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アーク溶接

  • TIG(ティグ)溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

    TIG(ティグ)溶接は、高性能・高品質、かつ美麗な仕上がりが得られるアーク溶接法の一つです。また、導電性を持つ金属ならばほぼ適用可能で、鉄鋼やステンレス鋼のほか、アルミニウム合金やマグネシウム合金なども溶接することができます。しかし、アーク溶接には、被覆アーク溶接やマグ溶接、ミグ溶接などの多様な溶接法があるため、TIG(ティグ)溶接が他の溶接法とどのように異なり、優れているのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回の記事では、TIG(ティグ)溶接の詳細や原理、また特徴について説明していきます。また、実際のTIG(ティグ)溶接の方法・工程を動画と併せて解説していきますので、溶接をご依頼するときの参考にしてください。TIG(ティグ)溶接とはTIG(ティグ)溶接は、Tungsten Inert Gas(タングステン不活性ガス)溶接を略したもので、アーク溶接法の一種です。そのアーク溶接法の中でも、タングステンを電極に用いた非溶極式に分類され、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスでシールドしながら、必要に応じて溶加材を溶かし込んで溶接する方式です。アーク溶接溶接には、融接、圧接、ろう接の3種類の方法があります。これらの方法は、以下のように被溶接材料(母材)を接合しますが、TIG(ティグ)溶接は融接による溶接法の一つです。溶接の種類●融接…熱で母材を溶かし、必要に応じて溶かした溶加材を加え、凝固させて接合●圧接…圧力を母材に加えて接合●ろう接…母材を溶かすことなく、溶加材のみを溶かし、溶加材を接着剤のように用いて母材を接合融接による溶接法は、母材を溶かす手段により、ガス溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接に分けられます。TIG(ティグ)溶接は、これらの溶接法の中のアーク溶接にあたります。融接の種類●ガス溶接…可燃性ガスを燃焼させることで発生する熱で母材を溶融●アーク溶接…気体中の放電現象に伴って発生する熱で母材を溶融●レーザー溶接…レーザー光を照射することで母材を溶融●電子ビーム溶接…加速した電子を衝突させることで母材を溶融参考:【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説非溶極式アーク溶接アーク溶接は、母材を溶かすと共に、電極を溶かし溶加材としても用いる溶極式と、消耗しない電極を用い、別に溶加材を添加する非溶極式に分けられます。TIG(ティグ)溶接は、非溶極式のアーク溶接法で、融点が3380℃と金属の中で最も高融点のタングステン、もしくはタングステン合金を電極として使用します。なお、タングステンを電極に用いる非溶極式には、プラズマ溶接という溶接法もあります。下図のようにTIG(ティグ)溶接と非常に似通った方法ですが、その違いは、電極をノズルとプラズマガスで包み込むことで、アークが広がらないように絞っていることです。それにより、そのアークは電流密度が高く、熱効率や熱集中性もTIG(ティグ)溶接と比べて高くなります。そのため、精度が高く、速度が早い優れた溶接法と言えるでしょう。ただし、プラズマ溶接は、TIG(ティグ)溶接よりも高コストであるというデメリットがあります。ガスシールドアーク溶接アーク溶接では、アーク放電を安定的に維持する、酸化を防止するなどの目的から溶接部をガスでシールドする場合があり、シールドガスを用いる方式をガスシールドアーク溶接と言います。TIG(ティグ)溶接は、ガスシールドアーク溶接に分類されますが、特にシールドガスに不活性ガスを用いることからイナートガスアーク溶接と呼ばれることもあります。TIG(ティグ)溶接で使用されるシールドガスは、酸素を含まないアルゴン・ヘリウム・アルゴンとヘリウムの混合ガス・アルゴンと水素の混合ガスの4種類に限られています。その理由は、電極に用いるタングステンが高温下で酸化しやすく、千数百℃程度まで融点が低下してしまうことがあるからです。なお、ヘリウムや水素を含んだ混合ガスは、アーク放電の発熱量の上昇による、溶け込み深さの増大や溶接速度の向上を目的として用いられます。しかし、水素含有の混合ガスでは、水素を吸収して強度が低下する水素脆化が生じることがあるため、使用可能なのはオーステナイト系ステンレス鋼とニッケル合金に限られます。交流TIG(ティグ)溶接アルミニウムやマグネシウムをTIG(ティグ)溶接する場合は、アーク放電のクリーニング作用を活かすことができる交流が主に使用されています。TIG(ティグ)溶接では通常、電極が陰極、母材が陽極の正極性で、直流を流して溶接を行います。これは、電子を放出する電極に比べ、電子が衝突する母材側がより加熱されることを理由とします。一方、電極が陽極、母材が陰極の逆極性では、電子が衝突する電極が消耗すると同時に、電子を放出する母材表面の酸化物が還元され、酸化物が取り除かれるクリーニング作用が生じます。逆極性での溶接は、電極の消耗により長時間の溶接ができないという欠点があるものの、酸化膜の融点が2000℃超と高く、正極性での溶接が困難なアルミニウムやマグネシウムなどでは極めて有効です。そこで、アルミニウムやマグネシウムには、クリーニング作用を活かすと共に電極の消耗も抑制した交流TIG(ティグ)溶接が用いられています。TIG(ティグ)溶接の原理次に、TIG(ティグ)溶接の原理を説明していきます。TIG(ティグ)溶接では、電極と母材間に高電圧を加え、高電流を流すことで起こるアーク放電によって生じる熱を利用して溶接します。アーク放電は、電極と母材間の電位差によって不活性ガスの電離が進行し、本来絶縁体である気体が導電性を持つプラズマとなることで起こります。プラズマは、電流路になってアーク放電を保つ役割を果たすとともに、熱を発生して母材や溶加棒を溶かします。細いタングステン電極と母材との間に生じるアーク放電は、電極から母材に向かって拡がるベルのような形状となり、中心部で1万数千℃、外周部でも1万℃程度の高温を示します。このアーク放電の維持には、適切な電圧と電流の供給が必要です。その電圧と電流の関係は不活性ガスがアルゴンの場合、下のグラフのようになり、アークが長いほど必要な電圧は大きくなります。ただし、TIG(ティグ)溶接機は一般に、溶接電流のみが設定可能で、設定された電流を出力するために電圧を自動で増減する定電流特性を備えたものが多いです。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターアーク放電を維持するために必要な電圧と電流は、使用する不活性ガスによっても大きく異なります。例えば、溶接電流を200Aとすると、下のグラフのようにヘリウムではアルゴンの約2倍の電圧が必要です。そのため、ヘリウムを不活性ガスに用いる場合は、溶接機の最大電圧が十分に高いものを選ぶ必要があります。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターTIG(ティグ)溶接では、下図のような装置構成で溶接が行われます。装置構成に見られるように、溶接電源に母材を接続し、通常はトーチの電極を陰極、母材を陽極とします。そして、リモコンボックスやトーチの手元のスイッチで、ガスの供給や電流の入切を操作して溶接を実施します。アーク放電が発生すると、下図のように、母材と溶接する金属、および溶加棒が溶け出して溶融池を形成します。この溶融池が凝固したものがビードとなるので、溶接の性能や品質、仕上がりの美しさは溶融池の状態によって左右されます。引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベースTIG(ティグ)溶接の特徴次は、TIG(ティグ)溶接の特徴について見ていきましょう。融接の特徴まず、TIG(ティグ)溶接は、融接による溶接法の一つであることから、融接に共通した以下の特徴があります。融接の特徴・溶接継手の強度が高い。・気密性や水密性に優れる。・溶接熱で母材の性質が変化することがある。・局所的な加熱と冷却により、変形する、または残留応力が生じることがある。・外観からの溶接品質の確認が困難である。圧接と比べた融接の特徴・溶接継手の構造を簡素化できる。・厚さに制限がほとんどない。●溶接継手について溶接における、2つの母材の接合部分、もしくは接合しようとしている部分を溶接継手といいます。代表的な溶接継手には、以下の突合せ溶接継手、重ね溶接継手、隅肉溶接継手が挙げられます。引用元:株式会社新東アーク溶接の特徴ティグ溶接は、アーク溶接の一つでもあることから、アーク溶接に共通した以下のような特徴があります。アーク溶接の特徴・アーク放電の温度が5000℃以上と高温であるため、高温で割れる金属は溶接できない。・接合する母材が導電体でないと溶接できない。ガス溶接に比べたアーク溶接の特徴・熱集中性に優れるため、溶接精度が高い。・エネルギー密度が大きいため、高融点金属の溶接が可能で、溶接速度も早い。・レーザー溶接や電子ビーム溶接と比べたアーク溶接の特徴・熱集中性に劣るため、溶接精度が低い。・エネルギー密度が小さいため、溶け込みが浅く、溶接速度が遅い。・溶接速度が遅く、溶接範囲が広いため、歪みが発生しやすい。・溶接装置が安価。参考記事レーザー溶接については、以下の記事に詳細がございますので、参考にしてください⇒【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!非溶極式アーク溶接の特徴TIG(ティグ)溶接は、アーク溶接の中でも非溶極式の溶接法ですが、非溶極式であるということから以下のような特徴を持ちます。なお、上の写真は、溶接用のタングステン電極棒です。ティグ溶接の特徴・タングステンの融点は金属中で最も高いので、あらゆる金属の溶接が可能。・溶加材を別途加える必要がある。・電極の溶融を考慮する必要がないため、溶加材の種類や添加量、溶接電流を独立して設定できる。・溶加材の溶融に時間がかかるため、溶接速度が遅い。・長時間の作業が可能。・アーク長を一定に保ちやすい。ガスシールドアーク溶接の特徴TIG(ティグ)溶接はまた、シールドガスを使用するアーク溶接でもあります。そのため、TIG(ティグ)溶接は、ガスシールドアーク溶接に共通する以下のような特徴を持ちます。ガスシールドアーク溶接と共通する特徴・シールドガスを別に用意する必要がある。・風の影響を受けやすいため、防風対策が必要になることがある。・大気の混入によるブローホールやピットの発生を抑制できる。・被覆剤を使用する場合に生じる凝固スラグが発生しない。TIG(ティグ)溶接の特徴TIG(ティグ)溶接は、アーク溶接の他の溶接法と比較して、以下の特徴を持ちます。他の溶接法と比較した特徴・鉄鋼・ステンレス鋼・ニッケル合金・銅合金・アルミニウム合金・チタン合金・マグネシウム合金など、ほとんどの金属を溶接できる。・高品質・高性能の溶接継手が得られ、ビードの外観にも優れる。・広範囲の電流域で溶接に適したアーク放電が得られる。・溶接姿勢の制約が少ない。・溶融池が安定しているため、その挙動を明瞭に観察できる。・有害な溶接ヒューム(溶融金属の蒸気)の発生が少ない。・火花が出ないため、スパッタの発生がほとんどない。・静音性に優れる。・手動溶接では、同時にトーチと溶加棒を操作しなければならず、熟練と技量が要求される。・不活性ガスやタングステンが比較的高価なため、溶接経費がやや高い。溶接姿勢について引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベース溶接姿勢は、溶接する際の作業者と溶接部の位置関係を指す言葉です。溶接姿勢には、上図に見られるような、下向、立向上進、立向下進、上向、横向の5つの姿勢があります。これらの溶接姿勢は、溶融池に作用する重力の方向を変えるため、溶接速度や溶け込み深さ、ビード形状などに下表のような影響を与えます。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターTIG(ティグ)溶接のメリット・デメリットTIG(ティグ)溶接は、初心者でも扱いやすい溶接方法であるため、個人がDIYや趣味などで溶接する時やプロが鉄工所で細かい溶接をする時など、幅広い用途に活用されています。そんなTIG(ティグ)溶接のメリットとデメリットを見てみましょう。メリットTIG(ティグ)溶接の主なメリットは次のようなことです。TIG(ティグ)溶接のメリット①溶接する金属を選ばない②耐食性や靭性に優れた溶接で強度を高める③溶接の品質が良い④溶接部の仕上がりがきれい⑤共付け(ナメ付け)が可能⑥火花が出ては困る環境下での溶接が可能⑦作業音が静か①溶接する金属を選ばないTIG(ティグ)溶接は、金属の中で最も融点の高いタングステンを電極としているため、炭素鋼・ステンレス鋼・低合金鋼などの鉄系金属からニッケル合金・銅合金・アルミニウム合金・チタン合金・マグネシウム合金などの非鉄系金属まで、工業用で使用されるほとんどの金属の溶接が可能です。②耐食性や靭性に優れた溶接で強度を高めるTIG(ティグ)溶接は、溶接部を保護するシールドガスにより、耐食性や靭性に優れた溶接が可能なので、強度を高めることができます。③溶接の品質が良い不活性ガスを使用して溶接するTIG(ティグ)溶接は、溶けた金属(スラグ)や金属粒がパチパチ跳ねるスパッタや金属表面の穴やくぼみ(ピット)ができにくい溶接方法です。そのため、溶接後に溶接部のスラグ清掃やスパッタ除去の手間が必要ない美しい仕上がりが見込めます。溶接肉も少ないので、薄板・複雑な形状の溶接など、精密な溶接も質が良くできます。TIG(ティグ)溶接は、シールドガスで溶接部を保護し、空気をシャットアウトしながら溶接するため、金属表面が酸化しにくくスラグも発生せず、不純物の混入も少なくなるので、溶接部位の欠陥が起きにくくなります。ですからTIG(ティグ)溶接は、RT検査・PT検査・MT検査などの検査の合格率も高く、品質の良い溶接法なのです。④溶接部の仕上がりがきれい電極が解けないため母材の溶接部の視野がきちんと確保でき、複雑な形状でもよく見て溶接することができます。また、溶接速度が遅いため、初心者でもゆっくり丁寧に溶接作業ができるので、溶接部が滑らかで光沢がある美しい仕上がりになります。⑤共付け(ナメ付け)が可能ナメ付けとも呼ばれる共付けとは、溶加棒(溶接棒・フィラーワイヤともいう)を使用せずに母材同士を直接接合する溶接のことで、TIG(ティグ)溶接ならではの溶接法です。共付けする場合、溶接部には余分な溶接肉が付かず、母材同士の馴染みも良い仕上がりになります。ステンレスの薄板などを接合するのに適しています。⑥火花が出ては困る環境下での溶接が可能スラグ・火花などが出てはいけない環境下でも、火花が出ないTIG(ティグ)溶接法なら溶接することができます。例えば原子力発電所や繊維工場など、火花で火災や事故などが起きやすい環境下での溶接に、TIG(ティグ)溶接は向いています。⑦作業音が静か火花を散らさず溶接できるため、他の溶接方法より作業中の騒音が極めて少なく、作業への集中力を高めるのはもちろん、周りへの迷惑も少なくなります。デメリットメリットが多いと思われるTIG(ティグ)溶接にも、当然デメリットがあります。TIG(ティグ)溶接のデメリット①風の影響を受けやすい②溶接速度が遅い③ランニングコストがかかる④作業者の熟練度で仕上がりが左右される⑤保護メガネが必要(電気性眼炎予防)①風の影響を受けやすいTIG(ティグ)溶接は、溶接部位をシールドガスで覆う必要がありますが、シールドガスは風が吹くと飛んでしまうため、屋外の溶接には向いていないといえます。屋外でTIG(ティグ)溶接を行う場合は、風除けをするなどの溶接環境を養生する、アルゴン流量を増やす、大溶量ガスレンズに変えるなどの対策が必要になり、コストや手間、作業時間がかさみます。②溶接速度が遅いTIG(ティグ)溶接は、溶接速度が他の溶接法より遅いため、溶接作業に時間がかかり、大量生産や短時間での溶接には向かない溶接法です。作業効率を上げるためには、対策として電流を上げる方法しかありません。作業効率を優先したい場合は、半自動溶接や被覆アーク溶接に変更する方が良いでしょう。③ランニングコストがかかるタングステンの電極は消耗が少ないので溶接を長時間連続してできますが、シールドガスに使用する不活性ガス(アルゴンガスやヘリウムガスなど)が高価なため、ランニングコストがかかるのがデメリットです。シールドガスの流量を適切にすることや、シールドガスの仕入れ値を交渉するくらいで、根本的な解決は難しくなります。④作業者の熟練度で仕上がりが左右される手作業で細かく精密な溶接を美しく仕上げるためには、技術の習得が必要になります。ローリング・浮かし・溶加棒の送り方などの技術を身に着けなければなりません。しかも、シールドガスが高価なため練習を重ねにくく、習得に個人差が出ることもあり、作業者の熟練度の違いで仕上がりの美観が違ってきます。⑤保護メガネが必要(電気性眼炎予防)TIG(ティグ)溶接は、火花などは発生しませんが、強い光が発生します。この光が直接目に入ると角膜や網膜へダメージを与えるため、角膜炎症・白内障・網膜損傷などを招く危険性があります。電気性眼炎などを防ぐためにも、保護メガネなどを着用する必要があります。TIG(ティグ)溶接はどういう製品に向いているかTIG(ティグ)溶接は、他の溶接方法では難しいとされるステンレスやアルミの母材を溶接する時に向いている方法です。火花やスパッタがないためクリアな視界で溶接でき、美しい仕上がりが実現できますので、什器など複雑な形状や細かい溶接、また仕上がりの美観を重視する製品の溶接に適しているといえます。しかしTIG(ティグ)溶接は、他の溶接方法に比べ溶接速度が遅いため、作業効率から考えると、溶接箇所があまり多くない製品作製に用いることをおすすめします。つまりTIG(ティグ)溶接は、作業効率より美観重視の溶接方法ということになります。他にも、ステンレスの薄物同士の接合や、溶加棒を使用しない共付け(ナメ付け)にも、TIG(ティグ)溶接がおすすめです。●TIG(ティグ) 溶接に向いている製品例・バイクや車の部品・パイプ類の接合・船の部品の接合・小物製作・ステンレスやアルミの材質の接合・溶接部の美観が重要な製品の接合TIG(ティグ)溶接の方法、工程を動画で解説引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオそれでは、TIG(ティグ)溶接は実際にどのように行うのか、上のアルミニウムのTIG(ティグ)溶接の動画を参考に解説していきます。動画では、厚さ2mmの1000系アルミ板を、初めに溶加棒なしで、次に溶加棒ありで溶接しています。また、溶接継手の構造は板金を並べる形の突合せ溶接継手、溶接姿勢は下向姿勢で溶接しています。TIG(ティグ)溶接の準備溶接するにあたって、まず以下の道具を用意し、正常に使用できるか確認しておく必要があります。用意する道具・ティグ溶接機・タングステン電極・溶加棒・シールドガス・遮光マスク・革製などの溶接用手袋・難燃性の防護服特に、タングステン電極はグラインダなどで先端の形状を整える必要がありますが、動画にあるように、アルミ溶接の場合は先端を鈍角に研磨して使用します。また、アルミ溶接では、溶接前に母材の脱脂が必要なことも注意してください。TIG(ティグ)溶接の実工程溶接の実作業では、まず2枚のアルミ板を接合する並びにそろえ、両端を仮付けします。このとき、電極を材料から2mm程度離してアークを発生させます。なお、溶極式のアーク溶接では、電極を接触させてアークを発生させる接触法が用いられますが、非溶極式では、電極が消耗するため、電極を材料に接触させないようにしましょう。●溶加棒なし次に、仮付けしたアルミ板を溶接していきます。溶接は、トーチを45°程度傾け、溶融池が電極前にちょうど見える位の速度で行っていきます。溶加棒を用いない場合の仕上がりは、ビードがへこんでおらず、かつ裏側まで溶けている状態であれば良い品質であると言えるでしょう。●溶加棒あり溶加棒ありの溶接にあたり、利き腕が右の場合は、溶加棒を左にトーチを右に持ち、右から左へと溶接します。溶接方法は溶加棒なしと同様ですが、溶加棒はアークに触れるとはじかれてしまうので、溶融池に横から差し込みながら溶接していきます。溶加棒を用いた場合の仕上がりは、ビードの盛り上がり高さが均一で、溶加棒なしと同様に裏側まで溶けている状態であれば良い品質と言えます。TIG(ティグ)溶接の製品事例製品事例①引用元:株式会社大畠製作所アルミを交流TIG(ティグ)溶接した製品事例のアルミ製ハンドルです。油分や細かな傷等をスコッチブライトで仕上げられています。製品事例②引用元:モリヤス・アイアンワークスチタンをTIG(ティグ)溶接したバイクのマフラーの製品事例です。精密に角度切りしたパイプを共付け(ナメ付け)し、なめらかで光沢のある美しい溶接面に仕上げられています。向かって左のステー部は強度が必要なため、溶加棒を使用し接合していますので溶接ビードがあります。TIG(ティグ)溶接は、金属中で最も高融点のタングステンを電極に用い、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスで覆いながら溶接する方式のアーク溶接法の一つです。TIG(ティグ)溶接は、アーク放電で発生する熱によって金属を溶かし、溶融した金属を凝固させることで溶接します。そのようなアーク溶接法の原理を利用していますが、タングステン電極や不活性ガスを用いることから、多様な金属の溶接が可能で、溶接欠陥の少ない溶接法となっています。一方、TIG(ティグ)溶接は、素材や溶接形状によって溶接方法を多様に変えることが必要な溶接法でもあります。そのため、溶接可能な素材や形状、また仕上がりは、メーカーに大きく異なります。Mitsuriでしたら、日本全国に協力工場が350社以上あるため、TIG(ティグ)溶接を専門とするメーカーをご紹介できます。TIG(ティグ)溶接でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!

    価格が安くなるねじ切り図面の書き方についてはこちら!価格が安くなるねじ切り指示の書き方を解説しています!20〜30%ほどの低減につながる可能性がございますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!機械加工における穴開け加工の方法には、タップ加工やリーマー加工といった方法があります。特に穴開け加工はドリルを用いて削る、開けるといった方法が一般的ですが、さまざまな方法があり、製品の素材や用途によってどの方法を採用すべきかが異なります。この記事では、機械加工における穴開け加工の中でも、一般的な金属物質にも使いやすいタップ加工やリーマー加工について詳しく解説していきます。主な加工事例についてもご紹介しますので、穴開け加工の方法でお悩みの方は最後まで読んでみてください。機械加工における穴開け加工とはタップ加工とはタップ加工は、穴開け加工などによって開けられた穴(下穴)にめねじ(ねじが入る筋)を切る加工のことです。外周にらせん状の溝があり、切れ刃が付いているタップというねじ状の工具を使って行われます。一般的には、ボール盤などの機械にタップを取り付けて加工を行うことが多いですが、タップハンドルを使った手作業での穴開け加工も増えています。●タップ加工の手順タップ加工の準備として、以下の点を事前に確認しましょう。確認ポイント・加工ワーク(タップハンドルなどタップを固定する部材)を確実にクランプ(緩まないよう固定)しておく・加工対象と下穴径に合ったタップを選ぶ・適切な切削速度に設定する・用途に合った切削油を用意する一般的なタップ加工の手順は次のとおりです。タップ加工の手順①適切な大きさ、深さの下穴を開ける②切削油を塗る③タップをゆっくりと時計回りに挿入して、ねじを切る●タップ加工で使用する切削油切削油は、使用する機械で推奨されている種類、素材に適したオイル含有率などで選びます。切削油の種類鉱物油ベース:タップ加工で最も一般的、切削特性と安定性に優れ、機械に負担をかけない合成切削油:安定性に優れているが機械への負担が高くなりやすい準合成切削油:切削特性に優れ、幅広い被削材のあらゆる種類の加工に推奨植物ベースオイル:タップ加工用エマルジョンの中で最も切削特性が高いストレートオイル:タップ加工において最適な切削条件の安定性の高いエマルジョンで、旋盤や小型部品機械で使われる●タップ加工でのクーラント供給クーラント(機械や部材を冷却する液体)の供給は、タップ加工において重要なポイントです。クーラントを使うことで、切りくず排出、ねじの品質や使用している工具の寿命など広く影響を及ぼします。クーラントの供給方法として、長い切りくずが出るような深穴などのタップ加工に適した内部給油、その他の一般的な加工に使われる外部給油があります。●タップの下穴サイズタップ加工において、タップ加工サイズと、開いている下穴の直径との関係から必要なサイズを用意することになります。下穴の直径は、ねじの外径からピッチを引いた直径前後と見ておけば問題ありません。あくまでも目安程度ですが、下記表を参考にしてください。※ステンレス鋼など削りにくい材料の場合は、標準よりもやや大きい下穴だとやりやすいでしょう。引用元:NMRI●タップの種類下穴の形状や切りくずへの対処法によってタップの種類を選びますが、次の4種類が代表的です。①ハンドタップ:切り屑をタップ本体自体に抱え込む、止まり穴・通り穴両方に使用②ポイントタップ:切り屑を前方に排出する、通り穴に使用③スパイラルタップ:切り屑を後方に排出する、主に止まり穴に使用④ロールタップ:切り屑が出ない方法、止まり穴用・通り穴用が別々各種類ごとの切りくずの排出方法の違いは、以下のようになります。引用元:sanvik(左から、ハンドタップ、ポイントタップ、スパイラルタップ、ロールタップ)それぞれの方法に適した素材は、以下の表をご参照ください。<材料別タップ選定の目安>引用元:モノタロウ(◎:最適、○:使用可能、△:やや問題あり、×:不適)リーマー加工とはリーマー加工は、ドリルなどによってあらかじめ開けられた穴の内径を、リーマー(リーマ)と呼ばれる棒状の部材を通すことで、所定の穴寸法に広げながら、滑らかな面できれいな円の穴を作る作業を指します。基本的には、穴の内径寸法や面の粗さ、真円度といった精度が要求されるごく小さな穴開け加工に多く使われる加工で、精度の高い施工ができる機械技術と熟練した操作が要求されます。機械を使ったリーマー加工では、複数の加工ステップをひとつのリーマー工具を使ってまとめることにより、加工時間と手間を短縮することができます。●機械によるリーマー加工現在はボール盤(木材や金属に穴を開ける、穴を堀る工作機械)を使ったリーマー加工が一般的です。注意点として、ボール盤使用時には主軸、チャック、スリーブなどの振れやガタつき、ゴミが挟まっていないか、加工対象物の下穴の口が、水平になっているかどうかを確認してから施工しましょう。●リーマー加工の手順準備として、次の点をチェックしましょう。チェックポイント・対象物がしっかりクランプして固定されている・貫通穴の場合、切りくずが排出できるスペースを確保している・薄い部材をリーマー加工する場合、クランプの力が部品全体に均一にかかる一般的なリーマー加工の手順は、以下のとおりです。リーマー加工の手順①リーマー加工用の切削油を準備する②リーマーの位置をセットする③ゆっくり圧をかけながらリーマーを挿入し、抜く●リーマー加工の切削油リーマー加工用では、加工対象物とリーマー自体が直接擦れるため、潤滑油の役割を果たす切削油が仕上がりを左右します。切削油を使うことで、切りくず排出のサポートや、工具自体の寿命を伸ばすことに貢献できます。材質、加工条件によって異なる油剤を選ぶことが推奨されています。基本的には油性(不水溶性)の切削油が使われ、深穴や止まり穴(突き抜けずに止まる穴)の場合は、クーラントスルー(内部給油)方式と呼ばれる方法を用いると、加工部の切削油不足を防げます。水溶性切削油を使う場合は、エマルジョンタイプ(水で希釈すると乳白色の液となるタイプ)のものを濃度20%以上で使用するのがおすすめです。●リーマー加工の下穴リーマー加工では、先に開けられている下穴に合わせて加工が行われるため、適確な寸法の取りしろを設ける必要があります。この取りしろが少ないと、仕上げ面が十分に綺麗になりにくく、反対に多すぎると切りくずが溝につまるなどして加工しにくくなってしまうからです。下穴の取りしろおよその目安は次の表の通りです。(リーマーの種類や工作物の材質によって異なるので注意)<リーマの取りしろ目安>引用元:モノタロウ●リーマー加工における注意点角度のある面でのリーマー加工では、入り口角度は5度以下にし、振れ(取り付けたリーマー自体の揺れ)はできる限り小さくしましょう。リーマーと下穴のオフセットは最低限まで小さく抑えておくと、びびり(ビリビリと音を出しながら震える状態)を防げます。リーマー加工はあくまでの穴を少し広げながら整える加工であり、下穴自体の中心のズレ、真直度(対象物の垂直方向の軸との狂い)を修正することはできません。下穴の真直度は0.05mm(0.02インチ)以下が推奨されています。穴開け加工事例機械加工の穴開け加工事例を複数ご紹介していきます。タップ加工例引用元:ポン押し卒業265引用元:ポン押し卒業265スパイラルタップによる施工例引用元:有限会社茂木製作所M4サイズ0.7タップ加工(2ヶ所)リーマー加工例引用元:城陽富士加工株式会社炭素鋼(S50C、硬度HRC53)プレートへの高精度穴加工(中央部三連穴の右)引用元:旋盤市場止まり穴用のマシンリーマー加工まとめ機械加工での穴開け加工は、部材の形状や用途、下穴の状態などにより、適切な加工方法を用いることが重要です。タップ加工やリーマー加工などで穴開け加工を検討している場合に、ぜひ参考にしてください。Mitsuriは、日本全国に所在する140社以上の協力企業から、穴開け加工を得意とする製作所や工場をご案内できます。お客様のご要望、条件に合わせて最適な業者をご照会致します。穴開け加工をご検討の際には、ぜひ一度Mitsuriにご相談下さい!

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    アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる!

    家庭用品や機械部品にも使用されているアルミ。一円玉やアルミ缶の他にも、装飾品や建築材料など様々な製品に加工をすることができます。生活の中で見ることの多いアルミですが、その種類までご存じでしょうか?アルミにも様々な種類があり、特徴も異なっています。その特徴を理解しておくことで、アルミ製品を買うときや加工メーカーに依頼する際にも非常に役に立ちます。そこで、今回はアルミの種類について詳しくご紹介させて頂きます。「アルミって種類があるの?」と思っている方は勿論、これからアルミ加工を依頼しようとしている方にも、参考になる記事なので、是非ご一読して頂きたいと思います。アルミの番手とは日々、生活を支えてくれるアルミですが、切削加工などで使用されるアルミ材料のほとんどは、純度100%ではありません。純度100%で使用されないのは、アルミの性質に関係しています。アルミは、軽く、さびにくいという性質を持っている半面、柔らかく傷つきやすい金属です。そのため、アルミのみで加工してしまうと、強度が不十分になってしまいます。強度を上げつつも、アルミの特性を活かした製品を作るには、別の金属類の特性を付与する必要があります。一般的には、マンガンや銅、ニッケルなどの性質を組み合わせています。アルミの番手は、そんなアルミに異なる性質を付与した物を種類別に表したものになります。アルミの番手はアルミの頭文字である「A」の後に4桁の数字で表します。アルミ材の種類とその使用例アルミの種類は主に1000番手系~7000番手までに分類されており、1000桁台の数字が変わる度に特徴が大きく変わっていきます。今回はその特徴と使用例をご紹介します。1000番手系1000番手系のアルミは純アルミのことを表します。アルミの純度が99%以上の為、耐食性もや熱伝導率、導電性に優れています。しかしその半面で強度が低く、粘り気もある為、加工すると傷がついてしまったりするので扱いに注意が必要です。また、下二桁はアルミの純度を表してます。例えばA1100は、99パーセント以上の純度を表しており、A1050は、99.5%の純度を表しています。1000番手系のアルミは、主に、強度がそれほど必要ではない部材や部品、家庭用品や電気器具などに使われます。2000番手系2000番手系のアルミは、ジュラルミンと呼ばれている番手です。アルミに銅を多く含有することで、高い強度を持っています。しかし、銅の特性上、酸化しやすいため、一般的なアルミよりも耐食性は低いです。その為、ジュラルミンを加工する際は、アルマイト処理などの表面処理を行うことをおすすめします。そうすることで耐食性をあげることが可能です。また、アルミは溶接をするのが難しい金属ですが、このジュラルミンは通常のアルミ以上に溶接が難しく、すぐに溶接割れを起こしてしまいます。その為、溶接加工にはあまり向いていない素材です。またA2024のアルミニウムは、超ジュラルミンとも言われています。使用方法としては、機械などの部品のほかにも、ジュラルミンケースといった衝撃に強いケースとして使用されることが多いです。3000番手系3000番手系のアルミは、純アルミニウムにマンガンを含有することで、強度を上げつつ、耐食性を向上させたものです。この番手で代表的なものは、A3003といったアルミがあります。一般的に切削加工の材料として使用することはあまりありませんが、アルミ缶の材料はこの3000番手系が多く使われています。アルミ缶のほかにも屋根材、パネル等の建築材、電球口金など、様々なものに使われています。4000番手系4000番手系のアルミは、シリコンが含有されているアルミニウムです。アルミの特性だけでなく、シリコンの特性を活かし、耐熱耐性と耐磨耗性を付与することが可能です。また他のアルミニウムと比較すると融点が低いため、ろう材や溶接溶加材として利用できます。代表的なものに、A4032というアルミニウムがありますが、3000番手系と同じく、切削加工にはあまり向いていません。しかし、熱膨張が少ない為、鍛造ピストン等にも使用されています。5000番手系5000番手系のアルミは、マグネシウムを含有したものです。マグネシウムの特性を付与することによって、耐食性と強度を上げることが可能です。また、加工しやすいため、アルミニウムを材料とした切削加工には最適です。その為、切削材料としては最もメジャーな素材といえます。代表的なものはA5052という板材が挙げられます。使用例としては、主に船舶や車輌などの強度を求められる物に使用されています。6000番手系6000番手系のアルミは、シリコンとマグネシウムの両方が加えられています。5000番手系のアルミニウムと比較しても耐食性や強度が優れています。また6000番手系には、熱を加えることで、さらに硬化する物もあります。しかし、溶接等に弱く、アルミのメリットである熱伝導率の関係で、溶接箇所以外にも熱が広がってしまい、周辺部位まで強度低下が起きてしまうことがあります。その為、ボルトやナット、リベットなどの機械的な接合が用いられることの多い材料です。表面処理を施すことで、陽極酸化皮膜が得られるという特徴もあるため、主に建築用サッシなどの構造材に使用されることが多いです。7000番手系7000番手系のアルミには、亜鉛とマグネシウムが加えられています。熱処理をすることで強度が上がり、全アルミニウムの中で最硬度になります。また、非常に折り曲げや引っ張りに対して強い性質を持っています。さらに、アルマイト処理することで、様々な性質を付与することができます。7000番手系の代表的としてA7075が挙げられます。このアルミは、超々ジュラルミンと言われており、2000番手系のアルミを遥かにしのぐ硬度を持っています。耐久性を必要とするようなものに使用され、車や飛行機の部品やスポーツ用品、そしてスマートフォンの筐体などに加工されています。よく使われるアルミ材の種類説明したようにアルミ材にはたくさんの種類があります。ここでは、身の回りで、また金属加工でよく使われているアルミ材について説明していきます。A1050純アルミに分類されるA1050は、アルミ材の中でも耐食性が高く、導電性に優れることから送配電用の材料として用いられています。電気伝導率は銅より低いものの、軽量かつ低コストなため、銅の代替材料として電線の置き換えが進んでいます。アルミ純度99.6%以上のA1060と99.7%以上のA1070も導電材として広く用いられています。A1N30A1N30は、優れた展延性や耐食性を示すことから、薄箔用材料に用いられている材料です。食品用のアルミ箔はもちろん、薬品や日用品のほか、コンデンサの材料として使用されています。なお、A1N30のNは、日本独自の合金であることを表す記号です。A2017(ジュラルミン)銅系アルミニウム合金のA2017は、熱処理によって高強度化することが可能な上、切削加工性に優れるため、金属加工で広く用いられているアルミ材です。航空機や自動車の構造部材、機械部品などに使われています。A3004マンガン系アルミニウム合金のA3004は、A3003にマグネシウムを1%程度添加することで強度を増した合金です。耐食性が高く、プレス加工性に優れていることから、アルミ缶のボディ材に使われています。A5052マグネシウム系アルミニウム合金のA5052は、金属加工の材料として最もよく使われているアルミ材です。板金加工にも向いており、板状のアルミ合金では、最も流通量が多い材料です。A5182A5182は、マグネシウムの添加量が多く、5000番手系の中でも高い強度を持つアルミ材です。アルミ缶の蓋材に使われていることで有名な合金です。A6061    マグネシウム-ケイ素系アルミニウム合金のA6061は、熱処理によって高強度化が可能で、押出成形に向いていることから金属加工で広く用いられているアルミ材です。車両や機械の部品、建材や各種構造部材などに用いられています。A6063A6063は、アルミサッシの材料として知られているアルミ材です。A6061より強度は低いですが、押し出し性はより優れているため、複雑な形状に成形することができます。まとめ今回はアルミの種類についてご紹介させて頂きました。アルミにも様々な種類があり、どれも特徴や性質が微妙に異なります。アルミ製品を購入する際や、アルミ加工の依頼をする前には、何の用途で使用するかを考えてから、アルミの種類を選ぶことをおすすめします。この記事を読んで、今までアルミの種類について知らなかった方や、知っていても疑問が残っていた方々に、少しでもお役に立てれば幸いです。また、アルミ加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な素材の選択に加えて、アルミ加工の得意な工場のご紹介も可能です。アルミのことでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

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    【愛知で金属加工を依頼するなら!】腕利きの金属加工メーカー5選!

    「加工業者ってどうやって探せばいいのか分からない・・・」「加工業者に頼むなら、出来るだけ経費を抑えてたのみたい・・・」「加工業者と長くお付き合いできるか心配・・・」加工業者を選ぶときに、そう考えてしまい迷う方も多いですよね。新しい依頼先や初めて加工業者を選ぶからこそ、加工業者を慎重に吟味してから決めたいというは、どの会社の方々も当然だと思います。今回は、そんな“慎重に決めたいが、迷ってしまっている”という、お悩みをお持ちの方や、これから金属加工業者をみつけようとしてる方にも是非ご一読頂きたい記事となっております。また、それ以外にも「愛知県にはどんな加工業者がいるんだろう。」と興味がある方にも、おすすめできる記事となっています。【ワンストップ製作】株式会社竹野入工業引用元:株式会社竹野入工業基本情報本社:愛知県名古屋市西区十方町100番地TEL:052-618-6633設立:2011年1月加工: 各種金属機械加工 各種専用機械製作素材:鉄鋼、ステンレスHP:http://www.takenoiri.com/about/①会社紹介株式会社竹野工業は、ご注文から完成までの全工程を行うことができる“ワンストップ製作”が特徴の金属加工業です。また、愛知県の近隣の近隣周辺地域の協力工場との連携やネットワークを駆使することで、部品製造の材料手配から始まる全ての処理、完成品に至るまでを素早く対応することができます。②特徴株式会社竹野工業の強みは、注文から完成まで全て自社で一貫して行っているワンストップ制作です。一括して制作しているからこそ、素早く対応でき、完成までの時間が短縮できるのは、とても大きなメリットです。ただ、一貫して自社で行っている故に、何かトラブルが起きれば全体に影響し、完成まで支障が起きるかもしれない点はデメリットといえます。③製品例商品C8 商品A8商品Y7【精密機械部品なら】株式会社よしいけ工業所引用元:株式会社よしいけ工業基本情報本社:愛知県一宮市東五城字出先3-6TEL:0586-61-6367FAX:0586-61-4349設立:1977年3月4日加工: ・マシニング加工(細穴ドリルタップ)・NC旋盤加工・ワイヤーカット・金属加工・リニアウェイ素材:アルミ・鉄・炭素鋼・真鍮・ステンレス等HP:http://www.yoshiike-kk.co.jp/①会社紹介株式会社よしいけ工業は、創業が昭和48年という昔からの金属加工会社です。アルミ・鉄・炭素鋼・真鍮・ステンレスなどの一般材から難削材まで幅広く対応が可能なうえに、切削・研削・NC旋盤・マシニング加工などで、材料調達から製品完成までを行っているので、幅広い対応が可能となっています。また、マシニング加工の細穴ドリル・タップによる加工技術は他社よりも優れています。②特徴株式会社吉池工業の強みは、多くの素材を扱ってることや、材料調達から完成品までを一括で行っていることです。さらに、治具制作はすべて自社制作しており、他社よりもオリジナリティが溢れる物となっています。ただ、少数精鋭で仕事をしているので、大量発注などは時間が掛ってしまうと思われます。③製品例材料:鉄、NC旋盤加工機械部品(リニアローラウェイ)マシニング加工(細穴加工)オリジナル治具カセット【切削加工部品なら】株式会社古屋工業所引用元:株式会社古屋工業所基本情報本社:愛知県豊明市栄町新左山1-753TEL:0562-96-2188FAX:0562-96-2187設立:1964年4月20日加工: NC施盤による切削加工 ・マシニングセンターによるフライス加工素材:鉄、鋼、銅、チタン、アルミ、ステンレスHP:https://www.furuya-ko.co.jp/①会社紹介株式会社古谷工業所は、マシニングセンター加工や複合NC旋盤加工による、高い加工精度が要求される超精密切削加工を得意とする会社です。超精密切削加工の技術は他社に負けないという自信と実績を持っています。また、生産体制もマシンを24時間稼働できるような生産体制も整えており、短納期でコストパフォーマンスのある製品作りに努めています。②特徴超精密切削加工を得意とする会社である故に、他社ではできない加工などもできるだけでなく、多種少量の部品もを加工してきた経験もある為、幅広い部品の加工ができる会社になっております。ただ、切削加工を中心として仕事をしているので、注文から完成までを一括で依頼することはできません。③製品例ディーゼルターボエンジン部品 SUJ2ディーゼルターボエンジン部品    SCH22ミッション部品(軽トラック用)【難加工品なら】知立機工株式会社引用元:知立機工株式会社基本情報本社:愛知県豊田市高丘新町春日88番地1TEL:0565-54-1551FAX:0565‐54‐1550設立:1970年加工:マニシング加工・ワイヤー加工・組付加工素材:鉄・非鉄等HP:http://www.chiryukikou.co.jp/①会社紹介知立機工株式会社は、難加工品を得意とする金属加工会社です。精密機器部品の全加工を請け負っており、単品加工・一品加工・多品種単品等とどんなに難しい加工でも図面通りに作ることができます。また、オリジナルの製品も扱っており、コスト面でも気を配っています。②特徴精密機器部品の全加工を請け負っていることで、素早い納品が可能となっております。また、機械加工の難しい、難加工の品も請け負っているので、加工できないものは少ないです。ただ、精密機械加工を請け負っているので、その他の製品加工などの依頼は難しいです。③製品例プレス部品ワーク押え部品プレス部品【住宅建築金物なら】株式会社アイチ金属引用元:株式会社アイチ金属基本情報本社:愛知県名古屋市北区五反田町77                         TEL:052-909-5600FAX:052-909-5610設立:1993年10月29日加工:板金加工・組子加工・ヴェロメタル加工素材:鉄・ステンレス等HP:https://www.aichi-metal.co.jp/①会社紹介株式会社アイチ金属は、住宅建築金物加工に特化した金属加工会社です。階段・サッシ・門扉等の金物などをオーダーメイド製作することが可能です。さらに、材料の仕入れから下処理、金属加工から塗装仕上げまでも自社工場で一貫して仕上げるているので、より質の高い製品を仕上げることができます。見積までは無料でしてくれるので、興味のある方は是非一度、頼んでみると良いでしょう。②特徴お客様の要望を聞くだけでなく、イメージされる参考写真まで考慮してくれるため、よりイメージに近いデザインにすることが可能です。さらに、仕入れから一貫して仕上げてくれる為、質の高い製品を作り上げることができます。また、他社にはない特殊メタルコーティングを施した製品も販売しているので、よりオリジナリティのある製品も発注できます。ただ、オーダーメイドの為、大量発注等には向いていません。③製品例オーダーメイド円形サッシデザイン階段門扉愛知で金属加工メーカーの一括見積もりを依頼するなら【Mitsuri】今回は、愛知県でおすすめの金属加工会社を5選、ご紹介しました。金属加工と一言で言っても、多種多様な分野があります。そして、どのメーカーにも、得意なことと不得意なことがあります。「比較するのが大変そう・・・」と感じているあなたは、ぜひMitsuriを利用してみませんか?Mitsuriでは、企業さまからの発注・見積もりにも対応しています。日本全国各地、どこからでもご相談可能です。下の赤いボタンをクリックしてお問い合わせください。

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    削除対象 spccの加工ならMitsuri!【1コ〜の依頼もOK】全国100社を超える工場から一括見積もり!

    SPCCとは何か。材料なのか機械なのか、知らない方からしたら工業に関する特殊な何かということしか分からないかもしれません。もしかしたら、説明されても専門的で小難しい内容ばかりでさっぱりということも。ですがご安心を。この記事ではSPCCの特徴や性質について分かりやすく解説いたします。そもそもSPCCとは、実は特殊でも何でもないどこにでもある金属のことだったりするんですよ。見積もり依頼をする(無料)SPCCとはSPCCとは、時計やカメラ、自動車などの材料になっている一般的な鉄素材のことを言います。肩透かしを受けたように感じるかもしれませんが、要は普通の鉄のことですね。主に曲げ加工やプレス加工をする際に使われます。SPCCは鉄なのでとても錆びやすい材質で、加工後は塗装やメッキ処理などの表面処理が必須となります。加工をしたままでもつるつるした綺麗な仕上がりになりますが、表面処理をすることでさらに綺麗な表面になり、そして錆びにくくなります。それらの要素からSPCCはミガキ材や冷圧材、コールドなどと呼ばれることもあります。SPCCと他の鉄規格との違いSPCCは加工しやすい素材ですが、その分他の鉄に比べて柔らかいので強度はそこそこです。値段の方は高くもなく低くもなくといったところ。よく使われる金属だけあって購入しやすく扱いやすい感じですね。SPCCと似たような素材にSPHCやSS400といった金属がありますが、それぞれ材質や適した加工の方法が異なり、用途も少しずつ違います。以下、よく使用される鉄素材の特徴を大まかに示した図になります。引用元:キャディ株式会社強度、価格、サビにくさ(耐食性)については、弊社で詳しくご紹介している記事がありますので、こちらをご参考ください。どんなSPCC加工を依頼できるのか切断金属を二つに分断する製品製作の最初の工程です。設計図をもとに寸法をチェックし、図面通りに切断して一つ一つの部品に仕上げていきます。SPCCはやわらかい成形性を持っており加工性がよいので、いろいろな形状に仕上げることができて非常に用途が多い素材です。切断方法にも様々あり、主にフライスやレーザー、プレスなどを使った方法があります。曲げ文字通り金属を曲げて加工する方法です。手作業で曲げることもありますが、だいたいはプレス機を使って曲げます。曲げる形状はV字やU字、L字やZ字など様々。鉄を曲げるだけなので理屈としては簡単な加工方法ですが、曲げ部分の角度や圧縮や引っ張りのひずみのコントロールが難しいため、機械設計には精密さが必要になります。特にSPCCは鋼板によって規格値のばらつきが大きいので、より綿密な設計が不可欠です。溶接溶接加工とは金属を溶かして他の金属と接合する加工のことです。溶かすには金属に高熱を与えて融解させる方法をとりますが、火で加熱するほか、電気を流したりレーザーの光で溶かす手段もあります。SPCCは溶接性がよい金属ですが、同じ鉄鋼材料であるSS400やSPHCの方が溶接には向いています。後処理金属は加工した後「バリ」や「カエリ」を除去する作業が必須になります。バリとは加工後の金属の淵にできる出っ張りのことで、カエリとは加工後の金属の表面にできる出っ張りのことです。バリやカエリはそのままにしておくと手に引っかけたりしてケガの危険があり、見た目的にも美しくならないので削って綺麗にします。また、加工した製品に塗装や錆防止のコーティングを行うことを表面処理と言います。先にも書きましたが、SPCCは特に錆やすい性質を持つので錆防止は必須になります。錆防止により完全に錆びなくなるわけではありませんが、錆びにくくすることで金属の寿命を延ばして製品として長持ちさせるのです。見積もり依頼をする(無料)SPCC加工実績 引用元:キャディ株式会社(サイズ 500×200×250 アイボリー塗装,溶接,金具)引用元:キャディ株式会社(サイズ 900×200×2100 溶接,白塗装)引用元:キャディ株式会社(サイズ 848 ×1104 ×480)引用元:キャディ株式会社(サイズ 180 ×145 ×95 V曲げ,オレンジ塗装,溶接,金具)SPCC加工を依頼するなら【アルミ加工のMitsuri】 SPCCという小難しそうな用語でしたが、ふたを開けてみると意外と簡潔な解説だったのではないでしょうか。4つのアルファベットが羅列していてどうにも聞き慣れなれない単語ではあるものの、材料としてはどこにでもありふれて使われている金属、それがSPCCです。この記事を読むことでみなさまの金属加工に対する知識が少しでも増えていればと思います。そしてもしお仕事の依頼をしたいという方がいたら、どんなことでもお気軽にMitsuriまでご相談ください。個人から・小ロット・全国どこでもお受けいたします。まずは下のリンクから無料で見積もりがとれるので是非試してみてください。見積もり依頼をする(無料)

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    初心者から分かる!板金加工におけるVA・VEの取り組みとは?

    板金加工業においても、製品を商品として売り出すにあたり、コストや品質向上の課題はつきものです。そんな中で、現在様々な企業でVA・VEの取り組みが行われています。本記事では、「そもそもVA・VEって何?」という方にもわかるVA・VEの概要と、取り組みの事例をご紹介します。VA・VEとは?“ VA”とは、“ Value Analysis”(価値分析)を示します。価値(V)=機能・品質(F)/コスト(C)で表され、品質を向上もしくは維持しながらコストを抑えることによって、製品の価値を最大化することを目的とした取り組みです。VAと併用してよく使用される言葉“VE”は、“Value Engineering”を意味し、基本的に同義として使われていますが、設計検討段階から価値の最大化を考える“VE”に対して、量産化している既存製品についてバリューチェーン全体の視野からコストダウンを行うものを“VA”として区別する場合もあります。板金加工のコストを決める要因どの企業も、少しでもコストを削減して製造したいと考えるものですが、板金加工のコストはどのような要因に左右されるのでしょうか。大きく分けると、①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立て、の四つが要因として挙げられます。①イニシャルコスト一般的な曲げや溶接などでは、イニシャルコストはあまりかかりませんが、例えば絞り加工を行う際などは、金型を必要とします。簡易金型を採用できるよう設計することで、金型にかかるイニシャルコストを抑えることができます。②材料材料に関しては、加工に使用して残った部分が廃棄され、無駄なロスが生じています。コストを抑えるコツとしては、定尺という決まった板の寸法を考慮することで無駄を抑えることができます。③加工方法曲げ・溶接などの加工方法では、板厚や施工によって曲げ限界に違いがあったり、溶接しづらい構造や溶接後の仕上げが必要な構造で設計を行うと、溶接加工に時間がかかるなど、コストアップに繋がってしまいます。④組み立て最終的な組み立て作業で、図面上では成立していても実際の現場ではスパナを回すことができない、または部材同士が緩衝して組み立てられないなどの事象が発生することもあります。以上のような要因に対処していくには、設計者が部材の加工方法をしっかりと知った上で図面を書くことが必要です。加工を知らないと、結果として段取りが多く、歩留まりの悪い加工方法を強いる図面になってしまい、コストアップ・オーバースペックを招いてしまうのです。VA・VEの実行手順引用元:株式会社産業革新研究所次に、VA・VEを実行する手順について説明していきます。①対象の選定まずは、対象(品物)が何なのかを選択します。②機能の定義次に、技術情報、コスト情報、要求事項、品質情報、法的制約などの情報を収集し、その品物の機能は何かを定義します。同時に、定義した機能の関連性を図示し、機能の整理も行っていきます。③機能の評価次に、定義した機能について、コスト分析などを行い評価をします。④改善案の提案さらに改善案を練り、新規アイデアの発想・評価を行います。出来上がった改善案については、TRIZ(発明的問題解決理論)、チェックリスト法、ブレインストーミングなどの方法を用いてさらに具体化し、提案書の作成を行います。以下は、チェックリストの項目例ですが、会社の業種や製品、作業内容で変わってくるので、自社に合ったチェックリストを作ることをおすすめします。チェックリスト項目の例□そのものの使用によって価値が高められるか□その品物の原価と用途がつり合っているか□そのものの形状全部が必要であるか□使用目的に適ったものが他にないか□もっと低原価な作業方法で機能的な部品が作れないか□もっと有用な標準あるいは、部外供給業者の標準がないか□使用される数量を考慮に入れた妥当な工具、設備で生産されているか□合理的な資材費、労務費、間接費および利潤は適切か□もっと安く供給する信頼できる業者はないか□それをもっと安く買っている会社はないか⑤実施とフォローアップ作成した提案書に従って実行し、随時フォローアップを行います。⑥実施状況の評価実施した後には、次につながるよう全体の評価を行います。VA・VEの取り組み事例VA・VEの取り組みとして、コスト要因である①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立てに着目しながら事例をご紹介します。①イニシャルコストに対する取り組み【Before】プレス金型を用いて行う絞り加工は、通常の方法では、板厚や絞り深さ、高さを気にすることなく設計することができます。しかし、金型は製作期間が長い上、物によっては数百万円もする高価なものまであり、製品原価に大きな影響を与えかねません。【After】このような場合の対処方法として、簡易金型の使用が挙げられます。深く絞ることができない簡易金型ですが、切断・溶接を併せて行うことで、深絞りのような形状を生み出すことが可能になります。■このように、簡易金型に追加工を施すことで、イニシャルコスト低減を図ることができます。事例参考・画像URL:精密板金コストダウン.COM②材料に対する取り組み【Before】一般的に、耐食性が必要な機械部品にはステンレス材料、中でもSUS304が使用されます。しかし、加工の観点で見ると、SUS304は加工性が悪く、機械加工のコストが高くなる傾向があります。【After】同じステンレスでも、材料をSUS304から加工性に優れたSUS303に変更することで、コストを削減することが可能になります。耐食性を重視する場合には、SUS316なども選択肢として検討します。■このように、一口でステンレスとしても、品番によって様々な特性をもっており、加工性・耐食性も異なるため、入念に検討することが必要です。事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COM③加工方法に対する取り組み【Before】TIG溶接を行った後の仕上げ工程では、何度も段階的に細めのディスクで仕上げ研磨作業を行わなければならず、溶接工程以上に研削工程で工数がかかり、コストアップにつながってしまうことがあります。【After】そこで、YAGレーザー溶接を採用することで、溶接ビードが細く、きれいな仕上がりが可能になります。外観上の美しさをそこまで追求しない場合には、溶接焼けの除去だけで済むため、研磨工程を大きく削減することができます。■このように、YAGレーザー溶接に置き替えたことで、溶接後の工程を削減でき、溶接自体のコストが高くても、トータルで見るとコストダウンにつなげることができます。事例参考・画像URL:板金加工コストダウン④組み立てに対する取り組み【Before】機械や装置を組み立てる際、ステンレスやアルミなどのフラットな部品同士をネジやボルトで組み立てるとなると、両方の部品の位置を正確に合わせることが難しくなります。部品が大きくなるほど困難になり、組み立て作業に時間が費やされてしまいます。【After】一方に切り欠きを入れ、位置合わせがしやすいようにすることで、時間が短縮されコストダウンにつながります。大きな機械部品や重い部品ほど、時間短縮が可能になります。■このように、効率よく組み立てられるように設計するためには、構成する部品の改善を考える必要があります。事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COMまとめ現在、様々な企業で、コストダウンや時間短縮に向けたVA・VEの取り組みがなされていることがわかりました。機械やシステムがますます発達する今日ですが、これからも現場の技術者達が生み出す工夫や改良に注目していきたいですね。

  • TIG(ティグ)溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

    TIG(ティグ)溶接は、高性能・高品質、かつ美麗な仕上がりが得られるアーク溶接法の一つです。また、導電性を持つ金属ならばほぼ適用可能で、鉄鋼やステンレス鋼のほか、アルミニウム合金やマグネシウム合金なども溶接することができます。しかし、アーク溶接には、被覆アーク溶接やマグ溶接、ミグ溶接などの多様な溶接法があるため、TIG(ティグ)溶接が他の溶接法とどのように異なり、優れているのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回の記事では、TIG(ティグ)溶接の詳細や原理、また特徴について説明していきます。また、実際のTIG(ティグ)溶接の方法・工程を動画と併せて解説していきますので、溶接をご依頼するときの参考にしてください。TIG(ティグ)溶接とはTIG(ティグ)溶接は、Tungsten Inert Gas(タングステン不活性ガス)溶接を略したもので、アーク溶接法の一種です。そのアーク溶接法の中でも、タングステンを電極に用いた非溶極式に分類され、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスでシールドしながら、必要に応じて溶加材を溶かし込んで溶接する方式です。アーク溶接溶接には、融接、圧接、ろう接の3種類の方法があります。これらの方法は、以下のように被溶接材料(母材)を接合しますが、TIG(ティグ)溶接は融接による溶接法の一つです。溶接の種類●融接…熱で母材を溶かし、必要に応じて溶かした溶加材を加え、凝固させて接合●圧接…圧力を母材に加えて接合●ろう接…母材を溶かすことなく、溶加材のみを溶かし、溶加材を接着剤のように用いて母材を接合融接による溶接法は、母材を溶かす手段により、ガス溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接に分けられます。TIG(ティグ)溶接は、これらの溶接法の中のアーク溶接にあたります。融接の種類●ガス溶接…可燃性ガスを燃焼させることで発生する熱で母材を溶融●アーク溶接…気体中の放電現象に伴って発生する熱で母材を溶融●レーザー溶接…レーザー光を照射することで母材を溶融●電子ビーム溶接…加速した電子を衝突させることで母材を溶融参考:【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説非溶極式アーク溶接アーク溶接は、母材を溶かすと共に、電極を溶かし溶加材としても用いる溶極式と、消耗しない電極を用い、別に溶加材を添加する非溶極式に分けられます。TIG(ティグ)溶接は、非溶極式のアーク溶接法で、融点が3380℃と金属の中で最も高融点のタングステン、もしくはタングステン合金を電極として使用します。なお、タングステンを電極に用いる非溶極式には、プラズマ溶接という溶接法もあります。下図のようにTIG(ティグ)溶接と非常に似通った方法ですが、その違いは、電極をノズルとプラズマガスで包み込むことで、アークが広がらないように絞っていることです。それにより、そのアークは電流密度が高く、熱効率や熱集中性もTIG(ティグ)溶接と比べて高くなります。そのため、精度が高く、速度が早い優れた溶接法と言えるでしょう。ただし、プラズマ溶接は、TIG(ティグ)溶接よりも高コストであるというデメリットがあります。ガスシールドアーク溶接アーク溶接では、アーク放電を安定的に維持する、酸化を防止するなどの目的から溶接部をガスでシールドする場合があり、シールドガスを用いる方式をガスシールドアーク溶接と言います。TIG(ティグ)溶接は、ガスシールドアーク溶接に分類されますが、特にシールドガスに不活性ガスを用いることからイナートガスアーク溶接と呼ばれることもあります。TIG(ティグ)溶接で使用されるシールドガスは、酸素を含まないアルゴン・ヘリウム・アルゴンとヘリウムの混合ガス・アルゴンと水素の混合ガスの4種類に限られています。その理由は、電極に用いるタングステンが高温下で酸化しやすく、千数百℃程度まで融点が低下してしまうことがあるからです。なお、ヘリウムや水素を含んだ混合ガスは、アーク放電の発熱量の上昇による、溶け込み深さの増大や溶接速度の向上を目的として用いられます。しかし、水素含有の混合ガスでは、水素を吸収して強度が低下する水素脆化が生じることがあるため、使用可能なのはオーステナイト系ステンレス鋼とニッケル合金に限られます。交流TIG(ティグ)溶接アルミニウムやマグネシウムをTIG(ティグ)溶接する場合は、アーク放電のクリーニング作用を活かすことができる交流が主に使用されています。TIG(ティグ)溶接では通常、電極が陰極、母材が陽極の正極性で、直流を流して溶接を行います。これは、電子を放出する電極に比べ、電子が衝突する母材側がより加熱されることを理由とします。一方、電極が陽極、母材が陰極の逆極性では、電子が衝突する電極が消耗すると同時に、電子を放出する母材表面の酸化物が還元され、酸化物が取り除かれるクリーニング作用が生じます。逆極性での溶接は、電極の消耗により長時間の溶接ができないという欠点があるものの、酸化膜の融点が2000℃超と高く、正極性での溶接が困難なアルミニウムやマグネシウムなどでは極めて有効です。そこで、アルミニウムやマグネシウムには、クリーニング作用を活かすと共に電極の消耗も抑制した交流TIG(ティグ)溶接が用いられています。TIG(ティグ)溶接の原理次に、TIG(ティグ)溶接の原理を説明していきます。TIG(ティグ)溶接では、電極と母材間に高電圧を加え、高電流を流すことで起こるアーク放電によって生じる熱を利用して溶接します。アーク放電は、電極と母材間の電位差によって不活性ガスの電離が進行し、本来絶縁体である気体が導電性を持つプラズマとなることで起こります。プラズマは、電流路になってアーク放電を保つ役割を果たすとともに、熱を発生して母材や溶加棒を溶かします。細いタングステン電極と母材との間に生じるアーク放電は、電極から母材に向かって拡がるベルのような形状となり、中心部で1万数千℃、外周部でも1万℃程度の高温を示します。このアーク放電の維持には、適切な電圧と電流の供給が必要です。その電圧と電流の関係は不活性ガスがアルゴンの場合、下のグラフのようになり、アークが長いほど必要な電圧は大きくなります。ただし、TIG(ティグ)溶接機は一般に、溶接電流のみが設定可能で、設定された電流を出力するために電圧を自動で増減する定電流特性を備えたものが多いです。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターアーク放電を維持するために必要な電圧と電流は、使用する不活性ガスによっても大きく異なります。例えば、溶接電流を200Aとすると、下のグラフのようにヘリウムではアルゴンの約2倍の電圧が必要です。そのため、ヘリウムを不活性ガスに用いる場合は、溶接機の最大電圧が十分に高いものを選ぶ必要があります。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターTIG(ティグ)溶接では、下図のような装置構成で溶接が行われます。装置構成に見られるように、溶接電源に母材を接続し、通常はトーチの電極を陰極、母材を陽極とします。そして、リモコンボックスやトーチの手元のスイッチで、ガスの供給や電流の入切を操作して溶接を実施します。アーク放電が発生すると、下図のように、母材と溶接する金属、および溶加棒が溶け出して溶融池を形成します。この溶融池が凝固したものがビードとなるので、溶接の性能や品質、仕上がりの美しさは溶融池の状態によって左右されます。引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベースTIG(ティグ)溶接の特徴次は、TIG(ティグ)溶接の特徴について見ていきましょう。融接の特徴まず、TIG(ティグ)溶接は、融接による溶接法の一つであることから、融接に共通した以下の特徴があります。融接の特徴・溶接継手の強度が高い。・気密性や水密性に優れる。・溶接熱で母材の性質が変化することがある。・局所的な加熱と冷却により、変形する、または残留応力が生じることがある。・外観からの溶接品質の確認が困難である。圧接と比べた融接の特徴・溶接継手の構造を簡素化できる。・厚さに制限がほとんどない。●溶接継手について溶接における、2つの母材の接合部分、もしくは接合しようとしている部分を溶接継手といいます。代表的な溶接継手には、以下の突合せ溶接継手、重ね溶接継手、隅肉溶接継手が挙げられます。引用元:株式会社新東アーク溶接の特徴ティグ溶接は、アーク溶接の一つでもあることから、アーク溶接に共通した以下のような特徴があります。アーク溶接の特徴・アーク放電の温度が5000℃以上と高温であるため、高温で割れる金属は溶接できない。・接合する母材が導電体でないと溶接できない。ガス溶接に比べたアーク溶接の特徴・熱集中性に優れるため、溶接精度が高い。・エネルギー密度が大きいため、高融点金属の溶接が可能で、溶接速度も早い。・レーザー溶接や電子ビーム溶接と比べたアーク溶接の特徴・熱集中性に劣るため、溶接精度が低い。・エネルギー密度が小さいため、溶け込みが浅く、溶接速度が遅い。・溶接速度が遅く、溶接範囲が広いため、歪みが発生しやすい。・溶接装置が安価。参考記事レーザー溶接については、以下の記事に詳細がございますので、参考にしてください⇒【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!非溶極式アーク溶接の特徴TIG(ティグ)溶接は、アーク溶接の中でも非溶極式の溶接法ですが、非溶極式であるということから以下のような特徴を持ちます。なお、上の写真は、溶接用のタングステン電極棒です。ティグ溶接の特徴・タングステンの融点は金属中で最も高いので、あらゆる金属の溶接が可能。・溶加材を別途加える必要がある。・電極の溶融を考慮する必要がないため、溶加材の種類や添加量、溶接電流を独立して設定できる。・溶加材の溶融に時間がかかるため、溶接速度が遅い。・長時間の作業が可能。・アーク長を一定に保ちやすい。ガスシールドアーク溶接の特徴TIG(ティグ)溶接はまた、シールドガスを使用するアーク溶接でもあります。そのため、TIG(ティグ)溶接は、ガスシールドアーク溶接に共通する以下のような特徴を持ちます。ガスシールドアーク溶接と共通する特徴・シールドガスを別に用意する必要がある。・風の影響を受けやすいため、防風対策が必要になることがある。・大気の混入によるブローホールやピットの発生を抑制できる。・被覆剤を使用する場合に生じる凝固スラグが発生しない。TIG(ティグ)溶接の特徴TIG(ティグ)溶接は、アーク溶接の他の溶接法と比較して、以下の特徴を持ちます。他の溶接法と比較した特徴・鉄鋼・ステンレス鋼・ニッケル合金・銅合金・アルミニウム合金・チタン合金・マグネシウム合金など、ほとんどの金属を溶接できる。・高品質・高性能の溶接継手が得られ、ビードの外観にも優れる。・広範囲の電流域で溶接に適したアーク放電が得られる。・溶接姿勢の制約が少ない。・溶融池が安定しているため、その挙動を明瞭に観察できる。・有害な溶接ヒューム(溶融金属の蒸気)の発生が少ない。・火花が出ないため、スパッタの発生がほとんどない。・静音性に優れる。・手動溶接では、同時にトーチと溶加棒を操作しなければならず、熟練と技量が要求される。・不活性ガスやタングステンが比較的高価なため、溶接経費がやや高い。溶接姿勢について引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベース溶接姿勢は、溶接する際の作業者と溶接部の位置関係を指す言葉です。溶接姿勢には、上図に見られるような、下向、立向上進、立向下進、上向、横向の5つの姿勢があります。これらの溶接姿勢は、溶融池に作用する重力の方向を変えるため、溶接速度や溶け込み深さ、ビード形状などに下表のような影響を与えます。引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センターTIG(ティグ)溶接のメリット・デメリットTIG(ティグ)溶接は、初心者でも扱いやすい溶接方法であるため、個人がDIYや趣味などで溶接する時やプロが鉄工所で細かい溶接をする時など、幅広い用途に活用されています。そんなTIG(ティグ)溶接のメリットとデメリットを見てみましょう。メリットTIG(ティグ)溶接の主なメリットは次のようなことです。TIG(ティグ)溶接のメリット①溶接する金属を選ばない②耐食性や靭性に優れた溶接で強度を高める③溶接の品質が良い④溶接部の仕上がりがきれい⑤共付け(ナメ付け)が可能⑥火花が出ては困る環境下での溶接が可能⑦作業音が静か①溶接する金属を選ばないTIG(ティグ)溶接は、金属の中で最も融点の高いタングステンを電極としているため、炭素鋼・ステンレス鋼・低合金鋼などの鉄系金属からニッケル合金・銅合金・アルミニウム合金・チタン合金・マグネシウム合金などの非鉄系金属まで、工業用で使用されるほとんどの金属の溶接が可能です。②耐食性や靭性に優れた溶接で強度を高めるTIG(ティグ)溶接は、溶接部を保護するシールドガスにより、耐食性や靭性に優れた溶接が可能なので、強度を高めることができます。③溶接の品質が良い不活性ガスを使用して溶接するTIG(ティグ)溶接は、溶けた金属(スラグ)や金属粒がパチパチ跳ねるスパッタや金属表面の穴やくぼみ(ピット)ができにくい溶接方法です。そのため、溶接後に溶接部のスラグ清掃やスパッタ除去の手間が必要ない美しい仕上がりが見込めます。溶接肉も少ないので、薄板・複雑な形状の溶接など、精密な溶接も質が良くできます。TIG(ティグ)溶接は、シールドガスで溶接部を保護し、空気をシャットアウトしながら溶接するため、金属表面が酸化しにくくスラグも発生せず、不純物の混入も少なくなるので、溶接部位の欠陥が起きにくくなります。ですからTIG(ティグ)溶接は、RT検査・PT検査・MT検査などの検査の合格率も高く、品質の良い溶接法なのです。④溶接部の仕上がりがきれい電極が解けないため母材の溶接部の視野がきちんと確保でき、複雑な形状でもよく見て溶接することができます。また、溶接速度が遅いため、初心者でもゆっくり丁寧に溶接作業ができるので、溶接部が滑らかで光沢がある美しい仕上がりになります。⑤共付け(ナメ付け)が可能ナメ付けとも呼ばれる共付けとは、溶加棒(溶接棒・フィラーワイヤともいう)を使用せずに母材同士を直接接合する溶接のことで、TIG(ティグ)溶接ならではの溶接法です。共付けする場合、溶接部には余分な溶接肉が付かず、母材同士の馴染みも良い仕上がりになります。ステンレスの薄板などを接合するのに適しています。⑥火花が出ては困る環境下での溶接が可能スラグ・火花などが出てはいけない環境下でも、火花が出ないTIG(ティグ)溶接法なら溶接することができます。例えば原子力発電所や繊維工場など、火花で火災や事故などが起きやすい環境下での溶接に、TIG(ティグ)溶接は向いています。⑦作業音が静か火花を散らさず溶接できるため、他の溶接方法より作業中の騒音が極めて少なく、作業への集中力を高めるのはもちろん、周りへの迷惑も少なくなります。デメリットメリットが多いと思われるTIG(ティグ)溶接にも、当然デメリットがあります。TIG(ティグ)溶接のデメリット①風の影響を受けやすい②溶接速度が遅い③ランニングコストがかかる④作業者の熟練度で仕上がりが左右される⑤保護メガネが必要(電気性眼炎予防)①風の影響を受けやすいTIG(ティグ)溶接は、溶接部位をシールドガスで覆う必要がありますが、シールドガスは風が吹くと飛んでしまうため、屋外の溶接には向いていないといえます。屋外でTIG(ティグ)溶接を行う場合は、風除けをするなどの溶接環境を養生する、アルゴン流量を増やす、大溶量ガスレンズに変えるなどの対策が必要になり、コストや手間、作業時間がかさみます。②溶接速度が遅いTIG(ティグ)溶接は、溶接速度が他の溶接法より遅いため、溶接作業に時間がかかり、大量生産や短時間での溶接には向かない溶接法です。作業効率を上げるためには、対策として電流を上げる方法しかありません。作業効率を優先したい場合は、半自動溶接や被覆アーク溶接に変更する方が良いでしょう。③ランニングコストがかかるタングステンの電極は消耗が少ないので溶接を長時間連続してできますが、シールドガスに使用する不活性ガス(アルゴンガスやヘリウムガスなど)が高価なため、ランニングコストがかかるのがデメリットです。シールドガスの流量を適切にすることや、シールドガスの仕入れ値を交渉するくらいで、根本的な解決は難しくなります。④作業者の熟練度で仕上がりが左右される手作業で細かく精密な溶接を美しく仕上げるためには、技術の習得が必要になります。ローリング・浮かし・溶加棒の送り方などの技術を身に着けなければなりません。しかも、シールドガスが高価なため練習を重ねにくく、習得に個人差が出ることもあり、作業者の熟練度の違いで仕上がりの美観が違ってきます。⑤保護メガネが必要(電気性眼炎予防)TIG(ティグ)溶接は、火花などは発生しませんが、強い光が発生します。この光が直接目に入ると角膜や網膜へダメージを与えるため、角膜炎症・白内障・網膜損傷などを招く危険性があります。電気性眼炎などを防ぐためにも、保護メガネなどを着用する必要があります。TIG(ティグ)溶接はどういう製品に向いているかTIG(ティグ)溶接は、他の溶接方法では難しいとされるステンレスやアルミの母材を溶接する時に向いている方法です。火花やスパッタがないためクリアな視界で溶接でき、美しい仕上がりが実現できますので、什器など複雑な形状や細かい溶接、また仕上がりの美観を重視する製品の溶接に適しているといえます。しかしTIG(ティグ)溶接は、他の溶接方法に比べ溶接速度が遅いため、作業効率から考えると、溶接箇所があまり多くない製品作製に用いることをおすすめします。つまりTIG(ティグ)溶接は、作業効率より美観重視の溶接方法ということになります。他にも、ステンレスの薄物同士の接合や、溶加棒を使用しない共付け(ナメ付け)にも、TIG(ティグ)溶接がおすすめです。●TIG(ティグ) 溶接に向いている製品例・バイクや車の部品・パイプ類の接合・船の部品の接合・小物製作・ステンレスやアルミの材質の接合・溶接部の美観が重要な製品の接合TIG(ティグ)溶接の方法、工程を動画で解説引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオそれでは、TIG(ティグ)溶接は実際にどのように行うのか、上のアルミニウムのTIG(ティグ)溶接の動画を参考に解説していきます。動画では、厚さ2mmの1000系アルミ板を、初めに溶加棒なしで、次に溶加棒ありで溶接しています。また、溶接継手の構造は板金を並べる形の突合せ溶接継手、溶接姿勢は下向姿勢で溶接しています。TIG(ティグ)溶接の準備溶接するにあたって、まず以下の道具を用意し、正常に使用できるか確認しておく必要があります。用意する道具・ティグ溶接機・タングステン電極・溶加棒・シールドガス・遮光マスク・革製などの溶接用手袋・難燃性の防護服特に、タングステン電極はグラインダなどで先端の形状を整える必要がありますが、動画にあるように、アルミ溶接の場合は先端を鈍角に研磨して使用します。また、アルミ溶接では、溶接前に母材の脱脂が必要なことも注意してください。TIG(ティグ)溶接の実工程溶接の実作業では、まず2枚のアルミ板を接合する並びにそろえ、両端を仮付けします。このとき、電極を材料から2mm程度離してアークを発生させます。なお、溶極式のアーク溶接では、電極を接触させてアークを発生させる接触法が用いられますが、非溶極式では、電極が消耗するため、電極を材料に接触させないようにしましょう。●溶加棒なし次に、仮付けしたアルミ板を溶接していきます。溶接は、トーチを45°程度傾け、溶融池が電極前にちょうど見える位の速度で行っていきます。溶加棒を用いない場合の仕上がりは、ビードがへこんでおらず、かつ裏側まで溶けている状態であれば良い品質であると言えるでしょう。●溶加棒あり溶加棒ありの溶接にあたり、利き腕が右の場合は、溶加棒を左にトーチを右に持ち、右から左へと溶接します。溶接方法は溶加棒なしと同様ですが、溶加棒はアークに触れるとはじかれてしまうので、溶融池に横から差し込みながら溶接していきます。溶加棒を用いた場合の仕上がりは、ビードの盛り上がり高さが均一で、溶加棒なしと同様に裏側まで溶けている状態であれば良い品質と言えます。TIG(ティグ)溶接の製品事例製品事例①引用元:株式会社大畠製作所アルミを交流TIG(ティグ)溶接した製品事例のアルミ製ハンドルです。油分や細かな傷等をスコッチブライトで仕上げられています。製品事例②引用元:モリヤス・アイアンワークスチタンをTIG(ティグ)溶接したバイクのマフラーの製品事例です。精密に角度切りしたパイプを共付け(ナメ付け)し、なめらかで光沢のある美しい溶接面に仕上げられています。向かって左のステー部は強度が必要なため、溶加棒を使用し接合していますので溶接ビードがあります。TIG(ティグ)溶接は、金属中で最も高融点のタングステンを電極に用い、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスで覆いながら溶接する方式のアーク溶接法の一つです。TIG(ティグ)溶接は、アーク放電で発生する熱によって金属を溶かし、溶融した金属を凝固させることで溶接します。そのようなアーク溶接法の原理を利用していますが、タングステン電極や不活性ガスを用いることから、多様な金属の溶接が可能で、溶接欠陥の少ない溶接法となっています。一方、TIG(ティグ)溶接は、素材や溶接形状によって溶接方法を多様に変えることが必要な溶接法でもあります。そのため、溶接可能な素材や形状、また仕上がりは、メーカーに大きく異なります。Mitsuriでしたら、日本全国に協力工場が350社以上あるため、TIG(ティグ)溶接を専門とするメーカーをご紹介できます。TIG(ティグ)溶接でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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    穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!

    価格が安くなるねじ切り図面の書き方についてはこちら!価格が安くなるねじ切り指示の書き方を解説しています!20〜30%ほどの低減につながる可能性がございますのでぜひご覧ください!5分ほどで視聴可能です!YouTubeにて、金属加工Mitsuriチャンネル運営中!こちらからご覧ください!機械加工における穴開け加工の方法には、タップ加工やリーマー加工といった方法があります。特に穴開け加工はドリルを用いて削る、開けるといった方法が一般的ですが、さまざまな方法があり、製品の素材や用途によってどの方法を採用すべきかが異なります。この記事では、機械加工における穴開け加工の中でも、一般的な金属物質にも使いやすいタップ加工やリーマー加工について詳しく解説していきます。主な加工事例についてもご紹介しますので、穴開け加工の方法でお悩みの方は最後まで読んでみてください。機械加工における穴開け加工とはタップ加工とはタップ加工は、穴開け加工などによって開けられた穴(下穴)にめねじ(ねじが入る筋)を切る加工のことです。外周にらせん状の溝があり、切れ刃が付いているタップというねじ状の工具を使って行われます。一般的には、ボール盤などの機械にタップを取り付けて加工を行うことが多いですが、タップハンドルを使った手作業での穴開け加工も増えています。●タップ加工の手順タップ加工の準備として、以下の点を事前に確認しましょう。確認ポイント・加工ワーク(タップハンドルなどタップを固定する部材)を確実にクランプ(緩まないよう固定)しておく・加工対象と下穴径に合ったタップを選ぶ・適切な切削速度に設定する・用途に合った切削油を用意する一般的なタップ加工の手順は次のとおりです。タップ加工の手順①適切な大きさ、深さの下穴を開ける②切削油を塗る③タップをゆっくりと時計回りに挿入して、ねじを切る●タップ加工で使用する切削油切削油は、使用する機械で推奨されている種類、素材に適したオイル含有率などで選びます。切削油の種類鉱物油ベース:タップ加工で最も一般的、切削特性と安定性に優れ、機械に負担をかけない合成切削油:安定性に優れているが機械への負担が高くなりやすい準合成切削油:切削特性に優れ、幅広い被削材のあらゆる種類の加工に推奨植物ベースオイル:タップ加工用エマルジョンの中で最も切削特性が高いストレートオイル:タップ加工において最適な切削条件の安定性の高いエマルジョンで、旋盤や小型部品機械で使われる●タップ加工でのクーラント供給クーラント(機械や部材を冷却する液体)の供給は、タップ加工において重要なポイントです。クーラントを使うことで、切りくず排出、ねじの品質や使用している工具の寿命など広く影響を及ぼします。クーラントの供給方法として、長い切りくずが出るような深穴などのタップ加工に適した内部給油、その他の一般的な加工に使われる外部給油があります。●タップの下穴サイズタップ加工において、タップ加工サイズと、開いている下穴の直径との関係から必要なサイズを用意することになります。下穴の直径は、ねじの外径からピッチを引いた直径前後と見ておけば問題ありません。あくまでも目安程度ですが、下記表を参考にしてください。※ステンレス鋼など削りにくい材料の場合は、標準よりもやや大きい下穴だとやりやすいでしょう。引用元:NMRI●タップの種類下穴の形状や切りくずへの対処法によってタップの種類を選びますが、次の4種類が代表的です。①ハンドタップ:切り屑をタップ本体自体に抱え込む、止まり穴・通り穴両方に使用②ポイントタップ:切り屑を前方に排出する、通り穴に使用③スパイラルタップ:切り屑を後方に排出する、主に止まり穴に使用④ロールタップ:切り屑が出ない方法、止まり穴用・通り穴用が別々各種類ごとの切りくずの排出方法の違いは、以下のようになります。引用元:sanvik(左から、ハンドタップ、ポイントタップ、スパイラルタップ、ロールタップ)それぞれの方法に適した素材は、以下の表をご参照ください。<材料別タップ選定の目安>引用元:モノタロウ(◎:最適、○:使用可能、△:やや問題あり、×:不適)リーマー加工とはリーマー加工は、ドリルなどによってあらかじめ開けられた穴の内径を、リーマー(リーマ)と呼ばれる棒状の部材を通すことで、所定の穴寸法に広げながら、滑らかな面できれいな円の穴を作る作業を指します。基本的には、穴の内径寸法や面の粗さ、真円度といった精度が要求されるごく小さな穴開け加工に多く使われる加工で、精度の高い施工ができる機械技術と熟練した操作が要求されます。機械を使ったリーマー加工では、複数の加工ステップをひとつのリーマー工具を使ってまとめることにより、加工時間と手間を短縮することができます。●機械によるリーマー加工現在はボール盤(木材や金属に穴を開ける、穴を堀る工作機械)を使ったリーマー加工が一般的です。注意点として、ボール盤使用時には主軸、チャック、スリーブなどの振れやガタつき、ゴミが挟まっていないか、加工対象物の下穴の口が、水平になっているかどうかを確認してから施工しましょう。●リーマー加工の手順準備として、次の点をチェックしましょう。チェックポイント・対象物がしっかりクランプして固定されている・貫通穴の場合、切りくずが排出できるスペースを確保している・薄い部材をリーマー加工する場合、クランプの力が部品全体に均一にかかる一般的なリーマー加工の手順は、以下のとおりです。リーマー加工の手順①リーマー加工用の切削油を準備する②リーマーの位置をセットする③ゆっくり圧をかけながらリーマーを挿入し、抜く●リーマー加工の切削油リーマー加工用では、加工対象物とリーマー自体が直接擦れるため、潤滑油の役割を果たす切削油が仕上がりを左右します。切削油を使うことで、切りくず排出のサポートや、工具自体の寿命を伸ばすことに貢献できます。材質、加工条件によって異なる油剤を選ぶことが推奨されています。基本的には油性(不水溶性)の切削油が使われ、深穴や止まり穴(突き抜けずに止まる穴)の場合は、クーラントスルー(内部給油)方式と呼ばれる方法を用いると、加工部の切削油不足を防げます。水溶性切削油を使う場合は、エマルジョンタイプ(水で希釈すると乳白色の液となるタイプ)のものを濃度20%以上で使用するのがおすすめです。●リーマー加工の下穴リーマー加工では、先に開けられている下穴に合わせて加工が行われるため、適確な寸法の取りしろを設ける必要があります。この取りしろが少ないと、仕上げ面が十分に綺麗になりにくく、反対に多すぎると切りくずが溝につまるなどして加工しにくくなってしまうからです。下穴の取りしろおよその目安は次の表の通りです。(リーマーの種類や工作物の材質によって異なるので注意)<リーマの取りしろ目安>引用元:モノタロウ●リーマー加工における注意点角度のある面でのリーマー加工では、入り口角度は5度以下にし、振れ(取り付けたリーマー自体の揺れ)はできる限り小さくしましょう。リーマーと下穴のオフセットは最低限まで小さく抑えておくと、びびり(ビリビリと音を出しながら震える状態)を防げます。リーマー加工はあくまでの穴を少し広げながら整える加工であり、下穴自体の中心のズレ、真直度(対象物の垂直方向の軸との狂い)を修正することはできません。下穴の真直度は0.05mm(0.02インチ)以下が推奨されています。穴開け加工事例機械加工の穴開け加工事例を複数ご紹介していきます。タップ加工例引用元:ポン押し卒業265引用元:ポン押し卒業265スパイラルタップによる施工例引用元:有限会社茂木製作所M4サイズ0.7タップ加工(2ヶ所)リーマー加工例引用元:城陽富士加工株式会社炭素鋼(S50C、硬度HRC53)プレートへの高精度穴加工(中央部三連穴の右)引用元:旋盤市場止まり穴用のマシンリーマー加工まとめ機械加工での穴開け加工は、部材の形状や用途、下穴の状態などにより、適切な加工方法を用いることが重要です。タップ加工やリーマー加工などで穴開け加工を検討している場合に、ぜひ参考にしてください。Mitsuriは、日本全国に所在する140社以上の協力企業から、穴開け加工を得意とする製作所や工場をご案内できます。お客様のご要望、条件に合わせて最適な業者をご照会致します。穴開け加工をご検討の際には、ぜひ一度Mitsuriにご相談下さい!

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    アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる!

    家庭用品や機械部品にも使用されているアルミ。一円玉やアルミ缶の他にも、装飾品や建築材料など様々な製品に加工をすることができます。生活の中で見ることの多いアルミですが、その種類までご存じでしょうか?アルミにも様々な種類があり、特徴も異なっています。その特徴を理解しておくことで、アルミ製品を買うときや加工メーカーに依頼する際にも非常に役に立ちます。そこで、今回はアルミの種類について詳しくご紹介させて頂きます。「アルミって種類があるの?」と思っている方は勿論、これからアルミ加工を依頼しようとしている方にも、参考になる記事なので、是非ご一読して頂きたいと思います。アルミの番手とは日々、生活を支えてくれるアルミですが、切削加工などで使用されるアルミ材料のほとんどは、純度100%ではありません。純度100%で使用されないのは、アルミの性質に関係しています。アルミは、軽く、さびにくいという性質を持っている半面、柔らかく傷つきやすい金属です。そのため、アルミのみで加工してしまうと、強度が不十分になってしまいます。強度を上げつつも、アルミの特性を活かした製品を作るには、別の金属類の特性を付与する必要があります。一般的には、マンガンや銅、ニッケルなどの性質を組み合わせています。アルミの番手は、そんなアルミに異なる性質を付与した物を種類別に表したものになります。アルミの番手はアルミの頭文字である「A」の後に4桁の数字で表します。アルミ材の種類とその使用例アルミの種類は主に1000番手系~7000番手までに分類されており、1000桁台の数字が変わる度に特徴が大きく変わっていきます。今回はその特徴と使用例をご紹介します。1000番手系1000番手系のアルミは純アルミのことを表します。アルミの純度が99%以上の為、耐食性もや熱伝導率、導電性に優れています。しかしその半面で強度が低く、粘り気もある為、加工すると傷がついてしまったりするので扱いに注意が必要です。また、下二桁はアルミの純度を表してます。例えばA1100は、99パーセント以上の純度を表しており、A1050は、99.5%の純度を表しています。1000番手系のアルミは、主に、強度がそれほど必要ではない部材や部品、家庭用品や電気器具などに使われます。2000番手系2000番手系のアルミは、ジュラルミンと呼ばれている番手です。アルミに銅を多く含有することで、高い強度を持っています。しかし、銅の特性上、酸化しやすいため、一般的なアルミよりも耐食性は低いです。その為、ジュラルミンを加工する際は、アルマイト処理などの表面処理を行うことをおすすめします。そうすることで耐食性をあげることが可能です。また、アルミは溶接をするのが難しい金属ですが、このジュラルミンは通常のアルミ以上に溶接が難しく、すぐに溶接割れを起こしてしまいます。その為、溶接加工にはあまり向いていない素材です。またA2024のアルミニウムは、超ジュラルミンとも言われています。使用方法としては、機械などの部品のほかにも、ジュラルミンケースといった衝撃に強いケースとして使用されることが多いです。3000番手系3000番手系のアルミは、純アルミニウムにマンガンを含有することで、強度を上げつつ、耐食性を向上させたものです。この番手で代表的なものは、A3003といったアルミがあります。一般的に切削加工の材料として使用することはあまりありませんが、アルミ缶の材料はこの3000番手系が多く使われています。アルミ缶のほかにも屋根材、パネル等の建築材、電球口金など、様々なものに使われています。4000番手系4000番手系のアルミは、シリコンが含有されているアルミニウムです。アルミの特性だけでなく、シリコンの特性を活かし、耐熱耐性と耐磨耗性を付与することが可能です。また他のアルミニウムと比較すると融点が低いため、ろう材や溶接溶加材として利用できます。代表的なものに、A4032というアルミニウムがありますが、3000番手系と同じく、切削加工にはあまり向いていません。しかし、熱膨張が少ない為、鍛造ピストン等にも使用されています。5000番手系5000番手系のアルミは、マグネシウムを含有したものです。マグネシウムの特性を付与することによって、耐食性と強度を上げることが可能です。また、加工しやすいため、アルミニウムを材料とした切削加工には最適です。その為、切削材料としては最もメジャーな素材といえます。代表的なものはA5052という板材が挙げられます。使用例としては、主に船舶や車輌などの強度を求められる物に使用されています。6000番手系6000番手系のアルミは、シリコンとマグネシウムの両方が加えられています。5000番手系のアルミニウムと比較しても耐食性や強度が優れています。また6000番手系には、熱を加えることで、さらに硬化する物もあります。しかし、溶接等に弱く、アルミのメリットである熱伝導率の関係で、溶接箇所以外にも熱が広がってしまい、周辺部位まで強度低下が起きてしまうことがあります。その為、ボルトやナット、リベットなどの機械的な接合が用いられることの多い材料です。表面処理を施すことで、陽極酸化皮膜が得られるという特徴もあるため、主に建築用サッシなどの構造材に使用されることが多いです。7000番手系7000番手系のアルミには、亜鉛とマグネシウムが加えられています。熱処理をすることで強度が上がり、全アルミニウムの中で最硬度になります。また、非常に折り曲げや引っ張りに対して強い性質を持っています。さらに、アルマイト処理することで、様々な性質を付与することができます。7000番手系の代表的としてA7075が挙げられます。このアルミは、超々ジュラルミンと言われており、2000番手系のアルミを遥かにしのぐ硬度を持っています。耐久性を必要とするようなものに使用され、車や飛行機の部品やスポーツ用品、そしてスマートフォンの筐体などに加工されています。よく使われるアルミ材の種類説明したようにアルミ材にはたくさんの種類があります。ここでは、身の回りで、また金属加工でよく使われているアルミ材について説明していきます。A1050純アルミに分類されるA1050は、アルミ材の中でも耐食性が高く、導電性に優れることから送配電用の材料として用いられています。電気伝導率は銅より低いものの、軽量かつ低コストなため、銅の代替材料として電線の置き換えが進んでいます。アルミ純度99.6%以上のA1060と99.7%以上のA1070も導電材として広く用いられています。A1N30A1N30は、優れた展延性や耐食性を示すことから、薄箔用材料に用いられている材料です。食品用のアルミ箔はもちろん、薬品や日用品のほか、コンデンサの材料として使用されています。なお、A1N30のNは、日本独自の合金であることを表す記号です。A2017(ジュラルミン)銅系アルミニウム合金のA2017は、熱処理によって高強度化することが可能な上、切削加工性に優れるため、金属加工で広く用いられているアルミ材です。航空機や自動車の構造部材、機械部品などに使われています。A3004マンガン系アルミニウム合金のA3004は、A3003にマグネシウムを1%程度添加することで強度を増した合金です。耐食性が高く、プレス加工性に優れていることから、アルミ缶のボディ材に使われています。A5052マグネシウム系アルミニウム合金のA5052は、金属加工の材料として最もよく使われているアルミ材です。板金加工にも向いており、板状のアルミ合金では、最も流通量が多い材料です。A5182A5182は、マグネシウムの添加量が多く、5000番手系の中でも高い強度を持つアルミ材です。アルミ缶の蓋材に使われていることで有名な合金です。A6061    マグネシウム-ケイ素系アルミニウム合金のA6061は、熱処理によって高強度化が可能で、押出成形に向いていることから金属加工で広く用いられているアルミ材です。車両や機械の部品、建材や各種構造部材などに用いられています。A6063A6063は、アルミサッシの材料として知られているアルミ材です。A6061より強度は低いですが、押し出し性はより優れているため、複雑な形状に成形することができます。まとめ今回はアルミの種類についてご紹介させて頂きました。アルミにも様々な種類があり、どれも特徴や性質が微妙に異なります。アルミ製品を購入する際や、アルミ加工の依頼をする前には、何の用途で使用するかを考えてから、アルミの種類を選ぶことをおすすめします。この記事を読んで、今までアルミの種類について知らなかった方や、知っていても疑問が残っていた方々に、少しでもお役に立てれば幸いです。また、アルミ加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な素材の選択に加えて、アルミ加工の得意な工場のご紹介も可能です。アルミのことでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

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    【愛知で金属加工を依頼するなら!】腕利きの金属加工メーカー5選!

    「加工業者ってどうやって探せばいいのか分からない・・・」「加工業者に頼むなら、出来るだけ経費を抑えてたのみたい・・・」「加工業者と長くお付き合いできるか心配・・・」加工業者を選ぶときに、そう考えてしまい迷う方も多いですよね。新しい依頼先や初めて加工業者を選ぶからこそ、加工業者を慎重に吟味してから決めたいというは、どの会社の方々も当然だと思います。今回は、そんな“慎重に決めたいが、迷ってしまっている”という、お悩みをお持ちの方や、これから金属加工業者をみつけようとしてる方にも是非ご一読頂きたい記事となっております。また、それ以外にも「愛知県にはどんな加工業者がいるんだろう。」と興味がある方にも、おすすめできる記事となっています。【ワンストップ製作】株式会社竹野入工業引用元:株式会社竹野入工業基本情報本社:愛知県名古屋市西区十方町100番地TEL:052-618-6633設立:2011年1月加工: 各種金属機械加工 各種専用機械製作素材:鉄鋼、ステンレスHP:http://www.takenoiri.com/about/①会社紹介株式会社竹野工業は、ご注文から完成までの全工程を行うことができる“ワンストップ製作”が特徴の金属加工業です。また、愛知県の近隣の近隣周辺地域の協力工場との連携やネットワークを駆使することで、部品製造の材料手配から始まる全ての処理、完成品に至るまでを素早く対応することができます。②特徴株式会社竹野工業の強みは、注文から完成まで全て自社で一貫して行っているワンストップ制作です。一括して制作しているからこそ、素早く対応でき、完成までの時間が短縮できるのは、とても大きなメリットです。ただ、一貫して自社で行っている故に、何かトラブルが起きれば全体に影響し、完成まで支障が起きるかもしれない点はデメリットといえます。③製品例商品C8 商品A8商品Y7【精密機械部品なら】株式会社よしいけ工業所引用元:株式会社よしいけ工業基本情報本社:愛知県一宮市東五城字出先3-6TEL:0586-61-6367FAX:0586-61-4349設立:1977年3月4日加工: ・マシニング加工(細穴ドリルタップ)・NC旋盤加工・ワイヤーカット・金属加工・リニアウェイ素材:アルミ・鉄・炭素鋼・真鍮・ステンレス等HP:http://www.yoshiike-kk.co.jp/①会社紹介株式会社よしいけ工業は、創業が昭和48年という昔からの金属加工会社です。アルミ・鉄・炭素鋼・真鍮・ステンレスなどの一般材から難削材まで幅広く対応が可能なうえに、切削・研削・NC旋盤・マシニング加工などで、材料調達から製品完成までを行っているので、幅広い対応が可能となっています。また、マシニング加工の細穴ドリル・タップによる加工技術は他社よりも優れています。②特徴株式会社吉池工業の強みは、多くの素材を扱ってることや、材料調達から完成品までを一括で行っていることです。さらに、治具制作はすべて自社制作しており、他社よりもオリジナリティが溢れる物となっています。ただ、少数精鋭で仕事をしているので、大量発注などは時間が掛ってしまうと思われます。③製品例材料:鉄、NC旋盤加工機械部品(リニアローラウェイ)マシニング加工(細穴加工)オリジナル治具カセット【切削加工部品なら】株式会社古屋工業所引用元:株式会社古屋工業所基本情報本社:愛知県豊明市栄町新左山1-753TEL:0562-96-2188FAX:0562-96-2187設立:1964年4月20日加工: NC施盤による切削加工 ・マシニングセンターによるフライス加工素材:鉄、鋼、銅、チタン、アルミ、ステンレスHP:https://www.furuya-ko.co.jp/①会社紹介株式会社古谷工業所は、マシニングセンター加工や複合NC旋盤加工による、高い加工精度が要求される超精密切削加工を得意とする会社です。超精密切削加工の技術は他社に負けないという自信と実績を持っています。また、生産体制もマシンを24時間稼働できるような生産体制も整えており、短納期でコストパフォーマンスのある製品作りに努めています。②特徴超精密切削加工を得意とする会社である故に、他社ではできない加工などもできるだけでなく、多種少量の部品もを加工してきた経験もある為、幅広い部品の加工ができる会社になっております。ただ、切削加工を中心として仕事をしているので、注文から完成までを一括で依頼することはできません。③製品例ディーゼルターボエンジン部品 SUJ2ディーゼルターボエンジン部品    SCH22ミッション部品(軽トラック用)【難加工品なら】知立機工株式会社引用元:知立機工株式会社基本情報本社:愛知県豊田市高丘新町春日88番地1TEL:0565-54-1551FAX:0565‐54‐1550設立:1970年加工:マニシング加工・ワイヤー加工・組付加工素材:鉄・非鉄等HP:http://www.chiryukikou.co.jp/①会社紹介知立機工株式会社は、難加工品を得意とする金属加工会社です。精密機器部品の全加工を請け負っており、単品加工・一品加工・多品種単品等とどんなに難しい加工でも図面通りに作ることができます。また、オリジナルの製品も扱っており、コスト面でも気を配っています。②特徴精密機器部品の全加工を請け負っていることで、素早い納品が可能となっております。また、機械加工の難しい、難加工の品も請け負っているので、加工できないものは少ないです。ただ、精密機械加工を請け負っているので、その他の製品加工などの依頼は難しいです。③製品例プレス部品ワーク押え部品プレス部品【住宅建築金物なら】株式会社アイチ金属引用元:株式会社アイチ金属基本情報本社:愛知県名古屋市北区五反田町77                         TEL:052-909-5600FAX:052-909-5610設立:1993年10月29日加工:板金加工・組子加工・ヴェロメタル加工素材:鉄・ステンレス等HP:https://www.aichi-metal.co.jp/①会社紹介株式会社アイチ金属は、住宅建築金物加工に特化した金属加工会社です。階段・サッシ・門扉等の金物などをオーダーメイド製作することが可能です。さらに、材料の仕入れから下処理、金属加工から塗装仕上げまでも自社工場で一貫して仕上げるているので、より質の高い製品を仕上げることができます。見積までは無料でしてくれるので、興味のある方は是非一度、頼んでみると良いでしょう。②特徴お客様の要望を聞くだけでなく、イメージされる参考写真まで考慮してくれるため、よりイメージに近いデザインにすることが可能です。さらに、仕入れから一貫して仕上げてくれる為、質の高い製品を作り上げることができます。また、他社にはない特殊メタルコーティングを施した製品も販売しているので、よりオリジナリティのある製品も発注できます。ただ、オーダーメイドの為、大量発注等には向いていません。③製品例オーダーメイド円形サッシデザイン階段門扉愛知で金属加工メーカーの一括見積もりを依頼するなら【Mitsuri】今回は、愛知県でおすすめの金属加工会社を5選、ご紹介しました。金属加工と一言で言っても、多種多様な分野があります。そして、どのメーカーにも、得意なことと不得意なことがあります。「比較するのが大変そう・・・」と感じているあなたは、ぜひMitsuriを利用してみませんか?Mitsuriでは、企業さまからの発注・見積もりにも対応しています。日本全国各地、どこからでもご相談可能です。下の赤いボタンをクリックしてお問い合わせください。

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    削除対象 spccの加工ならMitsuri!【1コ〜の依頼もOK】全国100社を超える工場から一括見積もり!

    SPCCとは何か。材料なのか機械なのか、知らない方からしたら工業に関する特殊な何かということしか分からないかもしれません。もしかしたら、説明されても専門的で小難しい内容ばかりでさっぱりということも。ですがご安心を。この記事ではSPCCの特徴や性質について分かりやすく解説いたします。そもそもSPCCとは、実は特殊でも何でもないどこにでもある金属のことだったりするんですよ。見積もり依頼をする(無料)SPCCとはSPCCとは、時計やカメラ、自動車などの材料になっている一般的な鉄素材のことを言います。肩透かしを受けたように感じるかもしれませんが、要は普通の鉄のことですね。主に曲げ加工やプレス加工をする際に使われます。SPCCは鉄なのでとても錆びやすい材質で、加工後は塗装やメッキ処理などの表面処理が必須となります。加工をしたままでもつるつるした綺麗な仕上がりになりますが、表面処理をすることでさらに綺麗な表面になり、そして錆びにくくなります。それらの要素からSPCCはミガキ材や冷圧材、コールドなどと呼ばれることもあります。SPCCと他の鉄規格との違いSPCCは加工しやすい素材ですが、その分他の鉄に比べて柔らかいので強度はそこそこです。値段の方は高くもなく低くもなくといったところ。よく使われる金属だけあって購入しやすく扱いやすい感じですね。SPCCと似たような素材にSPHCやSS400といった金属がありますが、それぞれ材質や適した加工の方法が異なり、用途も少しずつ違います。以下、よく使用される鉄素材の特徴を大まかに示した図になります。引用元:キャディ株式会社強度、価格、サビにくさ(耐食性)については、弊社で詳しくご紹介している記事がありますので、こちらをご参考ください。どんなSPCC加工を依頼できるのか切断金属を二つに分断する製品製作の最初の工程です。設計図をもとに寸法をチェックし、図面通りに切断して一つ一つの部品に仕上げていきます。SPCCはやわらかい成形性を持っており加工性がよいので、いろいろな形状に仕上げることができて非常に用途が多い素材です。切断方法にも様々あり、主にフライスやレーザー、プレスなどを使った方法があります。曲げ文字通り金属を曲げて加工する方法です。手作業で曲げることもありますが、だいたいはプレス機を使って曲げます。曲げる形状はV字やU字、L字やZ字など様々。鉄を曲げるだけなので理屈としては簡単な加工方法ですが、曲げ部分の角度や圧縮や引っ張りのひずみのコントロールが難しいため、機械設計には精密さが必要になります。特にSPCCは鋼板によって規格値のばらつきが大きいので、より綿密な設計が不可欠です。溶接溶接加工とは金属を溶かして他の金属と接合する加工のことです。溶かすには金属に高熱を与えて融解させる方法をとりますが、火で加熱するほか、電気を流したりレーザーの光で溶かす手段もあります。SPCCは溶接性がよい金属ですが、同じ鉄鋼材料であるSS400やSPHCの方が溶接には向いています。後処理金属は加工した後「バリ」や「カエリ」を除去する作業が必須になります。バリとは加工後の金属の淵にできる出っ張りのことで、カエリとは加工後の金属の表面にできる出っ張りのことです。バリやカエリはそのままにしておくと手に引っかけたりしてケガの危険があり、見た目的にも美しくならないので削って綺麗にします。また、加工した製品に塗装や錆防止のコーティングを行うことを表面処理と言います。先にも書きましたが、SPCCは特に錆やすい性質を持つので錆防止は必須になります。錆防止により完全に錆びなくなるわけではありませんが、錆びにくくすることで金属の寿命を延ばして製品として長持ちさせるのです。見積もり依頼をする(無料)SPCC加工実績 引用元:キャディ株式会社(サイズ 500×200×250 アイボリー塗装,溶接,金具)引用元:キャディ株式会社(サイズ 900×200×2100 溶接,白塗装)引用元:キャディ株式会社(サイズ 848 ×1104 ×480)引用元:キャディ株式会社(サイズ 180 ×145 ×95 V曲げ,オレンジ塗装,溶接,金具)SPCC加工を依頼するなら【アルミ加工のMitsuri】 SPCCという小難しそうな用語でしたが、ふたを開けてみると意外と簡潔な解説だったのではないでしょうか。4つのアルファベットが羅列していてどうにも聞き慣れなれない単語ではあるものの、材料としてはどこにでもありふれて使われている金属、それがSPCCです。この記事を読むことでみなさまの金属加工に対する知識が少しでも増えていればと思います。そしてもしお仕事の依頼をしたいという方がいたら、どんなことでもお気軽にMitsuriまでご相談ください。個人から・小ロット・全国どこでもお受けいたします。まずは下のリンクから無料で見積もりがとれるので是非試してみてください。見積もり依頼をする(無料)

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    初心者から分かる!板金加工におけるVA・VEの取り組みとは?

    板金加工業においても、製品を商品として売り出すにあたり、コストや品質向上の課題はつきものです。そんな中で、現在様々な企業でVA・VEの取り組みが行われています。本記事では、「そもそもVA・VEって何?」という方にもわかるVA・VEの概要と、取り組みの事例をご紹介します。VA・VEとは?“ VA”とは、“ Value Analysis”(価値分析)を示します。価値(V)=機能・品質(F)/コスト(C)で表され、品質を向上もしくは維持しながらコストを抑えることによって、製品の価値を最大化することを目的とした取り組みです。VAと併用してよく使用される言葉“VE”は、“Value Engineering”を意味し、基本的に同義として使われていますが、設計検討段階から価値の最大化を考える“VE”に対して、量産化している既存製品についてバリューチェーン全体の視野からコストダウンを行うものを“VA”として区別する場合もあります。板金加工のコストを決める要因どの企業も、少しでもコストを削減して製造したいと考えるものですが、板金加工のコストはどのような要因に左右されるのでしょうか。大きく分けると、①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立て、の四つが要因として挙げられます。①イニシャルコスト一般的な曲げや溶接などでは、イニシャルコストはあまりかかりませんが、例えば絞り加工を行う際などは、金型を必要とします。簡易金型を採用できるよう設計することで、金型にかかるイニシャルコストを抑えることができます。②材料材料に関しては、加工に使用して残った部分が廃棄され、無駄なロスが生じています。コストを抑えるコツとしては、定尺という決まった板の寸法を考慮することで無駄を抑えることができます。③加工方法曲げ・溶接などの加工方法では、板厚や施工によって曲げ限界に違いがあったり、溶接しづらい構造や溶接後の仕上げが必要な構造で設計を行うと、溶接加工に時間がかかるなど、コストアップに繋がってしまいます。④組み立て最終的な組み立て作業で、図面上では成立していても実際の現場ではスパナを回すことができない、または部材同士が緩衝して組み立てられないなどの事象が発生することもあります。以上のような要因に対処していくには、設計者が部材の加工方法をしっかりと知った上で図面を書くことが必要です。加工を知らないと、結果として段取りが多く、歩留まりの悪い加工方法を強いる図面になってしまい、コストアップ・オーバースペックを招いてしまうのです。VA・VEの実行手順引用元:株式会社産業革新研究所次に、VA・VEを実行する手順について説明していきます。①対象の選定まずは、対象(品物)が何なのかを選択します。②機能の定義次に、技術情報、コスト情報、要求事項、品質情報、法的制約などの情報を収集し、その品物の機能は何かを定義します。同時に、定義した機能の関連性を図示し、機能の整理も行っていきます。③機能の評価次に、定義した機能について、コスト分析などを行い評価をします。④改善案の提案さらに改善案を練り、新規アイデアの発想・評価を行います。出来上がった改善案については、TRIZ(発明的問題解決理論)、チェックリスト法、ブレインストーミングなどの方法を用いてさらに具体化し、提案書の作成を行います。以下は、チェックリストの項目例ですが、会社の業種や製品、作業内容で変わってくるので、自社に合ったチェックリストを作ることをおすすめします。チェックリスト項目の例□そのものの使用によって価値が高められるか□その品物の原価と用途がつり合っているか□そのものの形状全部が必要であるか□使用目的に適ったものが他にないか□もっと低原価な作業方法で機能的な部品が作れないか□もっと有用な標準あるいは、部外供給業者の標準がないか□使用される数量を考慮に入れた妥当な工具、設備で生産されているか□合理的な資材費、労務費、間接費および利潤は適切か□もっと安く供給する信頼できる業者はないか□それをもっと安く買っている会社はないか⑤実施とフォローアップ作成した提案書に従って実行し、随時フォローアップを行います。⑥実施状況の評価実施した後には、次につながるよう全体の評価を行います。VA・VEの取り組み事例VA・VEの取り組みとして、コスト要因である①イニシャルコスト②材料③加工方法④組み立てに着目しながら事例をご紹介します。①イニシャルコストに対する取り組み【Before】プレス金型を用いて行う絞り加工は、通常の方法では、板厚や絞り深さ、高さを気にすることなく設計することができます。しかし、金型は製作期間が長い上、物によっては数百万円もする高価なものまであり、製品原価に大きな影響を与えかねません。【After】このような場合の対処方法として、簡易金型の使用が挙げられます。深く絞ることができない簡易金型ですが、切断・溶接を併せて行うことで、深絞りのような形状を生み出すことが可能になります。■このように、簡易金型に追加工を施すことで、イニシャルコスト低減を図ることができます。事例参考・画像URL:精密板金コストダウン.COM②材料に対する取り組み【Before】一般的に、耐食性が必要な機械部品にはステンレス材料、中でもSUS304が使用されます。しかし、加工の観点で見ると、SUS304は加工性が悪く、機械加工のコストが高くなる傾向があります。【After】同じステンレスでも、材料をSUS304から加工性に優れたSUS303に変更することで、コストを削減することが可能になります。耐食性を重視する場合には、SUS316なども選択肢として検討します。■このように、一口でステンレスとしても、品番によって様々な特性をもっており、加工性・耐食性も異なるため、入念に検討することが必要です。事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COM③加工方法に対する取り組み【Before】TIG溶接を行った後の仕上げ工程では、何度も段階的に細めのディスクで仕上げ研磨作業を行わなければならず、溶接工程以上に研削工程で工数がかかり、コストアップにつながってしまうことがあります。【After】そこで、YAGレーザー溶接を採用することで、溶接ビードが細く、きれいな仕上がりが可能になります。外観上の美しさをそこまで追求しない場合には、溶接焼けの除去だけで済むため、研磨工程を大きく削減することができます。■このように、YAGレーザー溶接に置き替えたことで、溶接後の工程を削減でき、溶接自体のコストが高くても、トータルで見るとコストダウンにつなげることができます。事例参考・画像URL:板金加工コストダウン④組み立てに対する取り組み【Before】機械や装置を組み立てる際、ステンレスやアルミなどのフラットな部品同士をネジやボルトで組み立てるとなると、両方の部品の位置を正確に合わせることが難しくなります。部品が大きくなるほど困難になり、組み立て作業に時間が費やされてしまいます。【After】一方に切り欠きを入れ、位置合わせがしやすいようにすることで、時間が短縮されコストダウンにつながります。大きな機械部品や重い部品ほど、時間短縮が可能になります。■このように、効率よく組み立てられるように設計するためには、構成する部品の改善を考える必要があります。事例参考URL:機械部品・組立コストダウン.COMまとめ現在、様々な企業で、コストダウンや時間短縮に向けたVA・VEの取り組みがなされていることがわかりました。機械やシステムがますます発達する今日ですが、これからも現場の技術者達が生み出す工夫や改良に注目していきたいですね。