ねじ切り加工とは?意外と知らないねじの作り方を分かりやすく解説!

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皆さんは「ねじを切る」と言う言葉を知っていますか。

「ねじを切る」とは金属を削ってねじのギザギザしたところを掘ることを言います。つまりねじの下の部分を作ることですね。

今回のテーマである「ねじ切り加工」では、そのねじ切りの方法や工具の種類などを金属加工のことを何も知らない方でも分かりやすいように解説していきます。普段何気なく使っているねじがどのようにして作られているのか、この記事をきっかけに知る良い機会になればと思います。

ねじ切り加工の長所・短所

冒頭でも話した通り、ねじ切り加工とはねじのギザギザを作る加工のことです。ねじのギザギザのことをねじ山と言います。ねじ山とは頭部の出っ張ったところではないんですね。

ねじ山のギザギザは切削加工や塑性加工などの方法で、金属の棒を削ったり変形させたりすることで作られます。

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①切削(せっさく)加工…

素材を切ったり削ったりする加工のこと。

②塑性(そせい)加工…

素材に大きな力を加えることで、目的の形に変化させる加工のこと。

曲げたり押し潰したりします。

ではまず、ねじ切りがどういうものか手っ取り早く知るために、実際に加工の様子を動画で見てみましょう。

一概にねじ切り加工とは言ってもその方法は様々あるので、今回の動画はあくまで一例です。

動画のねじ切りの方法は金属を削って作る切削加工ですね。

切削加工によるねじ切りの長所・短所

切削加工は塑性加工よりも多くの種類のねじを作ることができ、その削ったり切ったりする作り方から元の金属よりも小さなねじを製造します。

短所としては素材を削って作るため切りくず大量に出る点と、刃物を多用するので新しい刃に変えるたびにコストがかかる点です。

塑性加工によるねじ切りの長所・短所

一方、塑性加工は切りくずが出ない方法で、削らないぶん素材の太さを確保したままのねじができます。

ただし、短所としては金型を用意する必要があるため、金型の費用と金型作成の時間がかかります。

金型とは画像のような製品を一定の形にするためのものです。

引用元:金型って何?

切削加工で作るねじも塑性加工で作るねじも、上記の通り長所・短所があるため、作るねじの大きさや種類に応じて加工の方法を選びます。

それぞれの加工の仕方は後ほどの項目で説明しますが、どちらも安価かつ短時間で製造でき、大量生産が可能になっています。

おねじとめねじ

ねじにはおねじめねじというのがあります。

ねじと言えば、一般的に使う種類ではドライバーで締めるタイプのものをみなさん思い浮かべるでしょうか。部品を組み立てる時に固定したりや機械の調子が悪くなって解体する時に外すものですね。適当に床に置いてしまい、なくして探すのに苦労した経験は誰にでもあるかと思います。

その一般的なねじの方をおねじと言い、めねじはそのおねじに組み入れるねじのことを言います。めねじの方もそれほど珍しいものではありません。

画像をご覧いただけると分かるように、おねじは外側に線状を作り、めねじは中をくり抜いて作られます。

引用元:amazon Narse ☆ Yome 

また、ボルトとナットもおねじとめねじにあたります。ナットもねじの種類の一つなんですね。形状からはあまりねじとは言えない形をしているので、少々意外に思う方もいるかもしれません。

おねじとめねじを作る方法

おねじとめねじを比較的簡単に作る工具にダイスとタップという道具があります。おねじを作るときはダイスとダイスハンドルという工具を使い、めねじを作るときはタップとタップハンドルいう工具を使います。

ダイスとタップを使ったねじ切り加工は、一つの道具で一つの寸法しかできないので他の寸法のねじを作りたい時は複数の工具が必要になります。

下の動画は、おねじとめねじを作っている様子です。

ねじ切りは工場で大掛かりな機械を使わないとできない印象がありますが、やり方さえ覚えれば誰でも日曜大工の感覚でねじを作ることができるのです。

手順や工具の種類の多さなど少し取っつきにくいところがありますが、職人芸並みの難しい技術は必要なさそうですね。

とは言え、動画ほどの手際のよさは初めてですとなかなか再現できないと思いますので、上手く加工できるようになるには何度もやって慣れていく必要があるでしょう。

なお、加工の時に過度に力を入れ過ぎるとねじがつぶれたり工具が折れてしまうことがあるので、実際にねじ切りをする場合は切削油を使いながら行い、無理に回したり押し込まないように注意してください。

いろいろなねじ切りの方法

先ほどの紹介は手作業による加工でしたが、ねじ切り加工にはもちろん機械を使った方法もあります。

主な方法としては、最初の項目で説明した金属を削って作る切削(せっさく)加工と金属の形を変えて作る塑性(そせい)加工の2パターン。

ねじの材料には金属だけではなくプラスチックスや樹脂などもありますが、今回は金属で広く使われている方法をいくつか紹介していきます。

機械を使用した方法

①旋盤を使ったねじ切り加工

②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工

③塑性加工によるねじ作り

①旋盤を使ったねじ切り加工

旋盤という機械による方法はねじ作りの中でも代表的な加工方法で、工業高校の機械実習でも入門編として使われます。

記事の最初の方で見た動画が旋盤を使ったねじ切り加工ですね。

おねじを作る時は金属の外側を削る外径ねじ切り旋削(せんさく)で、めねじを作る時は内側を削る内径ねじ切り旋削で行います。

引用元:モノタロウ

旋盤でのねじ切りは自動で加工する機能があるため、加工の様子を見ることができる外径ねじ切りは比較的容易にできます。

内径ねじ切りも基本的には外径ねじ切りと同じ方法ですが、金属の中を見ることができないので多少加工の難易度が上がります。

この実習でも使われるほど容易にできる旋盤を使った加工ですが、実はこの方法には欠点があり、旋盤によるねじ切りは機械加工ではあるものの、加工の仕方から大量生産向きではありません。ねじという、どの製品にも必要な部品が大量に生産できないのは、困りものですね。

そこで登場したのが下の画像のNC旋盤というハイテクな機械。

引用元:NC network

これを使えば回転速度の設定や加工中の工具の移動などが自動で行われるので、一度設定すれば人の手を介することなく大量生産ができます。

プログラムさえ作成してしまえば加工の開始から終了まで全自動なので、非常に効率的にねじが作れるのです。

加工中に出る金属の切りくずの処理もしなくてよいので面倒がなく楽ですね。

②ねじ切り盤を使ったねじ切り加工

ねじ切り盤はねじ切り加工に特化した機械です。

旋盤はねじ切り加工専用の機械というわけではなく他にも様々な使い道があります。一方、ねじ切り盤は特化しているだけあって、この方法では日常でよく見かけるねじとは異なる大型のねじを製造します。

ねじ切り盤で作られるねじは、橋やコンクリートの建物に埋め込まれる耐震補強用のアンカーボルトや水道・ガスで使用される配管などに使われます。画像で見る大きな鉄の棒やナットは、もはやねじと言えるか怪しいほどですね。

ねじ切り加工の技術は土木や建築、はたまた水道の分野でも活かされているのです。

③塑性加工によるねじ作り

大きなねじの作り方の次は小さなねじの作り方です。

子ねじと呼ばれる小型のねじは、旋盤などで削って作ることはせず、圧造という塑性加工の方法で作られることが多くなります。

もし小さなねじを作るために削ろうとすると、当然小さな金属から生成することになるため、普通の大きさのねじよりも素材となる金属を多く削り取ってしまうことになります。それでは明らかにコストの無駄になってしまうので、切りくずを出さずに製造できる塑性加工が用いられるのです。

前の項目でも説明した通り、塑性加工は金属を潰して変形させる加工方法です。潰して変形させると言うとイマイチ作られる様子が想像できませんが、次のgifを見ていただくと分かりやすいかと思います。

引用元:森岡産業株式会社

上の動きの作り方はダブルヘッダー加工と言います。

パンチと呼ばれる赤色の部分の金型で、素材となる金属の棒を押し潰してねじの頭とドライバーを入れるくぼみの部分を成形します。

ねじの頭部ができたら、次は肝心のねじ山の部分を作っていきます。ねじ山を付けるには、下の画像のようにねじを工具の間に挟み、ギザギザの跡を付けるように押し込みながら回転させていきます。

引用元:モノタロウ

この方法を転造と言い、その転造のタイプには平らな工具を使う平ダイス転造や丸い工具を使う丸ダイス転造、平ダイスや丸ダイスよりも生産能力が高いセグメントダイス転造などがあります。圧造は金属を圧縮させて作り、転造は転がして作るという漢字の通りの方法なので覚えやすいですね。

塑性加工による製造は、小ねじだけでなく大きめのねじや太いボルトなどのねじも製造が可能です。金属内部の繊維を切断しないため、ファイバーフローという耐摩耗性に優れたねじができるというメリットもあります。

また、塑性加工は金属を数回加工するだけででき、しかも機械で自動的に作ることができるため、切削加工よりも短い時間で加工できます。非常に大量生産向きの方法なんですね。

ねじはどんな分野のどんな製品でも使われる部品なので大量生産が必須です。そのためできるだけコストと時間を抑え、効率的な製造方法が求められるのです。

まとめ

今回の記事はねじ切りの方法やおねじ・めねじについてなど、ねじを加工する中でのギザギザを付ける部分に焦点をあてた内容でした。

他の部分やねじ全体の解説はまた別の記事で紹介させていただきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。