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化成処理

  • 化成処理とは?種類ごとの特徴を解説

    防錆や金属の皮膜処理について調べていると化成処理という言葉を目にします。めっきと同じような処理のため「何が違うの?」「どんな特徴があるの?」といった疑問が生まれてくるかもしれません。今回は、化成処理とはどのような処理なのか、種類、目的などについて、詳しく解説していきます。化成処理とは化成処理は、金属をはじめとする加工物を溶液に浸透させて皮膜を作る表面処理のひとつです。表面に処理剤を用いて化学反応を起こさせることで、元の素材とは違った性質を与えることができます。耐食性に加えて外観の向上も見られるほか、下地として処理をすることで塗装との密着性を上げる目的としても活用されます。同じような処理方法のめっきと同列で扱われることもありますが、化成処理は化学薬品を使用したり、電気化学を応用したり、科学的方法を用いて素材に皮膜を生成するため、めっきとは別の処理として考えられることも少なくありません。化成処理の種類化成処理にはいくつか種類がありますが、その中でも代表的な4種類をご紹介します。リン酸塩処理・主に鉄鋼製品に対して採用される・リン酸塩系の処理液を用いて表面を化学反応させ、皮膜を生成する・表面保護効果に加え、塗料との親和性を高める効果があるリン酸塩処理はパーカー処理やパルホス処理とも呼ばれ、鉄をはじめとする金属系の加工物をリン酸塩系の処理液に浸漬させることで表面を化学反応させる化成処理です。使用される処理液は、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム等の種類があり、それぞれに異なる特徴を持っています。処理方法によって種類は異なりますが、いずれも表面に凹凸のある皮膜が生成される特徴があります。錆をはじめとする腐食を抑える表面保護効果に加え、塗料との親和性を高めることもできるため、塗装の下地処理としても多く活用されます。最も多く用いられているリン酸亜鉛処理は、さまざまな素材に対応できますが、処理液によっては鉄鋼製品以外には使用できないものもあるため注意が必要です。⇒リン酸塩処理とは?種類と処理工程を解説クロメート処理・主に亜鉛めっきが施された加工物の後処理に用いられる・六価クロム、三価クロムを含む処理液を用いた化成処理・自己修復性の皮膜によって耐食性の向上や変色防止の効果があるクロメート処理には黄銅、亜鉛、アルミニウムなどが主に使用されます。加工物を六価クロム、もしくは三価クロムを用いた含む溶液に浸漬させ、表面に酸化皮膜を生成する化成処理です。クロメート処理によって得られる酸化被膜は自己修復性を持っており、他の皮膜に比べて高い耐食性を示します。さらに、塗装の代替としても使える着色クロメートや、塗装の前処理として活用できる塗装下地クロメートなど、幅広い活用法が見込めるとして注目を集めています。クロメート処理は素材に直接処理を施すだけでなく、亜鉛めっきが施された加工物の後処理として行われることも少なくありません。これは亜鉛が変色しやすく指紋などがつきやすい性質を持っているからです。亜鉛めっきは特に、湿気のある環境では白色斑点などを生じやすい欠点を持っています。合わせてクロメート処理を施すことで、光沢性と耐食性を付加できるため、電気亜鉛めっきでは不可欠な技術となっています。この他、アルミやマグネシウムの処理に採用される場合は塗装との密着性向上を、無電解ニッケルめっきの後処理に採用する場合は耐食性と変色防止を目的とするなど、素材に応じてさまざまな用途で活用されています。⇒三価クロメートとは?種類や特徴、六価クロメートとの違いジンケート処理・アルミニウム合金に対し、めっきの前処理として用いられる・ジンケート(亜塩酸塩)を使った薬液に浸漬させる化成処理・アルミの酸化皮膜を溶かし、亜鉛皮膜を形成させることでめっきの密着不良を解消するジンケート処理は主にアルミニウムやマグネシウムなどの合金に対し、前処理として採用される化成処理です。近年、自動車をはじめとするさまざまな製品に対し、軽量化を目的としてアルミニウムが採用されています。このアルミニウム合金にめっき処理を施す際、前処理としてジンケート処理が不可欠です。アルミニウム合金の表面に、耐摩耗性や装飾性の向上を目的にめっき処理が行われます。しかし、アルミニウム合金は大気中の酸素によって緻密で強固な酸化被膜を形成する特性があります。この酸化被膜はめっきの密着性を阻害してしまうため、ジンケート処理を2回行うダブルジンケート処理によって密着不良を回避しています。黒染め処理・鉄鋼製品に対し、1~2μmの薄い酸化被膜を生成させる・アルカリ水溶液を使った化成処理で、黒色の皮膜が生成される・耐食性・耐熱性を持っている上に見栄えが良く、コストも安い黒染め処理は、アルカリ水溶液に鉄鋼系の加工品を浸漬させることで、表面に耐食性のある黒色の酸化皮膜を生成させる化成処理です。他の化成処理に比べて耐食性の効果は低めですが、皮膜の厚さが約1~2μmと薄く、コストが低いメリットがあります。実際には黒く染めている訳ではなく、鉄の表面が酸化して四酸化三鉄の皮膜で覆われることで黒く変色していますが、見栄えが良い上に防錆効果もあるため、黒く染める用途として採用されることも少なくありません。黒染め処理によって生成される皮膜はめっきや塗装に比べると非常に薄いですが、剥離の心配がなく、経年変化においても寸法精度がほとんど変わりません。また、見た目の美しさや耐熱性の高さ、価格の安さなど、多くのメリットを持ち合わせています。さらに、錆びている製品に対しても、酸洗い処理などによって錆を落とした後で黒染め処理をすることができ、汎用性が高い点も魅力のひとつです。⇒金属の黒染め加工とは?効果と材料向き不向き

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    除去加工について専門家が解説!【製品事例についても掲載】

    「今まで契約していた除去加工のメーカーと今後契約できなくなった・・・」「除去加工に精通したメーカーを知りたい・・・」除去加工に精通したメーカーを探している場合、どこの業者が良いのかだけでなく、もっと良い業者があるのではないかなど、業者選びに苦労している方も多いのではないでしょうか。とくに新しい業者選びには、慎重になりますよね。そこで本記事は、除去加工について詳しく深掘りし、慎重に加工業者を決めたい方のために、事業に合うメーカーを探すお手伝いができる記事です。今回は、除去加工の製品例もご紹介しますので、ぜひメーカー選びの参考にしてみてください。除去加工とは金属加工には、さまざまな方法があります。その中でも一定の形状を作るために、金属を削って加工する加工方法を「除去加工」といいます。金属を削ることで、切りくずがでるため、その余計な部分を取り除くことから「除去加工」と呼ばれています。除去加工の中には、刃物を使って削る切削加工や、砥石を回して削る研削加工、その他砥粒研磨や放電加工などがあります。製造工程の中で、金属を必要な形に削ったり、マクロ単位で微調整などして加工を行い、加工現場にはなくてはならない加工方法とされています。除去加工のメリットは、プログラムされた機械によって精密で非常に正確な製品を量産できる点です。またひとつの製品を同じ寸法で大量生産できる点も生産現場にとってのメリットです。ひとつの製品に対して、より多く生産できれば生産の効率化だけでなくコストカットも望めます。除去加工は、精密なものを大量生産できる加工方法として多くの現場で実施されています。切削製造工程において、切削とは、所定の形状を作るために金属を一部分削ることです。工程で、ひとつの部品(または製品)が所定の工程に流れてきた後、バイトなどの工具によって削り取る動きのことで、非常に精度を求められる加工方法です。バイトの少しのズレや、削り具合によって製品に影響がでるため、この切削工程の管理体制がしっかりしているかどうかで、製品の安定稼働が可能かどうかの判断ができるといえます。より詳細はこちら→切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!また切削工程では「送り」という動きも必要となります。この「送り」とは、製品または工具を移動させることによって、製品の他の部分まで切削することです。たとえば、パイプの先頭部分と下端部を削る場合、まず先頭部分を削ったあと、パイプまたは工具(機械)を下端部に送ることで、切削が可能となります。この製品または工具を移動して切削することを「送り」といい、「切削」とセットで用いられることが多いです。研削切削が金属を削る工程であるのに対し、研削加工は最後の仕上げの加工を指します。切削の工程で、金属の一部を削り、研削工程にて、研削砥石や超砥粒ホイールなどを使って、表面を滑らかにし一定にする働きがあります。ここで問題になってくるのが、寸法精度や表面粗さで、砥石や機械精度などの状態によって品質影響が現れます。そのため研削加工において、砥石や工作物の品質チェックなどは欠かせず、管理体制が品質そのものに関わってきます。また他にも、研削時の抵抗や熱の影響なども理解した上で作業しなければ、品質の維持が難しい、大変繊細な工程です。各部分の寸法や表面粗さなどを規定値に入れ、製品を規格内に仕上げることが必須になります。除去加工に精通している会社かどうかは、前述したような管理体制がしっかり行われているかがポイントとなるでしょう。メーカーによっては、精度が荒いものが多く出荷されてるところや、規格内でも安定していないところもありますので、見極めが必要になります。砥粒研磨切削と研削に加え、流通している研磨技術として「砥粒研磨」があります。中性塩水溶液を使用した環境負荷の少ない技術です。流動液中で回転させ、低電流密度の電解によって表面の凸部分を砥粒擦過によって除去します。またこの「砥粒研磨」の特徴として、通常のバフ研磨が表面粗さ0.5~1.0Raに対し、砥粒研磨の場合、0.01~0.03Raと非常に細かい点が挙げられます。通常の研磨材を使用した研磨に加え、電解砥粒研磨を加えることでナノレベルで表面粗さに届き、より滑らかな表面が作られます。主にステンレスへの鏡面研磨に用いることが多く、その他精度が求められる医療関係の機器や粉体装置等の製造工程にも用いられています。放電加工金属を加工する方法の一つに「放電加工」があります。他の金属加工方法がドリルや砥石等実体があるもので金属を加工するのに対し、「放電加工」は電気のエネルギーによって金属を加工します。具体的にいうと、加工したい部分に電気を流し、その熱と電気を与えた衝撃によって金属を削る方法です。わかりやすい例でいうと、雷をイメージしてください。小さな雷はあまり衝撃はありませんが、それを何回も何回も放つことで少しずつ衝撃を与え削っていくイメージです。程度はその削るものによりますが、1分間に1000回から10万回の電流を流して的中部を削ります。放電加工は、一気に金属を切断することはできませんが、より繊細で複雑な形状の加工ができるのが特徴です。また通常、刃物であれば、その刃物の硬さ以上の硬さの金属を削ることはできませんが、放電加工に硬さは関係ありません。そのため硬い金属や剛鉄プレートなどでも加工でき、より繊細で細かな加工に向いている加工法です。除去加工の図面上の記号についてここまで、除去加工のさまざまな加工方法について見てきましたが、ここからは除去加工をする際に必要となる「図面上の記号」について詳しく解説します。まず、除去加工において重要となるのが「表面粗さ」で、面の肌とも言われます。表面粗さとは、切削や研削により加工された表面に発生する、微細な凹凸を指します。大きく波打つ凹凸を 「うねり」、加工方向に生じる顕著な筋の方向を 「筋目方向」といい、加工部品の表面性状を決定します。それら凹凸の基準を図面に指示するために記号が用いられます。今回は、表面粗さの要求がある場合とない場合とに大別し、図面上の記号について解説していきます。表面粗さの要求がある場合表面粗さの要求がある場合には、以下の記号を用います。記号内のaからeに表面性状に必要な基準(表面粗さの値、カットオフ値又は基準長さ、加工方法、筋目方向の記号、表面うねりなど)を記入します。引用元:株式会社キーエンスaからeに記入する事項a: 通過帯域または基準長さ、表面性状パラメータ記号とその値b: 複数パラメータが要求されたときの二番目以降のパラメータ指示c: 加工方法d: 筋目の方向e: 削り代ただし必要に応じて記入するため、全てを記入する必要があるわけではないので注意しましょう。●表面性状パラメータ記号とその値「a」には、一般的に特に理由がない場合には、粗さを指定するRa(算術平均粗さ)の値を記入します。しかし、真空装置や高圧製品のような漏れが許されないシール部の表面粗さには、最も高い山と谷で求められるRz(最大高さ)を用いるのが一般的です。●加工方法と筋目の方向表面粗さ記号を用いて、下図のように 「c: 加工方法」や「d: 筋目の方向」 を指定します。引用元:株式会社RE加工方法には、外丸削り、面削り、中ぐり、平削り、フライス削り、平フライス削り、リーマ仕上げなど必要な方法を記入します。また、筋目方向については、主に以下の5つの記号が用いられます。引用元:株式会社キーエンス引用元:株式会社キーエンス引用元:株式会社キーエンス以前は、表面粗さを図示するのに下記のような三角記号(▽)を用いていました。三角記号の数が多いほど表面がなめらかであることを意味しています。さらにその後、2度の改正を経て、現在の表示方法へと移行しました。ただし、表面粗さの図面指示については知識・経験を要するため、▽記号や旧JIS記号を用いた古い図面に頼ることも多く、これらの記号を知らないと図面を書くことが難しいので注意しましょう。<新旧の表面粗さ記号対比表>引用元:株式会社大塚商会表面粗さに要求がない場合表面粗さの要求がない場合には、現在では以下のような記号が利用されています。<2002年以前・以降の表面粗さ記号>引用元:株式会社REなお、「除去加工の要否を問わない」とは、鋳肌面や材料の黒皮などの除去の有無を加工者側に委ねることを意味します。また、「除去加工を行う」とは、設計者として、旋盤やフライス盤などの機械加工を要求することを指します。「除去加工をしてはならない」とは、設計者として、素材状態のままで納品することを指しています。表面粗さ記号の図面への指示方法ここからは、実際に表面粗さを図面に記入する場合の事例について説明していきます。①算術平均粗さRaの上限を指示する場合「a」の箇所に記入します。引用元:株式会社RE②筋目方向を指示する場合「d」の箇所に記入します。引用元:株式会社RE③外形線に指定する場合図面に対して真っすぐ見る方向か、+90°回転した方向で読めるようにしか記入することができないので注意しましょう。引用元:株式会社RE④寸法線に指定する場合寸法線に指定する場合には、以下のように記入します。引用元:株式会社RE⑤部品全部に指定する場合表面粗さ記号を部品の正面図の近く、もしくは表題欄に記入します。引用元:株式会社RE⑥部分的に異なる場合カッコ外に全体の仕上げについての記号を記し、カッコ内には部分的に指定があるものを記入します。また、下図の例では円筒状の部品(対称形状)であるため、中心線のどちらか一方に記入するだけで問題ありません。引用元:株式会社RE除去加工の製品事例引用元:株式会社 今橋製作所こちらは、薄肉パイプを切削加工した製品事例です。64チタンのような薄肉パイプの加工は難しく、高い切削加工の技術が求められます。引用元:株式会社 メックこちらは、研削だけでなく、穴あけやその他2次加工にてよってできた複雑な形状をした製品事例です。メーカーによっては、このような複雑で精巧な部品を提供できます。引用元:砥粒研磨工業上記のように、砥粒研磨をする前と後では、鏡面の輝きが全く違います。砥粒によってミクロ単位の凸部を除去することで、このような鏡面の輝きを出せるようになりました。一流の板金加工業者に発注しませんか?今回は除去加工についてご説明しました。除去加工には大きく分けて4つの加工方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、それらの性質を理解することで、より精度の高い商品を作り上げることできます。金属加工メーカーを比較すると、製品の精度に差があるのが現状です。規格内に入っていてもバラツキがあったり、自社製品と合わなかったりすることも。依頼する際には、十分調べて、一度一定本数試してみることをおすすめします。とはいえ、どう調べて良いかわからない方も多いと思いますので、お悩みの際は、ぜひMitsuriにご相談下さい。

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    【めっき処理とは?】目的・仕組み・種類・特徴について徹底解説!

    なにかと聞き慣れない単語が多い板金業界の専門用語ですが、「めっき」という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思います。めっきと言うと、普段耳にするのは金めっきでできた偽物といったニュースをテレビやネットの記事で見る時でしょうか。しかし、製造業における「めっき」は、製品を加工した後に様々な特性を付与することができる、とても重要な表面処理方法の一種といえます。今回から、前・後編に渡って、【表面処理】についての特集をいたします。前編のテーマは、「めっき処理」。製造業における「めっき」とは何か、めっきの目的や仕組み、種類をご紹介します。めっき処理とはめっき処理とは表面処理の一種で、金属を使って金属やガラスまたはプラスチックなどの表面に薄い膜をコーティングし、強度や耐久性を高めることを言います。使い古した時計やスプーン・フォークなどが色あせているところを見たことはないでしょうか。それらはめっきが剥がれている状態なんですね。「メッキ」?「めっき」?正しい表記とは「めっき」は大抵の場合カタカナで書かれていますが、実はメッキは滅金(めっきん)からきている日本語で、正確にはひらがなで「めっき」と表記します。日常でよく見かけるのはカタカナ表記ばかりなので和製英語と思われがちだったりしますね。ですが正式にはひらがななので、板金加工の業界内では「めっき」と表記されていることが多く、JIS規格でも「めっき」と書くことが正式な表記とされています。しかし、普段見かける表記はカタカナばかりで、ひらがなだと読みにくいという理由もあり、近年ではカタカナでの表記も取り入れられることが増えてきました。今では国語辞典でもメッキと表記されている場合が多くなってきており、そういった背景からどちらでもよいというのが現状になってきています。言葉は時代によって変化していくものですが、めっきもその一つなんですね。めっき処理と塗装の比較めっきという加工をイメージしやすい表面処理の方法として塗装があります。加工の方法としてはめっきと塗装では全く様子が異なりますが、目的はめっきと同じく素材の表面をコーティングすることで錆びないようにしたり製品を綺麗に見せたりすることで製品の質を高めています。また、めっきと塗装の違いは加工方法だけはなく、使用される材料にもあります。塗装ではペンキの材料である樹脂や油を使い、めっきの場合は金属を溶かした液体を使用します。そして、その溶かした金属を水槽に素材をひたして、水に溶けている金属をくっつけるのです。めっき処理の様子が分かる動画がありますので、こちらをご覧ください。動画のように水槽に溶けた金属を素材にくっつけます。あまり輝いていなかった鉄の棒が水槽から出てくると綺麗な銀色になっているので不思議ですね。めっき処理の3つの方法めっき処理の方法には電気メッキと無電解めっきと置換めっきがあります。めっき処理の方法①電気めっき②無電解めっき③置換めっき①電気めっき先ほどご紹介した動画は電気めっきですね。電気めっきは電解めっきとも呼ばれます。電気めっきは水槽内に電気を流してめっきをします。電気めっきのメリットはコストが安いことといろいろな金属にめっきができること、そして短時間でめっきができることです。反面、短所として均一にめっきができない、複雑な形状の製品には綺麗にめっきができないなどがあります。②無電解めっき無電解めっきは電気を使用せず素材にくっつけることを言います。無電解めっきは電気めっきとは対照的に、均一にめっきができることと複雑な形状の製品にめっきができることがメリットです。短所はこれも電気めっきと反対で、コストが高いことめっきができる金属の種類が少ないこと、めっきに時間が掛かることがあげられます。引用元:KIYOKAWA めっき教室③置換めっき置換めっきとは、水槽内で金属を溶かし、溶けた部分に素材が付着することでめっきが完了する方法です。溶けた金属の部分と付着した金属が置き換わる形になるのでそう呼ばれます。置換めっきは耐食性が高い製品にすることができますが、金属と素材の密着が悪いこととめっきの厚さが限られることがデメリットとなっています。以上、3種類のめっき処理方法をご紹介しましたが、どの方法も一長一短あるため、使用する金属によって適切な方法を選ぶ必要がありますね。めっき処理の工程を解説引用元:TECH JOURNEYめっき処理の工程は、上図のように、前処理、本処理、後処理に分けることができます。前処理工程では、めっきの十分な密着性確保を目的として、処理品に付着した汚れや油、スケールと呼ばれる酸化被膜などを取り除き、活性化して化学反応しやすい素地面を露出させます。上図の溶剤洗浄、酸洗、アルカリ洗浄、電解洗浄は、どれも汚れや酸化被膜などを除去するための工程ですが、処理品の素材の種類やめっき処理前の加工履歴によって実施される処理は異なります。汚れ等の除去後は、酸浸せきによって処理品の素地面を露出させますが、素地面は空気中や水中でも酸化被膜を形成してしまうような活性状態にあるため、本処理工程への迅速な移行が必要です。その後、素材やめっきの種類によっては、酸やアルカリを次工程に持ち込むことを防ぐ中和処理、密着性向上を目的に下地めっきを施すストライクメッキなどを実施してから本処理工程に移行します。なお、上図は、電気めっきの例ですが、無電解めっきでも置換めっきでも前処理工程や後処理工程に大きな違いはありません。めっき処理の目的・メリットめっきは耐食性や熱特性、摩耗性など様々な性質や機能を付与することができます。ものによってはめっきをしないで売りに出すとすぐ問題が出てしまうことが多いですが、めっきを施すことで丈夫で長持ちな商品となります。日常生活の中でよく使う製品を例に、めっきをすることでどんな効果が付与されているのかを紹介していきましょう。めっき処理の目的①耐食性をつける②熱特性を持たせる③電気特性を持たせる④摩耗性を持たせる⑤装飾をほどこす①耐食性をつける耐食性とは金属が錆びにくい性質のことです。金属はもともと錆びさすい性質のものが多いので、めっき処理をほどこすことで錆びにくくします。古い自転車や鉄の鎖が濃い茶色に変色してザラザラになっているところは誰しも見たことがあるかと思いますが、それは金属が空気や水にふれることで起こります。そうなると鉄がもろくなって強度が落ちてしまうので、耐食性の強い金属で膜を張ることで錆びの進行を抑えます。あくまで錆びの進行を抑えるだけなのでまったく錆びなくなるわけではありませんが、めっき処理をすることでかなり金属の寿命を延ばすことができます。②熱特性を持たせる金属は鉄や銅などの影響で熱が通りやすいイメージがありますが、中には熱が通りにくい金属もあります。例を挙げるとステンレスがそうですが、ステンレスはフライパンやなべといった、熱が通ってほしい製品に使われることも多いので、そういった製品にはめっき処理で熱特性を持たせて熱を通しやすくします。反対に熱くなりすぎないように熱耐性を持たせることもあります。例えば、飛行機のエンジンや高温の中で作業が必要になる機械の部品がそうですね。熱に強いステンレスで作れるのであれば問題はありませんが、ステンレスではどうしても製作に不向きな製品もあるので、その場合はめっき処理をすることで熱耐性を持たせます。③電気特性を持たせる金属はもともと電気を通しやすい物質なので、わざわざ通しやすくする必要はないと思われるかもしれませんが、細かい電子回路がある携帯電話やパソコンなどにはめっき処理をすることで電流を操作する必要があります。電子回路内の部品と部品をつないだりS極とN極を切り替えたり、めっきをほどこすことで回路内の電気が通るようにするのです。また金属以外の材料にも、プラスチックや樹脂などもともと電気を通さない物質にメッキをすることで通電性を持たせることもできます。プラスチックにめっきと言うとイメージしづらいかもしれませんが、車の部品や水栓金具など日常的に見かけている物にも案外ほどこされていたりします。④摩耗性を持たせる摩耗(まもう)とは、歯車やねじなどの部品が摩擦によってすり減ることを言います。機械の中では激しく部品が削り合っているのでなるべく消耗を抑えるためにめっきで強度を高めます。めっきで強度を上げるとは言っても、錆と同じで永続的に効果を得られるわけではありませんので定期的にメンテナンスは必要です。⑤装飾をほどこすめっきをする理由には、製品の見た目を美しくするという目的もあります。スーパーや電化製品で売っている製品は、当然ながらどれも綺麗ですが、見た目が悪ければ売れ行きに影響してしまいます。アクセサリーや車のエンブレムなど見た目が重要な製品ならなおさらですね。普段目に見えない機械内部の部品でも、その部品をメーカーが買う時に薄汚れていては不良品ではないかと心配になってしまいます。製造した段階ではあまり綺麗でなくても、流通させる前にはめっきや研磨をして綺麗に見せることはとても重要なのです。引用元:株式会社三協製作所以上①~⑤の目的の他にも、めっきには水を弾きやすくしたり光の反射を抑えることで眩しくないようにしたりと色々な性質を付与できます。金属の特性や加工方法だけでは高品質な製品を作るのは限界がありますが、めっき処理により様々な性質を付与できることで、作られる製品の幅をグッと広げることができるのです。めっきに使う金属めっきは金属以外にも、プラスチックやガラス、セラミックなど大抵の工業素材にほどこすことができますが、ではそのめっきをほどこすための素材には何が使われているのでしょうか。おさらいになりますが、塗装に使われるのは油や樹脂で、めっきに使われるのは金属だけでしたね。ではそれらのよくめっきに使われる金属5種を、身近な製品やテレビで見かけるものを例に出しながら紹介していきましょう。めっきに使われる金属・代表5種①金②銀③銅④クロム⑤ニッケル①金金めっきは主にアクセサリーやライターといった商品を綺麗に見せるために使用されます。商品が金ピカになるだけあって高級感がグッと増します。ご存知の方もおられるかもしれませんが、実はオリンピックの金メダルも純金ではなく金メッキだったりします。金メダルは銀メダルの上に金のめっきをほどこして作られているんですね。そのため、銀でできているだけあって重さは相応の重量感があるものの、値段にしてみると実は大したことなかったりします。②銀銀めっきがよく使用されているのは食器やアクセサリー、またはコネクタの接続部分などです。銀色の食器は綺麗で使いやすいですよね。食器には金めっきが使われていることもありますが、金めっきの食器は見た目は綺麗でも少々高級すぎる感じがして少し使うのがもったいない気がしてしまいます。先ほど金メダルの話が出ましたが、銀メダルはほぼ銀で作られています。少し別の成分も混ざっているため純銀というわけではありませんが、ほとんど銀素材です。他の成分が混ざっている理由はメダルが割れにくくなるように強度を増すためですね。③銅銅は電気や熱が通りやすい素材なので主に製品の下地メッキとして使われます。下地めっきというのは、まず製品に銅でめっきをして、その銅メッキの上に別のめっきをほどこすことです。その電気や熱が通りやすい性質を活かして電鋳やプリント配線板に主に使われます。電鋳(でんちゅう)とは製品の原版の表面に電気めっきを行い、表面のめっきをはがすことで、原版と反対面の形状のものを作る方法です。プリント配線板とは、はんだ付けの時に使う緑色の板のことですね。引用元:IKEX EVENTR銅は錆びやすい素材であるため単独で使われることはあまりなく、機能性を持たせるにしても装飾性を持たせるためにしても別の素材を混ぜて作られることが多くなります。例によって銅メダルもほぼ銅素材ですが、やはり亜鉛やすずという別の素材が混ぜられています。また、銅にはコストが比較的安いというメリットもあります。④クロムクロムは硬い素材でできており摩耗性が強いため、動きが激しくすり減りやすい自動車の部品や機械部品の計器などによく使われます。また耐食性も非常に高いため、水道のパイプや自転車のチェーンなど水を被りやすい場所で使う場合に適しています。他にはその硬さからゴルフクラブや車のエンブレムにもよく使用されますね。クロムで装飾された製品は通常の銀より高級感のある輝きを出すことができます。⑤ニッケルニッケルは配合する金属によっていろいろな性質を付与できる便利な金属です。ニッケルと他の金属を混ぜることで錆びないように耐食性を付けたり、磁気をコントロールするため機能性を付与したり、滑らかな表面にするため装飾性が施されたりと活用の幅は様々。身近にある重要な製品で言うと、眼鏡やパソコンのハードドライブを作るのに重宝されている素材です。ただし、ニッケルは金属アレルギーの原因とされ、近年では使用が控えられている金属でもあります。めっきの素材となる金属には他にも亜鉛やすずなどがあり、用途も多種多様です。めっきと言うと普段高級な代物を買う時ぐらいしか意識しませんが、実は私たちの周りにある日用品の多くにほどこされているのです。まとめ今回はめっきについてのみでしたが、表面処理にはめっき処理以外にもアルマイト処理や化成皮膜処理があります。それらは次回の【表面加工特集・後編】でご紹介いたしましょう。この記事を通じて皆さんのめっきについての知識が少しでも深まっていれば幸いです。

  • 化成処理とは?種類ごとの特徴を解説

    防錆や金属の皮膜処理について調べていると化成処理という言葉を目にします。めっきと同じような処理のため「何が違うの?」「どんな特徴があるの?」といった疑問が生まれてくるかもしれません。今回は、化成処理とはどのような処理なのか、種類、目的などについて、詳しく解説していきます。化成処理とは化成処理は、金属をはじめとする加工物を溶液に浸透させて皮膜を作る表面処理のひとつです。表面に処理剤を用いて化学反応を起こさせることで、元の素材とは違った性質を与えることができます。耐食性に加えて外観の向上も見られるほか、下地として処理をすることで塗装との密着性を上げる目的としても活用されます。同じような処理方法のめっきと同列で扱われることもありますが、化成処理は化学薬品を使用したり、電気化学を応用したり、科学的方法を用いて素材に皮膜を生成するため、めっきとは別の処理として考えられることも少なくありません。化成処理の種類化成処理にはいくつか種類がありますが、その中でも代表的な4種類をご紹介します。リン酸塩処理・主に鉄鋼製品に対して採用される・リン酸塩系の処理液を用いて表面を化学反応させ、皮膜を生成する・表面保護効果に加え、塗料との親和性を高める効果があるリン酸塩処理はパーカー処理やパルホス処理とも呼ばれ、鉄をはじめとする金属系の加工物をリン酸塩系の処理液に浸漬させることで表面を化学反応させる化成処理です。使用される処理液は、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム等の種類があり、それぞれに異なる特徴を持っています。処理方法によって種類は異なりますが、いずれも表面に凹凸のある皮膜が生成される特徴があります。錆をはじめとする腐食を抑える表面保護効果に加え、塗料との親和性を高めることもできるため、塗装の下地処理としても多く活用されます。最も多く用いられているリン酸亜鉛処理は、さまざまな素材に対応できますが、処理液によっては鉄鋼製品以外には使用できないものもあるため注意が必要です。⇒リン酸塩処理とは?種類と処理工程を解説クロメート処理・主に亜鉛めっきが施された加工物の後処理に用いられる・六価クロム、三価クロムを含む処理液を用いた化成処理・自己修復性の皮膜によって耐食性の向上や変色防止の効果があるクロメート処理には黄銅、亜鉛、アルミニウムなどが主に使用されます。加工物を六価クロム、もしくは三価クロムを用いた含む溶液に浸漬させ、表面に酸化皮膜を生成する化成処理です。クロメート処理によって得られる酸化被膜は自己修復性を持っており、他の皮膜に比べて高い耐食性を示します。さらに、塗装の代替としても使える着色クロメートや、塗装の前処理として活用できる塗装下地クロメートなど、幅広い活用法が見込めるとして注目を集めています。クロメート処理は素材に直接処理を施すだけでなく、亜鉛めっきが施された加工物の後処理として行われることも少なくありません。これは亜鉛が変色しやすく指紋などがつきやすい性質を持っているからです。亜鉛めっきは特に、湿気のある環境では白色斑点などを生じやすい欠点を持っています。合わせてクロメート処理を施すことで、光沢性と耐食性を付加できるため、電気亜鉛めっきでは不可欠な技術となっています。この他、アルミやマグネシウムの処理に採用される場合は塗装との密着性向上を、無電解ニッケルめっきの後処理に採用する場合は耐食性と変色防止を目的とするなど、素材に応じてさまざまな用途で活用されています。⇒三価クロメートとは?種類や特徴、六価クロメートとの違いジンケート処理・アルミニウム合金に対し、めっきの前処理として用いられる・ジンケート(亜塩酸塩)を使った薬液に浸漬させる化成処理・アルミの酸化皮膜を溶かし、亜鉛皮膜を形成させることでめっきの密着不良を解消するジンケート処理は主にアルミニウムやマグネシウムなどの合金に対し、前処理として採用される化成処理です。近年、自動車をはじめとするさまざまな製品に対し、軽量化を目的としてアルミニウムが採用されています。このアルミニウム合金にめっき処理を施す際、前処理としてジンケート処理が不可欠です。アルミニウム合金の表面に、耐摩耗性や装飾性の向上を目的にめっき処理が行われます。しかし、アルミニウム合金は大気中の酸素によって緻密で強固な酸化被膜を形成する特性があります。この酸化被膜はめっきの密着性を阻害してしまうため、ジンケート処理を2回行うダブルジンケート処理によって密着不良を回避しています。黒染め処理・鉄鋼製品に対し、1~2μmの薄い酸化被膜を生成させる・アルカリ水溶液を使った化成処理で、黒色の皮膜が生成される・耐食性・耐熱性を持っている上に見栄えが良く、コストも安い黒染め処理は、アルカリ水溶液に鉄鋼系の加工品を浸漬させることで、表面に耐食性のある黒色の酸化皮膜を生成させる化成処理です。他の化成処理に比べて耐食性の効果は低めですが、皮膜の厚さが約1~2μmと薄く、コストが低いメリットがあります。実際には黒く染めている訳ではなく、鉄の表面が酸化して四酸化三鉄の皮膜で覆われることで黒く変色していますが、見栄えが良い上に防錆効果もあるため、黒く染める用途として採用されることも少なくありません。黒染め処理によって生成される皮膜はめっきや塗装に比べると非常に薄いですが、剥離の心配がなく、経年変化においても寸法精度がほとんど変わりません。また、見た目の美しさや耐熱性の高さ、価格の安さなど、多くのメリットを持ち合わせています。さらに、錆びている製品に対しても、酸洗い処理などによって錆を落とした後で黒染め処理をすることができ、汎用性が高い点も魅力のひとつです。⇒金属の黒染め加工とは?効果と材料向き不向き

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    除去加工について専門家が解説!【製品事例についても掲載】

    「今まで契約していた除去加工のメーカーと今後契約できなくなった・・・」「除去加工に精通したメーカーを知りたい・・・」除去加工に精通したメーカーを探している場合、どこの業者が良いのかだけでなく、もっと良い業者があるのではないかなど、業者選びに苦労している方も多いのではないでしょうか。とくに新しい業者選びには、慎重になりますよね。そこで本記事は、除去加工について詳しく深掘りし、慎重に加工業者を決めたい方のために、事業に合うメーカーを探すお手伝いができる記事です。今回は、除去加工の製品例もご紹介しますので、ぜひメーカー選びの参考にしてみてください。除去加工とは金属加工には、さまざまな方法があります。その中でも一定の形状を作るために、金属を削って加工する加工方法を「除去加工」といいます。金属を削ることで、切りくずがでるため、その余計な部分を取り除くことから「除去加工」と呼ばれています。除去加工の中には、刃物を使って削る切削加工や、砥石を回して削る研削加工、その他砥粒研磨や放電加工などがあります。製造工程の中で、金属を必要な形に削ったり、マクロ単位で微調整などして加工を行い、加工現場にはなくてはならない加工方法とされています。除去加工のメリットは、プログラムされた機械によって精密で非常に正確な製品を量産できる点です。またひとつの製品を同じ寸法で大量生産できる点も生産現場にとってのメリットです。ひとつの製品に対して、より多く生産できれば生産の効率化だけでなくコストカットも望めます。除去加工は、精密なものを大量生産できる加工方法として多くの現場で実施されています。切削製造工程において、切削とは、所定の形状を作るために金属を一部分削ることです。工程で、ひとつの部品(または製品)が所定の工程に流れてきた後、バイトなどの工具によって削り取る動きのことで、非常に精度を求められる加工方法です。バイトの少しのズレや、削り具合によって製品に影響がでるため、この切削工程の管理体制がしっかりしているかどうかで、製品の安定稼働が可能かどうかの判断ができるといえます。より詳細はこちら→切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!また切削工程では「送り」という動きも必要となります。この「送り」とは、製品または工具を移動させることによって、製品の他の部分まで切削することです。たとえば、パイプの先頭部分と下端部を削る場合、まず先頭部分を削ったあと、パイプまたは工具(機械)を下端部に送ることで、切削が可能となります。この製品または工具を移動して切削することを「送り」といい、「切削」とセットで用いられることが多いです。研削切削が金属を削る工程であるのに対し、研削加工は最後の仕上げの加工を指します。切削の工程で、金属の一部を削り、研削工程にて、研削砥石や超砥粒ホイールなどを使って、表面を滑らかにし一定にする働きがあります。ここで問題になってくるのが、寸法精度や表面粗さで、砥石や機械精度などの状態によって品質影響が現れます。そのため研削加工において、砥石や工作物の品質チェックなどは欠かせず、管理体制が品質そのものに関わってきます。また他にも、研削時の抵抗や熱の影響なども理解した上で作業しなければ、品質の維持が難しい、大変繊細な工程です。各部分の寸法や表面粗さなどを規定値に入れ、製品を規格内に仕上げることが必須になります。除去加工に精通している会社かどうかは、前述したような管理体制がしっかり行われているかがポイントとなるでしょう。メーカーによっては、精度が荒いものが多く出荷されてるところや、規格内でも安定していないところもありますので、見極めが必要になります。砥粒研磨切削と研削に加え、流通している研磨技術として「砥粒研磨」があります。中性塩水溶液を使用した環境負荷の少ない技術です。流動液中で回転させ、低電流密度の電解によって表面の凸部分を砥粒擦過によって除去します。またこの「砥粒研磨」の特徴として、通常のバフ研磨が表面粗さ0.5~1.0Raに対し、砥粒研磨の場合、0.01~0.03Raと非常に細かい点が挙げられます。通常の研磨材を使用した研磨に加え、電解砥粒研磨を加えることでナノレベルで表面粗さに届き、より滑らかな表面が作られます。主にステンレスへの鏡面研磨に用いることが多く、その他精度が求められる医療関係の機器や粉体装置等の製造工程にも用いられています。放電加工金属を加工する方法の一つに「放電加工」があります。他の金属加工方法がドリルや砥石等実体があるもので金属を加工するのに対し、「放電加工」は電気のエネルギーによって金属を加工します。具体的にいうと、加工したい部分に電気を流し、その熱と電気を与えた衝撃によって金属を削る方法です。わかりやすい例でいうと、雷をイメージしてください。小さな雷はあまり衝撃はありませんが、それを何回も何回も放つことで少しずつ衝撃を与え削っていくイメージです。程度はその削るものによりますが、1分間に1000回から10万回の電流を流して的中部を削ります。放電加工は、一気に金属を切断することはできませんが、より繊細で複雑な形状の加工ができるのが特徴です。また通常、刃物であれば、その刃物の硬さ以上の硬さの金属を削ることはできませんが、放電加工に硬さは関係ありません。そのため硬い金属や剛鉄プレートなどでも加工でき、より繊細で細かな加工に向いている加工法です。除去加工の図面上の記号についてここまで、除去加工のさまざまな加工方法について見てきましたが、ここからは除去加工をする際に必要となる「図面上の記号」について詳しく解説します。まず、除去加工において重要となるのが「表面粗さ」で、面の肌とも言われます。表面粗さとは、切削や研削により加工された表面に発生する、微細な凹凸を指します。大きく波打つ凹凸を 「うねり」、加工方向に生じる顕著な筋の方向を 「筋目方向」といい、加工部品の表面性状を決定します。それら凹凸の基準を図面に指示するために記号が用いられます。今回は、表面粗さの要求がある場合とない場合とに大別し、図面上の記号について解説していきます。表面粗さの要求がある場合表面粗さの要求がある場合には、以下の記号を用います。記号内のaからeに表面性状に必要な基準(表面粗さの値、カットオフ値又は基準長さ、加工方法、筋目方向の記号、表面うねりなど)を記入します。引用元:株式会社キーエンスaからeに記入する事項a: 通過帯域または基準長さ、表面性状パラメータ記号とその値b: 複数パラメータが要求されたときの二番目以降のパラメータ指示c: 加工方法d: 筋目の方向e: 削り代ただし必要に応じて記入するため、全てを記入する必要があるわけではないので注意しましょう。●表面性状パラメータ記号とその値「a」には、一般的に特に理由がない場合には、粗さを指定するRa(算術平均粗さ)の値を記入します。しかし、真空装置や高圧製品のような漏れが許されないシール部の表面粗さには、最も高い山と谷で求められるRz(最大高さ)を用いるのが一般的です。●加工方法と筋目の方向表面粗さ記号を用いて、下図のように 「c: 加工方法」や「d: 筋目の方向」 を指定します。引用元:株式会社RE加工方法には、外丸削り、面削り、中ぐり、平削り、フライス削り、平フライス削り、リーマ仕上げなど必要な方法を記入します。また、筋目方向については、主に以下の5つの記号が用いられます。引用元:株式会社キーエンス引用元:株式会社キーエンス引用元:株式会社キーエンス以前は、表面粗さを図示するのに下記のような三角記号(▽)を用いていました。三角記号の数が多いほど表面がなめらかであることを意味しています。さらにその後、2度の改正を経て、現在の表示方法へと移行しました。ただし、表面粗さの図面指示については知識・経験を要するため、▽記号や旧JIS記号を用いた古い図面に頼ることも多く、これらの記号を知らないと図面を書くことが難しいので注意しましょう。<新旧の表面粗さ記号対比表>引用元:株式会社大塚商会表面粗さに要求がない場合表面粗さの要求がない場合には、現在では以下のような記号が利用されています。<2002年以前・以降の表面粗さ記号>引用元:株式会社REなお、「除去加工の要否を問わない」とは、鋳肌面や材料の黒皮などの除去の有無を加工者側に委ねることを意味します。また、「除去加工を行う」とは、設計者として、旋盤やフライス盤などの機械加工を要求することを指します。「除去加工をしてはならない」とは、設計者として、素材状態のままで納品することを指しています。表面粗さ記号の図面への指示方法ここからは、実際に表面粗さを図面に記入する場合の事例について説明していきます。①算術平均粗さRaの上限を指示する場合「a」の箇所に記入します。引用元:株式会社RE②筋目方向を指示する場合「d」の箇所に記入します。引用元:株式会社RE③外形線に指定する場合図面に対して真っすぐ見る方向か、+90°回転した方向で読めるようにしか記入することができないので注意しましょう。引用元:株式会社RE④寸法線に指定する場合寸法線に指定する場合には、以下のように記入します。引用元:株式会社RE⑤部品全部に指定する場合表面粗さ記号を部品の正面図の近く、もしくは表題欄に記入します。引用元:株式会社RE⑥部分的に異なる場合カッコ外に全体の仕上げについての記号を記し、カッコ内には部分的に指定があるものを記入します。また、下図の例では円筒状の部品(対称形状)であるため、中心線のどちらか一方に記入するだけで問題ありません。引用元:株式会社RE除去加工の製品事例引用元:株式会社 今橋製作所こちらは、薄肉パイプを切削加工した製品事例です。64チタンのような薄肉パイプの加工は難しく、高い切削加工の技術が求められます。引用元:株式会社 メックこちらは、研削だけでなく、穴あけやその他2次加工にてよってできた複雑な形状をした製品事例です。メーカーによっては、このような複雑で精巧な部品を提供できます。引用元:砥粒研磨工業上記のように、砥粒研磨をする前と後では、鏡面の輝きが全く違います。砥粒によってミクロ単位の凸部を除去することで、このような鏡面の輝きを出せるようになりました。一流の板金加工業者に発注しませんか?今回は除去加工についてご説明しました。除去加工には大きく分けて4つの加工方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、それらの性質を理解することで、より精度の高い商品を作り上げることできます。金属加工メーカーを比較すると、製品の精度に差があるのが現状です。規格内に入っていてもバラツキがあったり、自社製品と合わなかったりすることも。依頼する際には、十分調べて、一度一定本数試してみることをおすすめします。とはいえ、どう調べて良いかわからない方も多いと思いますので、お悩みの際は、ぜひMitsuriにご相談下さい。

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    【めっき処理とは?】目的・仕組み・種類・特徴について徹底解説!

    なにかと聞き慣れない単語が多い板金業界の専門用語ですが、「めっき」という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思います。めっきと言うと、普段耳にするのは金めっきでできた偽物といったニュースをテレビやネットの記事で見る時でしょうか。しかし、製造業における「めっき」は、製品を加工した後に様々な特性を付与することができる、とても重要な表面処理方法の一種といえます。今回から、前・後編に渡って、【表面処理】についての特集をいたします。前編のテーマは、「めっき処理」。製造業における「めっき」とは何か、めっきの目的や仕組み、種類をご紹介します。めっき処理とはめっき処理とは表面処理の一種で、金属を使って金属やガラスまたはプラスチックなどの表面に薄い膜をコーティングし、強度や耐久性を高めることを言います。使い古した時計やスプーン・フォークなどが色あせているところを見たことはないでしょうか。それらはめっきが剥がれている状態なんですね。「メッキ」?「めっき」?正しい表記とは「めっき」は大抵の場合カタカナで書かれていますが、実はメッキは滅金(めっきん)からきている日本語で、正確にはひらがなで「めっき」と表記します。日常でよく見かけるのはカタカナ表記ばかりなので和製英語と思われがちだったりしますね。ですが正式にはひらがななので、板金加工の業界内では「めっき」と表記されていることが多く、JIS規格でも「めっき」と書くことが正式な表記とされています。しかし、普段見かける表記はカタカナばかりで、ひらがなだと読みにくいという理由もあり、近年ではカタカナでの表記も取り入れられることが増えてきました。今では国語辞典でもメッキと表記されている場合が多くなってきており、そういった背景からどちらでもよいというのが現状になってきています。言葉は時代によって変化していくものですが、めっきもその一つなんですね。めっき処理と塗装の比較めっきという加工をイメージしやすい表面処理の方法として塗装があります。加工の方法としてはめっきと塗装では全く様子が異なりますが、目的はめっきと同じく素材の表面をコーティングすることで錆びないようにしたり製品を綺麗に見せたりすることで製品の質を高めています。また、めっきと塗装の違いは加工方法だけはなく、使用される材料にもあります。塗装ではペンキの材料である樹脂や油を使い、めっきの場合は金属を溶かした液体を使用します。そして、その溶かした金属を水槽に素材をひたして、水に溶けている金属をくっつけるのです。めっき処理の様子が分かる動画がありますので、こちらをご覧ください。動画のように水槽に溶けた金属を素材にくっつけます。あまり輝いていなかった鉄の棒が水槽から出てくると綺麗な銀色になっているので不思議ですね。めっき処理の3つの方法めっき処理の方法には電気メッキと無電解めっきと置換めっきがあります。めっき処理の方法①電気めっき②無電解めっき③置換めっき①電気めっき先ほどご紹介した動画は電気めっきですね。電気めっきは電解めっきとも呼ばれます。電気めっきは水槽内に電気を流してめっきをします。電気めっきのメリットはコストが安いことといろいろな金属にめっきができること、そして短時間でめっきができることです。反面、短所として均一にめっきができない、複雑な形状の製品には綺麗にめっきができないなどがあります。②無電解めっき無電解めっきは電気を使用せず素材にくっつけることを言います。無電解めっきは電気めっきとは対照的に、均一にめっきができることと複雑な形状の製品にめっきができることがメリットです。短所はこれも電気めっきと反対で、コストが高いことめっきができる金属の種類が少ないこと、めっきに時間が掛かることがあげられます。引用元:KIYOKAWA めっき教室③置換めっき置換めっきとは、水槽内で金属を溶かし、溶けた部分に素材が付着することでめっきが完了する方法です。溶けた金属の部分と付着した金属が置き換わる形になるのでそう呼ばれます。置換めっきは耐食性が高い製品にすることができますが、金属と素材の密着が悪いこととめっきの厚さが限られることがデメリットとなっています。以上、3種類のめっき処理方法をご紹介しましたが、どの方法も一長一短あるため、使用する金属によって適切な方法を選ぶ必要がありますね。めっき処理の工程を解説引用元:TECH JOURNEYめっき処理の工程は、上図のように、前処理、本処理、後処理に分けることができます。前処理工程では、めっきの十分な密着性確保を目的として、処理品に付着した汚れや油、スケールと呼ばれる酸化被膜などを取り除き、活性化して化学反応しやすい素地面を露出させます。上図の溶剤洗浄、酸洗、アルカリ洗浄、電解洗浄は、どれも汚れや酸化被膜などを除去するための工程ですが、処理品の素材の種類やめっき処理前の加工履歴によって実施される処理は異なります。汚れ等の除去後は、酸浸せきによって処理品の素地面を露出させますが、素地面は空気中や水中でも酸化被膜を形成してしまうような活性状態にあるため、本処理工程への迅速な移行が必要です。その後、素材やめっきの種類によっては、酸やアルカリを次工程に持ち込むことを防ぐ中和処理、密着性向上を目的に下地めっきを施すストライクメッキなどを実施してから本処理工程に移行します。なお、上図は、電気めっきの例ですが、無電解めっきでも置換めっきでも前処理工程や後処理工程に大きな違いはありません。めっき処理の目的・メリットめっきは耐食性や熱特性、摩耗性など様々な性質や機能を付与することができます。ものによってはめっきをしないで売りに出すとすぐ問題が出てしまうことが多いですが、めっきを施すことで丈夫で長持ちな商品となります。日常生活の中でよく使う製品を例に、めっきをすることでどんな効果が付与されているのかを紹介していきましょう。めっき処理の目的①耐食性をつける②熱特性を持たせる③電気特性を持たせる④摩耗性を持たせる⑤装飾をほどこす①耐食性をつける耐食性とは金属が錆びにくい性質のことです。金属はもともと錆びさすい性質のものが多いので、めっき処理をほどこすことで錆びにくくします。古い自転車や鉄の鎖が濃い茶色に変色してザラザラになっているところは誰しも見たことがあるかと思いますが、それは金属が空気や水にふれることで起こります。そうなると鉄がもろくなって強度が落ちてしまうので、耐食性の強い金属で膜を張ることで錆びの進行を抑えます。あくまで錆びの進行を抑えるだけなのでまったく錆びなくなるわけではありませんが、めっき処理をすることでかなり金属の寿命を延ばすことができます。②熱特性を持たせる金属は鉄や銅などの影響で熱が通りやすいイメージがありますが、中には熱が通りにくい金属もあります。例を挙げるとステンレスがそうですが、ステンレスはフライパンやなべといった、熱が通ってほしい製品に使われることも多いので、そういった製品にはめっき処理で熱特性を持たせて熱を通しやすくします。反対に熱くなりすぎないように熱耐性を持たせることもあります。例えば、飛行機のエンジンや高温の中で作業が必要になる機械の部品がそうですね。熱に強いステンレスで作れるのであれば問題はありませんが、ステンレスではどうしても製作に不向きな製品もあるので、その場合はめっき処理をすることで熱耐性を持たせます。③電気特性を持たせる金属はもともと電気を通しやすい物質なので、わざわざ通しやすくする必要はないと思われるかもしれませんが、細かい電子回路がある携帯電話やパソコンなどにはめっき処理をすることで電流を操作する必要があります。電子回路内の部品と部品をつないだりS極とN極を切り替えたり、めっきをほどこすことで回路内の電気が通るようにするのです。また金属以外の材料にも、プラスチックや樹脂などもともと電気を通さない物質にメッキをすることで通電性を持たせることもできます。プラスチックにめっきと言うとイメージしづらいかもしれませんが、車の部品や水栓金具など日常的に見かけている物にも案外ほどこされていたりします。④摩耗性を持たせる摩耗(まもう)とは、歯車やねじなどの部品が摩擦によってすり減ることを言います。機械の中では激しく部品が削り合っているのでなるべく消耗を抑えるためにめっきで強度を高めます。めっきで強度を上げるとは言っても、錆と同じで永続的に効果を得られるわけではありませんので定期的にメンテナンスは必要です。⑤装飾をほどこすめっきをする理由には、製品の見た目を美しくするという目的もあります。スーパーや電化製品で売っている製品は、当然ながらどれも綺麗ですが、見た目が悪ければ売れ行きに影響してしまいます。アクセサリーや車のエンブレムなど見た目が重要な製品ならなおさらですね。普段目に見えない機械内部の部品でも、その部品をメーカーが買う時に薄汚れていては不良品ではないかと心配になってしまいます。製造した段階ではあまり綺麗でなくても、流通させる前にはめっきや研磨をして綺麗に見せることはとても重要なのです。引用元:株式会社三協製作所以上①~⑤の目的の他にも、めっきには水を弾きやすくしたり光の反射を抑えることで眩しくないようにしたりと色々な性質を付与できます。金属の特性や加工方法だけでは高品質な製品を作るのは限界がありますが、めっき処理により様々な性質を付与できることで、作られる製品の幅をグッと広げることができるのです。めっきに使う金属めっきは金属以外にも、プラスチックやガラス、セラミックなど大抵の工業素材にほどこすことができますが、ではそのめっきをほどこすための素材には何が使われているのでしょうか。おさらいになりますが、塗装に使われるのは油や樹脂で、めっきに使われるのは金属だけでしたね。ではそれらのよくめっきに使われる金属5種を、身近な製品やテレビで見かけるものを例に出しながら紹介していきましょう。めっきに使われる金属・代表5種①金②銀③銅④クロム⑤ニッケル①金金めっきは主にアクセサリーやライターといった商品を綺麗に見せるために使用されます。商品が金ピカになるだけあって高級感がグッと増します。ご存知の方もおられるかもしれませんが、実はオリンピックの金メダルも純金ではなく金メッキだったりします。金メダルは銀メダルの上に金のめっきをほどこして作られているんですね。そのため、銀でできているだけあって重さは相応の重量感があるものの、値段にしてみると実は大したことなかったりします。②銀銀めっきがよく使用されているのは食器やアクセサリー、またはコネクタの接続部分などです。銀色の食器は綺麗で使いやすいですよね。食器には金めっきが使われていることもありますが、金めっきの食器は見た目は綺麗でも少々高級すぎる感じがして少し使うのがもったいない気がしてしまいます。先ほど金メダルの話が出ましたが、銀メダルはほぼ銀で作られています。少し別の成分も混ざっているため純銀というわけではありませんが、ほとんど銀素材です。他の成分が混ざっている理由はメダルが割れにくくなるように強度を増すためですね。③銅銅は電気や熱が通りやすい素材なので主に製品の下地メッキとして使われます。下地めっきというのは、まず製品に銅でめっきをして、その銅メッキの上に別のめっきをほどこすことです。その電気や熱が通りやすい性質を活かして電鋳やプリント配線板に主に使われます。電鋳(でんちゅう)とは製品の原版の表面に電気めっきを行い、表面のめっきをはがすことで、原版と反対面の形状のものを作る方法です。プリント配線板とは、はんだ付けの時に使う緑色の板のことですね。引用元:IKEX EVENTR銅は錆びやすい素材であるため単独で使われることはあまりなく、機能性を持たせるにしても装飾性を持たせるためにしても別の素材を混ぜて作られることが多くなります。例によって銅メダルもほぼ銅素材ですが、やはり亜鉛やすずという別の素材が混ぜられています。また、銅にはコストが比較的安いというメリットもあります。④クロムクロムは硬い素材でできており摩耗性が強いため、動きが激しくすり減りやすい自動車の部品や機械部品の計器などによく使われます。また耐食性も非常に高いため、水道のパイプや自転車のチェーンなど水を被りやすい場所で使う場合に適しています。他にはその硬さからゴルフクラブや車のエンブレムにもよく使用されますね。クロムで装飾された製品は通常の銀より高級感のある輝きを出すことができます。⑤ニッケルニッケルは配合する金属によっていろいろな性質を付与できる便利な金属です。ニッケルと他の金属を混ぜることで錆びないように耐食性を付けたり、磁気をコントロールするため機能性を付与したり、滑らかな表面にするため装飾性が施されたりと活用の幅は様々。身近にある重要な製品で言うと、眼鏡やパソコンのハードドライブを作るのに重宝されている素材です。ただし、ニッケルは金属アレルギーの原因とされ、近年では使用が控えられている金属でもあります。めっきの素材となる金属には他にも亜鉛やすずなどがあり、用途も多種多様です。めっきと言うと普段高級な代物を買う時ぐらいしか意識しませんが、実は私たちの周りにある日用品の多くにほどこされているのです。まとめ今回はめっきについてのみでしたが、表面処理にはめっき処理以外にもアルマイト処理や化成皮膜処理があります。それらは次回の【表面加工特集・後編】でご紹介いたしましょう。この記事を通じて皆さんのめっきについての知識が少しでも深まっていれば幸いです。