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金属材料

  • SKD61とは?性質、用途、処理、加工方法まとめ

    今回はSKD61の性質や用途などについて解説します。SKD61とは、【JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材】に規定されている、熱間金型用の合金鋼のことです。SKDの記号は、S:Steel(銅)、Kougu(工具)、Dies(金型)の意味を持ちます。SKD61は、耐熱性や耐摩耗性などに優れていますが、加工性には乏しい特徴がある材料です。SKD61とはSKD61とは、「ダイス鋼」とも呼ばれる熱間金型用の合金鋼のことで、炭素工具鋼にタングステン、モリブデン、クロム、バナジウム等を添加しています。SKD61は、耐熱性・耐ヒートショック性に優れていることから、主にプレス型・ダイカスト型・押出工具・シャーブレードなどの用途で採用されています。メーカーによっては、相当鋼種としてDHA1やDACなどの名称で扱われているほか、改良鋼種として特性が異なる場合もあります。SKDの代表成分は以下の通りです。・SKD61の化学成分種類の記号CSiMnPSCrMoVSKD610.35~0.420.80~1.200.25~0.500.030以下0.020以下4.80~5.501.00~1.500.80~1.15引用元:JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材SKD61は、モリブデンの量が多いことから高温下での引張強さに優れているほか、バナジウムにより靭性も備えています。また、耐熱性も良好なことから、熱による亀裂が発生しにくいのも特徴です。しかし硬度が高く、耐摩耗性に優れている一方で、加工性には乏しいデメリットがあります。SKD61の硬度焼なましの温度と硬度種類の記号焼なまし温度(℃)焼なまし硬さ(HBW)SKD61820~870229以下引用元:JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材焼入れ焼戻し熱処理温度と硬度種類の記号熱処理温度及び冷却方法(℃)焼入焼戻し硬さHRC焼入れ焼戻しSKD611020 空冷550 空冷50以上引用元:セキイハガネ 汎用熱間ダイス鋼(SKD61)SKD61は、焼入れ焼戻しを行うと高い硬度を示しますが、熱処理における寸法変化や歪みが発生しやすい傾向があります。熱処理後の硬度はHRC53~56程度です。SKD61の機械的性質・熱伝導率 ※硬さ:45HRC熱伝導率 W/(m・℃)(cal/cm・sec・℃)20℃200℃400℃500℃700℃30.5(0.073)30.1(0.072)29.3(0.070)28.9(0.069)28.0(0.067)・ヤング率(縦弾性係数)※硬さ:45HRC熱伝導率 W/(m・℃)(cal/cm・sec・℃)20℃200℃300℃400℃500℃600℃700℃206,000(21,000)196,000(20,000)191,000(19,500)178,000(18,200)167,000(17,000)137,000(14,000)98,000(10,000)・比重:7.73g/cm3(硬さ48HRC 熱処理品 20℃時)引用元:メカトロネット事務局 SKD61 テクニカルデータSKD61の加工方法SKD61は、硬度が高くて耐摩耗性に優れた材質のため、加工性には乏しい特徴があります。このことから、工具選びを誤ると刃が摩耗が激しくなったり、破損したりする恐れがあるので注意してください。加工は主に研削加工が採用されています。SKD61の処理方法熱処理ダイス鋼は、一般的に加工後に熱処理を施して硬度を得ます。熱処理の方法は、真空熱処理が適しています。真空熱処理は、真空中で製品を加熱したり、ガスもしくは油で冷却したりする熱処理方法のことで、鋼材の表面が酸化しないことや、脱炭層が発生しないメリットがあります。脱炭層とは、空気中の酸素と鋼材表面の炭素が結合して、炭素を失う現象のことを指します。また、寸法変化や硬度のバラツキが少ないのもポイントです。めっき処理一般的にダイス鋼は錆びやすい特徴があるので、防錆力を上げるためにはめっき処理が必要です。しかしダイス鋼は炭素が多く、酸化皮膜を形成するとめっきを施しにくくなるので、前処理には注意が必要です。ダイス鋼は耐摩耗性が求められる用途で使用するため、工業用硬質クロムめっきや無電解ニッケルめっきが多く活用されています。SKD61とSKD11の違いSKD11は、冷間金型用のダイス鋼で、ゲージ・ねじ転造ダイス・金属刃物・プレス型などの用途で採用されている材質です。熱処理後の硬度は、SKD61がHRC53~56程度に対し、SKD11はHRC58~62程度と高い数値を示します。一方で、靭性と熱間引張強度については、300℃の環境下でSKD11は強度が急激に低下するのに対し、SKD61は一定の強度を保ちます。

  • SK3の基本!性質や特徴を解説(成分・硬度)

    SK3は、JIS規格(JISG4401)で規定されている炭素工具鋼材(SK材)のうち、炭素含有量が1.00~1.10%の材質を指します。特に、硬度・耐摩耗性に優れ、刃物やさまざまな工具などに利用されています。SK3の特徴(硬度、耐摩耗性)と用途SK材は炭素工具鋼材(Steel Kogu)と呼ばれ、炭素(C)含有量が0.55〜1.5%で、特別にCr(クロム)やMo(モリブデン)などの合金元素を添加していない高炭素鋼を指します。特に、工具鋼として利用されています。中でもSK3は、炭素(C)を1.00~1.10%含有するSK材です。2000年にJIS規格が改訂され、「SK3」という材料記号は、「SK105」という材料記号に変更されています。そのため、SK3は、SK105と表記されることもあります。また、SK3材はSK材の中でも比較的炭素含有量が高い鋼種で、硬度及び耐摩耗性に優れるという特徴を持ちます。そのため、切れ味を必要とする刃物などの工具に利用されています。一般にSK材は、高温で使用すると硬度が低下するという特徴があるため、熱の発生が少ない工具などに多く使用されています。例えば、SK3はプレス金型として用いられますが、プレス抜き加工のような加工熱の発生が多い箇所には使われず、少量生産用のパンチやダイに使用されます。<SK3の主な用途>ハクソー・たがね・ゲージ・ ぜんまい・プレス型・治工具・ 刃物SK3の化学成分<SK3の成分、組成(単位:%)>材料記号CSiMnPSSK3(SK105)1.00~1.100.10~0.350.10~0.500.030以下0.030以下引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の化学成分は上表の通りです。SK3の機械的性質<鋼材の焼なまし硬さ(除く鋼板及び鋼帯)>材料記号焼なまし温度℃焼なまし硬さHBWSK3(SK105)750〜780 徐冷212以下引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の機械的性質は上表の通りです。SK3の物理的性質<熱間圧延鋼板及び鋼帯並びに冷間圧延鋼板及び鋼帯の硬さ>材料記号熱間圧延鋼板及び鋼帯冷間圧延鋼板及び鋼帯熱間圧延まま硬さ焼なまし硬さ焼なまし硬さ冷間圧延まま硬さHRCHRBHRCHvHv (参考値)SK3(SK105)ーー31以下220以下(220〜310)引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の物理的性質は上表の通りです。SK3・SK4・SK5の違いSK材の中でも、SK3、SK4、SK5は特に代表的な鋼種です。この3鋼種における成分上の違いは、炭素(C)含有量のみで、SK3が1.00~1.10%なのに対し、SK4は0.90~1.00%、SK5は0.80~0.90%となっています。一般にSK材において炭素量が減少すると、硬度は低下する一方で、靭性、耐衝撃性が向上します。そのため、SK4やSK5では耐衝撃性を必要とする用途、例えば斧や木工用のきり、ペン先などに利用されています。SK3・SKS3の違い前述した通り、SK3は炭素工具鋼材(Steel Kogu)に分類されるのに対し、SKS3は低合金工具鋼材(Steel Kogu Special)に分類され、SKS材と呼ばれます。この2つの鋼材における成分上の最大の違いは、特殊合金の添加の有無です。SK材には特殊合金は含有されていませんが、SKS材にはMn(マンガン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)などの合金が添加されています。SKS3は、Cr(クロム)及びW(タングステン)を含有し、SK3と比較してより焼入れ硬さや耐摩耗性に優れています。また、SK3とSKS3では熱処理方法も異なります。SK3では水で冷却して焼入れを行うのに対し、SKS3では油で冷却して焼入れを行います。これは、焼入れによる硬度の入りやすさの違いによります。SK3は、SKS3と比較して硬度が入りにくい、つまり材質の芯部まで焼入れが入りにくくなっています。

  • STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)とは?規格・特徴・比重

    STKMは機械構造用炭素鋼鋼管のことで、代表的なものとして自動車部品・家具部品・家電・支柱などの用途で採用されています。一口にSTKMといっても、種類が豊富にあり、各種類で化学成分や機械的性質が異なります。また、サイズについても、継目無し鋼管や電気抵抗溶接鋼管などの種類によって違いがあります。この記事では「STKMとはどういうもの?」といった疑問にお答えするほか、比重や分類についても解説します。STKMとは?STKMとは、機械構造用炭素鋼鋼管のことを指します。STKMの記号は、S=Steel、T=Tube、K=構造、M=Machineを意味しています。STKMはパイプ状の構造であるため、棒鋼よりも軽量に抑えられるほか、サイズのラインナップも豊富です。また、STKMは細かく種類分けがされており、【JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管】の規格にて、機械的性質の異なる22種類が規定されています。STKMの種類は、「STKM11A」のように、STKMの記号の後ろに11~20の数字とA~Cのアルファベットが付随することで判別されています。STKMの比重STKMの比重は、鉄鋼と同様に7.85の値となりますが、厳密には成分の違いによって多少の違いが出てきます。STKMの分類STKMは製法により大きく分けて【継目無し鋼管・電気抵抗溶接鋼管・鍛接鋼管】の3種類に分類されています。ここからさらに、仕上げ方法【熱間仕上げ・冷間仕上げ・電気抵抗溶接したまま】の違いにより細かく分類されます。これらの分類は“種類の記号”の後ろに“製造方法を表す記号”を付けることで、具体的な種類が判別できるようになっています。詳細については下記表の通りです。<種類の記号及び製造方法を表す記号>種類種類の記号製造方法を表す記号製管方法仕上方法11種ASTKM11A継目無し:S電気抵抗溶接:E鍛接:B熱間仕上げ:H冷間仕上げ:C電気抵抗溶接まま:G12種ASTKM12ABSTKM12BCSTKM12C13種ASTKM13ABSTKM13BCSTKM13C14種ASTKM14A継目無し:S電気抵抗溶接:E熱間仕上げ:H冷間仕上げ:C電気抵抗溶接まま:GBSTKM14BCSTKM14C15種ASTKM15ACSTKM15C16種ASTKM16ACSTKM16C17種ASTKM17ACSTKM17C18種ASTKM18ABSTKM18BCSTKM18C19種ASTKM19ACSTKM19C20種ASTKM20A※製造方法を表す記号は、次による。ただし、“-”は空白でもよい。1.熱間仕上継目無鋼管:-S-H2.冷間仕上継目無鋼管:-S-C3.電気抵抗溶接まま鋼管:-E-G4.熱間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-H5.冷間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-C6.鍛接鋼管:-B引用元:JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管例えば、STKM13Aの機械構造用炭素鋼鋼管かつ、継目無鋼管の熱間仕上げのものについては、“STKM13A-S-H”もしくは、“STKM13A S H”で表記されるということになります。次に各種製管方法の特徴についても見てみましょう。●継目無し鋼管(シームレス鋼管)継目無し鋼管は、別名「シームレス鋼管」とも呼ばれているもので、その名前の通り継目(seam)が無い(less)ことを表しています。継目無し鋼管は溶接部がなく、全周にわたり凹凸がない均一性のある形状です。これによりねじれに強い特性をもちます。また、溶接では製造が難しい厚肉の鋼管を製造できるのもポイントです。なお、継目無し鋼管は、鋼の塊をくり抜いて管を製造しています。●電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管)電気抵抗溶接鋼管は、別名「電縫鋼管」とも呼ばれているもので、鋼板をまるめてパイプ状にしてから継目を電気抵抗溶接で接合したもののことです。電気抵抗溶接鋼管は比較的生産性が高いのが特徴で、小径から中径サイズの製造が可能です。また、鍛接鋼管に比べて継目の強度が高い傾向にあります。一方で溶接ビードができてしまうので、用途によってはビードを削りとる必要があります。●鍛接鋼管鍛接鋼管は、継目を鍛接によって接合したもののことです。鍛接鋼管は、大量生産に適している点がメリット。一方で熱間加工による成形のため、鋼管の内側と外側に酸化鉄の皮膜が付着してしまい、表面性状に劣ります。

  • 【Mitsuri加工実績】A5052の板金加工・切削加工等の見積り依頼をするなら!

    A5052はアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミ合金です。A5052は扱いやすく、アルミ合金の中でも代表的な定番材料です。弊社の金属加工プラットフォームサービス「Mitsuri」で見積り依頼される案件の中でも、素材としてA5052が選ばれることが多々あります。具体的な見積り依頼実績数をご紹介します。Mitsuriで見積り依頼されたA5052の金属加工案件MitsuriでのA5052加工案件は多岐にわたりますが、その中でも一部抜粋して板金加工と切削加工をカウントするとこれだけあります。 A5052の板金加工のMitsuri見積り依頼207 A5052の切削加工のMitsuri見積り依頼103A5052はアルミ合金の中では、中程度の強度をもち、耐食性・溶接性に優れます。主に板材と丸棒が流通しており、特に板材の流通性が非常に高いため仕入れやすく、依頼に対する見積り回答も多くつきやすいです(*1)。(*1)「依頼に対する見積り回答も多くつきやすい」?→Mitsuriで金属加工の見積りを依頼すると、その依頼に対してMitsuri協力工場が見積り回答をお返しします。A5052の加工案件は複数の協力工場からの見積り回答がつきやすく、1回のご依頼で複数の相見積もりが取れます。Mitsuriで依頼可能なアルミ加工(一例)・切断加工・曲げ加工、板金加工・溶接・切削加工・プレス加工・線材加工一例となりますが、Mitsuriではさまざまなアルミ加工に対応しています。ご希望の加工内容によっては難しい場合もございますが、迷われた方は一度Mitsuriまでご相談ください。A5052の金属加工を依頼するならMitsuriまでお問い合わせください協力工場は日本全国350社以上ございます。A5052の金属加工をご検討中の方は、下のボタンをクリックしてぜひお気軽にお問い合わせください。

  • A1100の特徴、用途、他のアルミ合金との違い

    A1100とは、純度が99%以上の純アルミニウムとして分類される材料のことです。アルミニウムの性質をほぼ受け継いており、比較的軟らかいものの軽量で、導電性や熱伝導性に優れます。塑性加工に適した材料ですが、軟らかいゆえに切削加工は困難です。表面に形成される酸化皮膜によって高い耐食性を示し、アルマイト処理を施すことで耐食性のほか、耐摩耗性なども向上させることができる素材です。アルミ合金の中で、特に表面処理性が高く、アルマイト処理後の外観は良好です。日用品や導電材、建材など、幅広く用いられている材料で、私達の生活に欠かせないものとなっています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A1100の特徴、他のアルミ合金と比較A1100は、導電性や熱伝導性が高い上に、成形加工性や溶接性にも優れたアルミ合金です。空気中で表面に形成される酸化皮膜によって金属内部が保護されるため、耐食性にも優れます。反射性も高く、光や熱、電磁波などをよく反射します。鉄鋼やステンレス鋼と比べると強度に劣るものの、軽量であるために有用性の高い素材です。引用元:株式会社三和鍍金また、アルミ合金全般に言えることですが、A1100には、アルマイト処理と呼ばれる表面処理を行うことで、表面に分厚い酸化皮膜を形成させることが可能です。この酸化皮膜は、自然に形成される数ナノメートル程度の酸化皮膜と異なり、数十マイクロメートルにも達して、優れた耐食性と耐摩耗性を発揮します(上図)。A1100は、特に表面処理性が高く、あらかじめアルマイト処理が施されているものも販売されています。A1100の加工性について、鍛造や圧延、絞りなどの成形加工には適しているものの、切削加工には適していません。ただし、切削加工が不可能というわけではありません。工具が食い込んでしまうのを避けるために切り込み量を加減する、キズの原因となる切り屑の排出をスムーズにするなど、適切な対処を行うことで切削加工も可能です。参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説!他のアルミ合金との比較A1100は、1000番手系の中では、強度や切削加工性のバランスが良好でアルマイト処理を施した際の外観が良いという利点があります。A1050は、アルミニウムの純度が99.5%以上のアルミ合金で、A1100と比べると、導電性には優れるものの、軟らか過ぎる上に切削加工性にも劣ります。一方、A1200は、A1100と比較すると、機械的性質や切削性などに大きな違いはなく、表面処理性も特に良いわけではありません。そのため、電気的特性を重視する場合はA1050、A1050よりも強度が欲しい場合はA1100を選ぶと良いでしょう。A1100の2000~8000番手系のアルミ合金と比べたときの最も大きな違いは、その強度です。2000~8000番手系のアルミ合金は、銅(Cu)やマンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)などを加えることで、強度をはじめ、切削加工性や耐熱性、耐摩耗性などの様々な性質を改善したものです。例えば、ジュラルミンとして知られるA2017やアルミ缶の素材に使われるA5052は、焼なまし状態でも強度がA1100の倍以上あります。特に、A2017は、適切な熱処理が必要ですが、引張強さが400 MPaを上回ります。また、A5052は、切削加工性が良く、切削加工向けの材料として有用です。参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる!A1100の化学成分(単位:%)材質名Si + FeCuMnZnその他Al個々合計A11000.95以下 0.05〜0.200.05以下0.10以下0.05以下0.15以下99.00以上A1100の化学成分は、JIS規格(JIS 4000:2014)によって上表のように規定されています。A1100は、純度99.00%以上のアルミに微量の銅(Cu)を加えたものです。添加された銅には、アルマイト処理後の光沢を良好にし、外観を白っぽくする効果があります。これは、A1050やA1200などの他の1000番手のアルミにはない特徴です。A1100の機械的性質材質名質別引張性質ブリネル硬させん断強さ(MPa) 疲れ強さ(MPa) 縦弾性係数×1000(kg/mm2)引張強さ(MPa) 耐力(MPa) 伸び(%)板(1.6mm厚)棒(12.7mmΦ)A1100O903535422360357.0H1211010512222870407.0H141251159183275507.0H161451406153885607.0H181651505134490607.0参照元:株式会社アルミネA1100の機械的性質は、上表の通りです。上表の「O」の性質は焼なましを施した最も軟らかい状態のもので、「H」の性質は冷間加工で生じた加工硬化によって強さが増加した状態のものです。「H」の後に続く数値には以下のような意味があります。・H12:1/4 硬質・H14:1/2 硬質・H16:3/4 硬質・H18:硬質金属は一般に加工硬化が進むと、展延性が低下して破断に至る可能性が高まります。そのため、硬化が進んだ金属に引き続き塑性加工を施すには、加熱して高温状態にし、軟化させる必要があります。A1100では、約200℃へ至るまでに段々と引張強さと耐力が減少して伸び率が増加し、約200℃を超えるとほぼ焼きなまし状態の機械的性質に戻ります。A1100の用途A1100は、日用品や電気機器、建材、タンク類、導電材など、幅広い用途があります。サビにくく腐食しにくい特性を持つことから、各種容器や家庭用品、台所などの器材など、身の回りの物に多く用いられています。高い熱伝導性を活かした熱交換器部品などの用途もあります。導電材料としての用途もあり、銅の代替材料として送電線や配電線にも使われています。反射性が高いことを活かして、照明器具やミラー、反射板などにも用いられます。建築用材料としての用途もありますが、強度が低いために構造材として使用することはできません。また、A1100は、耐食性が高いため、ジュラルミンを芯材として、A1100を外側に圧着したアルクラッド材の素材に使用されます。アルクラッド材は、芯材の高強度と外板の高耐食性を活かし、航空機材料などに利用されています。

  • A2011の特徴、成分、機械的性質、使い方

    A2011は、快削性合金と呼ばれ、高強度を示す2000番台のアルミ合金の中でも、特に切削加工性に優れる材質です。強度、被切削性に優れる一方で、耐食性に劣るという欠点もあり、使用環境によっては対策が必要です。A2011は、さまざまな機械・工業用部品として利用されています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A2011の特徴(強度、溶接性、耐食性、被切削性)A2011は、強度、被切削性に優れます。A2011は、銅(Cu)を含有するため、高い強度を示す一方で、耐食性は劣ります。また、A2011には鉛(Pb)とビスマス(Bi)が添加されているため、被切削性が良好です。ただし、A2011の溶融溶接性は低く、結合には主にリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が用いられます。参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!!A2011の用途A2011は、ボリュームシャフト、光学部品、ネジ部品などに用いられています。A2011の化学成分<A2011の成分、組成(単位:%)>材料記号SiFeCuMnMgCrZnV, Bi, Pb, Zr, Ni などTiその他AlA20110.40以下0.7以下5.0~6.0ーーー0.30以下Bi 0.20~0.6,Pb 0.20~0.6ー0.05以下(計0.15以下)残部引用元:JISH4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A2011の化学成分を上表に示しました。A2011では、Cu(銅)を添加することで、引張強さ・硬さなど機械的性質を高めています。ただし、銅には耐食性を低下させるという欠点もあります。また、Pb(鉛)とBi(ビスマス)は切削加工性を向上させる目的で添加されています。A2011の機械的性質<A2011の機械的性質>質別引張性質ブリネル硬さ(HB W 10/500)せん断強さ(N/mm2)疲れ強さ(N/mm2)引張強さ(N/mm2)耐力(N/mm2)伸び(%)1.6mm 厚(L=50mm)12.5mm径(L=5D)T3380295ー1395220125T8405310ー10100240125引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p38A2011の機械的性質は上表の通りです。A2011の物理的性質<A2011の物理的性質>質別密度(20℃)(Mg/m3)溶解温度範囲(℃)導電率(20℃)(IACS,%)熱伝導度(20℃)(kW/m•℃)縦弾性係数(kN/mm2)T32.82541〜638390.1570.6T8450.17引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p50A2011の物理的性質は上表の通りです。A2011の使い方・選び方前述した通り、A2011は鉛(Pb)を0.2~0.6%含みます。鉛は、環境負荷物質として規制されている場合もあるため、選定時には注意が必要です。ただし、近年では非鉛快削アルミ合金として、鉛の代わりにスズ(Sn)を添加した材質も開発されているため、場合によってはこのような材料を選定すると良いでしょう。

  • A6061の特徴、成分、機械的性質

    A6061は、アルミニウム(Al)にマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を加えた【Al-Mg-Si(6000)系】のアルミ合金です。No.6000系のアルミ合金は、熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合で用いられることが多い材料です。A6061も同様の特徴がある一方で、耐食性に優れているため、自動車用部品などに採用されています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A6061の特徴(耐食性)A6061は耐食性に優れていますが、溶接継手強度は低い特徴があります。しかし、T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理を施したもの)を施すことで、引張強さは260N/mm2以上、耐力は240N/mm2以上まで強度を高めることが可能です。流通している材料の形状は、丸棒と板が一般的です。A6061の化学成分JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている化学成分は下記表の通りです。<A6061の化学成分(単位:%)>合金番号SiFeCuMnMgCrZnTiその他a)Al個々合計A60610.40~0.80.7以下0.15~0.400.15以下0.8~1.20.04~0.350.25以下0.15以下0.05以下0.15以下残部注記a):その他の元素とは、この表で示されていないが存在の予知される場合又は通常の分析過程において、規定の値を超えるおそれがある場合に、製造業者の判断によって分析する元素である。“個々”の値は、表で示されている元素以外の個々の成分値であり、“合計”の値は、個々の成分値を合計したものである。引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A6061の機械的性質JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている機械的性質は下記表の通りです。<A6061の押出棒の機械的性質>合金番号質別a)引張試験径、厚さ又は対辺距離mm断面積cm2引張強さN/mm2耐力N/mm2伸びb)%A50mmA6061Oe)全て-145以下110以下16以上-T4d)T4511d)全て-180以上110以上16以上14以上T42f)全て-175以上85以上16以上-T6d)T62f)T6511d)6以下-260以上240以上8以上7以上6を超え-260以上240以上10以上9以上<A6061の引抜棒及び引抜線の機械的性質>合金番号質別a)引張試験径、厚さ又は対辺距離mm断面積cm2引張強さN/mm2耐力N/mm2伸びb)%A50mmA6061Oe)3以下-145以下---3を超え100以下-145以下-18以上-H133以上10以下-155以上205以下---H1810以下-210以上---T39d)6以下-310以上---6を超え-260以上---T43以下-205以上---3を超え100以下300以下205以上110以上18以上16以上T42f)3以下-205以上--3を超え100以下300以下205以上95以上18以上-T6T62f)3以下-290以上---3を超え100以下300以下290以上240以上10以上9以上T89d)6以下-300以上---注記a):質別は、JIS H 0001によるb):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。A50mm:50mm標点距離における伸びA:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2)d):押出後の冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。e):質別Oの材料は、質別T42又はT62の材料の基礎となるものであり、注文者からの要求がある場合は、注文者において適切な熱処理をした場合に、質別T42又はT62の材料の性能を保証しなければならない。f):質別T42の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、十分な安定状態で自然時効硬化処理をした場合に適用する。また、質別T62の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、人工時効硬化処理した場合に適用する。ただし、注文者において溶体化処理する前に何らかの冷間加工又は熱間加工をした場合には、規格値より低くなることがある。引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A6061の物理的性質質別導電率(20℃, IACS,%)熱伝導率(25℃、kW/(m・℃))線膨張係数(20~100℃×10-⁶)縦弾性係数(×1000Kg/kgf/mm²)比重溶解温度範囲(℃)T4400.1523.67.002.70582~652T6430.1723.67.002.70582~652引用元:阪根商事株式会社A6061の用途A6061は耐食性に優れる一方で、溶接性に劣ることから以下のような用途に採用されています。用途例:ボルトやリベット接合の構造用材・自動車用部品などA6061の使い分けアルミ合金の代表的なものにA5052とA2017(ジュラルミン)があります。ここでは、これらの材料とA6061の使い分けをご紹介します。A6061とA5052の使い分けA5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。A6061は耐食性が高く、T6処理を行うことで高い強度を得られますが、溶接継手強度が低い点はデメリットです。これらを比較すると、強度はA6061の方が優れており、溶接継手としてはA6061の方が不向きのため、強度を重視したい場合はA6061を、溶接が必要な製品を作る場合はA5052を用いるのがおすすめです。参考:A5052の化学成分、機械的性質、強度A6061とA2017(ジュラルミン)の使い分けA2017はアルミ合金のなかでも優れた強度を持ち、T6処理を施したA6061よりも強度が高い特徴があります。しかし耐食性に関しては劣るので、強度を重視したい場合はA2017を、ある程度の強度と耐食性を備えた材料を使いたい場合はA6061を使うのがおすすめです。参考:A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

  • 合金鋼の種類と特徴、性質

    合金鋼とは、鉄と炭素以外の合金元素を一定量以上含む鋼のことです。鋼の五元素と呼ばれる炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄を規定量以上含む合金や、その他の元素を一定量以上含有する鋼のことを指します。ステンレス鋼も合金鋼の一種であり、高張力鋼や工具鋼の一部も合金鋼に分類されます。その特徴は、種類によって様々であり、耐食性や耐熱性に優れるもの、強度が高いもの、加工性が良好なものなどがあります。この記事では、合金鋼の詳細や種類、種類によって異なる性質を解説していきます。合金鋼とは?特徴について合金鋼とは、炭素量が0.02~2.14%である炭素鋼に炭素以外の合金元素が一定量以上加えられた鋼のことです。化学成分による分類では、炭素鋼の対となる鋼であるとも言えます。普通鋼に対する特殊鋼を合金鋼と同一視することもあります。ISOでは、下表のように合金鋼が含む添加元素の含有率の下限が定められており、一つ又は複数の元素の含有率が下表の値を超える場合に合金鋼と呼びます。ただし、優れた効果を持つ元素であれば、下表の元素以外を含む場合でも合金鋼と呼ぶことがあります。(単位:%)アルミニウム(Al)ホウ素(B)コバルト(Co)クロム(Cr)銅(Cu)ランタン(La)モリブデン(Mo)ニオブ(Nb)0.10.00080.10.30.40.050.080.06ニッケル(Ni)鉛(Pb)セレン(Se)テルル(Te)チタン(Ti)バナジウム(V)タングステン(W)ジルコニウム(Zr)0.30.40.10.10.050.10.10.05参照元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)合金鋼は、含有する合金元素の総量によって、以下のように分類することがあります。●低合金鋼:5%以下●中合金鋼:5~10%●高合金鋼:10%以上合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。ただし、合金鋼に共通することとして、炭素鋼と比べて高価であり、市場に出回っている形状や寸法のバリエーションも貧弱であることが挙げられます。参考:鉄と鋼の違い(強度・重さ・硬さ)参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など合金鋼の種類合金鋼には、様々な種類がありますが、ここでは代表的な合金鋼について紹介します。ステンレス鋼ステンレス鋼は、キッチンのシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。クロムを多量に含有するものや、クロムとニッケルを多量に含有するものなど、その種類は多様です。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などがあります。耐熱鋼耐熱鋼とは、高温環境下においても優れた耐酸化性や強度、腐食耐性を保持する合金鋼のことです。エンジン部品や炉の材料などに用いられます。JIS規格においては、SUH(Steel Use Heat Resisting)で始まる「SUH31」などが耐熱鋼として規定されていますが、それらも化学成分上はステンレス鋼の一種です。「SUS304」などのオーステナイト系ステンレス鋼の一部も耐熱鋼に分類されています。そのほか、モリブデンを数パーセント含むモリブデン鋼や、クロムとモリブデンをわずかに含むクロムモリブデン鋼も耐熱鋼と呼ばれることがあります。高張力鋼(ハイテン)高張力鋼とは、高い引張強さを持つ合金鋼のことです。引張強さがおよそ490 MPa以上のものを指します。特に高強度のものでは1000 MPaを超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。なお、代表的な炭素鋼である「SS400」の引張強さは、400 MPaです。シリコンやマンガンなどの合金元素の添加や、金属組織の制御などを行うことで高い強度を実現しています。高圧容器や橋梁、建築のほか、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの材料に用いられます。特に、自動車向けには、高強度である分だけ薄くできるため、自動車の軽量化に役立っています。合金工具鋼・高速度工具鋼合金工具鋼と高速度工具鋼は、工作機械に用いられる工具鋼のうち、炭素工具鋼と呼ばれる炭素鋼が材料ではない工具鋼のことです。合金工具鋼は、炭素工具鋼では硬度や靭性、耐摩耗性などが不足する場合に、工具の材料として選ばれます。一方、高速度工具鋼は、ハイスとも呼ばれ、高温下の硬度や耐軟化性に強みがある工具の材料です。合金工具鋼と高速度工具鋼はそれぞれ、タングステンやクロム、モリブデン、バナジウムなどの合金元素を加えるなどして性質を調整したものです。クロムモリブデン鋼クロムモリブデン鋼とは、クロムを1%程度、モリブデンを0.15~0.45%含む合金鋼のことです。クロムとモリブデンの含有量は少なく、低合金鋼に分類されます。高い強度と靭性を示し、耐熱性にも優れています。溶接が容易で、焼入れを行いやすい素材です。クロムなどの鉄鋼の耐食性に貢献する化学成分を含みますが、それらの量は少なく、ステンレスほどの耐食性はありません。ボルトナット類やエンジン部品、自転車のフレームなどの用途がある合金鋼です。参考:SCM435(クロムモリブデン鋼)材質、硬度、強度、比重、用途合金鋼と錆金や白金などを除くほとんどの金属は、空気中の酸素や水分と反応して錆を生じます。その中でも鉄は、比較的錆びやすく、表面に酸化物の皮膜を生じて金属特有の光沢が失われます。この酸化物の皮膜が、錆と言われるものです。しかし、ステンレス鋼では、空気中においてクロムによって形成された数ナノメートルの酸化皮膜が表面を覆うことで金属内部の腐食を保護しています。さらに、その酸化皮膜が透明であり、外観がほとんど変化しないことから、ステンレスの酸化皮膜は錆と認識されていません。また、酸化皮膜の耐食性は、クロムの含有量が多いほど高くなり、12%程度に達するまで耐食性は向上します(下図左図)。もちろん、この酸化皮膜が破れると、そこから錆が生じる可能性があります。しかし、鋼中のクロムはその傷を自己修復する機能があるため、皮膜は瞬時に再生されます(下図右図)。引用元:日本製鉄株式会社(2005)「モノづくりの原点 科学の世界VOL.22」p2

  • C5191(りん青銅)の特徴、機械的性質、物理的性質

    C5191は、りん青銅と呼ばれる金属材料の一種です。りん青銅は、銅(Cu)とスズ(Sn)の合金である青銅に、りん(P)を加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。C5191は、りん青銅のなかでもスズの含有量が多く、強度や耐摩耗性を向上させています。参考:【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!参考:リン青銅とは!?特性や用途について専門家が解説!C5191(りん青銅)の特徴(導電性、耐摩耗性、耐応力腐食割れ)C5191(りん青銅)は、展延性・耐摩耗性・耐食性・耐応力腐食割れに優れており、ばね材に適した材料です。JIS規格の【JIS H 3110:2018】では、高性能のばね性を要求するものは、ばね用りん青銅を用いるのがよいとされています。C5191は、スズ(Sn)を5.5~7.0%と多く含有している金属材料です。りん青銅はスズを多く含有するほど、強度と耐摩耗性が向上しますが、その一方で導電性や熱伝導率の値は低下する特徴があります。C5191の用途は、電気機器用ばね・スイッチ・コネクタ・ヒューズグリップ・しゅう動片軸受けなどが代表的です。参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法参考:銅の加工ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!C5191の化学成分<C5191 板及び条の化学成分(単位:%)>合金番号CuPbFeSnZnMnNiPC5191a)0.02以下0.10以下5.5~7.0a)0.20以下--0.03~0.35a)注記a):Cuを分析し、Cu+Sn+P=99.5以上とする。引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条C5191の機械的性質<C5191 板及び条の機械的性質>質別製品記号引張試験曲げ試験硬さ試験厚さの区分mm引張強さN/mm2伸び%厚さの区分a)mm曲げ角度b)内側半径b)厚さの区分mmビッカース硬さc)HVOC5191 P-OC5191 R-O0.10以上5.0以下315以上42以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの0.5倍--0.10以上0.50以下1/4HC5191 P-1/4HC5191 R-1/4H0.10以上5.0以下390~51035以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの1倍0.10以上5.0以下100~1600.10以上0.50以下1/2HC5191 P-1/2HC5191 R-1/2H0.10以上5.0以下490~61020以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの1.5倍0.10以上5.0以下150~2050.10以上0.50以下HC5191 P-HC5191 R-H0.10以上5.0以下590~6858以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの2倍0.10以上5.0以下180~2300.10以上0.50以下EHC5191 P-EHC5191 R-EH0.10以上0.20未満635~720----0.50以上5.0以下200~2400.20以上5.0以下5以上SHC5191 P-SHC5191 R-SH0.10以上5.0以下690以上----0.05以上5.0以下210以上注記a):各欄の上段は、試験片を板又は条の圧延方向に取った場合、下段は試験片を板又は条の圧延方向と直角に取った場合を示す。b):曲げ試験の試験条件を示す。Wは、W曲げ試験を表す。c):最小試験力は、1.961Nとする。引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条C5191の物理的性質<C5191の物理的性質>液相融点(℃)固相融点(℃)比熱線膨張係数(20~300℃)[×10-⁶・K]縦弾性係数[kN/mm²]導電率[%IACS]体積低効率[10-3μΩ・m]熱伝導率[W/(m・K)]比重(20℃)104591037718.010513133.0678.83引用元:阪根商事株式会社

  • C2801(真鍮)の化学成分、機械的性質

    C2801は、黄銅(銅と亜鉛の合金)の一種で、銅(Cu)約60%、亜鉛(Zn)約40%の成分割合を持つことから六四黄銅に分類されます。また、「真鍮」とも呼ばれ、加工性に優れ、安価でかつ市場性が高いことから、日用品や宝飾、工業用品、治具などさまざまな所で使用されている材料です。参考:【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!参考:【黄銅とは?】特性や用途について専門家が詳しく解説!C2801の特徴と用途C2801は、冷間加工性には劣るものの、熱間加工性に優れた黄銅です。また、強度、展延性、メッキ性にも優れ、さらに安価で市場性が良いことから、幅広い用途で使用されています。C2801の用途としては、配線器具の部品、熱交換機、衛生管、機械部品などの工業用品、切削ケースなどの治具、ネームプレートなどの日用品、アクセサリー金具、チェーンなどの宝飾が挙げられます。参考:真鍮の加工方法を加工実績と共に徹底紹介!!C2801の化学成分<C2801の成分、組成(単位:%)>材料記号CuPbFeSnZnAlMnNiPZrC280159.0~62.00.10以下0.07以下-残部-----引用元:JISH3100:銅及び銅合金の板及び条C2801の化学成分は上表の通りです。C2801の機械的性質質別製品記号引張試験曲げ試験硬さ試験(参考)厚さの区分(mm)引張強さ(N/mm2)伸び(%)厚さの区分(mm)曲げ角度内側半径厚さの区分(mm)ビッカース硬さ(HV)OC 2801 P-O0.30以上 1.0 以下325以上35以上0.30以上2.0以下180°厚さの1倍––1.0を超え 30 以下40以上C 2801 R-OC 2801 RS-O0.30以上 1.0 以下35以上1.0を超え 3.0 以下40以上1/4HC 2801 P-1/4H0.30以上 30 以下355~44025以上0.30以上2.0以下180°厚さの1.5倍0.30以上30以下85~145 C 2801 R-1/4HC 2801 RS-1/4H0.30以上 3.0 以下0.30以上3.0以下1/2HC 2801 P-1/2H0.30以上 20 以下410~49015以上0.30以上2.0以下180°厚さの1.5倍0.30以上20以下105~160C 2801 R-1/2HC 2801 RS-1/2H0.30以上 3.0 以下0.30以上3.0以下HC 2801 P-H0.30以上 10以下470以上–0.30以上2.0以下90°厚さの1倍0.30以上10以下130以上C 2801 R-HC 2801 RS-H0.30以上 3.0以下0.30以上3.0以下 引用元:JISH3100:銅及び銅合金の板及び条C2801の機械的性質は上表の通りです。

  • SKD61とは?性質、用途、処理、加工方法まとめ

    今回はSKD61の性質や用途などについて解説します。SKD61とは、【JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材】に規定されている、熱間金型用の合金鋼のことです。SKDの記号は、S:Steel(銅)、Kougu(工具)、Dies(金型)の意味を持ちます。SKD61は、耐熱性や耐摩耗性などに優れていますが、加工性には乏しい特徴がある材料です。SKD61とはSKD61とは、「ダイス鋼」とも呼ばれる熱間金型用の合金鋼のことで、炭素工具鋼にタングステン、モリブデン、クロム、バナジウム等を添加しています。SKD61は、耐熱性・耐ヒートショック性に優れていることから、主にプレス型・ダイカスト型・押出工具・シャーブレードなどの用途で採用されています。メーカーによっては、相当鋼種としてDHA1やDACなどの名称で扱われているほか、改良鋼種として特性が異なる場合もあります。SKDの代表成分は以下の通りです。・SKD61の化学成分種類の記号CSiMnPSCrMoVSKD610.35~0.420.80~1.200.25~0.500.030以下0.020以下4.80~5.501.00~1.500.80~1.15引用元:JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材SKD61は、モリブデンの量が多いことから高温下での引張強さに優れているほか、バナジウムにより靭性も備えています。また、耐熱性も良好なことから、熱による亀裂が発生しにくいのも特徴です。しかし硬度が高く、耐摩耗性に優れている一方で、加工性には乏しいデメリットがあります。SKD61の硬度焼なましの温度と硬度種類の記号焼なまし温度(℃)焼なまし硬さ(HBW)SKD61820~870229以下引用元:JIS G 4404:2015 合金工具鋼鋼材焼入れ焼戻し熱処理温度と硬度種類の記号熱処理温度及び冷却方法(℃)焼入焼戻し硬さHRC焼入れ焼戻しSKD611020 空冷550 空冷50以上引用元:セキイハガネ 汎用熱間ダイス鋼(SKD61)SKD61は、焼入れ焼戻しを行うと高い硬度を示しますが、熱処理における寸法変化や歪みが発生しやすい傾向があります。熱処理後の硬度はHRC53~56程度です。SKD61の機械的性質・熱伝導率 ※硬さ:45HRC熱伝導率 W/(m・℃)(cal/cm・sec・℃)20℃200℃400℃500℃700℃30.5(0.073)30.1(0.072)29.3(0.070)28.9(0.069)28.0(0.067)・ヤング率(縦弾性係数)※硬さ:45HRC熱伝導率 W/(m・℃)(cal/cm・sec・℃)20℃200℃300℃400℃500℃600℃700℃206,000(21,000)196,000(20,000)191,000(19,500)178,000(18,200)167,000(17,000)137,000(14,000)98,000(10,000)・比重:7.73g/cm3(硬さ48HRC 熱処理品 20℃時)引用元:メカトロネット事務局 SKD61 テクニカルデータSKD61の加工方法SKD61は、硬度が高くて耐摩耗性に優れた材質のため、加工性には乏しい特徴があります。このことから、工具選びを誤ると刃が摩耗が激しくなったり、破損したりする恐れがあるので注意してください。加工は主に研削加工が採用されています。SKD61の処理方法熱処理ダイス鋼は、一般的に加工後に熱処理を施して硬度を得ます。熱処理の方法は、真空熱処理が適しています。真空熱処理は、真空中で製品を加熱したり、ガスもしくは油で冷却したりする熱処理方法のことで、鋼材の表面が酸化しないことや、脱炭層が発生しないメリットがあります。脱炭層とは、空気中の酸素と鋼材表面の炭素が結合して、炭素を失う現象のことを指します。また、寸法変化や硬度のバラツキが少ないのもポイントです。めっき処理一般的にダイス鋼は錆びやすい特徴があるので、防錆力を上げるためにはめっき処理が必要です。しかしダイス鋼は炭素が多く、酸化皮膜を形成するとめっきを施しにくくなるので、前処理には注意が必要です。ダイス鋼は耐摩耗性が求められる用途で使用するため、工業用硬質クロムめっきや無電解ニッケルめっきが多く活用されています。SKD61とSKD11の違いSKD11は、冷間金型用のダイス鋼で、ゲージ・ねじ転造ダイス・金属刃物・プレス型などの用途で採用されている材質です。熱処理後の硬度は、SKD61がHRC53~56程度に対し、SKD11はHRC58~62程度と高い数値を示します。一方で、靭性と熱間引張強度については、300℃の環境下でSKD11は強度が急激に低下するのに対し、SKD61は一定の強度を保ちます。

  • SK3の基本!性質や特徴を解説(成分・硬度)

    SK3は、JIS規格(JISG4401)で規定されている炭素工具鋼材(SK材)のうち、炭素含有量が1.00~1.10%の材質を指します。特に、硬度・耐摩耗性に優れ、刃物やさまざまな工具などに利用されています。SK3の特徴(硬度、耐摩耗性)と用途SK材は炭素工具鋼材(Steel Kogu)と呼ばれ、炭素(C)含有量が0.55〜1.5%で、特別にCr(クロム)やMo(モリブデン)などの合金元素を添加していない高炭素鋼を指します。特に、工具鋼として利用されています。中でもSK3は、炭素(C)を1.00~1.10%含有するSK材です。2000年にJIS規格が改訂され、「SK3」という材料記号は、「SK105」という材料記号に変更されています。そのため、SK3は、SK105と表記されることもあります。また、SK3材はSK材の中でも比較的炭素含有量が高い鋼種で、硬度及び耐摩耗性に優れるという特徴を持ちます。そのため、切れ味を必要とする刃物などの工具に利用されています。一般にSK材は、高温で使用すると硬度が低下するという特徴があるため、熱の発生が少ない工具などに多く使用されています。例えば、SK3はプレス金型として用いられますが、プレス抜き加工のような加工熱の発生が多い箇所には使われず、少量生産用のパンチやダイに使用されます。<SK3の主な用途>ハクソー・たがね・ゲージ・ ぜんまい・プレス型・治工具・ 刃物SK3の化学成分<SK3の成分、組成(単位:%)>材料記号CSiMnPSSK3(SK105)1.00~1.100.10~0.350.10~0.500.030以下0.030以下引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の化学成分は上表の通りです。SK3の機械的性質<鋼材の焼なまし硬さ(除く鋼板及び鋼帯)>材料記号焼なまし温度℃焼なまし硬さHBWSK3(SK105)750〜780 徐冷212以下引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の機械的性質は上表の通りです。SK3の物理的性質<熱間圧延鋼板及び鋼帯並びに冷間圧延鋼板及び鋼帯の硬さ>材料記号熱間圧延鋼板及び鋼帯冷間圧延鋼板及び鋼帯熱間圧延まま硬さ焼なまし硬さ焼なまし硬さ冷間圧延まま硬さHRCHRBHRCHvHv (参考値)SK3(SK105)ーー31以下220以下(220〜310)引用元:JISG4401:炭素工具鋼鋼材SK3の物理的性質は上表の通りです。SK3・SK4・SK5の違いSK材の中でも、SK3、SK4、SK5は特に代表的な鋼種です。この3鋼種における成分上の違いは、炭素(C)含有量のみで、SK3が1.00~1.10%なのに対し、SK4は0.90~1.00%、SK5は0.80~0.90%となっています。一般にSK材において炭素量が減少すると、硬度は低下する一方で、靭性、耐衝撃性が向上します。そのため、SK4やSK5では耐衝撃性を必要とする用途、例えば斧や木工用のきり、ペン先などに利用されています。SK3・SKS3の違い前述した通り、SK3は炭素工具鋼材(Steel Kogu)に分類されるのに対し、SKS3は低合金工具鋼材(Steel Kogu Special)に分類され、SKS材と呼ばれます。この2つの鋼材における成分上の最大の違いは、特殊合金の添加の有無です。SK材には特殊合金は含有されていませんが、SKS材にはMn(マンガン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)などの合金が添加されています。SKS3は、Cr(クロム)及びW(タングステン)を含有し、SK3と比較してより焼入れ硬さや耐摩耗性に優れています。また、SK3とSKS3では熱処理方法も異なります。SK3では水で冷却して焼入れを行うのに対し、SKS3では油で冷却して焼入れを行います。これは、焼入れによる硬度の入りやすさの違いによります。SK3は、SKS3と比較して硬度が入りにくい、つまり材質の芯部まで焼入れが入りにくくなっています。

  • STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)とは?規格・特徴・比重

    STKMは機械構造用炭素鋼鋼管のことで、代表的なものとして自動車部品・家具部品・家電・支柱などの用途で採用されています。一口にSTKMといっても、種類が豊富にあり、各種類で化学成分や機械的性質が異なります。また、サイズについても、継目無し鋼管や電気抵抗溶接鋼管などの種類によって違いがあります。この記事では「STKMとはどういうもの?」といった疑問にお答えするほか、比重や分類についても解説します。STKMとは?STKMとは、機械構造用炭素鋼鋼管のことを指します。STKMの記号は、S=Steel、T=Tube、K=構造、M=Machineを意味しています。STKMはパイプ状の構造であるため、棒鋼よりも軽量に抑えられるほか、サイズのラインナップも豊富です。また、STKMは細かく種類分けがされており、【JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管】の規格にて、機械的性質の異なる22種類が規定されています。STKMの種類は、「STKM11A」のように、STKMの記号の後ろに11~20の数字とA~Cのアルファベットが付随することで判別されています。STKMの比重STKMの比重は、鉄鋼と同様に7.85の値となりますが、厳密には成分の違いによって多少の違いが出てきます。STKMの分類STKMは製法により大きく分けて【継目無し鋼管・電気抵抗溶接鋼管・鍛接鋼管】の3種類に分類されています。ここからさらに、仕上げ方法【熱間仕上げ・冷間仕上げ・電気抵抗溶接したまま】の違いにより細かく分類されます。これらの分類は“種類の記号”の後ろに“製造方法を表す記号”を付けることで、具体的な種類が判別できるようになっています。詳細については下記表の通りです。<種類の記号及び製造方法を表す記号>種類種類の記号製造方法を表す記号製管方法仕上方法11種ASTKM11A継目無し:S電気抵抗溶接:E鍛接:B熱間仕上げ:H冷間仕上げ:C電気抵抗溶接まま:G12種ASTKM12ABSTKM12BCSTKM12C13種ASTKM13ABSTKM13BCSTKM13C14種ASTKM14A継目無し:S電気抵抗溶接:E熱間仕上げ:H冷間仕上げ:C電気抵抗溶接まま:GBSTKM14BCSTKM14C15種ASTKM15ACSTKM15C16種ASTKM16ACSTKM16C17種ASTKM17ACSTKM17C18種ASTKM18ABSTKM18BCSTKM18C19種ASTKM19ACSTKM19C20種ASTKM20A※製造方法を表す記号は、次による。ただし、“-”は空白でもよい。1.熱間仕上継目無鋼管:-S-H2.冷間仕上継目無鋼管:-S-C3.電気抵抗溶接まま鋼管:-E-G4.熱間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-H5.冷間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-C6.鍛接鋼管:-B引用元:JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管例えば、STKM13Aの機械構造用炭素鋼鋼管かつ、継目無鋼管の熱間仕上げのものについては、“STKM13A-S-H”もしくは、“STKM13A S H”で表記されるということになります。次に各種製管方法の特徴についても見てみましょう。●継目無し鋼管(シームレス鋼管)継目無し鋼管は、別名「シームレス鋼管」とも呼ばれているもので、その名前の通り継目(seam)が無い(less)ことを表しています。継目無し鋼管は溶接部がなく、全周にわたり凹凸がない均一性のある形状です。これによりねじれに強い特性をもちます。また、溶接では製造が難しい厚肉の鋼管を製造できるのもポイントです。なお、継目無し鋼管は、鋼の塊をくり抜いて管を製造しています。●電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管)電気抵抗溶接鋼管は、別名「電縫鋼管」とも呼ばれているもので、鋼板をまるめてパイプ状にしてから継目を電気抵抗溶接で接合したもののことです。電気抵抗溶接鋼管は比較的生産性が高いのが特徴で、小径から中径サイズの製造が可能です。また、鍛接鋼管に比べて継目の強度が高い傾向にあります。一方で溶接ビードができてしまうので、用途によってはビードを削りとる必要があります。●鍛接鋼管鍛接鋼管は、継目を鍛接によって接合したもののことです。鍛接鋼管は、大量生産に適している点がメリット。一方で熱間加工による成形のため、鋼管の内側と外側に酸化鉄の皮膜が付着してしまい、表面性状に劣ります。

  • 【Mitsuri加工実績】A5052の板金加工・切削加工等の見積り依頼をするなら!

    A5052はアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミ合金です。A5052は扱いやすく、アルミ合金の中でも代表的な定番材料です。弊社の金属加工プラットフォームサービス「Mitsuri」で見積り依頼される案件の中でも、素材としてA5052が選ばれることが多々あります。具体的な見積り依頼実績数をご紹介します。Mitsuriで見積り依頼されたA5052の金属加工案件MitsuriでのA5052加工案件は多岐にわたりますが、その中でも一部抜粋して板金加工と切削加工をカウントするとこれだけあります。 A5052の板金加工のMitsuri見積り依頼207 A5052の切削加工のMitsuri見積り依頼103A5052はアルミ合金の中では、中程度の強度をもち、耐食性・溶接性に優れます。主に板材と丸棒が流通しており、特に板材の流通性が非常に高いため仕入れやすく、依頼に対する見積り回答も多くつきやすいです(*1)。(*1)「依頼に対する見積り回答も多くつきやすい」?→Mitsuriで金属加工の見積りを依頼すると、その依頼に対してMitsuri協力工場が見積り回答をお返しします。A5052の加工案件は複数の協力工場からの見積り回答がつきやすく、1回のご依頼で複数の相見積もりが取れます。Mitsuriで依頼可能なアルミ加工(一例)・切断加工・曲げ加工、板金加工・溶接・切削加工・プレス加工・線材加工一例となりますが、Mitsuriではさまざまなアルミ加工に対応しています。ご希望の加工内容によっては難しい場合もございますが、迷われた方は一度Mitsuriまでご相談ください。A5052の金属加工を依頼するならMitsuriまでお問い合わせください協力工場は日本全国350社以上ございます。A5052の金属加工をご検討中の方は、下のボタンをクリックしてぜひお気軽にお問い合わせください。

  • A1100の特徴、用途、他のアルミ合金との違い

    A1100とは、純度が99%以上の純アルミニウムとして分類される材料のことです。アルミニウムの性質をほぼ受け継いており、比較的軟らかいものの軽量で、導電性や熱伝導性に優れます。塑性加工に適した材料ですが、軟らかいゆえに切削加工は困難です。表面に形成される酸化皮膜によって高い耐食性を示し、アルマイト処理を施すことで耐食性のほか、耐摩耗性なども向上させることができる素材です。アルミ合金の中で、特に表面処理性が高く、アルマイト処理後の外観は良好です。日用品や導電材、建材など、幅広く用いられている材料で、私達の生活に欠かせないものとなっています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A1100の特徴、他のアルミ合金と比較A1100は、導電性や熱伝導性が高い上に、成形加工性や溶接性にも優れたアルミ合金です。空気中で表面に形成される酸化皮膜によって金属内部が保護されるため、耐食性にも優れます。反射性も高く、光や熱、電磁波などをよく反射します。鉄鋼やステンレス鋼と比べると強度に劣るものの、軽量であるために有用性の高い素材です。引用元:株式会社三和鍍金また、アルミ合金全般に言えることですが、A1100には、アルマイト処理と呼ばれる表面処理を行うことで、表面に分厚い酸化皮膜を形成させることが可能です。この酸化皮膜は、自然に形成される数ナノメートル程度の酸化皮膜と異なり、数十マイクロメートルにも達して、優れた耐食性と耐摩耗性を発揮します(上図)。A1100は、特に表面処理性が高く、あらかじめアルマイト処理が施されているものも販売されています。A1100の加工性について、鍛造や圧延、絞りなどの成形加工には適しているものの、切削加工には適していません。ただし、切削加工が不可能というわけではありません。工具が食い込んでしまうのを避けるために切り込み量を加減する、キズの原因となる切り屑の排出をスムーズにするなど、適切な対処を行うことで切削加工も可能です。参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説!他のアルミ合金との比較A1100は、1000番手系の中では、強度や切削加工性のバランスが良好でアルマイト処理を施した際の外観が良いという利点があります。A1050は、アルミニウムの純度が99.5%以上のアルミ合金で、A1100と比べると、導電性には優れるものの、軟らか過ぎる上に切削加工性にも劣ります。一方、A1200は、A1100と比較すると、機械的性質や切削性などに大きな違いはなく、表面処理性も特に良いわけではありません。そのため、電気的特性を重視する場合はA1050、A1050よりも強度が欲しい場合はA1100を選ぶと良いでしょう。A1100の2000~8000番手系のアルミ合金と比べたときの最も大きな違いは、その強度です。2000~8000番手系のアルミ合金は、銅(Cu)やマンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)などを加えることで、強度をはじめ、切削加工性や耐熱性、耐摩耗性などの様々な性質を改善したものです。例えば、ジュラルミンとして知られるA2017やアルミ缶の素材に使われるA5052は、焼なまし状態でも強度がA1100の倍以上あります。特に、A2017は、適切な熱処理が必要ですが、引張強さが400 MPaを上回ります。また、A5052は、切削加工性が良く、切削加工向けの材料として有用です。参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる!A1100の化学成分(単位:%)材質名Si + FeCuMnZnその他Al個々合計A11000.95以下 0.05〜0.200.05以下0.10以下0.05以下0.15以下99.00以上A1100の化学成分は、JIS規格(JIS 4000:2014)によって上表のように規定されています。A1100は、純度99.00%以上のアルミに微量の銅(Cu)を加えたものです。添加された銅には、アルマイト処理後の光沢を良好にし、外観を白っぽくする効果があります。これは、A1050やA1200などの他の1000番手のアルミにはない特徴です。A1100の機械的性質材質名質別引張性質ブリネル硬させん断強さ(MPa) 疲れ強さ(MPa) 縦弾性係数×1000(kg/mm2)引張強さ(MPa) 耐力(MPa) 伸び(%)板(1.6mm厚)棒(12.7mmΦ)A1100O903535422360357.0H1211010512222870407.0H141251159183275507.0H161451406153885607.0H181651505134490607.0参照元:株式会社アルミネA1100の機械的性質は、上表の通りです。上表の「O」の性質は焼なましを施した最も軟らかい状態のもので、「H」の性質は冷間加工で生じた加工硬化によって強さが増加した状態のものです。「H」の後に続く数値には以下のような意味があります。・H12:1/4 硬質・H14:1/2 硬質・H16:3/4 硬質・H18:硬質金属は一般に加工硬化が進むと、展延性が低下して破断に至る可能性が高まります。そのため、硬化が進んだ金属に引き続き塑性加工を施すには、加熱して高温状態にし、軟化させる必要があります。A1100では、約200℃へ至るまでに段々と引張強さと耐力が減少して伸び率が増加し、約200℃を超えるとほぼ焼きなまし状態の機械的性質に戻ります。A1100の用途A1100は、日用品や電気機器、建材、タンク類、導電材など、幅広い用途があります。サビにくく腐食しにくい特性を持つことから、各種容器や家庭用品、台所などの器材など、身の回りの物に多く用いられています。高い熱伝導性を活かした熱交換器部品などの用途もあります。導電材料としての用途もあり、銅の代替材料として送電線や配電線にも使われています。反射性が高いことを活かして、照明器具やミラー、反射板などにも用いられます。建築用材料としての用途もありますが、強度が低いために構造材として使用することはできません。また、A1100は、耐食性が高いため、ジュラルミンを芯材として、A1100を外側に圧着したアルクラッド材の素材に使用されます。アルクラッド材は、芯材の高強度と外板の高耐食性を活かし、航空機材料などに利用されています。

  • A2011の特徴、成分、機械的性質、使い方

    A2011は、快削性合金と呼ばれ、高強度を示す2000番台のアルミ合金の中でも、特に切削加工性に優れる材質です。強度、被切削性に優れる一方で、耐食性に劣るという欠点もあり、使用環境によっては対策が必要です。A2011は、さまざまな機械・工業用部品として利用されています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A2011の特徴(強度、溶接性、耐食性、被切削性)A2011は、強度、被切削性に優れます。A2011は、銅(Cu)を含有するため、高い強度を示す一方で、耐食性は劣ります。また、A2011には鉛(Pb)とビスマス(Bi)が添加されているため、被切削性が良好です。ただし、A2011の溶融溶接性は低く、結合には主にリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が用いられます。参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!!A2011の用途A2011は、ボリュームシャフト、光学部品、ネジ部品などに用いられています。A2011の化学成分<A2011の成分、組成(単位:%)>材料記号SiFeCuMnMgCrZnV, Bi, Pb, Zr, Ni などTiその他AlA20110.40以下0.7以下5.0~6.0ーーー0.30以下Bi 0.20~0.6,Pb 0.20~0.6ー0.05以下(計0.15以下)残部引用元:JISH4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A2011の化学成分を上表に示しました。A2011では、Cu(銅)を添加することで、引張強さ・硬さなど機械的性質を高めています。ただし、銅には耐食性を低下させるという欠点もあります。また、Pb(鉛)とBi(ビスマス)は切削加工性を向上させる目的で添加されています。A2011の機械的性質<A2011の機械的性質>質別引張性質ブリネル硬さ(HB W 10/500)せん断強さ(N/mm2)疲れ強さ(N/mm2)引張強さ(N/mm2)耐力(N/mm2)伸び(%)1.6mm 厚(L=50mm)12.5mm径(L=5D)T3380295ー1395220125T8405310ー10100240125引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p38A2011の機械的性質は上表の通りです。A2011の物理的性質<A2011の物理的性質>質別密度(20℃)(Mg/m3)溶解温度範囲(℃)導電率(20℃)(IACS,%)熱伝導度(20℃)(kW/m•℃)縦弾性係数(kN/mm2)T32.82541〜638390.1570.6T8450.17引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p50A2011の物理的性質は上表の通りです。A2011の使い方・選び方前述した通り、A2011は鉛(Pb)を0.2~0.6%含みます。鉛は、環境負荷物質として規制されている場合もあるため、選定時には注意が必要です。ただし、近年では非鉛快削アルミ合金として、鉛の代わりにスズ(Sn)を添加した材質も開発されているため、場合によってはこのような材料を選定すると良いでしょう。

  • A6061の特徴、成分、機械的性質

    A6061は、アルミニウム(Al)にマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を加えた【Al-Mg-Si(6000)系】のアルミ合金です。No.6000系のアルミ合金は、熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合で用いられることが多い材料です。A6061も同様の特徴がある一方で、耐食性に優れているため、自動車用部品などに採用されています。参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!A6061の特徴(耐食性)A6061は耐食性に優れていますが、溶接継手強度は低い特徴があります。しかし、T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理を施したもの)を施すことで、引張強さは260N/mm2以上、耐力は240N/mm2以上まで強度を高めることが可能です。流通している材料の形状は、丸棒と板が一般的です。A6061の化学成分JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている化学成分は下記表の通りです。<A6061の化学成分(単位:%)>合金番号SiFeCuMnMgCrZnTiその他a)Al個々合計A60610.40~0.80.7以下0.15~0.400.15以下0.8~1.20.04~0.350.25以下0.15以下0.05以下0.15以下残部注記a):その他の元素とは、この表で示されていないが存在の予知される場合又は通常の分析過程において、規定の値を超えるおそれがある場合に、製造業者の判断によって分析する元素である。“個々”の値は、表で示されている元素以外の個々の成分値であり、“合計”の値は、個々の成分値を合計したものである。引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A6061の機械的性質JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている機械的性質は下記表の通りです。<A6061の押出棒の機械的性質>合金番号質別a)引張試験径、厚さ又は対辺距離mm断面積cm2引張強さN/mm2耐力N/mm2伸びb)%A50mmA6061Oe)全て-145以下110以下16以上-T4d)T4511d)全て-180以上110以上16以上14以上T42f)全て-175以上85以上16以上-T6d)T62f)T6511d)6以下-260以上240以上8以上7以上6を超え-260以上240以上10以上9以上<A6061の引抜棒及び引抜線の機械的性質>合金番号質別a)引張試験径、厚さ又は対辺距離mm断面積cm2引張強さN/mm2耐力N/mm2伸びb)%A50mmA6061Oe)3以下-145以下---3を超え100以下-145以下-18以上-H133以上10以下-155以上205以下---H1810以下-210以上---T39d)6以下-310以上---6を超え-260以上---T43以下-205以上---3を超え100以下300以下205以上110以上18以上16以上T42f)3以下-205以上--3を超え100以下300以下205以上95以上18以上-T6T62f)3以下-290以上---3を超え100以下300以下290以上240以上10以上9以上T89d)6以下-300以上---注記a):質別は、JIS H 0001によるb):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。A50mm:50mm標点距離における伸びA:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2)d):押出後の冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。e):質別Oの材料は、質別T42又はT62の材料の基礎となるものであり、注文者からの要求がある場合は、注文者において適切な熱処理をした場合に、質別T42又はT62の材料の性能を保証しなければならない。f):質別T42の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、十分な安定状態で自然時効硬化処理をした場合に適用する。また、質別T62の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、人工時効硬化処理した場合に適用する。ただし、注文者において溶体化処理する前に何らかの冷間加工又は熱間加工をした場合には、規格値より低くなることがある。引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線A6061の物理的性質質別導電率(20℃, IACS,%)熱伝導率(25℃、kW/(m・℃))線膨張係数(20~100℃×10-⁶)縦弾性係数(×1000Kg/kgf/mm²)比重溶解温度範囲(℃)T4400.1523.67.002.70582~652T6430.1723.67.002.70582~652引用元:阪根商事株式会社A6061の用途A6061は耐食性に優れる一方で、溶接性に劣ることから以下のような用途に採用されています。用途例:ボルトやリベット接合の構造用材・自動車用部品などA6061の使い分けアルミ合金の代表的なものにA5052とA2017(ジュラルミン)があります。ここでは、これらの材料とA6061の使い分けをご紹介します。A6061とA5052の使い分けA5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。A6061は耐食性が高く、T6処理を行うことで高い強度を得られますが、溶接継手強度が低い点はデメリットです。これらを比較すると、強度はA6061の方が優れており、溶接継手としてはA6061の方が不向きのため、強度を重視したい場合はA6061を、溶接が必要な製品を作る場合はA5052を用いるのがおすすめです。参考:A5052の化学成分、機械的性質、強度A6061とA2017(ジュラルミン)の使い分けA2017はアルミ合金のなかでも優れた強度を持ち、T6処理を施したA6061よりも強度が高い特徴があります。しかし耐食性に関しては劣るので、強度を重視したい場合はA2017を、ある程度の強度と耐食性を備えた材料を使いたい場合はA6061を使うのがおすすめです。参考:A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

  • 合金鋼の種類と特徴、性質

    合金鋼とは、鉄と炭素以外の合金元素を一定量以上含む鋼のことです。鋼の五元素と呼ばれる炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄を規定量以上含む合金や、その他の元素を一定量以上含有する鋼のことを指します。ステンレス鋼も合金鋼の一種であり、高張力鋼や工具鋼の一部も合金鋼に分類されます。その特徴は、種類によって様々であり、耐食性や耐熱性に優れるもの、強度が高いもの、加工性が良好なものなどがあります。この記事では、合金鋼の詳細や種類、種類によって異なる性質を解説していきます。合金鋼とは?特徴について合金鋼とは、炭素量が0.02~2.14%である炭素鋼に炭素以外の合金元素が一定量以上加えられた鋼のことです。化学成分による分類では、炭素鋼の対となる鋼であるとも言えます。普通鋼に対する特殊鋼を合金鋼と同一視することもあります。ISOでは、下表のように合金鋼が含む添加元素の含有率の下限が定められており、一つ又は複数の元素の含有率が下表の値を超える場合に合金鋼と呼びます。ただし、優れた効果を持つ元素であれば、下表の元素以外を含む場合でも合金鋼と呼ぶことがあります。(単位:%)アルミニウム(Al)ホウ素(B)コバルト(Co)クロム(Cr)銅(Cu)ランタン(La)モリブデン(Mo)ニオブ(Nb)0.10.00080.10.30.40.050.080.06ニッケル(Ni)鉛(Pb)セレン(Se)テルル(Te)チタン(Ti)バナジウム(V)タングステン(W)ジルコニウム(Zr)0.30.40.10.10.050.10.10.05参照元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)合金鋼は、含有する合金元素の総量によって、以下のように分類することがあります。●低合金鋼:5%以下●中合金鋼:5~10%●高合金鋼:10%以上合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。ただし、合金鋼に共通することとして、炭素鋼と比べて高価であり、市場に出回っている形状や寸法のバリエーションも貧弱であることが挙げられます。参考:鉄と鋼の違い(強度・重さ・硬さ)参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など合金鋼の種類合金鋼には、様々な種類がありますが、ここでは代表的な合金鋼について紹介します。ステンレス鋼ステンレス鋼は、キッチンのシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。クロムを多量に含有するものや、クロムとニッケルを多量に含有するものなど、その種類は多様です。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などがあります。耐熱鋼耐熱鋼とは、高温環境下においても優れた耐酸化性や強度、腐食耐性を保持する合金鋼のことです。エンジン部品や炉の材料などに用いられます。JIS規格においては、SUH(Steel Use Heat Resisting)で始まる「SUH31」などが耐熱鋼として規定されていますが、それらも化学成分上はステンレス鋼の一種です。「SUS304」などのオーステナイト系ステンレス鋼の一部も耐熱鋼に分類されています。そのほか、モリブデンを数パーセント含むモリブデン鋼や、クロムとモリブデンをわずかに含むクロムモリブデン鋼も耐熱鋼と呼ばれることがあります。高張力鋼(ハイテン)高張力鋼とは、高い引張強さを持つ合金鋼のことです。引張強さがおよそ490 MPa以上のものを指します。特に高強度のものでは1000 MPaを超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。なお、代表的な炭素鋼である「SS400」の引張強さは、400 MPaです。シリコンやマンガンなどの合金元素の添加や、金属組織の制御などを行うことで高い強度を実現しています。高圧容器や橋梁、建築のほか、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの材料に用いられます。特に、自動車向けには、高強度である分だけ薄くできるため、自動車の軽量化に役立っています。合金工具鋼・高速度工具鋼合金工具鋼と高速度工具鋼は、工作機械に用いられる工具鋼のうち、炭素工具鋼と呼ばれる炭素鋼が材料ではない工具鋼のことです。合金工具鋼は、炭素工具鋼では硬度や靭性、耐摩耗性などが不足する場合に、工具の材料として選ばれます。一方、高速度工具鋼は、ハイスとも呼ばれ、高温下の硬度や耐軟化性に強みがある工具の材料です。合金工具鋼と高速度工具鋼はそれぞれ、タングステンやクロム、モリブデン、バナジウムなどの合金元素を加えるなどして性質を調整したものです。クロムモリブデン鋼クロムモリブデン鋼とは、クロムを1%程度、モリブデンを0.15~0.45%含む合金鋼のことです。クロムとモリブデンの含有量は少なく、低合金鋼に分類されます。高い強度と靭性を示し、耐熱性にも優れています。溶接が容易で、焼入れを行いやすい素材です。クロムなどの鉄鋼の耐食性に貢献する化学成分を含みますが、それらの量は少なく、ステンレスほどの耐食性はありません。ボルトナット類やエンジン部品、自転車のフレームなどの用途がある合金鋼です。参考:SCM435(クロムモリブデン鋼)材質、硬度、強度、比重、用途合金鋼と錆金や白金などを除くほとんどの金属は、空気中の酸素や水分と反応して錆を生じます。その中でも鉄は、比較的錆びやすく、表面に酸化物の皮膜を生じて金属特有の光沢が失われます。この酸化物の皮膜が、錆と言われるものです。しかし、ステンレス鋼では、空気中においてクロムによって形成された数ナノメートルの酸化皮膜が表面を覆うことで金属内部の腐食を保護しています。さらに、その酸化皮膜が透明であり、外観がほとんど変化しないことから、ステンレスの酸化皮膜は錆と認識されていません。また、酸化皮膜の耐食性は、クロムの含有量が多いほど高くなり、12%程度に達するまで耐食性は向上します(下図左図)。もちろん、この酸化皮膜が破れると、そこから錆が生じる可能性があります。しかし、鋼中のクロムはその傷を自己修復する機能があるため、皮膜は瞬時に再生されます(下図右図)。引用元:日本製鉄株式会社(2005)「モノづくりの原点 科学の世界VOL.22」p2

  • C5191(りん青銅)の特徴、機械的性質、物理的性質

    C5191は、りん青銅と呼ばれる金属材料の一種です。りん青銅は、銅(Cu)とスズ(Sn)の合金である青銅に、りん(P)を加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。C5191は、りん青銅のなかでもスズの含有量が多く、強度や耐摩耗性を向上させています。参考:【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!参考:リン青銅とは!?特性や用途について専門家が解説!C5191(りん青銅)の特徴(導電性、耐摩耗性、耐応力腐食割れ)C5191(りん青銅)は、展延性・耐摩耗性・耐食性・耐応力腐食割れに優れており、ばね材に適した材料です。JIS規格の【JIS H 3110:2018】では、高性能のばね性を要求するものは、ばね用りん青銅を用いるのがよいとされています。C5191は、スズ(Sn)を5.5~7.0%と多く含有している金属材料です。りん青銅はスズを多く含有するほど、強度と耐摩耗性が向上しますが、その一方で導電性や熱伝導率の値は低下する特徴があります。C5191の用途は、電気機器用ばね・スイッチ・コネクタ・ヒューズグリップ・しゅう動片軸受けなどが代表的です。参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法参考:銅の加工ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!C5191の化学成分<C5191 板及び条の化学成分(単位:%)>合金番号CuPbFeSnZnMnNiPC5191a)0.02以下0.10以下5.5~7.0a)0.20以下--0.03~0.35a)注記a):Cuを分析し、Cu+Sn+P=99.5以上とする。引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条C5191の機械的性質<C5191 板及び条の機械的性質>質別製品記号引張試験曲げ試験硬さ試験厚さの区分mm引張強さN/mm2伸び%厚さの区分a)mm曲げ角度b)内側半径b)厚さの区分mmビッカース硬さc)HVOC5191 P-OC5191 R-O0.10以上5.0以下315以上42以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの0.5倍--0.10以上0.50以下1/4HC5191 P-1/4HC5191 R-1/4H0.10以上5.0以下390~51035以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの1倍0.10以上5.0以下100~1600.10以上0.50以下1/2HC5191 P-1/2HC5191 R-1/2H0.10以上5.0以下490~61020以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの1.5倍0.10以上5.0以下150~2050.10以上0.50以下HC5191 P-HC5191 R-H0.10以上5.0以下590~6858以上0.10以上1.6以下180°又はW厚さの2倍0.10以上5.0以下180~2300.10以上0.50以下EHC5191 P-EHC5191 R-EH0.10以上0.20未満635~720----0.50以上5.0以下200~2400.20以上5.0以下5以上SHC5191 P-SHC5191 R-SH0.10以上5.0以下690以上----0.05以上5.0以下210以上注記a):各欄の上段は、試験片を板又は条の圧延方向に取った場合、下段は試験片を板又は条の圧延方向と直角に取った場合を示す。b):曲げ試験の試験条件を示す。Wは、W曲げ試験を表す。c):最小試験力は、1.961Nとする。引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条C5191の物理的性質<C5191の物理的性質>液相融点(℃)固相融点(℃)比熱線膨張係数(20~300℃)[×10-⁶・K]縦弾性係数[kN/mm²]導電率[%IACS]体積低効率[10-3μΩ・m]熱伝導率[W/(m・K)]比重(20℃)104591037718.010513133.0678.83引用元:阪根商事株式会社

  • C2801(真鍮)の化学成分、機械的性質

    C2801は、黄銅(銅と亜鉛の合金)の一種で、銅(Cu)約60%、亜鉛(Zn)約40%の成分割合を持つことから六四黄銅に分類されます。また、「真鍮」とも呼ばれ、加工性に優れ、安価でかつ市場性が高いことから、日用品や宝飾、工業用品、治具などさまざまな所で使用されている材料です。参考:【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!参考:【黄銅とは?】特性や用途について専門家が詳しく解説!C2801の特徴と用途C2801は、冷間加工性には劣るものの、熱間加工性に優れた黄銅です。また、強度、展延性、メッキ性にも優れ、さらに安価で市場性が良いことから、幅広い用途で使用されています。C2801の用途としては、配線器具の部品、熱交換機、衛生管、機械部品などの工業用品、切削ケースなどの治具、ネームプレートなどの日用品、アクセサリー金具、チェーンなどの宝飾が挙げられます。参考:真鍮の加工方法を加工実績と共に徹底紹介!!C2801の化学成分<C2801の成分、組成(単位:%)>材料記号CuPbFeSnZnAlMnNiPZrC280159.0~62.00.10以下0.07以下-残部-----引用元:JISH3100:銅及び銅合金の板及び条C2801の化学成分は上表の通りです。C2801の機械的性質質別製品記号引張試験曲げ試験硬さ試験(参考)厚さの区分(mm)引張強さ(N/mm2)伸び(%)厚さの区分(mm)曲げ角度内側半径厚さの区分(mm)ビッカース硬さ(HV)OC 2801 P-O0.30以上 1.0 以下325以上35以上0.30以上2.0以下180°厚さの1倍––1.0を超え 30 以下40以上C 2801 R-OC 2801 RS-O0.30以上 1.0 以下35以上1.0を超え 3.0 以下40以上1/4HC 2801 P-1/4H0.30以上 30 以下355~44025以上0.30以上2.0以下180°厚さの1.5倍0.30以上30以下85~145 C 2801 R-1/4HC 2801 RS-1/4H0.30以上 3.0 以下0.30以上3.0以下1/2HC 2801 P-1/2H0.30以上 20 以下410~49015以上0.30以上2.0以下180°厚さの1.5倍0.30以上20以下105~160C 2801 R-1/2HC 2801 RS-1/2H0.30以上 3.0 以下0.30以上3.0以下HC 2801 P-H0.30以上 10以下470以上–0.30以上2.0以下90°厚さの1倍0.30以上10以下130以上C 2801 R-HC 2801 RS-H0.30以上 3.0以下0.30以上3.0以下 引用元:JISH3100:銅及び銅合金の板及び条C2801の機械的性質は上表の通りです。