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表面熱処理

  • 真空焼入れの硬度、メリット・デメリット、焼戻しとの違い

    真空焼入れは、真空状態での熱処理が可能な真空炉を使用する真空熱処理の一種です。真空炉は、密閉性が高く、不活性ガスを利用する際にも無駄に漏れたりすることが少ないなど、加熱と冷却の双方で省エネ効果が高い設備です。また近年、熱処理に対しても、品質要求が高くなっていることから、真空熱処理は今後ますます採用されることが多くなると予想されます。この記事では、代表的な真空熱処理である真空焼入れの詳細、メリット・デメリット、主な鋼材に適用したときの硬度などについて解説していきます。参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説!真空焼入れとは真空焼入れとは、真空炉を使用して鋼材を真空状態で加熱した後、ガス、油または水で急冷する熱処理のことです。酸素の排除によって鋼材表面の酸化や脱炭を防止すると同時に、焼入れの効果によって鋼材を硬くして、耐摩耗性や引張強さ、疲労強度などの強度を向上させることができます。真空焼入れの冷却には、主に窒素ガスが用いられており、ファンなどで炉内を撹拌して鋼材を冷やします。より急速な冷却が必要な場合には、高圧ガスが使われます。近年の真空炉では、冷却に10気圧もの高圧ガスを使用できるものがあり、3~6気圧もあれば油冷に近い冷却性能が得られます。なお、冷却性能は、高い順に水、油、ガスとなりますが、冷却が急なほど歪みが出やすいので注意が必要です。一方、通常の焼入れでは、鋼材を大気と同一の空気中で加熱して、急冷します。真空焼入れと違って、鋼材が空気中の酸素や二酸化炭素に触れるため、表面にサビが生じ、表面から鉄鋼の硬さの素となる炭素が二酸化炭素などとなって抜けてしまいます。そのため、大気下での焼入れの後には、鋼材表面を皮をむくように削り取る「ピーリング処理」が行われます。また、ピーリング処理によって寸法が変化するため、寸法変化に応じた寸法設定を行い、熱処理後には切削加工などで形状を整える必要があります。真空焼入れでは、焼入れを真空状態で行うことで、これらの焼入れの難点や焼入れに伴う手間がなくなります。なお、真空状態とは、大気圧(1.013×105Pa)よりも圧力が低い状態のことです。鋼材では、低真空(105Pa~102Pa)または中真空(102Pa~10-1Pa)程度の真空状態で熱処理が行われます。しかし、真空炉を減圧する真空ポンプの性能が不足している場合などでは、真空炉を減圧した後、窒素ガスなどの不活性ガスを流し込むことで残留空気を排出し、高真空状態の代わりとすることがあります。参考:焼入れとは?焼入れの種類ごとの特徴に分けて解説!真空焼入れのメリット真空焼入れは、大気中の焼入れと比べて、以下のメリットがあります。酸化や脱炭を防ぐことができる真空焼入れでは、真空状態で鋼材を加熱し、不活性な窒素ガスで冷却を行うため、鋼材表面の酸化や脱炭がほとんど起きません。そのため、大気下の焼入れでは必要となるピーリング処理や後加工などの工程が不要となります。耐摩耗性が高い真空焼入れでは、脱炭がほぼ起きないため、硬度が高く、耐摩耗性に優れます。これは、大気下の焼入れでは、ピーリング処理によって鋼材表面を削り取った場合でも、脱炭層が残留して表面硬度が低下することがあるからです。変色せず、金属光沢が保持される真空焼入れでは、鋼材表面の酸化がほぼ起きないため、熱処理前後で表面の色や光沢が保持されます。鋼材表面の光沢性が維持されることから、真空焼入れは光輝焼入れとも呼ばれます。変形が小さく、歪みが少ない真空焼入れは、真空状態で加熱を行うことから、鋼材の昇温が緩やかで表面と内部の温度差が小さい状態のまま進行するため、変形が起こりにくく、歪みが小さくなっています。なお、鋼材の昇温が緩やかであるのは、減圧下で昇温するため、空気を通した加熱ができず、ほぼ輻射熱のみによって加熱するからです。ただし、冷却時に変形や歪みが発生することもあり、冷却が急速であるほど変形や歪みが生じやすくなっています。真空焼入れのデメリット一方、真空焼入れは、大気中の焼入れと比べて、以下のデメリットがあります。炉が高価である真空焼入れで用いられる真空炉は、通常の焼入れに用いられる電気炉やガス炉などと比べて高価です。また、共に使用される真空ポンプは、高真空状態が得られるものほど価格が高くなっています。しかし、安価で低真空状態しか得られない真空ポンプでは、真空度が不足して、熱処理時に窒素ガスなどの不活性ガスが必要となることがあるため、ランニングコストが余計に掛かることもあります。炉の占有時間が長くなる傾向がある真空焼入れでは、加熱に続いて冷却も炉内で行う必要があるため、焼入れの作業を一度始めると炉の占有時間が長くなってしまいます。また、鋼材の昇温に時間が掛かることも、炉の占有時間を長くします。大気下の焼入れでは通常、冷却は炉外で行われます。一方、真空焼入れで冷却を炉外で実行すると、炉を開けた瞬間に酸化などが進んでしまいます。つまり、真空状態で焼入れを行ったことの意味がなくなってしまうのです。しかし、近年では、連続式真空炉と呼ばれる複数の炉室を持った真空炉が利用されるようになっています。連続式真空炉は、加熱・冷却の2室、予熱・加熱・冷却の3室など、役割の異なる複数の炉室を持っており、1室で加熱・冷却と炉内の状態を変えなくてはならない従来の真空炉と違い、炉内の状態を維持したまま、ライン作業のように焼入れを行うことが可能です。真空焼入れの硬度(HRC)代表的な焼入れ鋼の真空焼入れによる硬度は、下表の通りです。鋼種硬度 (HRC)炭素工具鋼SK358~63合金工具鋼SKS358~62SKD1155~62SKD6148~53高速度工具鋼(ハイス鋼)SKH5158~64マルテンサイト系ステンレス鋼SUS440C52~56SUS420J250~54    炭素鋼S45C14~28合金鋼SCM43527~35上表は、焼入れ後に焼戻しを行った場合の硬度で、炭素濃度や焼入れ温度、冷却方法、冷却速度、焼戻し温度などによって硬度の値は違ってきます。なお、大気下の焼入れと真空焼入れで硬度が異なるということは特にありません。しかし、真空焼入れは、脱炭がほぼ起きず、熱処理による欠陥が発生しにくいため、焼入れの後に予期せず硬度が低いなどといったことが起こりにくくなっています。参考:SKD11とは?硬度、成分、規格、処理、加工方法まとめ参考:マルテンサイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ適用可能な主な材質真空焼入れは、下表のような材質に適用可能です。材質の分類鋼種炭素工具鋼SK3, SK5合金工具鋼冷間ダイス鋼SKS3, SKD11, DC53, HPM31, KD11, SLD-MAGIC熱間ダイス鋼SKD61, DH32, SKT4高速度工具鋼(ハイス鋼)モリブデン系SKH51, SKH55バナジウム系SKH57マトリックス系DRM1, DRM2, DRM3,  YXR3, YXR33, YXR7, MH85粉末系HAP10, HAP40, HAP70ステンレス鋼マルテンサイト系SUS440C, SUS420J2, HPM38, STAVAXオーステナイト系SUS303, SUS304, SUS316析出硬化系SUS630炭素鋼S45C, S50C, S55C合金鋼クロムモリブデン鋼SCM415, SCM420, SCM435, SCM440 ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM415, SNCM420, SNCM439軸受鋼高炭素クロム軸受鋼SUJ2ばね鋼クロムバナジウム鋼SUP10上表から理解されるように、真空焼入れは、工具や金型、軸受などの高い品質が要求される鋼材に採用される熱処理です。しかし、近年では、真空炉のコストが低下してきたこともあり、ステンレス製の自動車部品や産業機械部品、家電部品などにも採用されるようになっています。ただし、クロムやマンガンなどの蒸気圧の高い元素は、真空度が高過ぎると高温下で蒸発することがあるため、ステンレス鋼などのクロム含有量が多い鋼材では、鋼材表面のクロム濃度が減少してしまうことがあります。そのため、マンガンやクロムの含有量が多い鋼材に真空焼入れを施す場合は、不活性ガスを利用するなどして対処する必要があります。なお、下図は、様々な真空度(101~103)で、SUS304に真空焼入れを適用した場合の表面クロム濃度です。真空度が高く(加熱時の圧力が小さく)、熱処理温度が高いほど、鋼材表面のクロム濃度が減少しています。引用元:工具の通販モノタロウ > 工具の熱処理・表面処理基礎講座 > 「3-6真空熱処理適用上の留意事項」株式会社MonotaRO(ものたろう)焼戻しや高周波焼入れ、ズブ焼きとの違いここでは、焼入れ後に再加熱する「焼戻し」、鋼材表面のみを硬くする「高周波焼入れ」、鋼材の内部まで加熱して鋼材全体を硬くする「ズブ焼入れ(全体焼入れ)」について触れていきます。そもそも、焼戻しは、焼入れの加熱温度の2分の1程度の温度まで加熱し、緩やかに冷却する熱処理です(下図参照)。焼入れの後に必ず実施される熱処理で、焼入れによって脆くなった鋼材の靭性や硬度の調整、内部応力の緩和を目的に行われます。真空焼入れ後の焼戻しは、必ずしも真空炉が使用されるわけではありません。しかし、その場合は、大気下の焼入れほどではありませんが、鋼材表面の酸化や脱炭、変色、金属光沢の消失が起こります。そのため、真空焼入れ後は、真空焼戻しを行うことが推奨されます。高周波焼入れは、電磁誘導によって鋼材内部に電流を誘起し、鋼材の表面のみを加熱して焼入れを行う熱処理ですが、一般的な真空炉で実施することはできません。真空炉を使用する熱処理は通常、鋼材を炉内に入れて密閉した後に、真空状態を作って、加熱します。そのため、鋼材全体に焼入れを施すズブ焼入れが標準的であり、高周波焼入れのように部分的に焼入れを施すことはできません。ただし、高周波焼入れに対応した真空炉も少ないながら存在します。

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    【大阪でステンレス加工を依頼するなら!】大阪で腕の立つ加工メーカー5選 !

    鉄よりも値段は張るものの、美しくサビに強いステンレス。ですが、「金属加工を頼むのは初めてで、どのステンレス加工メーカーを選んだら良いのか分からない・・・」「今回開発する製品は、どのステンレス加工メーカーが合っているのだろう・・・」「特殊なステンレス加工をお願いしたけど、対応しているメーカーが見つからない・・・」など、ご希望のメーカーが見つからない方も多いかと思います。そこで、今回の記事では、大阪府の中でも特に腕の立つステンレス加工メーカーを5社ご紹介します。各メーカーの特徴やメリット・デメリット、製品例についても挙げていきますので、ぜひ参考にしてみてください。【オリジナル製品も対応可】株式会社 前田製作所引用元:株式会社前田製作所①会社概要本社:大阪府大阪市西淀川区福町1-1-24TEL:06-6473-9537FAX:06-6473-7760創業:昭和33年加工:板金、切断、溶接、レーザー、研磨 など素材:ステンレス、鉄、アルミ などURL:http://www.susmaeda.com/②会社の紹介前田製作所は、創業以来培ってきたステンレス板金加工・溶接技術を活かし、厨房設備や設備関連機器、ライン設備などを設計・製作しているメーカーです。特に、高度な薄物板金技術を持ち、規格外のオリジナル製品にも対応しています。自社工場での設計や製造、検査はもとより、据付までをも行う一貫体制で製品を提供しています。③メリット・デメリット他メーカーでは断られるような小ロットや単品の製作にも対応。完全オリジナルのオーダーメイド製品にも快く応えてくれます。万全のアフターケア体制を敷いており、過去に納品した使用済み製品のメンテナンスも行っています。追加工や改造なども可能です。ただし、NC旋盤やマシニングセンタなどの切削加工機は保有していないので、削り出しが必要な製品には対応できません。切削が必要か否かの相談も含め、事前にお問い合わせすることをオススメします。④製品紹介前田製作所の製品例をいくつかご紹介します。規格外サイズのオーダーメイドシンクタンク蓋内面をビードカット(溶接痕を研磨して除去すること)で仕上げた集塵機用ダクト【幅広い分野にご対応】刀根自動機株式会社引用元:刀根自動機株式会社①会社概要本社:大阪府大阪市城東区新喜多2-5-30TEL:06-6931-8571FAX:06-6934-8673創立:1970年加工:切削、レーザー、ワイヤー、放電、研磨、研削、板金、溶接、カシメ、組立 など素材:鉄、アルミ、ステンレス、樹脂、超硬 などURL:http://www.tone-jidoki.co.jp/②会社の紹介刀根自動機は、自動化・省力化機器、パーツフィーダ等の製造や機械加工を主要事業としているメーカーです。自社製品の内部製作で培った高度な技術を活かし、切削加工や板金加工、研磨・研削加工などのご依頼に応えています。金型などの難加工品にも対応しているため、難しいとされるステンレスの切削加工も高い精度・品質で行うことが可能です。また、マシニングセンタやNC旋盤、プレス機、レーザー加工機、ワイヤー加工機、放電加工機など、多様な設備を保有しているため、お客様の幅広いニーズに応えることができます。③メリット・デメリット一品から試作、量産まで、ロット数に関わらず対応可能です。素材についても、鉄やステンレス、アルミはもちろん、樹脂や超硬合金などの各種材質に対応できます。また、3次元の設計・加工が可能な設備を保有していますので、高精度な金型部品や複雑な3次元形状部品の製作も可能です。幅広い分野に対応できるメーカーですが、扱っている製品は、産業機械や機械部品などがほとんどです。そのため、建設部材などの製作には対応できない可能性があるので、事前にご相談することをオススメします。④製品紹介刀根自動機の製品例をいくつかご紹介します。板金加工と切削加工の両方を用いて製造した製品マシニングセンタなどによる切削加工で製造した製品治具【1つから依頼可能】株式会社 谷口引用元:株式会社谷口①会社概要本社:大阪府大阪市平野区瓜破東1-1-25TEL:06-6708-1027FAX:06-6706-3637創業:昭和47年加工:板金、切断、溶接、研磨 など素材:ステンレス、鉄 などURL:http://www.taniguchi-sheetmetal.com/②会社の紹介谷口は、主にステンレス加工を行っているメーカーです。板金、溶接、研磨、パイプ加工などを得意とし、機械部品や厨房機器、看板、建築金物等、幅広い製品分野の実績があります。また、タレパン(タレットパンチプレス)を保有していますので、板金加工品の量産が可能です。③メリット・デメリット単品、小ロット品、量産品など、ロット数によらず対応可能です。単発のご注文、オーダーメイドのご依頼も受け付けています。ただし、超精密板金加工や超微細プレス加工など、特殊なことは対応できません。ご依頼の加工が特殊か否かも含めて、ぜひMitsuriにお問い合わせください。④製品紹介谷口の製品例をいくつかご紹介します。フィルターBOX看板厨房機器【加工提案も可能】株式会社神明工業引用元:株式会社神明工業①会社概要本社:大阪府大阪市平野区加美東1丁目6番30号TEL:06-6792-3811FAX:06-6794-6166創業:昭和61年加工:板金、切断、レーザー など素材:ステンレス などURL:http://shinmei-kogyo.com/②会社の紹介神明工業は、金属材料の販売と共に、金属加工や金属製品の注文製作を行っているメーカーです。切断加工と板金加工の設備を有し、ステンレス製のサッシや手すり、担架収納ボックスなどを製作しています。③メリット・デメリット材料販売会社でもあることから、素材の知識が豊富です。その知識を活かした素材の選定や最適な加工が期待できます。多数のシャーリングとプレスブレーキを取り揃えており、多様な板厚・サイズの製品に対応できます。大物の加工も可能です。ただし、マシニングセンタなど、切削加工が可能な設備は保有していないので、精密機械部品等の製作には対応できない可能性があります。④製品紹介神明工業の製品例をいくつかご紹介します。ウェルカムゲート円筒形トップライト手すりを兼ねたボラード(車両の侵入を阻止するための構造物)【コスト面でお困りなら】田中ステンレス株式会社引用元:田中ステンレス株式会社①会社概要本社:大阪府堺市中区大野芝149-5TEL:072-235-6563FAX:072-235-6587設立:昭和60年加工:板金、レーザー、溶接、研磨、組立 など素材:ステンレス、鉄、アルミ、真鍮、チタン、銅 などURL:http://www.tanaka-stn.co.jp/②会社の紹介田中ステンレスは、金属加工全般を主要事業としながらも、トラックパーツの製造・販売も行っているメーカーです。多数の機械設備を保有し、コストを抑えた製品を提供。また、設計から加工、組立までの一貫体制を整えています。トラックパーツのほか、建築部材や機械カバーなども製作しています。③メリット・デメリットレーザー切断・曲げ加工、溶接を得意とし、精密板金加工に対応しています。また、研磨仕上げについて、鏡面やヘアラインはもちろん、ウロコ研磨といった特殊な表面仕上げも可能です。なお、ウロコ加工は、丸パイプや角パイプにも適用することができます。ステンレスに限らず、アルミや真鍮、銅、チタンまで、あらゆる金属の加工が可能です。ただし、NC旋盤などの切削加工機は保有しておらず、削り出し加工には対応していませんのでご注意ください。④製品紹介田中ステンレスの商品例をいくつかご紹介しますステンレス縞板仕様の階段トラック用フロントバイザー(ステンレス製)ステンレスパイプへのウロコ加工大阪でステンレス加工メーカーの一括見積もりを依頼するなら【Mitsuri】どのメーカーも特色がありましたが、保有設備によって大物の加工ができるのか、精密加工が得意なのかなど、できることや得意なことは違います。そのことは、製品の実績からも判断できますので、頼みたい製品に近いものを扱っていたならば、一度相談してみると良いでしょう。Mitsuriは、日本全国に協力会社が250社以上ございます。ステンレス加工にお悩みの方はぜひご相談ください。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!

    アルミホイルやアルミ缶など、私たちの生活には身近で欠かせないアルミニウム。そんなアルミニウム製品ですが、実は純粋なアルミニウムのみで作られているものだけではなく、他の金属と混ぜ合わせた「アルミニウム合金(アルミ合金)」でも作られているとご存じでしょうか?今回は、アルミ合金について解説します。アルミ材の選び方!アルミ材をどういう基準で選べばいいのかを簡単に動画で解説しています!9分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひ!アルミ合金とは合金とは2種類以上の金属を混合した材料や、少量の非金属が加えられた金属的な性質をもつ材料を示します。なぜ金属を混ぜ合わせて、「合金」を作るのでしょうか。それは、一種類では加工時に材料としての条件が揃わないものでも二種類以上の金属を混ぜ合わせる事によって、剛性・耐熱等の条件が揃った金属として扱うことができるからです。アルミといえば、軽い・熱が伝わりやすい・加工しやすいなどの特長があります。しかしながらその一方で、柔らかいため傷がつきやすい・強度も鉄よりは劣る、などの面も持ち合わせています。そこで、銅やマグネシウムなどの金属や、ケイ素(シリコン)などと合わせることによって、より強く、より軽く、より熱が伝わりやすい材質を作り出すことが可能になりました。アルミ合金の種類とその特徴、用途一般に、アルミ合金には国際アルミニウム合金名が使用され、JIS(日本産業規格)においても、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名がアルミ合金の名前の一部に取り入れられています。それぞれNo.1000ごとに混合されている物質が異なり、その番号で何の物質との合金なのか判断することが出来ます。それでは、No.1000ごとに性質と用途を見ていきましょう。No.1000~【純アルミニウム】工業用の純アルミニウム。成分の99%がアルミニウム(Al)で構成されています。アルミの純度が高いので、加工性・耐食性(錆びにくい・酸化しにくい)・熱・電気伝導性などに優れていますが、強度が低い為、構造材料には適していません。強度がそれほど必要ではない部材や部品に使用されることが多く、アルミの中でも熱処理をせずに用いることの多い非熱処理型の材料です。【用途】家庭用品、電気器具、送配電用材料、放熱材、化学工業タンク などNo.2000~【Al-Cu系】アルミニウム+銅銅(Cu)を加えた合金。鉄鋼材料に匹敵する強度を持ち、熱処理型で調質することでさらに強度が向上します。高強度のアルミ合金として航空機部材として有名なジュラルミンや超ジュラルミンがあります。銅を含むと強度が向上する一方で、多く含むと耐食性は低下します。また、切削性には優れますが溶接性に難があり組みつけをする場合に多くは機械的方法をとったり、溶接でも抵抗スポット溶接が使われます。【用途】航空機用部材、ねじ・ギア部品、成形用金型、油圧部品 などNo.3000~【Al-Mn系】アルミニウム+マンガンマンガン(Mn)を加えた合金。純アルミニウムの加工性・耐食性を低下させずに、強度を少し上げたものです。器物、建材、容器などに広い用途があります。さらにマグネシウムを加えることで、より強度を増すことも可能です。【用途】建築用部材、屋根材、アルミ缶、電球口金などNo.4000~【Al-Si系】アルミニウム+ケイ素ケイ素(Si)シリコンを加えた合金。シリコンを加えることで熱膨張率が抑えられ、耐摩耗性も上がります。耐熱性にも優れるため、鍛造されてピストンなどで使われたり、他のアルミ合金よりも融点が低い為、溶接溶加材などでも使われています。【用途】ピストン、シリンダーヘッド、溶接線 などNo.5000~【Al-Mg系】アルミニウム+マグネシウムマグネシウム(Mg)を加えた合金。強度と耐食性、溶接性が向上します。マグネシウム量の少ないものは装飾用や器物用に、多いものは船舶、車両、化学プラントなどの構造材として使用されます。加えるマグネシウム量の幅が広いため、比較的種類が多く用途が広い点が特徴です。【用途】調理器具、燃料タンク、建築用内外装、反射板などNo.6000~【Al-Mg-Si系】アルミニウム+マグネシウム+ケイ素マグネシウムとシリコンを加えた合金。強度・耐食性に優れるため、構造材料としても使われます。溶接には弱く、アルミの長所の熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合を用いられることが多い材料です。また、経年損傷に強く、押し出し性にも優れます。このことから建築用のサッシなどに使われます。少量の銅を加えることで耐力を向上させた種類もあります。【用途】車両・船舶など輸送構造部材、建築用サッシ、ドアなどNo.7000~【Al-Zn-Mg系】アルミニウム+亜鉛+マグネシウム亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を加えた合金。熱処理により現存するアルミ合金の中で、最も高い強度を誇ります。日本で開発された超々ジュラルミンの名で知られる7075合金は、航空機やスポーツ用品などに使用されています。また、大きく分けるとAl-Zn-Mg-Cn系合金とAl-Zn-Mg系合金があります。溶接にも優れていますが、熱処理が不十分の場合には経年損傷を生じる場合があるので、注意が必要です。【用途】スポーツ用品、金型部材、車軸 などNo.8000~【その他 Li添加系など】アルミニウム+リチウムなどNo.1000~7000のどの合金系にも属さないその他の材料で、主な合金は低密度材・高剛性として開発されたAl-Li系合金などがあります。高剛性のアルミ合金として、航空機の材料としても使用されています。その他にも鉄(Fe)を添加することによって強度と圧延加工性を付与したアルミはく用合金が電気通信用や包装用として使用されています。【用途】食品包装材、医療用包装、アルミキャップなどそれぞれのアルミ合金の比重と融点についてアルミ合金の種類と特徴、用途がわかったところで、次はアルミ合金の比重(密度)と融点についてご紹介します。設計段階や試作段階でアルミニウム合金の素材を選ぶ際に、用途や性能向上のためにも、比重や融点を知っておくと役に立つのではないでしょうか。アルミの比重アルミニウムの比重(密度)は2.7mg/cm3(20℃)です。鉄の比重は7.8mg/cm3(20℃)で銅は8.9mg/cm3(20℃)なので、同じ体積ではアルミが1/3ほど軽いため、部品や筐体・ボディをアルミで軽量化することにより、製品の性能を向上させることができます。例えば、機械の高速回転や摺動部品をアルミで軽量化すれば、作業効率をアップさせることが可能です。また輸送分野でも、自動車や船舶、鉄道車両、航空機などのボディや部品をアルミで軽量化すれば、エネルギー効率がアップできます。アルミの融点アルミニウムは、他の金属を加えて合金にすることにより、高い強度を得るという利点がありますが、鋼などと比べると溶接や溶断が難しくなるという難点もあります。純アルミニウムの融点は約660℃、沸点は2470℃です。金属材料の中でアルミはかなり融点が低く、Al2O3(非晶質アルミナ)の膜ができて周囲のガス吸収を遮断し湯流れしやすいため、鋳造性は良いといえます。鋳造加工する場合などは融点の660℃で事足りますが、真空蒸着などの加工をする場合は沸点の2470℃程度まで温度を上げる必要があります。引用元:材料屋ドットコム アルミ合金の物理的性質*引張強さ・耐力:N/mm2 硬さ:ビッカース硬さ(Hv) 比重:g/cm3 溶解温度:℃ 導電率:(20℃・IACS・%)  熱伝導率:(25℃・Jgs)No.1000~工業用の純アルミニウムであるNo.1000番台は、アルミニウムの成分が99%からどのくらい多いかにもよりますが、1000系アルミ合金の融点は約 643~657℃くらいになります。No.1000番台の比重は、2.7~2.71mg/cm3(20℃)になります。No.2000~ジュラルミンや超ジュラルミンなどに代表されるNo.2000番台のアルミ合金は、アルミに銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を添加した合金です。この2000系アルミ合金の融点は、約502~640℃ほどで、比重は、2.58~2.84mg/cm3(20℃)になります。No.3000~アルミにマンガン(Mn)を加えたNo.3000番台のアルミ合金の融点は、約629~654℃程度になります。3000系アルミ合金の比重は2.72~2.73mg/cm3(20℃)です。No.4000~アルミにケイ素(Si)シリコンを加えて作られたNo.4000番台のアルミ合金の融点は、532~571℃になります。4000系アルミ合金の比重は、A4032で約2.68mg/cm3(20℃)です。No.5000~アルミにマグネシウム(Mg)を添加されて作られた5000系アルミ合金の融点は、約568~652℃ほどになります。5000系アルミ合金の融点は比重は、2.64~2.702mg/cm3(20℃)です。No.6000~マグネシウムとシリコンをアルミに加えて作られた6000系アルミ合金の融点は、約582~655℃です。6000系アルミ合金の融点は比重は2.69~2.70mg/cm3(20℃)になります。No.7000~アルミにマグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)を加えて作ったNo.7000番台のアルミ合金の融点は、約477~635℃ほどです。7000系アルミ合金の比重は2.80mg/cm3(20℃)ほどです。No.8000~Al-Li系合金などに代表される8000系アルミ合金は、No.1000~No.7000番台に属さない他の材料との合金になります。そのため、融点も比重も一定の範囲に収まりません。主な8000系アルミ合金の比重を参考までに挙げておきます。・A8021-2.73mg/cm3(20℃)・A8079-2.72mg/cm3(20℃)・A8090-2.54mg/cm3(20℃)アルマイトについてアルマイトとは陽極酸化処理とも言い、硫酸や硝酸などの強酸性の電解液で、アルミニウムの表面を電解処理し、人工的に薄い酸化被膜を形成する表面処理のことです。アルマイトの主成分は非晶質アルミナ(Al2O3)になります。元々アルミニウムは酸素と結びついて酸化しやすく、表面に薄い酸化膜を形成するため、保護され錆にくいですが、自然に形成される酸化被膜では薄いため、環境によっては錆びてしまいます。そこで、人工的に酸化膜を作って保護膜を厚くし、アルミニウムの耐食性をさらに高めるため、アルマイトが活用されるのです。アルマイトによって、アルミニウムの耐摩耗性も高くなり、傷もつきにくいため美観も良くなります。アルマイトのメリットアルマイトの主なメリットをまとめると、次の通りです。・耐食性・耐摩耗性・美観性・絶縁性・放熱性アルマイトのデメリットアルマイトのデメリットは、耐久性に優れていますが、強い酸やアルカリには弱く、溶解・腐食しやすい面があります。加えて、イオン化しやすいため、海水などの塩分の強い水溶液にさらされたり、湿度の高い状態で鉄や銅などに接触すると、腐食しやすくなります。また、アルマイトは柔軟性に欠けるため、アルマイト処理後に曲げたり加工したりした場合や素材が熱膨張する100℃を超えた環境下では、アルマイト被膜にクラックや剥がれが発生しやすいです。アルマイトの用途アルマイトが使われている製品は、身近なところで弁当箱・やかん・鍋などです。他にも、建材・光学部品・電車・航空機の内装品・自動車部品・光学部品・半導体部品・照明機器・医療機器・各種のネームプレート・化粧板など幅広い使い道があります。アルミ合金の1000~8000まで簡単に説明しましたがその中にも数多くの種類があり、私たちの生活の中で活躍しています。合金は元素の組み合わせや比率を変えることで、無限の可能性が生まれるので、これからも更に発展していくことでしょう。アルミに関する金属加工のお見積りをご検討中の方は、Mitsuriにご相談ください。全国250社のパートナー工場から適切な工場をご紹介させていただきます。お見積りは無料です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください。

  • 真空焼入れの硬度、メリット・デメリット、焼戻しとの違い

    真空焼入れは、真空状態での熱処理が可能な真空炉を使用する真空熱処理の一種です。真空炉は、密閉性が高く、不活性ガスを利用する際にも無駄に漏れたりすることが少ないなど、加熱と冷却の双方で省エネ効果が高い設備です。また近年、熱処理に対しても、品質要求が高くなっていることから、真空熱処理は今後ますます採用されることが多くなると予想されます。この記事では、代表的な真空熱処理である真空焼入れの詳細、メリット・デメリット、主な鋼材に適用したときの硬度などについて解説していきます。参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説!真空焼入れとは真空焼入れとは、真空炉を使用して鋼材を真空状態で加熱した後、ガス、油または水で急冷する熱処理のことです。酸素の排除によって鋼材表面の酸化や脱炭を防止すると同時に、焼入れの効果によって鋼材を硬くして、耐摩耗性や引張強さ、疲労強度などの強度を向上させることができます。真空焼入れの冷却には、主に窒素ガスが用いられており、ファンなどで炉内を撹拌して鋼材を冷やします。より急速な冷却が必要な場合には、高圧ガスが使われます。近年の真空炉では、冷却に10気圧もの高圧ガスを使用できるものがあり、3~6気圧もあれば油冷に近い冷却性能が得られます。なお、冷却性能は、高い順に水、油、ガスとなりますが、冷却が急なほど歪みが出やすいので注意が必要です。一方、通常の焼入れでは、鋼材を大気と同一の空気中で加熱して、急冷します。真空焼入れと違って、鋼材が空気中の酸素や二酸化炭素に触れるため、表面にサビが生じ、表面から鉄鋼の硬さの素となる炭素が二酸化炭素などとなって抜けてしまいます。そのため、大気下での焼入れの後には、鋼材表面を皮をむくように削り取る「ピーリング処理」が行われます。また、ピーリング処理によって寸法が変化するため、寸法変化に応じた寸法設定を行い、熱処理後には切削加工などで形状を整える必要があります。真空焼入れでは、焼入れを真空状態で行うことで、これらの焼入れの難点や焼入れに伴う手間がなくなります。なお、真空状態とは、大気圧(1.013×105Pa)よりも圧力が低い状態のことです。鋼材では、低真空(105Pa~102Pa)または中真空(102Pa~10-1Pa)程度の真空状態で熱処理が行われます。しかし、真空炉を減圧する真空ポンプの性能が不足している場合などでは、真空炉を減圧した後、窒素ガスなどの不活性ガスを流し込むことで残留空気を排出し、高真空状態の代わりとすることがあります。参考:焼入れとは?焼入れの種類ごとの特徴に分けて解説!真空焼入れのメリット真空焼入れは、大気中の焼入れと比べて、以下のメリットがあります。酸化や脱炭を防ぐことができる真空焼入れでは、真空状態で鋼材を加熱し、不活性な窒素ガスで冷却を行うため、鋼材表面の酸化や脱炭がほとんど起きません。そのため、大気下の焼入れでは必要となるピーリング処理や後加工などの工程が不要となります。耐摩耗性が高い真空焼入れでは、脱炭がほぼ起きないため、硬度が高く、耐摩耗性に優れます。これは、大気下の焼入れでは、ピーリング処理によって鋼材表面を削り取った場合でも、脱炭層が残留して表面硬度が低下することがあるからです。変色せず、金属光沢が保持される真空焼入れでは、鋼材表面の酸化がほぼ起きないため、熱処理前後で表面の色や光沢が保持されます。鋼材表面の光沢性が維持されることから、真空焼入れは光輝焼入れとも呼ばれます。変形が小さく、歪みが少ない真空焼入れは、真空状態で加熱を行うことから、鋼材の昇温が緩やかで表面と内部の温度差が小さい状態のまま進行するため、変形が起こりにくく、歪みが小さくなっています。なお、鋼材の昇温が緩やかであるのは、減圧下で昇温するため、空気を通した加熱ができず、ほぼ輻射熱のみによって加熱するからです。ただし、冷却時に変形や歪みが発生することもあり、冷却が急速であるほど変形や歪みが生じやすくなっています。真空焼入れのデメリット一方、真空焼入れは、大気中の焼入れと比べて、以下のデメリットがあります。炉が高価である真空焼入れで用いられる真空炉は、通常の焼入れに用いられる電気炉やガス炉などと比べて高価です。また、共に使用される真空ポンプは、高真空状態が得られるものほど価格が高くなっています。しかし、安価で低真空状態しか得られない真空ポンプでは、真空度が不足して、熱処理時に窒素ガスなどの不活性ガスが必要となることがあるため、ランニングコストが余計に掛かることもあります。炉の占有時間が長くなる傾向がある真空焼入れでは、加熱に続いて冷却も炉内で行う必要があるため、焼入れの作業を一度始めると炉の占有時間が長くなってしまいます。また、鋼材の昇温に時間が掛かることも、炉の占有時間を長くします。大気下の焼入れでは通常、冷却は炉外で行われます。一方、真空焼入れで冷却を炉外で実行すると、炉を開けた瞬間に酸化などが進んでしまいます。つまり、真空状態で焼入れを行ったことの意味がなくなってしまうのです。しかし、近年では、連続式真空炉と呼ばれる複数の炉室を持った真空炉が利用されるようになっています。連続式真空炉は、加熱・冷却の2室、予熱・加熱・冷却の3室など、役割の異なる複数の炉室を持っており、1室で加熱・冷却と炉内の状態を変えなくてはならない従来の真空炉と違い、炉内の状態を維持したまま、ライン作業のように焼入れを行うことが可能です。真空焼入れの硬度(HRC)代表的な焼入れ鋼の真空焼入れによる硬度は、下表の通りです。鋼種硬度 (HRC)炭素工具鋼SK358~63合金工具鋼SKS358~62SKD1155~62SKD6148~53高速度工具鋼(ハイス鋼)SKH5158~64マルテンサイト系ステンレス鋼SUS440C52~56SUS420J250~54    炭素鋼S45C14~28合金鋼SCM43527~35上表は、焼入れ後に焼戻しを行った場合の硬度で、炭素濃度や焼入れ温度、冷却方法、冷却速度、焼戻し温度などによって硬度の値は違ってきます。なお、大気下の焼入れと真空焼入れで硬度が異なるということは特にありません。しかし、真空焼入れは、脱炭がほぼ起きず、熱処理による欠陥が発生しにくいため、焼入れの後に予期せず硬度が低いなどといったことが起こりにくくなっています。参考:SKD11とは?硬度、成分、規格、処理、加工方法まとめ参考:マルテンサイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ適用可能な主な材質真空焼入れは、下表のような材質に適用可能です。材質の分類鋼種炭素工具鋼SK3, SK5合金工具鋼冷間ダイス鋼SKS3, SKD11, DC53, HPM31, KD11, SLD-MAGIC熱間ダイス鋼SKD61, DH32, SKT4高速度工具鋼(ハイス鋼)モリブデン系SKH51, SKH55バナジウム系SKH57マトリックス系DRM1, DRM2, DRM3,  YXR3, YXR33, YXR7, MH85粉末系HAP10, HAP40, HAP70ステンレス鋼マルテンサイト系SUS440C, SUS420J2, HPM38, STAVAXオーステナイト系SUS303, SUS304, SUS316析出硬化系SUS630炭素鋼S45C, S50C, S55C合金鋼クロムモリブデン鋼SCM415, SCM420, SCM435, SCM440 ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM415, SNCM420, SNCM439軸受鋼高炭素クロム軸受鋼SUJ2ばね鋼クロムバナジウム鋼SUP10上表から理解されるように、真空焼入れは、工具や金型、軸受などの高い品質が要求される鋼材に採用される熱処理です。しかし、近年では、真空炉のコストが低下してきたこともあり、ステンレス製の自動車部品や産業機械部品、家電部品などにも採用されるようになっています。ただし、クロムやマンガンなどの蒸気圧の高い元素は、真空度が高過ぎると高温下で蒸発することがあるため、ステンレス鋼などのクロム含有量が多い鋼材では、鋼材表面のクロム濃度が減少してしまうことがあります。そのため、マンガンやクロムの含有量が多い鋼材に真空焼入れを施す場合は、不活性ガスを利用するなどして対処する必要があります。なお、下図は、様々な真空度(101~103)で、SUS304に真空焼入れを適用した場合の表面クロム濃度です。真空度が高く(加熱時の圧力が小さく)、熱処理温度が高いほど、鋼材表面のクロム濃度が減少しています。引用元:工具の通販モノタロウ > 工具の熱処理・表面処理基礎講座 > 「3-6真空熱処理適用上の留意事項」株式会社MonotaRO(ものたろう)焼戻しや高周波焼入れ、ズブ焼きとの違いここでは、焼入れ後に再加熱する「焼戻し」、鋼材表面のみを硬くする「高周波焼入れ」、鋼材の内部まで加熱して鋼材全体を硬くする「ズブ焼入れ(全体焼入れ)」について触れていきます。そもそも、焼戻しは、焼入れの加熱温度の2分の1程度の温度まで加熱し、緩やかに冷却する熱処理です(下図参照)。焼入れの後に必ず実施される熱処理で、焼入れによって脆くなった鋼材の靭性や硬度の調整、内部応力の緩和を目的に行われます。真空焼入れ後の焼戻しは、必ずしも真空炉が使用されるわけではありません。しかし、その場合は、大気下の焼入れほどではありませんが、鋼材表面の酸化や脱炭、変色、金属光沢の消失が起こります。そのため、真空焼入れ後は、真空焼戻しを行うことが推奨されます。高周波焼入れは、電磁誘導によって鋼材内部に電流を誘起し、鋼材の表面のみを加熱して焼入れを行う熱処理ですが、一般的な真空炉で実施することはできません。真空炉を使用する熱処理は通常、鋼材を炉内に入れて密閉した後に、真空状態を作って、加熱します。そのため、鋼材全体に焼入れを施すズブ焼入れが標準的であり、高周波焼入れのように部分的に焼入れを施すことはできません。ただし、高周波焼入れに対応した真空炉も少ないながら存在します。

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    【大阪でステンレス加工を依頼するなら!】大阪で腕の立つ加工メーカー5選 !

    鉄よりも値段は張るものの、美しくサビに強いステンレス。ですが、「金属加工を頼むのは初めてで、どのステンレス加工メーカーを選んだら良いのか分からない・・・」「今回開発する製品は、どのステンレス加工メーカーが合っているのだろう・・・」「特殊なステンレス加工をお願いしたけど、対応しているメーカーが見つからない・・・」など、ご希望のメーカーが見つからない方も多いかと思います。そこで、今回の記事では、大阪府の中でも特に腕の立つステンレス加工メーカーを5社ご紹介します。各メーカーの特徴やメリット・デメリット、製品例についても挙げていきますので、ぜひ参考にしてみてください。【オリジナル製品も対応可】株式会社 前田製作所引用元:株式会社前田製作所①会社概要本社:大阪府大阪市西淀川区福町1-1-24TEL:06-6473-9537FAX:06-6473-7760創業:昭和33年加工:板金、切断、溶接、レーザー、研磨 など素材:ステンレス、鉄、アルミ などURL:http://www.susmaeda.com/②会社の紹介前田製作所は、創業以来培ってきたステンレス板金加工・溶接技術を活かし、厨房設備や設備関連機器、ライン設備などを設計・製作しているメーカーです。特に、高度な薄物板金技術を持ち、規格外のオリジナル製品にも対応しています。自社工場での設計や製造、検査はもとより、据付までをも行う一貫体制で製品を提供しています。③メリット・デメリット他メーカーでは断られるような小ロットや単品の製作にも対応。完全オリジナルのオーダーメイド製品にも快く応えてくれます。万全のアフターケア体制を敷いており、過去に納品した使用済み製品のメンテナンスも行っています。追加工や改造なども可能です。ただし、NC旋盤やマシニングセンタなどの切削加工機は保有していないので、削り出しが必要な製品には対応できません。切削が必要か否かの相談も含め、事前にお問い合わせすることをオススメします。④製品紹介前田製作所の製品例をいくつかご紹介します。規格外サイズのオーダーメイドシンクタンク蓋内面をビードカット(溶接痕を研磨して除去すること)で仕上げた集塵機用ダクト【幅広い分野にご対応】刀根自動機株式会社引用元:刀根自動機株式会社①会社概要本社:大阪府大阪市城東区新喜多2-5-30TEL:06-6931-8571FAX:06-6934-8673創立:1970年加工:切削、レーザー、ワイヤー、放電、研磨、研削、板金、溶接、カシメ、組立 など素材:鉄、アルミ、ステンレス、樹脂、超硬 などURL:http://www.tone-jidoki.co.jp/②会社の紹介刀根自動機は、自動化・省力化機器、パーツフィーダ等の製造や機械加工を主要事業としているメーカーです。自社製品の内部製作で培った高度な技術を活かし、切削加工や板金加工、研磨・研削加工などのご依頼に応えています。金型などの難加工品にも対応しているため、難しいとされるステンレスの切削加工も高い精度・品質で行うことが可能です。また、マシニングセンタやNC旋盤、プレス機、レーザー加工機、ワイヤー加工機、放電加工機など、多様な設備を保有しているため、お客様の幅広いニーズに応えることができます。③メリット・デメリット一品から試作、量産まで、ロット数に関わらず対応可能です。素材についても、鉄やステンレス、アルミはもちろん、樹脂や超硬合金などの各種材質に対応できます。また、3次元の設計・加工が可能な設備を保有していますので、高精度な金型部品や複雑な3次元形状部品の製作も可能です。幅広い分野に対応できるメーカーですが、扱っている製品は、産業機械や機械部品などがほとんどです。そのため、建設部材などの製作には対応できない可能性があるので、事前にご相談することをオススメします。④製品紹介刀根自動機の製品例をいくつかご紹介します。板金加工と切削加工の両方を用いて製造した製品マシニングセンタなどによる切削加工で製造した製品治具【1つから依頼可能】株式会社 谷口引用元:株式会社谷口①会社概要本社:大阪府大阪市平野区瓜破東1-1-25TEL:06-6708-1027FAX:06-6706-3637創業:昭和47年加工:板金、切断、溶接、研磨 など素材:ステンレス、鉄 などURL:http://www.taniguchi-sheetmetal.com/②会社の紹介谷口は、主にステンレス加工を行っているメーカーです。板金、溶接、研磨、パイプ加工などを得意とし、機械部品や厨房機器、看板、建築金物等、幅広い製品分野の実績があります。また、タレパン(タレットパンチプレス)を保有していますので、板金加工品の量産が可能です。③メリット・デメリット単品、小ロット品、量産品など、ロット数によらず対応可能です。単発のご注文、オーダーメイドのご依頼も受け付けています。ただし、超精密板金加工や超微細プレス加工など、特殊なことは対応できません。ご依頼の加工が特殊か否かも含めて、ぜひMitsuriにお問い合わせください。④製品紹介谷口の製品例をいくつかご紹介します。フィルターBOX看板厨房機器【加工提案も可能】株式会社神明工業引用元:株式会社神明工業①会社概要本社:大阪府大阪市平野区加美東1丁目6番30号TEL:06-6792-3811FAX:06-6794-6166創業:昭和61年加工:板金、切断、レーザー など素材:ステンレス などURL:http://shinmei-kogyo.com/②会社の紹介神明工業は、金属材料の販売と共に、金属加工や金属製品の注文製作を行っているメーカーです。切断加工と板金加工の設備を有し、ステンレス製のサッシや手すり、担架収納ボックスなどを製作しています。③メリット・デメリット材料販売会社でもあることから、素材の知識が豊富です。その知識を活かした素材の選定や最適な加工が期待できます。多数のシャーリングとプレスブレーキを取り揃えており、多様な板厚・サイズの製品に対応できます。大物の加工も可能です。ただし、マシニングセンタなど、切削加工が可能な設備は保有していないので、精密機械部品等の製作には対応できない可能性があります。④製品紹介神明工業の製品例をいくつかご紹介します。ウェルカムゲート円筒形トップライト手すりを兼ねたボラード(車両の侵入を阻止するための構造物)【コスト面でお困りなら】田中ステンレス株式会社引用元:田中ステンレス株式会社①会社概要本社:大阪府堺市中区大野芝149-5TEL:072-235-6563FAX:072-235-6587設立:昭和60年加工:板金、レーザー、溶接、研磨、組立 など素材:ステンレス、鉄、アルミ、真鍮、チタン、銅 などURL:http://www.tanaka-stn.co.jp/②会社の紹介田中ステンレスは、金属加工全般を主要事業としながらも、トラックパーツの製造・販売も行っているメーカーです。多数の機械設備を保有し、コストを抑えた製品を提供。また、設計から加工、組立までの一貫体制を整えています。トラックパーツのほか、建築部材や機械カバーなども製作しています。③メリット・デメリットレーザー切断・曲げ加工、溶接を得意とし、精密板金加工に対応しています。また、研磨仕上げについて、鏡面やヘアラインはもちろん、ウロコ研磨といった特殊な表面仕上げも可能です。なお、ウロコ加工は、丸パイプや角パイプにも適用することができます。ステンレスに限らず、アルミや真鍮、銅、チタンまで、あらゆる金属の加工が可能です。ただし、NC旋盤などの切削加工機は保有しておらず、削り出し加工には対応していませんのでご注意ください。④製品紹介田中ステンレスの商品例をいくつかご紹介しますステンレス縞板仕様の階段トラック用フロントバイザー(ステンレス製)ステンレスパイプへのウロコ加工大阪でステンレス加工メーカーの一括見積もりを依頼するなら【Mitsuri】どのメーカーも特色がありましたが、保有設備によって大物の加工ができるのか、精密加工が得意なのかなど、できることや得意なことは違います。そのことは、製品の実績からも判断できますので、頼みたい製品に近いものを扱っていたならば、一度相談してみると良いでしょう。Mitsuriは、日本全国に協力会社が250社以上ございます。ステンレス加工にお悩みの方はぜひご相談ください。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

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    アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!

    アルミホイルやアルミ缶など、私たちの生活には身近で欠かせないアルミニウム。そんなアルミニウム製品ですが、実は純粋なアルミニウムのみで作られているものだけではなく、他の金属と混ぜ合わせた「アルミニウム合金(アルミ合金)」でも作られているとご存じでしょうか?今回は、アルミ合金について解説します。アルミ材の選び方!アルミ材をどういう基準で選べばいいのかを簡単に動画で解説しています!9分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひ!アルミ合金とは合金とは2種類以上の金属を混合した材料や、少量の非金属が加えられた金属的な性質をもつ材料を示します。なぜ金属を混ぜ合わせて、「合金」を作るのでしょうか。それは、一種類では加工時に材料としての条件が揃わないものでも二種類以上の金属を混ぜ合わせる事によって、剛性・耐熱等の条件が揃った金属として扱うことができるからです。アルミといえば、軽い・熱が伝わりやすい・加工しやすいなどの特長があります。しかしながらその一方で、柔らかいため傷がつきやすい・強度も鉄よりは劣る、などの面も持ち合わせています。そこで、銅やマグネシウムなどの金属や、ケイ素(シリコン)などと合わせることによって、より強く、より軽く、より熱が伝わりやすい材質を作り出すことが可能になりました。アルミ合金の種類とその特徴、用途一般に、アルミ合金には国際アルミニウム合金名が使用され、JIS(日本産業規格)においても、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名がアルミ合金の名前の一部に取り入れられています。それぞれNo.1000ごとに混合されている物質が異なり、その番号で何の物質との合金なのか判断することが出来ます。それでは、No.1000ごとに性質と用途を見ていきましょう。No.1000~【純アルミニウム】工業用の純アルミニウム。成分の99%がアルミニウム(Al)で構成されています。アルミの純度が高いので、加工性・耐食性(錆びにくい・酸化しにくい)・熱・電気伝導性などに優れていますが、強度が低い為、構造材料には適していません。強度がそれほど必要ではない部材や部品に使用されることが多く、アルミの中でも熱処理をせずに用いることの多い非熱処理型の材料です。【用途】家庭用品、電気器具、送配電用材料、放熱材、化学工業タンク などNo.2000~【Al-Cu系】アルミニウム+銅銅(Cu)を加えた合金。鉄鋼材料に匹敵する強度を持ち、熱処理型で調質することでさらに強度が向上します。高強度のアルミ合金として航空機部材として有名なジュラルミンや超ジュラルミンがあります。銅を含むと強度が向上する一方で、多く含むと耐食性は低下します。また、切削性には優れますが溶接性に難があり組みつけをする場合に多くは機械的方法をとったり、溶接でも抵抗スポット溶接が使われます。【用途】航空機用部材、ねじ・ギア部品、成形用金型、油圧部品 などNo.3000~【Al-Mn系】アルミニウム+マンガンマンガン(Mn)を加えた合金。純アルミニウムの加工性・耐食性を低下させずに、強度を少し上げたものです。器物、建材、容器などに広い用途があります。さらにマグネシウムを加えることで、より強度を増すことも可能です。【用途】建築用部材、屋根材、アルミ缶、電球口金などNo.4000~【Al-Si系】アルミニウム+ケイ素ケイ素(Si)シリコンを加えた合金。シリコンを加えることで熱膨張率が抑えられ、耐摩耗性も上がります。耐熱性にも優れるため、鍛造されてピストンなどで使われたり、他のアルミ合金よりも融点が低い為、溶接溶加材などでも使われています。【用途】ピストン、シリンダーヘッド、溶接線 などNo.5000~【Al-Mg系】アルミニウム+マグネシウムマグネシウム(Mg)を加えた合金。強度と耐食性、溶接性が向上します。マグネシウム量の少ないものは装飾用や器物用に、多いものは船舶、車両、化学プラントなどの構造材として使用されます。加えるマグネシウム量の幅が広いため、比較的種類が多く用途が広い点が特徴です。【用途】調理器具、燃料タンク、建築用内外装、反射板などNo.6000~【Al-Mg-Si系】アルミニウム+マグネシウム+ケイ素マグネシウムとシリコンを加えた合金。強度・耐食性に優れるため、構造材料としても使われます。溶接には弱く、アルミの長所の熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合を用いられることが多い材料です。また、経年損傷に強く、押し出し性にも優れます。このことから建築用のサッシなどに使われます。少量の銅を加えることで耐力を向上させた種類もあります。【用途】車両・船舶など輸送構造部材、建築用サッシ、ドアなどNo.7000~【Al-Zn-Mg系】アルミニウム+亜鉛+マグネシウム亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を加えた合金。熱処理により現存するアルミ合金の中で、最も高い強度を誇ります。日本で開発された超々ジュラルミンの名で知られる7075合金は、航空機やスポーツ用品などに使用されています。また、大きく分けるとAl-Zn-Mg-Cn系合金とAl-Zn-Mg系合金があります。溶接にも優れていますが、熱処理が不十分の場合には経年損傷を生じる場合があるので、注意が必要です。【用途】スポーツ用品、金型部材、車軸 などNo.8000~【その他 Li添加系など】アルミニウム+リチウムなどNo.1000~7000のどの合金系にも属さないその他の材料で、主な合金は低密度材・高剛性として開発されたAl-Li系合金などがあります。高剛性のアルミ合金として、航空機の材料としても使用されています。その他にも鉄(Fe)を添加することによって強度と圧延加工性を付与したアルミはく用合金が電気通信用や包装用として使用されています。【用途】食品包装材、医療用包装、アルミキャップなどそれぞれのアルミ合金の比重と融点についてアルミ合金の種類と特徴、用途がわかったところで、次はアルミ合金の比重(密度)と融点についてご紹介します。設計段階や試作段階でアルミニウム合金の素材を選ぶ際に、用途や性能向上のためにも、比重や融点を知っておくと役に立つのではないでしょうか。アルミの比重アルミニウムの比重(密度)は2.7mg/cm3(20℃)です。鉄の比重は7.8mg/cm3(20℃)で銅は8.9mg/cm3(20℃)なので、同じ体積ではアルミが1/3ほど軽いため、部品や筐体・ボディをアルミで軽量化することにより、製品の性能を向上させることができます。例えば、機械の高速回転や摺動部品をアルミで軽量化すれば、作業効率をアップさせることが可能です。また輸送分野でも、自動車や船舶、鉄道車両、航空機などのボディや部品をアルミで軽量化すれば、エネルギー効率がアップできます。アルミの融点アルミニウムは、他の金属を加えて合金にすることにより、高い強度を得るという利点がありますが、鋼などと比べると溶接や溶断が難しくなるという難点もあります。純アルミニウムの融点は約660℃、沸点は2470℃です。金属材料の中でアルミはかなり融点が低く、Al2O3(非晶質アルミナ)の膜ができて周囲のガス吸収を遮断し湯流れしやすいため、鋳造性は良いといえます。鋳造加工する場合などは融点の660℃で事足りますが、真空蒸着などの加工をする場合は沸点の2470℃程度まで温度を上げる必要があります。引用元:材料屋ドットコム アルミ合金の物理的性質*引張強さ・耐力:N/mm2 硬さ:ビッカース硬さ(Hv) 比重:g/cm3 溶解温度:℃ 導電率:(20℃・IACS・%)  熱伝導率:(25℃・Jgs)No.1000~工業用の純アルミニウムであるNo.1000番台は、アルミニウムの成分が99%からどのくらい多いかにもよりますが、1000系アルミ合金の融点は約 643~657℃くらいになります。No.1000番台の比重は、2.7~2.71mg/cm3(20℃)になります。No.2000~ジュラルミンや超ジュラルミンなどに代表されるNo.2000番台のアルミ合金は、アルミに銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を添加した合金です。この2000系アルミ合金の融点は、約502~640℃ほどで、比重は、2.58~2.84mg/cm3(20℃)になります。No.3000~アルミにマンガン(Mn)を加えたNo.3000番台のアルミ合金の融点は、約629~654℃程度になります。3000系アルミ合金の比重は2.72~2.73mg/cm3(20℃)です。No.4000~アルミにケイ素(Si)シリコンを加えて作られたNo.4000番台のアルミ合金の融点は、532~571℃になります。4000系アルミ合金の比重は、A4032で約2.68mg/cm3(20℃)です。No.5000~アルミにマグネシウム(Mg)を添加されて作られた5000系アルミ合金の融点は、約568~652℃ほどになります。5000系アルミ合金の融点は比重は、2.64~2.702mg/cm3(20℃)です。No.6000~マグネシウムとシリコンをアルミに加えて作られた6000系アルミ合金の融点は、約582~655℃です。6000系アルミ合金の融点は比重は2.69~2.70mg/cm3(20℃)になります。No.7000~アルミにマグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)を加えて作ったNo.7000番台のアルミ合金の融点は、約477~635℃ほどです。7000系アルミ合金の比重は2.80mg/cm3(20℃)ほどです。No.8000~Al-Li系合金などに代表される8000系アルミ合金は、No.1000~No.7000番台に属さない他の材料との合金になります。そのため、融点も比重も一定の範囲に収まりません。主な8000系アルミ合金の比重を参考までに挙げておきます。・A8021-2.73mg/cm3(20℃)・A8079-2.72mg/cm3(20℃)・A8090-2.54mg/cm3(20℃)アルマイトについてアルマイトとは陽極酸化処理とも言い、硫酸や硝酸などの強酸性の電解液で、アルミニウムの表面を電解処理し、人工的に薄い酸化被膜を形成する表面処理のことです。アルマイトの主成分は非晶質アルミナ(Al2O3)になります。元々アルミニウムは酸素と結びついて酸化しやすく、表面に薄い酸化膜を形成するため、保護され錆にくいですが、自然に形成される酸化被膜では薄いため、環境によっては錆びてしまいます。そこで、人工的に酸化膜を作って保護膜を厚くし、アルミニウムの耐食性をさらに高めるため、アルマイトが活用されるのです。アルマイトによって、アルミニウムの耐摩耗性も高くなり、傷もつきにくいため美観も良くなります。アルマイトのメリットアルマイトの主なメリットをまとめると、次の通りです。・耐食性・耐摩耗性・美観性・絶縁性・放熱性アルマイトのデメリットアルマイトのデメリットは、耐久性に優れていますが、強い酸やアルカリには弱く、溶解・腐食しやすい面があります。加えて、イオン化しやすいため、海水などの塩分の強い水溶液にさらされたり、湿度の高い状態で鉄や銅などに接触すると、腐食しやすくなります。また、アルマイトは柔軟性に欠けるため、アルマイト処理後に曲げたり加工したりした場合や素材が熱膨張する100℃を超えた環境下では、アルマイト被膜にクラックや剥がれが発生しやすいです。アルマイトの用途アルマイトが使われている製品は、身近なところで弁当箱・やかん・鍋などです。他にも、建材・光学部品・電車・航空機の内装品・自動車部品・光学部品・半導体部品・照明機器・医療機器・各種のネームプレート・化粧板など幅広い使い道があります。アルミ合金の1000~8000まで簡単に説明しましたがその中にも数多くの種類があり、私たちの生活の中で活躍しています。合金は元素の組み合わせや比率を変えることで、無限の可能性が生まれるので、これからも更に発展していくことでしょう。アルミに関する金属加工のお見積りをご検討中の方は、Mitsuriにご相談ください。全国250社のパートナー工場から適切な工場をご紹介させていただきます。お見積りは無料です。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください。