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  • 【製造業の現場改善】ECRSの原則ではじめるコスト改善!

    製造業の現場では、コスト改善のため、日常的に作業の効率化が追求されています。しかし、いざ業務改善を図ろうとしても、どこから手を付けたら良いのか、また多くの課題がある中でどのような優先順位を付けたら良いのか迷うことが多々あります。このようなときに指針となるのが、ECRSの原則です。ECRSの原則は、業務改善を検討する際、有効性の高い4つの視点を与えるとともに、それらの優先順位を教えてくれるものです。そのため、ECRSの原則に従って業務改善を実践することで、的確な課題の抽出と大きな改善効果が期待できます。この記事では、このECRSの原則について解説するとともに、製造業に適用したときの改善例について紹介していきます。ECRSの4原則とは?ECRSの4原則とは、業務を効率化する上で、順番に考えるべき以下の4つの原則を述べたものです。●Eliminate(排除):業務そのものをやめられないか?●Combine(結合):複数の業務をまとめて一緒にできないか?●Rearrange(交換):業務の順番や実施場所などを変えられないか?●Simplify(簡素化):業務をより簡単にできないか?業務改善の際に、業務の排除・結合・交換・簡素化の可能性を順番に検討していくことで、適切に業務の改善方法を立案・実践することができます。一般的には、次のような流れで業務の改善を考えていきます。まず、各業務の理由や目的を洗い出します。このとき、明確な理由や目的が見出だせない業務があればやめることを検討します。不必要であるにも関わらず、慣例的に行われている業務などがこれに該当します。業務の排除は、業務にかかった時間や費用をまるごと削減できる効果が大きい改善となります。次に、残った業務のうち、まとめて実行することで効率化に繋がるものがないかを確認します。類似した業務を別々に進めていたり別々の人と手分けしていたりする場合などが考えられます。場合によっては、分離したほうが効率化が図れることもあります。続いては、業務の順序や実施場所などを入れ替えることで、時間や費用の削減になるものがないかを検討します。それにより、業務全体を再設計して最適化します。作業順序を適正化して作業員の移動距離を減らすなどの効率化が挙げられます。代替案を検討して入れ替えることが必要になる場合もあります。最後は、業務の簡素化です。このステップは、改善の仕上げのようなものです。各業務を分析し、狭い範囲で最適化を図ります。例えば、業務の自動化やパターン化が挙げられます。工数削減やミスの防止などに繋がります。以上の4原則に従った業務改善は、おおよそ、「排除」の効果が最も大きく、「結合」、「交換」、「簡素化」の順に効果が小さくなっていきます。そのため、ECRSの順に改善計画を立案・実践していくことが大切です。ECRSの4原則を製造業に適用して考えるそれでは、ECRSの4原則を製造業に適用して考えます。通常、製造業の業務には加工や組立、検査などの工程があり、各工程では複数の作業が実行されます。これらの工程や作業は、実施順序が決まっており、順番に実行していくことで生産活動が行われています。これらを前提に、製造業ではどのような業務改善が可能か、例を挙げて見ていきます。E 排除(Eliminate) やめられないか?初めに、やめてもよいムダな作業がないかを検討します。製造業では、機械や機器、作業方法の研究不足からムダが生じていることがよくあります。例えば、今まで必要だった作業でも、工作機械や検査機器などを新たに導入したことで、作業が不要となることがあります。それにも関わらず、機械・機器の知識不足から、不要な作業が従来通りに行われていることがあるのです。また、情報の記録や通信が可能な機械や機器も存在します。そのため、工作物の寸法などを書類に記録し、次工程に受け渡すといった作業も不要となることが多々あります。そのほか、顧客の要求を大幅に上回る過剰品質の製品を作ってしまうという問題もあります。それにより、多くの作業が発生して、高コスト体質となっているケースがよくあります。参考:7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考えるC 結合(Combine) 一緒にできないか?次に、複数の作業をまとめて一緒にできないかを検討します。例えば、複数の工作機械で加工していたものを1台の機械で加工してしまうといったケースが考えられます。特に加工工程では、工作物の機械への設置と機械からの取り外しに多大な工数がかかるため、改善の効果が高くなります。類似する作業をまとめ、1人の作業者に担当させるといった方法もあります。それにより、作業者が必要とする技術も減少するため、教育にかかる工数を削減できます。そのほか、機械の自動送り時間中にバリ取りやツヤ出しを行うなど、本来は別の作業として実施していたことを一緒に行うことも検討してみます。R 交換(Rearrange) 順番を変えられないか?続いては、作業の順番や実施場所、担当者などを変えられないか検討します。製造業では、ラインにおける様々な作業を最適化し、効率化するなどの例が挙げられます。この例では、加工の順序や機械の配置などを入れ替えることで、時間の短縮と低コスト化を図ります。また、単に頻繁に利用する工具をより取り出しやすい位置に配置して、動作や移動距離を削減するといった改善もあります。細かいことですが、長期的には、大幅なコスト削減になっていることがあるのです。S 簡素(Simplify) 簡単にできないか?最後は、個々の作業をより簡単にできないか検討します。作業員が実行する作業では、動作を分析して簡素化することが有効です。品質や作業時間、作業員への訓練などを考慮した上で、どの作業員でも簡単かつ楽に実行できる動作を探します。作業の一部を自動化するといった手段もあります。機械やロボットなどの利用のほか、情報化することが自動化になることがあります。

  • 制約理論で製造業の業務改善!ボトルネックを見つけてコストマネジメントをしよう!

    制約理論とは、「Theory of Constraints(TOC)」の日本語を訳したもので、生産性の低いボトルネック・制約条件を見つけ、その改善を図ることで業務全体の最適化を行い、生産性を高めることを目的とした考え方です。製造業の生産分野のほか、経営マネジメントなどの分野でも用いられることがあります。制約理論とは?基本的な考え方と目的制約理論は、「製造業などにおける生産性は、制約条件(ボトルネック)に依存していて、その制約条件を改善することで、業務全体のパフォーマンスが向上する」という考え方に基づいています。ボトルネックの特定→改善を行うことで、業務全体の最適化を行い、処理能力(スループット)を向上させること、つまり生産性を高めることを目的としています。制約理論で進める業務改善手順制約理論では、以下のような5つの業務改善手順を踏むことで、継続的な業務の改善を行います。(1)業務全体のボトルネックを特定する第1ステップでは、業務プロセス全体の中からボトルネック、つまり全体の生産性を規定してしまっている工程を見つけます。工場の生産ラインにおいて特に時間を要する工程や、生産能力や作業効率が悪い工程が挙げられます。ボトルネックの特定に当たり、プロセス全体の工程を、各工程の処理能力と合わせて可視化することで、どこがボトルネックとなっているかが把握しやすくなります。特に製造業の生産分野では、3M(ムリ・ムダ・ムラ)の発生や、装置による生産量の制限などがボトルネックにつながります。参考:7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考える(2)ボトルネックを最大限に活用するボトルネックとなる工程がある場合、その処理能力(スループット)が業務全体の処理能力に大きく影響することがあります。そのため、第2ステップでは、ボトルネックとなっている工程のパフォーマンスを最大限に活用する、つまりその処理能力を最大にする方法を考えていきます。この段階では、新たな設備の導入や新たな人員の確保などは検討せず、現状の設備、人員数を持って、パフォーマンスを高めることにフォーカスします。ボトルネックとなっている工程に、どのような障害・不具合があるかを判断した上で、対策を検討します。製造工程においては、段取り時間の短縮、トラブルの削減、材料待ち時間の削減、歩留まりの向上、稼働時間の延長などが方法として挙げられます。(3)業務プロセスをボトルネックに合わせる第3ステップでは、業務全体の処理能力をボトルネックとなっている工程の処理能力に合わせていきます。これによって、業務全体が無駄を省いた効率的なプロセスに最適化されます。例えば、製造工程ではボトルネック工程の処理能力に合わせて資材を投入するということが行われます。これにより、全工程の処理能力のバランスが取れ、結果的に生産スケジュール及び在庫の最適化につながります。(4)ボトルネックの能力を向上させる第4ステップでは、ボトルネックの処理能力を高めることで、業務プロセス全体の処理能力の向上を図ります。例えば、新規設備の導入や遊休設備の改造などといった設備強化の他、新たに優れた人材を採用するという方法が考えられます。ここでは、需要の変化や、製品設計の変更など将来的に起こりうる変化を考慮した上で、対策を取ることが重要となります。(5)新たなボトルネックを探すボトルネックとなっていた工程の改善を行い、処理能力が向上した後は、制約条件(ボトルネック)が変わる可能性もあります。そのため、第1ステップに戻り、新たなボトルネックの解消に向け、さらなる業務改善を図ることが重要となります。

  • 製造原価とは?求め方・計算式を解説!売上原価との違い

    製造業では材料や原料を仕入れ、工場で生産し、製品を売ることで利益を得ています。生産するのにかかった費用の合計である「製造原価」は、製造業を運営していくにあたり、利益に大きく関わります。企業がより利益を上げるためには、売上の向上、もしくは製品の原価を抑えなければなりません。原価を抑える方法で利益を上げるのであれば、製造原価を計算・分析しておくのは重要なポイントです。また、製造原価をしっかりと把握しておくことは、製品の価格設定や予算管理などにも役立ちます。製造原価とは?製造原価とは、製品を作るうえで発生したすべての費用のことで、主に製造業で使われる言葉です。製品を作るには、原料や材料を仕入れて、設備の運転や外注を利用するなど、さまざまな工程を必要とします。費用は、原料などを仕入れる以外にも、設備の燃料費・水道光熱費・人件費などにもコストは発生しているものです。製造原価は、そのようなものも含めてすべて合算します。なお、企業で発生する原価には、仕入れから生産までにかかる費用である「製造原価」のほかに、製品を販売するのにかかる費用である「販売費及び一般管理費」もあります。ここでは、製造原価に焦点をあてて解説していきます。製造原価と売上原価の違い売上原価とは、売れた商品に対する仕入れや製造にかかった原価のことで、主に小売業で使われる言葉です。一方で製造原価は、製品を製造するのにかかった費用の合算であるため、計算する対象が異なります。製造原価の分類方法製造原価は、基本的に費用の発生形態による分類である「材料費・労務費・経費」の3つに種類分けされます。各費用の詳細は下表の通りです。<費用の発生形態による分類>分類内容代表例材料費物品の消費で発生する原価原料費・消耗品費・燃料費・備品費など労務費人件費などの労働力を使うことで発生する原価給料・賞与・手当・福利厚生費など経費材料費と労務費以外で発生する原価減価償却費・水道光熱費・賃貸料など製造原価を計算する際は、以上の3つを用います。また、製造原価は、製品との関連による分類である「製造直接費・製造間接費」の2種類による分け方もあります。さらに製造直接費には「直接材料費・直接労務費・直接経費」の3種類、製造間接費には「間接材料費・間接労務費・間接経費」の3種類で、合計6種類の分類がされています。製品との関連による分類の詳細は下表の通りです。<製品との関連による分類>分類1分類2内容代表例製造直接費直接材料費特定の製品のために使った費用特定の製品を作るうえで必要な金属や部品などの材料費直接労務費製品の製造に関わった従業員の賃金現場作業員の賃金直接経費製造にかけた材料費・労務費以外の費用や外注費用外注加工費製造間接費間接材料費製品にどれだけの材料費をかけたのか不明確なもの潤滑油・塗料・工具といった消耗品・補助材料費など間接労務費直接製造に関わらない人への労務費生産管理者の給料・賞与・福利厚生費など間接経費特定の製品との関わりが不明な経費減価償却費・水道光熱費・賃貸料など製造間接費は製造直接費と違い、明確にかかった費用が把握しにくいため、製品の生産量や設備の稼働時間などから配賦(はいふ)計算を行います。配賦とは、費用を配分処理することで、企業ごとに配賦基準を定めて製造間接費を計算します。製造原価の求め方・計算式製造業での決算書には、当期に販売した製品の製造原価を明らかにするための「製造原価報告書」があります。ここでは、「材料費・労務費・経費」の分類を用いた方法で、製造原価報告書に記載が必要な、「当期製品製造原価」の計算式を以下に紹介します。当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高当期製品製造原価とは、当期に完成した製品の製造原価を指します。これは、前期に未完成だったものが当期に完成したものも含みます。一方、当期中に完成しなかった製品については含みません。当期総製造費用は、当期にかかった、費用の発生形態による分類の「材料費・労務費・経費」の合計額です。当期材料費は「期首材料棚卸高+当期材料仕入れ高-期末材料棚卸高」の数式から算出します。期首仕掛品棚卸高は、前期末時点で未完成の製品の金額です。期末仕掛品棚卸高は、今期末時点で未完成の製品の金額を表します。

  • 製造現場が悩まされるチョコ停の原因と対策

    チョコ停は、コストダウンや効率良くものづくりを進める上で、顕在化しておきたいポイントです。小さなトラブルではあるものの、1日に何回も発生してしまうため、生産効率が大幅に低下している恐れがあります。トラブルを根本的に解決しないままにしておくと、製造設備の大きな故障を招き、ドカ停に発展することもあるでしょう。チョコ停とはチョコ停とは、製造設備にトラブルが発生するなどして、設備・製造が短時間の間停止することで、別名「空転ロス」とも呼ばれています。チョコ停は、以下の設備効率を阻害する大きなロスである「7大ロス」と呼ばれるものの一種です。7大ロス一覧故障ロス設備故障により稼働停止している時間段取り替えロス生産する製品を変更する際の切替えにより稼働停止している時間治具交換ロス治具や刃物などの交換により稼働停止している時間立ち上げロス生産設備の立ち上げ時に行う調整にかかる時間チョコ停(空転ロス)一時的なトラブルにより設備の稼働を停止している時間速度低下ロス想定している設備のスピードに対して、遅れている時間不良品ロス不良や手直しによる物量的ロスと、修正にかかる時間的なロスチョコ停は製造設備が停止している状態のため、現場の作業者がいち早く気づき、復旧させる必要があります。チョコ停の具体的な特徴については下記の通りです。チョコ停の特徴・トラブルの発生から数分程度で復旧が可能・設備の修理や部品交換の作業を必要としない・1日のうちに何度も発生するチョコ停は大きなトラブルとは異なり、現場の作業者による対応で済ませてしまうケースが多く、顕在化しにくいもの。また、1日の間に何度も発生してしまうのが特徴です。停止した状態が長く続くと、稼働率や生産性が大幅に低下し、製造コストの高騰にも繫がります。チョコ停は、JIS規格の【JIS Z 8141:2001 生産管理用語】にも記述されており、その内容は下記の通りです。設備が生産ラインなどの大規模なシステムの一部となっていて、システム全体を停止に至らしめるような重大又は決定的な故障を大故障(通称としてドカ停)、逆に設備の部分的な停止又は設備の作用対象の不具合による停止で、短時間に回復できる故障を小故障(通称としてチョコ停)という。引用元:JIS Z 8141:2001 生産管理用語 設備管理 番号6108チョコ停の名称は、チョコチョコ停止することの略称として使われていますが、似たような言葉に、ドカっと長い時間製造設備が停止する「ドカ停」も用語としてあります。チョコ停が重なるとドカ停に発展し、生産ラインに大きく悪影響を及ぼす場合もあります。チョコ停の原因と問題点7大ロスである、段取り替えロス・治具交換ロス・立ち上げロスは、ある程度決まった時間で、予定として組み込まれているロスになります。故障ロス・速度低下ロス・不良品ロスは、停止時間が長かったり、タクトタイムを測定したりするものであるため、顕在化がしやすいものです。一方で、チョコ停は突発的に発生するロスのため、復旧は現場の作業者が対応して済ませるケースがほとんどです。ロスした時間や内容などの、具体的な記録が残らないことも多い分、顕在化がしにくいとされています。チョコ停の対策チョコ停は、作業者による対応で改善されるような細かいトラブルかつ、記録を残していないケースが多いため、顕在化がされにくいものです。しかし、チョコ停をそのままにしておくとドカ停に発展し、大きなトラブルとなりかねません。そのため、チョコ停の段階から対策しておくべきかどうかを検討する必要があります。チョコ停の顕在化チョコ停を対策するには、まず始めにチョコ停を顕在化する必要があります。顕在化するための方法として、「ワークサンプリング」を行うのが有効です。ワークサンプリングとは稼働分析の手法のひとつで、作業に対してどの程度の時間や工数がかかっているかをチェックすることを指します。ここでのワークサンプリングは、設備の状態を「稼働」と「非稼働」に分け、非稼働を「段取り替え・チョコ停・設備トラブル」に分類し、チョコ停の時間を明確にします。明確にした時間から、チョコ停を含めた稼働率を計算します。稼働率の計算式稼働率(%)=稼働時間÷負荷時間稼働時間:負荷時間-計画停止時間-停止ロス時間負荷時間:1日または月間を通じて設備が稼動しうる時間チョコ停を含めた稼働率の計算式稼働率(%)=稼働時間÷(負荷時間+チョコ停時間)以上の2つの式を用いて、チョコ停によりどれだけ稼働率が低下したかを算出します。チョコ停の原因調査チョコ停を顕在化したあとは、原因調査を行います。原因調査は設備のエラーなど、チョコ停が起こった場合に記録するためにワークシートを用います。ワークシートへの記入は、現場の作業者がチョコ停が起きた問題点の回数を記録するだけで、現場の負担にならないようにします。そのためにも、あらかじめワークシートには、縦軸に発生件数・横軸にワークサンプリングで明らかになった発生原因を記述した表を作成しておくといいでしょう。チョコ停の原因抽出チョコ停の原因調査で記録したワークシートを元に、発生件数の割合を示した図であるパレート図を作成し、原因を抽出します。パレート図は、発生したチョコ停の回数が多いものから順に並べることで、重大な原因がいずれなのかが分かり、効率の良い対策が立てやすくなります。以上のようなパレート図による解析は「パレート解析」と呼ばれており、問題に対する分析や対策を講じる場合に有効です。パレート図の例パレート図の例は上表の通りです。アルファベットのA~Jは各チョコ停の種類、棒グラフは各チョコ停の発生件数、折れ線グラフは累積比率を表しています。上図のように、発生件数の多いものから順番に並べることで、チョコ停の大きな問題が何なのかを明確にできます。チョコ停の改善効果の確認パレート解析後は、チョコ停1回あたりの損失金額を計算し、チョコ停を改善することでどれだけの効果が得られるかを確認します。チョコ停1回あたりの損失金額の計算式は以下の通りです。●チョコ停1回あたりの損失金額損失金額=チョコ停時間×時間あたりの生産個数×製品単価上の式から改善効果を数値化し、チョコ停の対策を実施するかを検討しましょう。チョコ停改善によるメリット今まで対策を講じていなかったチョコ停を改善することで、以下のようなメリットがあります。●ドカ停に発展するリスクの低減チョコ停は放置してしまうと、設備の劣化を招く要因となります。チョコ停を対策しておくことで設備が故障しにくくなり、大きく生産効率が低下するドカ停の防止にも繫がります。●稼働率の向上チョコ停は小さいトラブルとはいえ、1日に何度も発生するもののため、稼働率が低下します。チョコ停を改善することで、製造設備の停止時間が少なくなり、時間あたりの生産個数を増やすことができます。●不良率の軽減チョコ停の発生するタイミングなどによっては、製品の品質に悪影響を及ぼす場合もあるでしょう。チョコ停が改善されれば、不良品の数が減るほか、トラブルの対応にかかる手間も少なく済みます。●安全性の向上チョコ停の復旧作業を行う上で、製造設備の巻き込みや、刃物などによるケガなどのリスクも考えられます。チョコ停のように1日に発生する回数も多いと、その分ケガをしてしまう可能性も高くなるでしょう。チョコ停改善は、安全第一で作業をするのにも有効となります。

  • 7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考える

    7つのムダとは、製造業の現場で問題となる以下の7つのムダ例を指す言葉です。「か」加工のムダ「ざ」在庫のムダ「ふ」不良・手直しのムダ「て」手待ちのムダ「つ」造りすぎのムダ「ど」動作のムダ「う」運搬のムダ7つのムダは、生産現場の管理者や作業者が意識して注意しないと、しばしば起こってしまうものです。そのため、製造業に従事する人が頭に入れておくべきものとして、これらの7つのムダの頭文字をとった「かざふてつどう」が標語となっています。この記事では、7つのムダの各々について解説するとともに、その発生原因や対処法について説明していきます。7つのムダとは?7つのムダとは、製造業の現場で起こりがちな、付加価値を生まない現象や結果のことです。「ジャスト・イン・タイム」などと並ぶトヨタ生産方式の一つで、コスト増大や生産性低下に繋がることから、現在の生産現場において改善していくことが求められています。造りすぎのムダ造りすぎのムダとは、不要なものを余分に作ってしまうムダのことです。注文を受けていない、計画されていない製品の生産は、以下で説明する「運搬のムダ」や「在庫のムダ」の発生にも繋がる、最も悪いムダと言えるでしょう。そもそも、造りすぎのムダは、作業員の手待ちや余分な設備があって、機械の故障や不良品の発生に対して不安感があることが原因で発生します。しかし、造りすぎのムダが許されてしまえば、作業そのものが増えるだけでなく、運搬車・リフトの稼働時間の増加、倉庫・保管スペースの増加など、新たなムダが発生し続けます。また、その間は作業員の手が空かないため、後述する「手待ちのムダ」があっても明らかにすることができません。これを解消するには、タクトタイムを適切に設定して手待ちをなくすことや、生産管理をきちんと実行して納期遅延の懸念をなくすことが大切です。手待ちのムダ手待ちのムダとは、作業員の手が待ちの状態にあるムダのことです。機械が稼働せず空いている状態も同様です。前工程から受け渡される材料・部品を待っている状態や、機械が自動で加工しているときに必要なく監視している状態、機械が故障して復帰を待っている状態などが該当します。特に、作業員による機械の監視は、機械の故障検知や不良品の発見装置が適切に作動すれば不必要です。それにも関わらず、機械の監視は、さも必要であるように見え、不可欠な作業であるように見えます。また、手待ちは、作業員が作業スピードを調整することで覆い隠されてしまうことにも注意しなくてはなりません。そのため、まずは、ラインへの1個流しなどで標準作業を構築し、どこに手待ちが存在するかを明らかにしましょう。また、機械の仕様を理解し、不必要な監視をなくすことも必要です。動作のムダ動作のムダとは、作業の中での、探す、しゃがむ、持ち替える、調べるといった工程の直接的な進展に繋がらない不要な動作のことです。標準作業がきちんと規定されていない場合や、標準作業が誰でも同様に実行可能でない場合、作業員への訓練が不足している場合などに起こります。これを改善するには、日常的な作業の観察はもちろん、作業員から案を募ったり作業員からヒアリングしたりすることも有効です。作業員にとって楽な動作を追求することも重要であり、動作のムダの解消に繋がります。運搬のムダ運搬のムダとは、不必要なモノの移動、仮置き、積み替え、整理などのことです。ここで言うモノとは、原材料・部品、仕掛品、完成品、またこれらの在庫品を指し、運搬とは、原材料・部品が工場に入り、完成品となって工場へ出ていくまでのモノの流れを指します。運搬のムダは、モノの流れが決まっていない場合や、各工程の作業場のレイアウトが悪い場合などに発生します。そのほか、「造りすぎのムダ」によって必要以上にモノが溢れ、置き場所がなくなることで不必要な積み替えなどの運搬のムダが発生します。運搬のムダの改善には、「手待ちのムダ」の改善にも繋がることから、仕掛品に対する運搬の最適化が特に重要です。具体的には、工場内の設備・作業員・モノの配置を見直して工程間のモノの移動距離を短くするのはもちろん、前後の工程と作業を同期させて仕掛品の余計な仮置き等を減らすことも効果があります。不良・手直しのムダ不良・手直しのムダとは、不良品を発生させて廃棄し、手直し、造り直しするムダのことです。不良品が発生すれば、材料費や設備費、人件費などの全てがムダになるのはもちろん、廃棄するためのコストもかかります。手直し・造り直しにも時間とコストがかかるため、良いことはありません。このムダは、様々なことが原因で起こりますが、これを防ぐためにあるのが品質管理です。品質管理の重要性を理解し、しっかりと実行しましょう。加工のムダ加工のムダとは、そもそも加工が不要であったり加工手段が最適でなかったりする際に発生するムダのことです。必要以上の仕上げ作業や、不要な検査なども該当します。従来のやり方だからと、本当に必要かどうか、より良い方法がないかを検討しないことで起こります。ムダな作業や工程はないか、より良い加工方法はないか、しっかり見直すことが大切です。参考:【金属加工】金属加工の特徴や種類について徹底解説!!在庫のムダ引用元:合同会社高崎ものづくり技術研究所在庫のムダとは、原材料・部品、仕掛品、完成品等が倉庫などに理由なく置かれているムダのことです。一定量の在庫を計画的に確保することが不可欠なこともあります。しかし、在庫が存在することで、「運搬のムダ」が生じたり、在庫管理に手間や費用がかかったりします。また、モデルチェンジなどで、価値がなくなってしまうこともあります。在庫を保管する倉庫等の維持コストもタダではありません。もちろん、在庫があったことで、機械の故障が起きたときでも納期が守れたということもあるでしょう。しかし、在庫の存在を前提としていると、不良や機械の故障などへの対策に力を入れず、生産性の向上に繋がりません。重要なのは、故障が起きた場合ても迅速な復帰が可能で、一定のアクシデントにも対応できる生産計画が立てられていることです。在庫のムダの解消には、注文後に生産を開始するという方法が有効です。もちろん、この方法では、実現可能な納期でないと、機会損失に繋がります。

  • 【製造業の現場改善】ECRSの原則ではじめるコスト改善!

    製造業の現場では、コスト改善のため、日常的に作業の効率化が追求されています。しかし、いざ業務改善を図ろうとしても、どこから手を付けたら良いのか、また多くの課題がある中でどのような優先順位を付けたら良いのか迷うことが多々あります。このようなときに指針となるのが、ECRSの原則です。ECRSの原則は、業務改善を検討する際、有効性の高い4つの視点を与えるとともに、それらの優先順位を教えてくれるものです。そのため、ECRSの原則に従って業務改善を実践することで、的確な課題の抽出と大きな改善効果が期待できます。この記事では、このECRSの原則について解説するとともに、製造業に適用したときの改善例について紹介していきます。ECRSの4原則とは?ECRSの4原則とは、業務を効率化する上で、順番に考えるべき以下の4つの原則を述べたものです。●Eliminate(排除):業務そのものをやめられないか?●Combine(結合):複数の業務をまとめて一緒にできないか?●Rearrange(交換):業務の順番や実施場所などを変えられないか?●Simplify(簡素化):業務をより簡単にできないか?業務改善の際に、業務の排除・結合・交換・簡素化の可能性を順番に検討していくことで、適切に業務の改善方法を立案・実践することができます。一般的には、次のような流れで業務の改善を考えていきます。まず、各業務の理由や目的を洗い出します。このとき、明確な理由や目的が見出だせない業務があればやめることを検討します。不必要であるにも関わらず、慣例的に行われている業務などがこれに該当します。業務の排除は、業務にかかった時間や費用をまるごと削減できる効果が大きい改善となります。次に、残った業務のうち、まとめて実行することで効率化に繋がるものがないかを確認します。類似した業務を別々に進めていたり別々の人と手分けしていたりする場合などが考えられます。場合によっては、分離したほうが効率化が図れることもあります。続いては、業務の順序や実施場所などを入れ替えることで、時間や費用の削減になるものがないかを検討します。それにより、業務全体を再設計して最適化します。作業順序を適正化して作業員の移動距離を減らすなどの効率化が挙げられます。代替案を検討して入れ替えることが必要になる場合もあります。最後は、業務の簡素化です。このステップは、改善の仕上げのようなものです。各業務を分析し、狭い範囲で最適化を図ります。例えば、業務の自動化やパターン化が挙げられます。工数削減やミスの防止などに繋がります。以上の4原則に従った業務改善は、おおよそ、「排除」の効果が最も大きく、「結合」、「交換」、「簡素化」の順に効果が小さくなっていきます。そのため、ECRSの順に改善計画を立案・実践していくことが大切です。ECRSの4原則を製造業に適用して考えるそれでは、ECRSの4原則を製造業に適用して考えます。通常、製造業の業務には加工や組立、検査などの工程があり、各工程では複数の作業が実行されます。これらの工程や作業は、実施順序が決まっており、順番に実行していくことで生産活動が行われています。これらを前提に、製造業ではどのような業務改善が可能か、例を挙げて見ていきます。E 排除(Eliminate) やめられないか?初めに、やめてもよいムダな作業がないかを検討します。製造業では、機械や機器、作業方法の研究不足からムダが生じていることがよくあります。例えば、今まで必要だった作業でも、工作機械や検査機器などを新たに導入したことで、作業が不要となることがあります。それにも関わらず、機械・機器の知識不足から、不要な作業が従来通りに行われていることがあるのです。また、情報の記録や通信が可能な機械や機器も存在します。そのため、工作物の寸法などを書類に記録し、次工程に受け渡すといった作業も不要となることが多々あります。そのほか、顧客の要求を大幅に上回る過剰品質の製品を作ってしまうという問題もあります。それにより、多くの作業が発生して、高コスト体質となっているケースがよくあります。参考:7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考えるC 結合(Combine) 一緒にできないか?次に、複数の作業をまとめて一緒にできないかを検討します。例えば、複数の工作機械で加工していたものを1台の機械で加工してしまうといったケースが考えられます。特に加工工程では、工作物の機械への設置と機械からの取り外しに多大な工数がかかるため、改善の効果が高くなります。類似する作業をまとめ、1人の作業者に担当させるといった方法もあります。それにより、作業者が必要とする技術も減少するため、教育にかかる工数を削減できます。そのほか、機械の自動送り時間中にバリ取りやツヤ出しを行うなど、本来は別の作業として実施していたことを一緒に行うことも検討してみます。R 交換(Rearrange) 順番を変えられないか?続いては、作業の順番や実施場所、担当者などを変えられないか検討します。製造業では、ラインにおける様々な作業を最適化し、効率化するなどの例が挙げられます。この例では、加工の順序や機械の配置などを入れ替えることで、時間の短縮と低コスト化を図ります。また、単に頻繁に利用する工具をより取り出しやすい位置に配置して、動作や移動距離を削減するといった改善もあります。細かいことですが、長期的には、大幅なコスト削減になっていることがあるのです。S 簡素(Simplify) 簡単にできないか?最後は、個々の作業をより簡単にできないか検討します。作業員が実行する作業では、動作を分析して簡素化することが有効です。品質や作業時間、作業員への訓練などを考慮した上で、どの作業員でも簡単かつ楽に実行できる動作を探します。作業の一部を自動化するといった手段もあります。機械やロボットなどの利用のほか、情報化することが自動化になることがあります。

  • 制約理論で製造業の業務改善!ボトルネックを見つけてコストマネジメントをしよう!

    制約理論とは、「Theory of Constraints(TOC)」の日本語を訳したもので、生産性の低いボトルネック・制約条件を見つけ、その改善を図ることで業務全体の最適化を行い、生産性を高めることを目的とした考え方です。製造業の生産分野のほか、経営マネジメントなどの分野でも用いられることがあります。制約理論とは?基本的な考え方と目的制約理論は、「製造業などにおける生産性は、制約条件(ボトルネック)に依存していて、その制約条件を改善することで、業務全体のパフォーマンスが向上する」という考え方に基づいています。ボトルネックの特定→改善を行うことで、業務全体の最適化を行い、処理能力(スループット)を向上させること、つまり生産性を高めることを目的としています。制約理論で進める業務改善手順制約理論では、以下のような5つの業務改善手順を踏むことで、継続的な業務の改善を行います。(1)業務全体のボトルネックを特定する第1ステップでは、業務プロセス全体の中からボトルネック、つまり全体の生産性を規定してしまっている工程を見つけます。工場の生産ラインにおいて特に時間を要する工程や、生産能力や作業効率が悪い工程が挙げられます。ボトルネックの特定に当たり、プロセス全体の工程を、各工程の処理能力と合わせて可視化することで、どこがボトルネックとなっているかが把握しやすくなります。特に製造業の生産分野では、3M(ムリ・ムダ・ムラ)の発生や、装置による生産量の制限などがボトルネックにつながります。参考:7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考える(2)ボトルネックを最大限に活用するボトルネックとなる工程がある場合、その処理能力(スループット)が業務全体の処理能力に大きく影響することがあります。そのため、第2ステップでは、ボトルネックとなっている工程のパフォーマンスを最大限に活用する、つまりその処理能力を最大にする方法を考えていきます。この段階では、新たな設備の導入や新たな人員の確保などは検討せず、現状の設備、人員数を持って、パフォーマンスを高めることにフォーカスします。ボトルネックとなっている工程に、どのような障害・不具合があるかを判断した上で、対策を検討します。製造工程においては、段取り時間の短縮、トラブルの削減、材料待ち時間の削減、歩留まりの向上、稼働時間の延長などが方法として挙げられます。(3)業務プロセスをボトルネックに合わせる第3ステップでは、業務全体の処理能力をボトルネックとなっている工程の処理能力に合わせていきます。これによって、業務全体が無駄を省いた効率的なプロセスに最適化されます。例えば、製造工程ではボトルネック工程の処理能力に合わせて資材を投入するということが行われます。これにより、全工程の処理能力のバランスが取れ、結果的に生産スケジュール及び在庫の最適化につながります。(4)ボトルネックの能力を向上させる第4ステップでは、ボトルネックの処理能力を高めることで、業務プロセス全体の処理能力の向上を図ります。例えば、新規設備の導入や遊休設備の改造などといった設備強化の他、新たに優れた人材を採用するという方法が考えられます。ここでは、需要の変化や、製品設計の変更など将来的に起こりうる変化を考慮した上で、対策を取ることが重要となります。(5)新たなボトルネックを探すボトルネックとなっていた工程の改善を行い、処理能力が向上した後は、制約条件(ボトルネック)が変わる可能性もあります。そのため、第1ステップに戻り、新たなボトルネックの解消に向け、さらなる業務改善を図ることが重要となります。

  • 製造原価とは?求め方・計算式を解説!売上原価との違い

    製造業では材料や原料を仕入れ、工場で生産し、製品を売ることで利益を得ています。生産するのにかかった費用の合計である「製造原価」は、製造業を運営していくにあたり、利益に大きく関わります。企業がより利益を上げるためには、売上の向上、もしくは製品の原価を抑えなければなりません。原価を抑える方法で利益を上げるのであれば、製造原価を計算・分析しておくのは重要なポイントです。また、製造原価をしっかりと把握しておくことは、製品の価格設定や予算管理などにも役立ちます。製造原価とは?製造原価とは、製品を作るうえで発生したすべての費用のことで、主に製造業で使われる言葉です。製品を作るには、原料や材料を仕入れて、設備の運転や外注を利用するなど、さまざまな工程を必要とします。費用は、原料などを仕入れる以外にも、設備の燃料費・水道光熱費・人件費などにもコストは発生しているものです。製造原価は、そのようなものも含めてすべて合算します。なお、企業で発生する原価には、仕入れから生産までにかかる費用である「製造原価」のほかに、製品を販売するのにかかる費用である「販売費及び一般管理費」もあります。ここでは、製造原価に焦点をあてて解説していきます。製造原価と売上原価の違い売上原価とは、売れた商品に対する仕入れや製造にかかった原価のことで、主に小売業で使われる言葉です。一方で製造原価は、製品を製造するのにかかった費用の合算であるため、計算する対象が異なります。製造原価の分類方法製造原価は、基本的に費用の発生形態による分類である「材料費・労務費・経費」の3つに種類分けされます。各費用の詳細は下表の通りです。<費用の発生形態による分類>分類内容代表例材料費物品の消費で発生する原価原料費・消耗品費・燃料費・備品費など労務費人件費などの労働力を使うことで発生する原価給料・賞与・手当・福利厚生費など経費材料費と労務費以外で発生する原価減価償却費・水道光熱費・賃貸料など製造原価を計算する際は、以上の3つを用います。また、製造原価は、製品との関連による分類である「製造直接費・製造間接費」の2種類による分け方もあります。さらに製造直接費には「直接材料費・直接労務費・直接経費」の3種類、製造間接費には「間接材料費・間接労務費・間接経費」の3種類で、合計6種類の分類がされています。製品との関連による分類の詳細は下表の通りです。<製品との関連による分類>分類1分類2内容代表例製造直接費直接材料費特定の製品のために使った費用特定の製品を作るうえで必要な金属や部品などの材料費直接労務費製品の製造に関わった従業員の賃金現場作業員の賃金直接経費製造にかけた材料費・労務費以外の費用や外注費用外注加工費製造間接費間接材料費製品にどれだけの材料費をかけたのか不明確なもの潤滑油・塗料・工具といった消耗品・補助材料費など間接労務費直接製造に関わらない人への労務費生産管理者の給料・賞与・福利厚生費など間接経費特定の製品との関わりが不明な経費減価償却費・水道光熱費・賃貸料など製造間接費は製造直接費と違い、明確にかかった費用が把握しにくいため、製品の生産量や設備の稼働時間などから配賦(はいふ)計算を行います。配賦とは、費用を配分処理することで、企業ごとに配賦基準を定めて製造間接費を計算します。製造原価の求め方・計算式製造業での決算書には、当期に販売した製品の製造原価を明らかにするための「製造原価報告書」があります。ここでは、「材料費・労務費・経費」の分類を用いた方法で、製造原価報告書に記載が必要な、「当期製品製造原価」の計算式を以下に紹介します。当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高当期製品製造原価とは、当期に完成した製品の製造原価を指します。これは、前期に未完成だったものが当期に完成したものも含みます。一方、当期中に完成しなかった製品については含みません。当期総製造費用は、当期にかかった、費用の発生形態による分類の「材料費・労務費・経費」の合計額です。当期材料費は「期首材料棚卸高+当期材料仕入れ高-期末材料棚卸高」の数式から算出します。期首仕掛品棚卸高は、前期末時点で未完成の製品の金額です。期末仕掛品棚卸高は、今期末時点で未完成の製品の金額を表します。

  • 製造現場が悩まされるチョコ停の原因と対策

    チョコ停は、コストダウンや効率良くものづくりを進める上で、顕在化しておきたいポイントです。小さなトラブルではあるものの、1日に何回も発生してしまうため、生産効率が大幅に低下している恐れがあります。トラブルを根本的に解決しないままにしておくと、製造設備の大きな故障を招き、ドカ停に発展することもあるでしょう。チョコ停とはチョコ停とは、製造設備にトラブルが発生するなどして、設備・製造が短時間の間停止することで、別名「空転ロス」とも呼ばれています。チョコ停は、以下の設備効率を阻害する大きなロスである「7大ロス」と呼ばれるものの一種です。7大ロス一覧故障ロス設備故障により稼働停止している時間段取り替えロス生産する製品を変更する際の切替えにより稼働停止している時間治具交換ロス治具や刃物などの交換により稼働停止している時間立ち上げロス生産設備の立ち上げ時に行う調整にかかる時間チョコ停(空転ロス)一時的なトラブルにより設備の稼働を停止している時間速度低下ロス想定している設備のスピードに対して、遅れている時間不良品ロス不良や手直しによる物量的ロスと、修正にかかる時間的なロスチョコ停は製造設備が停止している状態のため、現場の作業者がいち早く気づき、復旧させる必要があります。チョコ停の具体的な特徴については下記の通りです。チョコ停の特徴・トラブルの発生から数分程度で復旧が可能・設備の修理や部品交換の作業を必要としない・1日のうちに何度も発生するチョコ停は大きなトラブルとは異なり、現場の作業者による対応で済ませてしまうケースが多く、顕在化しにくいもの。また、1日の間に何度も発生してしまうのが特徴です。停止した状態が長く続くと、稼働率や生産性が大幅に低下し、製造コストの高騰にも繫がります。チョコ停は、JIS規格の【JIS Z 8141:2001 生産管理用語】にも記述されており、その内容は下記の通りです。設備が生産ラインなどの大規模なシステムの一部となっていて、システム全体を停止に至らしめるような重大又は決定的な故障を大故障(通称としてドカ停)、逆に設備の部分的な停止又は設備の作用対象の不具合による停止で、短時間に回復できる故障を小故障(通称としてチョコ停)という。引用元:JIS Z 8141:2001 生産管理用語 設備管理 番号6108チョコ停の名称は、チョコチョコ停止することの略称として使われていますが、似たような言葉に、ドカっと長い時間製造設備が停止する「ドカ停」も用語としてあります。チョコ停が重なるとドカ停に発展し、生産ラインに大きく悪影響を及ぼす場合もあります。チョコ停の原因と問題点7大ロスである、段取り替えロス・治具交換ロス・立ち上げロスは、ある程度決まった時間で、予定として組み込まれているロスになります。故障ロス・速度低下ロス・不良品ロスは、停止時間が長かったり、タクトタイムを測定したりするものであるため、顕在化がしやすいものです。一方で、チョコ停は突発的に発生するロスのため、復旧は現場の作業者が対応して済ませるケースがほとんどです。ロスした時間や内容などの、具体的な記録が残らないことも多い分、顕在化がしにくいとされています。チョコ停の対策チョコ停は、作業者による対応で改善されるような細かいトラブルかつ、記録を残していないケースが多いため、顕在化がされにくいものです。しかし、チョコ停をそのままにしておくとドカ停に発展し、大きなトラブルとなりかねません。そのため、チョコ停の段階から対策しておくべきかどうかを検討する必要があります。チョコ停の顕在化チョコ停を対策するには、まず始めにチョコ停を顕在化する必要があります。顕在化するための方法として、「ワークサンプリング」を行うのが有効です。ワークサンプリングとは稼働分析の手法のひとつで、作業に対してどの程度の時間や工数がかかっているかをチェックすることを指します。ここでのワークサンプリングは、設備の状態を「稼働」と「非稼働」に分け、非稼働を「段取り替え・チョコ停・設備トラブル」に分類し、チョコ停の時間を明確にします。明確にした時間から、チョコ停を含めた稼働率を計算します。稼働率の計算式稼働率(%)=稼働時間÷負荷時間稼働時間:負荷時間-計画停止時間-停止ロス時間負荷時間:1日または月間を通じて設備が稼動しうる時間チョコ停を含めた稼働率の計算式稼働率(%)=稼働時間÷(負荷時間+チョコ停時間)以上の2つの式を用いて、チョコ停によりどれだけ稼働率が低下したかを算出します。チョコ停の原因調査チョコ停を顕在化したあとは、原因調査を行います。原因調査は設備のエラーなど、チョコ停が起こった場合に記録するためにワークシートを用います。ワークシートへの記入は、現場の作業者がチョコ停が起きた問題点の回数を記録するだけで、現場の負担にならないようにします。そのためにも、あらかじめワークシートには、縦軸に発生件数・横軸にワークサンプリングで明らかになった発生原因を記述した表を作成しておくといいでしょう。チョコ停の原因抽出チョコ停の原因調査で記録したワークシートを元に、発生件数の割合を示した図であるパレート図を作成し、原因を抽出します。パレート図は、発生したチョコ停の回数が多いものから順に並べることで、重大な原因がいずれなのかが分かり、効率の良い対策が立てやすくなります。以上のようなパレート図による解析は「パレート解析」と呼ばれており、問題に対する分析や対策を講じる場合に有効です。パレート図の例パレート図の例は上表の通りです。アルファベットのA~Jは各チョコ停の種類、棒グラフは各チョコ停の発生件数、折れ線グラフは累積比率を表しています。上図のように、発生件数の多いものから順番に並べることで、チョコ停の大きな問題が何なのかを明確にできます。チョコ停の改善効果の確認パレート解析後は、チョコ停1回あたりの損失金額を計算し、チョコ停を改善することでどれだけの効果が得られるかを確認します。チョコ停1回あたりの損失金額の計算式は以下の通りです。●チョコ停1回あたりの損失金額損失金額=チョコ停時間×時間あたりの生産個数×製品単価上の式から改善効果を数値化し、チョコ停の対策を実施するかを検討しましょう。チョコ停改善によるメリット今まで対策を講じていなかったチョコ停を改善することで、以下のようなメリットがあります。●ドカ停に発展するリスクの低減チョコ停は放置してしまうと、設備の劣化を招く要因となります。チョコ停を対策しておくことで設備が故障しにくくなり、大きく生産効率が低下するドカ停の防止にも繫がります。●稼働率の向上チョコ停は小さいトラブルとはいえ、1日に何度も発生するもののため、稼働率が低下します。チョコ停を改善することで、製造設備の停止時間が少なくなり、時間あたりの生産個数を増やすことができます。●不良率の軽減チョコ停の発生するタイミングなどによっては、製品の品質に悪影響を及ぼす場合もあるでしょう。チョコ停が改善されれば、不良品の数が減るほか、トラブルの対応にかかる手間も少なく済みます。●安全性の向上チョコ停の復旧作業を行う上で、製造設備の巻き込みや、刃物などによるケガなどのリスクも考えられます。チョコ停のように1日に発生する回数も多いと、その分ケガをしてしまう可能性も高くなるでしょう。チョコ停改善は、安全第一で作業をするのにも有効となります。

  • 7つのムダ例「かざふてつどう」製造業のコスト改善を考える

    7つのムダとは、製造業の現場で問題となる以下の7つのムダ例を指す言葉です。「か」加工のムダ「ざ」在庫のムダ「ふ」不良・手直しのムダ「て」手待ちのムダ「つ」造りすぎのムダ「ど」動作のムダ「う」運搬のムダ7つのムダは、生産現場の管理者や作業者が意識して注意しないと、しばしば起こってしまうものです。そのため、製造業に従事する人が頭に入れておくべきものとして、これらの7つのムダの頭文字をとった「かざふてつどう」が標語となっています。この記事では、7つのムダの各々について解説するとともに、その発生原因や対処法について説明していきます。7つのムダとは?7つのムダとは、製造業の現場で起こりがちな、付加価値を生まない現象や結果のことです。「ジャスト・イン・タイム」などと並ぶトヨタ生産方式の一つで、コスト増大や生産性低下に繋がることから、現在の生産現場において改善していくことが求められています。造りすぎのムダ造りすぎのムダとは、不要なものを余分に作ってしまうムダのことです。注文を受けていない、計画されていない製品の生産は、以下で説明する「運搬のムダ」や「在庫のムダ」の発生にも繋がる、最も悪いムダと言えるでしょう。そもそも、造りすぎのムダは、作業員の手待ちや余分な設備があって、機械の故障や不良品の発生に対して不安感があることが原因で発生します。しかし、造りすぎのムダが許されてしまえば、作業そのものが増えるだけでなく、運搬車・リフトの稼働時間の増加、倉庫・保管スペースの増加など、新たなムダが発生し続けます。また、その間は作業員の手が空かないため、後述する「手待ちのムダ」があっても明らかにすることができません。これを解消するには、タクトタイムを適切に設定して手待ちをなくすことや、生産管理をきちんと実行して納期遅延の懸念をなくすことが大切です。手待ちのムダ手待ちのムダとは、作業員の手が待ちの状態にあるムダのことです。機械が稼働せず空いている状態も同様です。前工程から受け渡される材料・部品を待っている状態や、機械が自動で加工しているときに必要なく監視している状態、機械が故障して復帰を待っている状態などが該当します。特に、作業員による機械の監視は、機械の故障検知や不良品の発見装置が適切に作動すれば不必要です。それにも関わらず、機械の監視は、さも必要であるように見え、不可欠な作業であるように見えます。また、手待ちは、作業員が作業スピードを調整することで覆い隠されてしまうことにも注意しなくてはなりません。そのため、まずは、ラインへの1個流しなどで標準作業を構築し、どこに手待ちが存在するかを明らかにしましょう。また、機械の仕様を理解し、不必要な監視をなくすことも必要です。動作のムダ動作のムダとは、作業の中での、探す、しゃがむ、持ち替える、調べるといった工程の直接的な進展に繋がらない不要な動作のことです。標準作業がきちんと規定されていない場合や、標準作業が誰でも同様に実行可能でない場合、作業員への訓練が不足している場合などに起こります。これを改善するには、日常的な作業の観察はもちろん、作業員から案を募ったり作業員からヒアリングしたりすることも有効です。作業員にとって楽な動作を追求することも重要であり、動作のムダの解消に繋がります。運搬のムダ運搬のムダとは、不必要なモノの移動、仮置き、積み替え、整理などのことです。ここで言うモノとは、原材料・部品、仕掛品、完成品、またこれらの在庫品を指し、運搬とは、原材料・部品が工場に入り、完成品となって工場へ出ていくまでのモノの流れを指します。運搬のムダは、モノの流れが決まっていない場合や、各工程の作業場のレイアウトが悪い場合などに発生します。そのほか、「造りすぎのムダ」によって必要以上にモノが溢れ、置き場所がなくなることで不必要な積み替えなどの運搬のムダが発生します。運搬のムダの改善には、「手待ちのムダ」の改善にも繋がることから、仕掛品に対する運搬の最適化が特に重要です。具体的には、工場内の設備・作業員・モノの配置を見直して工程間のモノの移動距離を短くするのはもちろん、前後の工程と作業を同期させて仕掛品の余計な仮置き等を減らすことも効果があります。不良・手直しのムダ不良・手直しのムダとは、不良品を発生させて廃棄し、手直し、造り直しするムダのことです。不良品が発生すれば、材料費や設備費、人件費などの全てがムダになるのはもちろん、廃棄するためのコストもかかります。手直し・造り直しにも時間とコストがかかるため、良いことはありません。このムダは、様々なことが原因で起こりますが、これを防ぐためにあるのが品質管理です。品質管理の重要性を理解し、しっかりと実行しましょう。加工のムダ加工のムダとは、そもそも加工が不要であったり加工手段が最適でなかったりする際に発生するムダのことです。必要以上の仕上げ作業や、不要な検査なども該当します。従来のやり方だからと、本当に必要かどうか、より良い方法がないかを検討しないことで起こります。ムダな作業や工程はないか、より良い加工方法はないか、しっかり見直すことが大切です。参考:【金属加工】金属加工の特徴や種類について徹底解説!!在庫のムダ引用元:合同会社高崎ものづくり技術研究所在庫のムダとは、原材料・部品、仕掛品、完成品等が倉庫などに理由なく置かれているムダのことです。一定量の在庫を計画的に確保することが不可欠なこともあります。しかし、在庫が存在することで、「運搬のムダ」が生じたり、在庫管理に手間や費用がかかったりします。また、モデルチェンジなどで、価値がなくなってしまうこともあります。在庫を保管する倉庫等の維持コストもタダではありません。もちろん、在庫があったことで、機械の故障が起きたときでも納期が守れたということもあるでしょう。しかし、在庫の存在を前提としていると、不良や機械の故障などへの対策に力を入れず、生産性の向上に繋がりません。重要なのは、故障が起きた場合ても迅速な復帰が可能で、一定のアクシデントにも対応できる生産計画が立てられていることです。在庫のムダの解消には、注文後に生産を開始するという方法が有効です。もちろん、この方法では、実現可能な納期でないと、機会損失に繋がります。