランク、ふたつあるものはダブルクランクと呼ばれています。シングルクランクに比べ、ダブルクランクの方が荷重の分散に強く、安定した加工が可能です。ピンクラッチプレス機械ピンクラッチプレスは機械式プレス機械の一種で、駆動部分のクラッチ構造がピン型になっているものを言います。過去に多く取り入れられていたプレス機械で、機械式の中でも構造が単純で扱いやすい点が特徴です。ただし、現在では取り扱っているメーカーが少なく、市場にはあまり出回っていません。油圧式プレス機械油圧式プレス機械は液圧式のプレス機械の一種です。液圧式には油圧式の他に水圧式がありますが、現在ではほとんどが油圧式となっているため、液圧式プレス機械といえば油圧式と考えられることが多くなっています。油圧式プレス機械は、モーターを使って油圧ポンプを動作させ、圧力を持つ油を油圧シリンダーに送り込むことでシリンダー内のピストンを動かして上下運動を行うプレス機械のことです。加工速度やストロークの長さなどを自由に変更できる汎用性の高さがメリットで、かつては多くの工場で使用されたプレス機ですが、安全性や生産性が機械式に劣るため、近年ではあまり使用されなくなっています。人力プレス機械足でペダルを踏んでプレスするフットプレスと、手でレバーを押すハンドプレスがあります。精度の低さや動力不足などの問題があり、現在は金属加工の現場ではほとんど見かけませんが、昭和40年代までは多くの町工場で主力として使用されていたプレス機の一種です。プレス機械の形状による種類プレス機械には、さまざまな種類があります。すべてに統一して言えるのは圧力をかけて形状を整えることですが、こまかく紐解いていくとその用途はさまざまです。仕組みや目的なども大きく異なるため、下記ではその種類や目的、特徴などについてご紹介します。C型プレス機械を横から見た時、Cの形状をしていることからその名が付けられた汎用性に優れたプレス機です。材料や金型のセットが容易にでき、作業性に優れている反面、作業中、作業者の手が入りやすく加工時の事故やケガに繋がりやすいデメリットを持っています。さらに、C型プレスはその形状から、加工を続けるうちフレームが少しずつ開いていき、経年劣化していきます。歪みが大きくなると加工精度が落ちてしまうため、長く使うためには無理な負荷をかけないように注意しながら使用する必要があります。門型プレス本体の四つ角を柱で支えたプレス機械のことで、別名ストレートサイドプレスとも呼ばれています。剛性が強く、C型プレスに比べて強い負荷でもフレームが歪みにくいメリットがある一方で、フレームが両サイドにあることから金型交換時などに作業がしにくいデメリットもあります。トランスファプレスプレス機械の構造に、材料の送り装置が内蔵された、多連続工程のプレスライン加工で使用されるプレス機械のことです。構造には門型が採用されていることが多く、通常のプレス機に比べて高速で稼働し、なおかつ長時間連続加工ができるメリットがあります。サーボプレスサーボモーターを用いて回転数をNC制御することで、スライドの速さを自由に変化させられるプレス機械のことです。通常の回転モーションによる上下運動の他に、振り子モーションやナックルモーションなどを用いて、高速モーションのプレスを繰り返すことができるため、生産性や加工精度に優れています。汎用性・生産性を兼ね備えたサーボプレスが各メーカーから発売されており、今後プレス機械の主力となっていくと考えられています。粉末成形プレス加工の過程で出た金属の粉をプレスし、ペレット状にするプレス機械のことです。金属以外に、化学工場や薬品工場などでも粉末状のものをペレット状にする用途で使用されています。熱間鍛造プレス高温の鉄を強い圧力によって押しつぶし、金型の形状に整形するプレス機械のこと。熱して赤くなった金属の塊を、ハンマーで打って強化する、いわゆる鍛造製法と、型枠の形状に金属を整形する作業をひとつの工程で完了できるプレス機械です。冷間鍛造プレスプレス機を用い、金属を常温状態で塑性変形させるプレス機械のことです。冷間というと「冷やす」というイメージがあるかもしれませんが高温でプレスする「熱間」の対義語となっており、冷間は常温で加工する鍛造プレスのことを言います。冷間鍛造プレスは、熱間鍛造プレスのように自由に形状を変えられるわけではありませんが、整形が困難な高精度の加工が可能です。また、プレスによって塑性加工を行うため、切断や切り屑がほとんど発生しないメリットもあります。

  • サーボプレスとは?構造、種類、特徴やメリットを解説

    今回は、サーボプレスの特徴や構造などについて解説します。プレス加工は、専用の機械と金型を用意することで、せん断・曲げ・絞り加工を繰り返し素早く行えるため、製品の大量生産に採用されています。サーボプレスは、より生産効率を向上するために生み出された機械で、非加工時のスピードは速く、加工時のスピードは遅くといったような制御が可能です。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!サーボプレスとはサーボプレスとは、加圧部の動きをNCとサーボモータで制御するプレスユニットのことです。油圧式のプレスユニットでは、加圧する際のスピード調節や停止位置などの制御が難しい傾向にありますが、サーボプレスでは、サーボモータでラム(駆動部)の動きをコントロールすることで、複雑なプレス加工にも対応が可能です。また、NC制御によりマグネシウムなどの難加工材や複雑な形状のワークもプレスできるようになります。サーボプレスの用途は、以下のものが挙げられます。・圧入・カシメ・歪み取り・成型・打ち抜き・熱溶着・粉末成形サーボプレスの特徴とメリットサーボプレスはプレスの途中まで高速で駆動でき、プレスする際は遅く駆動させます。例えば、下死点(加圧の最下点)付近まではスピードを上げ、それ以降はスピードを落としてプレス加工できることから、歩留まり低下の防止と生産性の向上が期待できます。また、加圧を数値制御できるため、従来のプレス機では加工が難しかった材料に対しても対応できます。サーボプレスの構造サーボプレスは内部構造の違いによりさまざまなタイプがあります。ここでは代表的なタイプである「スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス」と「クランク式サーボプレス」の2種類の構造を解説します。●スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス引用元:ZENFormer lab 4軸独立制御スクリュー式サーボプレスは、サーボモータの回転をボールねじに伝えて、ボールねじのナットに組付けたラムを動作させる仕組みです。スクリュー式サーボプレスは、位置や荷重を高い精度で制御できる点が強みです。ただし、往復動作にてサーボモータが正転と逆転を繰り返すため、クランク式と比べてスピードがある往復運転は得意ではありません。また、ボールねじを使用していることから、ラムへの衝撃に注意を払う必要があります。●クランク式サーボプレス引用元:日刊工業新聞 【プレス技術】イメージでつかむ「抜き」「曲げ」「絞り」の原理・原則/プレス機械が作用する荷重の変化を「腕立て伏せやバケツ持ち」から考える(上)クランク式サーボプレスは、クランク機構にサーボモータを組み合わせたタイプです。モータは片方のみ回転しますが、回転運動を往復動作に変化できることから、連続動作が可能です。クランク式サーボプレスは、主にパーツの大量生産に適しています。しかし、ロングストロークの対応は難しく、上死点(加圧の最上点)と下死点にて大きな荷重を発生できるものの、中間位置では荷重を発揮できないことから、複雑なプレス動作には不向きです。サーボプレスの種類ここでは主なサーボプレスの種類をご紹介します。メカニカル駆動式サーボプレス引用元:株式会社アミノ メカニカルリンクサーボプレスメカニカル駆動式サーボプレスは、サーボモータとクランクなどのメカニカル駆動機構を備えたサーボプレスのことを指します。サーボプレスの構造で解説した、スクリュー式やクランク式のサーボプレスもメカニカル駆動式に該当します。メカニカル駆動式のタイプは扱いやすく、大型のモデルが多いのも特徴です。ダイレクト機構サーボプレス引用元:アイダエンジニアリング株式会社 AIDA 新型ダイレクトサーボフォーマ DSF-N1-Aシリーズダイレクト機構サーボプレスは、サーボモータとクランク機構を組み合わせた、クランク式サーボプレスのことを指します。クランクプレスの良さはそのままに、構造の簡素化と従来機械と変わらない外観により、扱いやすい特徴があります。ハイブリット機構サーボプレス引用元:KOMATSU H1F-1ハイブリット機構サーボプレスは、リンク機構(下降運動は低速で、上昇運動は高速で動く機構)とサーボモータを組み合わせるなどの、ハイブリット駆動機構を搭載したタイプです。油圧式の機能を備えたサーボプレスの場合もハイブリット機構サーボプレスと呼ばれています。油圧式サーボプレス引用元:有限会社モリ工業 製品紹介 油圧ハイブリットサーボプレス油圧式サーボプレスは、油圧プレスの駆動源である油圧ポンプをサーボモータで直接駆動させるタイプです。油の流量をサーボモータで制御し、加圧力や加圧量を精密にコントロールしながら、油圧のパワーを発揮できます。また、オイル量を削減できるほか、発熱が少ない点も強みです。

  • 塑性加工とは?種類や加工製品例、メリット・デメリット、切削加工との違い

    金属加工と聞いて、最初にどんなものを思い浮かべますか?モノづくりにおける金属加工には、熱して熱くなった金属をハンマーで叩く刀の鍛造や、機械を使った加工、ドリルでの穴あけなど、さまざまな種類があります。塑性加工はその中で最も古い歴史を持つと言われており、古くは紀元前の古代文明から用いられていた手法と言われています。その技術は脈々と受け継がれ、現在でも鋳造に並んで多く用いられる金属加工の手法となっています。今回は、塑性加工の種類やメリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。塑性加工とは塑性とは、物質に力を加えたとき、破壊されることなく変形され、力を取り除いてもその状態を永久に保持し続けることを言います。例えば、粘土に指で力を加えると穴が開きます。上から手のひらで潰すと平べったくなります。手を取り除いても、粘度はそのままの状態を保ち、元の状態に戻ろうとはしません。このような変形のことを塑性変形と呼び、物体の性質を「塑性」と呼んでいます。塑性は物質によって発生条件が異なります。中でも温度の影響を受けやすい傾向にあり、金属では高温なほど変形しやすく、常温では容易に変形しません。この特徴を生かしてプラスチックや金属などで加工品を作り出す方法を塑性加工と呼んでいます。塑性加工の種類と加工製品例塑性加工の種類と実際の加工品例についてご紹介します。鍛造加工引用元:いすゞ自動車公式チャンネル [official](YouTube)鍛造加工とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高める技術のこと。ハンマーやプレス機で金属を圧縮することで中の空隙を潰し、より強固な素材へと鍛えていきます。そのため、自動車のエンジン部分をはじめ、高い強度を要求される製品に多く用いられます。●加工品例ペンチ、スパナなどの家庭用の工具、包丁、ナイフ、フォーク、ハサミなどの生活用品、自動車や航空機のエンジン部品、電車の歯車、指輪、ゴルフクラブなど参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!圧延加工引用元:株式会社光栄(YouTube)圧延加工とは、2本のロールの間に金属を通し、ロールで圧力をかけながら薄く引き伸ばしていく加工方法です。ロールの間隔を変更することで、比較的厚みのある板材から紙のように薄い素材まで幅広く加工することが可能です。●加工品例アルミニウム箔、工場で使用される板材、棒材、管材参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介!プレス加工引用元:MIDAS MOVIE / エミダスムービーチャンネル(YouTube)プレス加工とは、加工物を金型に押し当て、圧力をかけて整形する加工方法のこと。一般的には曲げ加工に用いられることが多いですが、決まった形状にくり抜くことも可能です。●加工品例スチール製の家具やケース、自動車の部品やボディ、テレビやエアコンなどの内蔵部品、硬貨参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!押出し加工引用元:ynaoxcojp(YouTube)押出加工とは、金属を小さな部屋に閉じ込め、圧力をかけることで押し出しながら形状を整えていく加工方法のこと。ダイスと呼ばれる穴から金属が一定の形状を保ったまま押し出されていくため、長い部品を製造する際に活用されます。●加工品例飛行機の部品、アルミサッシのフレーム参考:【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!引抜き加工引用元:SCIENCE CHANNEL(JST)(YouTube)引抜き加工とは「ダイ」と呼ばれる専用の金型から素材を引き抜く加工方法のこと。押出加工同様、一定の形状を保った長い素材を製造するのに用いられ、引き抜き加工の方がより細く長いものの製造に適しています。寸法精度が高くロスが少ない上、引張り強度の高い素材を製造できますが、加工の形状が限られるデメリットもあります。●加工品例電線、ピアノ線、ワイヤー、パイプ、角材、注射針参考:【引抜加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例についてご紹介!転造加工引用元:三和鉄工(YouTube)転造加工とは、転造ダイスと呼ばれる回転する工具に材料を押し当てて金属を整形する加工方法のこと。削るのではなく、押し当てて盛り上げることで整形する塑性加工で、切削加工に比べて廃材を出さず、材料を無駄なく活用できるメリットがあります。●加工品例ネジ、歯車、スプライン、セレーション、ウォーム参考:転造加工とは?種類とデメリット、加工可能な金属を解説!塑性加工のメリット・デメリット●塑性加工のメリット…強度が上がる・加工時間が短い・廃材やロスが少ない●塑性加工のデメリット…コストがかかる・精度が低いメリット材料が元の素材から大きく変形されるため、その過程において金属の強度アップが期待できます。鍛造加工は特に、強度のアップを見込んだ加工方法で、エンジンをはじめとする強度を要求される部品として活用されています。加工時間の短かさや切削と比べた時のロス・廃材の少なさもメリットのひとつで、大量生産することでコストパフォーマンスの向上も期待できます。デメリット塑性加工は、製品ひとつに対して専用の装置を必要とされることが多くあります。さらに、金属の塑性は高温での作業となるため加熱を必要とされることが多く、製造費用やメンテナンスなどにコストがかかることが多いです。また、ミリやそれ以下の単位までを求められる精密機器をはじめ、緻密さを要求される部品の製造には適していません。切削加工との違いネジや歯車を製造する際、よく比較される塑性加工と切削加工。削ることによって廃材が出る切削加工は、金属加工の中では「除去加工」に含まれます。一方、圧力をかけて変形させることでカタチを整える塑性加工は「非除去加工」に含まれ、切削加工とは全く異なる加工方法に分類されます。切削加工は小ロットからの製造も可能ですが、塑性加工でネジ山を製造する場合専用の装置が必要となるため少量の生産には向いていません。このように、切削加工と塑性加工では、出来上がった製品の見た目は同じでも過程や製造方法はまったく異なります。

  • ルーバー加工とは?方法・用途・基礎知識

    ルーバーとは、「louver」と綴る、「よろい戸」や「よろい窓」を意味する言葉のことです。羽板と呼ばれる細長い板を隙間を空けて並行に並べたものを指します。ブラインダーのような構造を持った戸や窓のことで、通風性を保ったまま目隠しや採光を行いたい場合に設置する建具です。ルーバー加工は、ルーバーに類似した構造を金属板に施すプレス加工の一種です。主に発熱する機器の筐体に施され、熱を外部に放出するために施されます。電子機器や産業機械、自動車など、様々な製品に適用されています。この記事では、ルーバー加工の詳細や加工法、用途について解説していきます。ルーバー加工とは?プレス加工の一種引用元:NCネットワークルーバー加工とは、金属板などに対して、上の写真のような開口部のある細長い出っ張り部分を成形する加工法のことです。プレス加工の一種で、多くの場合、一定の間隔で平行となるように施されます。主に、発熱する部品・装置を内蔵する電子機器や産業機械、自動車などの内部の熱を放出するために適用される加工法です。機器・機械の筐体・ボディの側面に施されることが多く、開口部が下方を向くように成形することで機器の内部にホコリなどが侵入することを防止しています。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!ルーバー加工の方法と金型の要否ルーバー加工には、切断と絞りの2段階の加工で成形する方法と、切断加工と絞り加工を一気に行う(切り絞りと呼ばれる)成形方法があります。2段階で加工する方法では、まず、シャーリングやレーザー加工機などによって板金に一定間隔で切り込み線を入れる「スリット加工」を施します。その後、スリットに沿ってプレス加工機の金型を押し当てることで板金を絞り、出っ張り部分を成形します。引用元:株式会社コニック切り絞り加工は、上図のように、プレス加工のみで行います。この場合、開口部はせん断加工、出っ張り部は絞り加工となるような金型を用意し、一度のプレスによってルーバー加工を行います。つまり、開口部は金属板を破断させることで、出っ張り部は金属板を引き伸ばすことで成形します。これらの2つの方法では共に金型を必要としますが、多数の既製品がありますので特に問題がなければ、既製品を使用すると良いでしょう。もし、形状やサイズが特殊で、適合するものがなければ、金型の作製が必要となります。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!ルーバー加工の用途・種類ルーバー加工は、主に、ダイオードやトランジスタ、電池などの発熱する電子部品を内蔵する電子機器や、モータやインバータ、エンジンなどの発熱する装置を内蔵する機械や輸送機器に施されています。身近なモノでは、デスクトップパソコンの筐体やディスプレイなどが挙げられます。ルーバー加工による成形品の形状は、大きく2種類に分けられます。一つは、上述した出っ張り部の下方にのみ開口部があるものです。もう一つは、出っ張り部の上部のみが繋がっている形状で、下の写真のように出っ張り部が屋根のようになっている形状です。引用元:有限会社大日工業

  • スロッター加工とは|概要・加工種類・メリットをご紹介!

    スロッター加工は、刃を上下に運動させ加工品を削ることで、溝をつけることができる加工方法です。あまり聞き慣れない加工方法かもしれませんが、スロッター加工は、工業・産業用のモーター部品など様々な用途に利用されています。今回は、この「スロッター加工」をテーマに、その基本的な知識に加え、加工方法の仕組みなど、実際の加工の様子を表した動画などを用いてご紹介いたします。さらに、スロッター加工による代表的な加工の種類に加え、スロッター加工のメリットについても、詳しくご説明いたします。これからスロッター加工を用いて製品の製作を検討している方、またスロッター加工についてさらに知識を深めたい方はぜひご一読ください。スロッター加工は刃の上下運動を利用した加工法引用元:株式会社サンテックスロッター加工とは、上図のようなスロッター盤と呼ばれる機械を用いて、被削材(ワーク)に溝をつける加工方法を言います。スロット(Slot)とは、日本語で「溝」という意味を持つことから、スロッター加工と言われています。スロッター加工は、下図に示したように、スロッターバイトと呼ばれる刃物を取り付けたラムを垂直方向に運動させることで、溝を削ることで加工を行います。このような仕組みから、スロッター加工は、立て削り盤とも呼ばれています。引用元:株式会社サンテック以下に、スロッター加工を行っている動画を示しましたので、実際にどのように加工がなされているのか知りたい方は、ぜひご覧ください。Mitsuriでは、スロッター加工に対応している多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。スロッター加工による様々な種類の加工スロッター加工には、様々な種類の加工方法が存在します。今回は、代表的な3つの加工方法についてご紹介いたします。●キー溝加工引用元:株式会社サンテックキー溝加工とは、上図のように、内径のある被削材に長方形状の断面を持つ溝をつける加工を指します。ここで、キーとは、モーターなどの軸(シャフト)の回転動力をギアやプーリーなどに伝える時に空回りを防ぐための回り止めのことを言います。下図のように、キーを差し込むために、ギアなど側の内径に溝をつける加工(キー溝加工)を行う必要があります。キー溝加工は、カップリング・スプロケット・シャフト・ギア・軸・ハンドル・プーリー・ロール・ローラーなどに利用されています。引用元:株式会社ミスミグループ本社●スプライン加工引用元:株式会社南星スプライン加工も、キー溝加工同様、歯車などと軸を結合する際の回り止めの目的で、長方形状の断面を持つ溝を削る加工方法を指します。前述したキー溝は、溝が1,2本であるのに対し、スプラインでは、上図のように、複数の溝を加工します。溝が複数あることから、より大きな回転運動をギアなどに伝えることが可能となります。スプライン加工は、主にスプロケット・大ギア・ピニオンクラッチ・軸・シャフト・軸受スピンドル・プーリー・カップリングに利用されています。●インボリュート加工引用元:株式会社サンテックインボリュート加工は、インボリュートスプライン加工とも呼ばれ、上図のように、細めで先細りの溝を施す加工方法で、役割はキー溝加工やスプライン加工と同様、回り止めとなります。下図にインボリュート加工を行った部品を示しましたが、断面が台形状をしています。引用元:株式会社小川製作所インボリュート加工は、主にスプロケット・ギア・ピニオン・ハブ・クラッチ板・タイミングプーリー・シャフト・軸・スリーブ・プーリー・ドライブホイルなどに用いられています。これらの加工方法の他にも、内径のテーパーに沿って角度をつけ、キー溝を加工することができるテーパー加工があります。<テーパー加工例>引用元:株式会社宮沢製作所また、ボルトやソケット、レンチなどに利用される、六角穴加工、四角穴加工のような多角形の穴を作製するスロッター加工など、様々なスロッター加工が存在します。<六角穴加工例>引用元:株式会社光スロッター工作所Mitsuriは、さまざまな種類のスロッター加工に対応している多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。スロッター加工のメリット引用元:株式会社宮沢製作所最後に、スロッター加工のメリットについて見ていきましょう。スロッター加工では、被削材の内径に入り作成する溝のサイズに合う刃物(スロッターバイト)があれば、すぐにスロッター加工をすることができます。そのため、一品ものの加工や少量生産に特に利用される加工方法となっています。さらに、スロッター加工は、上下運動によって溝を削る加工方法であるため、比較的大きなサイズのワークにも加工を施すことができます。また、上述した通り、スロッター加工では、キー溝加工、スプライン加工、インボリュート加工などの様々な加工に適用が可能です。さらに、スロッター加工は、さまざまな形状の被削材に適用することができますが、特に内径の底(止まり穴)があるワークに有効な加工方法です。例えば、ブローチ盤やワイヤー放電加工によってもキー溝を施すことは可能ですが、これらの加工方法の場合、ブローチ刃やワイヤー線を貫通した穴に通して加工を行うので、止まり穴には加工を行うことができません。参考:【ワイヤーカット】加工のメリット・デメリットや価格について徹底解説!!Mitsuriでは、スロッター加工の他にもブローチ盤やワイヤー放電加工など、様々な溝加工を行っている多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。まとめ本記事では、「スロッター加工」をテーマに、その基本的な知識、加工方法の仕組み、代表的な加工の種類のほか、メリットについて、詳しくご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。スロッター加工は、止まり穴のある被削材に有効な加工方法で、ブローチ盤やワイヤー放電加工などのその他の加工では加工ができないワークにも適用ができます。モーターなどの部品として、幅広い製品に利用されている加工方法ですので、ぜひこの機会にスロッター加工に注目してみてください。スロッター加工を用いた製品の加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!スロッター加工でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    キャビコアって何?正体、構造、仕組みを解説!

    「キャビコア」とは、「キャビティ」と「コア」を省略した言い方です。「キャビティ」と「コア」は、樹脂製品などを製作する射出成形加工に使用される金型の凹部と凸部を指します。「キャビティ」と「コア」とは何かを解説し、代表的なキャビコアの構造や仕組みについて詳しくご紹介しています。これから金型を用いた加工の依頼を検討している方や、キャビコアについてさらに知識を深めたい方に向けた記事です。キャビコアとは金型を構成する「キャビティ」と「コア」キャビコアとは、金型を構成する部品を指します。金型とは、成形加工を行う際に用いられる金属製の型を指します。金型を使用する加工にはさまざまな加工方法があります。例えば、樹脂部品などを量産する場合に用いられる、射出成形という加工方法が挙げられます。射出成形とは、溶かした樹脂を金型に流し冷却することで成形した後、金型から樹脂を引き抜く方法です。自動車のボディーは、金属板をプレス金型によって成形加工することで得られます。このように、金属や樹脂製品などの素材を目的に合わせて製品の成形加工用に使用するものが金型です。金型は品質によって製品の良し悪しを決めるため、非常に重要な役割を担っています。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!キャビティは金型の凹部・コアは金型の凸部図1:キャビコアとは 「キャビティー(Cavity)」及び「コア(Core)」とは、一般的に上図に示したようにそれぞれ金型の凹部、及び凸部を指します。また、キャビティーを雌型、コアを雄型、と呼ぶこともあります。この2つの金型部品は、金型を構成する上で最も重要な部品ですキャビコアの仕組みキャビコアの仕組み(射出成形の例)(1)キャビティーとコアを合わせる。(2)空洞部にプラスチック材料を注入する。(3)注入後、金型を開く(成形品はコア部にはりつく)。(4)コア側に取り付けられた成形品を金型から引き離す(突き出しピン(Eピン)などを用いる)。※キャビコアの構造では、必ずキャビティーが固定側、コアが可動側となります。代表的なキャビコアの構造キャビコアの構造は大きく「一体構造」と「分離構造」の2種類に分けられます。キャビティとコアを一体の部品で構成する「一体構造」「一体構造」は、キャビコアを分割せずに一体の部品で製作する方法です。部品点数が少なく、材料コストなどが抑えられるメリットがあります。一方で、比較的狭いコーナー部の形状精度が出しにくかったり、メンテナンス性に劣ったりするデメリットが挙げられます。分割したキャビティとコアを組み合わせる「分離構造」「分割構造」は、キャビコアを2つ以上の部品に分割して、組み合わせて製作する方法です。成形品を設計通りの形状にするために、キャビコアを分割しなければならない場合も多いです。例えば、成型品の形状が複雑であったり、サイズが小さくて加工できない場合、また行き止まりの箇所に空気がたまって樹脂が行き渡らない場合などが挙げれられます。一体構造とは逆で、各部品が取り外しできるためメンテナンス性に優れますが、部品点数は多くなるので材料コストが高くなりやすいといったデメリットが挙げられます。一度着手したキャビコアの形は変えられる?キャビコアの設計を進めていく途中で、部品の形状を変更する場合があります。例えば以下の場合です。・成形品の引き抜きをよりスムーズに行いたい場合・キャビティのサイズをより小さくしたい場合・金型の組み立てやメンテナンスをより簡単にしたい場合他にも、コアには成形品の取り出しを助ける役割を担う突き出しピン(エジェクタピン)が取り付けられていますが、その突き出しピンの破損を防止したい場合などにも部品の形状変更が検討されます。キャビコアの形を変更した事例①コーナーRを設ける図2:キャビコアのコーナー部分変更 角にRがない場合、その部分に集中的に応力がかかってしまい、破損しやすくなってしまいます。角にできるだけ大きなRを設けることで、応力の集中を防止できます。キャビコアの形を変更した事例②キャビコア構造の変更図3:キャビコアを分離構造に変更 破損しやすい部品だけを簡単に交換できるようにしたり、エアーベントを設ける目的で、一体構造から分離構造へと変更する場合があります。なお、エアーベントとは、ガスベントとも呼ばれ、金型に樹脂が流し込まれる際に、金型の中で圧縮された空気を金型の外に排出するための穴を指します。また、分離構造から一体構造へと変更する場合もあります。例えば、キャビコアの部品を一体化することによって、よりコンパクトにしたい場合や強度を向上させたい場合などに有効な方法です。キャビコア構造変更とコスト・難易度分割構造の金型を一部入れ替えたり、金型削り方向を変えたりすることは、比較的簡単にかつコストも安く行うことができます。しかし、キャビコアの構造を大幅に変更する場合や金型盛り方向への変更を加える場合には、肉盛り溶接後に切削加工が必要であり、かつ溶接を加えた箇所は金型の耐久性にも影響してしまいます。そのため変更は難しく、追加工費が高額になります。製品設計者や金型設計者は、どういった変更を行う可能性があるかを事前に把握・推測した上で、金型の設計を行うことが重要です。これらの他にも、突き出しピンに成形品が引っかかりやすい構造の場合に、より離型をスムーズにするために抜き勾配の角度を設ける方法が検討されることが多いです。参考:抜き勾配の計算方法や設計時に必要な角度を解説!① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く!  ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積りを取得!キャビコアを用いた成形加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、Mitsuriにご相談ください。Mitsuriは日本全国250社以上の企業と提携しており、ご希望に沿う工場が見つかります。お見積りは複数社可能です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!

  • 型鍛造とは?特徴、メリット・デメリット、製品例

    今回は型鍛造の特徴、メリット・デメリット、製品例について解説します。鍛造とは、金属の塊に圧力をかけて目的の形に成形する加工方法です。鍛造は日本で古くから活用されており、高い強度を必要とする農具の鋤や日本刀といったものを作るのに採用されていました。鍛造には大きく分けて「型鍛造」「自由鍛造」の2種類があります。今回ご紹介する型鍛造は、専用の金型を用いて金属材料を成形する手法で、自由鍛造とは異なる特徴があります。参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説参考:【第3回】鍛造加工で使用する機械・道具とは?昔ながらの工具から最新機械までご紹介!型鍛造とは?型鍛造とは、別名「型打ち鍛造」とも呼ばれる手法で、専用の金型を用いて鍛造を行うことを指します。金型は上下で一対の構造になっており、間に金属材料を入れて圧力をかけ、成型を行います。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!型鍛造は、さらに細かく分けると「密閉鍛造」「半密閉鍛造」「閉塞鍛造」「中空鍛造」の4つがあります。●密閉鍛造引用元:株式会社イプロス Tech Note 鍛造加工とは?鍛造加工の種類は?:鍛造加工の基礎知識1密閉鍛造は、上下の型に隙間なく材料を閉じ込めて成形する手法です。バリが出ないので、除去する工程を省くことができ、製造時間の短縮と材料費を削減できます。●半密閉鍛造引用元:株式会社イプロス Tech Note 鍛造加工とは?鍛造加工の種類は?:鍛造加工の基礎知識1半密閉鍛造は、上下の型に材料を閉じ込めて成形を行いますが、目的の形状から余分に材料をはみ出させて鍛造する手法です。こうすることによって、型内に材料を充満させられるほか、余分な体積をバリとして逃すことができます。しかし、バリを後工程にて除去する必要があります。●閉塞鍛造引用元:鍛造事典 鍛造の種類Ⅰ(金型および変型方式・加工温度)閉塞鍛造は、上図のように上下の型に材料を閉じ込めたあと、パンチで押し込み圧力をかけて、型全体に流動させる手法です。パンチの形状や数によって複雑な形状を成形することもできます。●中空鍛造引用元:鍛造事典 鍛造の種類Ⅰ(金型および変型方式・加工温度)中空鍛造は、上図のように上下の型に材料を閉じ込めて、成型ピンを挿入することで、中空形状を成形する手法です。成型ピンは横からだけでなく、上下からも挿入させれば、より複雑な形状にすることもできます。また、鍛造には「熱間鍛造」「冷間鍛造」「温間鍛造」「半溶融鍛造」といった材料の加熱温度による違いもあります。●熱間鍛造熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200℃程度)に熱してから行う鍛造法です。高温に加熱することで金属が柔らかくなるほか、金属の結晶が正常に変化します。熱間鍛造は、複雑な形状でも強度を確保しやすいメリットがあります。●冷間鍛造冷間鍛造は、常温で行う鍛造を指します。金属が硬い状態のまま加工を行うため、高い精度が得られますが、成形するために高い圧力を必要とします。●温間鍛造温間鍛造は、熱間鍛造と冷間鍛造の間(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)で行われる鍛造を指します。冷間鍛造では成形が難しい複雑な形状の加工や、高硬度の材料にも対応が可能です。●半溶融鍛造半溶融鍛造は、鍛造と鋳造(溶融させた金属を成型する工法)の間のような手法で、主に車のアルミホイール成型などで採用されています。材料を半凝固状態で加圧して成形を行うため、鋳造のように自由な形状が作れるほか、鋳造で問題となる巣ができにくく、鍛造のように強度も得られます。参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説型鍛造の特徴型鍛造は、目的の製品に合った専用金型を使って成形する鍛造のため、同じ形状の製品を大量生産するのに適しています。専用金型での成形は寸法精度が高く、短時間で成形できるのもポイントです。型鍛造に限らず、自由鍛造にも共通している特徴は、「鍛流線」と呼ばれる金属組織の流れが形成されることで、金属材料が機械的性質が向上する点にあります。これにより、切削加工や鋳造で作られた製品に比べて耐久性が高く、肉厚を薄く作ることもできます。ただし型鍛造は、専用金型を作るのに初期費用がかかるので、小ロットの生産には適していません。型鍛造のメリット・デメリットメリット●材料を節約できる。型鍛造は、完成形状に近いものを成形するため、後工程で除去する金属の量が少なく済みます。これにより無駄になる材料が少なく、材料費の節約が可能です。後加工にかかる時間も削減できるので、作業効率の向上も期待できます。●内部欠陥のない成形が可能。型鍛造は、鋳造と違って内部欠陥がなく製品を成形できるほか、圧力が加えられることで金属の結晶粒が細かくなり、耐久性を向上させられます。●鍛流線の形成により、機械的性質が向上する。鍛造で作られた製品は、切削加工や鋳造で作られたものと違って「鍛流線」と呼ばれる金属組織の流れが形成されます。鍛流線が形成された金属は、硬さ・引張強度などの機械的性質を高められます。●専用金型を使った大量生産が可能。型鍛造は、目的の製品を作るために専用金型を用意します。専用金型はひとつの製品を作るのに使いまわしが効くほか、素早くに成形できるので大量生産に適しています。●自由鍛造よりも高い寸法精度が得られる。型鍛造は、専用金型による成形のため、ハンマーで叩くなどして成形する自由鍛造に比べて高い寸法精度が得られます。デメリット●専用金型の製作にコストがかかる。型鍛造は、専用金型を要するため、自由鍛造に比べて初期コストがかかります。金型の設計・製作に時間もかかるので、少ロットの生産には不向きです。●自由鍛造に比べて歩留まりが落ちる。型鍛造は、半密閉鍛造のようなバリが出る手法の場合は、後加工で除去する必要があるので、自由鍛造に比べて歩留まりが落ちるデメリットがあります。型鍛造の製品例型鍛造は、専用金型に金属材料を入れて成型する手法のため、自由鍛造に比べて小型部品や量産品を製造するのに適しています。型鍛造で作られている製品は、主に以下の製品が挙げられます。・ベアリング、フック、ボルトなどの工業製品・レンチ、スパナ、ペンチなどの工具類・クランクシャフト、コネクティングロッドなどの自動車部品・電車や航空機などに用いられる部品・ナイフ、フォーク、スプーンなどのカトラリー類・ハサミ、爪切りなどの日用品型鍛造の工程型鍛造の基本的な工程は以下の通りです。1.材料の切り出し2.材料の加熱3.鍛造4.バリ取り・表面処理型鍛造では、始めに金属の塊から材料の切り出しを行います。材料のサイズは専用の金型に合うように切り出します。加工用の寸法に切り出された金属の塊は「ビレット」と呼ばれます。次にビレットを加熱して金属を成形しやすくします。そのあと、加熱したビレットを専用金型に入れて成形します。始めに使う型は粗型で、最終形状に近いおおよその形状を作ります。次に仕上げ型を用いて精度の高い寸法に仕上げます。鍛造した製品はバリ処理や表面処理などを行い、製品が完成します。自由鍛造との比較鍛造は、専用金型を使用する「型鍛造(型打ち鍛造)」と、専用金型を使用しない「自由鍛造(フリー鍛造)」に大別されます。<型鍛造と自由鍛造の比較表>適したロット数金型にかかるコスト製品精度型鍛造多数高価高自由鍛造少数安価並型鍛造は、専用金型を使った鍛造で、製品を素早く成形できるほか、金型を使いまわせるので大量生産に適しています。また、高い寸法精度が得られるのも特徴です。しかし金型を作るため、初期コストが大きくかかります。自由鍛造は、専用金型を必要とせず、汎用金型とハンマーなどで鍛造を行う手法です。初期コストがかからないため、小ロットの製品に適しています。しかし、ひとつの製品を作るのに時間がかかるため、大量生産には適していません。精度も型鍛造と比べると劣ります。参考:自由鍛造とは?特徴、製品例、メリット・デメリット

  • 自由鍛造とは?特徴、製品例、メリット・デメリット

    今回は自由鍛造の特徴や製品例、メリット・デメリットについてご紹介します。鍛造とは、金属を叩いて鍛えることから名付けられており、日本でも刀などの製造で古くから活用されている手法です。鍛造には、大きく分けて「自由鍛造」と「型鍛造」の2種類があります。自由鍛造は、金敷の上で金属材料をハンマーなどで叩いて成形する手法で、金属内部の結晶が整い、強い金属が得られます。参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説参考:【第3回】鍛造加工で使用する機械・道具とは?昔ながらの工具から最新機械までご紹介!自由鍛造とは?自由鍛造とは、専用の金型を必要とせず、ハンマーやプレスで金属材料を叩いて成形することで、別名「フリー鍛造」とも呼ばれています。自由鍛造は、熱間加工の一種で、金敷に金属材料をのせて、据込み・鍛伸・展伸・穴あけ・穴広げ・中空・背切り・せん断などの作業を行い、目的の製品へと成形します。鍛造は、温度で見た場合、主に冷間鍛造・温間鍛造・熱間鍛造の3つに分類されます。冷間鍛造は、熱を加えずに圧力だけで加工する手法です。精度に優れていますが、高い圧力が必要なほか、使用する工具や金型は高い剛性を必要とします。温間鍛造は、材料を常温以上(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)に加熱して鍛造を行う手法です。冷間鍛造では成形が難しい製品の加工や、熱間鍛造よりも高い精度を得たい場合に採用されています。熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200℃程度)に加熱してから鍛造を行う手法です。金属が柔らかくなった状態で加工を施すため、より自由な成形ができるメリットがあります。ただし、温間加工は冷えるときに収縮するため、後加工が必要です。自由鍛造では、主に熱間鍛造が採用されています。自由鍛造の特徴と製品例引用元:同和鍛造株式会社 大型・自由鍛造自由鍛造は、リング・パイプ・円盤などのさまざまな形状に成形できます。自由鍛造で成形した製品は、内部欠陥がなく、優れた強度が得られるので、耐久性を要する部品に採用されていることが多くあります。以下は、自由鍛造で作られている製品の一例です。・金槌やペンチなどの工具類・スプロケットなどの産業機械部品・耕運機の爪などの農機具・クランク軸などの自動車・船舶用部品・包丁、フォーク、ナイフなどの台所用品・指輪などの装飾品自由鍛造のメリット・デメリットメリット●金型を作るコストが発生しない。型鍛造の場合は、専用の金型を用意する必要があります。しかし自由鍛造では、既存の汎用的な金型を用いて成形するため、専用金型を作るコストがかからないメリットがあります。●型鍛造では難しい大型の製品にも対応が可能。自由鍛造は、専用の金型を必要としないことから、製造が難しい大型の製品も加工できます。●歩留まりがよく、材料費と機械加工にかかるコストを抑えられる。自由鍛造では、完成品に近い形状に鍛造を行うため、歩留まりがよく、材料費を節約できます。また、機械加工にかかる時間や費用を削減できるのもポイントです。●金属の内部欠陥が発生せず、強度が向上する。鍛造は、体積移動により材料が鍛錬され、製品形状に沿った鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)が生まれます。鍛流線とは、金属材料を鍛造した際にみられる繊維状の金属組織の流れのことです。鍛流線が得られる鍛造品は、鋳造や削り出しで製造したものに比べて、機械的性質が高められ、強度が向上します。デメリット●加工時間が長く、大量生産に不向き。自由鍛造は、ハンマーなどで1点ごとに成形する手法のため、加工時間がかかります。そのため、専用の金型で成形する型鍛造に比べて大量生産には不向きです。自由鍛造は、主に大きな製品の鍛造や、多種類の製品を小ロットで作る場合に適しています。●複雑な形状の加工は難しい。自由鍛造は、ハンマーなどで叩いて成形する手法のため、複雑かつ精度が求められる製品は難しい傾向にあります。複雑かつ精度の要求される製品を鍛造する場合は、型鍛造が適しています。●仕上がりが作業者の技術に左右されやすい。自由鍛造は、型鍛造に比べて作業者の技術に左右されやすく、製品によっては希望する精度に満たない製品にできあがる可能性があります。そのため自由鍛造を依頼する場合は、技術力と実績のある業者に依頼するようにしましょう。自由鍛造の手法自由鍛造では、さまざまな作業を使い分けることで、目的の形状に成形していきます。ここでは、自由鍛造で行われている代表的な作業の手法についてご紹介します。据込み据込みは、平行平面型を用いて上から力を加えることで、素材の高さを圧縮し、材料を横方向に広げる手法です。別名で「すえ」や「圧縮」とも呼ばれています。据込みは、「アプセット鍛造」とも呼ばれており、ボルト・釘・ピンなどの頭を成形する際に採用されます。鍛伸鍛伸は、棒状の素材を回転させながら上下から加圧することで、断面積を縮小させて、長さを得る手法です。別名「伸ばし」とも呼ばれており、主に軸部品の成形に採用されます。展伸展伸は、幅が広い工具で材料を一方向から圧力をかけて、厚みを縮小し、伸ばす手法です。別名「延べ」とも呼ばれており、包丁やブロック部品の成形に採用されます。穴広げ穴広げは、リング状の素材を穴の内側と外側とで挟んで加圧することで、リングの厚みを薄くし、穴を広げる手法です。主にリング状の部品の成形や、指輪のサイズ調整に採用されます。背切り背切りは、工具や金型を用いて材料を圧延する方法を指します。背切りを繰り返すことで、薄板状に成形できます。型鍛造との違い鍛造は、専用金型を使用する「型鍛造(型打ち鍛造)」と、専用金型を使用しない「自由鍛造(フリー鍛造)」に大別されます。型鍛造と自由鍛造は、どちらも完成した形状に近い製品が得られるので、歩留まりがよいこと、そのほかにも内部欠陥のない成形、機械的性質の向上といったメリットがあります。<型鍛造と自由鍛造の比較表>適したロット数金型にかかるコスト製品精度型鍛造多数高価高自由鍛造少数安価並型鍛造と自由鍛造の違いについては上表の通りです。型鍛造は専用金型による成形のため、ロット数の多い製品に適しています。また、自由鍛造に比べて安定した精度が得られるのも特徴です。ただし、専用金型を製作するのにコストがかかるので、小ロットの製作には適していません。自由鍛造の場合は、成形に時間がかかるため、大ロットには適していませんが、金型の製作費にかかるコストを抑えられるメリットがあります。参考:型鍛造とは?特徴、メリット・デメリット、製品例

  • Mitsuri|金属加工

    抜き加工とは?種類、適した材料、加工限界、方法を解説

    金属を使った製品の製造において、板材を曲げたり切断したりする「板金加工」は欠かせない金属の加工方法です。その中でも、板材にシャフトやケーブルを通したり、ネジで締め付けたりするような構造が必要となる場合があります。その中でも薄い板に穴を開ける方法のひとつとして「抜き加工」があります。今回は、板金加工において、薄い板材に穴を開ける代表的な加工方法、抜き加工について解説していきます。抜き加工の種類や適した材料、やり方などの基礎知識、必要とされる板材の厚さによっても加工方法が異なるため、条件やメリットなども含めて詳しくご紹介します。板金加工の抜き加工とは?板金加工における抜き加工は、一般的に金属の板材をせん断することを言います。プレス、レーザー、ワイヤーカットなど、用いられる方法はさまざまですが、丸型や角型の板材を、汎用的な金型を使って特定の形状にせん断する、タレパンと呼ばれるタレットパンチプレス機が最もポピュラーな抜き加工の方法です。複雑な形状や高い精度が要求される場合、専用型が用いられる場合もありますが、こちらは汎用型に比べてコストが高くなります。また、同じ抜き加工でもタレパンとレーザーとでは加工の定義や方法が大きく異なるため、今回は板金加工における抜き加工の代表的な方法、タレパンを使った抜き加工についてご紹介します。抜き加工の種類抜き加工には、大きく分けて5種類の加工方法があります。また、抜き加工は製品が圧力を受けてせん断されるため、板材は押し込まれる時に多少曲がり、引っ張られたような形状になります。●打ち抜き加工…板材から部品になる部分をくり抜く●穴抜き加工…製品から不要な部分を切り抜く●切り込み(スリット)加工…製品を繋がったままにして切り込みを入れる●縁取り(トリミング)加工…製品の不要な部分を縁取る●半抜き加工…完全に抜くのではなく、浮き上がらせた状態で止める製品によっては穴抜きと半抜きを両方取り入れるなど、ひとつの製品に複数の抜き加工が施されることもあります。打ち抜き加工打ち抜き加工は、抜型と呼ばれる型を使い、金属板に圧力をかけて目的のカタチに打ち抜き、製品部分を完全に分離させる加工方法です。抜き加工といえば打ち抜き加工を想像する人も多く、最もポピュラーな加工方法です。穴抜き加工穴抜き加工は打ち抜き加工と同じく型枠を使って金属板をくり抜く加工方法です。異なるのは、打ち抜かれた方ではなく、プレス機に残った金属板が製品になるという点です。用途は製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。切り込み(スリット)加工一部がドアのように開いた形状の製品を作る際に用いられる抜き加工です。切り込みに合わせて曲げ加工も必要となるため、金属板と平行のパンチを使うことはできません。そのため、スリットの角度に合わせたパンチとダイが一体となったものを使用するのが一般的です。傾斜の角度や形状によって抜かれた部分が分離してしまう可能性があるため、加工の際には注意が必要です。縁取り(トリミング)加工型枠などで整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整えるのが縁取り加工です。打ち抜き加工のように製品部分をくり抜くタイプの抜き加工ですが、大きく異なるのはすでに成形されている商品をキレイにするのが目的であること。一般的には、製品の大きさを調整するために用いられます。半抜き加工抜き加工を途中やめにして、凸状態の形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、形状を変化させただけでくり抜いてはいませんが、凹凸をつけるだけの半抜き加工も、抜き加工のひとつに分類されます。深くまでプレスし過ぎると板材が分断されたり亀裂が入ったりしてしまったりするため、きれいに成形できるかどうかが技術の見せ所となります。抜き加工に適した材料抜き加工には、鉄やアルミ、ステンレスや銅などの金属以外にも、ウレタンやゴム、樹脂やカーボンなどにも用いられます。一定の靭性がないと、製品はひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい、ガラスのような素材には抜き加工は使えません。また、同じ形状の加工でも、やり方や得意不得意が加工会社によって異なるため、工場によって抜き方や製品単価などが変動することもあります。抜き加工の加工限界抜き加工に適した素材を使用していても、厚みが薄すぎるとうまく抜くことができません。逆に、厚過ぎる場合も同様で、曲げたりせん断したりすることが難しくなります。そのため、素材によっても異なりますが、一般的に抜き加工は0.5mm~3mmの素材が使用されます。抜き加工の方法抜き加工は、タレパンを使った最もポピュラーな加工と、それ以外の方法を使ったものの2種類に大別されます。どちらを選ぶかは、素材や目的、コストによっても異なります。そのため、タレパンが適しているのはどのような場合か、以下解説します。タレパンを使った抜き加工タレパンを使うメリットは加工スピードの早さとコストの安さ。金型を使用するため、1回のプレスで複数個の穴を同時に打ち抜くことも可能です。板材を打ち抜く際、型の取り方を工夫したり、異なる製品を同じ板材から打ちぬいたりすることで、材料を無駄なく活用することができます。タレパンには複数の金型を同時にセットすることができ、NC制御によって板材を打ち抜いては次の工程へ送るという動作を繰り返すことができます。これにより、ひとつのプレス機で複数の抜き加工を施し、金属加工を完成させることが可能です。タレパンの種類と選び方タレパンには、「単発型」「トランスファー型」「順送型」の3種類があります。●単発型単発型は、単純に1回のプレスで抜き加工をした後、作業者が1つずつ材料の取り出しと次の材料のセットを行う、最も単純で手間の多い方法です。ただし、手間はかかるものの、金型の修理や改造がしやすいメリットもあるため、製品の試作段階で用いられるのはほとんどが単発型です。数百、数千といったレベルの製品個数であれば、単発型でも十分対応が可能です。また、1個や2個といった少量生産の場合、レーザーを使った加工の方がコスパが良い可能性があります。●トランスファー型トランスファー型は、1つのプレスが終わったら次のプレス機へ、さらにその次のプレス機へと加工品を移動させていくタイプの加工方法です。●順送型順送型は、1台のプレス機に複数の金型をセットし、プレス機の上下動で、1回目はAの型枠を使用して穴を開け、次の型枠に送って2回目は凹凸を作り、3回目にくり抜くといったカタチで、同じプレス機を使い、連続したプレスによって製品を作り出す加工方法です。どちらも生産速度が早く、数万個、数十万個といった大量生産にも問題なく対応が可能です。

  • フォーミング加工とは?加工の種類や特徴、適した材質

    フォーミング加工は、様々な種類の塑性加工をフォーミングマシンと呼ばれる機械で連続的かつ自動的に実行する加工法です。材料の送り、加工物の保持や位置決めなども数値制御で自動的に行います。様々な種類の切削加工を連続的かつ自動的に行うマシニングセンタを用いたマシニング加工に対し、フォーミング加工は、その塑性加工版とも言える加工法です。この記事では、マシニング加工同様、近年幅広く採用されるようになったフォーミング加工についてご紹介します。加工法の種類や特徴などについても解説しますので参考にしてください。フォーミング加工とはフォーミング加工とは、鍛造や曲げ、せん断、絞りなどの加工を連続的に実行することができるフォーミングマシンを使用した加工法のことです。NC(数値制御)・CNC(コンピュータ数値制御)機能が付属しており、材料の投入から送り、加工品の位置決め、固定、加工、排出までの手順を予めプログラムした順序に従って自動的に実行します。フォーミングマシンは、材料送り装置(フィード装置)とプレス加工や曲げ加工などを実行するための複数の加工装置を備えており、自動的に材料を送って連続的に複数の加工を行います。主に線材や板材、帯板材の加工に用いられ、ピンやクリップ、バネ、コイルなどの比較的小さな部品の大量生産に使用されます(下図参照)。引用元:製品情報「線材・マルチフォーミング加工、洗浄」株式会社カシワセフォーミングマシンを導入することによって、シャーリングマシンで材料を切断し、プレス機械とベンディングマシンで成形するといった、従来は複数の機械と工程が必要であった部品の製造が一つの機械と工程で行えるようになります。フォーミングマシンによって生産された部品は、自動車や産業機械、電気・電子機器、建築金物、日用雑貨など、民生用と業務用の双方に幅広く用いられています。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!参考:【金属の曲げ加工】加工方法やよく使われる材質について解説!フォーミング加工の種類フォーミング加工は、大まかに、マルチフォーミング加工とワイヤーフォーミング加工の2種類に分けられます。マルチフォーミング加工引用元:製品案内「薄板ばね」東都発条株式会社マルチフォーミング加工は、マルチフォーミングマシンを用いて、プレス加工や複数回の曲げ加工を自動的かつ連続的に実行する加工法です。板材や帯板材から、ピンやクリップ、止め輪、板バネ、バンドなどを製造する場合に採用されます。マルチフォーミングマシンは、上図のように3つの装置から構成されています。右のフィード装置によって材料を送り、中央のプレス加工が可能なスタンピング装置によってブランク加工(打ち抜き加工などで加工品の輪郭形状を成形する加工法)や絞り加工などを実行します。そして、左に配置されたフォーミング装置の中央部で材料を保持し、円周状に配列された複数の曲げパンチで代わる代わる曲げ加工を実行して、最後に加工品を切り離せば完了です(下図参照)。引用元:製品情報「フォーミングマシンとは?」ティーエス プレシジョン株式会社対応可能な寸法は、おおよそ、板厚が0.05mm~2.5mm、板幅が3mm~100mmです。ただし、マシンには、小型のものや大型のものもあり、対応可能な寸法もマシンによって異なります。ワイヤーフォーミング加工ワイヤーフォーミング加工は、マルチフォーミングマシンのほか、専用のワイヤーフォーミングマシンを用いて、線材に切断加工や複数回の曲げ加工などを自動的かつ連続的に実行する加工法です。各種のバネやコイル、電子部品のリード線などを製造する際に採用されます。参考:ばねの基礎 |ばねの種類やそれぞれの特徴を詳しく説明します!下図のような構造の装置で実行されますが、これは、マルチフォーミングマシンのフォーミング装置に該当するものです。ワイヤーフォーミングマシンは、マルチフォーミングマシンからフィード装置やスタンピング装置を省いた機械であり、フォーミング装置によって実現される機能に特化した機械であると言えます。引用元:塑性(そせい)加工「フォーミングマシン」株式会社キーエンスワイヤーフォーミング加工は、フォーミング装置の中央部から線材を出して保持し、円周状に配列された曲げパンチや様々な曲げツールで連続的に曲げ加工や巻き加工を実行します。全周方向から線材を曲げる、捻る、丸める、圧縮する、引っ張るなどの多様な加工が可能で、複雑な3次元形状も高精度かつ高速に行うことができます。対応可能な寸法は、線径が0.1mmから5mm程度までが標準的ですが、10mm程度までの線径に対応しているマシンもあります。フォーミング加工で加工できる素材・材質フォーミング加工が可能な素材・材質は、炭素鋼や炭素工具鋼、ステンレスといった鉄鋼材料、アルミや銅合金、ニッケル合金、チタン、モリブデンといった非鉄材料など、金属材料全般です。ただし、通常のプレス機械でも加工が難しい、高張力鋼やチタン合金、マグネシウム合金、ジュラルミンなどの加工はできない場合があります。また、フォーミングマシンのスタンピング装置とフォーミング装置のそれぞれには、最大加圧力が仕様として決まっています。そのため、マシンによりますが、材料の寸法や加工形状によっては、ステンレスなどでも加工できないことがあります。フォーミング加工のメリットフォーミングマシンを用いたフォーミング加工には、プレス機械などを用いて加工した場合にはない、様々なメリットがあります。ここでは、そのフォーミング加工のメリットについて説明します。複雑な形状の加工に適しているフォーミング加工は、フォーミングマシンを構成する、スタンピング装置によるプレス加工とフォーミング装置による複数回の曲げ加工を一工程で実施できるため、複雑な形状を成形するのに適しています。プレス機械だけで複雑な形状を成形する場合、数種類の金型を用いて複数回プレス加工を実施するか、複雑な形状の金型を用意してプレス加工を実施するかのどちらかが必要です。その点、フォーミングマシンならば、以下のような一連の加工を一工程で実施するといったことも可能です。1. ブランク加工用の金型だけを用意して、スタンピング装置でプレス加工を実行2. フォーミング装置の多様な曲げパンチや曲げツールで、多方向から複数回の加工を実行なお、フォーミングマシンと類似の加工は、プレス機械とベンディングマシンを組み合わせることで可能ですが、手間が掛かる上、加工品の移し替えを伴うため、品質が安定しません。安定した品質で均一性の高い製品を加工できるフォーミング加工では、複数回の加工を手作業なしにNC・CNC機能で自動的に実施するため、安定した品質で均一な形状の製品を加工できます。特に、フォーミングマシンでの一工程だけで材料から完成品までの加工が可能な場合、機械間で加工品を移し替える際の位置決めのズレがないため、品質と形状が安定します。大量生産に適しているフォーミング加工は、プログラムした手順に従って自動的に実行する加工法であるため、製品の大量生産に向いています。特に、コイル材を材料にフォーミングマシンだけで完成品とすることができる製品は量産に最適です。工数やコストの削減が可能フォーミング加工は、プレス機械などで加工する場合に比べて、作業時間の短縮やコストの削減が可能です。上述したように、フォーミング加工では、自動化によって作業速度が上がり、工程集約によって作業量が減少するため、工数を削減することができます。また、プレス機械だけで加工する場合、数種類の金型もしくは複雑な形状の金型が必要です。一方、フォーミング加工では、複数回の曲げ加工で複雑な加工ができるため、金型の形状を簡素化できます。従って、フォーミング加工は、プレス機械を用いる場合に比べて、コストの削減が可能です。フォーミング加工は、プレス加工ではスクラップとなってしまう材料の余肉(押さえなどに利用される)が不要で、材料と製品の幅を同一にすることができるため、材料ロスが少なくなっています。そのため、材料の歩留まり率を上げやすく、材料コストの低減を比較的容易に図ることができます。下図は、左が順送型プレス加工での材料レイアウト、右がフォーミング加工での材料レイアウトで、斜線部がスクラップとなります。なお、順送型プレス加工とは、1つの金型に2つ以上の工程を設けて、1回のプレス毎に次の工程へ材料を送って順次加工していくプレス加工法です。引用元:「フォーミング加工とは」アポロテック株式会社プレス加工との違いフォーミング加工とプレス加工との違いは、加工する製品によっては当て嵌まらないこともありますが、以下のように類似した作業を行う際の違いを見ることで理解できます。・プレス加工では多工程が必要な作業を、フォーミング加工では一工程の作業に集約することができる・プレス加工では数種類の金型によるプレス加工が必要な作業を、フォーミング加工では一つの金型によるプレス加工と複数回の曲げ加工で代替することができる・プレス加工では複数の加工工程と工程間の加工品の移し替えが必要な作業を、フォーミング加工ではNC・CNCによる材料の送りと加工で自動的に実施することができる・プレス加工では材料の押さえや金型のキズ防止のために必要な余肉を、フォーミング加工では省くことができる

  • プレス機械とは?種類ごとに異なる特徴や目的・用途について解説

    物体に圧力を加え、形状を変化させるプレス機械は、元々は金属の棒や板を加熱し、叩いて伸ばしながら形状を作る「鍛造」に、水圧を用いたことが始まりと言われています。その後、時代と共にプレス機も進化していき、クランクレス機構を使った500トンプレス、油圧式の5000トンプレスと、どんどん大型化が進んでいきます。しかし、現在では大型化よりも生産ラインをより効率的に回すために用いられることが多くなり、速さや精密さなどが求められるようになってきています。プレス機械とはプレス機械とは、上から下方向に強い圧力を加え、金属を折り曲げたり、切り取ったりできる機械のこと。別名で、板金機械、鍛圧機械といった呼ばれ方もしています。主にアルミやステンレスなどの薄い板金素材に対し、型枠を使うことで形状を変化させたり決められた形状に型抜きしたりできることから、多くの工場で金属加工に取り入れられています。プレス機械の特徴現代のプレス機械は、単純に物体を圧縮するだけではなく、加工の用途に合わせて種類が分かれています。また、金属加工におけるプレス機は金型とセットで用いられることが多く、金型の形状によって金属を曲げたり、絞ったり、穴を開けたりと、さまざまな用途に使い分けられています。金型には上側に設置されるオス金型と、下側に設置されるメス金型があり、圧縮時にオス金型とメス金型が合わさることで金属を折ったり、切ったり、穴を開けたりしています。プレス機械を使った加工には、1回プレスするごとに材料の設置と取り出しを毎回手作業で行う単発型だけでなく、ベルトコンベアのような機械で材料を決まった量送り出し、プレス機ひとつで穴あけ、切断、折り曲げなどを順番にこなす順送型などがあります。プレス機械の動力源による種類プレス機械には、手で圧縮するものから油圧や電動モーターなどを使って圧縮するものまで、さまざまな種類があります。下記では、プレス機械の種類やそれぞれの特徴についてご紹介します。機械式プレス機械モーターの回転運動の動作を用いてスライドを上下させ、圧力をかけるプレス機械のこと。クランク機構、スクリュー機構など、メーカーによってさまざまな手法が用いられており、クランクがひとつだけのものはシングルクランク、ふたつあるものはダブルクランクと呼ばれています。シングルクランクに比べ、ダブルクランクの方が荷重の分散に強く、安定した加工が可能です。ピンクラッチプレス機械ピンクラッチプレスは機械式プレス機械の一種で、駆動部分のクラッチ構造がピン型になっているものを言います。過去に多く取り入れられていたプレス機械で、機械式の中でも構造が単純で扱いやすい点が特徴です。ただし、現在では取り扱っているメーカーが少なく、市場にはあまり出回っていません。油圧式プレス機械油圧式プレス機械は液圧式のプレス機械の一種です。液圧式には油圧式の他に水圧式がありますが、現在ではほとんどが油圧式となっているため、液圧式プレス機械といえば油圧式と考えられることが多くなっています。油圧式プレス機械は、モーターを使って油圧ポンプを動作させ、圧力を持つ油を油圧シリンダーに送り込むことでシリンダー内のピストンを動かして上下運動を行うプレス機械のことです。加工速度やストロークの長さなどを自由に変更できる汎用性の高さがメリットで、かつては多くの工場で使用されたプレス機ですが、安全性や生産性が機械式に劣るため、近年ではあまり使用されなくなっています。人力プレス機械足でペダルを踏んでプレスするフットプレスと、手でレバーを押すハンドプレスがあります。精度の低さや動力不足などの問題があり、現在は金属加工の現場ではほとんど見かけませんが、昭和40年代までは多くの町工場で主力として使用されていたプレス機の一種です。プレス機械の形状による種類プレス機械には、さまざまな種類があります。すべてに統一して言えるのは圧力をかけて形状を整えることですが、こまかく紐解いていくとその用途はさまざまです。仕組みや目的なども大きく異なるため、下記ではその種類や目的、特徴などについてご紹介します。C型プレス機械を横から見た時、Cの形状をしていることからその名が付けられた汎用性に優れたプレス機です。材料や金型のセットが容易にでき、作業性に優れている反面、作業中、作業者の手が入りやすく加工時の事故やケガに繋がりやすいデメリットを持っています。さらに、C型プレスはその形状から、加工を続けるうちフレームが少しずつ開いていき、経年劣化していきます。歪みが大きくなると加工精度が落ちてしまうため、長く使うためには無理な負荷をかけないように注意しながら使用する必要があります。門型プレス本体の四つ角を柱で支えたプレス機械のことで、別名ストレートサイドプレスとも呼ばれています。剛性が強く、C型プレスに比べて強い負荷でもフレームが歪みにくいメリットがある一方で、フレームが両サイドにあることから金型交換時などに作業がしにくいデメリットもあります。トランスファプレスプレス機械の構造に、材料の送り装置が内蔵された、多連続工程のプレスライン加工で使用されるプレス機械のことです。構造には門型が採用されていることが多く、通常のプレス機に比べて高速で稼働し、なおかつ長時間連続加工ができるメリットがあります。サーボプレスサーボモーターを用いて回転数をNC制御することで、スライドの速さを自由に変化させられるプレス機械のことです。通常の回転モーションによる上下運動の他に、振り子モーションやナックルモーションなどを用いて、高速モーションのプレスを繰り返すことができるため、生産性や加工精度に優れています。汎用性・生産性を兼ね備えたサーボプレスが各メーカーから発売されており、今後プレス機械の主力となっていくと考えられています。粉末成形プレス加工の過程で出た金属の粉をプレスし、ペレット状にするプレス機械のことです。金属以外に、化学工場や薬品工場などでも粉末状のものをペレット状にする用途で使用されています。熱間鍛造プレス高温の鉄を強い圧力によって押しつぶし、金型の形状に整形するプレス機械のこと。熱して赤くなった金属の塊を、ハンマーで打って強化する、いわゆる鍛造製法と、型枠の形状に金属を整形する作業をひとつの工程で完了できるプレス機械です。冷間鍛造プレスプレス機を用い、金属を常温状態で塑性変形させるプレス機械のことです。冷間というと「冷やす」というイメージがあるかもしれませんが高温でプレスする「熱間」の対義語となっており、冷間は常温で加工する鍛造プレスのことを言います。冷間鍛造プレスは、熱間鍛造プレスのように自由に形状を変えられるわけではありませんが、整形が困難な高精度の加工が可能です。また、プレスによって塑性加工を行うため、切断や切り屑がほとんど発生しないメリットもあります。

  • サーボプレスとは?構造、種類、特徴やメリットを解説

    今回は、サーボプレスの特徴や構造などについて解説します。プレス加工は、専用の機械と金型を用意することで、せん断・曲げ・絞り加工を繰り返し素早く行えるため、製品の大量生産に採用されています。サーボプレスは、より生産効率を向上するために生み出された機械で、非加工時のスピードは速く、加工時のスピードは遅くといったような制御が可能です。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!サーボプレスとはサーボプレスとは、加圧部の動きをNCとサーボモータで制御するプレスユニットのことです。油圧式のプレスユニットでは、加圧する際のスピード調節や停止位置などの制御が難しい傾向にありますが、サーボプレスでは、サーボモータでラム(駆動部)の動きをコントロールすることで、複雑なプレス加工にも対応が可能です。また、NC制御によりマグネシウムなどの難加工材や複雑な形状のワークもプレスできるようになります。サーボプレスの用途は、以下のものが挙げられます。・圧入・カシメ・歪み取り・成型・打ち抜き・熱溶着・粉末成形サーボプレスの特徴とメリットサーボプレスはプレスの途中まで高速で駆動でき、プレスする際は遅く駆動させます。例えば、下死点(加圧の最下点)付近まではスピードを上げ、それ以降はスピードを落としてプレス加工できることから、歩留まり低下の防止と生産性の向上が期待できます。また、加圧を数値制御できるため、従来のプレス機では加工が難しかった材料に対しても対応できます。サーボプレスの構造サーボプレスは内部構造の違いによりさまざまなタイプがあります。ここでは代表的なタイプである「スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス」と「クランク式サーボプレス」の2種類の構造を解説します。●スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス引用元:ZENFormer lab 4軸独立制御スクリュー式サーボプレスは、サーボモータの回転をボールねじに伝えて、ボールねじのナットに組付けたラムを動作させる仕組みです。スクリュー式サーボプレスは、位置や荷重を高い精度で制御できる点が強みです。ただし、往復動作にてサーボモータが正転と逆転を繰り返すため、クランク式と比べてスピードがある往復運転は得意ではありません。また、ボールねじを使用していることから、ラムへの衝撃に注意を払う必要があります。●クランク式サーボプレス引用元:日刊工業新聞 【プレス技術】イメージでつかむ「抜き」「曲げ」「絞り」の原理・原則/プレス機械が作用する荷重の変化を「腕立て伏せやバケツ持ち」から考える(上)クランク式サーボプレスは、クランク機構にサーボモータを組み合わせたタイプです。モータは片方のみ回転しますが、回転運動を往復動作に変化できることから、連続動作が可能です。クランク式サーボプレスは、主にパーツの大量生産に適しています。しかし、ロングストロークの対応は難しく、上死点(加圧の最上点)と下死点にて大きな荷重を発生できるものの、中間位置では荷重を発揮できないことから、複雑なプレス動作には不向きです。サーボプレスの種類ここでは主なサーボプレスの種類をご紹介します。メカニカル駆動式サーボプレス引用元:株式会社アミノ メカニカルリンクサーボプレスメカニカル駆動式サーボプレスは、サーボモータとクランクなどのメカニカル駆動機構を備えたサーボプレスのことを指します。サーボプレスの構造で解説した、スクリュー式やクランク式のサーボプレスもメカニカル駆動式に該当します。メカニカル駆動式のタイプは扱いやすく、大型のモデルが多いのも特徴です。ダイレクト機構サーボプレス引用元:アイダエンジニアリング株式会社 AIDA 新型ダイレクトサーボフォーマ DSF-N1-Aシリーズダイレクト機構サーボプレスは、サーボモータとクランク機構を組み合わせた、クランク式サーボプレスのことを指します。クランクプレスの良さはそのままに、構造の簡素化と従来機械と変わらない外観により、扱いやすい特徴があります。ハイブリット機構サーボプレス引用元:KOMATSU H1F-1ハイブリット機構サーボプレスは、リンク機構(下降運動は低速で、上昇運動は高速で動く機構)とサーボモータを組み合わせるなどの、ハイブリット駆動機構を搭載したタイプです。油圧式の機能を備えたサーボプレスの場合もハイブリット機構サーボプレスと呼ばれています。油圧式サーボプレス引用元:有限会社モリ工業 製品紹介 油圧ハイブリットサーボプレス油圧式サーボプレスは、油圧プレスの駆動源である油圧ポンプをサーボモータで直接駆動させるタイプです。油の流量をサーボモータで制御し、加圧力や加圧量を精密にコントロールしながら、油圧のパワーを発揮できます。また、オイル量を削減できるほか、発熱が少ない点も強みです。

  • 塑性加工とは?種類や加工製品例、メリット・デメリット、切削加工との違い

    金属加工と聞いて、最初にどんなものを思い浮かべますか?モノづくりにおける金属加工には、熱して熱くなった金属をハンマーで叩く刀の鍛造や、機械を使った加工、ドリルでの穴あけなど、さまざまな種類があります。塑性加工はその中で最も古い歴史を持つと言われており、古くは紀元前の古代文明から用いられていた手法と言われています。その技術は脈々と受け継がれ、現在でも鋳造に並んで多く用いられる金属加工の手法となっています。今回は、塑性加工の種類やメリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。塑性加工とは塑性とは、物質に力を加えたとき、破壊されることなく変形され、力を取り除いてもその状態を永久に保持し続けることを言います。例えば、粘土に指で力を加えると穴が開きます。上から手のひらで潰すと平べったくなります。手を取り除いても、粘度はそのままの状態を保ち、元の状態に戻ろうとはしません。このような変形のことを塑性変形と呼び、物体の性質を「塑性」と呼んでいます。塑性は物質によって発生条件が異なります。中でも温度の影響を受けやすい傾向にあり、金属では高温なほど変形しやすく、常温では容易に変形しません。この特徴を生かしてプラスチックや金属などで加工品を作り出す方法を塑性加工と呼んでいます。塑性加工の種類と加工製品例塑性加工の種類と実際の加工品例についてご紹介します。鍛造加工引用元:いすゞ自動車公式チャンネル [official](YouTube)鍛造加工とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高める技術のこと。ハンマーやプレス機で金属を圧縮することで中の空隙を潰し、より強固な素材へと鍛えていきます。そのため、自動車のエンジン部分をはじめ、高い強度を要求される製品に多く用いられます。●加工品例ペンチ、スパナなどの家庭用の工具、包丁、ナイフ、フォーク、ハサミなどの生活用品、自動車や航空機のエンジン部品、電車の歯車、指輪、ゴルフクラブなど参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!圧延加工引用元:株式会社光栄(YouTube)圧延加工とは、2本のロールの間に金属を通し、ロールで圧力をかけながら薄く引き伸ばしていく加工方法です。ロールの間隔を変更することで、比較的厚みのある板材から紙のように薄い素材まで幅広く加工することが可能です。●加工品例アルミニウム箔、工場で使用される板材、棒材、管材参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介!プレス加工引用元:MIDAS MOVIE / エミダスムービーチャンネル(YouTube)プレス加工とは、加工物を金型に押し当て、圧力をかけて整形する加工方法のこと。一般的には曲げ加工に用いられることが多いですが、決まった形状にくり抜くことも可能です。●加工品例スチール製の家具やケース、自動車の部品やボディ、テレビやエアコンなどの内蔵部品、硬貨参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!押出し加工引用元:ynaoxcojp(YouTube)押出加工とは、金属を小さな部屋に閉じ込め、圧力をかけることで押し出しながら形状を整えていく加工方法のこと。ダイスと呼ばれる穴から金属が一定の形状を保ったまま押し出されていくため、長い部品を製造する際に活用されます。●加工品例飛行機の部品、アルミサッシのフレーム参考:【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!引抜き加工引用元:SCIENCE CHANNEL(JST)(YouTube)引抜き加工とは「ダイ」と呼ばれる専用の金型から素材を引き抜く加工方法のこと。押出加工同様、一定の形状を保った長い素材を製造するのに用いられ、引き抜き加工の方がより細く長いものの製造に適しています。寸法精度が高くロスが少ない上、引張り強度の高い素材を製造できますが、加工の形状が限られるデメリットもあります。●加工品例電線、ピアノ線、ワイヤー、パイプ、角材、注射針参考:【引抜加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例についてご紹介!転造加工引用元:三和鉄工(YouTube)転造加工とは、転造ダイスと呼ばれる回転する工具に材料を押し当てて金属を整形する加工方法のこと。削るのではなく、押し当てて盛り上げることで整形する塑性加工で、切削加工に比べて廃材を出さず、材料を無駄なく活用できるメリットがあります。●加工品例ネジ、歯車、スプライン、セレーション、ウォーム参考:転造加工とは?種類とデメリット、加工可能な金属を解説!塑性加工のメリット・デメリット●塑性加工のメリット…強度が上がる・加工時間が短い・廃材やロスが少ない●塑性加工のデメリット…コストがかかる・精度が低いメリット材料が元の素材から大きく変形されるため、その過程において金属の強度アップが期待できます。鍛造加工は特に、強度のアップを見込んだ加工方法で、エンジンをはじめとする強度を要求される部品として活用されています。加工時間の短かさや切削と比べた時のロス・廃材の少なさもメリットのひとつで、大量生産することでコストパフォーマンスの向上も期待できます。デメリット塑性加工は、製品ひとつに対して専用の装置を必要とされることが多くあります。さらに、金属の塑性は高温での作業となるため加熱を必要とされることが多く、製造費用やメンテナンスなどにコストがかかることが多いです。また、ミリやそれ以下の単位までを求められる精密機器をはじめ、緻密さを要求される部品の製造には適していません。切削加工との違いネジや歯車を製造する際、よく比較される塑性加工と切削加工。削ることによって廃材が出る切削加工は、金属加工の中では「除去加工」に含まれます。一方、圧力をかけて変形させることでカタチを整える塑性加工は「非除去加工」に含まれ、切削加工とは全く異なる加工方法に分類されます。切削加工は小ロットからの製造も可能ですが、塑性加工でネジ山を製造する場合専用の装置が必要となるため少量の生産には向いていません。このように、切削加工と塑性加工では、出来上がった製品の見た目は同じでも過程や製造方法はまったく異なります。

  • ルーバー加工とは?方法・用途・基礎知識

    ルーバーとは、「louver」と綴る、「よろい戸」や「よろい窓」を意味する言葉のことです。羽板と呼ばれる細長い板を隙間を空けて並行に並べたものを指します。ブラインダーのような構造を持った戸や窓のことで、通風性を保ったまま目隠しや採光を行いたい場合に設置する建具です。ルーバー加工は、ルーバーに類似した構造を金属板に施すプレス加工の一種です。主に発熱する機器の筐体に施され、熱を外部に放出するために施されます。電子機器や産業機械、自動車など、様々な製品に適用されています。この記事では、ルーバー加工の詳細や加工法、用途について解説していきます。ルーバー加工とは?プレス加工の一種引用元:NCネットワークルーバー加工とは、金属板などに対して、上の写真のような開口部のある細長い出っ張り部分を成形する加工法のことです。プレス加工の一種で、多くの場合、一定の間隔で平行となるように施されます。主に、発熱する部品・装置を内蔵する電子機器や産業機械、自動車などの内部の熱を放出するために適用される加工法です。機器・機械の筐体・ボディの側面に施されることが多く、開口部が下方を向くように成形することで機器の内部にホコリなどが侵入することを防止しています。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!ルーバー加工の方法と金型の要否ルーバー加工には、切断と絞りの2段階の加工で成形する方法と、切断加工と絞り加工を一気に行う(切り絞りと呼ばれる)成形方法があります。2段階で加工する方法では、まず、シャーリングやレーザー加工機などによって板金に一定間隔で切り込み線を入れる「スリット加工」を施します。その後、スリットに沿ってプレス加工機の金型を押し当てることで板金を絞り、出っ張り部分を成形します。引用元:株式会社コニック切り絞り加工は、上図のように、プレス加工のみで行います。この場合、開口部はせん断加工、出っ張り部は絞り加工となるような金型を用意し、一度のプレスによってルーバー加工を行います。つまり、開口部は金属板を破断させることで、出っ張り部は金属板を引き伸ばすことで成形します。これらの2つの方法では共に金型を必要としますが、多数の既製品がありますので特に問題がなければ、既製品を使用すると良いでしょう。もし、形状やサイズが特殊で、適合するものがなければ、金型の作製が必要となります。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!ルーバー加工の用途・種類ルーバー加工は、主に、ダイオードやトランジスタ、電池などの発熱する電子部品を内蔵する電子機器や、モータやインバータ、エンジンなどの発熱する装置を内蔵する機械や輸送機器に施されています。身近なモノでは、デスクトップパソコンの筐体やディスプレイなどが挙げられます。ルーバー加工による成形品の形状は、大きく2種類に分けられます。一つは、上述した出っ張り部の下方にのみ開口部があるものです。もう一つは、出っ張り部の上部のみが繋がっている形状で、下の写真のように出っ張り部が屋根のようになっている形状です。引用元:有限会社大日工業

  • スロッター加工とは|概要・加工種類・メリットをご紹介!

    スロッター加工は、刃を上下に運動させ加工品を削ることで、溝をつけることができる加工方法です。あまり聞き慣れない加工方法かもしれませんが、スロッター加工は、工業・産業用のモーター部品など様々な用途に利用されています。今回は、この「スロッター加工」をテーマに、その基本的な知識に加え、加工方法の仕組みなど、実際の加工の様子を表した動画などを用いてご紹介いたします。さらに、スロッター加工による代表的な加工の種類に加え、スロッター加工のメリットについても、詳しくご説明いたします。これからスロッター加工を用いて製品の製作を検討している方、またスロッター加工についてさらに知識を深めたい方はぜひご一読ください。スロッター加工は刃の上下運動を利用した加工法引用元:株式会社サンテックスロッター加工とは、上図のようなスロッター盤と呼ばれる機械を用いて、被削材(ワーク)に溝をつける加工方法を言います。スロット(Slot)とは、日本語で「溝」という意味を持つことから、スロッター加工と言われています。スロッター加工は、下図に示したように、スロッターバイトと呼ばれる刃物を取り付けたラムを垂直方向に運動させることで、溝を削ることで加工を行います。このような仕組みから、スロッター加工は、立て削り盤とも呼ばれています。引用元:株式会社サンテック以下に、スロッター加工を行っている動画を示しましたので、実際にどのように加工がなされているのか知りたい方は、ぜひご覧ください。Mitsuriでは、スロッター加工に対応している多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。スロッター加工による様々な種類の加工スロッター加工には、様々な種類の加工方法が存在します。今回は、代表的な3つの加工方法についてご紹介いたします。●キー溝加工引用元:株式会社サンテックキー溝加工とは、上図のように、内径のある被削材に長方形状の断面を持つ溝をつける加工を指します。ここで、キーとは、モーターなどの軸(シャフト)の回転動力をギアやプーリーなどに伝える時に空回りを防ぐための回り止めのことを言います。下図のように、キーを差し込むために、ギアなど側の内径に溝をつける加工(キー溝加工)を行う必要があります。キー溝加工は、カップリング・スプロケット・シャフト・ギア・軸・ハンドル・プーリー・ロール・ローラーなどに利用されています。引用元:株式会社ミスミグループ本社●スプライン加工引用元:株式会社南星スプライン加工も、キー溝加工同様、歯車などと軸を結合する際の回り止めの目的で、長方形状の断面を持つ溝を削る加工方法を指します。前述したキー溝は、溝が1,2本であるのに対し、スプラインでは、上図のように、複数の溝を加工します。溝が複数あることから、より大きな回転運動をギアなどに伝えることが可能となります。スプライン加工は、主にスプロケット・大ギア・ピニオンクラッチ・軸・シャフト・軸受スピンドル・プーリー・カップリングに利用されています。●インボリュート加工引用元:株式会社サンテックインボリュート加工は、インボリュートスプライン加工とも呼ばれ、上図のように、細めで先細りの溝を施す加工方法で、役割はキー溝加工やスプライン加工と同様、回り止めとなります。下図にインボリュート加工を行った部品を示しましたが、断面が台形状をしています。引用元:株式会社小川製作所インボリュート加工は、主にスプロケット・ギア・ピニオン・ハブ・クラッチ板・タイミングプーリー・シャフト・軸・スリーブ・プーリー・ドライブホイルなどに用いられています。これらの加工方法の他にも、内径のテーパーに沿って角度をつけ、キー溝を加工することができるテーパー加工があります。<テーパー加工例>引用元:株式会社宮沢製作所また、ボルトやソケット、レンチなどに利用される、六角穴加工、四角穴加工のような多角形の穴を作製するスロッター加工など、様々なスロッター加工が存在します。<六角穴加工例>引用元:株式会社光スロッター工作所Mitsuriは、さまざまな種類のスロッター加工に対応している多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。スロッター加工のメリット引用元:株式会社宮沢製作所最後に、スロッター加工のメリットについて見ていきましょう。スロッター加工では、被削材の内径に入り作成する溝のサイズに合う刃物(スロッターバイト)があれば、すぐにスロッター加工をすることができます。そのため、一品ものの加工や少量生産に特に利用される加工方法となっています。さらに、スロッター加工は、上下運動によって溝を削る加工方法であるため、比較的大きなサイズのワークにも加工を施すことができます。また、上述した通り、スロッター加工では、キー溝加工、スプライン加工、インボリュート加工などの様々な加工に適用が可能です。さらに、スロッター加工は、さまざまな形状の被削材に適用することができますが、特に内径の底(止まり穴)があるワークに有効な加工方法です。例えば、ブローチ盤やワイヤー放電加工によってもキー溝を施すことは可能ですが、これらの加工方法の場合、ブローチ刃やワイヤー線を貫通した穴に通して加工を行うので、止まり穴には加工を行うことができません。参考:【ワイヤーカット】加工のメリット・デメリットや価格について徹底解説!!Mitsuriでは、スロッター加工の他にもブローチ盤やワイヤー放電加工など、様々な溝加工を行っている多数のメーカーと提携しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。まとめ本記事では、「スロッター加工」をテーマに、その基本的な知識、加工方法の仕組み、代表的な加工の種類のほか、メリットについて、詳しくご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。スロッター加工は、止まり穴のある被削材に有効な加工方法で、ブローチ盤やワイヤー放電加工などのその他の加工では加工ができないワークにも適用ができます。モーターなどの部品として、幅広い製品に利用されている加工方法ですので、ぜひこの機会にスロッター加工に注目してみてください。スロッター加工を用いた製品の加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!スロッター加工でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    キャビコアって何?正体、構造、仕組みを解説!

    「キャビコア」とは、「キャビティ」と「コア」を省略した言い方です。「キャビティ」と「コア」は、樹脂製品などを製作する射出成形加工に使用される金型の凹部と凸部を指します。「キャビティ」と「コア」とは何かを解説し、代表的なキャビコアの構造や仕組みについて詳しくご紹介しています。これから金型を用いた加工の依頼を検討している方や、キャビコアについてさらに知識を深めたい方に向けた記事です。キャビコアとは金型を構成する「キャビティ」と「コア」キャビコアとは、金型を構成する部品を指します。金型とは、成形加工を行う際に用いられる金属製の型を指します。金型を使用する加工にはさまざまな加工方法があります。例えば、樹脂部品などを量産する場合に用いられる、射出成形という加工方法が挙げられます。射出成形とは、溶かした樹脂を金型に流し冷却することで成形した後、金型から樹脂を引き抜く方法です。自動車のボディーは、金属板をプレス金型によって成形加工することで得られます。このように、金属や樹脂製品などの素材を目的に合わせて製品の成形加工用に使用するものが金型です。金型は品質によって製品の良し悪しを決めるため、非常に重要な役割を担っています。参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!!キャビティは金型の凹部・コアは金型の凸部図1:キャビコアとは 「キャビティー(Cavity)」及び「コア(Core)」とは、一般的に上図に示したようにそれぞれ金型の凹部、及び凸部を指します。また、キャビティーを雌型、コアを雄型、と呼ぶこともあります。この2つの金型部品は、金型を構成する上で最も重要な部品ですキャビコアの仕組みキャビコアの仕組み(射出成形の例)(1)キャビティーとコアを合わせる。(2)空洞部にプラスチック材料を注入する。(3)注入後、金型を開く(成形品はコア部にはりつく)。(4)コア側に取り付けられた成形品を金型から引き離す(突き出しピン(Eピン)などを用いる)。※キャビコアの構造では、必ずキャビティーが固定側、コアが可動側となります。代表的なキャビコアの構造キャビコアの構造は大きく「一体構造」と「分離構造」の2種類に分けられます。キャビティとコアを一体の部品で構成する「一体構造」「一体構造」は、キャビコアを分割せずに一体の部品で製作する方法です。部品点数が少なく、材料コストなどが抑えられるメリットがあります。一方で、比較的狭いコーナー部の形状精度が出しにくかったり、メンテナンス性に劣ったりするデメリットが挙げられます。分割したキャビティとコアを組み合わせる「分離構造」「分割構造」は、キャビコアを2つ以上の部品に分割して、組み合わせて製作する方法です。成形品を設計通りの形状にするために、キャビコアを分割しなければならない場合も多いです。例えば、成型品の形状が複雑であったり、サイズが小さくて加工できない場合、また行き止まりの箇所に空気がたまって樹脂が行き渡らない場合などが挙げれられます。一体構造とは逆で、各部品が取り外しできるためメンテナンス性に優れますが、部品点数は多くなるので材料コストが高くなりやすいといったデメリットが挙げられます。一度着手したキャビコアの形は変えられる?キャビコアの設計を進めていく途中で、部品の形状を変更する場合があります。例えば以下の場合です。・成形品の引き抜きをよりスムーズに行いたい場合・キャビティのサイズをより小さくしたい場合・金型の組み立てやメンテナンスをより簡単にしたい場合他にも、コアには成形品の取り出しを助ける役割を担う突き出しピン(エジェクタピン)が取り付けられていますが、その突き出しピンの破損を防止したい場合などにも部品の形状変更が検討されます。キャビコアの形を変更した事例①コーナーRを設ける図2:キャビコアのコーナー部分変更 角にRがない場合、その部分に集中的に応力がかかってしまい、破損しやすくなってしまいます。角にできるだけ大きなRを設けることで、応力の集中を防止できます。キャビコアの形を変更した事例②キャビコア構造の変更図3:キャビコアを分離構造に変更 破損しやすい部品だけを簡単に交換できるようにしたり、エアーベントを設ける目的で、一体構造から分離構造へと変更する場合があります。なお、エアーベントとは、ガスベントとも呼ばれ、金型に樹脂が流し込まれる際に、金型の中で圧縮された空気を金型の外に排出するための穴を指します。また、分離構造から一体構造へと変更する場合もあります。例えば、キャビコアの部品を一体化することによって、よりコンパクトにしたい場合や強度を向上させたい場合などに有効な方法です。キャビコア構造変更とコスト・難易度分割構造の金型を一部入れ替えたり、金型削り方向を変えたりすることは、比較的簡単にかつコストも安く行うことができます。しかし、キャビコアの構造を大幅に変更する場合や金型盛り方向への変更を加える場合には、肉盛り溶接後に切削加工が必要であり、かつ溶接を加えた箇所は金型の耐久性にも影響してしまいます。そのため変更は難しく、追加工費が高額になります。製品設計者や金型設計者は、どういった変更を行う可能性があるかを事前に把握・推測した上で、金型の設計を行うことが重要です。これらの他にも、突き出しピンに成形品が引っかかりやすい構造の場合に、より離型をスムーズにするために抜き勾配の角度を設ける方法が検討されることが多いです。参考:抜き勾配の計算方法や設計時に必要な角度を解説!① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く!  ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積りを取得!キャビコアを用いた成形加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、Mitsuriにご相談ください。Mitsuriは日本全国250社以上の企業と提携しており、ご希望に沿う工場が見つかります。お見積りは複数社可能です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!