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塑性加工

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    【引抜加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例についてご紹介!

    引抜加工(ひきぬきかこう)と押出加工(おしだしかこう)は、金属の塑性加工法の中でも代表格のものです。今回は、引抜加工の仕組みや種類を大まかにつかんで頂き、どんなものに使われているのかも見ていきましょう。引抜加工とは引抜加工は引抜成形とも言います。英語ではdrawingと訳します。引抜加工とは金属の塑性加工の一つで、引抜ダイと呼ばれる引抜作業専用の金型にある穴に材料(金属)を通し、先端を引っ張ることで断面積を減少させ、ダイの穴と同じ形状の管や棒、線などを製造する加工法です。引抜加工の仕組み①引抜ダイ(金型)の穴に材料を通す②先端を引っ張り、断面積を減少させる③ダイの穴と同じ形状の管や棒を生み出す身近なもので例えると、金太郎飴がそれにあたるのではないでしょうか。飴を引き延ばして思いの大きさにするのですが、材料を通す金型のほか、引抜に使われるドローウィングがあります。また、単純な鋼材の針金だけでなく、中空形状を形成するプラグを用いてパイプを作ることもできます。引抜加工は材料を熱間圧延(金属を高温に加熱して行う圧延加工のこと)後、または温間押出(おんかんおしだし)によってある程度製品の形状にしたのちに、仕上げ加工を行うために施す加工です。通常は冷間(再結晶温度以下)で行うため、寸法の精度が上がり、加工硬化によって強度が増していきます。冷間加工では材料が加工硬化によって硬くなる傾向が強いため、製品の質などを鑑みて必要に応じて焼きなましなどの熱処理を併用することもあります。引抜加工の種類引抜加工には次にご紹介する工法によって、さまざまな成果物を作り上げることができます。代表的なものをいくつかここでご紹介したいと思います。 ①単純引抜加工その名の通り、単純に引抜を行う工法です。棒線をダイス(金属の引抜加工に使用する型)に通し、ダイスについている穴からその先端を単純に引抜くことで、断面を小さくします。一般的に”引抜き加工”といえば、単純引抜加工を指すほどです。単純引抜き加工では、押出加工で作った鋼線の10~35%、アルミニウムなどの軟質材料では20~50%の割合で断面を小さくできます。②管の引抜加工中空の素材を引き抜いて、ストロー状の細い管を作り出すこともできます。管の引抜方によっていくつか違いがあります。・空引き(そらびき)…単純に引抜きを行う工法のこと。外径を小さくするのが目的。・心金引き(しんがねひき)…ダイスの内側に心金(しんがね:管を広げるため端に押し込む金具のこと)を固定し、厚みをコントロールしながら、管の内面も圧迫してなめらかに仕上げる工法のこと。内側と外側がともに美しい仕上がりになるのが特徴。・浮きプラグ引き…心金を固定しないで、自動的に正しい位置に配置されるようコントロールし、引き抜く工法のこと。比較的細い管を製造するのが目的。・マンドレル引き…マンドレル(mandrel:心棒、回転軸)と言われる工具を使って行う工法のこと。金属バットのような薄肉の管の加工に適しており、外径を減少させると同時に厚みも薄くできるのが特徴。このほかにも、引抜に使用する工具(ダイ)によっても製造結果が変わります。ダイの形状や引抜加工での温度や材料を引っ張る条件、加えて引抜加工後の熱処理によって線材の機械的特性を変化させることができるので、ターゲットとする数字に材料を近づけることができるのも特徴です。機械的特性を変化させる要素①ダイの形状②引抜加工の温度③材を引っ張る条件④引抜加工後の熱処理③ローラーダイスによる引抜き加工一対の孔型ロールに線を通して引き抜く工法のこと。ローラーそのものは回転せず、材料が引き抜かれる際に発する摩擦力によって回転します。小さい力で引抜くことができるので、摩擦熱の減少が期待でき、不必要な変形等が防げるのが特徴。④タークスヘッド引抜加工上下左右に配置されたローラーダイスに線を通して引抜く工法のこと。断面を自由に変形できるのが特徴で、たとえば丸棒から角棒への加工も可能です。⑤ダイレス伸線加工ダイスを使わない加工法。材料を加熱しながら引っ張ることで径を小さくし、急速に冷やすことで寸法を安定させます。ダイスとの接触で焼きつきが発生するような材料の引き延ばしに使われます。引抜加工を用いた製品例引抜加工は、私たちの身の回りにあるさまざまな製品に利用されています。ピアノ線や車両の部品、テレビや冷蔵庫などの家電の一部、注射針など、金属の性質に合わせ、さまざまな用途で部品が作り出されています。おもに直径5ミリ以下の線材の仕上げ加工に使われています。また、管の引抜加工は、継ぎ目なし管を希望の寸法に仕上げる加工にも使用されています。 まとめいかがでしたか? 引抜加工の概略をご紹介しましたが、押出加工とセットで覚えておくとよいという理由がおわかりいただけたでしょうか。引抜加工は冷間(常温)で行われる加工法で、温間押出加工をした材料の精度アップと仕上げを見込んだ作業であるということがわかりました。さらにもうひと手間かけることが、製品の精度と強度を上げ、私たちの身の回りに使われる製品をしっかりと支えてくれているのですね。

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    【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!

    板金加工において、板金を好みの形に整形するために必要な「押出加工」。押出加工は金属特有の性質をフルに活用した加工方法なので、作業者の技術や経験が問われる加工方法でもあります。そんな押出加工に関して、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?「押出加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」工場を探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。押出加工とは押出加工は押出成形(おしだしせいけい)とも言われます。英語ではextrusionと訳します。押出加工とは金属の塑性加工の一種で、耐圧性の型枠に被加工物(金属)を入れ、それに高い圧力を加え、一定断面形状のわずかな隙間から押し出すことで希望の形状に加工する技術のことです。押出加工の仕組み①型枠に被加工物を入れる②高い圧力を加える③わずかな隙間から押し出す④希望の形に成形されるいうなればところてんの製造のようなものですね。ところてんは細い筒状のところに寒天を押して絞り出しますよね。そのような仕組みのものといえます。押出加工の2つの種類~温間押出と冷間押出~押出加工には温間押出(おんかんおしだし)と冷間押出(れいかんおしだし)の2つがあります。温間押出とは?温間押出は、その文字が示す通り、被加工物(金属)の温度が常温よりも高い424℃~975℃で行う押出加工のことです。加工に必要な力や材料の展延性によっては扱いやすい温度で、常温より高温でありながら材料が再結晶化しない程度の温度内で行います。再結晶化してしまうと性質が変わってしまうので、そのギリギリのところで作業するのです。金属には伸びたり縮んだりする性質がありますよね。それを展延性といいます。延性は材料に引っ張る力を加えた際の変形する性質をいい、もっぱら針金状に延ばせるかどうかを判断材料とします。かたや展性は、圧力を加えたとき、材料が変形する性質をいいます。材料を鍛造や圧延などで加工し、薄いシート状に成形するときに示される性質を指します。この2つの性質を合わせて展延性といい、常温より高い温度で押出加工することを温間押出というのです。展性・延性とは?延性…「引っ張る」力を加えたときに変形する性質展性…「圧力」を加えたときに変形する性質冷間押出とは?文字通り、冷たい温度と言いたいところですが、さにあらず。絞り、引抜、圧延など金属の塑性加工を再結晶温度より低い温度で行うことです。常温加工とも言います。温間押出に対して使われる押出法で、材料の熱による変質などがないため寸法精度の高い加工に向いているものの、加工硬化(金属に応力を与えると塑性変形によって硬さが増す現象のこと。ひずみ硬化とも)が生じるのが難点でもあります。keyword加工硬化…塑性変形を行うことによって、硬さが増すこと冷間押出は、これまで加工時に発生する高い変形抵抗により、昔はアルミなど材料が軟質であることに限られていたものの、最近では材料の研究や加工台の開発などでこれまで難しいとされていた材料の加工ができるようになったのです。常温で材料を押出す冷間押出では、材料を加熱しないため、その強度低下を防げることや熱による膨張・変質がないことがメリット。また、酸化しにくく、高温で脆弱となる素材に適していることなどもメリットとして挙げられますね。押出加工の様々な種類前方押出押出加工のひとつに前方押出があります。直接押出とも言います。これはラムやステムと言われる押し出し機の進む方向と同じ方向に材料を押し出す工法のこと。まさにところてん製造機のようなものですね。この工法は非常に古くから知られていました。1797年イギリスでJ.Bramahなる人物が、鉄製のポットの中で鉛を溶かし、冷却凝固させながら管に押し出したのが始まりと言われています。引用元:モノタロウ後方押出後方押出は、間接押出とも言われます。これは、ラムやステムの進む方向とは逆の向きに材料を押し出す工法のこと。この工法では材料とラムやステム、ダイスなど加工機との間に摩擦力が発生しないので、直接押出に比べて、やや低い材料温度や比較的小さい押出力で稼働できるのがメリット。その結果、材料の変質が少なく、安定した品質の製品が生産可能になりました。引用元:モノタロウこのほかにも静水圧押出やストローのような中空状の形状を形成する加工なども可能です。いずれも材料の性質を知り尽くしていないことにはできない作業であることがお分かりいただけると思います。押出加工の使用製品例押出加工によって、現代では金属別にさまざまなものが形成されています。車のシャーシや部品などのほか、テレビや冷蔵庫などの家電の一部など、さまざまな用途で押出加工によって製品の部品が作り出されています。代表的な加工物としては針金状の金属でしょう。同様に中空状に穴の開いた形状の金属も作られます。比較的単純な形状のものに限られるように思われがちですが、金属の展延性を知り尽くした昨今では、たとえば軽い金属などで身の回りの製品のほとんどを作り出すことができるようになりました。まとめいかがでしたか? 押出加工の概略をご紹介いたしましたが、何となくわかっていただけたでしょうか。押出加工ときたら、まずはところてんの製造を思い出してください。寒天が金属です。圧力を加えることで金属が押し出されて思いの形として出てくる。これが押出加工の基本です。覚えておくとよいですね。

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    【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!

    銅と言えば、日本人なら誰もが使っている10円玉やオリンピックの銅メダルなんかが真っ先に思い付くでしょうか。実は銅は10円玉だけでなく、1円玉以外のすべての硬貨に使われていたりするんですよ。今回は私たちの生活の中に意外なほど溢れている銅のについて紹介していきましょう。まず銅の基礎知識を始めとして、順に銅の特徴と用途、そして最後に真鍮について解説していきます。銅の基礎知識銅の歴史銅と言うと金銀銅というイメージからちょっと高価なものという印象があるかもしれませんが、製造業においては重要な加工素材です。現在、金属資源として大量に使われている銅素材ですが、実は太古の時代から利用されていて、人類が最初に使い始めた金属と言われています。青銅器時代と呼ばれる時代がある通り、銅は青銅器や和同開珎などの貴重品から武器や農具といった一般的に使われる道具まで、昔から大変よく使われていた金属なのです。銅の種類銅の種類には先ほどから出ている青銅のほか、純銅や真鍮、白銅などがあります。この記事でも取り上げる真鍮(しんちゅう)とは銅の仲間の一つなんですね。真鍮は別の言い方で黄銅(おうどう)と呼ばれる黄色い銅で、五円玉や仏具などに使用されます。純銅とは工業用に製造される赤色の銅のことを言います。普通の銅は多くの不純物を含んでいるので、製品や部品の材料などに扱う際は、不純物を可能な限り取り除いた高純度な銅にします。そして、その純銅にすずや亜鉛を加えることで青銅や真鍮となり、色彩も変わるのです。銅の種類を硬貨に沿って紹介していくと、5円玉は真鍮、10円玉は青銅、50円玉と100円玉は白銅、500円玉はニッケル黄銅で作られています。銅の種類と使われている硬貨5円玉=真鍮10円玉=青銅50円玉・100円玉=白銅500円玉=ニッケル黄銅10円玉は赤色ですが純銅ではなく青銅なんですね。色が赤いのは青銅の材料であるすずの割合が少ないためです。ちなみに1円玉の材料はアルミですね。銅ではありません。銅は他にも洋白、クロム銅、ベリリウム銅など普段聞き慣れない種類が数多くあります。銅の特徴銅は優れた性質を持ち、いろいろな加工方法をとれるため、身の回りの製品から工業製品まで幅広く活用されています。その分野は工業だけでなく、医療・船舶・建築業など様々。それでは、現代だけでなく古来より人々の支えになっている銅の特徴について理解を深めていきましょう。銅の特徴①加工性が高い②耐食性が高い③熱や電気が伝わりやすい④抗菌作用がある⑤見た目が綺麗に仕上がる①加工性が高い銅は柔らかいので伸ばしたり押し込んだりして形を変えやすい金属です。そのため銅線、銅板、銅管、銅棒など多種多様な製品を作ることができます。加工の方法も曲げ加工や切削加工、絞り加工と様々な方法がとれるため、複雑な形にしたり細かい模様を描いたりすることもしやすい金属です。また、銅は金属としての寿命も長いため、市販の製品以外にもバルブや歯車といった長期間の使用が求められる部品にも多用されます。②耐食性が高い耐食性とは錆びのことです。銅は他の金属と比べて錆びにくい性質を持っています。たまに何百年、何千年も前の埋蔵品が出てきたというニュースを見聞きすることがあると思いますが、それは銅が錆びにくいのが一躍買っているんですね。この錆びにくい性質を利用して、屋根や船のスクリューなど建築や船の材料としてもよく使われます。③熱伝導率や導電性が高い銅は熱が伝わりやすく電気を通しやすい金属です。もともと金属は熱や電気が伝わりやすい素材ですが、銅は金属の中でも特に優れた熱伝導性と導電性を持ちます。その特性から熱交換器や電子機器の材料として多用され、今やエアコン、冷蔵庫、パソコン、携帯電話など生活に欠かせない金属となっています。④殺菌作用がある銅には殺菌作用があります。金属に殺菌作用というとピンとこないかもしれませんが、科学的な実証実験により何種類もの細菌に対して効果があることが分かっています。有名なところではO-157やノロウイルスなんかにも殺菌効果があるようです。硬貨の製造には銅が採用されていますが、これも殺菌効果があるというのが理由の一つなのです。⑤見た目が綺麗に仕上がる銅は赤、黄、白といった様々な色の種類があり、仕上がりにも鮮やかな色調や光沢が出せるため綺麗に仕上がります。硬貨も長年使い続けられたお金は黒ずんでいますが新品は綺麗ですよね。硬貨以外にも銅で作られた製品や建物は鉄製やアルミ製のものより高級感が漂います。特に真鍮は金色になるので高級感がグッと増します。手間は掛かりますが手入れをすることで綺麗な色合いを持続させることができますし、他の金属よりも錆びないので製品としても長持ちします。ただし、値段も相応に見た目通り高いのがネックだったりしますね。銅の用途では、優れた特徴の多い銅が何に使われているか見ていきましょう。生活の中でいろいろな使われ方をしている銅ですが、パッと思い浮かぶものはそれほどないかもしれません。ですが銅は、隠れたところで人々が暮らしていくのに欠かせないほど広い分野で使われています。日用品用途:鍋、やかん、フライパン、抗菌スポンジなど鍋やフライパンには鉄製、アルミ製、ステンレス製といった種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。銅で作られたフライパンには熱が広がりやすいというメリットがありますね。熱を通しやすいという銅の特徴が活かされているのです。他にも、銅の性質である錆びにくかったり殺菌効果がある点も、やかんやスポンジなどの日用品に備えることができます。ただ、銅製の日用品は重い・値段が高いといった手を出しにくい点がネックとなっている側面がありますね。そのため、安くて扱いがお手軽な鉄製やアルミ製の商品が使われていることが大半で、銅製の日用品を目にする機会はあまりないという背景が伺えます。家電製品用途:テレビ、パソコン、エアコン、スマートフォン、冷蔵庫など銅が生活必需品であることが分かるラインナップですね。主に銅の導電性や熱伝導性を利用した製品に使われています。熱伝導性が高いということは熱くなりやすい反面、冷めやすい性質も持つことになるので、エアコンや冷蔵庫を作るのに適しているのです。また、銅の加工がしやすいという利点も製品内部の細かい部品を作るのに重宝されています。車両・船舶用途:自動車のガスケット、エンジン、ブレ-キパイプ、船の船底など自動車には多くの銅製の部品が組み込まれています。エンジンやブレーキパイプなどの走るための部分以外にも、エアコンやオーディオ、カーナビなど多くの機能が求められる車は、通電性の良い銅が電子機器に数多く使用されています。船では銅の耐食性が役に立っています。船のスクリューにはアルミニウム青銅という銅が使われていたり、船の船底には銅が塗られていたりします。引用元:銀星の瓦版船底とは画像の赤く塗られている部分ですね。実はこの部分はデザインのためではなく、水棲生物が引っ付かないようにするためと錆びにくいようにするために船底を守っているのです。船底にフジツボや海草などの水棲生物が大量に引っ付くと、船の重量が増してしまいスピードが落ちるのに加え、余計な動力を消費して燃費が悪くなります。そういった船の劣化を防ぎ安全な航行を維持するため、船の底の部分には銅が含まれる赤い塗料が塗られているのです。建築物用途:ドアの取っ手、家の屋根板、電柱の電線、配管など家の屋根板や給水管・ガス管などの配管は錆びにくいように銅が使われることが多いですね。ドアの取っ手は錆びにくさにプラスして殺菌作用も加味して銅が使用されています。電柱の導線は伝導率の良さから昭和の頃は銅が使われていました。今となっては軽くてそこそこ伝導率の良いアルミの電線がほとんどですが、一昔前までは銅が主流だったのです。引用元:モノタロウ電線こそアルミに取って代わられましたが、ワイヤーや画像のような銅線は今でも耐食性や柔軟性を買われ銅が重宝されています。その他の製品用途:貨幣、ばね、ボルト、銅像、金管楽器など貨幣や銅像は言わずもがな、ばねやボルトなどの機械部品にも銅素材が使われることがあります。特にトランペットやホルンなどの金管楽器は主に真鍮や洋白を古くから材料にしています。錆びにくい・加工がしやすいといった機能的な面だけでなく、材料によって音の響きや重厚感が変わってくるので、より重要な役割を担っていると言えます。真鍮真鍮(しんちゅう)とは銅に亜鉛を混ぜた合金で、黄色、または金色をした銅のことです。先にも説明しましたが真鍮は黄銅(おうどう)とも呼ばれます。元が銅なので金属としての性質も銅と似ていますね。黄銅は知名度としては青銅に劣るものの、実は使用頻度で言えば黄銅の方が圧倒的に高くなります。銅を伸ばしたり圧縮したりして加工する製品を伸銅品と言いますが、その伸銅品の内もっとも多く使われるのは黄銅です。そして次に使われるのが銅(純銅)で、銅の使用率は黄銅と銅でほとんどを占めていると言われています。青銅は一般的に有名ではあるものの、そこまで使われている銅ではないんですね。引用元:NETSEA SHOPLIST.com真鍮は5円玉や金管楽器の他、その綺麗な色合いからアクセサリーやアンティークに使われていたりします。画像のネックレスやアンティークも金色に輝く色彩がとても美しく高級感がありますね。ただし、真鍮は銅が素材なので、時間が経つと酸化により黒ずんでしまいます。5円玉も製造されたばかりの硬貨は綺麗ですが、何年も経つと汚れたように黒くなってしまいますよね。あれは空気や人の手に触れたことで酸化してしまっているのです。ですが真鍮は酸化により黒ずんでしまっても、専用のクリームやお酢で磨いて手入れをすることにより元の輝きに戻すことができます。定期的に手入れをするのは少々手間ですが、真鍮製の宝物はいつまでも綺麗なままで保っておくことが可能なのです。まとめ銅について説明してきましたが、使いやすい・性能がいい・美しいと3拍子そろった金属でしたね。想像よりも使い道が多い素材だったのではないでしょうか。銅は加工素材として便利なだけでなく、古くから装飾品として人気がある奥ゆかしさがあります。スマートフォンや車の部品などの新しい製品から埋蔵品やアンティークといった骨董品まで、用途として幅が広いだけでなく大昔から活用されている歴史の長い金属なんですね。

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    【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説

    金属を叩いて鍛える鍛造と、金属を溶かして成型する鋳造。どちらも金属の形を成型する工程であり、どちらも型を用いる点でよく似ていますが、それぞれの工法のメリット・デメリットや、作られた製品が持つ特徴は全く異なります。今回は、そんな鍛造と鋳造の違いについて、各工法の特徴から、車のホイール、ゴルフクラブ、エンゲージリングといった鍛造と鋳造両方で作られる製品の違いまでを解説します。鍛造と鋳造の違い鍛造加工と鋳造加工それぞれの大まかな工程や特徴から、違いを確認していきましょう。なお、今回はなるべく分かりやすく比較するため、鍛造は型を用いる「型打ち鍛造」をベースに、鋳造は砂で作った鋳型を用いる「砂型鋳造」の特徴をもとに、鍛造と鋳造を比較します。鍛造加工と鋳造加工の工程は、それぞれ次の通りです。鍛造加工の工程引用:シンエイコーポレーション工程①素材の切断と設置②圧縮・打撃により力を加える③さらに力を加える④金型から取り出して成型完了①素材の切断と設置成型したい素材を、金型でプレスする位置に設置します。このとき、素材が金型に対して大きすぎる場合は、事前に切削加工などを施して加工をしやすくします。②圧縮・打撃により力を加える圧縮・打撃によって力を加えるとき、素材をどのような温度で加工するかによって「冷間・温間・熱間」と種類が分かれます。常温に近い温度で加工すればするほど強度が高くなる一方で、素材が変形しにくいため複雑な加工が難しくなる傾向にあります。③さらに力を加える圧縮・打撃を受けた金属は、金属内部の気泡などが圧着されることで欠陥がなくなり、結晶が微細化して結晶方向が揃うため強度が高くなります。このとき方向の揃った結晶組織が形成するラインを、鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)と言います。なお鍛造は素材の強度を保ったまま成型するため、力を加える工程が重要ですが、この工程のために鍛造はほかの加工法に比べて製造コストがかかるともいわれます。④金型から取り出して成型完了金型から取り出した製品は、通常さらに切削加工などを加えて仕上げますが、ネットシェイプ・ニアネットシェイプといった精度の高い鍛造加工を用いると、後加工が不要になる場合もあります。■鋳造加工の工程引用:シンエイコーポレーション工程①素材を溶融②溶融させた素材を金型に流し込む③流し込んだ素材を冷却して固める④鋳型から取り出して成型完了①素材を溶融素材を電気炉などの高温で溶かし、液体にします。②溶融させた素材を金型に流し込む液体化した素材を取り出す作業を出湯、鋳型に流し込む作業を注湯と言います。③流し込んだ素材を冷却して固める鋳造では物体に力を加えないため、冷却時に物体内部に応力が残る可能性があり、これにより強度が下がる可能性があります。④鋳型から取り出して成型完了鋳造で用いる型を鋳型と呼び、その他の加工法で用いられる金型とはやや扱いが異なります。まず鋳型は木型や発泡型という元となる型を作成し、それをもとに砂型という製造用の型を作成します。砂型は一度使ったものは基本的にバラすため、鋳造では型を取り外すのが難しい複雑な形状も製造することが可能です。工程から見る鍛造加工と鋳造加工の違い鍛造加工が強度に優れるのに対して、鋳造加工は形状の自由度が高いのが特徴です。■鍛造の場合鍛造は素材に何度も強く力を加えることで、金属中に気泡が発生しづらく、適切なメタルフローラインを形成することで非常に耐久性のある製品を作成することができます。しかしそのぶん加工にはかなりの力が必要であり、時間もかかります。複雑な形状に関しては、そもそも型が対応していない場合もあります。■鋳造の場合鋳造は型の自由度が高いため、複雑な形状でも比較的安価に作成することができますが、一方で溶融した金属を冷却して固める際に内部応力が残る場合があり、製品の強度に不安が残ります。応力を取り除く加工も可能ですが、仕上げの段階でそういった工程が入ることを考えると、必ずしも鋳造のほうが低コストで済むとは限りません。一般に、加工に時間がかかるため鍛造加工は大量生産には不向きであり、鋳造のほうが低コストで加工可能なため大量生産向きであるとされています。しかしどちらも同じ型を何度も使用できる点は共通であり、後加工の要不要も加工精度によるため、一概にそうとは言い切れない部分もあります。例えば型の作成にかかるコストは、木型や発泡型の砂型鋳造が低く済みます。そのため、少量多品種生産においては砂型鋳造のほうが圧倒的に向いていると言えるでしょう。しかしこれについても、型を用いない自由鍛造であれば同じく少量多品種生産に向いていると言うことができます。鍛造品と鋳造品の違い鍛造と鋳造は、用いる工法によっても異なる特徴を持つため、強度や形状以外の面で単純比較することは難しいと言えます。しかし、鍛造品と鋳造品では明らかに傾向的に違いがあるのも事実です。そこで、より分かりやすく鍛造と鋳造の違いを把握するため、続いて鍛造品と鋳造品の具体例から両者の違いを比べてみましょう。①アルミホイールアルミホイール鋳造ホイール鍛造ホイールメリットコストが低いデザイン性の高いホイールの製造が可能軽量かつ高強度で車の性能を活かしやすいサイズの精度が高い大径のホイールに適しているデメリット鍛造より強度が低い強度を確保する場合は肉厚になり重量が重くなるサイズ精度が低いコストが高い②ゴルフクラブゴルフクラブ鋳造ゴルフクラブ(初心者・アベレージ向き)鍛造ゴルフクラブ(中上級者向け)メリットコストが低いヘッド形状を複雑にできる複数の素材を組み合わせることも可能易しくミスに強いライ角などの調整が可能デメリットコストが高いポケットキャビティ―構造などの複雑な形状は不向き③リング(婚約指輪・結婚指輪など)リング鋳造リング鍛造リングメリット大量生産可能でコスト低い複雑で繊細なデザインも実現可能強度が高く変形に強い24時間つけていたい結婚指輪に向いているデメリット耐久性に劣る力仕事、スポーツ、家事などでゆがむ可能性デザインはシンプルなもの手作業が多く注文から時間が掛かる場合あり具体的な製品例を見ると分かる通り、総じて、鍛造は強度が高い一方でコストが高く、鋳造は強度で劣るものの複雑形状を作りやすい、というのが大きな違いと言えます。ただあくまでも鍛造品の方が強度が高いだけであり、必ずしも精度の高さなどと直結するわけではありません。複雑な形状を無理に鍛造で作成しようとしても、かえってコストがかさむばかりです。ぜひ素材や形状などにあった、適切な工法を選びましょう。

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    【静岡県】で【板金加工】メーカー探しなら…腕の立つオススメ板金加工メーカー10選!

    みなさんが、業者探しをするのは、どのような場面でしょうか?「事業拡大のため、新しくこの加工ができる業者を探したい!」「今まで信頼してお願いしていたところが、後継者不足で廃業してしまって・・・」背景は様々かと思いますが、共通していることは、「早く、なんとかして新しい業者を決めたい!!」ではないでしょうか。とはいえ、まず直面するのが、「どこの業者がいいのかが分からない・・・」という問題。家電量販店を巡るように、いろんなところをチェックして、ベストなメーカーをチョイスできれば一番ですが、時間の制約や立地、気軽に入れない環境ということもあり、なかなかそうはいきませんよね。そこで今回の記事では、静岡県で板金加工メーカーをお探しの方に、腕の立つオススメの板金加工メーカー10選をご紹介します。【デザインに強み】山崎製作所基本情報住所:静岡県静岡市清水区長崎241番地TEL:054-345-2186/FAX:054-346-4392創業年:昭和45年加工:精密板金加工全般素材:ステンレス、アルミ、各種鉄鋼HP:https://www.yamazaki-metal.co.jp/会社概要表面処理・組み立て作業を含めた、製品の一貫生産から、パーツ部品製作まで対応しているのが、こちらの山崎製作所。20代~70代の技術者が現場でともに働き、熟練の技術を継承しています。メリット・デメリット社長をはじめ、技術や開発のフィールドで女性が活躍しているのも大きな特徴。こまやかな気遣いや繊細な感覚を活かし、山崎製作所が最も得意とするのは「デザイン」だそうです。板金に関わるデザインはもちろん、工作機械のデザインまで提案のフィールドを拡大し、経済産業省より、「地域未来牽引企業」に選出されています。以前、Mitsuriでも取材させていただきました!(詳しくはこちらです)こちらの工場では、主にレーザー・タレットパンチ複合機が使用されていますが、対応できる板サイズや板厚が限られているため、もし切断や穴あけなどの加工を必要とする場合は、適応サイズかどうか、事前に確認してみてください。製品例【素材からの一貫生産体制】矢部製作所基本情報住所:静岡県牧之原市大江1359-1(本社)TEL:0548-52-3121創業年:昭和48年加工:板金加工全般、溶接等素材:アルミ、ステンレス、各種鉄鋼HP:http://yabe-ss.co.jp/会社概要矢部製作所は、本社、菅ヶ谷工場、金型製造部の3つの工場を構え、切断、曲げ、組み立て、溶接、梱包まで行う一貫体制のメーカーです。製茶機械部品や、空調設備部品、各種機械部品加工、建設用モニュメント等を製作し、鉄、アルミ、ステンレスの板金加工に力を注いでいます。メリット・デメリット各工場には最新の機械が導入され、新鋭の機械と優れた人材により、新しい発想でものづくりを行っています。素材からの一貫生産体制を貫き、蓄積された技術力を駆使して、その精度と品質で信頼を獲得している点がメリットです。お急ぎの場合の特急対応や、小ロットの加工については、取り扱いが少ないようなので、要確認です。製品例【提案型板金設計開発】星製作所基本情報住所:静岡県沼津市小諏訪26-2(本社)TEL:055-926-8003/FAX:055-926-8004創業年:昭和42年加工:精密板金、溶接、塗装、樹脂加工素材:アルミ、ステンレス、銅、その他鋼板HP:http://www.hoshiss.com/index.html会社概要工作機械などの筐体から、少量生産の大型制御盤、機械部品などの板金・塗装・配線まで、一貫して請け負っているのがこの星製作所。県内3ヶ所に工場を構え、レーザーパンチ複合機の自動ラインより、量産品製造も行っています。メリット・デメリット提案型板金設計開発として、製品開発の段階から参加することで、部品製造の立場から、量産に適したモデルの提案を行い、全体のコストダウンを実現しています。また、試作品の検証データ提供など、サポート体制も整っているため、量産を見据えた試作が可能です。お急ぎの場合の特急対応については、扱いが少ないようなので、要確認です。製品例【大型板金の大量生産なら】晃永製作所基本情報住所:静岡県沼津市西沢田231-1TEL:055-923-5360/FAX:055-922-7248創業年:昭和55年加工:板金加工全般、精密板金加工、溶接、塗装、組立素材:ステンレス、アルミ、その他鋼板HP:http://www.koei-ss.co.jp/index.html会社概要短納期・試作品から、量産にも対応しているのが、こちらの晃永製作所。ステンレスの小さい板を最短納期で欲しい、といった要望から、5mを超える大型板金の量産まで、幅広いニーズに対応しています。メリット・デメリット板金設計、塗装、メッキ処理などの相談にも応じており、焼き付け塗装までの一貫した生産が可能です。ステンレス、アルミなどの板金・溶接加工にも実績をもち、工場の広さを活かして、大型板金の大量生産も行っています。3Dデータについては、取り扱いをしていない可能性があるので、事前に確認が必要です。製品例【短納期にも柔軟に】エスティ―基本情報住所:静岡県磐田市海老塚747-1(本社)TEL:0538-37-5136/FAX:0538-37-7438創業年:昭和61年加工:板金加工全般、溶接素材:ステンレス、その他鉄鋼HP:http://www.esty-s.jp/会社概要材料の仕入れから展開、切断、曲げ、溶接、表面処理と、納品まで一貫して対応可能なのが、エスティー。転造やタップ加工、穴あけ、ねじ切りなどの二次加工も行い、お客様に完成品に近い形で提供することを実現している企業です。メリット・デメリット切断のみ、溶接のみ、など一加工に特化した対応も可能で、図面がない場合や、急な設変対応、1個からの製作、短納期にも柔軟に応じてくれます。各種表面処理や塗装は、協力会社に依頼しているとのことなので、短納期の依頼の場合は事前に確認した方が良さそうです。製品例■2日対応:材SUS329/size50×100/ロット300■3日対応:材SUS304・316/size15A×300A/ロット1~5■3日対応:材SS/size200×250/ロット10【産業機械の製造なら】株式会社関東精工引用元:株式会社関東精工基本情報住所:静岡県富士宮市西山2103TEL:0544-65-1540FAX:0544-65-2301創業年:昭和35年加工:板金、切削、溶接、塗装、電装、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミなどHP:http://www.kantoseiko.co.jp/会社概要関東精工は、精密板金に強みを持つ総合金属加工メーカーです。産業機械や工作機械、またそのユニット部品などを、設計から機械加工、溶接、塗装、電装、組立まで一貫して請け負い製造しています。特に設計段階では、WEBを通してCADデータを顧客と共有。迅速かつ明解な設計提案を実現しています。メリット・デメリット独自の板金フレキシブル生産システム(FMS)を構築していますので、精密板金加工の多品種・小ロット生産に迅速に対応できます。マシニングセンタなどの切削加工機も多数保有。小物から大物、複雑形状から精密さを必要とする製品まで、多様なニーズに対応可能です。溶接にも力を入れており、技術を磨くと共に最新設備も導入。製缶やステンレス薄板の接合にも対応できます。吹き付け塗装と焼付け塗装にも対応。幅4000✕長さ3600✕高さ2400の水洗式塗装ブースを備えており、大物製品の高効率な塗装が可能です。特に苦手とする製品分野はありませんが、チタンなどの特殊金属の加工は対応していない可能性があります。事前に相談すると良いでしょう。製品例下の写真は、油圧タンク装置のユニット部品で、外装カバーの板金加工はもちろん組立工程では配線作業も実施されています。次の写真は、スプラッシュガードと呼ばれる工作機械のカバーです。100点以上の部品から構成されており、板金加工、機械加工、溶接、塗装を駆使して製作され、組み立てられました。続く写真は、医療機器で使用されるミキシングチャンバーです。厚さ3.0mmと1.5mmのステンレス(SUS316)部品を接合したもので、その溶接に高い技術が必要とされます。【工作機械カバーなら】株式会社畠山製作所引用元:株式会社畠山製作所基本情報住所:静岡県沼津市足高396-47TEL:055-921-3058FAX:055-922-0041創業年:大正11年加工:板金、切削、溶接、塗装、組立など素材:鉄などHP:http://www.hatakeyama-k.co.jp/会社概要畠山製作所は、主に工作機械や駆動・摺動機構のカバーを製作しているメーカーです。設計開発から機械加工、溶接、塗装、組立、保守管理まで、ワンストップで提供できる体制を整備。そのほか、機械の周辺装置や安全・防音カバーの設計、製作にも対応しています。メリット・デメリットレーザー加工機、レーザーパンチ複合機、マシニングセンタなどを保有しており、複雑形状の部品でも高精度に加工できます。最新鋭ベンディングマシンの熟練技能者による制御により、大型から小型まで多様なサイズの高精度な曲げ加工が可能です。駆動・電装部品を含む多数の部品から構成されるアセンブリの組み立てが可能で、動作確認にも対応できます。ただし、各種カバーを専門としているため、そのほかの製品のご依頼は要確認です。また、多品種・少量生産を中心に扱っているため、大量生産品については事前に確認することをおすすめします。製品例畠山製作所の製品例をいくつかご紹介します。下の写真は、工作機械のカバーであるスプラッシュガードです。スプラッシュガードは、切り屑の飛散を防ぐと共にその排出をコントロールします。次の写真は、工作機械の駆動・摺動機構を保護するテレスコカバーです。【長尺製品の加工なら】株式会社竜洋引用元:株式会社竜洋基本情報住所:静岡県磐田市南平松10番地1TEL:0538-66-2808FAX:0538-66-4660創業年:大正15年加工:板金、切断、溶接、塗装、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミなどHP:http://www.ryuyo.jp/会社概要竜洋は、主に建築用金属製品の設計・製造・販売を行っているメーカーです。大型製品加工専門の工場を保有しており、長尺製品の加工に強みがあります。溶接、塗装、組立にも対応しているため、設計から組立までの一貫した生産が可能です。また、アウトドア用品ブランドのマーベリックを保有。焚き火台や調理鉄板などの製造・販売も行っています。メリット・デメリット多品種・少量生産が可能な生産管理システムを構築しており、オーダーメイドやリピートに迅速に応えることができます。板金加工を得意としており、厚さ0.1mmから9mmまで、長さ12mまでの金属材の曲げ加工が可能です。塗装・組立にも対応していますが、塗装のみ、組み立てのみの作業は請けていません。また、NC旋盤やマシニングセンタは保有していませんので、削り出しを要する精密部品などには対応できない可能性があります。製品例竜洋の製品例をいくつかご紹介します。下の写真に見られるような、ステンレスの加工も請け負っています。5m超の薄くて長いステンレス製品にも対応しています。次の写真のような、建設部材も多数製造。過去10年で、数千種類の建築金物や建設部材を数千種類製造しています。続く写真は、折りたたみ可能なステンレス(SUS304)製の焚き火台です。【配電盤の製作なら】平井工業株式会社引用元:平井工業株式会社基本情報住所:静岡県田方郡函南町肥田519TEL:055-978-2722FAX:055-978-2974創業年:昭和44年加工:板金、切断、溶接、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅などHP:http://www.hirai-k.net/会社概要平井工業は、配電盤や各種制御盤、架台などを主に製作しているメーカーです。設計・製作・検査はもちろん、配電盤類に関する電気工事や土木工事、点検や維持管理までトータルに対応しています。また、板金加工も請け負っており、ステンレスやアルミ、銅製品の製造もしています。メリット・デメリット配電盤の工事だけでなく、太陽光発電システムや非常用発電機の設置など電気設備一般の工事も請け負っていますので、電力系統システム全体の構築をおまかせできます。また、配電盤類に関しては、既設盤の現地改造も引き受けています。ただし、板金加工では架台や筐体などを主に扱っているため、微細な加工を要する精密部品などには対応できない可能性があります。製品例平井工業の製品例をいくつかご紹介します。下の写真のような、動力制御盤などを主に製作しています。次の写真は、市庁舎に設置した配電盤です。この案件では、太陽光発電パネル設置なども含め、電気設備全体の施工も請け負っています。続く写真は、板金加工によって製作したアルミ製盤の筐体です。【レーザー加工なら】有限会社レーザテクノ静岡引用元:有限会社レーザテクノ静岡基本情報住所:静岡県静岡市清水区宮加三343-1TEL:054-334-3853FAX:054-334-5960創業年:昭和20年加工:板金、切削、溶接、製缶など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、樹脂などHP:http://laser-ts.co.jp/会社概要レーザテクノ静岡は、レーザー加工の受託や食品関連工場の機械付属設備、搬送設備などの製作を行っている板金加工メーカーです。レーザー加工に強みを持ち、デザイン性の高い看板文字や絵などの切り抜き加工も引き受けています。高い技術を要するステンレスの溶接も得意とし、多様なステンレス製品を製作しています。メリット・デメリットレーザー加工では、直径20mm~400mmのパイプ加工に対応。板金に対しては、厚さ12mmまでのステンレス、19mmまでの鉄、8mmまでのアルミなど、多様な厚さ、素材のレーザー加工を請け負うことができます。なお、ステンレスのクリーンカットにも対応しています。ファイバーレーザー溶接機を保有しており、高精度な溶接が可能です。ただし、NC旋盤やマシニングセンタは保有していません。削り出しが必要な加工には対応していないので、事前に確認することをおすすめします。また、一点物や少量生産品を主に扱っているため、大量生産品はご依頼できない可能性があります。製品例レーザテクノ静岡の3つの製品例をご紹介します。以下のような、微細かつ複雑な加工を要するモニュメントなどの引き合いが多いようです。まとめいかがでしたでしょうか。静岡県には、一貫体制で請け負っているメーカーが多くあり、各メーカー独自の強みを活かして顧客獲得に結びつけているようです。Mitsuriでは、静岡県に限らず、全国各地の加工メーカー様とお付き合いをさせていただいています。板金加工メーカーにお願いしたい…そんなあなたのために、板金加工のMitsuriが生まれました。板金加工でお悩みであれば、ぜひご相談ください!

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    【イベント】「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」から学ぶ、未来創造のための技術活用

    昨今、板金加工やものづくりの現場では、機械化・ロボット化が進んでいます。その中でも、特に注目されており、今後浸透していくと考えられているのが、「AI・IoT」化です。AI・IoTは、既存の産業をますます効率化し、新しいビジネスを生み出す可能性をもっています。人の暮らしそのものを大きく変える、とも言われていますが、「子どもの未来」を輝かしいものにするためには、どのような活用のしかたがあるのでしょうか。今回は、3月25日に開催されたイベント「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」のレポートをお届けいたします。AI・IoTとは?AI・IoTとは簡単にいうとどんな技術なのでしょうか。AI(人工知能)は、機械やソフトウェアが人間のような考え方をすることにより「データを分析して活用するもの」、IoTは、物がインターネットを介してつながることで「データを収集するもの」、と言い表すことができます。この二者が連携することで、私たちの生活は想像以上に便利で効率的なものになります。AI・IoTは既存の産業の効率化を促進し、新しいビジネスを生み出し、さらには人の暮らしそのものを大きく変える可能性があるものと言われています。特に、研究機関が多く集まる千葉県柏市では、AI・IoTに関する様々なプレーヤーが最先端の研究・実践を行なっています。AI・IoTと少子高齢化今日の日本が抱える問題の一つに、少子高齢化が挙げられます。少子高齢化は全国共通の課題となっており、「まちづくり」の中心に「子ども」に関するテーマを設定している自治体も数多くあります。そのような地域では、行政のみならず、多くの民間・個人のプレーヤーが様々な活動・サービスを行っていますが、ここにAI・IoTを掛け合わせることで、AI・IoTを活用した最先端の「子どもの未来をかがやかせる」サービスが生まれる可能性があるのではないか、と考えられています。 本イベントの目的今回、柏の葉キャンパスで開催されたイベント「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」では、幅広い分野の人々との対話を通してこの可能性を追求し、AI・IoTを活用した「子どもの未来をかがやかせる」新たなサービスを、自由な発想で生み出すことを目的としています。行政や研究機関、一般企業、中小ベンチャー企業など、様々な所属の参加者が集い、「子どもの未来」にフォーカスを当て、情報収集・議論・発表を行いました。会場:柏の葉キャンパス オープンイノベーションラボKOIL引用元:KASHIWA-NO-HA SMART CITY イベントの流れStep1「AI/IoT」に関する最新の状況を理解するStep2「AI/IoT」によって「子どもの未来」がかがやくシーンを描くStep3「子どもの未来」がかがやくシーンを実現する「AI/IoT」を活用したサービスアイデアを考えるStep1:「AI/IoT」に関する最新の状況を理解する(株)ファーストアセントの服部伴之氏と(株)カラダノートの彦坂真依子氏から、現代の子育てにおける育児や産後うつなどの課題解決として、AI・IoTを活用した事例の紹介がありました。彦坂氏は、子育てと最新技術を掛け合わせた取り組みを「子育Tech」と名付け、AI・IoTで実現できることとして、①育児記録の共有・効率化②育児データの情報収集③コミュニケーションの3つを紹介しました。AI・IoTで実現できる子育て支援①育児記録の共有・効率化②育児データの情報収集③コミュニケーションAI・IoTの介入が進んでいる海外の育児状況や、日本の子育て特有の「人の手間ひま=愛情≠技術」という考え方の中で、どのようにAI・IoTを取り入れていくかが課題であるという指摘も挙げられました。この最新の取り組みを導入として、「子どもの未来」がかがやくものになるためのAI・IoTの活用方法について、6つのグループごとにディスカッションを進めました。Step2:「AI/IoT」によって「子どもの未来」がかがやくシーンを描く4~5名の6グループ毎に、「子どもの未来」がかがやくシーンを考えるにあたり、まず「子どもがかがやかない未来とは?」を議題にブレーンストーミングを行いました。「AI・IoTに親が依存してしまい子どもが管理対象になってしまう未来」「子どもが自発的に学ばなくなる未来」「遊びの心がなくなってしまう未来」など、子どもが幼少期に獲得するべきことに対して、無関心になってしまうことや、技術依存が起こることについての意見が多く挙げられました。後半はグループシャッフルを行い、他グループで得られた意見を共有し、より様々な意見について触れる時間が設けられました。特に育児中の参加者からは、「親がかがやかない社会では、子どももかがやけない」など、切実な言葉も聞こえました。 Step3:「子どもの未来」がかがやくシーンを実現する「AI/IoT」を活用したサービスアイデアを考えるStep2でグループごとに洗い出した意見から、代表となるものを2つ掲示して、強く共感する内容に投票し、Step3ではその内容ごとにチーム編成して提案内容を練っていきます。「子どもがかがやかない未来」をもとに、どうすれば「子どもがかがやく未来」が実現するのか、意見を出し合います。例えば、子どもにとって「感動がない未来」を避けるためにはどうすれば良いのか。「生き方の選択肢を知らない未来」にならないためには、どのような提案ができるのか。その議論を元に、課題解決策としてのAI・IoTの活用方法を提案します。各チーム毎に提案内容を一枚の紙にまとめ、全体発表会として最後はプレゼンテーションを行いました。発表では、「個性と共感を育むために、子どもと社会・他の子どもを結びつけるマッチングAI」や、「子どもの選ぶ力・考える力を伸ばすために、『正解』を教えないAI」など、各チーム個性豊かなアイディアが提案されました。また、実現のために必要なリソースについても検討し、実用化に向けて一歩踏み込んだ提案内容になりました。 まとめAI・IoTの活用は、現在の日本が抱える課題を解決するだけでなく、望ましい未来の創造にもつながります。本イベントでは、「子どもの未来」にフォーカスを当て、参加者それぞれが、現代の子どもをとりまく環境や、未来の子供に獲得してほしい体験・感情について考え、技術発展の中でそれらをより良いものにしていく方法を検討しました。今後より一層AI・IoTが身近になる中で、私たちはそれに依存することなく、使い方や使う意図を考えて、望ましい未来のビジョンを描きながら活用していくことが大切なのかもしれません。

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    第3回 圧接とは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

    本シリーズでは、溶接加工に関する知識が全くない方でも、読み進めていくことで溶接加工について理解できるようになることを目標にしています。シリーズ第3回目の本記事では、溶接の種類のひとつである圧接について、「圧接とは何か?」を理解するために、加工法の定義や種類、メリットデメリットなどを解説します。圧接(加圧溶接・固相接合)とは圧接は加圧溶接の略で、通常は被溶接材料(母材)を溶かして液相にせず固相のまま接合することから、固相接合ともいわれます。具体的には、金属などの被溶接材料の接合部に、機械的圧力を加えて接合する加工法です。機械的圧力とは、文字通り機械によって加える圧力のこと。そのため数値制御が可能で、FA=ファクトリーオートメーションで広く用いられています。なおそのほかの溶接の一種である融接とは違い、圧接は圧力だけで接合するものばかりではありません。例えば摩擦圧接では摩擦熱によって被溶接材料を発熱させてから圧着しますし、熱間接合では、ガスの炎によって加熱圧着させます。圧接の代表的な種類圧接の主な種類には、ガス圧接、摩擦圧接、抵抗溶接、拡散接合、超音波圧接、爆発圧接などがあります。ガス圧接主に鉄筋などの接合端面を、酸素・アセチレンバーナーで1200~1300℃に加熱して、赤熱させ突き合わせて接合する圧接法です。非常に簡易なことから、建築現場などで使用されています。摩擦圧接引用:松井鋼材株式会社摩擦圧接は、部材を突き合わせて片方を回転させて、接触部に発生する摩擦熱によって接合部を加熱し、さらに加圧して接合させる圧接法です。円形断面を持った材料の、突き合せ接合に適しています。母材を液相にせず、軟化させた固相状態で接合するので、通常溶接では難しい、写真のような異種金属同士の接合も可能です。その他の溶接法と比べて、熱源を必要とせずガスやスパッタ(溶接時に溶けた金属が飛散して粒状に固まったもの)も出ないので、自然環境にやさしい接合方法とも言えます。しかし回転させながらの加工が必須となるため、円形断面など、回転可能かつ回転時に均一に力が加わる形状でなければ摩擦圧接には適しません。そのため、材質的に問題はなくとも形状的に摩擦圧接以外の工法を選択せざるを得ないケースは多いでしょう。抵抗溶接引用:ハイメカ株式会社抵抗溶接は、被溶接材料を重ね合わせて、溶接部を電極で挟み加圧して電流を流し、溶接部位の接触抵抗に発生するジュール熱でお互いを溶融接着させる金属接合法です。大電流を使いますが、電圧が低いため感電の危険はありません。抵抗溶接のメリットは、プロセスを自動化しやすく、アーク溶接やガス溶接などと比べ仕上がりが作業者の熟練に左右されない点。また短時間で溶接できるので、安価で大量に製造する生産方式に適しています。しかし大きな電流が必要なので、電気設備が必要になるケースもあります。また被溶接材料の材質やサイズによって溶接条件が変わるので、はじめに厳密に条件出しをしなければいけません。拡散接合清浄化された表面を重ね、あるいは突き合わせて高温に加熱し、母材の原子の拡散によって接合させます。異種材料の、精密な接合に適しています。超音波圧接超音波圧接では、被溶接材料の端面部に超音波振動を加えて、摩擦圧接と同じ原理で接合させます。固相状態で接合する点で摩擦圧接などそのほかの圧接法と同様ですが、超音波の振動によって接合断面の不純物を取り除いてやがて結合する、という原理のため摩擦熱があまり発生せず、プラスチックなど非金属にも使用できるのが特徴です。爆発圧接爆発圧接は、爆着などとも呼ばれ、爆薬の爆発衝撃力によって接合部を高速で塑性変形させ接合させる工法です。異種金属同士を全面にわたり金属組織的に接合できるため、チタンー鋼など、融接での接合が難しい材料の組み合わせに適しています。爆薬以外に特別な機器を必要とせず、被溶接材料のサイズにも基本的に制限がないため、多品種少量生産が可能です。ただし、加工の性質上取り扱いに注意が必要な点と、爆発音が生じるため加工場所が制限されることが難点です。圧接と他の溶接の違い溶接には、圧接以外に融接やろう付という加工法があります。それぞれの特徴と比べた、圧接法のメリットデメリットを確認してみましょう。なおここまで紹介した通り、圧接法と一口にいってもその種類は多岐にわたるため、続いて解説するのはすべての圧接法に当てはまる特徴というよりも、あくまでもそういった傾向がある、といった程度に認識していただければ幸いです。圧接法のメリットは、おおむね次の通りです。圧接のメリット・特殊な機器や技術を必要とせず、比較的導入が容易・材質やサイズを選ばない加工法が多い・異種材料間での加工に適している・固相のまま接合するため材料が痛みにくくリサイクルに適している・溶接材が不要で、ガスやスパッタの発生しないクリーンな加工が可能対してデメリットは次の通りです。圧接のデメリット・円形断面など、形状が特に限定される工法がある・圧力が均一に加えられない複雑な形状には不向き・加工断面の確認ができず施工管理が難しいまとめ「ゼロからわかる!溶接加工!」シリーズ第3回は、代表的な圧接法や、そのメリット・デメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。次回はろう付について解説し、その後はアーク溶接やガス溶接など、融接・圧接・ろう付、各圧接法の代表的な加工法について紐解いていきますよ。

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    3Dプリンタとは?3Dプリンタの基礎を丁寧に解説!

    一時期製造業に革命を起こしたと叫ばれ、世間を賑わせた3Dプリンタ。皆さんもテレビのニュースやネットなどで一度はその言葉を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。発売当初は1台1000万円を超え、その高額すぎる値段に誰もが手を出せないでいた革命の品ですが、近年では1台数万円で済むほど安価になっている物もあるのはご存知でしょうか。今回の記事は、そんな個人でもお試しで購入できるようになった3Dプリンタについて紹介していきたいと思います。3Dプリンタとは?普段私たちが使うプリンタというと、コンビニなどにある文字を印刷する機械を想像するかと思います。内部の機器が小刻みに動いて独特な音とともに高速で印字がされていき、その速度は人間が書くスピードを軽く凌駕します。3Dプリンタはそれの物バージョンという感じです。パソコンで設計したデータを実物として形成し、設計通りの形状で再現できます。コンピュータで作ったものを現実にコピーするような感覚ですね。3Dプリンタはパソコンでデザインが描ければ後は自動で作ってくれるので、製作時間の短縮だけでなく、製作中も他の作業ができて非常に時間効率が良くなります。引用元:RICOH上の製品の画像は3Dプリンタで作られていますが、とても印刷されたとは思えないぐらい精巧な作りですね。これほど様々な製品がたった一台で、しかも短時間でできるのが3Dプリンタの魅力です。3Dプリンタは他の工業製品と比べて発売したばかりで、まだまだ発展途上ですが、その活用の幅にはすでに目を見張るものがあります。3Dプリンタの活用事例発売当初から幅広い活用方法が見込まれていた3Dプリンタ。その期待通り、工業だけでなく建築や医療、はたまた教育まで様々な分野で絶賛活躍中です。主な活用例としては、建築では建物の模型、医療では義手や臓器のモデル。教育の分野では実際に3Dプリンタを使った授業などに使われています。引用元:AERAdot. RICOHでは肝心の工業の分野ではどうでしょうか。工業の分野では、なんと製品を作る一連の流れ全体で、3Dプリンタの活躍が見られます。企画・設計の段階では製品の見本として模型や試作品が作られ、製造の段階では治具や金型として縁の下の力持ちの働きを見せ、製品化の段階では、少量ではありますが実際に3Dプリンタで作ったものが商品として売られているほどです。治具とは素材を加工する際に、素材を固定したり、寸法を統一するための目印に使ったりするものです。裁縫の時に使う待針のようなものですね。そして金型とは、金属を加工する際に形を一定にする原版のようなものです。子供が砂遊びをする時に、砂をコップに入れてひっくり返すことで形を作って遊びますが、そのコップのような役割をするのが金属加工で言う金型です。さらに、3Dプリンタでは個人で作った物も販売されています。たまにテレビやネットのニュースで取り上げられているものとして、3Dプリンタで作ったフィギュアやスマホケースがあります。3Dプリンタは大量生産こそ今の技術ではまだできませんが、質の方では負けず劣らず、高い品質の商品が市場で売り出されています。3Dプリンタは実用されてまだ間もないですが、活用の幅は非常に広く使われています。3Dプリンタの造形方法3Dプリンタの造形方法にはいくつかの種類があり、使用できる材料が造形方法により異なります。材料は一番よく使われているもので樹脂、加えて金属、ゴム、石膏など。個人向け用と業務用があり、個人向け用の3Dプリンタは造形方法が一つしかありませんが、業務用にはいくつか種類があり、使用できる材料も様々です。値段も業務用のは数百万しますが、個人用のは数万程度と、値段に比例して大きさや性能にも相応の開きがあります。個人向け用の3Dプリンタの造形方法個人向け用の3Dプリンタの造形方法は、熱溶解積層法(FDM)と呼ばれる1種類だけで、使える材料も樹脂しかありません。熱溶解積層法は固められた樹脂を熱で溶かして、糸のような細い線を積み重ねて形を作ります。そうして塔を作るように足元から上の方へと少しずつ樹脂を重ね、立体物へと作り上げていきます。機器が細かく忙しく動いている様子は、まるで早送りのビデオでカイコが繭を編み合わせていくようで、ある種の関心を覚えます。引用元:3DプリンタのJapanese Makersですが先ほども述べた通り、やはり安い装置だけあって精度はそれほどでもありません。業務用の高い3Dプリンタは期待通りの再現力を持ち、細かい文字や模様もくっきりと写し出せますが、安物の3Dプリンタですと細かい文字は潰れてしまっていたり、再現できる物の大きさも小さめの物しかできなかったりします。また、一つ作るだけでも製造に2~3時間掛かかったり、音がうるさい、3Dプリンタ自体が壊れやすいなどの難点もあります。個人でも安価で買えるようなった3Dプリンタですが、今の時代ではまだ使ってみてガッカリすることが多いかもしれませんね。業務用の3Dプリンタの造形方法一方、業務用の3Dプリンタは、やはり高いだけあってより綺麗な仕上がりにできます。主な造形方法は以下の通り。・インクジェット方式・光造形・粉末石膏造形・粉末焼結造形まだほかにも方法はありますが、今回は代表的なこれらを見ていきましょう。・インクジェット方式インクジェット方式は、私たちに馴染みのある、紙に印刷する通常のプリンタに一番近い方法で製品を形成します。普段見かける印刷機では、光を放っている機器が何度も左右を往復して印刷しますが、それと同様にインクではなく樹脂を噴射して形を成していきます。インクジェット方式は短い時間で複雑な形の物を作れることができ、表面を滑らかに仕上げられるのが利点です。インクジェット方式の材料も樹脂ですが、個人用のプリンタで使用されている樹脂とは少し違う種類を使います。業務用で使う樹脂の方が少しいい物のようですね。・光造形光造形という方法では液体の樹脂を筒状の機械に取り込んで、紫外線レーザーを浴びせることにより樹脂を固めて形を作っていくという方法をとります。3Dプリンタの最も古い造形法で、製造業でよく使用されます。使われる材料はこちらもインクジェット方式と同じくアクリル系やエポキシ系の樹脂。樹脂だけあって壊れやすいですが、精度が良く複雑な形状にすることも可能で、製品の模型を作るのに向いています。・粉末石膏造形粉末石膏造形は石膏を材料にして作る造形法です。石膏とは博物館に飾ってあるような白い像を作る材料で、3Dプリンタではきな粉のような白い砂にして使います。白い砂が敷き詰められた機械に接着剤を吹きかけたりレーザーを使って固めていき、完成すると周りの砂がなくなって完成品が出てきます。石膏は材料が安い反面、強度がもろいというデメリットがありますが、カラー着色ができるのが魅力です。博物館の像が倒れて割れてしまうVTRをテレビ見たことがありますが、3Dプリンタがあればまたすぐに作り直せるので安心ですね。・粉末焼結造形粉末焼結造形は金属や樹脂を材料としています。砂のように細かくなった金属や樹脂の粉末を箱いっぱいに敷き詰めてレーザーで固める方法をとります。金属が使えるぶん丈夫そうですが、表面が多少ざらつくのがデメリット。さらに出来上がった後に毎回砂を落とすことは手間に思えるでしょうか。ですが一回や二回なら地表から化石や宝物を掘り出すみたいで楽しそうですね。3Dプリンタがものづくりに与える影響(メリット・デメリットなど)3Dプリンタが世に生み出されたことで、製造業のものづくりにおける環境に少しずつ変化が出始めました。3Dプリンタを使うメリットとして、試作品を作る期間の短縮、開発コストの削減などがあげられます。また、従来の方法では難しかった複雑な製品を作れるようになったことも大きな利点でしょう。ただ、3Dプリンタを使うということは、当然3Dデータの作成をする必要があるという壁がありますね。これまで製造業に携わってきた作業員たちにとって、畑違いであるパソコンでのデータ作成は至難の業です。そこで、製造業における次世代の躍進の一歩として、学校教育で3Dプリンタが導入される動きが出始めています。特にアメリカやイギリスの動きがさかんで、すべての学校に3Dプリンタを導入することを目標にしたり、教育カリキュラムを変更して子供の頃から3Dデータを扱えるようにしたりと次世代の製造業を後押ししています。日本ではさすがに小中学校では導入できませんが、大学や専門学校ではすでに3Dデータの勉強が行われており、今の学生たちがものづくりを新しい時代へと発展させていく準備が進みつつある状況です。ですが、まだ現状では3Dプリンタを中心とした製造業の未来は遠いというのが正直なところでしょう。今の3Dプリンタのデメリットとして、製造物の耐久性が低いため、現状の技術では試作品を作る以外の使い方に乏しかったり、製造コストの面から大量生産が難しいなどの欠点があります。また、3Dプリンタ自体の導入コストが高く、その影響からあまり普及も進んでいないという背景もあり、3Dプリンタで作った製品を大量生産できるのはもう少し先の話になりそうです。それでも3Dプリンタが世に出てからこれまでの躍進は目覚ましいものがあります。もしかしたら10年後20年後には、3D技術を駆使した新時代のものづくりが中心となっているかもしれません。これから先、製造業の未来はどう変化していくのか。新しい技術をたずさえた若い世代に多いに期待したいものですね。3Dプリンタまとめ以上、今回は3Dプリンタの紹介でした。いつもの加工の技術や素材の歴史などの紹介よりも少し先進的な内容でしたね。この記事が新しい時代の先駆けとなれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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    【工業デザインと板金加工の設計に特化】株式会社アドライズのお仕事!

    板金加工にも設計は欠かすことができません。そこで、株式会社アドライズの代表取締役の牛山直樹氏にお話を伺ってきました。アドライズさんは、長野県岡谷市にある工業デザインと板金設計に特化した設計会社です。工業デザインと板金設計の仕事とはどんな仕事なのでしょうか。快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。牛山氏はい。ものづくりの流れは、開発、設計、製造と大きく3つに分けることができます。弊社はこの中で、開発、設計のプロセスに絞って事業を提供しております。分野としては、産業機械に絞っています。大手メーカーさまの設計開発部門向けに技術サービスを提供しています。具体的な事業内容としては、主に産業機械カバー、プロダクトデザイン、「あしたの機械カバー」というブランド展開に分けることができます。強みとしては、FA設備の機械設計のサービス。SolidWorksというCADの教育を行っていることも挙げることができますね。設立は2005年の4月です。今、メカ設計者が10名、それからデザイナーが2名、それからCADオペレーターという方が5名。総勢22名でやっています。私がこの会社を創業した初代です。以前は、産業機器メーカーで仕事をしてまして、スピンアウトする形で独立をしました。当初はFA設備の機械設計のサービスのみ行っていました。その中で、事業の幅を持たせたいと考えて、模索をしていました。ある産業機械開発のプロジェクトで、ドイツ製の産業機械をみることがありまして。今まで、私が想像していた産業機械っていうのはプラント設備にあるようなものでした。配管がむき出しで、フレームがあってボルトがぼんぼん立って、ぐっちゃぐちゃしているような(笑)そのドイツ製の機械は、まるでデザイン家電のように洗練されていました。LEDで青く光って、ロゴがポイントで入っている。サイズが大きいこともあって、とても格好良く見えました。こんな事業やりたい、と考えて、工業デザインに興味を持ちました。それですぐに工業デザインをてがけるようになったのですか。牛山氏最初は、ホームページに「こういうデザインがあります」って書いてみたんです。そしたら、大手メーカーさんから連絡がありまして。ちょうど設計ができるデザイナーを探していたようなんです。そのように偶然のお声かけをいただいたところから、実際に仕事として形にしたんです。これが、結果としてデザイン事業の土台になりました。そこから、デザイン賞関係の賞にノミネートされたり、受賞したりするようになりまして。知名度があがったことで、お問い合わせを受けるようになりました。おかげさまで右肩上がりで案件をいただいている状況です。ありがとうございます。御社の中でデザインは完結されるのでしょうか。牛山氏いいえ、弊社は、板金製造の機能を持ちません。板金部品は、数多ある板金製造会社の中から特に優れた会社との連携により、調達しています。弊社に在籍するデザイナーと設計者は、デザイン、設計、組立の開発作業に専念します。この連携体制により、機械カバーのデザインから設計、試作、納品までワンストップでの提供を実現しています。機械カバー開発を丸ごと私たちにご依頼することにより、お客さまは、重要な機械内部の設計・開発に集中する時間を確保できます。設計リソース確保と納期短縮にも貢献します。デザインの実績としては50社程度、1000案件以上はこなしてきています。設計案件を含めてですね。カスタマイズの設計に対応するってところが当社の最大の強みですね。ただ、外見がスタイリッシュなだけではなくて。操作性とか、組み立て性、それからメンテナンス性も。使う人を配慮した設計を心がけてます。また、防音、防水、X線の遮蔽、ヨーロッパの安全規格CEへの対応。この辺りのノウハウも蓄積しています。なるほど。牛山さまが創業されたときのご苦労などお伺いできましたら。牛山氏とても苦労しましたよ(笑)思っていたよりも創業するのは大変で。一番難しかったのは、とにかく仕事を安定させることでした。先ほどのお話と重複するところがあるかもしれませんが、当初はFA設備、その後プロダクトデザイン。プロダクトデザインを始めたのはリーマンショックの頃です。リーマンショックの翌年あたりにガタっと仕事が減りました。弊社だけではなく、他社さまも仕事がなくなって、月金も休みのような状態のところも(笑)仕事は減ったんですが、休みにはせず、教育をしました。SolidWorksの勉強をひたすら従業員にやってもらいました。まだ創業して、3期目ぐらいでしたので、お客さんの数も少ない。実績もない、コアとなる事業もない、スキルもない。とにかく、自社の底上げをするために教育をずっとやっていましたね。私の方も、暇でしたのでホームページなどを作ったりして。どうしたらいいか、アイデアを練っていました。弊社のような創業したての会社に、どうやったら仕事をもらえるだろうかって。その時に、デザインがいいんじゃないかって思いまして。これは、本当に単純な発想だったんです。ものづくりのプロセスを見ながら、設計の仕事を増やすにはどうしたらいいか。上流のデザインを手がけたらいいのではないか。じゃあ、やってみようって(笑)当初は、工作機械以外のデザインもやってました。民生品なども手がけていました。そのうち案件を重ねるごとに、板金ってよく使うなって気づいたんですね。じゃあ、板金設計得意だし、フレームも得意だし、ここら辺で勝負しようって。板金設計の関係で、工作機械を。数の多いアイテムじゃなくて、数の少ないものだとどうだろうかって考えまして。ありがとうございます。創業から14年、これまで様々なご苦労があったかと思いますが、現状の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。牛山氏現状の課題でいえば、営業力でしょうか。リーマンショックのときに作ったホームページが功を奏して、そこからお客さまが来ています。これまでは、それでもよかったのですが、10名だった社員を22名まで増やしたんですね。そうすると、やはりもっと案件の量を増やさないといけない。今までのマーケティングの仕組みでは、ちょっと受注量が足りません。ここを営業の力で、もっと増やしていく必要がありますね。もう一つは、プロダクトデザインの方で、品質。きちんと品質を担保したものを、お客さまに納品したい。今おつきあいしている会社さまでいうと、協力会社の板金業者さまに検査をしてもらって、納品しています。試作機ではあっても、自社で製品レベルと同等のものにまで仕上げてしまいたい。そのためにの設計の仕組みとか、組立の仕組みなどを確立してしまいたいと思っています。話を戻してしまって申し訳ないのですが、これまでのご苦労と取り組みについてもお伺いしてもよろしいでしょうか。牛山氏大きく分けて2つありました。一つ目は、現状の課題と同じなのですが、どうやってお客さまを開拓していくかというところです。二つ目は、何の事業をやるべきなのかという葛藤でした。ここは、今でかなり形がはっきりしてきましたが。創業してから、8年ぐらいまではなかなか形ができなかったものですから。悩みの種でした。ありがとうございます。今後の事業展開などについてお伺いさせてください。牛山氏デザイナーが今、2名なんですけが、もう少しデザイナーを増やしたいと考えています。お客さまごとにデザインの好みがありますので、その好みに対応できるようにしていきたいと考えています。デザインの多様性ともいうのでしょうか、そういうところに対応していきたいです。なるほど。御社が仕事する上で大切にされているものについて、お伺いしてもよろしいでしょうか。牛山氏やはり真摯に取り組むことです。いただいた仕事は最後まできちんと取り組むことです。クレームも前向きに捉えるようにしています。この仕事をしていると、クレームって結構少なくないんです。以前は、設計だったんで「図面間違ってるよ」っていうクレーム。最近では、ものを作ると「直してこい」とかそういうクレームがつくことがあります。もう本当に最初は嫌で嫌で(笑)でも、嫌々でも最後まできちんとやると、お客さまから「ちゃんとやってくれた」って評価いただけるんですよ。最後まできちんとやり抜くことの大事さに気づきまして。それで、最後まできちんと取り組むようにしています。ありがとうございます。大きな話になるのですが、板金加工業界全体の課題などについてお伺いさせてください。牛山氏弊社が力を入れている設計の分野でも大きな課題があります。1人や数人で設計している段階では、大丈夫なのですが、10人くらいになってくると、それぞれで設計の仕方が異なってきてしまう。十人十色じゃないですけど、そういう部分がどうしてもでてきてしまいます。この辺りの設計標準をどうしたらいいのか。弊社では、きちんと設計の基準を決めたものがあります。逆に言うと、決められていないところは無法地帯みたいなところがあります。この辺りに関しては、何とか課題解決の方向を見出していきたいと考えています。少し話が飛躍してしまうかもしれないのですが、設計ってとても楽しいんですよ。学生のとき、工業系の学科だったんですが、自分で引いた図面で実際にものを作るっていうことやっていました。それが、すごい楽しくて。実際に起業して、そういう仕事に携わってやはり楽しいです。図面を引くときに、自分のアイデアを結構入れていくんですよね。そういった自分のアイデアが本当にものになる、形になる。それを見た瞬間って、なんというか癒されるんですね。その瞬間のために、仕事をやっているようなところもあります。こういう楽しさを、若い人にも経験してもらいたいですね。色んな課題があって、それを解決していかなければいけないのですが、根本的にはそこから見えてくるようなものがあると思います。

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    【精密板金とは?】加工の流れや強み弱みまで分かりやすく解説!

    精密板金加工とは板金加工の一種で、中でも特に高精度な技術が必要となる加工方法です。精密板金加工で用いられる金属板は他の板金加工と比べて薄く、1 ~ 3mm 程度のものがほとんどという事実がその難しさを物語っています。そんな精密板金とはどのような流れで、どのような加工をしていくのでしょうか?是非ご参考にしてください。精密板金加工とは精密板金加工の原材料は、鉄・ステンレス・アルミニウム・銅・真鍮等が一般的で、精密板金加工で用いられる金属板は他の板金加工と比べて薄く、1 ~ 3mm 程度のものがほとんどです。また、精密板金は専用金型を用いず、汎用金型やジグを組み合わせて加工する板金加工です。精密板金加工で製作されるものは、パソコンの金属製の箱などがイメージしやすいでしょう。単体では機能を持たない小型のパーツなども、精密板金加工の代表的な製作物です。その精度は曲げ寸法公差で0.1mmや0.2mm、パンチングによる抜き加工では0.05mm以下という、とても高精度な技術を用する加工となります。しかし、精密板金は上述したように高精度な技術が必要なので、対応可能な工場が限られているという側面もあるのです。精密板金加工の流れ精密板金加工の作業手順は次の通りです。1.設計・提案2.図面展開3.抜き加工4.前加工・成形加工(バリ取り、タップ加工等)5.曲げ加工6.溶接加工7.仕上げ加工・表面処理8.組立・検査1工程ずつ、簡単にご説明します。1.設計・提案精密板金加工では専用の金型を使用しないため、まずは汎用金型の組み合わせから図面を設計します。2.図面展開設計された図面をもとに、展開図を作成します。このとき、次の「抜き加工」で金属板を曲げたときに発生する厚みなどを考慮するのがポイントです。例えば精密板金加工によってサイコロを作成しようとした場合、一つながりでそのまま作成した展開図では曲げられない箇所が発生するため、一部分割した展開図になります。3.抜き加工金属板を展開図の通りに加工していきます。抜き加工ではNC機(数値制御の工作機械)を用いて加工するため、図案ごとに専用のプログラムを作成します。4.前加工・成形加工(バリ取り、タップ加工等)抜き終わった金属板には、0.1mm程度の切り残し=バリがあるため、後工程とケガ防止のためにこれを取り除きます。ネジ穴を作るタップなどの加工も、この時点で行います。5.曲げ加工抜き加工が終わった物に、曲げ加工を施して製品の形に近づけます。図面展開でも触れた通り、曲げ加工では曲げ機械で使用する型の特性上、コの字に加工することが限界です。6.溶接加工板金と板金を溶接するスポット溶接、ブラケット・ナット・ネジなど溶接したいパーツを溶接するスタッド溶接などを行います。7.仕上げ加工・表面処理溶接の際に接合部にできた盛り上がりを、平らに仕上げます。製作途中で表面に傷がついたものもこの時点で仕上げます。溶接箇所が多くなれば多くなるほど、この仕上げ作業も時間を要します。8.組立・検査各種パーツを組み立て、検査をして完了です。精密板金加工の強み精密板金加工の強みは大きく2つです。1. 高い寸法精度と処理の美しさ精密板金加工は精度が非常に高く、また専用金型を用いない性質上、図面のない状態からの設計・製作への知見が豊富なことも特徴のひとつと言えるでしょう。多くの場合、設計から組み立て作業までを一括して行うため、筐体製作では中に組み込まれる機器や装置とのトータルバランスを意識した加工・仕上げが可能で、見た目にも美しく仕上がります。2. 試作が容易に行える通常のプレス板金では専用金型が必要なところを、精密板金では汎用金型を活用することで、イニシャルコストを抑えられるだけでなく短納期で試作することができます。精密板金加工の弱み金型の費用がかからないので試作や少量生産には向いていますが、反面、数千個におよぶような大量生産には向いていません。属人的な作業範囲がプレス板金に比べて広く、大量生産の体制を取ったとしてもコストの削減が難しいためです。精密板金加工のまとめ精密板金加工とプレス加工は、互いが互いを補う特徴を持っています。それぞれの特徴を理解して、適切な使い分けやお互いの組み合わせを検討しましょう。例えば、精密板金加工によりまずは多品種少量生産し、量産体制に移りたい場合はあらためて専用金型を作成する、というのが一般的な活用法のひとつです。さらに、専用金型を起工している間のファーストロットやセカンドロットは精密板金加工で対応する、という柔軟な活用も可能ですし、部分的な抜き型だけをプレス化したりといった方法も有効です。一定数までであれば、生産数が読めない場合にとりあえず精密板金加工で対応する、というのも一手でしょう。精密板金加工の活用を検討する際は、ぜひプレス板金についてもセットで考慮してみてください。

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    【引抜加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例についてご紹介!

    引抜加工(ひきぬきかこう)と押出加工(おしだしかこう)は、金属の塑性加工法の中でも代表格のものです。今回は、引抜加工の仕組みや種類を大まかにつかんで頂き、どんなものに使われているのかも見ていきましょう。引抜加工とは引抜加工は引抜成形とも言います。英語ではdrawingと訳します。引抜加工とは金属の塑性加工の一つで、引抜ダイと呼ばれる引抜作業専用の金型にある穴に材料(金属)を通し、先端を引っ張ることで断面積を減少させ、ダイの穴と同じ形状の管や棒、線などを製造する加工法です。引抜加工の仕組み①引抜ダイ(金型)の穴に材料を通す②先端を引っ張り、断面積を減少させる③ダイの穴と同じ形状の管や棒を生み出す身近なもので例えると、金太郎飴がそれにあたるのではないでしょうか。飴を引き延ばして思いの大きさにするのですが、材料を通す金型のほか、引抜に使われるドローウィングがあります。また、単純な鋼材の針金だけでなく、中空形状を形成するプラグを用いてパイプを作ることもできます。引抜加工は材料を熱間圧延(金属を高温に加熱して行う圧延加工のこと)後、または温間押出(おんかんおしだし)によってある程度製品の形状にしたのちに、仕上げ加工を行うために施す加工です。通常は冷間(再結晶温度以下)で行うため、寸法の精度が上がり、加工硬化によって強度が増していきます。冷間加工では材料が加工硬化によって硬くなる傾向が強いため、製品の質などを鑑みて必要に応じて焼きなましなどの熱処理を併用することもあります。引抜加工の種類引抜加工には次にご紹介する工法によって、さまざまな成果物を作り上げることができます。代表的なものをいくつかここでご紹介したいと思います。 ①単純引抜加工その名の通り、単純に引抜を行う工法です。棒線をダイス(金属の引抜加工に使用する型)に通し、ダイスについている穴からその先端を単純に引抜くことで、断面を小さくします。一般的に”引抜き加工”といえば、単純引抜加工を指すほどです。単純引抜き加工では、押出加工で作った鋼線の10~35%、アルミニウムなどの軟質材料では20~50%の割合で断面を小さくできます。②管の引抜加工中空の素材を引き抜いて、ストロー状の細い管を作り出すこともできます。管の引抜方によっていくつか違いがあります。・空引き(そらびき)…単純に引抜きを行う工法のこと。外径を小さくするのが目的。・心金引き(しんがねひき)…ダイスの内側に心金(しんがね:管を広げるため端に押し込む金具のこと)を固定し、厚みをコントロールしながら、管の内面も圧迫してなめらかに仕上げる工法のこと。内側と外側がともに美しい仕上がりになるのが特徴。・浮きプラグ引き…心金を固定しないで、自動的に正しい位置に配置されるようコントロールし、引き抜く工法のこと。比較的細い管を製造するのが目的。・マンドレル引き…マンドレル(mandrel:心棒、回転軸)と言われる工具を使って行う工法のこと。金属バットのような薄肉の管の加工に適しており、外径を減少させると同時に厚みも薄くできるのが特徴。このほかにも、引抜に使用する工具(ダイ)によっても製造結果が変わります。ダイの形状や引抜加工での温度や材料を引っ張る条件、加えて引抜加工後の熱処理によって線材の機械的特性を変化させることができるので、ターゲットとする数字に材料を近づけることができるのも特徴です。機械的特性を変化させる要素①ダイの形状②引抜加工の温度③材を引っ張る条件④引抜加工後の熱処理③ローラーダイスによる引抜き加工一対の孔型ロールに線を通して引き抜く工法のこと。ローラーそのものは回転せず、材料が引き抜かれる際に発する摩擦力によって回転します。小さい力で引抜くことができるので、摩擦熱の減少が期待でき、不必要な変形等が防げるのが特徴。④タークスヘッド引抜加工上下左右に配置されたローラーダイスに線を通して引抜く工法のこと。断面を自由に変形できるのが特徴で、たとえば丸棒から角棒への加工も可能です。⑤ダイレス伸線加工ダイスを使わない加工法。材料を加熱しながら引っ張ることで径を小さくし、急速に冷やすことで寸法を安定させます。ダイスとの接触で焼きつきが発生するような材料の引き延ばしに使われます。引抜加工を用いた製品例引抜加工は、私たちの身の回りにあるさまざまな製品に利用されています。ピアノ線や車両の部品、テレビや冷蔵庫などの家電の一部、注射針など、金属の性質に合わせ、さまざまな用途で部品が作り出されています。おもに直径5ミリ以下の線材の仕上げ加工に使われています。また、管の引抜加工は、継ぎ目なし管を希望の寸法に仕上げる加工にも使用されています。 まとめいかがでしたか? 引抜加工の概略をご紹介しましたが、押出加工とセットで覚えておくとよいという理由がおわかりいただけたでしょうか。引抜加工は冷間(常温)で行われる加工法で、温間押出加工をした材料の精度アップと仕上げを見込んだ作業であるということがわかりました。さらにもうひと手間かけることが、製品の精度と強度を上げ、私たちの身の回りに使われる製品をしっかりと支えてくれているのですね。

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    【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!

    板金加工において、板金を好みの形に整形するために必要な「押出加工」。押出加工は金属特有の性質をフルに活用した加工方法なので、作業者の技術や経験が問われる加工方法でもあります。そんな押出加工に関して、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?「押出加工を依頼したいけれど、初めてでどこに頼めばいいかわからない……」「他の工場で断られてしまって、依頼先に困っている……」工場を探す中で、こんなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他にも、「小ロットでの発注を断られてしまった……」といったお悩みや、あるいは「いつも依頼している工場に小ロットで発注するのが申し訳ない……」とお悩みの方もいるでしょう。押出加工とは押出加工は押出成形(おしだしせいけい)とも言われます。英語ではextrusionと訳します。押出加工とは金属の塑性加工の一種で、耐圧性の型枠に被加工物(金属)を入れ、それに高い圧力を加え、一定断面形状のわずかな隙間から押し出すことで希望の形状に加工する技術のことです。押出加工の仕組み①型枠に被加工物を入れる②高い圧力を加える③わずかな隙間から押し出す④希望の形に成形されるいうなればところてんの製造のようなものですね。ところてんは細い筒状のところに寒天を押して絞り出しますよね。そのような仕組みのものといえます。押出加工の2つの種類~温間押出と冷間押出~押出加工には温間押出(おんかんおしだし)と冷間押出(れいかんおしだし)の2つがあります。温間押出とは?温間押出は、その文字が示す通り、被加工物(金属)の温度が常温よりも高い424℃~975℃で行う押出加工のことです。加工に必要な力や材料の展延性によっては扱いやすい温度で、常温より高温でありながら材料が再結晶化しない程度の温度内で行います。再結晶化してしまうと性質が変わってしまうので、そのギリギリのところで作業するのです。金属には伸びたり縮んだりする性質がありますよね。それを展延性といいます。延性は材料に引っ張る力を加えた際の変形する性質をいい、もっぱら針金状に延ばせるかどうかを判断材料とします。かたや展性は、圧力を加えたとき、材料が変形する性質をいいます。材料を鍛造や圧延などで加工し、薄いシート状に成形するときに示される性質を指します。この2つの性質を合わせて展延性といい、常温より高い温度で押出加工することを温間押出というのです。展性・延性とは?延性…「引っ張る」力を加えたときに変形する性質展性…「圧力」を加えたときに変形する性質冷間押出とは?文字通り、冷たい温度と言いたいところですが、さにあらず。絞り、引抜、圧延など金属の塑性加工を再結晶温度より低い温度で行うことです。常温加工とも言います。温間押出に対して使われる押出法で、材料の熱による変質などがないため寸法精度の高い加工に向いているものの、加工硬化(金属に応力を与えると塑性変形によって硬さが増す現象のこと。ひずみ硬化とも)が生じるのが難点でもあります。keyword加工硬化…塑性変形を行うことによって、硬さが増すこと冷間押出は、これまで加工時に発生する高い変形抵抗により、昔はアルミなど材料が軟質であることに限られていたものの、最近では材料の研究や加工台の開発などでこれまで難しいとされていた材料の加工ができるようになったのです。常温で材料を押出す冷間押出では、材料を加熱しないため、その強度低下を防げることや熱による膨張・変質がないことがメリット。また、酸化しにくく、高温で脆弱となる素材に適していることなどもメリットとして挙げられますね。押出加工の様々な種類前方押出押出加工のひとつに前方押出があります。直接押出とも言います。これはラムやステムと言われる押し出し機の進む方向と同じ方向に材料を押し出す工法のこと。まさにところてん製造機のようなものですね。この工法は非常に古くから知られていました。1797年イギリスでJ.Bramahなる人物が、鉄製のポットの中で鉛を溶かし、冷却凝固させながら管に押し出したのが始まりと言われています。引用元:モノタロウ後方押出後方押出は、間接押出とも言われます。これは、ラムやステムの進む方向とは逆の向きに材料を押し出す工法のこと。この工法では材料とラムやステム、ダイスなど加工機との間に摩擦力が発生しないので、直接押出に比べて、やや低い材料温度や比較的小さい押出力で稼働できるのがメリット。その結果、材料の変質が少なく、安定した品質の製品が生産可能になりました。引用元:モノタロウこのほかにも静水圧押出やストローのような中空状の形状を形成する加工なども可能です。いずれも材料の性質を知り尽くしていないことにはできない作業であることがお分かりいただけると思います。押出加工の使用製品例押出加工によって、現代では金属別にさまざまなものが形成されています。車のシャーシや部品などのほか、テレビや冷蔵庫などの家電の一部など、さまざまな用途で押出加工によって製品の部品が作り出されています。代表的な加工物としては針金状の金属でしょう。同様に中空状に穴の開いた形状の金属も作られます。比較的単純な形状のものに限られるように思われがちですが、金属の展延性を知り尽くした昨今では、たとえば軽い金属などで身の回りの製品のほとんどを作り出すことができるようになりました。まとめいかがでしたか? 押出加工の概略をご紹介いたしましたが、何となくわかっていただけたでしょうか。押出加工ときたら、まずはところてんの製造を思い出してください。寒天が金属です。圧力を加えることで金属が押し出されて思いの形として出てくる。これが押出加工の基本です。覚えておくとよいですね。

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    【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!

    銅と言えば、日本人なら誰もが使っている10円玉やオリンピックの銅メダルなんかが真っ先に思い付くでしょうか。実は銅は10円玉だけでなく、1円玉以外のすべての硬貨に使われていたりするんですよ。今回は私たちの生活の中に意外なほど溢れている銅のについて紹介していきましょう。まず銅の基礎知識を始めとして、順に銅の特徴と用途、そして最後に真鍮について解説していきます。銅の基礎知識銅の歴史銅と言うと金銀銅というイメージからちょっと高価なものという印象があるかもしれませんが、製造業においては重要な加工素材です。現在、金属資源として大量に使われている銅素材ですが、実は太古の時代から利用されていて、人類が最初に使い始めた金属と言われています。青銅器時代と呼ばれる時代がある通り、銅は青銅器や和同開珎などの貴重品から武器や農具といった一般的に使われる道具まで、昔から大変よく使われていた金属なのです。銅の種類銅の種類には先ほどから出ている青銅のほか、純銅や真鍮、白銅などがあります。この記事でも取り上げる真鍮(しんちゅう)とは銅の仲間の一つなんですね。真鍮は別の言い方で黄銅(おうどう)と呼ばれる黄色い銅で、五円玉や仏具などに使用されます。純銅とは工業用に製造される赤色の銅のことを言います。普通の銅は多くの不純物を含んでいるので、製品や部品の材料などに扱う際は、不純物を可能な限り取り除いた高純度な銅にします。そして、その純銅にすずや亜鉛を加えることで青銅や真鍮となり、色彩も変わるのです。銅の種類を硬貨に沿って紹介していくと、5円玉は真鍮、10円玉は青銅、50円玉と100円玉は白銅、500円玉はニッケル黄銅で作られています。銅の種類と使われている硬貨5円玉=真鍮10円玉=青銅50円玉・100円玉=白銅500円玉=ニッケル黄銅10円玉は赤色ですが純銅ではなく青銅なんですね。色が赤いのは青銅の材料であるすずの割合が少ないためです。ちなみに1円玉の材料はアルミですね。銅ではありません。銅は他にも洋白、クロム銅、ベリリウム銅など普段聞き慣れない種類が数多くあります。銅の特徴銅は優れた性質を持ち、いろいろな加工方法をとれるため、身の回りの製品から工業製品まで幅広く活用されています。その分野は工業だけでなく、医療・船舶・建築業など様々。それでは、現代だけでなく古来より人々の支えになっている銅の特徴について理解を深めていきましょう。銅の特徴①加工性が高い②耐食性が高い③熱や電気が伝わりやすい④抗菌作用がある⑤見た目が綺麗に仕上がる①加工性が高い銅は柔らかいので伸ばしたり押し込んだりして形を変えやすい金属です。そのため銅線、銅板、銅管、銅棒など多種多様な製品を作ることができます。加工の方法も曲げ加工や切削加工、絞り加工と様々な方法がとれるため、複雑な形にしたり細かい模様を描いたりすることもしやすい金属です。また、銅は金属としての寿命も長いため、市販の製品以外にもバルブや歯車といった長期間の使用が求められる部品にも多用されます。②耐食性が高い耐食性とは錆びのことです。銅は他の金属と比べて錆びにくい性質を持っています。たまに何百年、何千年も前の埋蔵品が出てきたというニュースを見聞きすることがあると思いますが、それは銅が錆びにくいのが一躍買っているんですね。この錆びにくい性質を利用して、屋根や船のスクリューなど建築や船の材料としてもよく使われます。③熱伝導率や導電性が高い銅は熱が伝わりやすく電気を通しやすい金属です。もともと金属は熱や電気が伝わりやすい素材ですが、銅は金属の中でも特に優れた熱伝導性と導電性を持ちます。その特性から熱交換器や電子機器の材料として多用され、今やエアコン、冷蔵庫、パソコン、携帯電話など生活に欠かせない金属となっています。④殺菌作用がある銅には殺菌作用があります。金属に殺菌作用というとピンとこないかもしれませんが、科学的な実証実験により何種類もの細菌に対して効果があることが分かっています。有名なところではO-157やノロウイルスなんかにも殺菌効果があるようです。硬貨の製造には銅が採用されていますが、これも殺菌効果があるというのが理由の一つなのです。⑤見た目が綺麗に仕上がる銅は赤、黄、白といった様々な色の種類があり、仕上がりにも鮮やかな色調や光沢が出せるため綺麗に仕上がります。硬貨も長年使い続けられたお金は黒ずんでいますが新品は綺麗ですよね。硬貨以外にも銅で作られた製品や建物は鉄製やアルミ製のものより高級感が漂います。特に真鍮は金色になるので高級感がグッと増します。手間は掛かりますが手入れをすることで綺麗な色合いを持続させることができますし、他の金属よりも錆びないので製品としても長持ちします。ただし、値段も相応に見た目通り高いのがネックだったりしますね。銅の用途では、優れた特徴の多い銅が何に使われているか見ていきましょう。生活の中でいろいろな使われ方をしている銅ですが、パッと思い浮かぶものはそれほどないかもしれません。ですが銅は、隠れたところで人々が暮らしていくのに欠かせないほど広い分野で使われています。日用品用途:鍋、やかん、フライパン、抗菌スポンジなど鍋やフライパンには鉄製、アルミ製、ステンレス製といった種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。銅で作られたフライパンには熱が広がりやすいというメリットがありますね。熱を通しやすいという銅の特徴が活かされているのです。他にも、銅の性質である錆びにくかったり殺菌効果がある点も、やかんやスポンジなどの日用品に備えることができます。ただ、銅製の日用品は重い・値段が高いといった手を出しにくい点がネックとなっている側面がありますね。そのため、安くて扱いがお手軽な鉄製やアルミ製の商品が使われていることが大半で、銅製の日用品を目にする機会はあまりないという背景が伺えます。家電製品用途:テレビ、パソコン、エアコン、スマートフォン、冷蔵庫など銅が生活必需品であることが分かるラインナップですね。主に銅の導電性や熱伝導性を利用した製品に使われています。熱伝導性が高いということは熱くなりやすい反面、冷めやすい性質も持つことになるので、エアコンや冷蔵庫を作るのに適しているのです。また、銅の加工がしやすいという利点も製品内部の細かい部品を作るのに重宝されています。車両・船舶用途:自動車のガスケット、エンジン、ブレ-キパイプ、船の船底など自動車には多くの銅製の部品が組み込まれています。エンジンやブレーキパイプなどの走るための部分以外にも、エアコンやオーディオ、カーナビなど多くの機能が求められる車は、通電性の良い銅が電子機器に数多く使用されています。船では銅の耐食性が役に立っています。船のスクリューにはアルミニウム青銅という銅が使われていたり、船の船底には銅が塗られていたりします。引用元:銀星の瓦版船底とは画像の赤く塗られている部分ですね。実はこの部分はデザインのためではなく、水棲生物が引っ付かないようにするためと錆びにくいようにするために船底を守っているのです。船底にフジツボや海草などの水棲生物が大量に引っ付くと、船の重量が増してしまいスピードが落ちるのに加え、余計な動力を消費して燃費が悪くなります。そういった船の劣化を防ぎ安全な航行を維持するため、船の底の部分には銅が含まれる赤い塗料が塗られているのです。建築物用途:ドアの取っ手、家の屋根板、電柱の電線、配管など家の屋根板や給水管・ガス管などの配管は錆びにくいように銅が使われることが多いですね。ドアの取っ手は錆びにくさにプラスして殺菌作用も加味して銅が使用されています。電柱の導線は伝導率の良さから昭和の頃は銅が使われていました。今となっては軽くてそこそこ伝導率の良いアルミの電線がほとんどですが、一昔前までは銅が主流だったのです。引用元:モノタロウ電線こそアルミに取って代わられましたが、ワイヤーや画像のような銅線は今でも耐食性や柔軟性を買われ銅が重宝されています。その他の製品用途:貨幣、ばね、ボルト、銅像、金管楽器など貨幣や銅像は言わずもがな、ばねやボルトなどの機械部品にも銅素材が使われることがあります。特にトランペットやホルンなどの金管楽器は主に真鍮や洋白を古くから材料にしています。錆びにくい・加工がしやすいといった機能的な面だけでなく、材料によって音の響きや重厚感が変わってくるので、より重要な役割を担っていると言えます。真鍮真鍮(しんちゅう)とは銅に亜鉛を混ぜた合金で、黄色、または金色をした銅のことです。先にも説明しましたが真鍮は黄銅(おうどう)とも呼ばれます。元が銅なので金属としての性質も銅と似ていますね。黄銅は知名度としては青銅に劣るものの、実は使用頻度で言えば黄銅の方が圧倒的に高くなります。銅を伸ばしたり圧縮したりして加工する製品を伸銅品と言いますが、その伸銅品の内もっとも多く使われるのは黄銅です。そして次に使われるのが銅(純銅)で、銅の使用率は黄銅と銅でほとんどを占めていると言われています。青銅は一般的に有名ではあるものの、そこまで使われている銅ではないんですね。引用元:NETSEA SHOPLIST.com真鍮は5円玉や金管楽器の他、その綺麗な色合いからアクセサリーやアンティークに使われていたりします。画像のネックレスやアンティークも金色に輝く色彩がとても美しく高級感がありますね。ただし、真鍮は銅が素材なので、時間が経つと酸化により黒ずんでしまいます。5円玉も製造されたばかりの硬貨は綺麗ですが、何年も経つと汚れたように黒くなってしまいますよね。あれは空気や人の手に触れたことで酸化してしまっているのです。ですが真鍮は酸化により黒ずんでしまっても、専用のクリームやお酢で磨いて手入れをすることにより元の輝きに戻すことができます。定期的に手入れをするのは少々手間ですが、真鍮製の宝物はいつまでも綺麗なままで保っておくことが可能なのです。まとめ銅について説明してきましたが、使いやすい・性能がいい・美しいと3拍子そろった金属でしたね。想像よりも使い道が多い素材だったのではないでしょうか。銅は加工素材として便利なだけでなく、古くから装飾品として人気がある奥ゆかしさがあります。スマートフォンや車の部品などの新しい製品から埋蔵品やアンティークといった骨董品まで、用途として幅が広いだけでなく大昔から活用されている歴史の長い金属なんですね。

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    【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説

    金属を叩いて鍛える鍛造と、金属を溶かして成型する鋳造。どちらも金属の形を成型する工程であり、どちらも型を用いる点でよく似ていますが、それぞれの工法のメリット・デメリットや、作られた製品が持つ特徴は全く異なります。今回は、そんな鍛造と鋳造の違いについて、各工法の特徴から、車のホイール、ゴルフクラブ、エンゲージリングといった鍛造と鋳造両方で作られる製品の違いまでを解説します。鍛造と鋳造の違い鍛造加工と鋳造加工それぞれの大まかな工程や特徴から、違いを確認していきましょう。なお、今回はなるべく分かりやすく比較するため、鍛造は型を用いる「型打ち鍛造」をベースに、鋳造は砂で作った鋳型を用いる「砂型鋳造」の特徴をもとに、鍛造と鋳造を比較します。鍛造加工と鋳造加工の工程は、それぞれ次の通りです。鍛造加工の工程引用:シンエイコーポレーション工程①素材の切断と設置②圧縮・打撃により力を加える③さらに力を加える④金型から取り出して成型完了①素材の切断と設置成型したい素材を、金型でプレスする位置に設置します。このとき、素材が金型に対して大きすぎる場合は、事前に切削加工などを施して加工をしやすくします。②圧縮・打撃により力を加える圧縮・打撃によって力を加えるとき、素材をどのような温度で加工するかによって「冷間・温間・熱間」と種類が分かれます。常温に近い温度で加工すればするほど強度が高くなる一方で、素材が変形しにくいため複雑な加工が難しくなる傾向にあります。③さらに力を加える圧縮・打撃を受けた金属は、金属内部の気泡などが圧着されることで欠陥がなくなり、結晶が微細化して結晶方向が揃うため強度が高くなります。このとき方向の揃った結晶組織が形成するラインを、鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)と言います。なお鍛造は素材の強度を保ったまま成型するため、力を加える工程が重要ですが、この工程のために鍛造はほかの加工法に比べて製造コストがかかるともいわれます。④金型から取り出して成型完了金型から取り出した製品は、通常さらに切削加工などを加えて仕上げますが、ネットシェイプ・ニアネットシェイプといった精度の高い鍛造加工を用いると、後加工が不要になる場合もあります。■鋳造加工の工程引用:シンエイコーポレーション工程①素材を溶融②溶融させた素材を金型に流し込む③流し込んだ素材を冷却して固める④鋳型から取り出して成型完了①素材を溶融素材を電気炉などの高温で溶かし、液体にします。②溶融させた素材を金型に流し込む液体化した素材を取り出す作業を出湯、鋳型に流し込む作業を注湯と言います。③流し込んだ素材を冷却して固める鋳造では物体に力を加えないため、冷却時に物体内部に応力が残る可能性があり、これにより強度が下がる可能性があります。④鋳型から取り出して成型完了鋳造で用いる型を鋳型と呼び、その他の加工法で用いられる金型とはやや扱いが異なります。まず鋳型は木型や発泡型という元となる型を作成し、それをもとに砂型という製造用の型を作成します。砂型は一度使ったものは基本的にバラすため、鋳造では型を取り外すのが難しい複雑な形状も製造することが可能です。工程から見る鍛造加工と鋳造加工の違い鍛造加工が強度に優れるのに対して、鋳造加工は形状の自由度が高いのが特徴です。■鍛造の場合鍛造は素材に何度も強く力を加えることで、金属中に気泡が発生しづらく、適切なメタルフローラインを形成することで非常に耐久性のある製品を作成することができます。しかしそのぶん加工にはかなりの力が必要であり、時間もかかります。複雑な形状に関しては、そもそも型が対応していない場合もあります。■鋳造の場合鋳造は型の自由度が高いため、複雑な形状でも比較的安価に作成することができますが、一方で溶融した金属を冷却して固める際に内部応力が残る場合があり、製品の強度に不安が残ります。応力を取り除く加工も可能ですが、仕上げの段階でそういった工程が入ることを考えると、必ずしも鋳造のほうが低コストで済むとは限りません。一般に、加工に時間がかかるため鍛造加工は大量生産には不向きであり、鋳造のほうが低コストで加工可能なため大量生産向きであるとされています。しかしどちらも同じ型を何度も使用できる点は共通であり、後加工の要不要も加工精度によるため、一概にそうとは言い切れない部分もあります。例えば型の作成にかかるコストは、木型や発泡型の砂型鋳造が低く済みます。そのため、少量多品種生産においては砂型鋳造のほうが圧倒的に向いていると言えるでしょう。しかしこれについても、型を用いない自由鍛造であれば同じく少量多品種生産に向いていると言うことができます。鍛造品と鋳造品の違い鍛造と鋳造は、用いる工法によっても異なる特徴を持つため、強度や形状以外の面で単純比較することは難しいと言えます。しかし、鍛造品と鋳造品では明らかに傾向的に違いがあるのも事実です。そこで、より分かりやすく鍛造と鋳造の違いを把握するため、続いて鍛造品と鋳造品の具体例から両者の違いを比べてみましょう。①アルミホイールアルミホイール鋳造ホイール鍛造ホイールメリットコストが低いデザイン性の高いホイールの製造が可能軽量かつ高強度で車の性能を活かしやすいサイズの精度が高い大径のホイールに適しているデメリット鍛造より強度が低い強度を確保する場合は肉厚になり重量が重くなるサイズ精度が低いコストが高い②ゴルフクラブゴルフクラブ鋳造ゴルフクラブ(初心者・アベレージ向き)鍛造ゴルフクラブ(中上級者向け)メリットコストが低いヘッド形状を複雑にできる複数の素材を組み合わせることも可能易しくミスに強いライ角などの調整が可能デメリットコストが高いポケットキャビティ―構造などの複雑な形状は不向き③リング(婚約指輪・結婚指輪など)リング鋳造リング鍛造リングメリット大量生産可能でコスト低い複雑で繊細なデザインも実現可能強度が高く変形に強い24時間つけていたい結婚指輪に向いているデメリット耐久性に劣る力仕事、スポーツ、家事などでゆがむ可能性デザインはシンプルなもの手作業が多く注文から時間が掛かる場合あり具体的な製品例を見ると分かる通り、総じて、鍛造は強度が高い一方でコストが高く、鋳造は強度で劣るものの複雑形状を作りやすい、というのが大きな違いと言えます。ただあくまでも鍛造品の方が強度が高いだけであり、必ずしも精度の高さなどと直結するわけではありません。複雑な形状を無理に鍛造で作成しようとしても、かえってコストがかさむばかりです。ぜひ素材や形状などにあった、適切な工法を選びましょう。

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    【静岡県】で【板金加工】メーカー探しなら…腕の立つオススメ板金加工メーカー10選!

    みなさんが、業者探しをするのは、どのような場面でしょうか?「事業拡大のため、新しくこの加工ができる業者を探したい!」「今まで信頼してお願いしていたところが、後継者不足で廃業してしまって・・・」背景は様々かと思いますが、共通していることは、「早く、なんとかして新しい業者を決めたい!!」ではないでしょうか。とはいえ、まず直面するのが、「どこの業者がいいのかが分からない・・・」という問題。家電量販店を巡るように、いろんなところをチェックして、ベストなメーカーをチョイスできれば一番ですが、時間の制約や立地、気軽に入れない環境ということもあり、なかなかそうはいきませんよね。そこで今回の記事では、静岡県で板金加工メーカーをお探しの方に、腕の立つオススメの板金加工メーカー10選をご紹介します。【デザインに強み】山崎製作所基本情報住所:静岡県静岡市清水区長崎241番地TEL:054-345-2186/FAX:054-346-4392創業年:昭和45年加工:精密板金加工全般素材:ステンレス、アルミ、各種鉄鋼HP:https://www.yamazaki-metal.co.jp/会社概要表面処理・組み立て作業を含めた、製品の一貫生産から、パーツ部品製作まで対応しているのが、こちらの山崎製作所。20代~70代の技術者が現場でともに働き、熟練の技術を継承しています。メリット・デメリット社長をはじめ、技術や開発のフィールドで女性が活躍しているのも大きな特徴。こまやかな気遣いや繊細な感覚を活かし、山崎製作所が最も得意とするのは「デザイン」だそうです。板金に関わるデザインはもちろん、工作機械のデザインまで提案のフィールドを拡大し、経済産業省より、「地域未来牽引企業」に選出されています。以前、Mitsuriでも取材させていただきました!(詳しくはこちらです)こちらの工場では、主にレーザー・タレットパンチ複合機が使用されていますが、対応できる板サイズや板厚が限られているため、もし切断や穴あけなどの加工を必要とする場合は、適応サイズかどうか、事前に確認してみてください。製品例【素材からの一貫生産体制】矢部製作所基本情報住所:静岡県牧之原市大江1359-1(本社)TEL:0548-52-3121創業年:昭和48年加工:板金加工全般、溶接等素材:アルミ、ステンレス、各種鉄鋼HP:http://yabe-ss.co.jp/会社概要矢部製作所は、本社、菅ヶ谷工場、金型製造部の3つの工場を構え、切断、曲げ、組み立て、溶接、梱包まで行う一貫体制のメーカーです。製茶機械部品や、空調設備部品、各種機械部品加工、建設用モニュメント等を製作し、鉄、アルミ、ステンレスの板金加工に力を注いでいます。メリット・デメリット各工場には最新の機械が導入され、新鋭の機械と優れた人材により、新しい発想でものづくりを行っています。素材からの一貫生産体制を貫き、蓄積された技術力を駆使して、その精度と品質で信頼を獲得している点がメリットです。お急ぎの場合の特急対応や、小ロットの加工については、取り扱いが少ないようなので、要確認です。製品例【提案型板金設計開発】星製作所基本情報住所:静岡県沼津市小諏訪26-2(本社)TEL:055-926-8003/FAX:055-926-8004創業年:昭和42年加工:精密板金、溶接、塗装、樹脂加工素材:アルミ、ステンレス、銅、その他鋼板HP:http://www.hoshiss.com/index.html会社概要工作機械などの筐体から、少量生産の大型制御盤、機械部品などの板金・塗装・配線まで、一貫して請け負っているのがこの星製作所。県内3ヶ所に工場を構え、レーザーパンチ複合機の自動ラインより、量産品製造も行っています。メリット・デメリット提案型板金設計開発として、製品開発の段階から参加することで、部品製造の立場から、量産に適したモデルの提案を行い、全体のコストダウンを実現しています。また、試作品の検証データ提供など、サポート体制も整っているため、量産を見据えた試作が可能です。お急ぎの場合の特急対応については、扱いが少ないようなので、要確認です。製品例【大型板金の大量生産なら】晃永製作所基本情報住所:静岡県沼津市西沢田231-1TEL:055-923-5360/FAX:055-922-7248創業年:昭和55年加工:板金加工全般、精密板金加工、溶接、塗装、組立素材:ステンレス、アルミ、その他鋼板HP:http://www.koei-ss.co.jp/index.html会社概要短納期・試作品から、量産にも対応しているのが、こちらの晃永製作所。ステンレスの小さい板を最短納期で欲しい、といった要望から、5mを超える大型板金の量産まで、幅広いニーズに対応しています。メリット・デメリット板金設計、塗装、メッキ処理などの相談にも応じており、焼き付け塗装までの一貫した生産が可能です。ステンレス、アルミなどの板金・溶接加工にも実績をもち、工場の広さを活かして、大型板金の大量生産も行っています。3Dデータについては、取り扱いをしていない可能性があるので、事前に確認が必要です。製品例【短納期にも柔軟に】エスティ―基本情報住所:静岡県磐田市海老塚747-1(本社)TEL:0538-37-5136/FAX:0538-37-7438創業年:昭和61年加工:板金加工全般、溶接素材:ステンレス、その他鉄鋼HP:http://www.esty-s.jp/会社概要材料の仕入れから展開、切断、曲げ、溶接、表面処理と、納品まで一貫して対応可能なのが、エスティー。転造やタップ加工、穴あけ、ねじ切りなどの二次加工も行い、お客様に完成品に近い形で提供することを実現している企業です。メリット・デメリット切断のみ、溶接のみ、など一加工に特化した対応も可能で、図面がない場合や、急な設変対応、1個からの製作、短納期にも柔軟に応じてくれます。各種表面処理や塗装は、協力会社に依頼しているとのことなので、短納期の依頼の場合は事前に確認した方が良さそうです。製品例■2日対応:材SUS329/size50×100/ロット300■3日対応:材SUS304・316/size15A×300A/ロット1~5■3日対応:材SS/size200×250/ロット10【産業機械の製造なら】株式会社関東精工引用元:株式会社関東精工基本情報住所:静岡県富士宮市西山2103TEL:0544-65-1540FAX:0544-65-2301創業年:昭和35年加工:板金、切削、溶接、塗装、電装、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミなどHP:http://www.kantoseiko.co.jp/会社概要関東精工は、精密板金に強みを持つ総合金属加工メーカーです。産業機械や工作機械、またそのユニット部品などを、設計から機械加工、溶接、塗装、電装、組立まで一貫して請け負い製造しています。特に設計段階では、WEBを通してCADデータを顧客と共有。迅速かつ明解な設計提案を実現しています。メリット・デメリット独自の板金フレキシブル生産システム(FMS)を構築していますので、精密板金加工の多品種・小ロット生産に迅速に対応できます。マシニングセンタなどの切削加工機も多数保有。小物から大物、複雑形状から精密さを必要とする製品まで、多様なニーズに対応可能です。溶接にも力を入れており、技術を磨くと共に最新設備も導入。製缶やステンレス薄板の接合にも対応できます。吹き付け塗装と焼付け塗装にも対応。幅4000✕長さ3600✕高さ2400の水洗式塗装ブースを備えており、大物製品の高効率な塗装が可能です。特に苦手とする製品分野はありませんが、チタンなどの特殊金属の加工は対応していない可能性があります。事前に相談すると良いでしょう。製品例下の写真は、油圧タンク装置のユニット部品で、外装カバーの板金加工はもちろん組立工程では配線作業も実施されています。次の写真は、スプラッシュガードと呼ばれる工作機械のカバーです。100点以上の部品から構成されており、板金加工、機械加工、溶接、塗装を駆使して製作され、組み立てられました。続く写真は、医療機器で使用されるミキシングチャンバーです。厚さ3.0mmと1.5mmのステンレス(SUS316)部品を接合したもので、その溶接に高い技術が必要とされます。【工作機械カバーなら】株式会社畠山製作所引用元:株式会社畠山製作所基本情報住所:静岡県沼津市足高396-47TEL:055-921-3058FAX:055-922-0041創業年:大正11年加工:板金、切削、溶接、塗装、組立など素材:鉄などHP:http://www.hatakeyama-k.co.jp/会社概要畠山製作所は、主に工作機械や駆動・摺動機構のカバーを製作しているメーカーです。設計開発から機械加工、溶接、塗装、組立、保守管理まで、ワンストップで提供できる体制を整備。そのほか、機械の周辺装置や安全・防音カバーの設計、製作にも対応しています。メリット・デメリットレーザー加工機、レーザーパンチ複合機、マシニングセンタなどを保有しており、複雑形状の部品でも高精度に加工できます。最新鋭ベンディングマシンの熟練技能者による制御により、大型から小型まで多様なサイズの高精度な曲げ加工が可能です。駆動・電装部品を含む多数の部品から構成されるアセンブリの組み立てが可能で、動作確認にも対応できます。ただし、各種カバーを専門としているため、そのほかの製品のご依頼は要確認です。また、多品種・少量生産を中心に扱っているため、大量生産品については事前に確認することをおすすめします。製品例畠山製作所の製品例をいくつかご紹介します。下の写真は、工作機械のカバーであるスプラッシュガードです。スプラッシュガードは、切り屑の飛散を防ぐと共にその排出をコントロールします。次の写真は、工作機械の駆動・摺動機構を保護するテレスコカバーです。【長尺製品の加工なら】株式会社竜洋引用元:株式会社竜洋基本情報住所:静岡県磐田市南平松10番地1TEL:0538-66-2808FAX:0538-66-4660創業年:大正15年加工:板金、切断、溶接、塗装、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミなどHP:http://www.ryuyo.jp/会社概要竜洋は、主に建築用金属製品の設計・製造・販売を行っているメーカーです。大型製品加工専門の工場を保有しており、長尺製品の加工に強みがあります。溶接、塗装、組立にも対応しているため、設計から組立までの一貫した生産が可能です。また、アウトドア用品ブランドのマーベリックを保有。焚き火台や調理鉄板などの製造・販売も行っています。メリット・デメリット多品種・少量生産が可能な生産管理システムを構築しており、オーダーメイドやリピートに迅速に応えることができます。板金加工を得意としており、厚さ0.1mmから9mmまで、長さ12mまでの金属材の曲げ加工が可能です。塗装・組立にも対応していますが、塗装のみ、組み立てのみの作業は請けていません。また、NC旋盤やマシニングセンタは保有していませんので、削り出しを要する精密部品などには対応できない可能性があります。製品例竜洋の製品例をいくつかご紹介します。下の写真に見られるような、ステンレスの加工も請け負っています。5m超の薄くて長いステンレス製品にも対応しています。次の写真のような、建設部材も多数製造。過去10年で、数千種類の建築金物や建設部材を数千種類製造しています。続く写真は、折りたたみ可能なステンレス(SUS304)製の焚き火台です。【配電盤の製作なら】平井工業株式会社引用元:平井工業株式会社基本情報住所:静岡県田方郡函南町肥田519TEL:055-978-2722FAX:055-978-2974創業年:昭和44年加工:板金、切断、溶接、組立など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅などHP:http://www.hirai-k.net/会社概要平井工業は、配電盤や各種制御盤、架台などを主に製作しているメーカーです。設計・製作・検査はもちろん、配電盤類に関する電気工事や土木工事、点検や維持管理までトータルに対応しています。また、板金加工も請け負っており、ステンレスやアルミ、銅製品の製造もしています。メリット・デメリット配電盤の工事だけでなく、太陽光発電システムや非常用発電機の設置など電気設備一般の工事も請け負っていますので、電力系統システム全体の構築をおまかせできます。また、配電盤類に関しては、既設盤の現地改造も引き受けています。ただし、板金加工では架台や筐体などを主に扱っているため、微細な加工を要する精密部品などには対応できない可能性があります。製品例平井工業の製品例をいくつかご紹介します。下の写真のような、動力制御盤などを主に製作しています。次の写真は、市庁舎に設置した配電盤です。この案件では、太陽光発電パネル設置なども含め、電気設備全体の施工も請け負っています。続く写真は、板金加工によって製作したアルミ製盤の筐体です。【レーザー加工なら】有限会社レーザテクノ静岡引用元:有限会社レーザテクノ静岡基本情報住所:静岡県静岡市清水区宮加三343-1TEL:054-334-3853FAX:054-334-5960創業年:昭和20年加工:板金、切削、溶接、製缶など素材:鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、樹脂などHP:http://laser-ts.co.jp/会社概要レーザテクノ静岡は、レーザー加工の受託や食品関連工場の機械付属設備、搬送設備などの製作を行っている板金加工メーカーです。レーザー加工に強みを持ち、デザイン性の高い看板文字や絵などの切り抜き加工も引き受けています。高い技術を要するステンレスの溶接も得意とし、多様なステンレス製品を製作しています。メリット・デメリットレーザー加工では、直径20mm~400mmのパイプ加工に対応。板金に対しては、厚さ12mmまでのステンレス、19mmまでの鉄、8mmまでのアルミなど、多様な厚さ、素材のレーザー加工を請け負うことができます。なお、ステンレスのクリーンカットにも対応しています。ファイバーレーザー溶接機を保有しており、高精度な溶接が可能です。ただし、NC旋盤やマシニングセンタは保有していません。削り出しが必要な加工には対応していないので、事前に確認することをおすすめします。また、一点物や少量生産品を主に扱っているため、大量生産品はご依頼できない可能性があります。製品例レーザテクノ静岡の3つの製品例をご紹介します。以下のような、微細かつ複雑な加工を要するモニュメントなどの引き合いが多いようです。まとめいかがでしたでしょうか。静岡県には、一貫体制で請け負っているメーカーが多くあり、各メーカー独自の強みを活かして顧客獲得に結びつけているようです。Mitsuriでは、静岡県に限らず、全国各地の加工メーカー様とお付き合いをさせていただいています。板金加工メーカーにお願いしたい…そんなあなたのために、板金加工のMitsuriが生まれました。板金加工でお悩みであれば、ぜひご相談ください!

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    【イベント】「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」から学ぶ、未来創造のための技術活用

    昨今、板金加工やものづくりの現場では、機械化・ロボット化が進んでいます。その中でも、特に注目されており、今後浸透していくと考えられているのが、「AI・IoT」化です。AI・IoTは、既存の産業をますます効率化し、新しいビジネスを生み出す可能性をもっています。人の暮らしそのものを大きく変える、とも言われていますが、「子どもの未来」を輝かしいものにするためには、どのような活用のしかたがあるのでしょうか。今回は、3月25日に開催されたイベント「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」のレポートをお届けいたします。AI・IoTとは?AI・IoTとは簡単にいうとどんな技術なのでしょうか。AI(人工知能)は、機械やソフトウェアが人間のような考え方をすることにより「データを分析して活用するもの」、IoTは、物がインターネットを介してつながることで「データを収集するもの」、と言い表すことができます。この二者が連携することで、私たちの生活は想像以上に便利で効率的なものになります。AI・IoTは既存の産業の効率化を促進し、新しいビジネスを生み出し、さらには人の暮らしそのものを大きく変える可能性があるものと言われています。特に、研究機関が多く集まる千葉県柏市では、AI・IoTに関する様々なプレーヤーが最先端の研究・実践を行なっています。AI・IoTと少子高齢化今日の日本が抱える問題の一つに、少子高齢化が挙げられます。少子高齢化は全国共通の課題となっており、「まちづくり」の中心に「子ども」に関するテーマを設定している自治体も数多くあります。そのような地域では、行政のみならず、多くの民間・個人のプレーヤーが様々な活動・サービスを行っていますが、ここにAI・IoTを掛け合わせることで、AI・IoTを活用した最先端の「子どもの未来をかがやかせる」サービスが生まれる可能性があるのではないか、と考えられています。 本イベントの目的今回、柏の葉キャンパスで開催されたイベント「AI/IoTでささえる、かがやく子どもの未来」では、幅広い分野の人々との対話を通してこの可能性を追求し、AI・IoTを活用した「子どもの未来をかがやかせる」新たなサービスを、自由な発想で生み出すことを目的としています。行政や研究機関、一般企業、中小ベンチャー企業など、様々な所属の参加者が集い、「子どもの未来」にフォーカスを当て、情報収集・議論・発表を行いました。会場:柏の葉キャンパス オープンイノベーションラボKOIL引用元:KASHIWA-NO-HA SMART CITY イベントの流れStep1「AI/IoT」に関する最新の状況を理解するStep2「AI/IoT」によって「子どもの未来」がかがやくシーンを描くStep3「子どもの未来」がかがやくシーンを実現する「AI/IoT」を活用したサービスアイデアを考えるStep1:「AI/IoT」に関する最新の状況を理解する(株)ファーストアセントの服部伴之氏と(株)カラダノートの彦坂真依子氏から、現代の子育てにおける育児や産後うつなどの課題解決として、AI・IoTを活用した事例の紹介がありました。彦坂氏は、子育てと最新技術を掛け合わせた取り組みを「子育Tech」と名付け、AI・IoTで実現できることとして、①育児記録の共有・効率化②育児データの情報収集③コミュニケーションの3つを紹介しました。AI・IoTで実現できる子育て支援①育児記録の共有・効率化②育児データの情報収集③コミュニケーションAI・IoTの介入が進んでいる海外の育児状況や、日本の子育て特有の「人の手間ひま=愛情≠技術」という考え方の中で、どのようにAI・IoTを取り入れていくかが課題であるという指摘も挙げられました。この最新の取り組みを導入として、「子どもの未来」がかがやくものになるためのAI・IoTの活用方法について、6つのグループごとにディスカッションを進めました。Step2:「AI/IoT」によって「子どもの未来」がかがやくシーンを描く4~5名の6グループ毎に、「子どもの未来」がかがやくシーンを考えるにあたり、まず「子どもがかがやかない未来とは?」を議題にブレーンストーミングを行いました。「AI・IoTに親が依存してしまい子どもが管理対象になってしまう未来」「子どもが自発的に学ばなくなる未来」「遊びの心がなくなってしまう未来」など、子どもが幼少期に獲得するべきことに対して、無関心になってしまうことや、技術依存が起こることについての意見が多く挙げられました。後半はグループシャッフルを行い、他グループで得られた意見を共有し、より様々な意見について触れる時間が設けられました。特に育児中の参加者からは、「親がかがやかない社会では、子どももかがやけない」など、切実な言葉も聞こえました。 Step3:「子どもの未来」がかがやくシーンを実現する「AI/IoT」を活用したサービスアイデアを考えるStep2でグループごとに洗い出した意見から、代表となるものを2つ掲示して、強く共感する内容に投票し、Step3ではその内容ごとにチーム編成して提案内容を練っていきます。「子どもがかがやかない未来」をもとに、どうすれば「子どもがかがやく未来」が実現するのか、意見を出し合います。例えば、子どもにとって「感動がない未来」を避けるためにはどうすれば良いのか。「生き方の選択肢を知らない未来」にならないためには、どのような提案ができるのか。その議論を元に、課題解決策としてのAI・IoTの活用方法を提案します。各チーム毎に提案内容を一枚の紙にまとめ、全体発表会として最後はプレゼンテーションを行いました。発表では、「個性と共感を育むために、子どもと社会・他の子どもを結びつけるマッチングAI」や、「子どもの選ぶ力・考える力を伸ばすために、『正解』を教えないAI」など、各チーム個性豊かなアイディアが提案されました。また、実現のために必要なリソースについても検討し、実用化に向けて一歩踏み込んだ提案内容になりました。 まとめAI・IoTの活用は、現在の日本が抱える課題を解決するだけでなく、望ましい未来の創造にもつながります。本イベントでは、「子どもの未来」にフォーカスを当て、参加者それぞれが、現代の子どもをとりまく環境や、未来の子供に獲得してほしい体験・感情について考え、技術発展の中でそれらをより良いものにしていく方法を検討しました。今後より一層AI・IoTが身近になる中で、私たちはそれに依存することなく、使い方や使う意図を考えて、望ましい未来のビジョンを描きながら活用していくことが大切なのかもしれません。

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    第3回 圧接とは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

    本シリーズでは、溶接加工に関する知識が全くない方でも、読み進めていくことで溶接加工について理解できるようになることを目標にしています。シリーズ第3回目の本記事では、溶接の種類のひとつである圧接について、「圧接とは何か?」を理解するために、加工法の定義や種類、メリットデメリットなどを解説します。圧接(加圧溶接・固相接合)とは圧接は加圧溶接の略で、通常は被溶接材料(母材)を溶かして液相にせず固相のまま接合することから、固相接合ともいわれます。具体的には、金属などの被溶接材料の接合部に、機械的圧力を加えて接合する加工法です。機械的圧力とは、文字通り機械によって加える圧力のこと。そのため数値制御が可能で、FA=ファクトリーオートメーションで広く用いられています。なおそのほかの溶接の一種である融接とは違い、圧接は圧力だけで接合するものばかりではありません。例えば摩擦圧接では摩擦熱によって被溶接材料を発熱させてから圧着しますし、熱間接合では、ガスの炎によって加熱圧着させます。圧接の代表的な種類圧接の主な種類には、ガス圧接、摩擦圧接、抵抗溶接、拡散接合、超音波圧接、爆発圧接などがあります。ガス圧接主に鉄筋などの接合端面を、酸素・アセチレンバーナーで1200~1300℃に加熱して、赤熱させ突き合わせて接合する圧接法です。非常に簡易なことから、建築現場などで使用されています。摩擦圧接引用:松井鋼材株式会社摩擦圧接は、部材を突き合わせて片方を回転させて、接触部に発生する摩擦熱によって接合部を加熱し、さらに加圧して接合させる圧接法です。円形断面を持った材料の、突き合せ接合に適しています。母材を液相にせず、軟化させた固相状態で接合するので、通常溶接では難しい、写真のような異種金属同士の接合も可能です。その他の溶接法と比べて、熱源を必要とせずガスやスパッタ(溶接時に溶けた金属が飛散して粒状に固まったもの)も出ないので、自然環境にやさしい接合方法とも言えます。しかし回転させながらの加工が必須となるため、円形断面など、回転可能かつ回転時に均一に力が加わる形状でなければ摩擦圧接には適しません。そのため、材質的に問題はなくとも形状的に摩擦圧接以外の工法を選択せざるを得ないケースは多いでしょう。抵抗溶接引用:ハイメカ株式会社抵抗溶接は、被溶接材料を重ね合わせて、溶接部を電極で挟み加圧して電流を流し、溶接部位の接触抵抗に発生するジュール熱でお互いを溶融接着させる金属接合法です。大電流を使いますが、電圧が低いため感電の危険はありません。抵抗溶接のメリットは、プロセスを自動化しやすく、アーク溶接やガス溶接などと比べ仕上がりが作業者の熟練に左右されない点。また短時間で溶接できるので、安価で大量に製造する生産方式に適しています。しかし大きな電流が必要なので、電気設備が必要になるケースもあります。また被溶接材料の材質やサイズによって溶接条件が変わるので、はじめに厳密に条件出しをしなければいけません。拡散接合清浄化された表面を重ね、あるいは突き合わせて高温に加熱し、母材の原子の拡散によって接合させます。異種材料の、精密な接合に適しています。超音波圧接超音波圧接では、被溶接材料の端面部に超音波振動を加えて、摩擦圧接と同じ原理で接合させます。固相状態で接合する点で摩擦圧接などそのほかの圧接法と同様ですが、超音波の振動によって接合断面の不純物を取り除いてやがて結合する、という原理のため摩擦熱があまり発生せず、プラスチックなど非金属にも使用できるのが特徴です。爆発圧接爆発圧接は、爆着などとも呼ばれ、爆薬の爆発衝撃力によって接合部を高速で塑性変形させ接合させる工法です。異種金属同士を全面にわたり金属組織的に接合できるため、チタンー鋼など、融接での接合が難しい材料の組み合わせに適しています。爆薬以外に特別な機器を必要とせず、被溶接材料のサイズにも基本的に制限がないため、多品種少量生産が可能です。ただし、加工の性質上取り扱いに注意が必要な点と、爆発音が生じるため加工場所が制限されることが難点です。圧接と他の溶接の違い溶接には、圧接以外に融接やろう付という加工法があります。それぞれの特徴と比べた、圧接法のメリットデメリットを確認してみましょう。なおここまで紹介した通り、圧接法と一口にいってもその種類は多岐にわたるため、続いて解説するのはすべての圧接法に当てはまる特徴というよりも、あくまでもそういった傾向がある、といった程度に認識していただければ幸いです。圧接法のメリットは、おおむね次の通りです。圧接のメリット・特殊な機器や技術を必要とせず、比較的導入が容易・材質やサイズを選ばない加工法が多い・異種材料間での加工に適している・固相のまま接合するため材料が痛みにくくリサイクルに適している・溶接材が不要で、ガスやスパッタの発生しないクリーンな加工が可能対してデメリットは次の通りです。圧接のデメリット・円形断面など、形状が特に限定される工法がある・圧力が均一に加えられない複雑な形状には不向き・加工断面の確認ができず施工管理が難しいまとめ「ゼロからわかる!溶接加工!」シリーズ第3回は、代表的な圧接法や、そのメリット・デメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。次回はろう付について解説し、その後はアーク溶接やガス溶接など、融接・圧接・ろう付、各圧接法の代表的な加工法について紐解いていきますよ。

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    3Dプリンタとは?3Dプリンタの基礎を丁寧に解説!

    一時期製造業に革命を起こしたと叫ばれ、世間を賑わせた3Dプリンタ。皆さんもテレビのニュースやネットなどで一度はその言葉を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。発売当初は1台1000万円を超え、その高額すぎる値段に誰もが手を出せないでいた革命の品ですが、近年では1台数万円で済むほど安価になっている物もあるのはご存知でしょうか。今回の記事は、そんな個人でもお試しで購入できるようになった3Dプリンタについて紹介していきたいと思います。3Dプリンタとは?普段私たちが使うプリンタというと、コンビニなどにある文字を印刷する機械を想像するかと思います。内部の機器が小刻みに動いて独特な音とともに高速で印字がされていき、その速度は人間が書くスピードを軽く凌駕します。3Dプリンタはそれの物バージョンという感じです。パソコンで設計したデータを実物として形成し、設計通りの形状で再現できます。コンピュータで作ったものを現実にコピーするような感覚ですね。3Dプリンタはパソコンでデザインが描ければ後は自動で作ってくれるので、製作時間の短縮だけでなく、製作中も他の作業ができて非常に時間効率が良くなります。引用元:RICOH上の製品の画像は3Dプリンタで作られていますが、とても印刷されたとは思えないぐらい精巧な作りですね。これほど様々な製品がたった一台で、しかも短時間でできるのが3Dプリンタの魅力です。3Dプリンタは他の工業製品と比べて発売したばかりで、まだまだ発展途上ですが、その活用の幅にはすでに目を見張るものがあります。3Dプリンタの活用事例発売当初から幅広い活用方法が見込まれていた3Dプリンタ。その期待通り、工業だけでなく建築や医療、はたまた教育まで様々な分野で絶賛活躍中です。主な活用例としては、建築では建物の模型、医療では義手や臓器のモデル。教育の分野では実際に3Dプリンタを使った授業などに使われています。引用元:AERAdot. RICOHでは肝心の工業の分野ではどうでしょうか。工業の分野では、なんと製品を作る一連の流れ全体で、3Dプリンタの活躍が見られます。企画・設計の段階では製品の見本として模型や試作品が作られ、製造の段階では治具や金型として縁の下の力持ちの働きを見せ、製品化の段階では、少量ではありますが実際に3Dプリンタで作ったものが商品として売られているほどです。治具とは素材を加工する際に、素材を固定したり、寸法を統一するための目印に使ったりするものです。裁縫の時に使う待針のようなものですね。そして金型とは、金属を加工する際に形を一定にする原版のようなものです。子供が砂遊びをする時に、砂をコップに入れてひっくり返すことで形を作って遊びますが、そのコップのような役割をするのが金属加工で言う金型です。さらに、3Dプリンタでは個人で作った物も販売されています。たまにテレビやネットのニュースで取り上げられているものとして、3Dプリンタで作ったフィギュアやスマホケースがあります。3Dプリンタは大量生産こそ今の技術ではまだできませんが、質の方では負けず劣らず、高い品質の商品が市場で売り出されています。3Dプリンタは実用されてまだ間もないですが、活用の幅は非常に広く使われています。3Dプリンタの造形方法3Dプリンタの造形方法にはいくつかの種類があり、使用できる材料が造形方法により異なります。材料は一番よく使われているもので樹脂、加えて金属、ゴム、石膏など。個人向け用と業務用があり、個人向け用の3Dプリンタは造形方法が一つしかありませんが、業務用にはいくつか種類があり、使用できる材料も様々です。値段も業務用のは数百万しますが、個人用のは数万程度と、値段に比例して大きさや性能にも相応の開きがあります。個人向け用の3Dプリンタの造形方法個人向け用の3Dプリンタの造形方法は、熱溶解積層法(FDM)と呼ばれる1種類だけで、使える材料も樹脂しかありません。熱溶解積層法は固められた樹脂を熱で溶かして、糸のような細い線を積み重ねて形を作ります。そうして塔を作るように足元から上の方へと少しずつ樹脂を重ね、立体物へと作り上げていきます。機器が細かく忙しく動いている様子は、まるで早送りのビデオでカイコが繭を編み合わせていくようで、ある種の関心を覚えます。引用元:3DプリンタのJapanese Makersですが先ほども述べた通り、やはり安い装置だけあって精度はそれほどでもありません。業務用の高い3Dプリンタは期待通りの再現力を持ち、細かい文字や模様もくっきりと写し出せますが、安物の3Dプリンタですと細かい文字は潰れてしまっていたり、再現できる物の大きさも小さめの物しかできなかったりします。また、一つ作るだけでも製造に2~3時間掛かかったり、音がうるさい、3Dプリンタ自体が壊れやすいなどの難点もあります。個人でも安価で買えるようなった3Dプリンタですが、今の時代ではまだ使ってみてガッカリすることが多いかもしれませんね。業務用の3Dプリンタの造形方法一方、業務用の3Dプリンタは、やはり高いだけあってより綺麗な仕上がりにできます。主な造形方法は以下の通り。・インクジェット方式・光造形・粉末石膏造形・粉末焼結造形まだほかにも方法はありますが、今回は代表的なこれらを見ていきましょう。・インクジェット方式インクジェット方式は、私たちに馴染みのある、紙に印刷する通常のプリンタに一番近い方法で製品を形成します。普段見かける印刷機では、光を放っている機器が何度も左右を往復して印刷しますが、それと同様にインクではなく樹脂を噴射して形を成していきます。インクジェット方式は短い時間で複雑な形の物を作れることができ、表面を滑らかに仕上げられるのが利点です。インクジェット方式の材料も樹脂ですが、個人用のプリンタで使用されている樹脂とは少し違う種類を使います。業務用で使う樹脂の方が少しいい物のようですね。・光造形光造形という方法では液体の樹脂を筒状の機械に取り込んで、紫外線レーザーを浴びせることにより樹脂を固めて形を作っていくという方法をとります。3Dプリンタの最も古い造形法で、製造業でよく使用されます。使われる材料はこちらもインクジェット方式と同じくアクリル系やエポキシ系の樹脂。樹脂だけあって壊れやすいですが、精度が良く複雑な形状にすることも可能で、製品の模型を作るのに向いています。・粉末石膏造形粉末石膏造形は石膏を材料にして作る造形法です。石膏とは博物館に飾ってあるような白い像を作る材料で、3Dプリンタではきな粉のような白い砂にして使います。白い砂が敷き詰められた機械に接着剤を吹きかけたりレーザーを使って固めていき、完成すると周りの砂がなくなって完成品が出てきます。石膏は材料が安い反面、強度がもろいというデメリットがありますが、カラー着色ができるのが魅力です。博物館の像が倒れて割れてしまうVTRをテレビ見たことがありますが、3Dプリンタがあればまたすぐに作り直せるので安心ですね。・粉末焼結造形粉末焼結造形は金属や樹脂を材料としています。砂のように細かくなった金属や樹脂の粉末を箱いっぱいに敷き詰めてレーザーで固める方法をとります。金属が使えるぶん丈夫そうですが、表面が多少ざらつくのがデメリット。さらに出来上がった後に毎回砂を落とすことは手間に思えるでしょうか。ですが一回や二回なら地表から化石や宝物を掘り出すみたいで楽しそうですね。3Dプリンタがものづくりに与える影響(メリット・デメリットなど)3Dプリンタが世に生み出されたことで、製造業のものづくりにおける環境に少しずつ変化が出始めました。3Dプリンタを使うメリットとして、試作品を作る期間の短縮、開発コストの削減などがあげられます。また、従来の方法では難しかった複雑な製品を作れるようになったことも大きな利点でしょう。ただ、3Dプリンタを使うということは、当然3Dデータの作成をする必要があるという壁がありますね。これまで製造業に携わってきた作業員たちにとって、畑違いであるパソコンでのデータ作成は至難の業です。そこで、製造業における次世代の躍進の一歩として、学校教育で3Dプリンタが導入される動きが出始めています。特にアメリカやイギリスの動きがさかんで、すべての学校に3Dプリンタを導入することを目標にしたり、教育カリキュラムを変更して子供の頃から3Dデータを扱えるようにしたりと次世代の製造業を後押ししています。日本ではさすがに小中学校では導入できませんが、大学や専門学校ではすでに3Dデータの勉強が行われており、今の学生たちがものづくりを新しい時代へと発展させていく準備が進みつつある状況です。ですが、まだ現状では3Dプリンタを中心とした製造業の未来は遠いというのが正直なところでしょう。今の3Dプリンタのデメリットとして、製造物の耐久性が低いため、現状の技術では試作品を作る以外の使い方に乏しかったり、製造コストの面から大量生産が難しいなどの欠点があります。また、3Dプリンタ自体の導入コストが高く、その影響からあまり普及も進んでいないという背景もあり、3Dプリンタで作った製品を大量生産できるのはもう少し先の話になりそうです。それでも3Dプリンタが世に出てからこれまでの躍進は目覚ましいものがあります。もしかしたら10年後20年後には、3D技術を駆使した新時代のものづくりが中心となっているかもしれません。これから先、製造業の未来はどう変化していくのか。新しい技術をたずさえた若い世代に多いに期待したいものですね。3Dプリンタまとめ以上、今回は3Dプリンタの紹介でした。いつもの加工の技術や素材の歴史などの紹介よりも少し先進的な内容でしたね。この記事が新しい時代の先駆けとなれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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    【工業デザインと板金加工の設計に特化】株式会社アドライズのお仕事!

    板金加工にも設計は欠かすことができません。そこで、株式会社アドライズの代表取締役の牛山直樹氏にお話を伺ってきました。アドライズさんは、長野県岡谷市にある工業デザインと板金設計に特化した設計会社です。工業デザインと板金設計の仕事とはどんな仕事なのでしょうか。快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。牛山氏はい。ものづくりの流れは、開発、設計、製造と大きく3つに分けることができます。弊社はこの中で、開発、設計のプロセスに絞って事業を提供しております。分野としては、産業機械に絞っています。大手メーカーさまの設計開発部門向けに技術サービスを提供しています。具体的な事業内容としては、主に産業機械カバー、プロダクトデザイン、「あしたの機械カバー」というブランド展開に分けることができます。強みとしては、FA設備の機械設計のサービス。SolidWorksというCADの教育を行っていることも挙げることができますね。設立は2005年の4月です。今、メカ設計者が10名、それからデザイナーが2名、それからCADオペレーターという方が5名。総勢22名でやっています。私がこの会社を創業した初代です。以前は、産業機器メーカーで仕事をしてまして、スピンアウトする形で独立をしました。当初はFA設備の機械設計のサービスのみ行っていました。その中で、事業の幅を持たせたいと考えて、模索をしていました。ある産業機械開発のプロジェクトで、ドイツ製の産業機械をみることがありまして。今まで、私が想像していた産業機械っていうのはプラント設備にあるようなものでした。配管がむき出しで、フレームがあってボルトがぼんぼん立って、ぐっちゃぐちゃしているような(笑)そのドイツ製の機械は、まるでデザイン家電のように洗練されていました。LEDで青く光って、ロゴがポイントで入っている。サイズが大きいこともあって、とても格好良く見えました。こんな事業やりたい、と考えて、工業デザインに興味を持ちました。それですぐに工業デザインをてがけるようになったのですか。牛山氏最初は、ホームページに「こういうデザインがあります」って書いてみたんです。そしたら、大手メーカーさんから連絡がありまして。ちょうど設計ができるデザイナーを探していたようなんです。そのように偶然のお声かけをいただいたところから、実際に仕事として形にしたんです。これが、結果としてデザイン事業の土台になりました。そこから、デザイン賞関係の賞にノミネートされたり、受賞したりするようになりまして。知名度があがったことで、お問い合わせを受けるようになりました。おかげさまで右肩上がりで案件をいただいている状況です。ありがとうございます。御社の中でデザインは完結されるのでしょうか。牛山氏いいえ、弊社は、板金製造の機能を持ちません。板金部品は、数多ある板金製造会社の中から特に優れた会社との連携により、調達しています。弊社に在籍するデザイナーと設計者は、デザイン、設計、組立の開発作業に専念します。この連携体制により、機械カバーのデザインから設計、試作、納品までワンストップでの提供を実現しています。機械カバー開発を丸ごと私たちにご依頼することにより、お客さまは、重要な機械内部の設計・開発に集中する時間を確保できます。設計リソース確保と納期短縮にも貢献します。デザインの実績としては50社程度、1000案件以上はこなしてきています。設計案件を含めてですね。カスタマイズの設計に対応するってところが当社の最大の強みですね。ただ、外見がスタイリッシュなだけではなくて。操作性とか、組み立て性、それからメンテナンス性も。使う人を配慮した設計を心がけてます。また、防音、防水、X線の遮蔽、ヨーロッパの安全規格CEへの対応。この辺りのノウハウも蓄積しています。なるほど。牛山さまが創業されたときのご苦労などお伺いできましたら。牛山氏とても苦労しましたよ(笑)思っていたよりも創業するのは大変で。一番難しかったのは、とにかく仕事を安定させることでした。先ほどのお話と重複するところがあるかもしれませんが、当初はFA設備、その後プロダクトデザイン。プロダクトデザインを始めたのはリーマンショックの頃です。リーマンショックの翌年あたりにガタっと仕事が減りました。弊社だけではなく、他社さまも仕事がなくなって、月金も休みのような状態のところも(笑)仕事は減ったんですが、休みにはせず、教育をしました。SolidWorksの勉強をひたすら従業員にやってもらいました。まだ創業して、3期目ぐらいでしたので、お客さんの数も少ない。実績もない、コアとなる事業もない、スキルもない。とにかく、自社の底上げをするために教育をずっとやっていましたね。私の方も、暇でしたのでホームページなどを作ったりして。どうしたらいいか、アイデアを練っていました。弊社のような創業したての会社に、どうやったら仕事をもらえるだろうかって。その時に、デザインがいいんじゃないかって思いまして。これは、本当に単純な発想だったんです。ものづくりのプロセスを見ながら、設計の仕事を増やすにはどうしたらいいか。上流のデザインを手がけたらいいのではないか。じゃあ、やってみようって(笑)当初は、工作機械以外のデザインもやってました。民生品なども手がけていました。そのうち案件を重ねるごとに、板金ってよく使うなって気づいたんですね。じゃあ、板金設計得意だし、フレームも得意だし、ここら辺で勝負しようって。板金設計の関係で、工作機械を。数の多いアイテムじゃなくて、数の少ないものだとどうだろうかって考えまして。ありがとうございます。創業から14年、これまで様々なご苦労があったかと思いますが、現状の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。牛山氏現状の課題でいえば、営業力でしょうか。リーマンショックのときに作ったホームページが功を奏して、そこからお客さまが来ています。これまでは、それでもよかったのですが、10名だった社員を22名まで増やしたんですね。そうすると、やはりもっと案件の量を増やさないといけない。今までのマーケティングの仕組みでは、ちょっと受注量が足りません。ここを営業の力で、もっと増やしていく必要がありますね。もう一つは、プロダクトデザインの方で、品質。きちんと品質を担保したものを、お客さまに納品したい。今おつきあいしている会社さまでいうと、協力会社の板金業者さまに検査をしてもらって、納品しています。試作機ではあっても、自社で製品レベルと同等のものにまで仕上げてしまいたい。そのためにの設計の仕組みとか、組立の仕組みなどを確立してしまいたいと思っています。話を戻してしまって申し訳ないのですが、これまでのご苦労と取り組みについてもお伺いしてもよろしいでしょうか。牛山氏大きく分けて2つありました。一つ目は、現状の課題と同じなのですが、どうやってお客さまを開拓していくかというところです。二つ目は、何の事業をやるべきなのかという葛藤でした。ここは、今でかなり形がはっきりしてきましたが。創業してから、8年ぐらいまではなかなか形ができなかったものですから。悩みの種でした。ありがとうございます。今後の事業展開などについてお伺いさせてください。牛山氏デザイナーが今、2名なんですけが、もう少しデザイナーを増やしたいと考えています。お客さまごとにデザインの好みがありますので、その好みに対応できるようにしていきたいと考えています。デザインの多様性ともいうのでしょうか、そういうところに対応していきたいです。なるほど。御社が仕事する上で大切にされているものについて、お伺いしてもよろしいでしょうか。牛山氏やはり真摯に取り組むことです。いただいた仕事は最後まできちんと取り組むことです。クレームも前向きに捉えるようにしています。この仕事をしていると、クレームって結構少なくないんです。以前は、設計だったんで「図面間違ってるよ」っていうクレーム。最近では、ものを作ると「直してこい」とかそういうクレームがつくことがあります。もう本当に最初は嫌で嫌で(笑)でも、嫌々でも最後まできちんとやると、お客さまから「ちゃんとやってくれた」って評価いただけるんですよ。最後まできちんとやり抜くことの大事さに気づきまして。それで、最後まできちんと取り組むようにしています。ありがとうございます。大きな話になるのですが、板金加工業界全体の課題などについてお伺いさせてください。牛山氏弊社が力を入れている設計の分野でも大きな課題があります。1人や数人で設計している段階では、大丈夫なのですが、10人くらいになってくると、それぞれで設計の仕方が異なってきてしまう。十人十色じゃないですけど、そういう部分がどうしてもでてきてしまいます。この辺りの設計標準をどうしたらいいのか。弊社では、きちんと設計の基準を決めたものがあります。逆に言うと、決められていないところは無法地帯みたいなところがあります。この辺りに関しては、何とか課題解決の方向を見出していきたいと考えています。少し話が飛躍してしまうかもしれないのですが、設計ってとても楽しいんですよ。学生のとき、工業系の学科だったんですが、自分で引いた図面で実際にものを作るっていうことやっていました。それが、すごい楽しくて。実際に起業して、そういう仕事に携わってやはり楽しいです。図面を引くときに、自分のアイデアを結構入れていくんですよね。そういった自分のアイデアが本当にものになる、形になる。それを見た瞬間って、なんというか癒されるんですね。その瞬間のために、仕事をやっているようなところもあります。こういう楽しさを、若い人にも経験してもらいたいですね。色んな課題があって、それを解決していかなければいけないのですが、根本的にはそこから見えてくるようなものがあると思います。

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    【精密板金とは?】加工の流れや強み弱みまで分かりやすく解説!

    精密板金加工とは板金加工の一種で、中でも特に高精度な技術が必要となる加工方法です。精密板金加工で用いられる金属板は他の板金加工と比べて薄く、1 ~ 3mm 程度のものがほとんどという事実がその難しさを物語っています。そんな精密板金とはどのような流れで、どのような加工をしていくのでしょうか?是非ご参考にしてください。精密板金加工とは精密板金加工の原材料は、鉄・ステンレス・アルミニウム・銅・真鍮等が一般的で、精密板金加工で用いられる金属板は他の板金加工と比べて薄く、1 ~ 3mm 程度のものがほとんどです。また、精密板金は専用金型を用いず、汎用金型やジグを組み合わせて加工する板金加工です。精密板金加工で製作されるものは、パソコンの金属製の箱などがイメージしやすいでしょう。単体では機能を持たない小型のパーツなども、精密板金加工の代表的な製作物です。その精度は曲げ寸法公差で0.1mmや0.2mm、パンチングによる抜き加工では0.05mm以下という、とても高精度な技術を用する加工となります。しかし、精密板金は上述したように高精度な技術が必要なので、対応可能な工場が限られているという側面もあるのです。精密板金加工の流れ精密板金加工の作業手順は次の通りです。1.設計・提案2.図面展開3.抜き加工4.前加工・成形加工(バリ取り、タップ加工等)5.曲げ加工6.溶接加工7.仕上げ加工・表面処理8.組立・検査1工程ずつ、簡単にご説明します。1.設計・提案精密板金加工では専用の金型を使用しないため、まずは汎用金型の組み合わせから図面を設計します。2.図面展開設計された図面をもとに、展開図を作成します。このとき、次の「抜き加工」で金属板を曲げたときに発生する厚みなどを考慮するのがポイントです。例えば精密板金加工によってサイコロを作成しようとした場合、一つながりでそのまま作成した展開図では曲げられない箇所が発生するため、一部分割した展開図になります。3.抜き加工金属板を展開図の通りに加工していきます。抜き加工ではNC機(数値制御の工作機械)を用いて加工するため、図案ごとに専用のプログラムを作成します。4.前加工・成形加工(バリ取り、タップ加工等)抜き終わった金属板には、0.1mm程度の切り残し=バリがあるため、後工程とケガ防止のためにこれを取り除きます。ネジ穴を作るタップなどの加工も、この時点で行います。5.曲げ加工抜き加工が終わった物に、曲げ加工を施して製品の形に近づけます。図面展開でも触れた通り、曲げ加工では曲げ機械で使用する型の特性上、コの字に加工することが限界です。6.溶接加工板金と板金を溶接するスポット溶接、ブラケット・ナット・ネジなど溶接したいパーツを溶接するスタッド溶接などを行います。7.仕上げ加工・表面処理溶接の際に接合部にできた盛り上がりを、平らに仕上げます。製作途中で表面に傷がついたものもこの時点で仕上げます。溶接箇所が多くなれば多くなるほど、この仕上げ作業も時間を要します。8.組立・検査各種パーツを組み立て、検査をして完了です。精密板金加工の強み精密板金加工の強みは大きく2つです。1. 高い寸法精度と処理の美しさ精密板金加工は精度が非常に高く、また専用金型を用いない性質上、図面のない状態からの設計・製作への知見が豊富なことも特徴のひとつと言えるでしょう。多くの場合、設計から組み立て作業までを一括して行うため、筐体製作では中に組み込まれる機器や装置とのトータルバランスを意識した加工・仕上げが可能で、見た目にも美しく仕上がります。2. 試作が容易に行える通常のプレス板金では専用金型が必要なところを、精密板金では汎用金型を活用することで、イニシャルコストを抑えられるだけでなく短納期で試作することができます。精密板金加工の弱み金型の費用がかからないので試作や少量生産には向いていますが、反面、数千個におよぶような大量生産には向いていません。属人的な作業範囲がプレス板金に比べて広く、大量生産の体制を取ったとしてもコストの削減が難しいためです。精密板金加工のまとめ精密板金加工とプレス加工は、互いが互いを補う特徴を持っています。それぞれの特徴を理解して、適切な使い分けやお互いの組み合わせを検討しましょう。例えば、精密板金加工によりまずは多品種少量生産し、量産体制に移りたい場合はあらためて専用金型を作成する、というのが一般的な活用法のひとつです。さらに、専用金型を起工している間のファーストロットやセカンドロットは精密板金加工で対応する、という柔軟な活用も可能ですし、部分的な抜き型だけをプレス化したりといった方法も有効です。一定数までであれば、生産数が読めない場合にとりあえず精密板金加工で対応する、というのも一手でしょう。精密板金加工の活用を検討する際は、ぜひプレス板金についてもセットで考慮してみてください。