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インタビュー

  • Mitsuri|インタビュー

    限界を超える試作専門工場 クロダ精機株式会社

    クロダ精機株式会社は、長野県下伊那郡にある試作専門の板金加工メーカーです。その特性上、短納期を求められることが多く、工場は年間350日稼働をしています。プレス加工品の試作を主に行っており、技術上、難しいものでもどうしたら製作できるかを常に考え、限界を超えていくことを目指しています。今回は代表取締役社長の佐々木俊一(ささき しゅんいち)氏にお話を伺いました。佐々木氏には、2018年に一度、インタビューをしています。コロナ禍を経て今、思うこととは。取材日: 2022年11月15日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/kurodaクロダ精機株式会社について所在地:〒399-3202 長野県下伊那郡豊丘村神稲(クマシロ)9268-1TEL:0265-35-1101FAX:0265-35-1103設立年:1970年(昭和45年)4月代表取締役:佐々木 俊一事業内容:精密プレス部品試作ホームページ:https://kurodaseiki.co.jp/試作専門会社として経営すること今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。2018年度のインタビュー時もお伺いしましたが、改めて御社の事業概要と強みを教えてください。佐々木氏プレス部品の試作を専門にやっています。基本的には試作品のみの製作を行っていますので、珍しい業態かもしれません。試作は利益的に美味しい、というのは一般的に言われており、良いところばかりと思われるかもしれませんが、悪い面もあります。もちろん試作そのものの利益は出ます。しかし、試作は生産計画が無く安定性がありません。ですので、試作だけで経営を安定させるのはとても難しいことなのです。試作だけで売上を立てていくことはとても難しいことなのですね。試作専門で経営を行うために何か意識していることはありますか。佐々木氏とにかく幅広く、全国のお客様と関わるようにしています。そうしないと、一社の試作をメインに対応していたとして、その会社が「試作はやりません」となった場合に売上が立たなくなります。お客様の会社方針で試作をやらないとなった場合や、業態転換をされた際にお仕事がなくなってしまいます。ですので、展示会への出展を中心に、常に新しいお客さんと繋がることを大切にしています。ありがとうございます。御社のHPを拝見すると、とても難しいものを製作されているように思います。佐々木氏近年は試作品自体が非常に難しくなってきていますし、お客様の要求も厳しくなってきたと感じています。試作と言っても、以前は「それっぽい形ができていればいい」という風潮がありました。しかし、近年は難易度が高い試作でも「試作品で評価するので、図面通りじゃないと困る」「設計が確かなものか確認するので、設計通りのものがないと試作として使えない」とよく言われます。難易度が高い試作を作ることは難しいですが、品質的に良いものを求められているのでついていかなくては、と思っています。佐々木氏ただ、作り込みすぎると「無理に作るな」と怒られることもあります(笑)試作はできたけど量産はできなかった、という状況になってしまうからです。ですので、技術的に難しい部分は正直に伝えるようにしています。同じ機能であれば簡単にした方が量産も簡単にできるので。一時期は意地で図面通りのまま、試作品を作っていました。しかし、難しい点はお客様に伝えて試作をやってかないと、ただものを作るだけの試作屋さんになってしまいます。試作品は開発途中のため、自由度が高いです。そのため、お客様と一緒にものを作り上げていくようにしています。単純に出来上がったものだけでなく、「相談もできるし提案もしてくれるので、少し高くてもクロダ精機にお願いしたい」と仰っていただけます。限界を超えすぎてもいけないのですね。他に強みがあれば教えてください。佐々木氏短納期に対応できる体制を整えています。試作を専門にしていると、「設計はいつもギリギリまでかかるけど組み立ての日は決まっています」というように、短納期を求められることも多いです。そのため、基本的に当番制にして土日も動かし、年間で350日稼働しています。金曜日に図面をもらって月曜日に納品ということも可能な限り対応できるように体制を作っております。コロナ禍の工場経営コロナになって自動車の工場がストップしてしまったと聞きました。打撃は大丈夫だったのでしょうか。佐々木氏全然ダメでしたね。去年の夏は東南アジアでかなりコロナが流行し、ロックダウンになりました。日本の自動車は東南アジアで部品を作成しているものが多かったようで、これにより生産が止まってしまいました。部品がないので車は製造できません、というわけにはいかないので、メーカーの方は国内に急遽ラインを作って製作していたようです。この期間はメーカーが試作どころではなくなってしまい、一時期は試作の依頼が減りました。試作自体がなくなってしまった、というのはなかったのですが、先送りにして車の製造を優先する、という感じになっていましたね。ただ、リーマンショックを経験していたので、当時と比べると今回は気持ちの余裕がありました。当時の方がより酷かったですね。今回も全然楽ではありませんが、「リーマンショックを乗り越えたのでなんとかなる」という気持ちがあります。終わりが全然見えないのは少し辛いですが。以前のインタビュー時では、代表という立場になられてわずか半年でした。4年ほど経験されてきて何か、考え方や心境の変化はありましたか?佐々木氏自社製品を作れたらおもしろいと思っています。自社製品だと、「こんなふうにすると可愛いよね」「こういう機能を持たせたらもっと便利だよね」「こうしたらうけるんじゃないか」という発想になると思います。現在は、図面通りに作ってお客様に喜んでいただくということを行っており、「どうしたら図面通りに製作できるか」という考え方です。このように、自社製品の製作は、図面通りの物を製作することとは全く違う思考回路だと思います。この発想は、他のものづくりの場面で活きる気がしています。普段とは違う発想をする機会を作ることにより、相乗効果が見込めるということですね。とても良さそうです。佐々木氏はい。昔は自社製品を作ることはできても販売ルートがありませんでしたが、今はECサイトなど方法がいくらでもあるので挑戦していきたいと思っています。代表になって感じたことは、やはり人や会社の雰囲気作りが大事だと思っています。言い方が適切かわかりませんが、社風を作ると「楽」だと思います。例えば、「納期を守りましょう」という当たり前が昔からあります。「納期を守りなさい」というのは誰も言いませんし、指導をする必要もありません。入社した瞬間に「納期を守ることは当たり前」という雰囲気になっているので。このようなものが自然に先輩から後輩に受け継がれていくことができれば、高い水準の「当たり前」な社風が自然とできて、良い環境になると思っています。佐々木氏また、コロナ禍になり、約一年間、展示会が無くなりました。以前は、弊社は開催されている展示会へ積極的に出展していました。コロナ騒動が落ちついてきて、久しぶりに出展した際に、「やはりこのような活動は大事だな」と思いました。展示会へ参加できていない間に、かなり自分の視野が狭くなっていることに気づきました。今では、ネットでなんでも情報が手に入りますが、結局自分が興味ある情報しか引っ張ってくることができていないんですよね。視野を広げるためには、色々なところに出て様々な人と話さないと、気づかないうちに自分だけの世界になっているだろうなと感じました。展示会では、新規のお客様と取引は生まれますか?佐々木氏弊社の場合、すぐにお取引が発生するということはあまりありません。展示会でお会いしたときに、「丁度困っていることがある」というお客様もあまり見受けられません。それよりは、「前に解決できなかったものを解決できる企業を探しておこう」というお客様が多いと感じます。特に試作の場合は案件がある時とない時があるので、常に試作があるというお客様は滅多にいません。展示会は種まきだと思っているので、とにかくたくさん種をまいておきます。そうすると、1〜2年後に「当時の展示会でご挨拶させていただきました。こちら検討していただけませんか。」という連絡をいただくことがあります。困った時に連絡いただければ嬉しい、という気持ちで活動しています。日本一の試作屋になるために今後の御社の目標についてお聞かせいただけますか?佐々木氏10年後に、日本一の試作屋さんになろうというビジョンを持っています。日本一と言っても、規模や売上の日本一を目指すわけではありません。お客様や社員さんにとっても、日本で弊社にしかない価値のある会社になろう、という意味です。ナンバーワンではなくオンリーワンを目指しています。例えば、「弊社に仕事をお願いしていてよかった」「弊社で働いていてよかった」など。このような点で日本一というのを目指したいです。何か目標に向けて取り組み始めていることはありますか?佐々木氏人事評価システムをきちんと作ろうと思っています。ある社員さんが「会社がどのような方向に進んでいくかわからず、自分がどうしたらいいかわからない」という声を聞きました。会社のビジョンはあるのですが、それが自分よりもはるか上の方にあって当事者意識が感じられないのかなと考えています。その目標に向かって、自分がどのように関わっていけるかを明確にできるような人事評価システムを作りたいと思っています。具体的な小さい目標を立ててもらい、それに対して評価します。すでに人事評価の項目の定型ができていて、それに◯や×をつけるのではなく、個人の目標を評価する仕組みにしたいと考えています。それだけでは評価できないその人の良さというのがあると思うんです。例えば、「仕事はいまいちだけどムードメーカーを担ってくれている」など。このような人も必要ですよね。ありがとうございます。以前に製造業全体の課題について、お伺いしました。コロナ禍を経験されてきた今、改めて感じることをお聞かせください。佐々木氏コスト競争が激しいので、将来、日本の工場が生き残っていけるのか心配です。特に機械加工よりも板金加工はこのような傾向が強いように感じます。弊社はプレス加工部品を設計しているお客様が多いので、正直わからない点も多々ありますが、機械加工よりも板金加工では精度を出すことが難しくここまでしかできない、というものが多いのではないでしょうか。「ここまでしかできない」というのも、限界を超えていかないと先が不安かなと。弊社は小さいものに特化し、限界を超えていくことを心がけていますが、大きいものはどうなのかが気になりますね。板金の技術を活かしたおもしろい自社製品を作っている会社はありますが、ここを見ているのはどのくらいの人たちがいるのか。みんなで新しいものや技術を生み出して製造業を盛り上げていきたいです。まとめ目指すのは、オンリーワンな会社。限界を超えることは、製造業を支えることにもなる。クロダ精機株式会社は、お客様や社員の声を聴きながら、日本一の試作屋の道を歩む。

  • Mitsuri|インタビュー

    金属加工技術をブランディングする 株式会社セイコー

    株式会社セイコーは、愛知県小牧市にある板金加工メーカーです。精密板金、建築金物の製作、施工から、パイプ曲げ、機械加工まで、あらゆる加工を自社で手がけています。その幅広い技術力を活かし、2020年に自社製品「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズが誕生しました。今回は、代表取締役の村下正樹氏にお話を伺いました。村下氏には2018年に一度、常務取締役としてインタビューしています。コロナ禍を経て、いま思うこととは。「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズ誕生の裏話にも迫ります。取材日: 2022年11月10日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/seiko-ltd株式会社セイコーについて所在地:〒485-0076 愛知県小牧市三ツ渕原新田433番地TEL:(0568)-73-2939FAX:(0568)-73-5789設立年:昭和58年9月6日代表取締役:村下 正樹事業内容:車輌、航空機、建築、遊戯機器用金属製品の加工及び施工(ステンレス、スチール、アルミ、銅、真鍮、 チタン)ホームページ:https://www.seiko-ltd.com/逆境に立ち向かう中で生まれた自社製品「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズ今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。村下さんにお話を伺うのは、2018年のインタビュー以来ですね。2020年以降、コロナという一大事がありましたが、影響はありましたか?村下氏全く先が見えなかったので、心配でした。コロナが流行してからの一年間はあまり変わりませんでしたが、二年目から徐々に影響が出始めました。具体的には、他社に安い価格で仕事を持っていかれる、ということを経験しています。仕事が無くて暇になり、単価を下げて対応する会社が増えました。単価は下がり、原材料費や経費は高騰し、どんどん町工場は疲弊していく。結果的に誰も得しない状況になっていくのが、目に見えてわかりました。日本には、いい技術、そして知的財産を持った職人たちがたくさんいます。しかし、このままでは日本のものづくり、製造業はなくなってしまう。この国の未来が危ない、と感じました。ですが、黙ってこの状況を見ているだけでは何も変わりません。だからこそ、常に時代の変化を見据え、新しいことに挑戦していきたいという思いで、自社製品の開発や、webサイトのリニューアル、新規顧客の開拓に励みました。メディアでも多く取り上げられている通り、御社ではBtoC商品を生産していますよね。これもその問題に向けた取り組みなのでしょうか。村下氏はい。2020年から「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズを生産しています。おかげさまで、今でも多くのお客様にお買い上げいただいております。[鍛冶屋の頓珍漢]ミガキ鉄板Z152T9「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズの人気商品。厚さ9mmの本格鉄板となっており、低温でじっくりと肉に熱が伝わることで美味しく焼ける。メスティンに収納できるコンパクトなサイズ。村下氏価格を下げて受注すると、我々の加工技術を自ら安くすることになってしまいます。自分たちで自分たちの商品の価値を下げる行為はやめなければいけません。また、それを継続していくと最終的に利益が無くなり、持続可能な取引ではなくなってしまいます。この問題は、我々だけではなく製造業全体で真剣に考えなくてはいけません。これからは、自分達の加工技術を自らブランディングしていかなくてはいけないと思います。コロナ禍によるコスト重視が加速しているという問題もあり、自社で積極的にブランディング、新しいものを作るという方向に至ったのですね。村下氏そうですね。何か違うことをやっていかなくてはいけない、という想いがありました。工場を所有していてモノを作れる環境があることは、最大の武器だと思います。私は商社にいたことがあるので、商品化にとても時間がかかることを経験しています。工場を所有していない会社ですと、試作開発を他社に依頼する段階から始め、売れなかった場合のリスクについて検討する必要があります。結果、挑戦したくても実現出来ないことが多く、夢や希望を叶えられないことが多々ありました。それに比べ、自社で作れば在庫を持つリスクもなく、売れなければすぐに辞められます。その上、すぐに試作できるのでスピーディな開発ができます。このスピード感と色々なことに挑戦できる環境を生かさない手は無いと思い、始めました。このスピード感とブランディング力、大変勉強になります。村下氏おもしろいですよ。普段、私たちの仕事は消費者の声が届いてきません。声が届いたとしても、不具合が発生した時ぐらいで「あの製品良かったよ」と褒められることは滅多にありません。しかし、「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズの製品に関しては、SNSでお客様が喜んでくれて褒めてくれます。それを見ると現場の職人も、私も、とても嬉しいし幸せな気持ちになります。私たちの技術やノウハウを使って製作したものを、お客様が直接買ってくださる。私たちの技術を正当に評価してもらえる。「売ってよし、買ってよし、使ってよし。」これが本来、ものづくりのあるべき姿だと思います。このような風潮をどんどん広めていきたいです。また、こうした取り組みはこれからの人材採用に向けて、アピールにもなります。「この会社は思ったことを形にできる」「おもしろいものを作ったら商品化できる」というように。仕事中に、業務としてお肉を焼いて食べられる金属加工工場は滅多に無いと思います(笑)試作段階でもきちんとお肉が美味しく焼けるか、実際に焼いて食べないとわからないからですね!楽しそうですね。村下氏はい。工場で焚き火をして、お肉を焼いてみんなで食べています。最初は、平たい鉄板を縞板で作ってお肉を焼いてみました。それが意外に美味しくて。しかし「平たい鉄板では油が垂れてしまうね」となり、「マシニングで削ってみよう」となりました。こうして縁を作りました。しかし、これだけではおもしろくない。「鉄板焼き屋さんのようにピカピカに鉄板を磨こう」というように、こだわりが出てきました。[鍛冶屋の頓珍漢]ミガキ鉄板S180ラージメスティンサイズの鉄板。購入者がSNSで実際に使っている様子を写真で投稿。宣伝効果に繋がっている。村下氏商売的な視点から見ると、磨いた鉄板は他社の表面を剥いでいない鉄板に比べ、利益が減ってしまいます。ですが、「どうせやるなら他所がやっていないおもしろいことをやりたい」となりました。目指したのは、キャンプ場や自宅で「鉄板焼き屋さんの鉄板」で焼いたお肉を楽しめること。セイコーでは鉄板焼き屋さんの鉄板を作った経験があるので、そのノウハウを活かしています。その結果、お客様にも大好評で「黒皮鉄板とは全然味が違うね」とおっしゃってくださいます。こだわり抜いた結果、美味しいお肉が焼ける鉄板が出来上がったのですね。村下氏はい。他にも、板厚を変えて試作を重ねました。板厚が厚いもので焼いた方が美味しいということは知っていたので、厚めの鉄板に絞って販売しています。本当はもっと板厚が厚い方がおいしいのですが、持ち運ぶことも考えて現実的な9mmをメインにしています。このように、楽しみながら製作して、利益も出る、というのは幸せですね。最初に「鉄板を作ろう」と発案したのは村下さんだとお聞きしました。その時の経緯について詳しくお聞かせいただけますか。村下氏お客様の製品を作った際に発生した、t4.5の巻いた端材がありました見た目が瓦みたいだったので、「瓦鉄板」という名前で売ってみました。とても小さいものだったのですが、おひとりさま用の鉄板としてメルカリで800〜900円ほどで出品してみたんです。社内では「こんなもの売れるのか?」と半信半疑でした。すると、なんと一瞬で売れました。需要があるので、これを元に作ってみようというところから始まりました。最初は半分冗談で売り出してみたのですが、予想以上にメルカリでヒットしました。その後、ヤフーショッピングやAmazonで販売しました。すると、すぐにYoutuberの方が購入してくださり、動画で紹介していただきました。その効果で、たちまちSNSで話題になりました。これにより、お客様に我々を見つけていただけることが増えました。今では特注のキャンプギアを作れないか、という案件もよく頂きます。素晴らしいですね。「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズはキャンパー向けの商品ですが、キャンプに行かない私でも、このシリーズの鉄板が欲しいです。村下氏キャンプにいかなくても、私は自宅で「鍛冶屋の頓珍漢」の鉄板を使っています(笑)お肉を美味しく焼けるのはもちろん、片付けも楽なんですよ。ホットプレートを用意して焼くと、プレートが大きくて準備も片付けも大変ですよね。それに比べると「鍛冶屋の頓珍漢」の鉄板は、コンパクトです。焼きたい時にすぐに取り出して焼くことができます。片付けも楽で、家族にも好評です。実際に見に行ってきました!原宿で開催された「FACTORY'S GOODs」で実際に「鍛冶屋の頓珍漢」の製品を見に行ってきました!こちらの動画もぜひご覧ください!お客様に喜んでいただきたい! 高い技術力とこだわりの品質フットワークを軽くして物事に挑戦できるというのは、小回りがきく工場ならではですね。村下氏はい。自分たちで色々なことに挑戦し、セイコーを知ってもらう。そこから、お客様から直接連絡をいただき、特注の依頼もいただける。お客様が喜んでくださるのであれば、なんでもやります。元々は、特注の様な仕事がほとんどですからね(笑)以前のインタビューでも、「基本的にできないことはない」とお話をされていました。今でもそのスタンスは変わっていないのですね。村下氏それは変わっていません。大企業の方だとしても、個人の方だとしても、お客様は平等です。今も、キャンプ用のテントサウナの引き合いを頂き、お見積もりをしたところです。現物を送ってこられて、「これと似たものを作ってほしい」という要望です。技術力には自信がありますから、基本的にどんな仕事も断りません。不可能を可能にする方法を考えるのも仕事です。ありがとうございます。最後に、今後の意気込みをお願いします。村下氏こういう時代だからこそ楽しく仕事ができるようにしたいですね。ものづくりをしながら、お客様も喜んでくれて、私たちも幸せな気持ちになる。そして、ご飯を食べさせてもらえる。そんな風にできたら最高だなと思います。まとめ株式会社セイコーは逆境に、正面から立ち向かう。その先に見据えるのは、お客様や社員、製造業全体が幸せになる未来だ。世の中の情勢が厳しくなったとしても、その熱い想いは変わらない。

  • Mitsuri|インタビュー

    コストではなく信頼で繋がる 株式会社栄進鈑金製作所

    株式会社栄進鈑金製作所は、山形県米沢市に加工から塗装まで一貫生産できる板金加工メーカーです。今回は代表取締役社長の間山幸光(ゆきみつ)氏にお話を伺いました。間山氏には、2018年に一度専務取締役としてインタビューさせていただきました。コロナ禍を経て今、思うこととは。取材日: 2022年11月10日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/eishin-bankin株式会社栄進鈑金製作所について所在地:〒992-0117 山形県米沢市大字川井491番地の7TEL:0238-26-9381FAX:0238-26-9382設立年:平成13年(2001年)代表取締役:間山 幸光取扱品:制御盤/操作盤/分電盤/簡易組立配線/各種カバー類/架台/レーザー加工(厚板加工/ステンレス/アルミ等精密部品加工)ホームページ:https://eishin-bankin.co.jp/品質(Q)と納期(D)で信頼(C)につなげる今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。2018年度のインタビュー時もお伺いしましたが、改めて御社の事業概要と強みを教えてください。間山氏当社の事業内容は、変わらず板金と塗装を一貫して行っています。強みも変わらず、大型の筐体をメインに作っております。近年の特徴としては、やはりここ2年ほどで関東付近を中心に東日本からの引き合いが多くなっています。コロナの影響で、板金屋や塗装屋を閉めているところが多くありました。しかし、近年では海外から日本へ工場を戻そう、サプライヤーを見直して日本国内で作ろうという流れがあります。それにより板金塗装屋が求められることが多くなっていると感じています。ニッチなところですが、尖ろうと思っている大型筐体製作を求めてくれる会社様は確実にいます。なるほど。コロナによる影響は悪いものばかりではないのですね。間山氏コロナの影響は受けず、うまく営業はできています。この影響もあり新規のお客様が増えました。今では建築業界が6割、あと4割はその他の業界という感じで、さまざまな業界からお引き合いをいただいています。既存のお客様からも変わらずお仕事を頂くことができています。その要因として、QCD*の、Delivery(納期)に関してはとても気をつけています。もちろん、Quality(品質)に関しても今我々ができる最高のクオリティで行っています。ただ、「C」に関しては、Cost(金額)ではだめだと思います。良いものを早く出そうと思ったらコストはかかってしまう。安く、というのは逆にできないというのは言っています。*「Quality」「Cost」「Deliverly」の総称。そうですね。弊社でも、安すぎる指値を要求されている案件を度々見かけます。間山氏見積りはうちの会社がやっていくための見積りです。ですので、それを安くするというのは「できません」と強気に出ています。我々がお客様に提示している「C」は、品質と納期を守ることによってConfidenceの「C」にしています。「信頼」という意味です。既存のお客様から信頼をうまく構築できたというところで、コロナ禍の仕事がない状況でも、我々には優先的に仕事をいただけたのかなと感じています。「Cost」ではなく、「Confidence(信頼)」の「C」。素晴らしいですね。納期を守るために工夫していることはありますか?間山氏納期に関しては、我々の強み、板金と塗装を一貫して行える点が生かされています。板金と塗装を一貫して行うことができる時点で、お客様が想定していたよりも短い納期を提示できます。DX推進と人材育成を重点になるほど。元々の納期がすでにお客様の期待している納期を上回っているのですね。間山氏はい。管理の面で、ここ4年で変わったことと言えば、社内で情報共有をできるようにしました。全部の機器をネットワークに接続して、サーバーを一つ置き、そこに必ずアクセスする仕組みを作りました。簡単なものですが、情報の「集中」と「共有」をしました。これをすることによってバックアップや一元管理という次の段階に進んでいけます。webサーバーを立ち上げて、webシステムを立ち上げて、そのwebから集中して入っていけるようにしました。IT企業ならまだしも、工場では一人一台パソコンを渡すことはないので、現場にパソコンを一台置いて工程管理表を見られるようにしています。また、3次元のCADデータを表示して、完成図を見られるようにしています。複雑な形状の製品があっても、完成図を見ることができる環境があるだけで全然違います。とてもDX化に対して積極的ですね。代表様がそのように積極的ですと、社員さんもついていきやすいと思います。間山氏はい。4年で変わったことは他にもあります。入れてみて一番有効だったのが、ビジネスチャットツールを入れたことです。課題の一つに、コミュニケーションの取り方を変えなくてはいけないという認識がありました。わざわざ人を集めて伝えるのは大変ですし、役職者を呼んで現場に伝えてもらうというのも伝言ゲームになってしまって全ての情報が伝わりません。これを考えると、チャットツールで直接、自分の言葉で社内に向けて発信することができるのはとても便利です。これを入れたことにより、情報共有がかなり進みました。板金屋は絶対入れた方が良いと感じます。ありがとうございます。以前にインタビューさせていただいた当時は、専務取締役として対応いただきました。代表になってビジョンや考え方が変わった点があれば教えてください。間山氏以前インタビューをしていただいたのは2018年の11月ですね。実際に代表になったのは2019年の4月からなんです。代表になって3年半が経っています。責任の重さがNo2とNo1では全然違う。これをヒシヒシと感じています。No2の時点でも生意気なことは言っていましたが(笑)責任を負うという立場は代表じゃないとわからないなと。当時から思っていたことを、より当事者意識を持って感じるようになったのですね。間山氏そうですね。あとは数字が全ての結果なので。数字を出すというプレッシャーはNo2の時とは比較にならないくらい感じています。代表になられて、改めて感じる課題はありましたか?間山氏専務時代から感じていることは変わってませんが、正直この業界は人気がない業界だと思っています。現場で溶接したりとか、粉塵にまみれたりとか。塗装していても汚れる作業なので辛い仕事だということは感じます。そうは言っても、板金と塗装はこんなにもいろんなものが作れるんだという面白さを伝えていかなくては!という使命感を持っています。なくなったら困る業種であることは間違いないので。次の世代にも伝えていくためにはどうすればいいのか、という課題を常に持っています。以前のインタビューでは、「人」にかなり重きを置いているという印象を持ちました。間山氏はい、その思いはずっと同じですね。今働いている人たちの生活の質をあげることは、定着率に繋がります。頑張っている分だけ給料を払ってあげたいし、お休みだって、他の会社さんと同じように休暇を与えたいですし。仕事は一人でできない、皆さんの力がなければ板金塗装は成り立たないので人を大事にしたいですね。4年前とはあまり変わってませんが、労働人口が減ってきているのは間違いありません。外国人労働者を採用するという方向にも進んでいかないといけないのかな、とも感じるのですが、まだまだ地場の人間、日本人で頑張っていきたいという思いもあります。魅力を伝えて選んでもらえる会社にしていくことが大切だと思っています。社員に好かれる会社、新しい人にも「いいな」と思ってもらえる会社を目指していきたいです。徹底した品質管理対策へ製品を製作する際に気をつけている点があれば教えてください。間山氏新規のお客様も増えてきたので、不具合の発生防止対策を強化するために、品質管理部門を今年から設立しました。もともと検査は行っていましたが、明確なルールがなく、担当者任せになっていました。これを、ルールを決めて取り組むようにしました。また、今までは営業に関する電話も、不具合に関する電話も私が対応していました。ですが、それでは不具合に関する知識が溜まっていかないので、不具合や納期に関する電話は品質管理部門が対応するようにしました。その後、品質管理責任者、品質管理担当者が中心となり、全員参加で原因の追求をします。対策やその後の流出対策の徹底についても同時に考えます。なるほど。ルールを決めたとのことですが、具体的にはどのようなものですか?間山氏まずは、製品の特徴に合わせ、重点検査箇所を定めました。そして、各工程ごとに検査方法を決めました。例えば、NCデータ作成グループであれば、データと図面をもう一度最後にチェックし、問題がなければ蛍光ペンで図面を塗りつぶします。不具合の流出を止めるため、完成した製品も板金の段階で製品を組み上げ、同じように現物確認作業を行っています。以前に板金業界全体の課題について、お伺いしました。コロナ禍を経験されてきた今、改めて感じることをお聞かせください。間山氏なかなか奥が深い質問ですね。先ほども言ったことにはなりますが、人気がない業界なのでいかに人気を出していくか、が課題ですね。例えばですが、この業界で有名な某工作機械メーカーさんなど、音頭をとって板金業界をアピールするようなイベントがあってもいいのでは?と思っています。当社は山形県米沢市という場所で行っていますが、いろんな板金屋さんがあってそれぞれ特徴や得意なものが異なります。そのような会社が一堂に集まって、展示会をやったら絶対できないものなんてないと思います。そのようなイベントに、人が集まれば「これ困ってたんだよね」というのが間違いなく発生しますよね。こういうのも、我々の業界をアピールしていくには有効なのでは、と思っています。魅力をアピールするということは、人を惹きつけるということにもなると思います。人不足と騒がれている世の中で、現場で作業したいという人たちも減ってきているのは間違いありません。楽しさを伝えるというのは、一つの使命だと思っています。まとめお客様のことだけでなく、板金業界の未来のことも考える。コストではなく信頼を与える。板金業界の楽しさを伝えたい。栄進鈑金製作所は未来を見据え、歩んでいく。

  • Mitsuri|インタビュー

    DX導入を進める浜石製作所でできる加工

    No Banner浜石製作所は愛知県豊川市にある金属加工工場です。ここでは、日々DX化を進め、業務の効率化をしています。今回はそんな浜石製作所で加工できるものを取材しました。愛知県で加工の依頼を検討している方はぜひ参考にしてみてください。浜石製作所について教えてください。梅本氏浜石製作所は高品質、低価格、短納期を大事にしています。これは、お客様との良い信頼を築くため。そのために、製作所では以下の3つをお客様に約束しています。・高品質対応CAMの自動化を導入しているので、安定して高品質のものづくりを実現しています。CAMのほかにも加工自体も自動で行っているので、ヒトが加工するよりもさらに正確な部品を提供できます。・低価格対応最新の技術によって省人化した環境のため、低コストでの提供が可能です。弊社ではコンピュータやソフトを使って人の単純作業を減らしているため、人件費のコストが抑えられています。・スピード対応これまでCAD/CAMに積み重ねてきた加工ビッグデータをもとに、図面ごとに最短で最適な加工が可能です。IT技術やソフトなどを導入をして、少しずつDX化を進めている段階なんですね。浜石製作所ではどのような案件依頼が多いのでしょうか。梅本氏いろいろありますね。強いていうなら設備系のものが多いでしょうか。案件依頼も様々なところからいただいています。(切削加工した部品の完成例)浜石製作所でできる加工はどんなものがありますか。梅本氏現在行っている加工は、マシニング加工と旋盤加工の2つです。梅本氏マシニング加工はCAMからNCプログラムに作成して自動で行っています。加工自体も自動で行えるので、人が携わるのはほぼ段取りだけですね。梅本氏旋盤加工も自動で行っています。マシニング加工と同様、CAMからNCプログラムに作成して段取り以外は全て自動で行っています。ちなみに現在は、NC旋盤の自動化のためのテンプレート作りも進めています。現在も不具合のあるところを調整しながら進めています。(NC旋盤)段取りの工程を除いた全ての加工作業を自動化しているんですね。浜石製作所では小ロットに対応していますか。梅本氏弊社では大ロットから小ロットまで対応しています。受注〜納品までの流れを簡単に教えてください。梅本氏先ほどお話しした通り、CAMは自動で作成を進めています。現在は段取り数を減らすための治具作りを行っています。次に段取り。今はバイスをメインに使ってます。加工範囲の制限がありますが、より簡単にできるので時短で操作ができます。現在は加工範囲の制限を広くするために、治具の作成を行っています。マシニング・旋盤は自動化に移行したので、加工する際に段取り以外で人はほぼ携わっていません。次に検査ですが、こちらは目視で行っています。ただ、弊社では紙の図面ではなくスマートフォンやタブレットから確認しています。部品に二次元バーコードを貼り付けているので、それを読み込むだけで案件の詳細ページに遷移します。そこに図面も取り込まれているので、逐一部品にあった紙の図面を探す手間が省けました。最後に梱包・発送ですね。梱包は今は手作業で行っていますが、いずれはここも自動化したいところです。また、発送は外部配送サービスを利用していて、先ほどお話しした二次元バーコードから送り状がプリントアウトできる仕組みにしました。納品先の情報を人が記入する手間が省けたので、間違い防止や時間短縮になりましたね。浜石製作所では、小ロットから切削・旋盤加工ができます。DX導入によって、低価格、そして高品質で部品を提供しているので、切削・旋盤加工にお困りの方はぜひお問い合わせください。

  • Mitsuri|インタビュー

    DX導入を進める浜石製作所がやってきたこと・目指すこと

    近年注目されているDX化。これはIT技術やデータを使ってビジネスモデルやサービスを変革し、高めていくことです。愛知県豊川市にある浜石製作所も、DX導入をしている工場の一つ。工場の省人化を目指して日々挑戦を続ける製作所です。今回は浜石製作所で行ってきた、DX導入に向けて現場がやっていること・やってきたことについて話を伺ってきました。浜石製作所がDX導入をした経緯DXを導入した経緯を教えてください。梅本氏私たちのミッションは、「未来の製造業をつくる」ことです。この50年でIT革命がおこり、情報技術が民主化されていきました。情報を届ける費用がゼロになり、無料で文章や音楽、動画を楽しむことができて、私たちの生活はどんどん豊かになっています。これから30年のITは、デジタルだけでなくアナログの世界にも影響を与えていくことになるでしょう。たとえば、AIやロボットが移動や農業、医療など、進化が遅かった世界を良い方向に変えていきます。私たちのビジョンは、その土台となる製造業をつくりかえて、全産業の限界費用をゼロにしていくことです。私どものミッションである“未来の製造業をつくる”をモットーに、無人工場を作り、人類の生活水準を向上させることを目指すためにDX導入をするに至りました。浜石製作所が目指す、工場省人化とは?DX導入と言っても行う業務は幅広くあると思いますが、浜石製作所が目指している「工場の省人化」とは一体どういうものなんでしょうか。梅本氏今、浜石製作所が目指している工場の省人化は、今まで人が行っていた単純作業をコンピュータに任せ、できるだけ人間でしかできない仕事に注力してもらうことです。そのためにさまざまなツールやソフトを用いて、今まで人が行っていた作業を徐々に移行していってます。DX導入が決定した際、現場の方々の意向や意見の食い違いはありましたか。梅本氏浜石製作所の人たちはDX導入に前向きな方たちなので、導入に対する意見の食い違いみたいなものはありませんでした。業務を進めていく上で最終的な目標がバラバラだと、どうしても一緒に作業することが困難になる場面が出てくると思います。浜石製作所ではそういった目標のすり合わせが序盤からスムーズに行えたので、現場の方々の新しいことを学ぶ姿勢には感謝しています。DX導入の下準備と変えたことDX導入する上で、まずは何から始めたのでしょうか。梅本氏まずは社長の大石と現場加工者で工場内の現状ヒアリング調査から始めました。現場の状況を理解することで、どの工程を自動化できるか思索しやすくするためです。具体的なヒアリング内容はどのような流れで行いましたか。梅本氏内容は、工具の種類、段取り、加工方法、検査、梱包、発送といった、製作〜納品までの細かい工程を一通り把握するための内容です。これらの流れから、まずはどの工程が自動化できるかを思案し、DX導入が始まりました。段取り:以前はバイスとハリの2通りの方法を使っていましたが、今はバイスがメインです。こちらは挟むだけなので加工範囲の制限がありますが、より簡単かつ時短で操作ができます。現在は加工範囲の制限を広げるための治具を試行錯誤しながら作っています。CAM:Catallaxy以前は手動で作成していました。浜石製作所にあるNC機械は3軸なので部品の加工面によって段取り数(材料の向きを変えること)が変わるのですが、自動で作成されたCAMとGコードを利用する場合、形状加工を一段取りで加工しなければいけないという制限があります。現在は段取り数を減らすための治具作りを進めています。検査:以前は加工ごとに図面通りになっているかヒトが紙の図面を目視で確認していました。このことにより、紙の図面を管理する手間や図面を探す時間が発生してしまいます。さらに図面と案件が紐づいていなかったため、記憶の範囲内でしか図面を出せませんでした。現在は、①mitsuriに案件が作成される(お客様が作成された図面)②mitsuriのシステム内で二次元バーコードが作成されるので、それをプリントアウト③材料にクリップで二次元バーコードを貼りつけして管理しています。検査の際にスマートフォンで二次元バーコードを読み込むと、案件の詳細が閲覧できるページに遷移するので、ワンステップで図面や納期といった必要な情報が確認できるようになりました。梱包:梱包に関しては、これから新たなシステムを導入していきたいと考えているところです。現段階では、商品を緩衝材で巻きダンボールに入れています。箱に隙間ができるような小さい部品のときは、箱の中でズレが生じないよう、さらに開いたところに緩衝材を詰めています。梱包は人の手で一から行っているので、いずれ自動化したいですね。大手ECサイトのような梱包が理想です。小さな部品もビニールでカチッと固定すればいいので、緩衝材を入れる手間が省けます。また、梱包材の削減をすることで部品の原価も削減できますし。(大手ECサイト梱包例)発送:以前までは住所、名前、電話番号といった配送に必要な情報を手動で入力していたため時間と手間がかかっていました。現在は外部配送サービスを利用しています。先ほどの検査で出てきた二次元バーコードから送り状を印刷のためのcsvをダウンロードし、外部配送サービスにアップロードするだけで、納品先の必要情報が記載された送り状がプリントアウトできます。最後に印刷した送り状をダンボールにそのまま貼れば完了するので、納品先の情報記入の工数が省けました。一つひとつの作業内容を細かくヒアリングをして、改善すべきところを最適化していっているんですね。ヒアリングの内容の他にもDX化した仕事内容はありますか。梅本氏現場のヒアリング調査の次に、CAD・CAMのソフトウェアの比較を行いました。自動でプログラム操作ができるかどうかを吟味し、それが可能なソフトを導入しました。また、CAMの自動化も行っていて、形状に合わせた工具の条件を自動で設定しています。あとは工場内の整理を行いました。使っていない工具や棚を処分して導線の確保をすることで、人がものを探す時間を減らし、一部品作るまでの人の動きを整理するためです。小さなことかもしれませんが、仕事場を整理して現場のみんなが働きやすくなってくれればよいです。現在進めている取り組み現在進めているDX導入はどのようなことでしょうか。梅本氏現在進めている作業は、人件費・機械の稼働時間の計測です。なぜ人件費の計測を行っているのでしょうか。梅本氏そもそもDXは加工に関わる製造原価の低下を目的とするためであり、その中で最も大きな費用は人件費であると考えています。そのため部品一つにどのくらいの人たちが関わっているかを数値として知るために、まずは人件費の計測を実施することにしました。計測しないと、今のやり方で人件費が高くなっているのか安くなっているのかわからないからです。梅本氏具体的な計測方法は、先ほどお話しした検査作業でも使っている、二次元バーコードを使って計測しています。段取りを始める際には加工指示書を見ながら作業するのが基本ですが、浜石製作所では材料についている二次元バーコードをスマホで読み込むと表示されます。指示書にアクセスすると開いた時刻が自動で記録される仕組みになっているので、段取り〜加工終了までの時間のログが取れます。さらに検査と梱包作業の際にも、二次元バーコードを読み取れば、それぞれ検査図面と配送情報にアクセスした時刻が記録されるので、段取り〜納品までにかかる時間が分かるようになりました。(二次元バーコードを読み取ってアクセスすると↓)(加工指示書・検査図面・発送先情報が記された画面が出る。)普段の生活で使っている二次元バーコードを利用して人件費を計測しているんですね。マシン稼働時間の計測はどのように行っていますか。梅本氏自動化が進むと人の労働時間が減り、マシンの稼働時間が増えるはず。つまり、機械の稼働時間を測ることで、自動化が進んでいる過程がわかるんです。労働時間を短くし、機械稼働時間が長くなって売り上げも上がれば、自動化は成功といえるでしょう。稼働中・完了・エラーをシステムが検知し、ランプを点灯させて、計測する仕組みを作りました。(パトランプ)梅本氏この方法を導入してから、機械の加工時間はもちろん、段取りの時間も把握できるようになりました。1日のマシンの稼働時間から加工時間と検査時間を引けば、段取りにかかった時間がわかる仕組みですね。現在は工場内にある4つのマシンのうち3つ導入していますが、今後は全てのマシンに導入する予定です。DX導入開始から現在までにかかった時間DX導入から現在までの作業に、大体どのくらいの時間がかかりましたか。梅本氏完全にDXの導入が完了したわけではありません。完成比率は10~20%程度ですかね。上記の工程を全て終えたのに大体9ヶ月ほどかかりました。現在は切削・旋盤をメインで自動化を行っています。板金や溶接なども導入していきたいと考えていますが、どこまで自動化を導入していくかはまだ明確ではありません。材料によって加工の方法は変わりますし、やれることは無限にあると考えていますので。DX導入を始めて変わったこと、成果の向上DX導入を開始してから変わったことや、成果の向上など、日々の業務で感じることはありますか。梅本氏まず、反復作業が減りましたね。大きなところでいうと、先ほどお話した配送情報の入力の手間が省けました。他にも、材料支給がある案件の場合、以前は材料がいつ届くかを生産管理画面で確認していましたが、その画面は手動で材料到着順に並び替えなければいけませんでした。現在は当日届く物をチャットツールに通知するようにしたので、当日にどの材料が来るのか簡単に確認できるようになっています。確認するための作業が減ると、業務の取り掛かりもよりスムーズになりそうですよね。人の労働時間や納品までの時間短縮などはありましたか。梅本氏労働時間や納品までの時間が短縮されているかどうかは現在検証中なので、具体的な数字はわかりません。今は自動で出力したCAMやGコードを試すために、あえて長い納期のものを受けているんです。そのため、自動化した結果、労働時間や納品までの時間の削減がわかるのはもう少し先になるかと思います。DX導入する上で大変なこと、難しかった作業DX導入をするにあたって、大変だったことや難しかったことはありますか。梅本氏僕の場合は、製造に関しての知識がほぼ0だったので加工技術の理解が大変でした。また、実際の現場で加工をしている人たちの中には、パソコンを全く触っていない人たちも多いようなので、効率よくパソコン操作を行うのがむずかしいと感じる人も最初はいるかもしれません。現場加工者の方たちが大変だったと感じたところはなんでしょうか。梅本氏現場の方たちで工具の選定は加工者同士で議論になることがあります。マシンに取り付けられている工具は加工内容によって、コーティングや刃物の種類を変えなければいけません。この工具の選定方法が人によって考え方が異なるため議論になってしまいますね。新しい工具を使いたいという意欲旺盛な方(良いことです!)もいるので、意見をまとめるのに時間がかかるケースもあります。その他には何かありますか。梅本氏自動でCAMを作る上で、毎回CAM作成ソフトの動き方を見ながら条件を指定することが難しいと感じています。自分がしたい削り方を自動で行えるように設定するのが特に難しいですね。また、最近導入したNC旋盤のテンプレート作りにも難儀しました。テンプレートとは工具の設定をまとめたものなのですが、一から自動化のためのテンプレートを作ったので時間がかかりましたね。現在も不具合があるので都度直しながら進めています。DXを導入する上で大切だと感じたことこれからDX導入をする方に向けて、何かアドバイスなどありましたら教えてください。梅本氏一番大切だと感じたのは、現状のヒアリングを丁寧にやっていくことですね。今行っている加工開始から納品までの流れが最適かどうか、最適であったら自動化できるところはないか、改善すべきところがあればどのように直していけば良いのか考えながら現場の調査をしていました。また、ヒアリングしただけでは気づけないこともあるので、指揮役と現場の人たちが同じ空間で一緒に作業することも大切です。現場で当たり前のように手作業で行っていた仕事が、実は自動化できることだったりしたので。さらに、一緒に仕事をしていく中で、こちらから自動化できる内容を提案したり、現場からも逆に提案してもらえたりできたら最高ですね。今後の目標、DX導入のゴールとは?浜石製作所の今後の目標を教えてください。梅本氏最終的には、浜石製作所のような無人工場が全国的に増えていくことが目標です。工場勤務は3Kと言われているように、世間的にはキツい仕事と思っている方もまだまだ多いかと思いますが、我々はそういったマイナスなイメージを払拭したいと考えています。自動化が進んだ工場が増えればもっと働きやすくなるので、製作工場に対するネガティブなイメージも少し改善できるかなと思っています。そのためにはまず、浜石製作所で自動化に向けての施策を日々重ねていきたいですね。工場を省人化したら働いている人たちはどうするのか、という疑問を持っている方もいるかと思います。現場の方々の今後についてはどのように考えていますか。梅本氏あくまで僕の希望ですが、今後自動化した工場が増えて全国展開した時に、浜石製作所にいる方たちは自動化の指導ができるような立場になっていて欲しいと考えています。そういった輪がもっと広まれば、日本中で自動化した工場がもっと広まっていくでしょうし。そうなれば最終的な目標である、無人工場を全国に増やすという目標達成にも大きく繋がっていけるのかなと思います。

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    オイルパンの製作を得意としている工場5選!

    「オイルパンの製作を依頼したいけど、工場がたくさんあるからどこに頼めばいいか分からない...」「取引のある金属加工メーカーからオイルパン製作の依頼を断られてしまった...」「現在利用しているオイルパンが破損してしまった...」車やマシンのオイルを溜める役割の「オイルパン」は、オイルの流出を防ぐ重要な部品です。オイルパンの製作を依頼するにあたり、「どういった基準でメーカーを選べばいいのか」、また、「どの工場がオイルパンを製作しているのか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方のお悩みを本記事で解決します!今回は、オイルパンの製作を得意としているMitsuriイチオシの加工メーカーを全国から5社ご紹介します。各メーカーのメリット・デメリットも併せてご紹介していきますので、これからオイルパン製作の依頼を検討されている方はぜひ一読ください。オイルパンの製作工程まずは、製缶板金の代表的な製品であるオイルパンの製作工程について見ていきましょう。オイルパンの製作方法には、主に①プレス加工にて製作する方法と、②製缶板金加工にて製作する方法の2つがあります。それでは、それぞれの方法について解説していきます。①プレス加工プレス加工では、深絞り加工にてオイルパンを製作します。プレス加工は、短時間で加工ができるため、大量生産する場合には適していますが、小ロットの場合には一個あたりの製品コストが高くなってしまうので適していません。また、深絞り加工では、シワや割れが発生する可能性も高く、注意する必要があります。②製缶板金加工製缶板金加工にてオイルパンを製作する方法は、小ロットでの生産に向いています。また、一般的にプレス加工では厚板を用いた加工が難しいと言われますが、製缶板金加工では、薄板から厚板まで幅広い材質に対応することが可能です。製缶板金加工でオイルパンを製作する加工工程は、次のようになります。製缶板金加工での加工工程①設計・図面展開②せん断加工③タレパン加工④バーリングタップ加工⑤曲げ加工⑥溶接加工⑦仕上げ加工そして、全ての加工を行った後には出荷前検査を行い、出荷となります。出荷前検査の項目としては、寸法検査、員数検査、目視による外観検査などが挙げられます。なお、オイルパンは、絶対に水漏れがないことが要求される製品であるため、欠陥(傷やクラック)や歪みの有無の確認が重要とされています。参考記事板金加工については、以下の記事でさらに詳しく解説していますのでご覧ください。⇒【板金加工】専門家が教える板金加工の「特徴・種類・材料」について! 井上商事株式会社引用元:井上商事株式会社①会社概要本社:福井県福井市日之出2丁目1番6号TEL:(0776)27-8380/FAX(0776)27-4581創業年:昭和22年加工:プレス加工、旋盤加工、切断加工素材:アルミニウム、ステンレスURL:https://www.inoue-s.co.jp/②会社紹介井上商事株式会社は創業70年を超える福井県の老舗加工メーカーです。主に、アルミを使用した建物に関わる資材の施工・販売を行っており、その確かな技術から、官公庁や病院など数多くの施工実績があります。特に、自社開発の「シルバーライン」は40年以上の耐用年数を誇るアルミ製品です。③メリット・デメリット福井県に本社を構えていますが、工場や支店を関東圏や関西圏、東北など計15か所に設けています。そのため、地方への対応も可能です。一方、アルミニウムの加工を得意とした業者のため、その他の素材については加工が難しい場合があります。ご不明な点があれば、ぜひMitsuriまでお問い合わせください。株式会社ミツヤ引用元:株式会社ミツヤ①会社概要本社:富山県小矢部市藤森5025番地TEL:(0766)69-1100/FXA(0766)69-7750創業年:平成4年加工:プレス加工、レーザー加工、旋盤加工素材:ステンレス、アルミニウム、鉄URL:http://www.kk-mitsuya.com/②会社紹介富山県に本社を構える株式会社ミツヤは、40台以上の加工設備を保有しているメーカーです。溶接やプレス、旋盤など様々な加工に対応しています。③メリット・デメリット株式会社ミツヤでは設計から製作、据付までを自社で一貫して行っています。そのため、低コスト、短納期での納品が可能です。「以前、他メーカーで依頼した際に思っていたよりもコストがかかってしまった・納期について不安が残った」、という方は、ぜひ一度ご相談ください。ただし、製品のロット数によっては対応していない場合があります。事前の問い合わせの際には、ぜひMitsuriをご利用ください。④製品事例株式会社ミツヤの製品事例をご紹介します。大型オイルパンステンレス製オイルパン株式会社中本鉄工引用元:株式会社中本鉄工①会社概要本社:石川県金沢市湊3丁目8番地TEL:(076)238-5111/FAX(076)238-4325創業年:昭和42年加工:曲げ加工、溶接、塗装、レーザー加工URL:http://www.nakamototekkou.co.jp/②会社紹介株式会社中本鉄工は、精密シートメタル・板金加工を主業務とした金属加工メーカーです。石川県に本社を構えています。こちらの企業は、品質と環境には強いこだわりがあり、特に、「品質」については国際認証を取得しています。③メリット・デメリット極少から大量ロットまで幅広くカバーできる加工メーカーです。そのため、「発注数によって依頼した工場に断られた」という方はぜひお問い合わせください。石川県の企業ですが、関西や関東など県外への納品にも対応しています。精密シートメタル加工に特化したメーカーであるため、その他の素材については対応が難しい場合があります。少しでもご不明な点があれば、ぜひMitsuriまでお問い合わせください。 株式会社協和工業引用元: 株式会社協和工業①会社概要本社:秋田県にかほ市象潟町字源蔵潟1番地16TEL:(0184)43-2211/FXA(0184)43-4564創業年:昭和24年加工:プレス加工、旋盤加工、鏡面研磨、切削加工素材:ステンレス、鋼板、スチール、URL:http://kyowa-i.co.jp/②会社紹介株式会社協和工業は、創業70年と大変歴史のある秋田県のメーカーです。工場内には50以上の加工設備を保有しています。③メリット・デメリット小ロットに対応しており、1個からの納品が可能です。試作も承っています。また、スピーディーな納期にも対応しているため、「特急での対応をお願いしたい」という方は、ぜひ株式会社協和工業へお問い合わせください。一方、秋田県にある企業のため、地方によっては納品が難しい場合もあります。ご依頼の際には一度確認することをおすすめします。④製品事例オイルパン薄板オイルパンまとめ今回はオイルパンの製作を得意としている工場を5社ご紹介しました。それぞれのメーカーごとに強み・弱みがあることが分かっていただけたのではないでしょうか。本記事があなたの金属加工メーカー選びの参考になれば幸いです。また、オイルパンの製作についてお悩みの時は、ぜひMitsuriまでご相談下さい。Mitsuriでは、オイルパンの製作に限らず、素晴らしい加工技術を持った全国各地の金属加工メーカー様とお付き合いをさせていただいています。現在、協力企業は140社以上ございます。そのため、お客様にとって最適な加工方法や素材選択のお役に立つことが可能です。オイルパンの製作でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

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    ヘアライン仕上げとは【専門家が語る】製品事例もご紹介!

    ヘアライン仕上げをご存知でしょうか。ヘアライン仕上げは、単一方向に細い線状の傷を付ける表面仕上げです。金属製の腕時計におけるマットな質感を与える外観部と言えば分かりやすいでしょうか。美しい外観のヘアライン仕上げですが、金属製品を取り扱っていたり金属加工業に従事していても、その詳細は分からないという方もいらっしゃるでしょう。仕事上で関わりがなくとも、キッチンシンクなどの購入の参考に知識を得ておきたい方もいるかもしれません。そこで、今回の記事では、ヘアライン仕上げとは何かというところからその詳細、また製品事例までご紹介していきます。ヘアライン仕上げとはヘアライン仕上げは、金属の表面処理の一つで、髪の毛のような細い線状の模様が単一方向に入った仕上げのことです。つや消しの効果があるため、映り込みは少ないですが、光沢や反射などの金属特有の質感は維持しています。素材としては、主にステンレスが用いられますが、銅や真鍮、アルミ、チタンなどにヘアライン仕上げを施すこともあります。ただし、銅や真鍮は、サビで変色してくるので、変色や風合いを出したい場合を除き、クリア塗装などのさらなる表面処理が必要となります。用途としては、建材、インテリア、キッチン、家電、装飾品、鉄道、精密機械などがあり、民生品から業務用品まで幅広く使われています。参考記事ステンレスのヘアライン仕上げについては、以下の記事に詳細がありますので、ぜひご覧ください。⇒ステンレスのヘアライン加工の種類や特徴について専門家が解説!ヘアライン仕上げの種類ヘアライン仕上げには、線状模様の細さや付け方によって、様々な種類があります。ここでは、そのいくつかをご紹介します。●ヘアラインこれは、メーカーによって違いはありますが、通常のヘアライン仕上げとして提示されるものです。●スクラッチヘアライン短い線状模様を付けたヘアライン仕上げです。少し粗い印象を与えます。●ヘアライン・クロスヘアライン模様をクロス状に付けたもので、和紙の風合いをイメージして加工したものです。●デザインヘアラインヘアライン模様を織物状に付けたものです。メーカーによりますが、デザインを指定してヘアライン仕上げを施すことも可能です。ヘアライン仕上げの加工法引用元:株式会社藤田ワークスヘアライン仕上げの加工法には、旋盤や研削盤、ベルト研磨機で研磨目を付ける方法、サンドペーパー(紙やすり)や研磨剤を用いて手作業でヘアライン模様を出す方法などがあります。旋盤では回転する材料に研磨工具を当てることで、研削盤では回転する研磨工具に材料を当てることで金属表面を削り取ってヘアライン仕上げを行います。一方、上の写真にあるようなベルト研磨機では、輪形状の砥粒研磨ベルトをベルト研磨機で回転させ、材料に当てることで金属表面を磨きます。特に、ヘアライン仕上げでは通常、P150~P240番の砥粒研磨ベルトで一定方向に磨いて模様を出します。手作業では、サンドペーパー、またはクロスと研磨剤を使用して一方向に磨くことでヘアライン模様を出すことができます。なお、研磨ベルトやサンドペーパーの表面には砥粒が付着していますが、この砥粒はJIS規格で定められており、粒径の大きい粗粒がP12からP220までの15種、粒径の小さい微粉がP240からP2500までの13種あります。一方、研磨剤に含まれている砥粒も類似したJIS規格で定められていますが、研磨ベルトやサンドペーパーの規格とは異なる規格です。Mitsuriでは、ヘアライン仕上げが可能な多くの研磨メーカーと提携しています。そのため、多様な種類のヘアライン仕上げが可能です。また、製品サイズやロット量についても幅広く対応できますので、ぜひご相談ください。ヘアライン仕上げのメリット・デメリット金属表面を物理的に加工する仕上げには、ヘアライン仕上げのほか、鏡面仕上げやバイブレーション仕上げ、エンボス仕上げなどがあります。ここでは、これらの仕上げ法と比較した場合のヘアライン仕上げのメリット・デメリットについて説明します。ヘアライン仕上げを除いた仕上げ法は、以下のようになっています。物理的な表面加工の種類鏡面仕上げ…鏡のように表面を磨き上げる仕上げ法バイブレーション仕上げ…ランダム方向に研磨模様を施した仕上げ法で、無方向性ヘアライン仕上げとも呼ばれるエンボス仕上げ…表面に細かい凹凸を付けた仕上げ法で、少しくもった質感を示す●鏡面仕上げ引用元:板金市場●バイブレーション仕上げ引用元:DENHOME●エンボス仕上げ引用元:e-kitchen.bizヘアライン仕上げのメリット・鏡面仕上げよりも傷が目立ちにくい・鏡面仕上げにはない滑り止め効果があるヘアライン仕上げのデメリット・線模様が経年劣化で薄れてくる・線模様の方向と直角方向の傷が目立ちやすい・バイブレーション仕上げやエンボス仕上げよりも傷が目立ちやすい参考記事鏡面仕上げの種類や特徴について、以下の記事に解説しているので、詳細を知りたい方はぜひご覧ください。⇒ステンレスの鏡面仕上げには種類がある?種類や特徴を紹介!ヘアライン仕上げの製品事例それでは、ヘアライン仕上げの製品事例を紹介していきます。以下の写真は、ヘアライン仕上げを施したステンレス(SUS304)製の板金パネルです。引用元:筐体設計・製造.COM次の写真は、丸パイプにヘアライン仕上げを施したものです。引用元:有限会社今岡製作所続くシステムキッチンの写真では、シンクやワークトップにヘアライン仕上げが施されています。引用元:P's supply homes以下の写真は、NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ハードディスク)ですが、天面がヘアライン仕上げのアルミパネルです。引用元:AV Watch次の写真のように、ヘアライン仕上げは、スマートフォンにもよく用いられる仕上げ法です。引用元:Gigazineまとめ以上、ヘアライン仕上げの詳細と製品事例についてご紹介しました。ヘアライン仕上げは、金属表面に線状の模様を付ける表面仕上げ法で、つや消しや滑り止め、傷を目立たなくするなどの効果があります。ステンレスに施されることが多く、建築物やインテリア、家電製品など、身の回りの様々なところで見ることができます。しかし、このヘアライン仕上げは、メーカーによって仕上げ可能な種類や仕上がり具合は異なります。ですがMitsuriでは、日本全国に協力工場が140社以上あるため、お客様のご希望に合わせたヘアライン仕上げのご提案が可能です。ヘアライン仕上げでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    削除予定 板金溶接について【専門家が解説!】素人でも3分でわかります。

    板金溶接とは、金属と金属を熱の力で溶接する技術です。そう言われても聞いた事も無い人がほとんど。自動車修理の板金塗装とは全く違います。板金溶接とは主に自動車製造修理工場、町工場から大手化学工業など、建設現場、建設資材などありとあらゆるところで、私達の生活においては無くてはならない存在であり、家の隠れているところや、普段から何気なく使っているものにも使われています。そんな重要な技術なのに、一般の人々には知られる事のない板金溶接の種類や用途についてまとめてみました。板金加工ならMitsuri板金加工でお困りなら是非、Mitsuriにご相談ください!Mitsuriなら、板金溶接を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。小ロットや個人での加工依頼OKの工場に絞って見積りすることも可能です。試作も大歓迎です!Mitsuriの協力工場は全国に130社以上あり、最適な工場を見つける事ができます!!さらにMitsuriには多数の板金加工実績があるため、安心して依頼できるんです。板金溶接でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)板金溶接の種類鈑金溶接といってもいろいろな種類の溶接があります。昔から伝わる伝統的な技術、歴史的建造物に使われていたりします。一方で化学技術の発展もあり、近代的な技術で溶接にかかる時間を大幅に短縮したり、作業を容易にする事で様々な分野で使われている溶接があります。そのな板金溶接の中でも今回は、アーク溶接、レーザー溶接、スポット溶接、スタッド溶接、ロウ付け、にスポットをあてわかりやすく解説していきます。アーク溶接引用元https://career-picks.com/wp-content/uploads/2019/02/545-e1549935484551.jpgアーク溶接とは多くの分野で使われている溶接法であり、小さな部品の溶接に向いている事もあり、身近な物にも使われています。例えば自動車、電車、飛行機、船、ビルなどです。アーク溶接とは空気中の放電現象(電流)、2つの電極に電圧をかけていく事で電流が発生し、同時に強い光、高い熱が発生します。この(Ark状)光をアークといいます。結合させたい金属(母材といいます)どうしの間に溶加材という接着剤になる、棒状又はワイヤー状の物を入れます。この時、母材どうしと溶加材は全て同じ素材(同じ金属)でなければいけません。母材にマイナス電極、作業者の持った方にプラス電極に大電流を流すと、アークが発生し、この高熱により溶けて接合されます。この時の温度は5000度〜20000度にもなります。アーク溶接で使われる機械は比較的に安価な物が多く、町工場など小規模事業者でも複数台所有し、同時に稼働する事で作業を効率的にできます。見積もり依頼をする(無料)レーザー溶接引用元http://www.yoshikawa-group.co.jp/cutwell/image/y_001.JPG レーザー溶接とは小学生の頃に誰もがやる、虫眼鏡を使って太陽光を屈折させ、1点に暖かい光を集めて紙を燃やす原理を使います。レーザーを集光させ、このエネルギーで金属も溶かしてしまうほどのパワーを得て加工する。上記のアーク溶接とは異なり、レーザー光はパワー、エネルギーの密度が高く違う母材を融解し溶接することができ、瞬間的に融解できるので作業時間を短縮することができます。またレーザーは制御が容易な為、精密な溶接が可能になります。高速で溶接し母材への影響が少なく済む為、従来では難しいとされていた薄い素材、ステンレス鋼などにも使用可能であります。レーザー溶接は他の溶接技術に比べ、母材への熱影響による、変形や劣化が起こりにくく、抵抗溶接で必要な、電極のメンテナンスも不要というメリットがあります。スポット溶接引用元http://www.tsuru.co.jp/images/tech_syk_sy_top.jpgスポット溶接とは2枚の母材を、上下から電極棒で挟み込み接触部を機械的に加圧し、発生した熱により母材内部で溶けて固まる事で溶接します。プレス制度が甘く、多少の母体間に隙間が生じるアーク溶接とは異なり、母材同士の密着率が高いスポット溶接は、低コスト、大量生産が必要となる自動車産業で広く採用されています。高い技術を持たない作業者でも綺麗に仕上げれる為、幅広いところで使われており、現在の物作りの現場に置いてはなくてわならないのがスポット溶接です。金属板、線材、メッシュなどいろいろな形状に合わせて溶接出来ることから電化製品など幅広く使われています。アーク溶接に比べ温度が低く、接合部分に熱の影響を受けないことで変形が少なく、加圧の効果により溶接部分の組織が良好のまま溶接できます。カンタン見積り依頼スタッド溶接引用元http://www.e-genba.com/search/file/191439935556.jpgスタッド溶接とは母材にスタッドを植え付けるイメージです。スタッドと呼ばれるボルトやピンを、銃のような専用ガンに取り付け母材に当てて、ガンと専用溶接機によって自動で溶接ができます。近年ではボルトやピンだけではなく、短冊などの多種の形状をした金属を溶接できる様になりました。スタッド自体が溶接材となり、太い断面積に安定したアークを発生し、一瞬で溶接できる事で熱の影響が少なく済み、溶接品質を保つことができます。驚くのはその時間です。ガンのトリガーを引くと、まさに一瞬でバンっと溶接完了です。しかしその速さ上、信頼性の問題もあります。母材とスタッド材を溶接する為、母材が薄すぎると溶接が出来ませんし、溶接済みのネジを回すとネジが取れてしまう事もあります。ロウ付け引用元https://www.kodama-good.com/technology/2016-11-01%2016.26.35.jpgロウ付けとは溶着の1種で母材よりも融点の低いロウ(合金)を、溶かして接着剤とします。ガスバーナーなどでロウを溶かし母材へ浸透し固まり溶接されます。ロウが凝固し母材同士を接合することから、複数の母材を接合できます。この技法は、はんだ付けとよく似ていますが、違う点があります。ロウが溶ける温度が違います。ロウ付け450度以上、はんだ付けは450度以下と接合に使うロウの溶解温度の違いと言うことなのです。ロウ付けは接合の強度が強く昔から伝わる技術で、奈良の大仏、アクセサリーなどに使われてきました。鈑金溶接にはさまざまな方法がある中で最も古く、古代エジプトの時代でも使われていた技術です。高額な機材や極めて難しい技術ではない為、近年ではDIYでも親しまれています。カンタン見積り依頼まとめ     いかがだったでしょうか?板金溶接と聞くとその言葉からは理解出来なくても、何度かは紹介した技法の中で見たことや、体験した事もあったではないでしょうか。家の中をぐるりと見渡しても、たくさんあると思います。日本の物作りは世界でも高い技術を誇ります。そんな物作りにおいて、鈑金溶接は重要な金属加工だとご理解いただけたと思います。最後までありがとうございました。     

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    【粉末冶金】徹底解説!加工工程・材料・メリットデメリットは?

    「粉末冶金」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。私たちの身近にある金属製品は、折り曲げたり、切断したりする以外にも、様々な加工方法で生み出されています。その一つに挙げられるのが、この粉末冶金(ふんまつやきん)。粉末冶金とは、粉状の金属を成形して焼き固め、金属製品を作る方法。今回は、この粉末冶金にフォーカスを当て、加工工程や使用する金属粉の生成過程、メリット・デメリットについて、ご紹介します。粉末冶金とは?粉末冶金の生産現場を追ったムービーをご用意しましたので、まずはこちらをご覧ください。粉末冶金は、金属粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結して部品を製造する技術です。聞きなれない方法かもしれませんが、例えば洋服についている金属製のボタンや、時計の金属バンドなど、私たちの生活の身近な製品に用いられている製造方法といえます。金型を用いて製造するため、小~中サイズの部品の大量生産に向いている技術です。粉末冶金の加工工程粉末冶金は、いたってシンプルな4工程で行われます。粉末冶金の加工工程①配合・混合②成形③焼結④後工程①配合・混合目的とする製品の性質に応じて、種々の金属粉末を決められた割合で配合し、混合機で均一に均します。②成形混合した金属粉末を、金型に注ぎ、自動成型機により常温で圧縮成形します。③焼結圧縮した成形体を焼結炉に入れ、融点以下の温度のガス内で加熱し、焼結します。④後工程精度や強度を高めたりする必要があるものは、後工程として、再圧工程・機械加工工程・熱処理工程を行い、完成となります。引用元:日本粉末冶金工業会粉末冶金の材料の種類とその生成方法材料として使用される金属粉末として、主に、純鉄粉、ステンレス鋼粉、高速度鋼粉、合金鋼粉、銅粉が挙げられます。他にも様々な種類があり、同時に生成方法も異なります。更には、同じ元素の金属粉でも、生成方法によって異なる特性をもつ金属粉が作られます。主に、粉末冶金用の金属粉の生成方法は3つあります。金属粉の生成方法①アトマイズ法②酸化物還元法③電解法①アトマイズ法アトマイズ法は、鉄や銅、アルミニウムなどの地金を溶かし、高圧のガスや水を吹き付けることで凝固させ、金属粉を作る方法です。溶解炉で溶かした金属を、小さなルツボに流し込みます。ルツボの底面の穴から流れ出た液状の金属に、高圧のガスや水を吹き付け、飛散・凝固させ、粉末状にして生成します。引用元:エプソンアトミックス株式会社②酸化物還元法酸化物還元法は、鉄や銅などの粉末生成において、微細な酸化物粉を水素・一酸化炭素・アンモニア分解ガスなどの気体で還元することで生成する方法です。還元温度や時間を調整することで、生成粉の粒度調整が容易に行えるので、成形性・焼結性の良い金属粉を得ることができます。③電解法電解法は、電気分解でマイナス極に粉末を析出させることで金属粉を生成する方法です。電気分解を行うと、通常、プラス極面では金属の溶解や酸素の発生が起こり、マイナス極面では金属の析出、水素の発生が起こります。この仕組みを利用して、金属粉を生成し、脱水、乾燥後、粒度別に分離して使用します。粉末冶金の特徴粉末冶金のメリット①成形性塊状では加工が難しい金属や、難溶性の材料でも成形が可能です。また、成形後の追加工を必要とせずに完成品に仕上げることができる(これを「ニア・ネット・シェイプ」といいます)ため、歩留まりが良く、更には複雑な形状にまで成形することが可能です。部品一体化も可能なので、コスト低減にもつながります。②組成自由度金属粉末の配合を自由に組み合わせることができるため、目的に応じて様々な特性を持たせた製品を作ることが可能です。③軽量性加工過程で気孔を含むため、密度が真密度(100%の状態)よりも小さくなり、部品重量を軽減することができます。④潤滑性金属粉末の粒子の隙間である気孔に、潤滑油を行き渡らせることで(含油軸受)、効率の良い潤滑が可能になります。⑤省エネ性金型に充填した粉末が押し固められて製品の形状になるという加工特性から、素材のロスが非常に少なく、省原料・省エネルギーにつながります。粉末冶金のデメリット①原料価格通常の金属は、塊状よりも粉末の方が高価な場合が多く、そのため、金属粉末を使用する粉末冶金では原料価格が高くつく場合がほとんどです。②粉末挙動水溶液のような流体と異なり、粉末は成形時に高さ方向に密度差(気孔のばらつき)が生じます。そのため、強度が部分的に異なったり、重心が中心に定まらないこともあります。③強度等の機械的性質長所の「③軽量性」で挙げたように、密度が真密度よりも小さくなる特性があります。このように、真密度の状態よりも気孔があることで、強度等の機械的性質が劣ることが想定されます。④形状制限金型を使用する加工であるため、加工の大きさと粉末の動きによって形状が制限されます。そのため、大型形状の製造は困難といえます。粉末冶金の製品例冒頭で例に挙げた金属製のボタンや、時計の金属バンドなどの他にも、油を漉すための金属フィルターや、電動カミソリの外刃なども、粉末冶金で作られたものです。また、加工上の特性から、自動車や機械の歯車など、小型で形がやや複雑な部品にも使用されています。金型を使用するため、コンパクトで大量生産が求められる部品に多く用いられています。引用元:浦和冶金工業株式会社一流の板金加工業者に発注しませんか?「粉末冶金」は、あまり耳にすることのない製造方法ですが、機械部品に限らず、日用品の一部としても、私たちの身の回りで使用されている技術といえます。材料となる金属粉の製造に始まり、様々な過程を経て、製品の完成に結びついていることがわかりました。今後、更なる加工技術の発展に伴い、粉末冶金がどのように進化していくのか、期待したいですね。

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    ねじ切り加工とは?意外と知らないねじの作り方を分かりやすく解説!

    価格が安くなるねじ切り図面の書き方についてはこちら!価格が安くなるねじ切り指示の書き方を解説しています!20〜30%ほどの低減につながる可能性がございますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!Youtubeにて、金属加工Mitsuriチャンネルを運営中!こちらからご覧ください!皆さんは「ねじを切る」と言う言葉を知っていますか。「ねじを切る」とは金属を削ってねじのギザギザしたところを掘ることを言います。つまりねじの下の部分を作ることですね。今回のテーマである「ねじ切り加工」では、そのねじ切りの方法や工具の種類などを金属加工のことを何も知らない方でも分かりやすいように解説していきます。普段何気なく使っているねじがどのようにして作られているのか、この記事をきっかけに知る良い機会になればと思います。ねじ切り加工の長所・短所冒頭でも話した通り、ねじ切り加工とはねじのギザギザを作る加工のことです。ねじのギザギザのことをねじ山と言います。ねじ山とは頭部の出っ張ったところではないんですね。ねじ山のギザギザは切削加工や塑性加工などの方法で、金属の棒を削ったり変形させたりすることで作られます。keyword①切削(せっさく)加工…素材を切ったり削ったりする加工のこと。②塑性(そせい)加工…素材に大きな力を加えることで、目的の形に変化させる加工のこと。曲げたり押し潰したりします。ではまず、ねじ切りがどういうものか手っ取り早く知るために、実際に加工の様子を動画で見てみましょう。一概にねじ切り加工とは言ってもその方法は様々あるので、今回の動画はあくまで一例です。動画のねじ切りの方法は金属を削って作る切削加工ですね。切削加工によるねじ切りの長所・短所切削加工は塑性加工よりも多くの種類のねじを作ることができ、その削ったり切ったりする作り方から元の金属よりも小さなねじを製造します。短所としては素材を削って作るため切りくず大量に出る点と、刃物を多用するので新しい刃に変えるたびにコストがかかる点です。塑性加工によるねじ切りの長所・短所一方、塑性加工は切りくずが出ない方法で、削らないぶん素材の太さを確保したままのねじができます。ただし、短所としては金型を用意する必要があるため、金型の費用と金型作成の時間がかかります。金型とは画像のような製品を一定の形にするためのものです。引用元:金型って何?切削加工で作るねじも塑性加工で作るねじも、上記の通り長所・短所があるため、作るねじの大きさや種類に応じて加工の方法を選びます。それぞれの加工の仕方は後ほどの項目で説明しますが、どちらも安価かつ短時間で製造でき、大量生産が可能になっています。おねじとめねじねじにはおねじとめねじというのがあります。ねじと言えば、一般的に使う種類ではドライバーで締めるタイプのものをみなさん思い浮かべるでしょうか。部品を組み立てる時に固定したりや機械の調子が悪くなって解体する時に外すものですね。適当に床に置いてしまい、なくして探すのに苦労した経験は誰にでもあるかと思います。その一般的なねじの方をおねじと言い、めねじはそのおねじに組み入れるねじのことを言います。めねじの方もそれほど珍しいものではありません。画像をご覧いただけると分かるように、おねじは外側に線状を作り、めねじは中をくり抜いて作られます。引用元:amazon Narse ☆ Yome また、ボルトとナットもおねじとめねじにあたります。ナットもねじの種類の一つなんですね。形状からはあまりねじとは言えない形をしているので、少々意外に思う方もいるかもしれません。おねじとめねじを作る方法おねじとめねじを比較的簡単に作る工具にダイスとタップという道具があります。おねじを作るときはダイスとダイスハンドルという工具を使い、めねじを作るときはタップとタップハンドルいう工具を使います。ダイスとタップを使ったねじ切り加工は、一つの道具で一つの寸法しかできないので他の寸法のねじを作りたい時は複数の工具が必要になります。下の動画は、おねじとめねじを作っている様子です。ねじ切りは工場で大掛かりな機械を使わないとできない印象がありますが、やり方さえ覚えれば誰でも日曜大工の感覚でねじを作ることができるのです。手順や工具の種類の多さなど少し取っつきにくいところがありますが、職人芸並みの難しい技術は必要なさそうですね。とは言え、動画ほどの手際のよさは初めてですとなかなか再現できないと思いますので、上手く加工できるようになるには何度もやって慣れていく必要があるでしょう。なお、加工の時に過度に力を入れ過ぎるとねじがつぶれたり工具が折れてしまうことがあるので、実際にねじ切りをする場合は切削油を使いながら行い、無理に回したり押し込まないように注意してください。いろいろなねじ切りの方法先ほどの紹介は手作業による加工でしたが、ねじ切り加工にはもちろん機械を使った方法もあります。主な方法としては、最初の項目で説明した金属を削って作る切削(せっさく)加工と金属の形を変えて作る塑性(そせい)加工の2パターン。ねじの材料には金属だけではなくプラスチックスや樹脂などもありますが、今回は金属で広く使われている方法をいくつか紹介していきます。機械を使用した方法①旋盤を使ったねじ切り加工②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工③塑性加工によるねじ作り①旋盤を使ったねじ切り加工旋盤という機械による方法はねじ作りの中でも代表的な加工方法で、工業高校の機械実習でも入門編として使われます。記事の最初の方で見た動画が旋盤を使ったねじ切り加工ですね。おねじを作る時は金属の外側を削る外径ねじ切り旋削(せんさく)で、めねじを作る時は内側を削る内径ねじ切り旋削で行います。引用元:モノタロウ旋盤でのねじ切りは自動で加工する機能があるため、加工の様子を見ることができる外径ねじ切りは比較的容易にできます。内径ねじ切りも基本的には外径ねじ切りと同じ方法ですが、金属の中を見ることができないので多少加工の難易度が上がります。この実習でも使われるほど容易にできる旋盤を使った加工ですが、実はこの方法には欠点があり、旋盤によるねじ切りは機械加工ではあるものの、加工の仕方から大量生産向きではありません。ねじという、どの製品にも必要な部品が大量に生産できないのは、困りものですね。そこで登場したのが下の画像のNC旋盤というハイテクな機械。引用元:NC networkこれを使えば回転速度の設定や加工中の工具の移動などが自動で行われるので、一度設定すれば人の手を介することなく大量生産ができます。プログラムさえ作成してしまえば加工の開始から終了まで全自動なので、非常に効率的にねじが作れるのです。加工中に出る金属の切りくずの処理もしなくてよいので面倒がなく楽ですね。②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工ねじ切り盤はねじ切り加工に特化した機械です。旋盤はねじ切り加工専用の機械というわけではなく他にも様々な使い道があります。一方、ねじ切り盤は特化しているだけあって、この方法では日常でよく見かけるねじとは異なる大型のねじを製造します。ねじ切り盤で作られるねじは、橋やコンクリートの建物に埋め込まれる耐震補強用のアンカーボルトや水道・ガスで使用される配管などに使われます。画像で見る大きな鉄の棒やナットは、もはやねじと言えるか怪しいほどですね。ねじ切り加工の技術は土木や建築、はたまた水道の分野でも活かされているのです。③塑性加工によるねじ作り大きなねじの作り方の次は小さなねじの作り方です。子ねじと呼ばれる小型のねじは、旋盤などで削って作ることはせず、圧造という塑性加工の方法で作られることが多くなります。もし小さなねじを作るために削ろうとすると、当然小さな金属から生成することになるため、普通の大きさのねじよりも素材となる金属を多く削り取ってしまうことになります。それでは明らかにコストの無駄になってしまうので、切りくずを出さずに製造できる塑性加工が用いられるのです。前の項目でも説明した通り、塑性加工は金属を潰して変形させる加工方法です。潰して変形させると言うとイマイチ作られる様子が想像できませんが、次のgifを見ていただくと分かりやすいかと思います。引用元:森岡産業株式会社上の動きの作り方はダブルヘッダー加工と言います。パンチと呼ばれる赤色の部分の金型で、素材となる金属の棒を押し潰してねじの頭とドライバーを入れるくぼみの部分を成形します。ねじの頭部ができたら、次は肝心のねじ山の部分を作っていきます。ねじ山を付けるには、下の画像のようにねじを工具の間に挟み、ギザギザの跡を付けるように押し込みながら回転させていきます。引用元:モノタロウこの方法を転造と言い、その転造のタイプには平らな工具を使う平ダイス転造や丸い工具を使う丸ダイス転造、平ダイスや丸ダイスよりも生産能力が高いセグメントダイス転造などがあります。圧造は金属を圧縮させて作り、転造は転がして作るという漢字の通りの方法なので覚えやすいですね。塑性加工による製造は、小ねじだけでなく大きめのねじや太いボルトなどのねじも製造が可能です。金属内部の繊維を切断しないため、ファイバーフローという耐摩耗性に優れたねじができるというメリットもあります。また、塑性加工は金属を数回加工するだけででき、しかも機械で自動的に作ることができるため、切削加工よりも短い時間で加工できます。非常に大量生産向きの方法なんですね。ねじはどんな分野のどんな製品でも使われる部品なので大量生産が必須です。そのためできるだけコストと時間を抑え、効率的な製造方法が求められるのです。まとめ今回の記事はねじ切りの方法やおねじ・めねじについてなど、ねじを加工する中でのギザギザを付ける部分に焦点をあてた内容でした。他の部分やねじ全体の解説はまた別の記事で紹介させていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • Mitsuri|インタビュー

    限界を超える試作専門工場 クロダ精機株式会社

    クロダ精機株式会社は、長野県下伊那郡にある試作専門の板金加工メーカーです。その特性上、短納期を求められることが多く、工場は年間350日稼働をしています。プレス加工品の試作を主に行っており、技術上、難しいものでもどうしたら製作できるかを常に考え、限界を超えていくことを目指しています。今回は代表取締役社長の佐々木俊一(ささき しゅんいち)氏にお話を伺いました。佐々木氏には、2018年に一度、インタビューをしています。コロナ禍を経て今、思うこととは。取材日: 2022年11月15日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/kurodaクロダ精機株式会社について所在地:〒399-3202 長野県下伊那郡豊丘村神稲(クマシロ)9268-1TEL:0265-35-1101FAX:0265-35-1103設立年:1970年(昭和45年)4月代表取締役:佐々木 俊一事業内容:精密プレス部品試作ホームページ:https://kurodaseiki.co.jp/試作専門会社として経営すること今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。2018年度のインタビュー時もお伺いしましたが、改めて御社の事業概要と強みを教えてください。佐々木氏プレス部品の試作を専門にやっています。基本的には試作品のみの製作を行っていますので、珍しい業態かもしれません。試作は利益的に美味しい、というのは一般的に言われており、良いところばかりと思われるかもしれませんが、悪い面もあります。もちろん試作そのものの利益は出ます。しかし、試作は生産計画が無く安定性がありません。ですので、試作だけで経営を安定させるのはとても難しいことなのです。試作だけで売上を立てていくことはとても難しいことなのですね。試作専門で経営を行うために何か意識していることはありますか。佐々木氏とにかく幅広く、全国のお客様と関わるようにしています。そうしないと、一社の試作をメインに対応していたとして、その会社が「試作はやりません」となった場合に売上が立たなくなります。お客様の会社方針で試作をやらないとなった場合や、業態転換をされた際にお仕事がなくなってしまいます。ですので、展示会への出展を中心に、常に新しいお客さんと繋がることを大切にしています。ありがとうございます。御社のHPを拝見すると、とても難しいものを製作されているように思います。佐々木氏近年は試作品自体が非常に難しくなってきていますし、お客様の要求も厳しくなってきたと感じています。試作と言っても、以前は「それっぽい形ができていればいい」という風潮がありました。しかし、近年は難易度が高い試作でも「試作品で評価するので、図面通りじゃないと困る」「設計が確かなものか確認するので、設計通りのものがないと試作として使えない」とよく言われます。難易度が高い試作を作ることは難しいですが、品質的に良いものを求められているのでついていかなくては、と思っています。佐々木氏ただ、作り込みすぎると「無理に作るな」と怒られることもあります(笑)試作はできたけど量産はできなかった、という状況になってしまうからです。ですので、技術的に難しい部分は正直に伝えるようにしています。同じ機能であれば簡単にした方が量産も簡単にできるので。一時期は意地で図面通りのまま、試作品を作っていました。しかし、難しい点はお客様に伝えて試作をやってかないと、ただものを作るだけの試作屋さんになってしまいます。試作品は開発途中のため、自由度が高いです。そのため、お客様と一緒にものを作り上げていくようにしています。単純に出来上がったものだけでなく、「相談もできるし提案もしてくれるので、少し高くてもクロダ精機にお願いしたい」と仰っていただけます。限界を超えすぎてもいけないのですね。他に強みがあれば教えてください。佐々木氏短納期に対応できる体制を整えています。試作を専門にしていると、「設計はいつもギリギリまでかかるけど組み立ての日は決まっています」というように、短納期を求められることも多いです。そのため、基本的に当番制にして土日も動かし、年間で350日稼働しています。金曜日に図面をもらって月曜日に納品ということも可能な限り対応できるように体制を作っております。コロナ禍の工場経営コロナになって自動車の工場がストップしてしまったと聞きました。打撃は大丈夫だったのでしょうか。佐々木氏全然ダメでしたね。去年の夏は東南アジアでかなりコロナが流行し、ロックダウンになりました。日本の自動車は東南アジアで部品を作成しているものが多かったようで、これにより生産が止まってしまいました。部品がないので車は製造できません、というわけにはいかないので、メーカーの方は国内に急遽ラインを作って製作していたようです。この期間はメーカーが試作どころではなくなってしまい、一時期は試作の依頼が減りました。試作自体がなくなってしまった、というのはなかったのですが、先送りにして車の製造を優先する、という感じになっていましたね。ただ、リーマンショックを経験していたので、当時と比べると今回は気持ちの余裕がありました。当時の方がより酷かったですね。今回も全然楽ではありませんが、「リーマンショックを乗り越えたのでなんとかなる」という気持ちがあります。終わりが全然見えないのは少し辛いですが。以前のインタビュー時では、代表という立場になられてわずか半年でした。4年ほど経験されてきて何か、考え方や心境の変化はありましたか?佐々木氏自社製品を作れたらおもしろいと思っています。自社製品だと、「こんなふうにすると可愛いよね」「こういう機能を持たせたらもっと便利だよね」「こうしたらうけるんじゃないか」という発想になると思います。現在は、図面通りに作ってお客様に喜んでいただくということを行っており、「どうしたら図面通りに製作できるか」という考え方です。このように、自社製品の製作は、図面通りの物を製作することとは全く違う思考回路だと思います。この発想は、他のものづくりの場面で活きる気がしています。普段とは違う発想をする機会を作ることにより、相乗効果が見込めるということですね。とても良さそうです。佐々木氏はい。昔は自社製品を作ることはできても販売ルートがありませんでしたが、今はECサイトなど方法がいくらでもあるので挑戦していきたいと思っています。代表になって感じたことは、やはり人や会社の雰囲気作りが大事だと思っています。言い方が適切かわかりませんが、社風を作ると「楽」だと思います。例えば、「納期を守りましょう」という当たり前が昔からあります。「納期を守りなさい」というのは誰も言いませんし、指導をする必要もありません。入社した瞬間に「納期を守ることは当たり前」という雰囲気になっているので。このようなものが自然に先輩から後輩に受け継がれていくことができれば、高い水準の「当たり前」な社風が自然とできて、良い環境になると思っています。佐々木氏また、コロナ禍になり、約一年間、展示会が無くなりました。以前は、弊社は開催されている展示会へ積極的に出展していました。コロナ騒動が落ちついてきて、久しぶりに出展した際に、「やはりこのような活動は大事だな」と思いました。展示会へ参加できていない間に、かなり自分の視野が狭くなっていることに気づきました。今では、ネットでなんでも情報が手に入りますが、結局自分が興味ある情報しか引っ張ってくることができていないんですよね。視野を広げるためには、色々なところに出て様々な人と話さないと、気づかないうちに自分だけの世界になっているだろうなと感じました。展示会では、新規のお客様と取引は生まれますか?佐々木氏弊社の場合、すぐにお取引が発生するということはあまりありません。展示会でお会いしたときに、「丁度困っていることがある」というお客様もあまり見受けられません。それよりは、「前に解決できなかったものを解決できる企業を探しておこう」というお客様が多いと感じます。特に試作の場合は案件がある時とない時があるので、常に試作があるというお客様は滅多にいません。展示会は種まきだと思っているので、とにかくたくさん種をまいておきます。そうすると、1〜2年後に「当時の展示会でご挨拶させていただきました。こちら検討していただけませんか。」という連絡をいただくことがあります。困った時に連絡いただければ嬉しい、という気持ちで活動しています。日本一の試作屋になるために今後の御社の目標についてお聞かせいただけますか?佐々木氏10年後に、日本一の試作屋さんになろうというビジョンを持っています。日本一と言っても、規模や売上の日本一を目指すわけではありません。お客様や社員さんにとっても、日本で弊社にしかない価値のある会社になろう、という意味です。ナンバーワンではなくオンリーワンを目指しています。例えば、「弊社に仕事をお願いしていてよかった」「弊社で働いていてよかった」など。このような点で日本一というのを目指したいです。何か目標に向けて取り組み始めていることはありますか?佐々木氏人事評価システムをきちんと作ろうと思っています。ある社員さんが「会社がどのような方向に進んでいくかわからず、自分がどうしたらいいかわからない」という声を聞きました。会社のビジョンはあるのですが、それが自分よりもはるか上の方にあって当事者意識が感じられないのかなと考えています。その目標に向かって、自分がどのように関わっていけるかを明確にできるような人事評価システムを作りたいと思っています。具体的な小さい目標を立ててもらい、それに対して評価します。すでに人事評価の項目の定型ができていて、それに◯や×をつけるのではなく、個人の目標を評価する仕組みにしたいと考えています。それだけでは評価できないその人の良さというのがあると思うんです。例えば、「仕事はいまいちだけどムードメーカーを担ってくれている」など。このような人も必要ですよね。ありがとうございます。以前に製造業全体の課題について、お伺いしました。コロナ禍を経験されてきた今、改めて感じることをお聞かせください。佐々木氏コスト競争が激しいので、将来、日本の工場が生き残っていけるのか心配です。特に機械加工よりも板金加工はこのような傾向が強いように感じます。弊社はプレス加工部品を設計しているお客様が多いので、正直わからない点も多々ありますが、機械加工よりも板金加工では精度を出すことが難しくここまでしかできない、というものが多いのではないでしょうか。「ここまでしかできない」というのも、限界を超えていかないと先が不安かなと。弊社は小さいものに特化し、限界を超えていくことを心がけていますが、大きいものはどうなのかが気になりますね。板金の技術を活かしたおもしろい自社製品を作っている会社はありますが、ここを見ているのはどのくらいの人たちがいるのか。みんなで新しいものや技術を生み出して製造業を盛り上げていきたいです。まとめ目指すのは、オンリーワンな会社。限界を超えることは、製造業を支えることにもなる。クロダ精機株式会社は、お客様や社員の声を聴きながら、日本一の試作屋の道を歩む。

  • Mitsuri|インタビュー

    金属加工技術をブランディングする 株式会社セイコー

    株式会社セイコーは、愛知県小牧市にある板金加工メーカーです。精密板金、建築金物の製作、施工から、パイプ曲げ、機械加工まで、あらゆる加工を自社で手がけています。その幅広い技術力を活かし、2020年に自社製品「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズが誕生しました。今回は、代表取締役の村下正樹氏にお話を伺いました。村下氏には2018年に一度、常務取締役としてインタビューしています。コロナ禍を経て、いま思うこととは。「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズ誕生の裏話にも迫ります。取材日: 2022年11月10日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/seiko-ltd株式会社セイコーについて所在地:〒485-0076 愛知県小牧市三ツ渕原新田433番地TEL:(0568)-73-2939FAX:(0568)-73-5789設立年:昭和58年9月6日代表取締役:村下 正樹事業内容:車輌、航空機、建築、遊戯機器用金属製品の加工及び施工(ステンレス、スチール、アルミ、銅、真鍮、 チタン)ホームページ:https://www.seiko-ltd.com/逆境に立ち向かう中で生まれた自社製品「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズ今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。村下さんにお話を伺うのは、2018年のインタビュー以来ですね。2020年以降、コロナという一大事がありましたが、影響はありましたか?村下氏全く先が見えなかったので、心配でした。コロナが流行してからの一年間はあまり変わりませんでしたが、二年目から徐々に影響が出始めました。具体的には、他社に安い価格で仕事を持っていかれる、ということを経験しています。仕事が無くて暇になり、単価を下げて対応する会社が増えました。単価は下がり、原材料費や経費は高騰し、どんどん町工場は疲弊していく。結果的に誰も得しない状況になっていくのが、目に見えてわかりました。日本には、いい技術、そして知的財産を持った職人たちがたくさんいます。しかし、このままでは日本のものづくり、製造業はなくなってしまう。この国の未来が危ない、と感じました。ですが、黙ってこの状況を見ているだけでは何も変わりません。だからこそ、常に時代の変化を見据え、新しいことに挑戦していきたいという思いで、自社製品の開発や、webサイトのリニューアル、新規顧客の開拓に励みました。メディアでも多く取り上げられている通り、御社ではBtoC商品を生産していますよね。これもその問題に向けた取り組みなのでしょうか。村下氏はい。2020年から「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズを生産しています。おかげさまで、今でも多くのお客様にお買い上げいただいております。[鍛冶屋の頓珍漢]ミガキ鉄板Z152T9「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズの人気商品。厚さ9mmの本格鉄板となっており、低温でじっくりと肉に熱が伝わることで美味しく焼ける。メスティンに収納できるコンパクトなサイズ。村下氏価格を下げて受注すると、我々の加工技術を自ら安くすることになってしまいます。自分たちで自分たちの商品の価値を下げる行為はやめなければいけません。また、それを継続していくと最終的に利益が無くなり、持続可能な取引ではなくなってしまいます。この問題は、我々だけではなく製造業全体で真剣に考えなくてはいけません。これからは、自分達の加工技術を自らブランディングしていかなくてはいけないと思います。コロナ禍によるコスト重視が加速しているという問題もあり、自社で積極的にブランディング、新しいものを作るという方向に至ったのですね。村下氏そうですね。何か違うことをやっていかなくてはいけない、という想いがありました。工場を所有していてモノを作れる環境があることは、最大の武器だと思います。私は商社にいたことがあるので、商品化にとても時間がかかることを経験しています。工場を所有していない会社ですと、試作開発を他社に依頼する段階から始め、売れなかった場合のリスクについて検討する必要があります。結果、挑戦したくても実現出来ないことが多く、夢や希望を叶えられないことが多々ありました。それに比べ、自社で作れば在庫を持つリスクもなく、売れなければすぐに辞められます。その上、すぐに試作できるのでスピーディな開発ができます。このスピード感と色々なことに挑戦できる環境を生かさない手は無いと思い、始めました。このスピード感とブランディング力、大変勉強になります。村下氏おもしろいですよ。普段、私たちの仕事は消費者の声が届いてきません。声が届いたとしても、不具合が発生した時ぐらいで「あの製品良かったよ」と褒められることは滅多にありません。しかし、「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズの製品に関しては、SNSでお客様が喜んでくれて褒めてくれます。それを見ると現場の職人も、私も、とても嬉しいし幸せな気持ちになります。私たちの技術やノウハウを使って製作したものを、お客様が直接買ってくださる。私たちの技術を正当に評価してもらえる。「売ってよし、買ってよし、使ってよし。」これが本来、ものづくりのあるべき姿だと思います。このような風潮をどんどん広めていきたいです。また、こうした取り組みはこれからの人材採用に向けて、アピールにもなります。「この会社は思ったことを形にできる」「おもしろいものを作ったら商品化できる」というように。仕事中に、業務としてお肉を焼いて食べられる金属加工工場は滅多に無いと思います(笑)試作段階でもきちんとお肉が美味しく焼けるか、実際に焼いて食べないとわからないからですね!楽しそうですね。村下氏はい。工場で焚き火をして、お肉を焼いてみんなで食べています。最初は、平たい鉄板を縞板で作ってお肉を焼いてみました。それが意外に美味しくて。しかし「平たい鉄板では油が垂れてしまうね」となり、「マシニングで削ってみよう」となりました。こうして縁を作りました。しかし、これだけではおもしろくない。「鉄板焼き屋さんのようにピカピカに鉄板を磨こう」というように、こだわりが出てきました。[鍛冶屋の頓珍漢]ミガキ鉄板S180ラージメスティンサイズの鉄板。購入者がSNSで実際に使っている様子を写真で投稿。宣伝効果に繋がっている。村下氏商売的な視点から見ると、磨いた鉄板は他社の表面を剥いでいない鉄板に比べ、利益が減ってしまいます。ですが、「どうせやるなら他所がやっていないおもしろいことをやりたい」となりました。目指したのは、キャンプ場や自宅で「鉄板焼き屋さんの鉄板」で焼いたお肉を楽しめること。セイコーでは鉄板焼き屋さんの鉄板を作った経験があるので、そのノウハウを活かしています。その結果、お客様にも大好評で「黒皮鉄板とは全然味が違うね」とおっしゃってくださいます。こだわり抜いた結果、美味しいお肉が焼ける鉄板が出来上がったのですね。村下氏はい。他にも、板厚を変えて試作を重ねました。板厚が厚いもので焼いた方が美味しいということは知っていたので、厚めの鉄板に絞って販売しています。本当はもっと板厚が厚い方がおいしいのですが、持ち運ぶことも考えて現実的な9mmをメインにしています。このように、楽しみながら製作して、利益も出る、というのは幸せですね。最初に「鉄板を作ろう」と発案したのは村下さんだとお聞きしました。その時の経緯について詳しくお聞かせいただけますか。村下氏お客様の製品を作った際に発生した、t4.5の巻いた端材がありました見た目が瓦みたいだったので、「瓦鉄板」という名前で売ってみました。とても小さいものだったのですが、おひとりさま用の鉄板としてメルカリで800〜900円ほどで出品してみたんです。社内では「こんなもの売れるのか?」と半信半疑でした。すると、なんと一瞬で売れました。需要があるので、これを元に作ってみようというところから始まりました。最初は半分冗談で売り出してみたのですが、予想以上にメルカリでヒットしました。その後、ヤフーショッピングやAmazonで販売しました。すると、すぐにYoutuberの方が購入してくださり、動画で紹介していただきました。その効果で、たちまちSNSで話題になりました。これにより、お客様に我々を見つけていただけることが増えました。今では特注のキャンプギアを作れないか、という案件もよく頂きます。素晴らしいですね。「鍛冶屋の頓珍漢」シリーズはキャンパー向けの商品ですが、キャンプに行かない私でも、このシリーズの鉄板が欲しいです。村下氏キャンプにいかなくても、私は自宅で「鍛冶屋の頓珍漢」の鉄板を使っています(笑)お肉を美味しく焼けるのはもちろん、片付けも楽なんですよ。ホットプレートを用意して焼くと、プレートが大きくて準備も片付けも大変ですよね。それに比べると「鍛冶屋の頓珍漢」の鉄板は、コンパクトです。焼きたい時にすぐに取り出して焼くことができます。片付けも楽で、家族にも好評です。実際に見に行ってきました!原宿で開催された「FACTORY'S GOODs」で実際に「鍛冶屋の頓珍漢」の製品を見に行ってきました!こちらの動画もぜひご覧ください!お客様に喜んでいただきたい! 高い技術力とこだわりの品質フットワークを軽くして物事に挑戦できるというのは、小回りがきく工場ならではですね。村下氏はい。自分たちで色々なことに挑戦し、セイコーを知ってもらう。そこから、お客様から直接連絡をいただき、特注の依頼もいただける。お客様が喜んでくださるのであれば、なんでもやります。元々は、特注の様な仕事がほとんどですからね(笑)以前のインタビューでも、「基本的にできないことはない」とお話をされていました。今でもそのスタンスは変わっていないのですね。村下氏それは変わっていません。大企業の方だとしても、個人の方だとしても、お客様は平等です。今も、キャンプ用のテントサウナの引き合いを頂き、お見積もりをしたところです。現物を送ってこられて、「これと似たものを作ってほしい」という要望です。技術力には自信がありますから、基本的にどんな仕事も断りません。不可能を可能にする方法を考えるのも仕事です。ありがとうございます。最後に、今後の意気込みをお願いします。村下氏こういう時代だからこそ楽しく仕事ができるようにしたいですね。ものづくりをしながら、お客様も喜んでくれて、私たちも幸せな気持ちになる。そして、ご飯を食べさせてもらえる。そんな風にできたら最高だなと思います。まとめ株式会社セイコーは逆境に、正面から立ち向かう。その先に見据えるのは、お客様や社員、製造業全体が幸せになる未来だ。世の中の情勢が厳しくなったとしても、その熱い想いは変わらない。

  • Mitsuri|インタビュー

    コストではなく信頼で繋がる 株式会社栄進鈑金製作所

    株式会社栄進鈑金製作所は、山形県米沢市に加工から塗装まで一貫生産できる板金加工メーカーです。今回は代表取締役社長の間山幸光(ゆきみつ)氏にお話を伺いました。間山氏には、2018年に一度専務取締役としてインタビューさせていただきました。コロナ禍を経て今、思うこととは。取材日: 2022年11月10日2018年度のインタビュー記事はこちら:https://mitsu-ri.net/factories/eishin-bankin株式会社栄進鈑金製作所について所在地:〒992-0117 山形県米沢市大字川井491番地の7TEL:0238-26-9381FAX:0238-26-9382設立年:平成13年(2001年)代表取締役:間山 幸光取扱品:制御盤/操作盤/分電盤/簡易組立配線/各種カバー類/架台/レーザー加工(厚板加工/ステンレス/アルミ等精密部品加工)ホームページ:https://eishin-bankin.co.jp/品質(Q)と納期(D)で信頼(C)につなげる今回も取材を快く受けていただきまして、ありがとうございます。2018年度のインタビュー時もお伺いしましたが、改めて御社の事業概要と強みを教えてください。間山氏当社の事業内容は、変わらず板金と塗装を一貫して行っています。強みも変わらず、大型の筐体をメインに作っております。近年の特徴としては、やはりここ2年ほどで関東付近を中心に東日本からの引き合いが多くなっています。コロナの影響で、板金屋や塗装屋を閉めているところが多くありました。しかし、近年では海外から日本へ工場を戻そう、サプライヤーを見直して日本国内で作ろうという流れがあります。それにより板金塗装屋が求められることが多くなっていると感じています。ニッチなところですが、尖ろうと思っている大型筐体製作を求めてくれる会社様は確実にいます。なるほど。コロナによる影響は悪いものばかりではないのですね。間山氏コロナの影響は受けず、うまく営業はできています。この影響もあり新規のお客様が増えました。今では建築業界が6割、あと4割はその他の業界という感じで、さまざまな業界からお引き合いをいただいています。既存のお客様からも変わらずお仕事を頂くことができています。その要因として、QCD*の、Delivery(納期)に関してはとても気をつけています。もちろん、Quality(品質)に関しても今我々ができる最高のクオリティで行っています。ただ、「C」に関しては、Cost(金額)ではだめだと思います。良いものを早く出そうと思ったらコストはかかってしまう。安く、というのは逆にできないというのは言っています。*「Quality」「Cost」「Deliverly」の総称。そうですね。弊社でも、安すぎる指値を要求されている案件を度々見かけます。間山氏見積りはうちの会社がやっていくための見積りです。ですので、それを安くするというのは「できません」と強気に出ています。我々がお客様に提示している「C」は、品質と納期を守ることによってConfidenceの「C」にしています。「信頼」という意味です。既存のお客様から信頼をうまく構築できたというところで、コロナ禍の仕事がない状況でも、我々には優先的に仕事をいただけたのかなと感じています。「Cost」ではなく、「Confidence(信頼)」の「C」。素晴らしいですね。納期を守るために工夫していることはありますか?間山氏納期に関しては、我々の強み、板金と塗装を一貫して行える点が生かされています。板金と塗装を一貫して行うことができる時点で、お客様が想定していたよりも短い納期を提示できます。DX推進と人材育成を重点になるほど。元々の納期がすでにお客様の期待している納期を上回っているのですね。間山氏はい。管理の面で、ここ4年で変わったことと言えば、社内で情報共有をできるようにしました。全部の機器をネットワークに接続して、サーバーを一つ置き、そこに必ずアクセスする仕組みを作りました。簡単なものですが、情報の「集中」と「共有」をしました。これをすることによってバックアップや一元管理という次の段階に進んでいけます。webサーバーを立ち上げて、webシステムを立ち上げて、そのwebから集中して入っていけるようにしました。IT企業ならまだしも、工場では一人一台パソコンを渡すことはないので、現場にパソコンを一台置いて工程管理表を見られるようにしています。また、3次元のCADデータを表示して、完成図を見られるようにしています。複雑な形状の製品があっても、完成図を見ることができる環境があるだけで全然違います。とてもDX化に対して積極的ですね。代表様がそのように積極的ですと、社員さんもついていきやすいと思います。間山氏はい。4年で変わったことは他にもあります。入れてみて一番有効だったのが、ビジネスチャットツールを入れたことです。課題の一つに、コミュニケーションの取り方を変えなくてはいけないという認識がありました。わざわざ人を集めて伝えるのは大変ですし、役職者を呼んで現場に伝えてもらうというのも伝言ゲームになってしまって全ての情報が伝わりません。これを考えると、チャットツールで直接、自分の言葉で社内に向けて発信することができるのはとても便利です。これを入れたことにより、情報共有がかなり進みました。板金屋は絶対入れた方が良いと感じます。ありがとうございます。以前にインタビューさせていただいた当時は、専務取締役として対応いただきました。代表になってビジョンや考え方が変わった点があれば教えてください。間山氏以前インタビューをしていただいたのは2018年の11月ですね。実際に代表になったのは2019年の4月からなんです。代表になって3年半が経っています。責任の重さがNo2とNo1では全然違う。これをヒシヒシと感じています。No2の時点でも生意気なことは言っていましたが(笑)責任を負うという立場は代表じゃないとわからないなと。当時から思っていたことを、より当事者意識を持って感じるようになったのですね。間山氏そうですね。あとは数字が全ての結果なので。数字を出すというプレッシャーはNo2の時とは比較にならないくらい感じています。代表になられて、改めて感じる課題はありましたか?間山氏専務時代から感じていることは変わってませんが、正直この業界は人気がない業界だと思っています。現場で溶接したりとか、粉塵にまみれたりとか。塗装していても汚れる作業なので辛い仕事だということは感じます。そうは言っても、板金と塗装はこんなにもいろんなものが作れるんだという面白さを伝えていかなくては!という使命感を持っています。なくなったら困る業種であることは間違いないので。次の世代にも伝えていくためにはどうすればいいのか、という課題を常に持っています。以前のインタビューでは、「人」にかなり重きを置いているという印象を持ちました。間山氏はい、その思いはずっと同じですね。今働いている人たちの生活の質をあげることは、定着率に繋がります。頑張っている分だけ給料を払ってあげたいし、お休みだって、他の会社さんと同じように休暇を与えたいですし。仕事は一人でできない、皆さんの力がなければ板金塗装は成り立たないので人を大事にしたいですね。4年前とはあまり変わってませんが、労働人口が減ってきているのは間違いありません。外国人労働者を採用するという方向にも進んでいかないといけないのかな、とも感じるのですが、まだまだ地場の人間、日本人で頑張っていきたいという思いもあります。魅力を伝えて選んでもらえる会社にしていくことが大切だと思っています。社員に好かれる会社、新しい人にも「いいな」と思ってもらえる会社を目指していきたいです。徹底した品質管理対策へ製品を製作する際に気をつけている点があれば教えてください。間山氏新規のお客様も増えてきたので、不具合の発生防止対策を強化するために、品質管理部門を今年から設立しました。もともと検査は行っていましたが、明確なルールがなく、担当者任せになっていました。これを、ルールを決めて取り組むようにしました。また、今までは営業に関する電話も、不具合に関する電話も私が対応していました。ですが、それでは不具合に関する知識が溜まっていかないので、不具合や納期に関する電話は品質管理部門が対応するようにしました。その後、品質管理責任者、品質管理担当者が中心となり、全員参加で原因の追求をします。対策やその後の流出対策の徹底についても同時に考えます。なるほど。ルールを決めたとのことですが、具体的にはどのようなものですか?間山氏まずは、製品の特徴に合わせ、重点検査箇所を定めました。そして、各工程ごとに検査方法を決めました。例えば、NCデータ作成グループであれば、データと図面をもう一度最後にチェックし、問題がなければ蛍光ペンで図面を塗りつぶします。不具合の流出を止めるため、完成した製品も板金の段階で製品を組み上げ、同じように現物確認作業を行っています。以前に板金業界全体の課題について、お伺いしました。コロナ禍を経験されてきた今、改めて感じることをお聞かせください。間山氏なかなか奥が深い質問ですね。先ほども言ったことにはなりますが、人気がない業界なのでいかに人気を出していくか、が課題ですね。例えばですが、この業界で有名な某工作機械メーカーさんなど、音頭をとって板金業界をアピールするようなイベントがあってもいいのでは?と思っています。当社は山形県米沢市という場所で行っていますが、いろんな板金屋さんがあってそれぞれ特徴や得意なものが異なります。そのような会社が一堂に集まって、展示会をやったら絶対できないものなんてないと思います。そのようなイベントに、人が集まれば「これ困ってたんだよね」というのが間違いなく発生しますよね。こういうのも、我々の業界をアピールしていくには有効なのでは、と思っています。魅力をアピールするということは、人を惹きつけるということにもなると思います。人不足と騒がれている世の中で、現場で作業したいという人たちも減ってきているのは間違いありません。楽しさを伝えるというのは、一つの使命だと思っています。まとめお客様のことだけでなく、板金業界の未来のことも考える。コストではなく信頼を与える。板金業界の楽しさを伝えたい。栄進鈑金製作所は未来を見据え、歩んでいく。

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    DX導入を進める浜石製作所でできる加工

    No Banner浜石製作所は愛知県豊川市にある金属加工工場です。ここでは、日々DX化を進め、業務の効率化をしています。今回はそんな浜石製作所で加工できるものを取材しました。愛知県で加工の依頼を検討している方はぜひ参考にしてみてください。浜石製作所について教えてください。梅本氏浜石製作所は高品質、低価格、短納期を大事にしています。これは、お客様との良い信頼を築くため。そのために、製作所では以下の3つをお客様に約束しています。・高品質対応CAMの自動化を導入しているので、安定して高品質のものづくりを実現しています。CAMのほかにも加工自体も自動で行っているので、ヒトが加工するよりもさらに正確な部品を提供できます。・低価格対応最新の技術によって省人化した環境のため、低コストでの提供が可能です。弊社ではコンピュータやソフトを使って人の単純作業を減らしているため、人件費のコストが抑えられています。・スピード対応これまでCAD/CAMに積み重ねてきた加工ビッグデータをもとに、図面ごとに最短で最適な加工が可能です。IT技術やソフトなどを導入をして、少しずつDX化を進めている段階なんですね。浜石製作所ではどのような案件依頼が多いのでしょうか。梅本氏いろいろありますね。強いていうなら設備系のものが多いでしょうか。案件依頼も様々なところからいただいています。(切削加工した部品の完成例)浜石製作所でできる加工はどんなものがありますか。梅本氏現在行っている加工は、マシニング加工と旋盤加工の2つです。梅本氏マシニング加工はCAMからNCプログラムに作成して自動で行っています。加工自体も自動で行えるので、人が携わるのはほぼ段取りだけですね。梅本氏旋盤加工も自動で行っています。マシニング加工と同様、CAMからNCプログラムに作成して段取り以外は全て自動で行っています。ちなみに現在は、NC旋盤の自動化のためのテンプレート作りも進めています。現在も不具合のあるところを調整しながら進めています。(NC旋盤)段取りの工程を除いた全ての加工作業を自動化しているんですね。浜石製作所では小ロットに対応していますか。梅本氏弊社では大ロットから小ロットまで対応しています。受注〜納品までの流れを簡単に教えてください。梅本氏先ほどお話しした通り、CAMは自動で作成を進めています。現在は段取り数を減らすための治具作りを行っています。次に段取り。今はバイスをメインに使ってます。加工範囲の制限がありますが、より簡単にできるので時短で操作ができます。現在は加工範囲の制限を広くするために、治具の作成を行っています。マシニング・旋盤は自動化に移行したので、加工する際に段取り以外で人はほぼ携わっていません。次に検査ですが、こちらは目視で行っています。ただ、弊社では紙の図面ではなくスマートフォンやタブレットから確認しています。部品に二次元バーコードを貼り付けているので、それを読み込むだけで案件の詳細ページに遷移します。そこに図面も取り込まれているので、逐一部品にあった紙の図面を探す手間が省けました。最後に梱包・発送ですね。梱包は今は手作業で行っていますが、いずれはここも自動化したいところです。また、発送は外部配送サービスを利用していて、先ほどお話しした二次元バーコードから送り状がプリントアウトできる仕組みにしました。納品先の情報を人が記入する手間が省けたので、間違い防止や時間短縮になりましたね。浜石製作所では、小ロットから切削・旋盤加工ができます。DX導入によって、低価格、そして高品質で部品を提供しているので、切削・旋盤加工にお困りの方はぜひお問い合わせください。

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    DX導入を進める浜石製作所がやってきたこと・目指すこと

    近年注目されているDX化。これはIT技術やデータを使ってビジネスモデルやサービスを変革し、高めていくことです。愛知県豊川市にある浜石製作所も、DX導入をしている工場の一つ。工場の省人化を目指して日々挑戦を続ける製作所です。今回は浜石製作所で行ってきた、DX導入に向けて現場がやっていること・やってきたことについて話を伺ってきました。浜石製作所がDX導入をした経緯DXを導入した経緯を教えてください。梅本氏私たちのミッションは、「未来の製造業をつくる」ことです。この50年でIT革命がおこり、情報技術が民主化されていきました。情報を届ける費用がゼロになり、無料で文章や音楽、動画を楽しむことができて、私たちの生活はどんどん豊かになっています。これから30年のITは、デジタルだけでなくアナログの世界にも影響を与えていくことになるでしょう。たとえば、AIやロボットが移動や農業、医療など、進化が遅かった世界を良い方向に変えていきます。私たちのビジョンは、その土台となる製造業をつくりかえて、全産業の限界費用をゼロにしていくことです。私どものミッションである“未来の製造業をつくる”をモットーに、無人工場を作り、人類の生活水準を向上させることを目指すためにDX導入をするに至りました。浜石製作所が目指す、工場省人化とは?DX導入と言っても行う業務は幅広くあると思いますが、浜石製作所が目指している「工場の省人化」とは一体どういうものなんでしょうか。梅本氏今、浜石製作所が目指している工場の省人化は、今まで人が行っていた単純作業をコンピュータに任せ、できるだけ人間でしかできない仕事に注力してもらうことです。そのためにさまざまなツールやソフトを用いて、今まで人が行っていた作業を徐々に移行していってます。DX導入が決定した際、現場の方々の意向や意見の食い違いはありましたか。梅本氏浜石製作所の人たちはDX導入に前向きな方たちなので、導入に対する意見の食い違いみたいなものはありませんでした。業務を進めていく上で最終的な目標がバラバラだと、どうしても一緒に作業することが困難になる場面が出てくると思います。浜石製作所ではそういった目標のすり合わせが序盤からスムーズに行えたので、現場の方々の新しいことを学ぶ姿勢には感謝しています。DX導入の下準備と変えたことDX導入する上で、まずは何から始めたのでしょうか。梅本氏まずは社長の大石と現場加工者で工場内の現状ヒアリング調査から始めました。現場の状況を理解することで、どの工程を自動化できるか思索しやすくするためです。具体的なヒアリング内容はどのような流れで行いましたか。梅本氏内容は、工具の種類、段取り、加工方法、検査、梱包、発送といった、製作〜納品までの細かい工程を一通り把握するための内容です。これらの流れから、まずはどの工程が自動化できるかを思案し、DX導入が始まりました。段取り:以前はバイスとハリの2通りの方法を使っていましたが、今はバイスがメインです。こちらは挟むだけなので加工範囲の制限がありますが、より簡単かつ時短で操作ができます。現在は加工範囲の制限を広げるための治具を試行錯誤しながら作っています。CAM:Catallaxy以前は手動で作成していました。浜石製作所にあるNC機械は3軸なので部品の加工面によって段取り数(材料の向きを変えること)が変わるのですが、自動で作成されたCAMとGコードを利用する場合、形状加工を一段取りで加工しなければいけないという制限があります。現在は段取り数を減らすための治具作りを進めています。検査:以前は加工ごとに図面通りになっているかヒトが紙の図面を目視で確認していました。このことにより、紙の図面を管理する手間や図面を探す時間が発生してしまいます。さらに図面と案件が紐づいていなかったため、記憶の範囲内でしか図面を出せませんでした。現在は、①mitsuriに案件が作成される(お客様が作成された図面)②mitsuriのシステム内で二次元バーコードが作成されるので、それをプリントアウト③材料にクリップで二次元バーコードを貼りつけして管理しています。検査の際にスマートフォンで二次元バーコードを読み込むと、案件の詳細が閲覧できるページに遷移するので、ワンステップで図面や納期といった必要な情報が確認できるようになりました。梱包:梱包に関しては、これから新たなシステムを導入していきたいと考えているところです。現段階では、商品を緩衝材で巻きダンボールに入れています。箱に隙間ができるような小さい部品のときは、箱の中でズレが生じないよう、さらに開いたところに緩衝材を詰めています。梱包は人の手で一から行っているので、いずれ自動化したいですね。大手ECサイトのような梱包が理想です。小さな部品もビニールでカチッと固定すればいいので、緩衝材を入れる手間が省けます。また、梱包材の削減をすることで部品の原価も削減できますし。(大手ECサイト梱包例)発送:以前までは住所、名前、電話番号といった配送に必要な情報を手動で入力していたため時間と手間がかかっていました。現在は外部配送サービスを利用しています。先ほどの検査で出てきた二次元バーコードから送り状を印刷のためのcsvをダウンロードし、外部配送サービスにアップロードするだけで、納品先の必要情報が記載された送り状がプリントアウトできます。最後に印刷した送り状をダンボールにそのまま貼れば完了するので、納品先の情報記入の工数が省けました。一つひとつの作業内容を細かくヒアリングをして、改善すべきところを最適化していっているんですね。ヒアリングの内容の他にもDX化した仕事内容はありますか。梅本氏現場のヒアリング調査の次に、CAD・CAMのソフトウェアの比較を行いました。自動でプログラム操作ができるかどうかを吟味し、それが可能なソフトを導入しました。また、CAMの自動化も行っていて、形状に合わせた工具の条件を自動で設定しています。あとは工場内の整理を行いました。使っていない工具や棚を処分して導線の確保をすることで、人がものを探す時間を減らし、一部品作るまでの人の動きを整理するためです。小さなことかもしれませんが、仕事場を整理して現場のみんなが働きやすくなってくれればよいです。現在進めている取り組み現在進めているDX導入はどのようなことでしょうか。梅本氏現在進めている作業は、人件費・機械の稼働時間の計測です。なぜ人件費の計測を行っているのでしょうか。梅本氏そもそもDXは加工に関わる製造原価の低下を目的とするためであり、その中で最も大きな費用は人件費であると考えています。そのため部品一つにどのくらいの人たちが関わっているかを数値として知るために、まずは人件費の計測を実施することにしました。計測しないと、今のやり方で人件費が高くなっているのか安くなっているのかわからないからです。梅本氏具体的な計測方法は、先ほどお話しした検査作業でも使っている、二次元バーコードを使って計測しています。段取りを始める際には加工指示書を見ながら作業するのが基本ですが、浜石製作所では材料についている二次元バーコードをスマホで読み込むと表示されます。指示書にアクセスすると開いた時刻が自動で記録される仕組みになっているので、段取り〜加工終了までの時間のログが取れます。さらに検査と梱包作業の際にも、二次元バーコードを読み取れば、それぞれ検査図面と配送情報にアクセスした時刻が記録されるので、段取り〜納品までにかかる時間が分かるようになりました。(二次元バーコードを読み取ってアクセスすると↓)(加工指示書・検査図面・発送先情報が記された画面が出る。)普段の生活で使っている二次元バーコードを利用して人件費を計測しているんですね。マシン稼働時間の計測はどのように行っていますか。梅本氏自動化が進むと人の労働時間が減り、マシンの稼働時間が増えるはず。つまり、機械の稼働時間を測ることで、自動化が進んでいる過程がわかるんです。労働時間を短くし、機械稼働時間が長くなって売り上げも上がれば、自動化は成功といえるでしょう。稼働中・完了・エラーをシステムが検知し、ランプを点灯させて、計測する仕組みを作りました。(パトランプ)梅本氏この方法を導入してから、機械の加工時間はもちろん、段取りの時間も把握できるようになりました。1日のマシンの稼働時間から加工時間と検査時間を引けば、段取りにかかった時間がわかる仕組みですね。現在は工場内にある4つのマシンのうち3つ導入していますが、今後は全てのマシンに導入する予定です。DX導入開始から現在までにかかった時間DX導入から現在までの作業に、大体どのくらいの時間がかかりましたか。梅本氏完全にDXの導入が完了したわけではありません。完成比率は10~20%程度ですかね。上記の工程を全て終えたのに大体9ヶ月ほどかかりました。現在は切削・旋盤をメインで自動化を行っています。板金や溶接なども導入していきたいと考えていますが、どこまで自動化を導入していくかはまだ明確ではありません。材料によって加工の方法は変わりますし、やれることは無限にあると考えていますので。DX導入を始めて変わったこと、成果の向上DX導入を開始してから変わったことや、成果の向上など、日々の業務で感じることはありますか。梅本氏まず、反復作業が減りましたね。大きなところでいうと、先ほどお話した配送情報の入力の手間が省けました。他にも、材料支給がある案件の場合、以前は材料がいつ届くかを生産管理画面で確認していましたが、その画面は手動で材料到着順に並び替えなければいけませんでした。現在は当日届く物をチャットツールに通知するようにしたので、当日にどの材料が来るのか簡単に確認できるようになっています。確認するための作業が減ると、業務の取り掛かりもよりスムーズになりそうですよね。人の労働時間や納品までの時間短縮などはありましたか。梅本氏労働時間や納品までの時間が短縮されているかどうかは現在検証中なので、具体的な数字はわかりません。今は自動で出力したCAMやGコードを試すために、あえて長い納期のものを受けているんです。そのため、自動化した結果、労働時間や納品までの時間の削減がわかるのはもう少し先になるかと思います。DX導入する上で大変なこと、難しかった作業DX導入をするにあたって、大変だったことや難しかったことはありますか。梅本氏僕の場合は、製造に関しての知識がほぼ0だったので加工技術の理解が大変でした。また、実際の現場で加工をしている人たちの中には、パソコンを全く触っていない人たちも多いようなので、効率よくパソコン操作を行うのがむずかしいと感じる人も最初はいるかもしれません。現場加工者の方たちが大変だったと感じたところはなんでしょうか。梅本氏現場の方たちで工具の選定は加工者同士で議論になることがあります。マシンに取り付けられている工具は加工内容によって、コーティングや刃物の種類を変えなければいけません。この工具の選定方法が人によって考え方が異なるため議論になってしまいますね。新しい工具を使いたいという意欲旺盛な方(良いことです!)もいるので、意見をまとめるのに時間がかかるケースもあります。その他には何かありますか。梅本氏自動でCAMを作る上で、毎回CAM作成ソフトの動き方を見ながら条件を指定することが難しいと感じています。自分がしたい削り方を自動で行えるように設定するのが特に難しいですね。また、最近導入したNC旋盤のテンプレート作りにも難儀しました。テンプレートとは工具の設定をまとめたものなのですが、一から自動化のためのテンプレートを作ったので時間がかかりましたね。現在も不具合があるので都度直しながら進めています。DXを導入する上で大切だと感じたことこれからDX導入をする方に向けて、何かアドバイスなどありましたら教えてください。梅本氏一番大切だと感じたのは、現状のヒアリングを丁寧にやっていくことですね。今行っている加工開始から納品までの流れが最適かどうか、最適であったら自動化できるところはないか、改善すべきところがあればどのように直していけば良いのか考えながら現場の調査をしていました。また、ヒアリングしただけでは気づけないこともあるので、指揮役と現場の人たちが同じ空間で一緒に作業することも大切です。現場で当たり前のように手作業で行っていた仕事が、実は自動化できることだったりしたので。さらに、一緒に仕事をしていく中で、こちらから自動化できる内容を提案したり、現場からも逆に提案してもらえたりできたら最高ですね。今後の目標、DX導入のゴールとは?浜石製作所の今後の目標を教えてください。梅本氏最終的には、浜石製作所のような無人工場が全国的に増えていくことが目標です。工場勤務は3Kと言われているように、世間的にはキツい仕事と思っている方もまだまだ多いかと思いますが、我々はそういったマイナスなイメージを払拭したいと考えています。自動化が進んだ工場が増えればもっと働きやすくなるので、製作工場に対するネガティブなイメージも少し改善できるかなと思っています。そのためにはまず、浜石製作所で自動化に向けての施策を日々重ねていきたいですね。工場を省人化したら働いている人たちはどうするのか、という疑問を持っている方もいるかと思います。現場の方々の今後についてはどのように考えていますか。梅本氏あくまで僕の希望ですが、今後自動化した工場が増えて全国展開した時に、浜石製作所にいる方たちは自動化の指導ができるような立場になっていて欲しいと考えています。そういった輪がもっと広まれば、日本中で自動化した工場がもっと広まっていくでしょうし。そうなれば最終的な目標である、無人工場を全国に増やすという目標達成にも大きく繋がっていけるのかなと思います。

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    オイルパンの製作を得意としている工場5選!

    「オイルパンの製作を依頼したいけど、工場がたくさんあるからどこに頼めばいいか分からない...」「取引のある金属加工メーカーからオイルパン製作の依頼を断られてしまった...」「現在利用しているオイルパンが破損してしまった...」車やマシンのオイルを溜める役割の「オイルパン」は、オイルの流出を防ぐ重要な部品です。オイルパンの製作を依頼するにあたり、「どういった基準でメーカーを選べばいいのか」、また、「どの工場がオイルパンを製作しているのか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方のお悩みを本記事で解決します!今回は、オイルパンの製作を得意としているMitsuriイチオシの加工メーカーを全国から5社ご紹介します。各メーカーのメリット・デメリットも併せてご紹介していきますので、これからオイルパン製作の依頼を検討されている方はぜひ一読ください。オイルパンの製作工程まずは、製缶板金の代表的な製品であるオイルパンの製作工程について見ていきましょう。オイルパンの製作方法には、主に①プレス加工にて製作する方法と、②製缶板金加工にて製作する方法の2つがあります。それでは、それぞれの方法について解説していきます。①プレス加工プレス加工では、深絞り加工にてオイルパンを製作します。プレス加工は、短時間で加工ができるため、大量生産する場合には適していますが、小ロットの場合には一個あたりの製品コストが高くなってしまうので適していません。また、深絞り加工では、シワや割れが発生する可能性も高く、注意する必要があります。②製缶板金加工製缶板金加工にてオイルパンを製作する方法は、小ロットでの生産に向いています。また、一般的にプレス加工では厚板を用いた加工が難しいと言われますが、製缶板金加工では、薄板から厚板まで幅広い材質に対応することが可能です。製缶板金加工でオイルパンを製作する加工工程は、次のようになります。製缶板金加工での加工工程①設計・図面展開②せん断加工③タレパン加工④バーリングタップ加工⑤曲げ加工⑥溶接加工⑦仕上げ加工そして、全ての加工を行った後には出荷前検査を行い、出荷となります。出荷前検査の項目としては、寸法検査、員数検査、目視による外観検査などが挙げられます。なお、オイルパンは、絶対に水漏れがないことが要求される製品であるため、欠陥(傷やクラック)や歪みの有無の確認が重要とされています。参考記事板金加工については、以下の記事でさらに詳しく解説していますのでご覧ください。⇒【板金加工】専門家が教える板金加工の「特徴・種類・材料」について! 井上商事株式会社引用元:井上商事株式会社①会社概要本社:福井県福井市日之出2丁目1番6号TEL:(0776)27-8380/FAX(0776)27-4581創業年:昭和22年加工:プレス加工、旋盤加工、切断加工素材:アルミニウム、ステンレスURL:https://www.inoue-s.co.jp/②会社紹介井上商事株式会社は創業70年を超える福井県の老舗加工メーカーです。主に、アルミを使用した建物に関わる資材の施工・販売を行っており、その確かな技術から、官公庁や病院など数多くの施工実績があります。特に、自社開発の「シルバーライン」は40年以上の耐用年数を誇るアルミ製品です。③メリット・デメリット福井県に本社を構えていますが、工場や支店を関東圏や関西圏、東北など計15か所に設けています。そのため、地方への対応も可能です。一方、アルミニウムの加工を得意とした業者のため、その他の素材については加工が難しい場合があります。ご不明な点があれば、ぜひMitsuriまでお問い合わせください。株式会社ミツヤ引用元:株式会社ミツヤ①会社概要本社:富山県小矢部市藤森5025番地TEL:(0766)69-1100/FXA(0766)69-7750創業年:平成4年加工:プレス加工、レーザー加工、旋盤加工素材:ステンレス、アルミニウム、鉄URL:http://www.kk-mitsuya.com/②会社紹介富山県に本社を構える株式会社ミツヤは、40台以上の加工設備を保有しているメーカーです。溶接やプレス、旋盤など様々な加工に対応しています。③メリット・デメリット株式会社ミツヤでは設計から製作、据付までを自社で一貫して行っています。そのため、低コスト、短納期での納品が可能です。「以前、他メーカーで依頼した際に思っていたよりもコストがかかってしまった・納期について不安が残った」、という方は、ぜひ一度ご相談ください。ただし、製品のロット数によっては対応していない場合があります。事前の問い合わせの際には、ぜひMitsuriをご利用ください。④製品事例株式会社ミツヤの製品事例をご紹介します。大型オイルパンステンレス製オイルパン株式会社中本鉄工引用元:株式会社中本鉄工①会社概要本社:石川県金沢市湊3丁目8番地TEL:(076)238-5111/FAX(076)238-4325創業年:昭和42年加工:曲げ加工、溶接、塗装、レーザー加工URL:http://www.nakamototekkou.co.jp/②会社紹介株式会社中本鉄工は、精密シートメタル・板金加工を主業務とした金属加工メーカーです。石川県に本社を構えています。こちらの企業は、品質と環境には強いこだわりがあり、特に、「品質」については国際認証を取得しています。③メリット・デメリット極少から大量ロットまで幅広くカバーできる加工メーカーです。そのため、「発注数によって依頼した工場に断られた」という方はぜひお問い合わせください。石川県の企業ですが、関西や関東など県外への納品にも対応しています。精密シートメタル加工に特化したメーカーであるため、その他の素材については対応が難しい場合があります。少しでもご不明な点があれば、ぜひMitsuriまでお問い合わせください。 株式会社協和工業引用元: 株式会社協和工業①会社概要本社:秋田県にかほ市象潟町字源蔵潟1番地16TEL:(0184)43-2211/FXA(0184)43-4564創業年:昭和24年加工:プレス加工、旋盤加工、鏡面研磨、切削加工素材:ステンレス、鋼板、スチール、URL:http://kyowa-i.co.jp/②会社紹介株式会社協和工業は、創業70年と大変歴史のある秋田県のメーカーです。工場内には50以上の加工設備を保有しています。③メリット・デメリット小ロットに対応しており、1個からの納品が可能です。試作も承っています。また、スピーディーな納期にも対応しているため、「特急での対応をお願いしたい」という方は、ぜひ株式会社協和工業へお問い合わせください。一方、秋田県にある企業のため、地方によっては納品が難しい場合もあります。ご依頼の際には一度確認することをおすすめします。④製品事例オイルパン薄板オイルパンまとめ今回はオイルパンの製作を得意としている工場を5社ご紹介しました。それぞれのメーカーごとに強み・弱みがあることが分かっていただけたのではないでしょうか。本記事があなたの金属加工メーカー選びの参考になれば幸いです。また、オイルパンの製作についてお悩みの時は、ぜひMitsuriまでご相談下さい。Mitsuriでは、オイルパンの製作に限らず、素晴らしい加工技術を持った全国各地の金属加工メーカー様とお付き合いをさせていただいています。現在、協力企業は140社以上ございます。そのため、お客様にとって最適な加工方法や素材選択のお役に立つことが可能です。オイルパンの製作でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

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    ヘアライン仕上げとは【専門家が語る】製品事例もご紹介!

    ヘアライン仕上げをご存知でしょうか。ヘアライン仕上げは、単一方向に細い線状の傷を付ける表面仕上げです。金属製の腕時計におけるマットな質感を与える外観部と言えば分かりやすいでしょうか。美しい外観のヘアライン仕上げですが、金属製品を取り扱っていたり金属加工業に従事していても、その詳細は分からないという方もいらっしゃるでしょう。仕事上で関わりがなくとも、キッチンシンクなどの購入の参考に知識を得ておきたい方もいるかもしれません。そこで、今回の記事では、ヘアライン仕上げとは何かというところからその詳細、また製品事例までご紹介していきます。ヘアライン仕上げとはヘアライン仕上げは、金属の表面処理の一つで、髪の毛のような細い線状の模様が単一方向に入った仕上げのことです。つや消しの効果があるため、映り込みは少ないですが、光沢や反射などの金属特有の質感は維持しています。素材としては、主にステンレスが用いられますが、銅や真鍮、アルミ、チタンなどにヘアライン仕上げを施すこともあります。ただし、銅や真鍮は、サビで変色してくるので、変色や風合いを出したい場合を除き、クリア塗装などのさらなる表面処理が必要となります。用途としては、建材、インテリア、キッチン、家電、装飾品、鉄道、精密機械などがあり、民生品から業務用品まで幅広く使われています。参考記事ステンレスのヘアライン仕上げについては、以下の記事に詳細がありますので、ぜひご覧ください。⇒ステンレスのヘアライン加工の種類や特徴について専門家が解説!ヘアライン仕上げの種類ヘアライン仕上げには、線状模様の細さや付け方によって、様々な種類があります。ここでは、そのいくつかをご紹介します。●ヘアラインこれは、メーカーによって違いはありますが、通常のヘアライン仕上げとして提示されるものです。●スクラッチヘアライン短い線状模様を付けたヘアライン仕上げです。少し粗い印象を与えます。●ヘアライン・クロスヘアライン模様をクロス状に付けたもので、和紙の風合いをイメージして加工したものです。●デザインヘアラインヘアライン模様を織物状に付けたものです。メーカーによりますが、デザインを指定してヘアライン仕上げを施すことも可能です。ヘアライン仕上げの加工法引用元:株式会社藤田ワークスヘアライン仕上げの加工法には、旋盤や研削盤、ベルト研磨機で研磨目を付ける方法、サンドペーパー(紙やすり)や研磨剤を用いて手作業でヘアライン模様を出す方法などがあります。旋盤では回転する材料に研磨工具を当てることで、研削盤では回転する研磨工具に材料を当てることで金属表面を削り取ってヘアライン仕上げを行います。一方、上の写真にあるようなベルト研磨機では、輪形状の砥粒研磨ベルトをベルト研磨機で回転させ、材料に当てることで金属表面を磨きます。特に、ヘアライン仕上げでは通常、P150~P240番の砥粒研磨ベルトで一定方向に磨いて模様を出します。手作業では、サンドペーパー、またはクロスと研磨剤を使用して一方向に磨くことでヘアライン模様を出すことができます。なお、研磨ベルトやサンドペーパーの表面には砥粒が付着していますが、この砥粒はJIS規格で定められており、粒径の大きい粗粒がP12からP220までの15種、粒径の小さい微粉がP240からP2500までの13種あります。一方、研磨剤に含まれている砥粒も類似したJIS規格で定められていますが、研磨ベルトやサンドペーパーの規格とは異なる規格です。Mitsuriでは、ヘアライン仕上げが可能な多くの研磨メーカーと提携しています。そのため、多様な種類のヘアライン仕上げが可能です。また、製品サイズやロット量についても幅広く対応できますので、ぜひご相談ください。ヘアライン仕上げのメリット・デメリット金属表面を物理的に加工する仕上げには、ヘアライン仕上げのほか、鏡面仕上げやバイブレーション仕上げ、エンボス仕上げなどがあります。ここでは、これらの仕上げ法と比較した場合のヘアライン仕上げのメリット・デメリットについて説明します。ヘアライン仕上げを除いた仕上げ法は、以下のようになっています。物理的な表面加工の種類鏡面仕上げ…鏡のように表面を磨き上げる仕上げ法バイブレーション仕上げ…ランダム方向に研磨模様を施した仕上げ法で、無方向性ヘアライン仕上げとも呼ばれるエンボス仕上げ…表面に細かい凹凸を付けた仕上げ法で、少しくもった質感を示す●鏡面仕上げ引用元:板金市場●バイブレーション仕上げ引用元:DENHOME●エンボス仕上げ引用元:e-kitchen.bizヘアライン仕上げのメリット・鏡面仕上げよりも傷が目立ちにくい・鏡面仕上げにはない滑り止め効果があるヘアライン仕上げのデメリット・線模様が経年劣化で薄れてくる・線模様の方向と直角方向の傷が目立ちやすい・バイブレーション仕上げやエンボス仕上げよりも傷が目立ちやすい参考記事鏡面仕上げの種類や特徴について、以下の記事に解説しているので、詳細を知りたい方はぜひご覧ください。⇒ステンレスの鏡面仕上げには種類がある?種類や特徴を紹介!ヘアライン仕上げの製品事例それでは、ヘアライン仕上げの製品事例を紹介していきます。以下の写真は、ヘアライン仕上げを施したステンレス(SUS304)製の板金パネルです。引用元:筐体設計・製造.COM次の写真は、丸パイプにヘアライン仕上げを施したものです。引用元:有限会社今岡製作所続くシステムキッチンの写真では、シンクやワークトップにヘアライン仕上げが施されています。引用元:P's supply homes以下の写真は、NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ハードディスク)ですが、天面がヘアライン仕上げのアルミパネルです。引用元:AV Watch次の写真のように、ヘアライン仕上げは、スマートフォンにもよく用いられる仕上げ法です。引用元:Gigazineまとめ以上、ヘアライン仕上げの詳細と製品事例についてご紹介しました。ヘアライン仕上げは、金属表面に線状の模様を付ける表面仕上げ法で、つや消しや滑り止め、傷を目立たなくするなどの効果があります。ステンレスに施されることが多く、建築物やインテリア、家電製品など、身の回りの様々なところで見ることができます。しかし、このヘアライン仕上げは、メーカーによって仕上げ可能な種類や仕上がり具合は異なります。ですがMitsuriでは、日本全国に協力工場が140社以上あるため、お客様のご希望に合わせたヘアライン仕上げのご提案が可能です。ヘアライン仕上げでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    削除予定 板金溶接について【専門家が解説!】素人でも3分でわかります。

    板金溶接とは、金属と金属を熱の力で溶接する技術です。そう言われても聞いた事も無い人がほとんど。自動車修理の板金塗装とは全く違います。板金溶接とは主に自動車製造修理工場、町工場から大手化学工業など、建設現場、建設資材などありとあらゆるところで、私達の生活においては無くてはならない存在であり、家の隠れているところや、普段から何気なく使っているものにも使われています。そんな重要な技術なのに、一般の人々には知られる事のない板金溶接の種類や用途についてまとめてみました。板金加工ならMitsuri板金加工でお困りなら是非、Mitsuriにご相談ください!Mitsuriなら、板金溶接を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。小ロットや個人での加工依頼OKの工場に絞って見積りすることも可能です。試作も大歓迎です!Mitsuriの協力工場は全国に130社以上あり、最適な工場を見つける事ができます!!さらにMitsuriには多数の板金加工実績があるため、安心して依頼できるんです。板金溶接でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)板金溶接の種類鈑金溶接といってもいろいろな種類の溶接があります。昔から伝わる伝統的な技術、歴史的建造物に使われていたりします。一方で化学技術の発展もあり、近代的な技術で溶接にかかる時間を大幅に短縮したり、作業を容易にする事で様々な分野で使われている溶接があります。そのな板金溶接の中でも今回は、アーク溶接、レーザー溶接、スポット溶接、スタッド溶接、ロウ付け、にスポットをあてわかりやすく解説していきます。アーク溶接引用元https://career-picks.com/wp-content/uploads/2019/02/545-e1549935484551.jpgアーク溶接とは多くの分野で使われている溶接法であり、小さな部品の溶接に向いている事もあり、身近な物にも使われています。例えば自動車、電車、飛行機、船、ビルなどです。アーク溶接とは空気中の放電現象(電流)、2つの電極に電圧をかけていく事で電流が発生し、同時に強い光、高い熱が発生します。この(Ark状)光をアークといいます。結合させたい金属(母材といいます)どうしの間に溶加材という接着剤になる、棒状又はワイヤー状の物を入れます。この時、母材どうしと溶加材は全て同じ素材(同じ金属)でなければいけません。母材にマイナス電極、作業者の持った方にプラス電極に大電流を流すと、アークが発生し、この高熱により溶けて接合されます。この時の温度は5000度〜20000度にもなります。アーク溶接で使われる機械は比較的に安価な物が多く、町工場など小規模事業者でも複数台所有し、同時に稼働する事で作業を効率的にできます。見積もり依頼をする(無料)レーザー溶接引用元http://www.yoshikawa-group.co.jp/cutwell/image/y_001.JPG レーザー溶接とは小学生の頃に誰もがやる、虫眼鏡を使って太陽光を屈折させ、1点に暖かい光を集めて紙を燃やす原理を使います。レーザーを集光させ、このエネルギーで金属も溶かしてしまうほどのパワーを得て加工する。上記のアーク溶接とは異なり、レーザー光はパワー、エネルギーの密度が高く違う母材を融解し溶接することができ、瞬間的に融解できるので作業時間を短縮することができます。またレーザーは制御が容易な為、精密な溶接が可能になります。高速で溶接し母材への影響が少なく済む為、従来では難しいとされていた薄い素材、ステンレス鋼などにも使用可能であります。レーザー溶接は他の溶接技術に比べ、母材への熱影響による、変形や劣化が起こりにくく、抵抗溶接で必要な、電極のメンテナンスも不要というメリットがあります。スポット溶接引用元http://www.tsuru.co.jp/images/tech_syk_sy_top.jpgスポット溶接とは2枚の母材を、上下から電極棒で挟み込み接触部を機械的に加圧し、発生した熱により母材内部で溶けて固まる事で溶接します。プレス制度が甘く、多少の母体間に隙間が生じるアーク溶接とは異なり、母材同士の密着率が高いスポット溶接は、低コスト、大量生産が必要となる自動車産業で広く採用されています。高い技術を持たない作業者でも綺麗に仕上げれる為、幅広いところで使われており、現在の物作りの現場に置いてはなくてわならないのがスポット溶接です。金属板、線材、メッシュなどいろいろな形状に合わせて溶接出来ることから電化製品など幅広く使われています。アーク溶接に比べ温度が低く、接合部分に熱の影響を受けないことで変形が少なく、加圧の効果により溶接部分の組織が良好のまま溶接できます。カンタン見積り依頼スタッド溶接引用元http://www.e-genba.com/search/file/191439935556.jpgスタッド溶接とは母材にスタッドを植え付けるイメージです。スタッドと呼ばれるボルトやピンを、銃のような専用ガンに取り付け母材に当てて、ガンと専用溶接機によって自動で溶接ができます。近年ではボルトやピンだけではなく、短冊などの多種の形状をした金属を溶接できる様になりました。スタッド自体が溶接材となり、太い断面積に安定したアークを発生し、一瞬で溶接できる事で熱の影響が少なく済み、溶接品質を保つことができます。驚くのはその時間です。ガンのトリガーを引くと、まさに一瞬でバンっと溶接完了です。しかしその速さ上、信頼性の問題もあります。母材とスタッド材を溶接する為、母材が薄すぎると溶接が出来ませんし、溶接済みのネジを回すとネジが取れてしまう事もあります。ロウ付け引用元https://www.kodama-good.com/technology/2016-11-01%2016.26.35.jpgロウ付けとは溶着の1種で母材よりも融点の低いロウ(合金)を、溶かして接着剤とします。ガスバーナーなどでロウを溶かし母材へ浸透し固まり溶接されます。ロウが凝固し母材同士を接合することから、複数の母材を接合できます。この技法は、はんだ付けとよく似ていますが、違う点があります。ロウが溶ける温度が違います。ロウ付け450度以上、はんだ付けは450度以下と接合に使うロウの溶解温度の違いと言うことなのです。ロウ付けは接合の強度が強く昔から伝わる技術で、奈良の大仏、アクセサリーなどに使われてきました。鈑金溶接にはさまざまな方法がある中で最も古く、古代エジプトの時代でも使われていた技術です。高額な機材や極めて難しい技術ではない為、近年ではDIYでも親しまれています。カンタン見積り依頼まとめ     いかがだったでしょうか?板金溶接と聞くとその言葉からは理解出来なくても、何度かは紹介した技法の中で見たことや、体験した事もあったではないでしょうか。家の中をぐるりと見渡しても、たくさんあると思います。日本の物作りは世界でも高い技術を誇ります。そんな物作りにおいて、鈑金溶接は重要な金属加工だとご理解いただけたと思います。最後までありがとうございました。     

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    【粉末冶金】徹底解説!加工工程・材料・メリットデメリットは?

    「粉末冶金」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。私たちの身近にある金属製品は、折り曲げたり、切断したりする以外にも、様々な加工方法で生み出されています。その一つに挙げられるのが、この粉末冶金(ふんまつやきん)。粉末冶金とは、粉状の金属を成形して焼き固め、金属製品を作る方法。今回は、この粉末冶金にフォーカスを当て、加工工程や使用する金属粉の生成過程、メリット・デメリットについて、ご紹介します。粉末冶金とは?粉末冶金の生産現場を追ったムービーをご用意しましたので、まずはこちらをご覧ください。粉末冶金は、金属粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結して部品を製造する技術です。聞きなれない方法かもしれませんが、例えば洋服についている金属製のボタンや、時計の金属バンドなど、私たちの生活の身近な製品に用いられている製造方法といえます。金型を用いて製造するため、小~中サイズの部品の大量生産に向いている技術です。粉末冶金の加工工程粉末冶金は、いたってシンプルな4工程で行われます。粉末冶金の加工工程①配合・混合②成形③焼結④後工程①配合・混合目的とする製品の性質に応じて、種々の金属粉末を決められた割合で配合し、混合機で均一に均します。②成形混合した金属粉末を、金型に注ぎ、自動成型機により常温で圧縮成形します。③焼結圧縮した成形体を焼結炉に入れ、融点以下の温度のガス内で加熱し、焼結します。④後工程精度や強度を高めたりする必要があるものは、後工程として、再圧工程・機械加工工程・熱処理工程を行い、完成となります。引用元:日本粉末冶金工業会粉末冶金の材料の種類とその生成方法材料として使用される金属粉末として、主に、純鉄粉、ステンレス鋼粉、高速度鋼粉、合金鋼粉、銅粉が挙げられます。他にも様々な種類があり、同時に生成方法も異なります。更には、同じ元素の金属粉でも、生成方法によって異なる特性をもつ金属粉が作られます。主に、粉末冶金用の金属粉の生成方法は3つあります。金属粉の生成方法①アトマイズ法②酸化物還元法③電解法①アトマイズ法アトマイズ法は、鉄や銅、アルミニウムなどの地金を溶かし、高圧のガスや水を吹き付けることで凝固させ、金属粉を作る方法です。溶解炉で溶かした金属を、小さなルツボに流し込みます。ルツボの底面の穴から流れ出た液状の金属に、高圧のガスや水を吹き付け、飛散・凝固させ、粉末状にして生成します。引用元:エプソンアトミックス株式会社②酸化物還元法酸化物還元法は、鉄や銅などの粉末生成において、微細な酸化物粉を水素・一酸化炭素・アンモニア分解ガスなどの気体で還元することで生成する方法です。還元温度や時間を調整することで、生成粉の粒度調整が容易に行えるので、成形性・焼結性の良い金属粉を得ることができます。③電解法電解法は、電気分解でマイナス極に粉末を析出させることで金属粉を生成する方法です。電気分解を行うと、通常、プラス極面では金属の溶解や酸素の発生が起こり、マイナス極面では金属の析出、水素の発生が起こります。この仕組みを利用して、金属粉を生成し、脱水、乾燥後、粒度別に分離して使用します。粉末冶金の特徴粉末冶金のメリット①成形性塊状では加工が難しい金属や、難溶性の材料でも成形が可能です。また、成形後の追加工を必要とせずに完成品に仕上げることができる(これを「ニア・ネット・シェイプ」といいます)ため、歩留まりが良く、更には複雑な形状にまで成形することが可能です。部品一体化も可能なので、コスト低減にもつながります。②組成自由度金属粉末の配合を自由に組み合わせることができるため、目的に応じて様々な特性を持たせた製品を作ることが可能です。③軽量性加工過程で気孔を含むため、密度が真密度(100%の状態)よりも小さくなり、部品重量を軽減することができます。④潤滑性金属粉末の粒子の隙間である気孔に、潤滑油を行き渡らせることで(含油軸受)、効率の良い潤滑が可能になります。⑤省エネ性金型に充填した粉末が押し固められて製品の形状になるという加工特性から、素材のロスが非常に少なく、省原料・省エネルギーにつながります。粉末冶金のデメリット①原料価格通常の金属は、塊状よりも粉末の方が高価な場合が多く、そのため、金属粉末を使用する粉末冶金では原料価格が高くつく場合がほとんどです。②粉末挙動水溶液のような流体と異なり、粉末は成形時に高さ方向に密度差(気孔のばらつき)が生じます。そのため、強度が部分的に異なったり、重心が中心に定まらないこともあります。③強度等の機械的性質長所の「③軽量性」で挙げたように、密度が真密度よりも小さくなる特性があります。このように、真密度の状態よりも気孔があることで、強度等の機械的性質が劣ることが想定されます。④形状制限金型を使用する加工であるため、加工の大きさと粉末の動きによって形状が制限されます。そのため、大型形状の製造は困難といえます。粉末冶金の製品例冒頭で例に挙げた金属製のボタンや、時計の金属バンドなどの他にも、油を漉すための金属フィルターや、電動カミソリの外刃なども、粉末冶金で作られたものです。また、加工上の特性から、自動車や機械の歯車など、小型で形がやや複雑な部品にも使用されています。金型を使用するため、コンパクトで大量生産が求められる部品に多く用いられています。引用元:浦和冶金工業株式会社一流の板金加工業者に発注しませんか?「粉末冶金」は、あまり耳にすることのない製造方法ですが、機械部品に限らず、日用品の一部としても、私たちの身の回りで使用されている技術といえます。材料となる金属粉の製造に始まり、様々な過程を経て、製品の完成に結びついていることがわかりました。今後、更なる加工技術の発展に伴い、粉末冶金がどのように進化していくのか、期待したいですね。

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    ねじ切り加工とは?意外と知らないねじの作り方を分かりやすく解説!

    価格が安くなるねじ切り図面の書き方についてはこちら!価格が安くなるねじ切り指示の書き方を解説しています!20〜30%ほどの低減につながる可能性がございますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!Youtubeにて、金属加工Mitsuriチャンネルを運営中!こちらからご覧ください!皆さんは「ねじを切る」と言う言葉を知っていますか。「ねじを切る」とは金属を削ってねじのギザギザしたところを掘ることを言います。つまりねじの下の部分を作ることですね。今回のテーマである「ねじ切り加工」では、そのねじ切りの方法や工具の種類などを金属加工のことを何も知らない方でも分かりやすいように解説していきます。普段何気なく使っているねじがどのようにして作られているのか、この記事をきっかけに知る良い機会になればと思います。ねじ切り加工の長所・短所冒頭でも話した通り、ねじ切り加工とはねじのギザギザを作る加工のことです。ねじのギザギザのことをねじ山と言います。ねじ山とは頭部の出っ張ったところではないんですね。ねじ山のギザギザは切削加工や塑性加工などの方法で、金属の棒を削ったり変形させたりすることで作られます。keyword①切削(せっさく)加工…素材を切ったり削ったりする加工のこと。②塑性(そせい)加工…素材に大きな力を加えることで、目的の形に変化させる加工のこと。曲げたり押し潰したりします。ではまず、ねじ切りがどういうものか手っ取り早く知るために、実際に加工の様子を動画で見てみましょう。一概にねじ切り加工とは言ってもその方法は様々あるので、今回の動画はあくまで一例です。動画のねじ切りの方法は金属を削って作る切削加工ですね。切削加工によるねじ切りの長所・短所切削加工は塑性加工よりも多くの種類のねじを作ることができ、その削ったり切ったりする作り方から元の金属よりも小さなねじを製造します。短所としては素材を削って作るため切りくず大量に出る点と、刃物を多用するので新しい刃に変えるたびにコストがかかる点です。塑性加工によるねじ切りの長所・短所一方、塑性加工は切りくずが出ない方法で、削らないぶん素材の太さを確保したままのねじができます。ただし、短所としては金型を用意する必要があるため、金型の費用と金型作成の時間がかかります。金型とは画像のような製品を一定の形にするためのものです。引用元:金型って何?切削加工で作るねじも塑性加工で作るねじも、上記の通り長所・短所があるため、作るねじの大きさや種類に応じて加工の方法を選びます。それぞれの加工の仕方は後ほどの項目で説明しますが、どちらも安価かつ短時間で製造でき、大量生産が可能になっています。おねじとめねじねじにはおねじとめねじというのがあります。ねじと言えば、一般的に使う種類ではドライバーで締めるタイプのものをみなさん思い浮かべるでしょうか。部品を組み立てる時に固定したりや機械の調子が悪くなって解体する時に外すものですね。適当に床に置いてしまい、なくして探すのに苦労した経験は誰にでもあるかと思います。その一般的なねじの方をおねじと言い、めねじはそのおねじに組み入れるねじのことを言います。めねじの方もそれほど珍しいものではありません。画像をご覧いただけると分かるように、おねじは外側に線状を作り、めねじは中をくり抜いて作られます。引用元:amazon Narse ☆ Yome また、ボルトとナットもおねじとめねじにあたります。ナットもねじの種類の一つなんですね。形状からはあまりねじとは言えない形をしているので、少々意外に思う方もいるかもしれません。おねじとめねじを作る方法おねじとめねじを比較的簡単に作る工具にダイスとタップという道具があります。おねじを作るときはダイスとダイスハンドルという工具を使い、めねじを作るときはタップとタップハンドルいう工具を使います。ダイスとタップを使ったねじ切り加工は、一つの道具で一つの寸法しかできないので他の寸法のねじを作りたい時は複数の工具が必要になります。下の動画は、おねじとめねじを作っている様子です。ねじ切りは工場で大掛かりな機械を使わないとできない印象がありますが、やり方さえ覚えれば誰でも日曜大工の感覚でねじを作ることができるのです。手順や工具の種類の多さなど少し取っつきにくいところがありますが、職人芸並みの難しい技術は必要なさそうですね。とは言え、動画ほどの手際のよさは初めてですとなかなか再現できないと思いますので、上手く加工できるようになるには何度もやって慣れていく必要があるでしょう。なお、加工の時に過度に力を入れ過ぎるとねじがつぶれたり工具が折れてしまうことがあるので、実際にねじ切りをする場合は切削油を使いながら行い、無理に回したり押し込まないように注意してください。いろいろなねじ切りの方法先ほどの紹介は手作業による加工でしたが、ねじ切り加工にはもちろん機械を使った方法もあります。主な方法としては、最初の項目で説明した金属を削って作る切削(せっさく)加工と金属の形を変えて作る塑性(そせい)加工の2パターン。ねじの材料には金属だけではなくプラスチックスや樹脂などもありますが、今回は金属で広く使われている方法をいくつか紹介していきます。機械を使用した方法①旋盤を使ったねじ切り加工②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工③塑性加工によるねじ作り①旋盤を使ったねじ切り加工旋盤という機械による方法はねじ作りの中でも代表的な加工方法で、工業高校の機械実習でも入門編として使われます。記事の最初の方で見た動画が旋盤を使ったねじ切り加工ですね。おねじを作る時は金属の外側を削る外径ねじ切り旋削(せんさく)で、めねじを作る時は内側を削る内径ねじ切り旋削で行います。引用元:モノタロウ旋盤でのねじ切りは自動で加工する機能があるため、加工の様子を見ることができる外径ねじ切りは比較的容易にできます。内径ねじ切りも基本的には外径ねじ切りと同じ方法ですが、金属の中を見ることができないので多少加工の難易度が上がります。この実習でも使われるほど容易にできる旋盤を使った加工ですが、実はこの方法には欠点があり、旋盤によるねじ切りは機械加工ではあるものの、加工の仕方から大量生産向きではありません。ねじという、どの製品にも必要な部品が大量に生産できないのは、困りものですね。そこで登場したのが下の画像のNC旋盤というハイテクな機械。引用元:NC networkこれを使えば回転速度の設定や加工中の工具の移動などが自動で行われるので、一度設定すれば人の手を介することなく大量生産ができます。プログラムさえ作成してしまえば加工の開始から終了まで全自動なので、非常に効率的にねじが作れるのです。加工中に出る金属の切りくずの処理もしなくてよいので面倒がなく楽ですね。②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工ねじ切り盤はねじ切り加工に特化した機械です。旋盤はねじ切り加工専用の機械というわけではなく他にも様々な使い道があります。一方、ねじ切り盤は特化しているだけあって、この方法では日常でよく見かけるねじとは異なる大型のねじを製造します。ねじ切り盤で作られるねじは、橋やコンクリートの建物に埋め込まれる耐震補強用のアンカーボルトや水道・ガスで使用される配管などに使われます。画像で見る大きな鉄の棒やナットは、もはやねじと言えるか怪しいほどですね。ねじ切り加工の技術は土木や建築、はたまた水道の分野でも活かされているのです。③塑性加工によるねじ作り大きなねじの作り方の次は小さなねじの作り方です。子ねじと呼ばれる小型のねじは、旋盤などで削って作ることはせず、圧造という塑性加工の方法で作られることが多くなります。もし小さなねじを作るために削ろうとすると、当然小さな金属から生成することになるため、普通の大きさのねじよりも素材となる金属を多く削り取ってしまうことになります。それでは明らかにコストの無駄になってしまうので、切りくずを出さずに製造できる塑性加工が用いられるのです。前の項目でも説明した通り、塑性加工は金属を潰して変形させる加工方法です。潰して変形させると言うとイマイチ作られる様子が想像できませんが、次のgifを見ていただくと分かりやすいかと思います。引用元:森岡産業株式会社上の動きの作り方はダブルヘッダー加工と言います。パンチと呼ばれる赤色の部分の金型で、素材となる金属の棒を押し潰してねじの頭とドライバーを入れるくぼみの部分を成形します。ねじの頭部ができたら、次は肝心のねじ山の部分を作っていきます。ねじ山を付けるには、下の画像のようにねじを工具の間に挟み、ギザギザの跡を付けるように押し込みながら回転させていきます。引用元:モノタロウこの方法を転造と言い、その転造のタイプには平らな工具を使う平ダイス転造や丸い工具を使う丸ダイス転造、平ダイスや丸ダイスよりも生産能力が高いセグメントダイス転造などがあります。圧造は金属を圧縮させて作り、転造は転がして作るという漢字の通りの方法なので覚えやすいですね。塑性加工による製造は、小ねじだけでなく大きめのねじや太いボルトなどのねじも製造が可能です。金属内部の繊維を切断しないため、ファイバーフローという耐摩耗性に優れたねじができるというメリットもあります。また、塑性加工は金属を数回加工するだけででき、しかも機械で自動的に作ることができるため、切削加工よりも短い時間で加工できます。非常に大量生産向きの方法なんですね。ねじはどんな分野のどんな製品でも使われる部品なので大量生産が必須です。そのためできるだけコストと時間を抑え、効率的な製造方法が求められるのです。まとめ今回の記事はねじ切りの方法やおねじ・めねじについてなど、ねじを加工する中でのギザギザを付ける部分に焦点をあてた内容でした。他の部分やねじ全体の解説はまた別の記事で紹介させていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。