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  • 汎用フライス盤とは?種類や長所・短所、構造など詳しくを解説

    今回は汎用フライス盤の種類や構造、特徴などについて解説します。フライス盤は、テーブルにセットしたワークを、主軸に取り付けたフライスやエンドミルにて切削加工を行うための工作機械です。フライスは回転運動、ワークは送り運動をさせることで平面や溝加工を行います。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!汎用フライス盤とは汎用フライス盤とは、フライス盤の操作を手動で行うタイプのことを指します。NCフライス盤に比べて導入コストが少なく済み、簡単な加工であればすぐに行える点がメリットです。ただし、ワークの段取りや機械の操作を手動で行うため、作業者のスキルに影響されやすい特徴があります。汎用フライスの種類と加工用途汎用フライス盤は、主軸の向きによっていくつかの種類に分けられています。立型フライス盤引用元:株式会社イワシタ 1#立フライス盤(ひざ形)立型フライス盤は、主軸が地面に対して垂直かつ下向きのタイプです。市場に出回っているフライス盤の多くが立型のタイプになります。立型フライス盤は、主に立方体のワークなどの平面加工やR面加工に適しています。横型フライス盤引用元:株式会社イワシタ 1#横フライス盤(ひざ形)横型フライス盤は、主軸が地面に対して水平向きのタイプです。主に溝入れや切断加工に適しています。万能フライス盤引用元:有限会社浪速工機 株式会社九州機械センター 万能フライス盤 新潟 2UMD万能フライス盤は、立型と横型フライス盤の基本機能に加えて、テーブルが水平方向に回転したり、主軸が180°回転したりするタイプです。基本的なフライス盤の加工が可能なほか、歯車のような複雑な加工にも対応できます。汎用フライス盤の仕組みと構造引用元:フライス盤.com フライス盤の構造汎用フライスの基本的な構造は上図の通りです。以下で各部分の役割について解説します。主軸頭主軸頭は、切削工具を取り付けて回転させる主軸を備えた部分で、モーターから主軸に動力を伝達する役割を持ちます。コラムコラムは、汎用フライス盤の支柱となる部分で、モーターや送り機構を内蔵しています。サドルサドルは、テーブルを支える台で、ベッドやニーの案内面上を移動します。ベッドベッドは、フライス盤の最下部に位置する部分で、コラムを中心に支える役割を持ちます。ベッドを搭載したフライス盤は、「ベッド型」と呼ばれるタイプで、主軸が上下に動き、テーブルが前後・左右に動きます。ニーニーは、テーブルやサドルを支えている部分で、内部にはサドルやニーを送るためのモーターや駆動ねじを搭載しています。ニーを搭載したフライス盤は、「ヒザ型」と呼ばれるタイプで、主軸は固定されているものの、テーブルが上下・左右・前後に動きます。汎用フライス盤とNCフライス盤の違い汎用フライス盤は、機械の操作を手動で行うタイプです。一方NCフライス盤は、数値制御(NC:Numerical Control)の機能が付与されたフライス盤で、機械の操作をプログラムにて制御できます。NCフライス盤は、汎用フライス盤に比べて導入コストが高く、操作やプログラムの知識を要するものの、高い精度の加工や複雑な加工にも対応できるほか、加工時の作業者の負担が少なくなるのもメリットです。

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    横形マシニングセンタとは?構造、用途、種類を解説

    今回は横形マシニングセンタの構造や種類について解説します。マシニングセンタは、ATC(工具を自動で交換できる機能)を有し、CNC(コンピュータ数値制御)によって、中ぐり・フライス削り・穴あけ・ねじ立てなどの加工を連続で行える機械です。マシニングセンタにはいくつかの種類がありますが、そのなかでも横形マシニングセンタは、主軸が水平方向に向いたタイプで、ワークを側面から加工します。横型マシニングセンタの加工軸は、コラム・サドル・テーブルが可動することで、XYZの3軸に対応します。一部のモデルはテーブルの回転が可能で、計4軸での加工が行えるものもあります。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造横形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの基本的な構造横形マシニングセンタの構造は上図の通りです。以下に横形マシニングセンタの主要構造の役割について解説します。●テーブル:ワークを取り付けるための台。サドル上を図中前後方向に移動します。モデルによってはテーブルが回転するものがあり、ワークをセットし直さなくても多方面の加工が可能です。●ベッド:本体を支えるための土台。テーブルのガイドとなる案内面が加工されていて、サドルが図中左右方向に移動できる仕組みです。●コラム:横形マシニングセンタの支柱となる部品。ボールねじの運動により主軸頭の縦方向の移動に対応します。●サドル:ベッドの上に配置されている部品。ベッドの案内面により左右方向へ移動できます。●主軸頭:主軸や駆動装置などを搭載している部品。●主軸:刃物工具を取り付け、回転運動を与える軸。上記の構造は横形マシニングセンタの基本的な部品になりますが、製造メーカーやモデルによって内容が異なることもあります。横形マシニングセンタの用途引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 自動化の仕組み:APC(オートマチック パレットチェンジャ、自動パレット交換装置)マシニングセンタは、金型や自動車部品の製造など、さまざまな産業にて活用されています。そのなかでも横形マシニングセンタは、自動化に適した構造のため、無人運転や大量生産の用途で用いられることがあります。横形マシニングセンタは、重力により切り屑が落下するので、切削点に切り屑が溜まりにくい特徴があります。この構造は切り屑による切削不良が発生しにくいだけでなく、仕上げ面が傷つくのも防げます。以上の特徴から、立形マシニングセンタよりも横形マシニングセンタのほうがAPC(自動パレット交換装置)を搭載するのに適しており、マシニングセンタの可動率を向上させることができます。参考:パレットチェンジャー(APC)とは?種類と特徴を解説横形マシニングセンタのメリット●高さのあるワークの加工に適している。横形マシニングセンタは、主軸が地面に対して横向きに取り付けられているため、高さのあるワークにも対応しやすい特徴があります。●切り屑が溜まりにくい。横形マシニングセンタは、ワークを横から加工する構造上、切り屑が重力により落下します。これにより切削点に切り屑が溜まりにくく、切り屑によって仕上げ面が傷付くことが少なくなります。●テーブルが水平方向に回転する機種の場合、高い加工精度が得られる。引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 回転軸とは?(右手の法則その2)横形マシニングセンタは、XYZ軸に加えてテーブルの回転軸が加わることで、手作業によるワークの加工面を変更する必要がなくなります。手作業でワークをセットし直す必要がなくなるので、高い加工精度を出すことができます。●APCを搭載することで加工の自動化に対応できる。横形マシニングセンタは、切り屑の排出性に優れているため、APC(自動パレット交換装置)を利用するのに適しています。APCを搭載しているマシニングセンタは、外段取りにてワークの着脱が可能で、パレットを複数台装備すれば長時間の無人運転も可能になります。横形マシニングセンタのデメリット●平面に広いワークの加工には不向き。横型マシニングセンタは、主軸が水平方向であることから、平面に広いワークだと加工しにくいデメリットがあります。●立形マシニングセンタに比べてコストが高い。横形マシニングセンタと立形マシニングセンタを比較すると、横形マシニングセンタのほうが構造が複雑なため、コストが高い傾向にあります。横形マシニングセンタの種類横形マシニングセンタは、主軸のサイズにより、大きく分けて3つのタイプに分類されます。30番30番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、小型なモデルのため、省スペースでの配置が可能です。そのほかにも、高速回転や高速送りが可能で、加工時間の短縮にも寄与します。30番は大量生産に適したライン対応型のマシニングセンタとして利用されていることもあります。40番40番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、中型のモデルで金型の加工に多く採用されています。中ぐり加工に対応できるほか、大径カッターなどによる深穴加工も可能です。50番50番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、大型のモデルで鋳鉄などの大型ワークの重切削にて多く採用されています。また、切り屑の排出性に優れているので、大型金型の長時間加工も得意とします。

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    立形マシニングセンタとは?構造、用途、種類を解説

    今回は立形マシニングセンタの構造や種類などについて解説します。立形マシニングセンタは、主軸が地面に対して縦向きに取り付けられているマシニングセンタのことを指します。基本的な駆動軸はXYZの3軸で、構造や操作感はボール盤や汎用立てフライス盤と似ています。立形マシニングセンタは、フライス・穴あけ・仕上げ加工などの幅広い加工に対応でき、汎用性に優れているほか、省スペースで導入しやすいことから、多くの加工業者に採用されています。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造立形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの基本的な構造立形マシニングセンタの主な構成については上図の通りです。以下に基本的な各部品の役割について解説します。●テーブル:ワークを取り付けるための台。●ベッド:重量物のワークにも対応できる、本体を支えるための台。テーブルのガイドとなる案内面が加工されており、テーブルがY軸方向に移動できる仕組みです。●コラム:立形マシニングセンタの縦方向に伸びている部品。ベッドと統合されており、機器の支柱の役割を持ちます。●サドル:コラムの前面に配置され、ラムと連結している部品。サドルはX軸方向に動作します。サドルを頑丈にすることで、切削時の振動を受け止められます。●ラム:主軸ヘッドをZ軸方向に運動するための部品。●主軸ヘッド:刃物工具を取り付けるための部品。これらの構造は立形マシニングセンタの基本的な部品になりますが、製造メーカーやモデルによっては異なる場合があります。立形マシニングセンタの用途立形マシニングセンタは、金属部品の加工用途として幅広い産業で活用されています。特に自動車産業においては、部品の研削や穴あけ、ボディ部品の金型製造などで活躍します。また、昨今のIoTの拡大により、半導体などの電子部品を精密加工する用途としても多く利用されています。立形マシニングセンタのメリット●図面と切削工具の向きが同じで、加工内容が分かりやすい立形マシニングセンタは、主軸が地面に対して垂直に取り付けられていることから、ワークの上面を加工します。そのため、図面と切削工具の向きが同じで、加工内容が直感的に分かります。●主軸が上下に動く構造のため、切削工具の刃先とワークの距離を把握しやすい立形マシニングセンタは、横形マシニングセンタに比べて、主軸とワークの接近している距離が作業員の目線から判断しやすい特徴があります。●他のマシニングセンタと比べて省スペース立形マシニングセンタは、横形や門形マシニングセンタと比べて本体が小型のため、設置スペースが少なく済みます。立形マシニングセンタのデメリット●切粉が溜まりやすい立形マシニングセンタは、ワークの上面から加工を施すため、切粉が排出されずに溜まりやすい傾向にあります。そのため、圧縮空気や潤滑油剤にて随時取り除く必要があります。もし切粉が溜まったまま加工を続けていると、加工不良の原因となる場合があります。立形マシニングセンタの種類立形マシニングセンタは主軸の規格サイズにより、大きく分けて30番・40番・50番の3種類のタイプがあります。これらは、主軸に差し込むシャンクの大きさのことを表しています。30番30番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、小型ツールを使用しており、セットが簡単に行えます。また、高速回転や高速送りが可能で、加工時間の短縮が期待できます。その他にも、本体がコンパクトで設置スペースが少なく済み、コストも安い傾向にあります。ただしシャンクの保持力に乏しく、パワーを要する重切削には不向きです。40番40番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、中型のサイズでシャンクの保持力と重量のバランスがよく、汎用性に優れたタイプです。金型加工や自動車部品の加工で多く採用されています。50番50番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、大型の機器であることから、シャンクの保持力に優れており、重切削を得意とします。そのため、大型ワークの重切削にて多く採用されています。

  • 門形マシニングセンタとは?構造や特徴、種類を解説

    マシニングセンタとは、ATC(工具を自動で交換できる機能)を有し、CNC(コンピュータ数値制御)によって、中ぐり・フライス削り・穴あけ・ねじ立てなどの加工を連続で行える機械のことを指します。マシニングセンタの一種である門形マシニングセンタは、切削工具を回転させる主軸の部分が、機器の正面から見て門の形で配置されているのが特徴です。今回の記事では、門形マシニングセンタの構造・特徴・種類について見てみましょう。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造門形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:フライス盤.com フライス盤とは? フライス盤の構造門形マシニングセンタは、工具を取り付けて回転運動を与える「主軸」が、地面に対して縦向きに取り付けられており、主軸を支えている構造が門の形をしています。門の部分は、柱である「コラム」と、コラムと主軸を連結している「クロスレール」が主な構成です。クロスレールには固定式や移動式のタイプがあります。引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの構造と種類門形マシニングセンタは、基本的に駆動軸が上図のようにXYZの直線3軸で、テーブルのX軸が門を通り抜けるように動きます。一部のモデルでは、テーブルが動かずにコラムが移動して加工するものもあります。このような構造から、門形マシニングセンタは、テーブルの長さを制限なく長くすることができます。そのため航空機や船舶のような大型の部品を加工するのに適しています。門形マシニングセンタの特徴引用元:OKUMA 高速高品位 5面加工門形マシニングセンタ MCR-S 製品情報門形マシニングセンタは、テーブルの長さに制限がないことから、大型の製品の加工を得意とします。門形構造は、上下左右やねじれなどの荷重に対して優れた剛性を有しており、重切削を行える点もメリットです。また、主軸のヘッドを交換することで5面加工にも対応できます。一方で、他の種類のマシニングセンタと比べて設備が大がかりになるほか、コストがかかる点はデメリットと言えます。門形マシニングセンタの種類門形マシニングセンタは、各部分の動き方によって3つの種類に分けられています。クロスレール固定式引用元:TOYODA 門形マシニングセンタ SB2116 / SB3016 / SB4016クロスレール固定式は、主軸がクロスレール上にて左右に、主軸自身が上下に動き、テーブルはクロスレールと直交方向に動くタイプです。名前の通りクロスレールは固定されています。クロスレール移動式引用元:astamuse ファナック株式会社 平行する2軸の軸制御を行う数値制御装置クロスレール移動式は、クロスレール固定式の動きに加えて、クロスレール自身も上下に動くタイプです。クロスレールの上下移動軸はW軸と呼ばれます。テーブルの動きについてはクロスレール固定式と同じになります。ガントリー式引用元:KOGA GEAR 導入事例 工作機械・周辺機器ガントリー式は、テーブルが固定されており、コラムがテーブルに沿って動くタイプです。クロスレールについては固定式と移動式があります。

  • 研削盤とは?研削盤と研削加工の種類や切削加工との違い

    今回は研削盤の種類や、研削加工と切削加工の違いについて解説します。研削盤は、砥石を使ってワークの表面を削り取り、仕上げを行うための工作機械です。研削盤は、硬度が高いものでも加工が可能かつ、精度が高くて表面をキレイに仕上げられるのが特徴です。研削盤には大きく分けて、大型の機械である「機械研削盤」と、比較的小型の「自由研削盤」の2種類がありますが、今回は機械研削盤について解説していきます。研削盤とは研削盤とは、別名「グラインダー」とも呼ばれるもので、高速で回転する砥石をワークに当てて、表面を削り取ったり、仕上げたりする機械のことを指します。引用元:研削盤・中古機械情報.net 研削盤について砥石は、硬い鉱物質の粒(砥粒)を、結合剤にて固めて作られているほか、切り屑を保持するための気孔を有しています。研削盤では除去加工を行うのに砥石を使っている分、刃物と比べて削り取る量は少ないものの、加工面がキレイに仕上がる特徴があります。また、焼入れを施した硬度の高い金属に対しても、精度の高い加工が可能です。研削盤の種類一口に研削盤といっても、用途や研削の方式によってさまざまな種類があります。ここでは代表的な研削盤の種類について解説します。平面研削盤引用元:NAGASE 加工事例 平面研削平面研削盤は、ワークの平面を研削する工作機械です。一般的に砥石の外周面方向に対してワークを平行に往復運動させて加工する、横軸往復テーブル型が採用されています。そのほかにも、砥石の回転軸方向やテーブルの運動方向の違いにより、横軸回転テーブル型・立軸往復テーブル型・立軸回転テーブル型などに分類されます。円筒研削盤円筒研削盤は、円筒状の外径を研削できる工作機械で、センタレス研削盤に比べて高い精度で加工できます。円筒研削盤には、砥石とワークの運動の関係により、プランジカットとトラバースカットの2種類の研削方法があります。引用元:株式会社酒井鉄工所 円筒研削盤の特徴プランジカットは力が伝わりやすく、能率的な研削が可能です。そのため量産部品の加工に多く採用されています。引用元:株式会社酒井鉄工所 円筒研削盤の特徴トラバースカットは、プランジカットよりも加工後の面粗さが優れており、鏡面加工も対応可能です。主に加工幅が砥石よりも広いワークや、段のないものへの加工に採用されています。内面研削盤内面研削盤は、円筒状の穴の内面を研削するための工作機械です。ものによっては、穴の軸芯と端面との直角度を出すために、端面研削できる場合もあります。内面研削盤は、1つの砥石でさまざまな穴径に対応が可能で、使い勝手が良好です。引用元:株式会社酒井鉄工所 ホーニング盤、穴仕上げのスペシャリスト内面研削盤は、スティック状の砥石を全体的に内径に押し当てて仕上げる工作機械の「ホーニング盤」に比べて、1つの砥石で加工を行うことから、前加工に依存しない点が強みです。また、ホーニング加工では、内径に溝があるものや、軸受けなどのような段差が多いものに対して加工できません。一方で内面研削は、砥石径と機械ストロークで研削できる大きさが決まることから、段形状の研削やテーパー状の研削にも対応が可能です。内面研削盤には、主に普通形とプラネタリ形の2種類があります。引用元:株式会社酒井鉄工所 内面研削盤の特徴と利点普通形は、ワークの穴の中へ砥石を入れて、ワークと砥石を回転させ、砥石の前後の送りにより研削を行います。引用元:株式会社酒井鉄工所 内面研削盤の特徴と利点プラネタリ形は、砥石の軸に遊星運動を与えて研削を行う仕組みです。主にワークが大きい場合やバランスの取りにくいものに対して採用されています。工具研削盤工具研削盤は、特定の工具を研削するための工作機械です。研削する工具の種類によって、以下のような工具研削盤があります。・ドリル研削盤・ホブ研削盤・正面フライス研削盤・超硬バイト研削盤・ブローチ研削盤・シェービングカッタ研削盤・のこ歯研削盤センタレス研削盤引用元:株式会社ミヤサカ工業 センターレス研削加工センタレス研削盤は、円筒状のワークをチャッキングなしで研削できる工作機械で、別名「芯なし研削盤」とも呼ばれています。上図のように、固定されたブレード・回転する研削砥石・調整砥石によりワークを支持して外周を研削します。センタレス研削盤は、ワークの着脱にかかる時間が少なく、生産性に優れています。チャックを用いた研削に比べて取り付けの誤差がなく、一定の精度を保てるのもポイントです。一方で円筒研削に比べてやや精度が落ちるほか、ワークの形状に制限があり、加工が困難になる場合があります。NC研削盤NC研削盤は、NC(数値制御)装置を搭載した研削盤です。あらかじめプログラミングしたデータをもとに自動で加工を行います。成形研削盤成形研削盤は、平面研削盤にドレッサーを搭載した工作機械のことです。ドレッサーとは、砥石などを削って切れ味を修復するための工具のことで、ダイヤモンドなどの高硬度の材料を用いて砥石などを加工します。ジグ研削盤ジグ研削盤は、ジグや抜き型、ゲージなどの穴の内面を加工するための工作機械です。ジグ研削盤の砥石軸には、内面研削盤にて解説したプラネタリ形が採用されています。また、ワークの位置決めや送りを高精度でこなす装置を搭載しており、穴の内径や円弧、直線部分の研削が可能です。研削盤で行える研削加工の種類研削盤で行える加工の種類は、円筒研削・内面研削・平面研削の3つです。円筒研削円筒研削は、円筒状のワークの外周を削る加工です。円筒研削には、回転させたワークに砥石を垂直に押し当てて研削するプランジカットと、ワークを軸方向に動かして研削するトラバースカットがあります。円筒研削は、円筒研削盤やセンタレス研削盤を用いて加工を行います。内面研削内面研削は、円筒状のワークの内面を削る加工です。固定したワークを回転させて、砥石の主軸を動かして内面を研削します。内面研削は、内面研削盤やジグ研削盤を使って加工を行います。平面研削平面研削は、平らな面を削る加工です。ワークの厚みを整えられるほか、精密な平行度を出したい場合に適しています。平面研削は、平面研削盤や成形研削盤を使って加工を行います。参考:平面研削について専門家がご紹介!【平面研磨との違いも解説】研削加工と切削加工の違い研削加工・切削加工は、どちらもワークの不要な部分を削って目的の形状に加工する「除去加工」である点は共通しています。ただし、研削加工と切削加工では、削る方法と何のために削るかの目的に違いがあります。引用元:SAKUSAKU 研削盤とは? 研削盤や研削加工の種類について解説研削加工は、砥石の細かな粒子により表面を少しずつ削り取る除去加工です。切削加工よりも、加工する箇所の寸法精度や表面粗さなどを考慮して加工を行います。引用元:SAKUSAKU 研削盤とは? 研削盤や研削加工の種類について解説一方で切削加工は、目的の箇所をエンドミルやバイトなどの刃物により削る除去加工で、所定の形状を作るために行われます。切削加工だけでもある程度の精度は得られますが、研削加工を行うことで、より高度な寸法精度や表面粗さを得ることができます。参考:除去加工について専門家が解説!【製品事例についても掲載】

  • 中ぐり盤とは?中ぐり盤の種類や、フライスやマシニングセンタとの違い

    今回は中ぐり盤の基礎知識について解説します。中ぐり盤とは、ドリルなどで開けた下穴をより大きくくり広げる加工の「中ぐり」に特化した工作機械のことです。なかには工具を変えればフライス加工や穴あけ加工を行えるものもあります。中ぐり盤は精度の高い穴加工が可能なほか、テーブルにセットできるワークサイズの制限が少ないメリットがあります。中ぐり加工とは引用元:旋盤市場 中ぐり中ぐり加工とは、ドリルなどで開けた下穴に対して、さらに穴を広げるように加工を行うことを指します。中ぐり加工は、ドリルでは加工できないほどの大きい穴や、高い寸法精度、キレイな加工面を要する場合に採用される加工方法です。中ぐり加工は「中ぐりバイト」と呼ばれる刃物を使って、ワークの内径を加工します。中ぐりバイトを主軸とともに回転させながら、ワークまたはバイトに送り運動を与えて、穴をくり広げます。ただし中ぐり加工は、穴の内部に切り屑が溜まりやすいほか、深穴を加工する際や薄肉の中ぐりの場合は刃物がびびりやすいので注意が必要です。中ぐり盤とは中ぐり盤とは、中ぐり加工に特化した工作機械のことを指します。中ぐり盤は、主軸の向きや機能によって、横中ぐり盤・立中ぐり盤・ジグ中ぐり盤・NC中ぐり盤といった、さまざまな種類があります。機器によってはフライス削りの機構を備えたものもあります。中ぐり盤の歴史は古く、1722年には大砲の砲身を削るためのものが利用されていました。1760年には、イギリスの技術者であるジョン・スミートンが大気圧機関のシリンダーを削るための中ぐり盤を発明していますが、高い精度が出せないお粗末なものだったとされています。それから1774年に、イギリスの工場主であり発明家であったジョン・ウィルキンソンにより精度の高い中ぐり盤が発明されました。「もし、ウィルキンソンが現れなかったら、ワットは蒸気機関を完成できなかっただろう。」と言われるほど、ウィルキンソンの発明した中ぐり盤は歴史に貢献したそうです。参考:機械の発明発見物語 十章 機械をつくる機械の発明 《工作機械》中ぐり盤の種類ここでは、横中ぐり盤・立中ぐり盤・ジグ中ぐり盤・NC中ぐり盤の特徴を見てみましょう。横中ぐり盤引用元:ウエノテックス株式会社 保有設備横中ぐり盤は、切削工具の回転軸である主軸が、水平方向に配置された中ぐり盤のことを指します。中ぐり盤のなかでも最もポピュラーなタイプです。後述する立中ぐり盤に比べて切り屑の排出性に優れており、深穴や大きな穴を加工するのに適しています。なかにはフライス盤と兼用で使える「横中ぐりフライス盤」もあります。立中ぐり盤引用元:芦部産業株式会社 設備紹介立中ぐり盤は、主軸が地面から垂直方向に配置されている中ぐり盤です。主軸の重量によるたわみが少なく、安定した精度で加工を行えるのがメリットです。門型かつ大型の工作機械が多いタイプのため、ワークのサイズが大きい加工に適しています。ただし貫通穴の加工でない場合、切り屑の排出性に乏しい点はデメリットです。ジグ中ぐり盤引用元:株式会社日立テクノロジーアンドサービスジグ中ぐり盤は、精密な位置決めを実現した装置を搭載しており、横中ぐり盤や立中ぐり盤に比べて、より高い精度で穴の位置と寸法を出せるタイプです。もとはジグ(治具)の穴あけ用途で採用されていた中ぐり盤であることから、ジグ中ぐり盤やジグボーラーと呼ばれています。主軸の向きによって、横型と立型の2種類に分かれています。NC中ぐり盤引用元:株式会社CMC NC中ぐり盤(フライス)NC中ぐり盤は、中ぐり盤にNC(数値制御)機能を搭載したものです。あらかじめ加工内容をプログラミングしておくと自動で加工を行えるため、作業の効率化や省人化が期待できます。マシニングセンタ、フライス盤との違い中ぐり盤は、中ぐり加工に特化した加工を行えるのに対して、マシニングセンタは自動工具交換装置を搭載しているので、フライス加工・穴あけ・ねじ立てなど、さまざまな加工を連続して行えます。中ぐり盤は工具を変えることで、フライス加工や穴あけにも対応できるものもありますが、マシニングセンタのような多様な加工には適していません。しかし中ぐり盤は、マシニングセンタに比べてテーブルにセットできるワークの制限が少ないことから、サイズの大きなワークの加工がしやすいメリットがあります。フライス盤は名前の通り、フライス加工に適した工作機械です。NCフライスでは3軸の加工制御が可能で、曲面などの切削にも対応できます。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!

  • パレットチェンジャー(APC)とは?種類と特徴を解説

    今回は工作機械に搭載するパレットチェンジャーについて解説します。パレットチェンジャーを搭載した工作機械は、外段取りによる工作物の着脱が可能です。外段取りとは、工作機械の機外で行う段取り作業のことで、加工中でも工作機械を停止せずに段取りを行えます。このためパレットチェンジャーを利用することで、工作機械の稼働率を向上させられます。また、機外による工作物のセッティングは、作業がしやすくなるのもポイントです。パレットチェンジャーとは?引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 2-2 自動化の仕組み:APC(オートマチック パレットチェンジャ、自動パレット交換装置)パレットチェンジャーとは、マシニングセンタなどの工作機械に搭載している、ツールや工具の自動交換機能のことです。別名でAPC(Automatic pallet Changer)や、自動パレット交換装置などとも呼ばれています。パレットチェンジャーは、工作物をセットしたパレットを、工作機械本体の位置に搬送したり、加工機から搬出したりできます。上図はパレットチェンジャーを利用している参考図を示しています。パレットチェンジャーの機能により、工作物を加工中に、別のパレットの工作物のセッティングや取り外しが行えるようになります。このことから、工作物の段取りにかかる時間を短縮でき、作業効率が向上します。機外で工作物をセッティングできるため、広いスペースで作業できるというメリットもあります。工作物をパレットへセットするには、基本的に人手を必要としますが、機器によっては自動搬送台車で行うものもあります。パレットチェンジャーは基本的に油圧を駆動力にしているものが多いですが、小型の場合はサーボモータを採用しているものもあります。サーボモータは油圧に比べてスムーズに交換できるほか、作動油が不要のため環境に優しいメリットがあります。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説パレットチェンジャーの種類と特徴一口にパレットチェンジャーといっても、工作機械などの種類によってさまざまなタイプがあります。ここでは、各種類の特徴について解説します。ループタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 ループタイプ10面APC装置ループタイプは、横型マシニングセンタで多く採用されているパレットチェンジャーです。パレット数を多く搭載しているモデルは、その分だけ工作物をセットできるため、長時間の自動運転が可能になります。シャトルタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 シャトルタイプAPC装置シャトルタイプは、立型マシニングセンタや門型の大型工作機械などの幅広いタイプに適応するパレットチェンジャーです。パレットチェンジャー側でパレットが移動することから、工作機械側のテーブルが動かなくてもパレット交換が可能です。インデックスタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 インデックスタイプAPC装置インデックスタイプは、放射状に配置された段取りステーションや待機ステーションと、中央に配置された交換ステーションによって構成されたパレットチェンジャーです。段取りステーションに旋回機能があり、工作物のセッティングが容易に行えるように設計されています。デュアルタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 重量ワーク対応 APC装置デュアルタイプは、比較的大きなパレットサイズや、重たいワークを載せるパレットに適したパレットチェンジャーです。メーカーによってはシャトルタイプと同等のモデルになりますが、上図で掲載しているエイ・テイ・シイ株式会社のデュアルタイプは、搬入出の機構のみで、シャトルタイプと比べるとシンプルな構造になっています。ターンタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 大型4面ターンタイプAPC装置ターンタイプは、一般的に4面のパレットの場合に採用されているパレットチェンジャーです。パレットが4面よりも多い場合はループタイプになります。ターンタイプは、4つのパレットが同時に旋回する仕組みのため、セットする工作物が重たいものに対しては不向きです。一方で他のタイプに比べて設置面積が省スペースになることと、コストが少なく製作できるメリットがあります。ラインタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 パレットストッカー(ラインタイプ)ラインタイプは、上図のようにストッカを直線状に配置し、本機テーブルとの間に配置した交換台車により、パレット交換を行うタイプです。ラインタイプは拡張性に優れており、生産規模に合わせてストッカ数の増設が可能です。スイングタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 スイングタイプAPC装置(パレットチェンジャー)スイングタイプは2枚のパレットを同時にリフトアップして回転する仕組みのパレットチェンジャーです。パレットの交換時間が早い特徴がありますが、積載荷重が大きくなると設計が困難なほか、スイングタイプのメリットを活かせなくなってしまいます。セパレートタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 大型2面パレット交換装置セパレートタイプは、2面のパレットを本機のテーブルに対して各々交換するパレットチェンジャーです。パレットはX軸両エンドに並べて配置され、各パレット専用に設けた搬入出装置によりテーブルの受け渡しを行います。

  • ツールプリセッタとは?種類と導入のメリットを解説

    今回はツールプリセッタの種類や導入のメリットについて解説します。ツールプリセッタは、工具の刃径や突出し量などの調整を、工作機械上ではなく、機外で行える測定機器です。ツールプリセッタを使用すると、一部の工程を削減できるため、段取り時間を大幅に短縮できます。ツールプリセッタとは?引用元:共立精機株式会社 ツールプリセッタ AMⅢ-5030ツールプリセッタとは、切削工具を意味する「tool:ツール」と、事前にセットするという意味の「preset:プリセット」が組み合わさっているように、加工に必要な工具の径や突出し長さを、工作機械の機外で測定する機器のことを指します。NC工作機械やマシニングセンタでは、加工の際にとある地点から設定した地点までを移動するようプログラムを設定します。このとき、同じ設定のまま工具の径や突出し長さが変化すると、その分だけ得られる寸法に変化が生じます。特に高い寸法精度が求められるボーリング加工のような場合は、細かい調整が必要です。ツールプリセッタなしだと、工具の調整やテストカットなどを繰り返し行わなければなりません。このような場合、ツールプリセッタを利用することで、事前に工具径などを調整しておくことができ、高精度の加工を効率よく行えるようになります。ツールプリセッタの種類ツールプリセッタは、大きく分けて非接触カメラタイプ・非接触投影機タイプ・接触タイプの3種類があります。非接触カメラタイプ非接触カメラタイプは、光源から映し出される刃物の影をカメラで読み込み、モニターへ映し出して測定するタイプです。非接触カメラタイプは、刃径・高さ・角度・Rなどが個人差なくスピーディーに測定できる点がメリットで、カメラ機能を使って刃先の状態を確認することもできます。非接触投影機タイプ非接触投影機タイプは、ハロゲンランプの光源から刃物の影を投影して測定するタイプです。XとZ軸のクロスヘアに合わせて、刃径や高さの数値を測定します。クロスヘアを回転させれば、角度の測定も可能です。ただし、見る角度や位置などによっては個人差が出る場合があり、精密な測定には向きません。接触タイプ接触タイプは、非接触カメラや非接触投影機タイプのような光源はなく、刃物を直接測定子に当てて刃径や高さの数値を測定します。接触タイプは、測定子に直接触れる測定のため、高い精度が得られます。ただし、ダイヤルゲージの合わせ方によって個人差が出てしまう点に注意が必要です。また、角度の測定は不可能なほか、鋭利な超硬の刃先やダイヤモンド工具の測定では、測定子の接触により欠けが生じてしまうこともあります。ツールプリセッタを導入するメリットツールプリセッタを使用すると、工具径や突出し量の外段取りが可能になり、結果的に機械の稼働率の向上が期待できます。仮にツールプリセッタを使用しない場合、テストカット・加工後の寸法測定・工具径などの微調整を、目的の寸法が出るまで繰り返し行うことになります。繰り返し加工や調整を行うと、その分の手間が増えるだけでなく、次第に工具のチップも摩耗してしまいます。ツールプリセッタは、テストカットや工具径などの微調整をする手間が省けるので、加工に費やす時間が大幅に短縮されるほか、工具の寿命を縮めることもなくなり、コストの削減に繫がります。また、機上での工具調整は危険が伴うものですが、ツールプリセッタでは機外で工具調整を行えるので、安全性も向上します。

  • 複合加工機とは?種類やメリット・デメリット、ターニングセンタとの違い

    複合加工機は、NC(数値制御)工作機械の一種で、ワークを取り替えることなく、複数の加工が可能です。NC工作機械には、マシニングセンタやターニングセンタなどもありますが、これらと複合加工機は何が違うのでしょうか。そこで今回は、複合加工機とマシニングセンタなどの違いについて解説します。また、複合加工機のメリット・デメリット、複合加工機の種類についても併せてご紹介します。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!複合加工機とは引用元:DMG MORI NTX 3000 2nd Generation複合加工機とは、工具の自動交換機能を備え、なおかつワークの段取り替えなしに、フライス削りや旋削、穴あけなどの加工を行えるNC(数値制御)工作機械のことです。汎用フライスや汎用旋盤などと違い、あらかじめプログラムで加工工程を指示する必要がありますが、複数の工程を同時かつ自動で行えます。また、コンピュータ制御で切削工具とワークを3次元で移動・回転させられることから、複雑な形状の加工にも対応します。参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造参考として、JISに記載されている複合加工機の定義を以下に記載します。複合加工機:回転工具主軸、連続割出し可能な工作主軸、及び工具マガジンを備え、工具を自動的に交換する機能をもち、工作物の段取り替えなしに、旋削、フライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ切り、ホブ加工などの複数の加工が行える数値制御工作機械。引用元:JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語複合加工機のメリットとデメリットメリット●生産性の向上複合加工機は、プログラミングにて加工の指令を出す必要があるものの、ワークを一度取り付けたあとは、自動で複数の加工を行えます。従来の汎用フライスや汎用旋盤は、工具の取り替えやワークの移動を人の手で行う必要があり、手間がかかります。複合加工機を利用すれば、複数の加工を自動で行う、または作業の手間を省くことができるため、生産性の向上が期待できます。●管理コストや人件費の削減複数の工作機械を所有していると、そのぶんの維持コストがかかってしまいます。しかし複合加工機であれば、複数の工作機械を1台に集約できることから、管理コストを削減できます。また、工作機械が少ないということは、機械を使用する人員や作業時間も少なく済み、人件費の削減に繫がります。●加工精度と品質の向上従来の工作機械では、人の技術や経験の差により、製品の仕上がりに違いがでてしまいます。しかし複合加工機なら、複数の加工・工具の取り替え・ワークの移動などといった作業を機械が自動で行うため、安定して高い加工精度が得られます。●安全性に優れている複合加工機は、ワークの移動や刃物の交換を機械が自動で行います。人の手でワークや刃物を触れる機会が少なくなることから、作業に伴う事故のリスクを軽減できます。デメリット●導入するのに高いコストがかかる複合加工機は本体の費用が高価なほか、ソフトウェアやNC制御装置といった周辺設備などの導入コストもかかります。●プログラミングや加工の知識を要する複合加工機は、コンピュータ数値制御にて加工を行う工作機械のため、汎用工作機械の知識に加えて、プログラミングの知識が求められます。また、ミーリングやターニングなどの複数の加工を行えるぶん、それぞれの加工の知識も必要です。複合加工機の種類ごとの特徴ターニングセンタベース複合加工機引用元:DMG MORI ターニングセンタ:ターニングセンタ:NLX NLX 6000 | 1000ターニングセンタベース複合加工機は、NC旋盤をベースにマシニングセンタの機能を付与した工作機械のことです。NC旋盤をベースに作られているので、円筒状のワークに対して加工を行うのに適しています。ターニングだけでなく、同時にミーリングなども自動で行えるため、段取り替えの手間なく加工できます。マシニングセンタベース複合加工機引用元:株式会社松浦機械製作所 マツウラのモノづくり 平成モノづくり30年史マシニングセンタベース複合加工機は、マシニングセンタをベースにNC旋盤の機能を付与した工作機械のことです。回転する工具を3次元に動かして、テーブルに固定してあるワークを加工します。また、テーブルに回転機構を備えることにより、ターニングにも対応が可能です。マシニングセンタベース複合加工機は、ターニングセンタベース複合加工機に比べて、テーブルが大きく、加工範囲も広いことから、大きいサイズのワークを加工するのに適しています。小型の複合加工機引用元:榎本工業株式会社 カスタム加工機ナビ 超小型6軸複合加工機 CVN-6000複合加工機は、コンパクトな生産ライン向けの小型タイプもあります。通常の複合加工機と同様に、旋盤の旋削加工とフライス盤の切削加工、自動工具交換機能を搭載しています。小型タイプは、必要設置面積が少なく済むのがポイントです。ただし、対応できるワークのサイズが小さくなる傾向にあります。マシニングセンタやターニングセンタ、5軸加工機との違い複合加工機は、NC旋盤とマシニングセンタの機能を組み合わせたものの総称です。そのため、マシニングセンタ・ターニングセンタ・5軸加工機とは似た機能を有しています。マシニングセンタは、自動工具交換機能を有しており、穴あけやフライス削りなどの切削加工を1台で行える機械です。また、XYZの3軸加工に対応するマシニングセンタに、回転と傾斜の2軸を加えたものを5軸加工機と呼びます。一方、複合加工機は、フライス削りなどのほかにも旋削や研削などのさまざまな加工にも対応が可能です。ターニングセンタは、NC旋盤をベースとしたものに、マシニングセンタの機能を付与した工作機械を表しているため、複合加工機の1種と言えます。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:ターニングセンタとは?できる加工やメリット・デメリット

  • ターニングセンタとは?できる加工やメリット・デメリット

    今回はターニングセンタが対応できる加工やメリット・デメリットなどについて解説します。ターニングセンタとは、NC旋盤の機能をベースとしたものに、マシニングセンタの機能も付与した工作機械のことです。昨今では複雑な製品形状や高い寸法精度、工程の短縮化、コストの削減などが求められるため、段取り替えの手間が少なく、自動で複数の加工を行えるターニングセンタのニーズが高まっています。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造ターニングセンタとは引用元:タカハシキカイ MICROSTAR LD1 精密NCターニングセンタターニングセンタとは、NC旋盤をベースとしたものに、マシニングセンタの機能も付与した工作機械のことで、別名「CNC(Computer Numerical Control)旋盤」や「旋盤形複合加工機」などとも呼ばれています。ターニングセンタは自動で工具を交換できる機能も備えており、1回ワークを取り付けるだけで、複数の加工が可能です。ターニングセンタは、NC旋盤をベースに作られているため、円筒状の加工を得意とします。旋削加工だけでなく、同時にミーリングなども自動で行うため、段取り替えの手間がかかりません。なお、ターニングセンタは、JIS規格で以下のように定義されています。ターニングセンタ:回転工具主軸、割出し可能な工作主軸、及びタレット又は工具マガジンを備え、加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。注記1:心押し台、第2刃物第、第2主軸台などを備えた機械がある。注記2:機械の構造によって、主軸が水平の横型、垂直の立て形、及び立て形とは主軸の向きが上下逆の倒立形がある。引用元:JIS B 0105:2021 工作機械―名称に関する用語ターニングセンタでできる加工ターニングセンタは、主である旋盤加工に加えて、フライス加工や穴開け加工、中ぐり加工にも対応が可能です。旋盤加工は、回転させたワークに刃物を押し当てて削り出す加工を指します。一方、フライス加工は、固定したワークに回転させた刃物を当てて切削を行う加工方法です。中ぐりは小径の穴を繰り広げて大径の穴に加工することを指します。参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!ターニングセンタのメリット・デメリットメリット●管理コストや人件費の削減複数の工作機械を所有していると、そのぶんの維持コストがかかってしまいますが、ターニングセンタは複数の工作機械で行う加工を1台に集約できるため、管理にかかるコストが削減できます。また、工作機械が少ないということは、機械を使用する作業員も少なく済み、人件費の削減に繫がります。●工程の簡素化と生産性の向上ターニングセンタは、複数の工作機械を使ってワークのセット・加工・取り外しといった工程を繰り返し行う必要がなく、一度ですべての工程を行えるため、工程の簡素化が可能です。工程が少ない分、生産性の向上にも繫がります。●安定して高品質の製品を製造できるターニングセンタは、一度ワークを固定すれば、すべての加工を自動で行えます。ワークを加工ごとにセットし直す必要がなくなることから、ワークの位置ずれを防止できます。また、人の手で作業を行わずに機械で加工を行うため、加工精度が安定し、安定して優れた品質の製品を製造できます。●安全性に優れているターニングセンタは、ワークの移動や刃物の交換を機械が自動で行うため、作業に伴う事故のリスクを軽減できます。デメリット●導入に高いコストがかかるターニングセンタは複数の加工を一度で行える一方で、機械加工を行えるようになるまでにソフトウェアやNC制御装置といった周辺設備などの導入も必要です。そのため、1台あたりのコストが大きくかかる傾向にあります。●プログラミングの知識を要するターニングセンタは、コンピュータ数値制御にて加工を行う工作機械のため、汎用工作機械の知識に加えて、プログラミングの知識が必要不可欠です。マシニングセンタや旋盤との違いターニングセンタは旋盤加工がベースであるのに対し、マシニングセンタはフライス加工をベースとしたNC工作機械です。マシニングセンタは、固定したワークに対して回転させた刃物を3次元的に当てて加工を行うのがメインです。マシニングセンタは、テーブルの回転も行える5軸制御を行えるタイプも普及しており、複雑な加工にも対応します。一方ターニングセンタは、回転させたワークに刃物を当てて加工を行う旋盤加工がメインです。汎用旋盤との違いは、コンピュータ数値制御により自動で加工を行えるため、精度が高くて複雑な加工にも対応できる点です。また、ターニングセンタはフライス加工や穴開けなどの複数の加工に対応できるほか、自動工具交換機能も備えているので、工具交換の手間も省けます。

  • 汎用フライス盤とは?種類や長所・短所、構造など詳しくを解説

    今回は汎用フライス盤の種類や構造、特徴などについて解説します。フライス盤は、テーブルにセットしたワークを、主軸に取り付けたフライスやエンドミルにて切削加工を行うための工作機械です。フライスは回転運動、ワークは送り運動をさせることで平面や溝加工を行います。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!汎用フライス盤とは汎用フライス盤とは、フライス盤の操作を手動で行うタイプのことを指します。NCフライス盤に比べて導入コストが少なく済み、簡単な加工であればすぐに行える点がメリットです。ただし、ワークの段取りや機械の操作を手動で行うため、作業者のスキルに影響されやすい特徴があります。汎用フライスの種類と加工用途汎用フライス盤は、主軸の向きによっていくつかの種類に分けられています。立型フライス盤引用元:株式会社イワシタ 1#立フライス盤(ひざ形)立型フライス盤は、主軸が地面に対して垂直かつ下向きのタイプです。市場に出回っているフライス盤の多くが立型のタイプになります。立型フライス盤は、主に立方体のワークなどの平面加工やR面加工に適しています。横型フライス盤引用元:株式会社イワシタ 1#横フライス盤(ひざ形)横型フライス盤は、主軸が地面に対して水平向きのタイプです。主に溝入れや切断加工に適しています。万能フライス盤引用元:有限会社浪速工機 株式会社九州機械センター 万能フライス盤 新潟 2UMD万能フライス盤は、立型と横型フライス盤の基本機能に加えて、テーブルが水平方向に回転したり、主軸が180°回転したりするタイプです。基本的なフライス盤の加工が可能なほか、歯車のような複雑な加工にも対応できます。汎用フライス盤の仕組みと構造引用元:フライス盤.com フライス盤の構造汎用フライスの基本的な構造は上図の通りです。以下で各部分の役割について解説します。主軸頭主軸頭は、切削工具を取り付けて回転させる主軸を備えた部分で、モーターから主軸に動力を伝達する役割を持ちます。コラムコラムは、汎用フライス盤の支柱となる部分で、モーターや送り機構を内蔵しています。サドルサドルは、テーブルを支える台で、ベッドやニーの案内面上を移動します。ベッドベッドは、フライス盤の最下部に位置する部分で、コラムを中心に支える役割を持ちます。ベッドを搭載したフライス盤は、「ベッド型」と呼ばれるタイプで、主軸が上下に動き、テーブルが前後・左右に動きます。ニーニーは、テーブルやサドルを支えている部分で、内部にはサドルやニーを送るためのモーターや駆動ねじを搭載しています。ニーを搭載したフライス盤は、「ヒザ型」と呼ばれるタイプで、主軸は固定されているものの、テーブルが上下・左右・前後に動きます。汎用フライス盤とNCフライス盤の違い汎用フライス盤は、機械の操作を手動で行うタイプです。一方NCフライス盤は、数値制御(NC:Numerical Control)の機能が付与されたフライス盤で、機械の操作をプログラムにて制御できます。NCフライス盤は、汎用フライス盤に比べて導入コストが高く、操作やプログラムの知識を要するものの、高い精度の加工や複雑な加工にも対応できるほか、加工時の作業者の負担が少なくなるのもメリットです。

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    横形マシニングセンタとは?構造、用途、種類を解説

    今回は横形マシニングセンタの構造や種類について解説します。マシニングセンタは、ATC(工具を自動で交換できる機能)を有し、CNC(コンピュータ数値制御)によって、中ぐり・フライス削り・穴あけ・ねじ立てなどの加工を連続で行える機械です。マシニングセンタにはいくつかの種類がありますが、そのなかでも横形マシニングセンタは、主軸が水平方向に向いたタイプで、ワークを側面から加工します。横型マシニングセンタの加工軸は、コラム・サドル・テーブルが可動することで、XYZの3軸に対応します。一部のモデルはテーブルの回転が可能で、計4軸での加工が行えるものもあります。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造横形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの基本的な構造横形マシニングセンタの構造は上図の通りです。以下に横形マシニングセンタの主要構造の役割について解説します。●テーブル:ワークを取り付けるための台。サドル上を図中前後方向に移動します。モデルによってはテーブルが回転するものがあり、ワークをセットし直さなくても多方面の加工が可能です。●ベッド:本体を支えるための土台。テーブルのガイドとなる案内面が加工されていて、サドルが図中左右方向に移動できる仕組みです。●コラム:横形マシニングセンタの支柱となる部品。ボールねじの運動により主軸頭の縦方向の移動に対応します。●サドル:ベッドの上に配置されている部品。ベッドの案内面により左右方向へ移動できます。●主軸頭:主軸や駆動装置などを搭載している部品。●主軸:刃物工具を取り付け、回転運動を与える軸。上記の構造は横形マシニングセンタの基本的な部品になりますが、製造メーカーやモデルによって内容が異なることもあります。横形マシニングセンタの用途引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 自動化の仕組み:APC(オートマチック パレットチェンジャ、自動パレット交換装置)マシニングセンタは、金型や自動車部品の製造など、さまざまな産業にて活用されています。そのなかでも横形マシニングセンタは、自動化に適した構造のため、無人運転や大量生産の用途で用いられることがあります。横形マシニングセンタは、重力により切り屑が落下するので、切削点に切り屑が溜まりにくい特徴があります。この構造は切り屑による切削不良が発生しにくいだけでなく、仕上げ面が傷つくのも防げます。以上の特徴から、立形マシニングセンタよりも横形マシニングセンタのほうがAPC(自動パレット交換装置)を搭載するのに適しており、マシニングセンタの可動率を向上させることができます。参考:パレットチェンジャー(APC)とは?種類と特徴を解説横形マシニングセンタのメリット●高さのあるワークの加工に適している。横形マシニングセンタは、主軸が地面に対して横向きに取り付けられているため、高さのあるワークにも対応しやすい特徴があります。●切り屑が溜まりにくい。横形マシニングセンタは、ワークを横から加工する構造上、切り屑が重力により落下します。これにより切削点に切り屑が溜まりにくく、切り屑によって仕上げ面が傷付くことが少なくなります。●テーブルが水平方向に回転する機種の場合、高い加工精度が得られる。引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 回転軸とは?(右手の法則その2)横形マシニングセンタは、XYZ軸に加えてテーブルの回転軸が加わることで、手作業によるワークの加工面を変更する必要がなくなります。手作業でワークをセットし直す必要がなくなるので、高い加工精度を出すことができます。●APCを搭載することで加工の自動化に対応できる。横形マシニングセンタは、切り屑の排出性に優れているため、APC(自動パレット交換装置)を利用するのに適しています。APCを搭載しているマシニングセンタは、外段取りにてワークの着脱が可能で、パレットを複数台装備すれば長時間の無人運転も可能になります。横形マシニングセンタのデメリット●平面に広いワークの加工には不向き。横型マシニングセンタは、主軸が水平方向であることから、平面に広いワークだと加工しにくいデメリットがあります。●立形マシニングセンタに比べてコストが高い。横形マシニングセンタと立形マシニングセンタを比較すると、横形マシニングセンタのほうが構造が複雑なため、コストが高い傾向にあります。横形マシニングセンタの種類横形マシニングセンタは、主軸のサイズにより、大きく分けて3つのタイプに分類されます。30番30番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、小型なモデルのため、省スペースでの配置が可能です。そのほかにも、高速回転や高速送りが可能で、加工時間の短縮にも寄与します。30番は大量生産に適したライン対応型のマシニングセンタとして利用されていることもあります。40番40番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、中型のモデルで金型の加工に多く採用されています。中ぐり加工に対応できるほか、大径カッターなどによる深穴加工も可能です。50番50番の主軸を搭載した横形マシニングセンタは、大型のモデルで鋳鉄などの大型ワークの重切削にて多く採用されています。また、切り屑の排出性に優れているので、大型金型の長時間加工も得意とします。

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    立形マシニングセンタとは?構造、用途、種類を解説

    今回は立形マシニングセンタの構造や種類などについて解説します。立形マシニングセンタは、主軸が地面に対して縦向きに取り付けられているマシニングセンタのことを指します。基本的な駆動軸はXYZの3軸で、構造や操作感はボール盤や汎用立てフライス盤と似ています。立形マシニングセンタは、フライス・穴あけ・仕上げ加工などの幅広い加工に対応でき、汎用性に優れているほか、省スペースで導入しやすいことから、多くの加工業者に採用されています。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造立形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの基本的な構造立形マシニングセンタの主な構成については上図の通りです。以下に基本的な各部品の役割について解説します。●テーブル:ワークを取り付けるための台。●ベッド:重量物のワークにも対応できる、本体を支えるための台。テーブルのガイドとなる案内面が加工されており、テーブルがY軸方向に移動できる仕組みです。●コラム:立形マシニングセンタの縦方向に伸びている部品。ベッドと統合されており、機器の支柱の役割を持ちます。●サドル:コラムの前面に配置され、ラムと連結している部品。サドルはX軸方向に動作します。サドルを頑丈にすることで、切削時の振動を受け止められます。●ラム:主軸ヘッドをZ軸方向に運動するための部品。●主軸ヘッド:刃物工具を取り付けるための部品。これらの構造は立形マシニングセンタの基本的な部品になりますが、製造メーカーやモデルによっては異なる場合があります。立形マシニングセンタの用途立形マシニングセンタは、金属部品の加工用途として幅広い産業で活用されています。特に自動車産業においては、部品の研削や穴あけ、ボディ部品の金型製造などで活躍します。また、昨今のIoTの拡大により、半導体などの電子部品を精密加工する用途としても多く利用されています。立形マシニングセンタのメリット●図面と切削工具の向きが同じで、加工内容が分かりやすい立形マシニングセンタは、主軸が地面に対して垂直に取り付けられていることから、ワークの上面を加工します。そのため、図面と切削工具の向きが同じで、加工内容が直感的に分かります。●主軸が上下に動く構造のため、切削工具の刃先とワークの距離を把握しやすい立形マシニングセンタは、横形マシニングセンタに比べて、主軸とワークの接近している距離が作業員の目線から判断しやすい特徴があります。●他のマシニングセンタと比べて省スペース立形マシニングセンタは、横形や門形マシニングセンタと比べて本体が小型のため、設置スペースが少なく済みます。立形マシニングセンタのデメリット●切粉が溜まりやすい立形マシニングセンタは、ワークの上面から加工を施すため、切粉が排出されずに溜まりやすい傾向にあります。そのため、圧縮空気や潤滑油剤にて随時取り除く必要があります。もし切粉が溜まったまま加工を続けていると、加工不良の原因となる場合があります。立形マシニングセンタの種類立形マシニングセンタは主軸の規格サイズにより、大きく分けて30番・40番・50番の3種類のタイプがあります。これらは、主軸に差し込むシャンクの大きさのことを表しています。30番30番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、小型ツールを使用しており、セットが簡単に行えます。また、高速回転や高速送りが可能で、加工時間の短縮が期待できます。その他にも、本体がコンパクトで設置スペースが少なく済み、コストも安い傾向にあります。ただしシャンクの保持力に乏しく、パワーを要する重切削には不向きです。40番40番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、中型のサイズでシャンクの保持力と重量のバランスがよく、汎用性に優れたタイプです。金型加工や自動車部品の加工で多く採用されています。50番50番の主軸を搭載した立形マシニングセンタは、大型の機器であることから、シャンクの保持力に優れており、重切削を得意とします。そのため、大型ワークの重切削にて多く採用されています。

  • 門形マシニングセンタとは?構造や特徴、種類を解説

    マシニングセンタとは、ATC(工具を自動で交換できる機能)を有し、CNC(コンピュータ数値制御)によって、中ぐり・フライス削り・穴あけ・ねじ立てなどの加工を連続で行える機械のことを指します。マシニングセンタの一種である門形マシニングセンタは、切削工具を回転させる主軸の部分が、機器の正面から見て門の形で配置されているのが特徴です。今回の記事では、門形マシニングセンタの構造・特徴・種類について見てみましょう。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造門形マシニングセンタの構造と仕組み引用元:フライス盤.com フライス盤とは? フライス盤の構造門形マシニングセンタは、工具を取り付けて回転運動を与える「主軸」が、地面に対して縦向きに取り付けられており、主軸を支えている構造が門の形をしています。門の部分は、柱である「コラム」と、コラムと主軸を連結している「クロスレール」が主な構成です。クロスレールには固定式や移動式のタイプがあります。引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの構造と種類門形マシニングセンタは、基本的に駆動軸が上図のようにXYZの直線3軸で、テーブルのX軸が門を通り抜けるように動きます。一部のモデルでは、テーブルが動かずにコラムが移動して加工するものもあります。このような構造から、門形マシニングセンタは、テーブルの長さを制限なく長くすることができます。そのため航空機や船舶のような大型の部品を加工するのに適しています。門形マシニングセンタの特徴引用元:OKUMA 高速高品位 5面加工門形マシニングセンタ MCR-S 製品情報門形マシニングセンタは、テーブルの長さに制限がないことから、大型の製品の加工を得意とします。門形構造は、上下左右やねじれなどの荷重に対して優れた剛性を有しており、重切削を行える点もメリットです。また、主軸のヘッドを交換することで5面加工にも対応できます。一方で、他の種類のマシニングセンタと比べて設備が大がかりになるほか、コストがかかる点はデメリットと言えます。門形マシニングセンタの種類門形マシニングセンタは、各部分の動き方によって3つの種類に分けられています。クロスレール固定式引用元:TOYODA 門形マシニングセンタ SB2116 / SB3016 / SB4016クロスレール固定式は、主軸がクロスレール上にて左右に、主軸自身が上下に動き、テーブルはクロスレールと直交方向に動くタイプです。名前の通りクロスレールは固定されています。クロスレール移動式引用元:astamuse ファナック株式会社 平行する2軸の軸制御を行う数値制御装置クロスレール移動式は、クロスレール固定式の動きに加えて、クロスレール自身も上下に動くタイプです。クロスレールの上下移動軸はW軸と呼ばれます。テーブルの動きについてはクロスレール固定式と同じになります。ガントリー式引用元:KOGA GEAR 導入事例 工作機械・周辺機器ガントリー式は、テーブルが固定されており、コラムがテーブルに沿って動くタイプです。クロスレールについては固定式と移動式があります。

  • 研削盤とは?研削盤と研削加工の種類や切削加工との違い

    今回は研削盤の種類や、研削加工と切削加工の違いについて解説します。研削盤は、砥石を使ってワークの表面を削り取り、仕上げを行うための工作機械です。研削盤は、硬度が高いものでも加工が可能かつ、精度が高くて表面をキレイに仕上げられるのが特徴です。研削盤には大きく分けて、大型の機械である「機械研削盤」と、比較的小型の「自由研削盤」の2種類がありますが、今回は機械研削盤について解説していきます。研削盤とは研削盤とは、別名「グラインダー」とも呼ばれるもので、高速で回転する砥石をワークに当てて、表面を削り取ったり、仕上げたりする機械のことを指します。引用元:研削盤・中古機械情報.net 研削盤について砥石は、硬い鉱物質の粒(砥粒)を、結合剤にて固めて作られているほか、切り屑を保持するための気孔を有しています。研削盤では除去加工を行うのに砥石を使っている分、刃物と比べて削り取る量は少ないものの、加工面がキレイに仕上がる特徴があります。また、焼入れを施した硬度の高い金属に対しても、精度の高い加工が可能です。研削盤の種類一口に研削盤といっても、用途や研削の方式によってさまざまな種類があります。ここでは代表的な研削盤の種類について解説します。平面研削盤引用元:NAGASE 加工事例 平面研削平面研削盤は、ワークの平面を研削する工作機械です。一般的に砥石の外周面方向に対してワークを平行に往復運動させて加工する、横軸往復テーブル型が採用されています。そのほかにも、砥石の回転軸方向やテーブルの運動方向の違いにより、横軸回転テーブル型・立軸往復テーブル型・立軸回転テーブル型などに分類されます。円筒研削盤円筒研削盤は、円筒状の外径を研削できる工作機械で、センタレス研削盤に比べて高い精度で加工できます。円筒研削盤には、砥石とワークの運動の関係により、プランジカットとトラバースカットの2種類の研削方法があります。引用元:株式会社酒井鉄工所 円筒研削盤の特徴プランジカットは力が伝わりやすく、能率的な研削が可能です。そのため量産部品の加工に多く採用されています。引用元:株式会社酒井鉄工所 円筒研削盤の特徴トラバースカットは、プランジカットよりも加工後の面粗さが優れており、鏡面加工も対応可能です。主に加工幅が砥石よりも広いワークや、段のないものへの加工に採用されています。内面研削盤内面研削盤は、円筒状の穴の内面を研削するための工作機械です。ものによっては、穴の軸芯と端面との直角度を出すために、端面研削できる場合もあります。内面研削盤は、1つの砥石でさまざまな穴径に対応が可能で、使い勝手が良好です。引用元:株式会社酒井鉄工所 ホーニング盤、穴仕上げのスペシャリスト内面研削盤は、スティック状の砥石を全体的に内径に押し当てて仕上げる工作機械の「ホーニング盤」に比べて、1つの砥石で加工を行うことから、前加工に依存しない点が強みです。また、ホーニング加工では、内径に溝があるものや、軸受けなどのような段差が多いものに対して加工できません。一方で内面研削は、砥石径と機械ストロークで研削できる大きさが決まることから、段形状の研削やテーパー状の研削にも対応が可能です。内面研削盤には、主に普通形とプラネタリ形の2種類があります。引用元:株式会社酒井鉄工所 内面研削盤の特徴と利点普通形は、ワークの穴の中へ砥石を入れて、ワークと砥石を回転させ、砥石の前後の送りにより研削を行います。引用元:株式会社酒井鉄工所 内面研削盤の特徴と利点プラネタリ形は、砥石の軸に遊星運動を与えて研削を行う仕組みです。主にワークが大きい場合やバランスの取りにくいものに対して採用されています。工具研削盤工具研削盤は、特定の工具を研削するための工作機械です。研削する工具の種類によって、以下のような工具研削盤があります。・ドリル研削盤・ホブ研削盤・正面フライス研削盤・超硬バイト研削盤・ブローチ研削盤・シェービングカッタ研削盤・のこ歯研削盤センタレス研削盤引用元:株式会社ミヤサカ工業 センターレス研削加工センタレス研削盤は、円筒状のワークをチャッキングなしで研削できる工作機械で、別名「芯なし研削盤」とも呼ばれています。上図のように、固定されたブレード・回転する研削砥石・調整砥石によりワークを支持して外周を研削します。センタレス研削盤は、ワークの着脱にかかる時間が少なく、生産性に優れています。チャックを用いた研削に比べて取り付けの誤差がなく、一定の精度を保てるのもポイントです。一方で円筒研削に比べてやや精度が落ちるほか、ワークの形状に制限があり、加工が困難になる場合があります。NC研削盤NC研削盤は、NC(数値制御)装置を搭載した研削盤です。あらかじめプログラミングしたデータをもとに自動で加工を行います。成形研削盤成形研削盤は、平面研削盤にドレッサーを搭載した工作機械のことです。ドレッサーとは、砥石などを削って切れ味を修復するための工具のことで、ダイヤモンドなどの高硬度の材料を用いて砥石などを加工します。ジグ研削盤ジグ研削盤は、ジグや抜き型、ゲージなどの穴の内面を加工するための工作機械です。ジグ研削盤の砥石軸には、内面研削盤にて解説したプラネタリ形が採用されています。また、ワークの位置決めや送りを高精度でこなす装置を搭載しており、穴の内径や円弧、直線部分の研削が可能です。研削盤で行える研削加工の種類研削盤で行える加工の種類は、円筒研削・内面研削・平面研削の3つです。円筒研削円筒研削は、円筒状のワークの外周を削る加工です。円筒研削には、回転させたワークに砥石を垂直に押し当てて研削するプランジカットと、ワークを軸方向に動かして研削するトラバースカットがあります。円筒研削は、円筒研削盤やセンタレス研削盤を用いて加工を行います。内面研削内面研削は、円筒状のワークの内面を削る加工です。固定したワークを回転させて、砥石の主軸を動かして内面を研削します。内面研削は、内面研削盤やジグ研削盤を使って加工を行います。平面研削平面研削は、平らな面を削る加工です。ワークの厚みを整えられるほか、精密な平行度を出したい場合に適しています。平面研削は、平面研削盤や成形研削盤を使って加工を行います。参考:平面研削について専門家がご紹介!【平面研磨との違いも解説】研削加工と切削加工の違い研削加工・切削加工は、どちらもワークの不要な部分を削って目的の形状に加工する「除去加工」である点は共通しています。ただし、研削加工と切削加工では、削る方法と何のために削るかの目的に違いがあります。引用元:SAKUSAKU 研削盤とは? 研削盤や研削加工の種類について解説研削加工は、砥石の細かな粒子により表面を少しずつ削り取る除去加工です。切削加工よりも、加工する箇所の寸法精度や表面粗さなどを考慮して加工を行います。引用元:SAKUSAKU 研削盤とは? 研削盤や研削加工の種類について解説一方で切削加工は、目的の箇所をエンドミルやバイトなどの刃物により削る除去加工で、所定の形状を作るために行われます。切削加工だけでもある程度の精度は得られますが、研削加工を行うことで、より高度な寸法精度や表面粗さを得ることができます。参考:除去加工について専門家が解説!【製品事例についても掲載】

  • 中ぐり盤とは?中ぐり盤の種類や、フライスやマシニングセンタとの違い

    今回は中ぐり盤の基礎知識について解説します。中ぐり盤とは、ドリルなどで開けた下穴をより大きくくり広げる加工の「中ぐり」に特化した工作機械のことです。なかには工具を変えればフライス加工や穴あけ加工を行えるものもあります。中ぐり盤は精度の高い穴加工が可能なほか、テーブルにセットできるワークサイズの制限が少ないメリットがあります。中ぐり加工とは引用元:旋盤市場 中ぐり中ぐり加工とは、ドリルなどで開けた下穴に対して、さらに穴を広げるように加工を行うことを指します。中ぐり加工は、ドリルでは加工できないほどの大きい穴や、高い寸法精度、キレイな加工面を要する場合に採用される加工方法です。中ぐり加工は「中ぐりバイト」と呼ばれる刃物を使って、ワークの内径を加工します。中ぐりバイトを主軸とともに回転させながら、ワークまたはバイトに送り運動を与えて、穴をくり広げます。ただし中ぐり加工は、穴の内部に切り屑が溜まりやすいほか、深穴を加工する際や薄肉の中ぐりの場合は刃物がびびりやすいので注意が必要です。中ぐり盤とは中ぐり盤とは、中ぐり加工に特化した工作機械のことを指します。中ぐり盤は、主軸の向きや機能によって、横中ぐり盤・立中ぐり盤・ジグ中ぐり盤・NC中ぐり盤といった、さまざまな種類があります。機器によってはフライス削りの機構を備えたものもあります。中ぐり盤の歴史は古く、1722年には大砲の砲身を削るためのものが利用されていました。1760年には、イギリスの技術者であるジョン・スミートンが大気圧機関のシリンダーを削るための中ぐり盤を発明していますが、高い精度が出せないお粗末なものだったとされています。それから1774年に、イギリスの工場主であり発明家であったジョン・ウィルキンソンにより精度の高い中ぐり盤が発明されました。「もし、ウィルキンソンが現れなかったら、ワットは蒸気機関を完成できなかっただろう。」と言われるほど、ウィルキンソンの発明した中ぐり盤は歴史に貢献したそうです。参考:機械の発明発見物語 十章 機械をつくる機械の発明 《工作機械》中ぐり盤の種類ここでは、横中ぐり盤・立中ぐり盤・ジグ中ぐり盤・NC中ぐり盤の特徴を見てみましょう。横中ぐり盤引用元:ウエノテックス株式会社 保有設備横中ぐり盤は、切削工具の回転軸である主軸が、水平方向に配置された中ぐり盤のことを指します。中ぐり盤のなかでも最もポピュラーなタイプです。後述する立中ぐり盤に比べて切り屑の排出性に優れており、深穴や大きな穴を加工するのに適しています。なかにはフライス盤と兼用で使える「横中ぐりフライス盤」もあります。立中ぐり盤引用元:芦部産業株式会社 設備紹介立中ぐり盤は、主軸が地面から垂直方向に配置されている中ぐり盤です。主軸の重量によるたわみが少なく、安定した精度で加工を行えるのがメリットです。門型かつ大型の工作機械が多いタイプのため、ワークのサイズが大きい加工に適しています。ただし貫通穴の加工でない場合、切り屑の排出性に乏しい点はデメリットです。ジグ中ぐり盤引用元:株式会社日立テクノロジーアンドサービスジグ中ぐり盤は、精密な位置決めを実現した装置を搭載しており、横中ぐり盤や立中ぐり盤に比べて、より高い精度で穴の位置と寸法を出せるタイプです。もとはジグ(治具)の穴あけ用途で採用されていた中ぐり盤であることから、ジグ中ぐり盤やジグボーラーと呼ばれています。主軸の向きによって、横型と立型の2種類に分かれています。NC中ぐり盤引用元:株式会社CMC NC中ぐり盤(フライス)NC中ぐり盤は、中ぐり盤にNC(数値制御)機能を搭載したものです。あらかじめ加工内容をプログラミングしておくと自動で加工を行えるため、作業の効率化や省人化が期待できます。マシニングセンタ、フライス盤との違い中ぐり盤は、中ぐり加工に特化した加工を行えるのに対して、マシニングセンタは自動工具交換装置を搭載しているので、フライス加工・穴あけ・ねじ立てなど、さまざまな加工を連続して行えます。中ぐり盤は工具を変えることで、フライス加工や穴あけにも対応できるものもありますが、マシニングセンタのような多様な加工には適していません。しかし中ぐり盤は、マシニングセンタに比べてテーブルにセットできるワークの制限が少ないことから、サイズの大きなワークの加工がしやすいメリットがあります。フライス盤は名前の通り、フライス加工に適した工作機械です。NCフライスでは3軸の加工制御が可能で、曲面などの切削にも対応できます。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!

  • パレットチェンジャー(APC)とは?種類と特徴を解説

    今回は工作機械に搭載するパレットチェンジャーについて解説します。パレットチェンジャーを搭載した工作機械は、外段取りによる工作物の着脱が可能です。外段取りとは、工作機械の機外で行う段取り作業のことで、加工中でも工作機械を停止せずに段取りを行えます。このためパレットチェンジャーを利用することで、工作機械の稼働率を向上させられます。また、機外による工作物のセッティングは、作業がしやすくなるのもポイントです。パレットチェンジャーとは?引用元:モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 2-2 自動化の仕組み:APC(オートマチック パレットチェンジャ、自動パレット交換装置)パレットチェンジャーとは、マシニングセンタなどの工作機械に搭載している、ツールや工具の自動交換機能のことです。別名でAPC(Automatic pallet Changer)や、自動パレット交換装置などとも呼ばれています。パレットチェンジャーは、工作物をセットしたパレットを、工作機械本体の位置に搬送したり、加工機から搬出したりできます。上図はパレットチェンジャーを利用している参考図を示しています。パレットチェンジャーの機能により、工作物を加工中に、別のパレットの工作物のセッティングや取り外しが行えるようになります。このことから、工作物の段取りにかかる時間を短縮でき、作業効率が向上します。機外で工作物をセッティングできるため、広いスペースで作業できるというメリットもあります。工作物をパレットへセットするには、基本的に人手を必要としますが、機器によっては自動搬送台車で行うものもあります。パレットチェンジャーは基本的に油圧を駆動力にしているものが多いですが、小型の場合はサーボモータを採用しているものもあります。サーボモータは油圧に比べてスムーズに交換できるほか、作動油が不要のため環境に優しいメリットがあります。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説パレットチェンジャーの種類と特徴一口にパレットチェンジャーといっても、工作機械などの種類によってさまざまなタイプがあります。ここでは、各種類の特徴について解説します。ループタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 ループタイプ10面APC装置ループタイプは、横型マシニングセンタで多く採用されているパレットチェンジャーです。パレット数を多く搭載しているモデルは、その分だけ工作物をセットできるため、長時間の自動運転が可能になります。シャトルタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 シャトルタイプAPC装置シャトルタイプは、立型マシニングセンタや門型の大型工作機械などの幅広いタイプに適応するパレットチェンジャーです。パレットチェンジャー側でパレットが移動することから、工作機械側のテーブルが動かなくてもパレット交換が可能です。インデックスタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 インデックスタイプAPC装置インデックスタイプは、放射状に配置された段取りステーションや待機ステーションと、中央に配置された交換ステーションによって構成されたパレットチェンジャーです。段取りステーションに旋回機能があり、工作物のセッティングが容易に行えるように設計されています。デュアルタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 重量ワーク対応 APC装置デュアルタイプは、比較的大きなパレットサイズや、重たいワークを載せるパレットに適したパレットチェンジャーです。メーカーによってはシャトルタイプと同等のモデルになりますが、上図で掲載しているエイ・テイ・シイ株式会社のデュアルタイプは、搬入出の機構のみで、シャトルタイプと比べるとシンプルな構造になっています。ターンタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 大型4面ターンタイプAPC装置ターンタイプは、一般的に4面のパレットの場合に採用されているパレットチェンジャーです。パレットが4面よりも多い場合はループタイプになります。ターンタイプは、4つのパレットが同時に旋回する仕組みのため、セットする工作物が重たいものに対しては不向きです。一方で他のタイプに比べて設置面積が省スペースになることと、コストが少なく製作できるメリットがあります。ラインタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 パレットストッカー(ラインタイプ)ラインタイプは、上図のようにストッカを直線状に配置し、本機テーブルとの間に配置した交換台車により、パレット交換を行うタイプです。ラインタイプは拡張性に優れており、生産規模に合わせてストッカ数の増設が可能です。スイングタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 スイングタイプAPC装置(パレットチェンジャー)スイングタイプは2枚のパレットを同時にリフトアップして回転する仕組みのパレットチェンジャーです。パレットの交換時間が早い特徴がありますが、積載荷重が大きくなると設計が困難なほか、スイングタイプのメリットを活かせなくなってしまいます。セパレートタイプ引用元:エイ・テイ・シイ株式会社 大型2面パレット交換装置セパレートタイプは、2面のパレットを本機のテーブルに対して各々交換するパレットチェンジャーです。パレットはX軸両エンドに並べて配置され、各パレット専用に設けた搬入出装置によりテーブルの受け渡しを行います。

  • ツールプリセッタとは?種類と導入のメリットを解説

    今回はツールプリセッタの種類や導入のメリットについて解説します。ツールプリセッタは、工具の刃径や突出し量などの調整を、工作機械上ではなく、機外で行える測定機器です。ツールプリセッタを使用すると、一部の工程を削減できるため、段取り時間を大幅に短縮できます。ツールプリセッタとは?引用元:共立精機株式会社 ツールプリセッタ AMⅢ-5030ツールプリセッタとは、切削工具を意味する「tool:ツール」と、事前にセットするという意味の「preset:プリセット」が組み合わさっているように、加工に必要な工具の径や突出し長さを、工作機械の機外で測定する機器のことを指します。NC工作機械やマシニングセンタでは、加工の際にとある地点から設定した地点までを移動するようプログラムを設定します。このとき、同じ設定のまま工具の径や突出し長さが変化すると、その分だけ得られる寸法に変化が生じます。特に高い寸法精度が求められるボーリング加工のような場合は、細かい調整が必要です。ツールプリセッタなしだと、工具の調整やテストカットなどを繰り返し行わなければなりません。このような場合、ツールプリセッタを利用することで、事前に工具径などを調整しておくことができ、高精度の加工を効率よく行えるようになります。ツールプリセッタの種類ツールプリセッタは、大きく分けて非接触カメラタイプ・非接触投影機タイプ・接触タイプの3種類があります。非接触カメラタイプ非接触カメラタイプは、光源から映し出される刃物の影をカメラで読み込み、モニターへ映し出して測定するタイプです。非接触カメラタイプは、刃径・高さ・角度・Rなどが個人差なくスピーディーに測定できる点がメリットで、カメラ機能を使って刃先の状態を確認することもできます。非接触投影機タイプ非接触投影機タイプは、ハロゲンランプの光源から刃物の影を投影して測定するタイプです。XとZ軸のクロスヘアに合わせて、刃径や高さの数値を測定します。クロスヘアを回転させれば、角度の測定も可能です。ただし、見る角度や位置などによっては個人差が出る場合があり、精密な測定には向きません。接触タイプ接触タイプは、非接触カメラや非接触投影機タイプのような光源はなく、刃物を直接測定子に当てて刃径や高さの数値を測定します。接触タイプは、測定子に直接触れる測定のため、高い精度が得られます。ただし、ダイヤルゲージの合わせ方によって個人差が出てしまう点に注意が必要です。また、角度の測定は不可能なほか、鋭利な超硬の刃先やダイヤモンド工具の測定では、測定子の接触により欠けが生じてしまうこともあります。ツールプリセッタを導入するメリットツールプリセッタを使用すると、工具径や突出し量の外段取りが可能になり、結果的に機械の稼働率の向上が期待できます。仮にツールプリセッタを使用しない場合、テストカット・加工後の寸法測定・工具径などの微調整を、目的の寸法が出るまで繰り返し行うことになります。繰り返し加工や調整を行うと、その分の手間が増えるだけでなく、次第に工具のチップも摩耗してしまいます。ツールプリセッタは、テストカットや工具径などの微調整をする手間が省けるので、加工に費やす時間が大幅に短縮されるほか、工具の寿命を縮めることもなくなり、コストの削減に繫がります。また、機上での工具調整は危険が伴うものですが、ツールプリセッタでは機外で工具調整を行えるので、安全性も向上します。

  • 複合加工機とは?種類やメリット・デメリット、ターニングセンタとの違い

    複合加工機は、NC(数値制御)工作機械の一種で、ワークを取り替えることなく、複数の加工が可能です。NC工作機械には、マシニングセンタやターニングセンタなどもありますが、これらと複合加工機は何が違うのでしょうか。そこで今回は、複合加工機とマシニングセンタなどの違いについて解説します。また、複合加工機のメリット・デメリット、複合加工機の種類についても併せてご紹介します。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!複合加工機とは引用元:DMG MORI NTX 3000 2nd Generation複合加工機とは、工具の自動交換機能を備え、なおかつワークの段取り替えなしに、フライス削りや旋削、穴あけなどの加工を行えるNC(数値制御)工作機械のことです。汎用フライスや汎用旋盤などと違い、あらかじめプログラムで加工工程を指示する必要がありますが、複数の工程を同時かつ自動で行えます。また、コンピュータ制御で切削工具とワークを3次元で移動・回転させられることから、複雑な形状の加工にも対応します。参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造参考として、JISに記載されている複合加工機の定義を以下に記載します。複合加工機:回転工具主軸、連続割出し可能な工作主軸、及び工具マガジンを備え、工具を自動的に交換する機能をもち、工作物の段取り替えなしに、旋削、フライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ切り、ホブ加工などの複数の加工が行える数値制御工作機械。引用元:JIS B 0105:2012 工作機械―名称に関する用語複合加工機のメリットとデメリットメリット●生産性の向上複合加工機は、プログラミングにて加工の指令を出す必要があるものの、ワークを一度取り付けたあとは、自動で複数の加工を行えます。従来の汎用フライスや汎用旋盤は、工具の取り替えやワークの移動を人の手で行う必要があり、手間がかかります。複合加工機を利用すれば、複数の加工を自動で行う、または作業の手間を省くことができるため、生産性の向上が期待できます。●管理コストや人件費の削減複数の工作機械を所有していると、そのぶんの維持コストがかかってしまいます。しかし複合加工機であれば、複数の工作機械を1台に集約できることから、管理コストを削減できます。また、工作機械が少ないということは、機械を使用する人員や作業時間も少なく済み、人件費の削減に繫がります。●加工精度と品質の向上従来の工作機械では、人の技術や経験の差により、製品の仕上がりに違いがでてしまいます。しかし複合加工機なら、複数の加工・工具の取り替え・ワークの移動などといった作業を機械が自動で行うため、安定して高い加工精度が得られます。●安全性に優れている複合加工機は、ワークの移動や刃物の交換を機械が自動で行います。人の手でワークや刃物を触れる機会が少なくなることから、作業に伴う事故のリスクを軽減できます。デメリット●導入するのに高いコストがかかる複合加工機は本体の費用が高価なほか、ソフトウェアやNC制御装置といった周辺設備などの導入コストもかかります。●プログラミングや加工の知識を要する複合加工機は、コンピュータ数値制御にて加工を行う工作機械のため、汎用工作機械の知識に加えて、プログラミングの知識が求められます。また、ミーリングやターニングなどの複数の加工を行えるぶん、それぞれの加工の知識も必要です。複合加工機の種類ごとの特徴ターニングセンタベース複合加工機引用元:DMG MORI ターニングセンタ:ターニングセンタ:NLX NLX 6000 | 1000ターニングセンタベース複合加工機は、NC旋盤をベースにマシニングセンタの機能を付与した工作機械のことです。NC旋盤をベースに作られているので、円筒状のワークに対して加工を行うのに適しています。ターニングだけでなく、同時にミーリングなども自動で行えるため、段取り替えの手間なく加工できます。マシニングセンタベース複合加工機引用元:株式会社松浦機械製作所 マツウラのモノづくり 平成モノづくり30年史マシニングセンタベース複合加工機は、マシニングセンタをベースにNC旋盤の機能を付与した工作機械のことです。回転する工具を3次元に動かして、テーブルに固定してあるワークを加工します。また、テーブルに回転機構を備えることにより、ターニングにも対応が可能です。マシニングセンタベース複合加工機は、ターニングセンタベース複合加工機に比べて、テーブルが大きく、加工範囲も広いことから、大きいサイズのワークを加工するのに適しています。小型の複合加工機引用元:榎本工業株式会社 カスタム加工機ナビ 超小型6軸複合加工機 CVN-6000複合加工機は、コンパクトな生産ライン向けの小型タイプもあります。通常の複合加工機と同様に、旋盤の旋削加工とフライス盤の切削加工、自動工具交換機能を搭載しています。小型タイプは、必要設置面積が少なく済むのがポイントです。ただし、対応できるワークのサイズが小さくなる傾向にあります。マシニングセンタやターニングセンタ、5軸加工機との違い複合加工機は、NC旋盤とマシニングセンタの機能を組み合わせたものの総称です。そのため、マシニングセンタ・ターニングセンタ・5軸加工機とは似た機能を有しています。マシニングセンタは、自動工具交換機能を有しており、穴あけやフライス削りなどの切削加工を1台で行える機械です。また、XYZの3軸加工に対応するマシニングセンタに、回転と傾斜の2軸を加えたものを5軸加工機と呼びます。一方、複合加工機は、フライス削りなどのほかにも旋削や研削などのさまざまな加工にも対応が可能です。ターニングセンタは、NC旋盤をベースとしたものに、マシニングセンタの機能を付与した工作機械を表しているため、複合加工機の1種と言えます。参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:ターニングセンタとは?できる加工やメリット・デメリット

  • ターニングセンタとは?できる加工やメリット・デメリット

    今回はターニングセンタが対応できる加工やメリット・デメリットなどについて解説します。ターニングセンタとは、NC旋盤の機能をベースとしたものに、マシニングセンタの機能も付与した工作機械のことです。昨今では複雑な製品形状や高い寸法精度、工程の短縮化、コストの削減などが求められるため、段取り替えの手間が少なく、自動で複数の加工を行えるターニングセンタのニーズが高まっています。参考:NC旋盤加工とは?NC旋盤加工の構成や工場もご紹介!参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造ターニングセンタとは引用元:タカハシキカイ MICROSTAR LD1 精密NCターニングセンタターニングセンタとは、NC旋盤をベースとしたものに、マシニングセンタの機能も付与した工作機械のことで、別名「CNC(Computer Numerical Control)旋盤」や「旋盤形複合加工機」などとも呼ばれています。ターニングセンタは自動で工具を交換できる機能も備えており、1回ワークを取り付けるだけで、複数の加工が可能です。ターニングセンタは、NC旋盤をベースに作られているため、円筒状の加工を得意とします。旋削加工だけでなく、同時にミーリングなども自動で行うため、段取り替えの手間がかかりません。なお、ターニングセンタは、JIS規格で以下のように定義されています。ターニングセンタ:回転工具主軸、割出し可能な工作主軸、及びタレット又は工具マガジンを備え、加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。注記1:心押し台、第2刃物第、第2主軸台などを備えた機械がある。注記2:機械の構造によって、主軸が水平の横型、垂直の立て形、及び立て形とは主軸の向きが上下逆の倒立形がある。引用元:JIS B 0105:2021 工作機械―名称に関する用語ターニングセンタでできる加工ターニングセンタは、主である旋盤加工に加えて、フライス加工や穴開け加工、中ぐり加工にも対応が可能です。旋盤加工は、回転させたワークに刃物を押し当てて削り出す加工を指します。一方、フライス加工は、固定したワークに回転させた刃物を当てて切削を行う加工方法です。中ぐりは小径の穴を繰り広げて大径の穴に加工することを指します。参考:旋盤加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!参考:穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!ターニングセンタのメリット・デメリットメリット●管理コストや人件費の削減複数の工作機械を所有していると、そのぶんの維持コストがかかってしまいますが、ターニングセンタは複数の工作機械で行う加工を1台に集約できるため、管理にかかるコストが削減できます。また、工作機械が少ないということは、機械を使用する作業員も少なく済み、人件費の削減に繫がります。●工程の簡素化と生産性の向上ターニングセンタは、複数の工作機械を使ってワークのセット・加工・取り外しといった工程を繰り返し行う必要がなく、一度ですべての工程を行えるため、工程の簡素化が可能です。工程が少ない分、生産性の向上にも繫がります。●安定して高品質の製品を製造できるターニングセンタは、一度ワークを固定すれば、すべての加工を自動で行えます。ワークを加工ごとにセットし直す必要がなくなることから、ワークの位置ずれを防止できます。また、人の手で作業を行わずに機械で加工を行うため、加工精度が安定し、安定して優れた品質の製品を製造できます。●安全性に優れているターニングセンタは、ワークの移動や刃物の交換を機械が自動で行うため、作業に伴う事故のリスクを軽減できます。デメリット●導入に高いコストがかかるターニングセンタは複数の加工を一度で行える一方で、機械加工を行えるようになるまでにソフトウェアやNC制御装置といった周辺設備などの導入も必要です。そのため、1台あたりのコストが大きくかかる傾向にあります。●プログラミングの知識を要するターニングセンタは、コンピュータ数値制御にて加工を行う工作機械のため、汎用工作機械の知識に加えて、プログラミングの知識が必要不可欠です。マシニングセンタや旋盤との違いターニングセンタは旋盤加工がベースであるのに対し、マシニングセンタはフライス加工をベースとしたNC工作機械です。マシニングセンタは、固定したワークに対して回転させた刃物を3次元的に当てて加工を行うのがメインです。マシニングセンタは、テーブルの回転も行える5軸制御を行えるタイプも普及しており、複雑な加工にも対応します。一方ターニングセンタは、回転させたワークに刃物を当てて加工を行う旋盤加工がメインです。汎用旋盤との違いは、コンピュータ数値制御により自動で加工を行えるため、精度が高くて複雑な加工にも対応できる点です。また、ターニングセンタはフライス加工や穴開けなどの複数の加工に対応できるほか、自動工具交換機能も備えているので、工具交換の手間も省けます。